説明

電気掃除機およびそのアタッチメント

【課題】簡単な構成で、塵埃の付着による汚れを抑制でき、かつ、掃除箇所を傷付けにくいアタッチメントを提供する。
【解決手段】アタッチメント65は、電動送風機の吸込側に連通する電気掃除機のアタッチメント65である。アタッチメント65は、筒状に空気を吹き出すとともに、吹き出した空気の中心側に吸気風を形成して塵埃を吸い取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電動送風機の吸込側に連通する電気掃除機のアタッチメントおよびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機は、掃除機本体と、この掃除機本体に接続される風路形成体である管部とを備えている。掃除機本体には、電動送風機が収容されているとともに、この電動送風機の吸込側に連通する集塵部が設けられている。また、管部は、ホース体、延長管および床ブラシなどを順次接続して構成され、集塵部に連通するように掃除機本体に接続される。
【0003】
床ブラシは、被掃除面上の広い面積を効率よく掃除するために、一般的に左右幅方向に広い、すなわち横長の形状となっている。そのため、例えば家具と家具との隙間などの狭い箇所に挿入して塵埃を吸い込むことができないことがある。
【0004】
また、床ブラシは、一般に回転ブラシ、およびこの回転ブラシを駆動させる電動機などを備え、比較的重いため、例えば棚の上や天井などの高所を掃除する場合には適さないことがある。
【0005】
そこで、通常の床ブラシでは掃除しにくいこれらの場所を掃除するために、床ブラシに代えて装着されるアタッチメントが知られている。このようなアタッチメントは、例えば円筒状に形成された本体と、この本体の先端側に突設された毛ブラシなどを備えており、延長管、あるいはホース体の先端の手元操作部などに着脱可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−87669号公報
【特許文献2】特開2011−30639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなアタッチメントで隙間、あるいは高所を掃除する場合、毛ブラシが塵埃に触れることとなり、この毛ブラシに塵埃が付着してアタッチメントが汚れたり、毛ブラシが掃除箇所を傷付けたりすることがある。
【0008】
そのため、上記特許文献1に記載された構成では、毛ブラシに付着した塵埃を除去するための専用の除塵装置を備えている。また、上記特許文献2に記載された構成では、高所に付着した塵埃を舞い上がらせないように、アタッチメントの本体の一端側を拡開状に開口させ、この開口の内部に回転する毛ブラシを配置した構成となっている。
【0009】
しかしながら、これらの構成の場合、アタッチメントの構成が複雑化し、アタッチメントの大型化を招くおそれがある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な構成で、塵埃の付着による汚れを抑制でき、かつ、掃除箇所を傷付けにくい電気掃除機のアタッチメントおよびこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態のアタッチメントは、電動送風機の吸込側に連通する電気掃除機のアタッチメントであって、筒状に空気を吹き出すとともに、この吹き出した空気の中心側に吸気風を形成して塵埃を吸い取る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態のアタッチメントを示す斜視図であり、(a)は一部を切り欠いて示し、(b)は外管を省略して示す。
【図2】同上アタッチメントの流速分布を模式的に示す説明図である。
【図3】同上アタッチメントを備えた電気掃除機の一部を示す斜視図であり、(a)はアタッチメントをホース体に接続した状態を示し、(b)はアタッチメントを延長管に接続した状態を示す。
【図4】同上電気掃除機の掃除機本体を、一部を切り欠いて模式的に示す斜視図である。
【図5】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【図6】同上アタッチメントの周辺の圧力分布を示す説明図であり、(a)は同上アタッチメントを示し、(b)は排気風路の先端を吸気風路の先端よりも突出させた比較例を示し、(c)は吸気風路の先端と排気風路の先端とを略等しくした比較例を示す。
【図7】同上アタッチメントの周辺の圧力分布を示す説明図であり、(a)は同上アタッチメントを示し、(b)はガイド部を設けない比較例を示す。
【図8】同上アタッチメントの周辺の圧力分布を示す説明図であり、(a)は同上アタッチメントを示し、(b)は排気風路の単位面積当たりの流量を吸気風路の単位面積当たりの流量と等しくした比較例を示し、(c)は排気風路の単位面積当たりの流量を吸気風路の単位面積当たりの流量よりも小さくした比較例を示す。
【図9】第2の実施形態のアタッチメントを、一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図10】同上アタッチメントを備えた電気掃除機の一部を示す斜視図であり、(a)はアタッチメントをホース体に接続した状態を示し、(b)はアタッチメントを延長管に接続した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0014】
図5において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に着脱可能に接続される吸込風路体(風路形成体)である管部13とを有している。そして、この電気掃除機11は、掃除機本体12に収容された電動送風機14の駆動により生じる吸気風と排気風とを循環させる、いわゆる循環式の電気掃除機である。
【0015】
掃除機本体12は、被掃除面上を旋回および走行可能な中空状の本体ケース15を備えている。この本体ケース15は、図4に模式的に示すように、第1ケースとしての内ケース16と第2ケースとしての外ケース17とにより二重構造(多重構造)となっており、内ケース16の内部に、集塵部である集塵室18と、電動送風機14を収容する電動送風機室19とが隔壁21により前後に区画され、内ケース16と外ケース17との間に、電動送風機室19と連通する排気風路部22が区画されている。
【0016】
内ケース16は、例えば合成樹脂などにより形成され、集塵室18を区画する一方の第1ケース本体である前側内ケース25と、電動送風機室19の一部を区画する他方の第1ケース本体である後側内ケース26とを備えている。そして、これら前側内ケース25と後側内ケース26との間に隔壁21が介在されている。
【0017】
前側内ケース25は、集塵室18と連通する円筒状の本体吸込口28を前端部に備えている。
【0018】
また、後側内ケース26は、筒状に形成され、電動送風機14の上流側(前側)の周囲に位置している。
【0019】
また、外ケース17は、例えば合成樹脂などにより形成され、前側内ケース25ないし後側内ケース26に亘る一方の第2ケース本体である前側外ケース31と、電動送風機室19の残りの他部を区画する他方の第2ケース本体である後側外ケース32とを備えている。
【0020】
前側外ケース31は、排気風路部22と連通する円筒状の本体排気口34を前端部に備えている。この本体排気口34は、本体吸込口28と同軸状に形成されており、この本体吸込口28とともに、管部13(図5)の基端側が接続される本体接続口35を構成している。
【0021】
また、後側外ケース32は、前側外ケース31の後端を気密に閉塞しており、電動送風機14の下流側(後側)、すなわち排気側の周囲に位置している。
【0022】
また、集塵室18は、電動送風機14の駆動により吸い込んだ塵埃を捕集する部分であり、例えば図示しないフィルタ、あるいは集塵袋などが配置されている。
【0023】
また、電動送風機14は、外郭をなす有底円筒状のフレーム37および有蓋円筒状のファンカバー38を備え、フレーム37に図示しない電動機が設けられ、この電動機により回転される遠心ファン、および、この遠心ファンから吹き出された風を整流する整流板などがファンカバー38により覆われている。さらに、この電動送風機14は、例えば電動送風機室19内に水平状に収容されており、前側にファンカバー38が位置し、後ろ側にフレーム37が位置している。また、フレーム37の外周には、複数の排気口39が形成され、ファンカバー38の中央部には、遠心ファンの中央部の吸込口と連通する吸気口40が形成されている。そして、ファンカバー38の外周から吸気口40の周囲に亘る部分が、防振部材および気密保持部材すなわちシール部材の機能を有するモータクッション41を介して後側内ケース26に支持され、フレーム37の後端の中央部に突出し電動機の回転軸を回転可能に軸支するモータヘッド部42が後側外ケース32の中央部にリブ状に突設された支持部43に支持されている。したがって、電動送風機14は、本体ケース25に対して軸方向および周方向に防振されている。
【0024】
また、隔壁21には、集塵室18と電動送風機室19とを連通する連通開口45が形成されている。この連通開口45には、電動送風機14の吸気口40が気密に接続されている。
【0025】
また、排気風路部22は、集塵室18の外側を通って本体排気口34と連通している。
【0026】
一方、図5に示す管部13は、長尺状のホース体51と、このホース体51に着脱可能に接続される延長管52と、この延長管52に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ53とを備え、吸気側と排気側とを同軸状に有する二重構造となっている。
【0027】
ホース体51は、長尺筒状に形成されたホース本体55と、このホース本体55の一端側である基端側に連通して形成され本体接続口35に接続される接続管部56と、ホース本体55の他端側である先端側に連通して形成され例えば管部13の把持操作用の手元操作部57とを一体的に有している。さらに、この手元操作部57には、使用者に把持される把持部58が突出して形成されており、この把持部58には、電動送風機14などの動作を制御手段に設定するための複数の設定ボタン59が配置されている。そして、このホース体51は、図示しないが、接続管部56、ホース本体55および手元操作部57に亘って、二重管構造となっている。すなわち、このホース体51は、内側に位置する吸気用の風路部と外側に位置する排気用の風路部とが同軸状に形成され、本体接続口35(掃除機本体12)に接続された状態で、吸気用風路部が本体吸込口28(集塵室18)と連通し、排気用風路部が本体排気口34(排気風路部22)と連通している。
【0028】
また、延長管52は、図示しないが、ホース体51と同様の二重管構造となっている。すなわち、この延長管52は、内側に位置する吸気用風路管部と外側に位置する排気用風路管部とが同軸状に形成され、ホース体51に接続された状態で、吸気用風路管部がホース体51の吸気用風路部を介して本体吸込口28(集塵室18)と連通し、排気用風路管部がホース体51の排気用風路部を介して本体排気口34(排気風路部22)と連通している。
【0029】
また、床ブラシ53は、延長管52の先端側に一端側が連通接続される接続管61と、この接続管61の他端側に、上下方向あるいは周方向などに回動可能に接続された横長のケース体62とを備えており、被掃除面上を走行可能となっている。さらに、ケース体62の床面に対向する下部には、図示しない横長の吸込口とこの吸込口の近傍に位置する排気口とが形成されている。
【0030】
接続管61は、図示しないが、延長管52と同様の二重管構造となっている。すなわち、この接続管61は、内側に位置しケース体62の吸込口と連通する吸気用接続管部と外側に位置しケース体62の排気口と連通する排気用接続管部とが同軸状に形成され、延長管52に接続された状態で、吸気用接続管部が延長管52の吸気用風路管部およびホース体51の吸気用風路部を介して本体吸込口28(集塵室18)と連通し、排気用接続管部が延長管52の排気用風路管部およびホース体51の排気用風路部を介して本体排気口34(排気風路部22)と連通している。
【0031】
そして、管部13には、延長管52の上流側、あるいは、手元操作部57の上流側、すなわち管部13の中間位置に、図1ないし図3に示す付属品であるアタッチメント65が着脱可能となっている。
【0032】
アタッチメント65は、電動送風機14(図5)の排気風を利用して筒状(円筒状)の空気壁Aを形成し、その空気壁Aの中央側から吸気する(図2)、非接触型の吸い込みアタッチメントであり、電動送風機14(図5)の吸込側に連通する吸気風路66を区画する内管67と、電動送風機14(図5)の排気側に連通する排気風路68を区画する外管69とを同軸状に備えている。そして、このアタッチメント65は、図3(a)に示すようにホース体51の手元操作部57の先端に延長管52(図5)に代えて着脱可能、あるいは図3(b)に示すように延長管52の先端に床ブラシ53(図5)に代えて着脱可能となっている。
【0033】
図1(b)に示す内管67は、ホース体51(図5)の吸気用風路部、または延長管52(図5)の吸気用風路管部に基端側が気密に接続されるものであり、例えば合成樹脂などにより長尺の直線円筒状に形成されている。すなわち、吸気風路66は、円形状の断面を有している。さらに、この内管67は、先端側が外管69よりも先端側に突出している。したがって、吸気風路66の上流端、すなわちこの吸気風路66に空気を吸い込む吸気開口部P1は、排気風路68の下流端、すなわちこの排気風路68から空気を排気する排気開口部P2よりも突出している。
【0034】
また、図1(a)に示すように、外管69は、ホース体51(図5)の排気用風路部、または延長管52(図5)の排気用風路管部に基端側が気密に接続されるものであり、例えば合成樹脂などにより、長尺で、かつ、内管67よりも径寸法が大きい直線円筒状に形成されている。すなわち、排気風路68は、円環状の断面を有しており、吸気風路66よりも断面積が小さくなっている。
【0035】
そして、これら内管67と外管69との間、すなわち排気風路68内には、図1(b)に示すように、複数のガイド部71が螺旋状に配置されている。本実施の形態において、これらガイド部71は、例えば内管67の外周面に突設されている。これらガイド部71は、排気風路68から吹き出す排気風を螺旋状(渦巻状)にガイドするもので、それぞれアタッチメント65(内管67および外管69)の軸方向に沿う長尺のリブ状に形成されており、一端72側から他端73側へとアタッチメント65(内管67および外管69)の周方向へと徐々に傾斜している。また、これらガイド部71は、互いに略等間隔に離間されている。さらに、これらガイド部71は、先端側が外管69の内周面と気密に接触している。このため、隣接するガイド部71,71間には、排気風路68内にそれぞれ螺旋状のガイド風路75が区画されている。また、これらガイド部71の他端73は、外管69の先端側と略面一となっている。換言すれば、これらガイド部71(ガイド風路75)は、排気風路68の下流端に位置している。さらに、一のガイド部71の一端72側とこの一のガイド部71に隣接する他のガイド部71の他端73側とは、アタッチメント65(内管67および外管69)の軸方向に平行な直線上に位置している。したがって、ガイド風路75の上流端(ガイド部71,71の一端72,72間)とガイド風路75の下流端(ガイド部71,71の他端73,73間)とは、アタッチメント65(内管67および外管69)の周方向に一部が重なって(ラップして)いる。
【0036】
ここで、図6(a)に示すように、内管67(吸気風路66)の先端を外管69(排気風路68)の先端よりも突出させることにより、図6(b)に示す比較例のように外管69a(排気風路68a)のガイド部71aが位置する先端を内管67a(吸気風路66a)の先端よりも突出させる場合、および、図6(c)に示す比較例のように外管69a(排気風路68a)のガイド部71aが位置する先端を内管67a(吸気風路66a)の先端と略等しくする場合と比較して、吸気風路66に生じる負圧(吸気風)を、より遠方まで作用させることができる。
【0037】
また、図7(a)に示すように、排気風路68の下流端側に螺旋状のガイド部71を設けることにより、図7(b)に示す比較例のように螺旋状のガイド部を設けない場合と比較して、吸気風路66に生じる負圧(吸気風)を、より遠方まで作用させることができる。
【0038】
さらに、吸気風路66と排気風路68とは、単位面積当たりの流量が異なっており、本実施形態では、吸気風路66の吸気開口部P1から吸い込む空気(吸気風)の単位面積あたりの流量(吸気風路66の上流端での単位面積当たりの流量)よりも、排気風路68の排気開口部P2から吹き出す空気(排気風)の単位面積あたりの流量(排気風路68の下流端での単位面積当たりの流量)よりも大きくなるように設定されている。
【0039】
ここで、図8(a)に示すように、排気風路68の下流端(排気開口部P2)での単位面積あたりの流量を、吸気風路66の上流端(吸気開口部P1)での単位面積あたりの流量よりも大きくすることにより、図8(b)に示す比較例のように排気風路68aの下流端(排気開口部P2a)での単位面積あたりの流量と吸気風路66aの上流端(吸気開口部P1a)での単位面積あたりの流量とを等しくする場合、および、図8(c)に示す比較例のように排気風路68aの下流端(排気開口部P2a)での単位面積あたりの流量を、吸気風路66aの上流端(吸気開口部P1a)での単位面積あたりの流量よりも小さくする場合と比較して、吸気風路66に生じる負圧(吸気風)を、より遠方まで作用させることができる。
【0040】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0041】
通常の被掃除面の掃除の際には、掃除機本体12の本体接続口35に対してホース体51の接続管部56を接続するとともに、ホース体51の手元操作部57に延長管52を接続し、この延長管52の先端に床ブラシ53の接続管61を接続する。
【0042】
この状態で、使用者は、把持部58を把持し、所望の設定ボタン59を操作して電動送風機14を所望の動作モードで駆動させる。
【0043】
電動送風機14の駆動により生じた負圧によって、床ブラシ53の吸込口から延長管52(吸気用風路管部)、ホース体51(吸気用風路部)、本体吸込口28、集塵室18、連通開口45および吸気口40に至る吸込風路が形成されるとともに、電動送風機14の排気口から電動送風機室19、排気風路部22、本体排気口34、ホース体51(排気用風路部)、延長管52(排気用風路管部)および床ブラシ53の排気口に至る排出風路が形成される。
【0044】
そして、使用者が床ブラシ53を被掃除面上で前後に走行させることにより、床ブラシ53の吸込口から吸込風路へと塵埃が空気とともに吸い込まれる。そして、吸込口に吸い込まれた空気は吸気風(含塵空気)となり、吸込風路を経由して集塵室18内のフィルタ、あるいは集塵袋などにより塵埃が濾過捕集される。
【0045】
この塵埃が捕集された空気は、連通開口45から電動送風機14の吸気口40へと吸い込まれ、排気風となって電動機を冷却しつつフレーム37の排気口39から電動送風機室19内に排気され、排出風路を経由して床ブラシ53の排気口から被掃除面に向けて排気される。
【0046】
一方、狭い隙間あるいは高所などの掃除の際には、床ブラシ53に代えて延長管52の先端に、あるいは、延長管52に代えて手元操作部57の先端に、アタッチメント65を接続する。
【0047】
そして、使用者は、把持部58を把持し、所望の設定ボタン59を操作して電動送風機14を所望の動作モードで駆動させる。
【0048】
延長管52の先端にアタッチメント65を取り付けた場合には、電動送風機14の駆動により生じた負圧によって、アタッチメント65の吸気開口部P1から、吸気風路66、延長管52(吸気用風路管部)、ホース体51(吸気用風路部)、本体吸込口28、集塵室18、連通開口45および吸気口40に至る吸込風路が形成されるとともに、電動送風機14の排気口から電動送風機室19、排気風路部22、本体排気口34、ホース体51(排気用風路部)、延長管52(排気用風路管部)、アタッチメント65の排気風路68(ガイド風路75)および排気開口部P2に至る排出風路が形成される。
【0049】
また、手元操作部57の先端にアタッチメント65を取り付けた場合には、電動送風機14の駆動により生じた負圧によって、アタッチメント65の吸気開口部P1から吸気風路66、ホース体51(吸気用風路部)、本体吸込口28、集塵室18、連通開口45および吸気口40に至る吸込風路が形成されるとともに、電動送風機14の排気口から電動送風機室19、排気風路部22、本体排気口34、ホース体51(排気用風路部)、アタッチメント65の排気風路68(ガイド風路75)および排気開口部P2に至る排出風路が形成される。したがって、アタッチメント65の排気風路68(ガイド風路75)の排気開口部P2から内管67の外周面に沿って筒状(円筒状)に空気(排気風)が吹き出すとともに、この吹き出した空気の中心側に吸気風が形成される。このとき、排気風路68の排気開口部P2から排出される排気風は、各ガイド部71によって絞られつつガイド風路75に沿って案内されて勢いよく吹き出す。換言すれば、内管67(吸気風路66)の吸気開口部P1での吸気風の周囲に、排気風によって筒状(円筒状)の空気壁Aが形成される。
【0050】
このため、使用者がアタッチメント65を被掃除面へと接近させることにより、空気壁Aの中央部に形成された吸気風によって、アタッチメント65の先端側、すなわち内管67の先端側を塵埃および被掃除面に接触させることなく、塵埃が非接触に吸い込まれて掃除される。
【0051】
吸い込まれた空気は吸気風(含塵空気)となり、吸込風路を経由して集塵室18内のフィルタ、あるいは集塵袋などにより塵埃が濾過捕集される。
【0052】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、排気風路68の下流端側に螺旋状のガイド部71を形成することにより、これらガイド部71によって排気風路68の排気開口部P2から吹き出される排気風をより遠方までガイドして空気壁Aをアタッチメント65からより遠方へと伸ばすことができ、電動送風機14の駆動によって吸気風路66に生じる負圧(吸気風)を、アタッチメント65からより遠方へと作用させることができる。
【0053】
また、排気風路68が、掃除機本体12に設けられた電動送風機14の排気風を排気開口部P2から吹き出すことにより、排気風路68の排気開口部P2から比較的強い排気風を容易に吹き出すことができるとともに、アタッチメント65は内管67と外管69との二重管構造にするだけで容易に構成でき、アタッチメント65の構成をより簡略化できる。
【0054】
なお、上記第1の実施形態において、ガイド部71の少なくともいずれかは、外管69の内周面から離間されていてもよい。
【0055】
また、ガイド部71の少なくともいずれかは、外管69の内周面に突設してもよい。この場合には、この外管69の内周面に突設したガイド部71は、内管67の内周面に気密に当接していてもよいし、内管67の内周面から離間されていてもよい。
【0056】
次に、第2の実施形態を図9および図10を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態のアタッチメント65が、電動送風機14の排気風を利用せず、電動送風機14の駆動により生じる吸気風を利用して排気風を形成するものである。
【0058】
すなわち、本実施形態の電気掃除機11は、循環型の電気掃除機ではなく、一般的なキャニスタ型の電気掃除機である。したがって、本実施形態の掃除機本体12の本体ケース15は、二重構造(多重構造)となっておらず、集塵室18と電動送風機室19とが内部に区画され、この電動送風機室19内に電動送風機14が収容されて構成され、集塵室18が電動送風機14の吸込側に気密に接続されている。
【0059】
同様に、管部13は、二重構造となっておらず、ホース体51と延長管52と床ブラシ53とを順次備えている。
【0060】
そして、アタッチメント65は、外管69の上流端が、内管67の下流端よりもこの内管67の上流側の位置となっており、図10(a)に示すようにホース体51の手元操作部57の先端に接続した場合でも、図10(b)に示すように延長管52の先端に接続した場合でも、外管69が手元操作部57、あるいは延長管52に対して接続されていない。
【0061】
また、内管67は、例えば上流側を構成する上流側内管77と下流側を構成する下流側内管78とに軸方向に分割されており、これら上流側内管77と下流側内管78との間に、羽根車としての軸流ファン79がベアリング80,81を介して回転可能に取り付けられているとともに、上流側内管77の先端、すなわち軸流ファン79の上流側に、アタッチメント集塵部としての集塵管82が取り付けられている。
【0062】
軸流ファン79は、例えば合成樹脂などにより一体成形されており、円筒状の羽根車本体としてのファン本体84と、このファン本体84の内周側に形成された一方のフィン部としての吸気側フィン部である内側フィン部85と、ファン本体84の外周に形成された他方のフィン部としての排気側フィン部である外側フィン部86とを備えている。
【0063】
ファン本体84は、内径寸法及び外径寸法がそれぞれ内管67と略等しく形成され、内管67の一部を構成している。また、このファン本体84の軸方向の両端は、ベアリング80,81により挟持されている。
【0064】
また、内側フィン部85は、内管67内、すなわち吸気風路66内に位置しており、ファン本体84の中心軸に知って位置する円柱状の軸部85aと、この軸部85aの外周面からファン本体84の内周面に亘って連続する複数の吸気側フィンである内側フィン85bとを一体に備えている。これら内側フィン85bは、吸気風路66内を通過する吸気風により軸流ファン79を回転させるためのものであり、所定の方向に傾斜して形成されている。
【0065】
また、外側フィン部86は、ファン本体84の外周面に突設された複数の排気側フィンである外側フィン86aにより構成されている。これら外側フィン86aは、内管67と外管69との間、すなわち排気風路68内に位置しており、軸流ファン79の回転によって排気風路68内に外管69の先端側へと流れる気流を形成するためのものである。したがって、これら外側フィン86aは、内側フィン85bと逆方向にそれぞれ傾斜している。
【0066】
また、ベアリング80,81は、円筒状に形成されており、軸流ファン79のファン本体84の軸方向の両端をそれぞれ回動可能に軸支した状態で上流側内管77と下流側内管78とに取り付けられ、この内管67の一部を構成している。すなわち、これらベアリング80,81によって両端が挟持された軸流ファン79が、上流側内管77と下流側内管78との間に挟持されている。
【0067】
また、集塵管82は、例えば合成樹脂などにより一体成形されており、上流側内管77の上流端の内周に嵌合する集塵本体部82aと、この集塵本体部82aよりも径寸法が小さい円筒状の突出部82bとが、段差状の連結部82cによって連結されて構成されている。そして、この集塵管82は、例えば内管67に対して着脱可能となっている。
【0068】
集塵本体部82aは、塵埃を収容する塵埃収容部91を内部に区画しており、全体が上流側内管77内に位置している。また、この集塵本体部82aの上流端、すなわち突出部82b側の端部には、弁であるゴム弁92が取り付けられ、下流端、すなわち突出部82bと反対側の端部には、フィルタ部93が取り付けられている。
【0069】
ゴム弁92は、可撓性を有する部材により形成された扇形板状の複数枚の弁体92aにより構成され、全体として円形板状となり、集塵本体部82aの上流端を覆って配置されている。すなわち、このゴム弁92は、集塵管82(内管67)の軸方向に対して交差(直交)する方向に沿って配置されている。
【0070】
また、フィルタ部93は、集塵本体部82aの下流端に挿入されて嵌着される円筒状の保持部93aと、この保持部93a内に面状に保持された濾過集塵用のメッシュ状のフィルタ93bとを備えている。そして、このフィルタ93bが、集塵本体部82a(塵埃収容部91)の下流端を覆っている。すなわち、このフィルタ93bは、軸流ファン79の上流側に位置している。
【0071】
また、突出部82bは、集塵本体部82aと同軸状に位置しており、上流側内管77よりも先端側へと突出するノズル状となっている。すなわち、この突出部82bは、内管67の上流端よりも突出している。さらに、この突出部82bの上流端である先端側は、吸気風路66へと空気を吸い込む吸気開口部P1となっている。
【0072】
そして、アタッチメント65をホース体51の手元操作部57の先端、あるいは延長管52の先端に取り付けて掃除する際には、電動送風機14の駆動により吸気風路66に生じた吸気風が集塵管82に流入してフィルタ93bを通過することにより、この吸気風に含まれる比較的大きい塵埃(粗塵)が塵埃収容部91内に濾過捕集される。さらに、フィルタ93bを通過した吸気風は、内側フィン85bに当たり、軸流ファン79が回転することで、外側フィン86aも回転する。このとき、外側フィン86aが内側フィン85bと逆方向に傾斜しているため、排気風路68には、吸気風路66を通過する吸気風と反対方向、すなわち外管69から空気が吹き出す方向の気流が形成される。
【0073】
したがって、アタッチメント65の排気風路68の排気開口部P2から内管67の外周面に沿って筒状(円筒状)に空気が吹き出すとともに、この吹き出した空気の中心側に吸気風が形成される。すなわち、内管67(吸気風路66)の吸気風の周囲に、筒状(円筒状)の空気壁Aが形成される。
【0074】
このため、使用者がアタッチメント65を被掃除面へと接近させることにより、空気壁Aの中央部に形成された吸気風によって、アタッチメント65の先端側、すなわち内管67の先端側を塵埃および被掃除面に接触させることなく、塵埃が非接触に吸い込まれて掃除される。
【0075】
このように、上記第2の実施形態によれば、吸気風路66を通過する空気により回転されて排気風路68に気流を形成する軸流ファン79を備えることにより、簡単な構成で電動送風機14の吸気風を有効に利用して、排気風路68に気流を形成できる。また、軸流ファン79は、吸気風の流れ方向に直交(交差)する方向に向けて配置できるので、アタッチメント65を小型化できる。
【0076】
しかも、このように構成したアタッチメント65は、電動送風機14によって吸気風を形成する一般的な電気掃除機11に容易に適用でき、汎用性が高いとともに、循環式の電気掃除機のように熱循環などが発生することもない。
【0077】
また、吸気風路66の軸流ファン79の上流側にフィルタ93bを備えることにより、軸流ファン79の特に内側フィン部85への塵埃の付着を低減できるとともに、吸気風に含まれる塵埃がフィルタ93bにより捕集されて塵埃収容部91内に収容されるので、アタッチメント65の手入れをするだけで塵埃を容易に廃棄できる。
【0078】
さらに、フィルタ93bによって吸気風に含まれる塵埃を捕集できるので、掃除機本体12側の集塵室18の容量を低減でき、掃除機本体12、すなわち電気掃除機11の小型化が可能になる。
【0079】
そして、集塵管82を内管67に対して着脱可能とすることにより、この集塵管82のみを内管67から取り外して、塵埃収容部91内の塵埃の廃棄やフィルタ93bのメンテナンスなどを容易に行うことができる。
【0080】
なお、上記第2の実施形態の排気風路68の下流端に、上記第1の実施形態のガイド部71を配置してもよい。この場合には、ガイド部71によって排気風路68から吹き出される空気をより遠方までガイドして空気壁Aをアタッチメント65からより遠方へと伸ばすことができ、電動送風機14の駆動によって吸気風路66に生じる負圧(吸気風)を、アタッチメント65からより遠方へと作用させることができる。
【0081】
そして、以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、アタッチメント65が、筒状に空気を吹き出すとともに、この吹き出した空気の中心側に吸気風を形成して塵埃を吸い取ることにより、アタッチメント65に対して離間された位置にある塵埃を、吸気風とともに非接触に吸い込むことができる。したがって、毛ブラシやその除塵装置などを備えない簡単な構成で、塵埃の付着による汚れを抑制でき、かつ、掃除箇所を傷付けにくいアタッチメント65を提供できる。
【0082】
具体的に、電動送風機14の吸込側に連通する吸気風路66と、この吸気風路66の上流端に位置しこの吸気風路66に空気を吸い込む吸気開口部P1と、吸気風路66の周囲に筒状(円筒状)に位置する排気風路68と、この排気風路68の下流端に位置しこの排気風路68から空気を吹き出す排気開口部P2とを備えることにより、筒状に空気を吹き出すとともに、この吹き出した空気の中心側に吸気風を形成して塵埃を吸い取る構成を容易に形成できる。
【0083】
また、吸気風路66の上流端(吸気開口部P1)を、排気風路68の下流端(排気開口部P2)よりも突出させることにより、排気風路68(外管69)の排気開口部P2から吹き出された空気(排気風)が、内管67の外周面に沿って軸方向にいわば助走距離を持つこととなり、この空気(排気風)が吸気風路66へと吸気開口部P1から急激に吸い込まれることを防止できる。そのため、電動送風機14の駆動によって吸気風路66に生じる負圧(吸気風)を、アタッチメント65からより遠方へと作用させることができる。
【0084】
同様に、排気風路68の下流端(排気開口部P2)での単位面積あたりの空気の流量を、吸気風路66の上流端(吸気開口部P1)での単位面積あたりの空気の流量よりも大きく設定することにより、空気壁Aをアタッチメント65からより遠方へと伸ばすことができ、電動送風機14の駆動によって吸気風路66に生じる負圧(吸気風)を、アタッチメント65からより遠方へと作用させることができる。
【0085】
したがって、アタッチメント65を掃除箇所に対して、より離間した位置から塵埃を吸気風とともに吸い込むことができ、掃除箇所をより傷付けにくくなる。
【0086】
そして、上記のアタッチメント65を電気掃除機11に用いることにより、掃除箇所を傷付けることなく衛生的な掃除が可能になる。
【0087】
なお、上記各実施形態において、アタッチメントとしては、ホース体51の手元操作部57あるいは延長管52に着脱可能なものに限定されず、例えば手元操作部57、あるいは延長管52に上記アタッチメント65の構造を組み込んだ構成などとすることも可能である。すなわち、アタッチメントとは、掃除機本体12に対して電動送風機14に連通するように着脱可能なもの全般を含むものとする。
【0088】
さらに、ガイド部71は、排気風路68の排気開口部P2から螺旋状に空気(排気風)を吹き出させることができれば、排気風路68内の任意の位置に設けてもよい。
【0089】
また、アタッチメント65は、キャニスタ型の電気掃除機11用に限らず、例えば縦長の掃除機本体12の下部に床ブラシ53を備えた、アップライト型の電気掃除機用などとしても用いることができる。
【0090】
そして、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
11 電気掃除機
12 掃除機本体
14 電動送風機
65 アタッチメント
66 吸気風路
68 排気風路
71 ガイド部
79 羽根車としての軸流ファン
93b フィルタ
P1 吸気開口部
P2 排気開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機の吸込側に連通する電気掃除機のアタッチメントであって、
筒状に空気を吹き出すとともに、この吹き出した空気の中心側に吸気風を形成して塵埃を吸い取る
ことを特徴とした電気掃除機のアタッチメント。
【請求項2】
電動送風機の吸込側に連通する吸気風路と、
この吸気風路の上流端に位置し、この吸気風路に空気を吸い込む吸気開口部と、
前記吸気風路の周囲に筒状に位置する排気風路と、
この排気風路の下流端に位置し、この排気風路から空気を排気する排気開口部と
を具備したことを特徴とした電気掃除機のアタッチメント。
【請求項3】
排気風路の下流端側に設けられた螺旋状のガイド部を具備した
ことを特徴とした請求項2記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項4】
吸気風路の上流端は、排気風路の下流端よりも突出している
ことを特徴とした請求項2または3記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項5】
排気風路の下流端での単位面積あたりの流量が、吸気風路の上流端での単位面積あたりの流量よりも大きく設定されている
ことを特徴とした請求項2ないし4いずれか一記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項6】
排気風路は、掃除機本体に設けられた電動送風機の排気風を吹き出す
ことを特徴とした請求項2ないし5いずれか一記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項7】
吸気風路を通過する空気により回転されて排気風路に気流を形成する羽根車を具備した
ことを特徴とした請求項2ないし6いずれか一記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項8】
吸気風路の羽根車の上流側に配置されたフィルタを具備した
ことを特徴とした請求項7記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項9】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
吸込側が前記電動送風機の吸込側に連通する請求項1ないし8いずれか一記載のアタッチメントと
を具備したことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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