説明

電気掃除機のノズル

【課題】大型化を抑制しつつ剛性を高めることができる電気掃除機のノズルを提供すること。
【解決手段】横長に形成された吸込口部8と、前後方向に通気路12が形成された通気部9とによって略T字状に形成されたノズル本体4を有する縦型電気掃除機2のノズル1において、前記ノズル本体4の左右に、前記吸込口部8の側部近傍の後部と前記通気部9の後部近傍の側部とを接続するように、一対の梁状の補強部10を形成したことで、前記吸込口部8と通気部9を細く形成しても、梁状の補強部10によって剛性を確保することができるので、前記ノズル1を縦型電気掃除機2に使用した場合、この縦型電気掃除機2を転倒し難くすることができるばかりでなく、電気掃除機の形式に拘わらず、前記ノズル1を障害物に衝突させたとしても、破損し難くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機のノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機のノズルとしては、横長に形成された吸込口部と、前後方向に通気路が形成された通気部とによって略T字状に形成されたノズル本体を有するものが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。なお、電気掃除機のノズルは、電気掃除機の形式によって形状が異なる。例えば、特許文献1のような縦型電気掃除機では、不使用時に掃除機本体を安定して直立させておくことができるように、ノズルは前後方向に長く形成される。このように、縦型電気掃除機では、ノズルを前後方向に長くすることによって、掃除機本体の重心をノズル上に確実に位置させることができる。一方、特許文献2のような横型電気掃除機では、不使用時に掃除機本体をノズルによって支持する必要がないため、ノズルは前後方向に短く形成することができる。そして、このような横型電気掃除機では、前記ノズル本体の吸込口部は、気流と塵埃を吸引することができる太さであればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−102892号公報
【特許文献2】特開2009−297378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような縦型電気掃除機では、単純に通気部を長くしてノズル本体を前後方向に長く形成するだけでは、ノズル本体の剛性が低くなってしまう。そして、ノズル本外の剛性が低いと、掃除機本体に外力が加わることでノズル本体が捻れてしまい、掃除機本体が傾いて掃除機本体の重心がノズル上から外れ、掃除機が転倒してしまう虞がある。また、縦型電気掃除機では、清掃中に掃除機本体ごとノズルを動かすことにより、動かす質量が大きくなり、これによって慣性が大きくなるので、ノズルを障害物に衝突させた際にノズルが受ける衝撃が、横型電気掃除機に比べて大きくなる傾向にある。このため、特許文献1のような縦型電気掃除機のノズルは、特許文献2のような横型電気掃除機のノズルに比べ、ノズル本体の吸込口部を太くすることで、ノズル本体の剛性を高める必要がある。このように、ノズル本体の吸込口部を太くすると、ノズル本体が大型化してしまうので、取り回しが容易ではなくなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、大型化を抑制しつつ剛性を高めることができる電気掃除機のノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機のノズルは、横長に形成された吸込口部と、前後方向に通気路が形成された通気部とによって略T字状に形成されたノズル本体を有する電気掃除機のノズルにおいて、前記ノズル本体の左右に、前記吸込口部の側部近傍と前記通気部の後部近傍とを接続するように、一対の梁状の補強部を形成したものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の電気掃除機のノズルは、請求項1において、前記各補強部を、これらの補強部同士の左右方向の距離が、前端部よりも後端部において狭くなるように、傾斜させて設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機のノズルは、以上のように構成することにより、前記吸込口部と通気部を細く形成しても、梁状の補強部によって剛性を確保することができる。これによって、前記ノズルを縦型電気掃除機に使用した場合、この縦型電気掃除機を転倒し難くすることができる。また、電気掃除機の形式に拘わらず、ノズルを障害物に衝突させたとしても、破損し難くすることができる。
【0009】
また、前記各補強部を、これらの補強部同士の左右方向の距離が、前端部よりも後端部において狭くなるように、傾斜させて設けたことにより、前記ノズルを後方に引いた際に、前記吸込口部を障害物に引っ掛けにくくすることができるばかりでなく、後方からの衝突時の衝撃を逃がして破損し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す電気掃除機のノズルの平面図である。
【図2】同、底面図である。
【図3】同、正面図である。
【図4】同、掃除機本体に取り付けた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。1は本発明に係るノズルである。このノズル1は、縦型電気掃除機2を構成する掃除機本体3に対して着脱自在に取り付けられる。
【0012】
前記ノズル1は、ノズル本体4と、このノズル本体4に対して可動に取り付けられた接続部5と、一対の前輪6及び一対の後輪7とを有して構成される。前記ノズル本体4は、吸込口部8と、通気部9と、補強部10とを有して構成される。前記吸込口部8は、前記前輪6及び後輪7の転がり方向に対して直交する方向に長く形成される。即ち、前記吸込口部8は、左右方向に長く形成される。そして、前記吸込口部8の底部には、横長の吸込口11が形成される。また、前記吸込口部8の前部の左右両端部には、一対の前記前輪6が設けられる。一方、前記通気部9は、前記前輪6及び後輪7の転がり方向に沿って通気路12が形成される。即ち、前記通気部9は、前後方向に前記通気路12が形成される。更に、前記通気部9の前部は、前記吸込口部8の中央部に接続される。これによって、前記吸込口部8と通気部9は略T字状に接続されると共に、前記吸込口11と通気路12も略T字状に接続される。そして、前記吸込口部8の側部近傍の後部と、前記通気部9の後部近傍の側部とを接続するように、前記補強部10が左右一対設けられる。これらの補強部10は、梁状に形成される。なお、これらの補強部10は、これらの補強部10同士の左右方向の距離が、前端部よりも後端部において狭くなるように、傾斜させて設けられる。更に、前記補強部10の中間部は、それぞれ第二補強部13によって前記通気部9の側部に接続される。そして、このように、前記各補強部10及び第二補強部13によって補強されることで、前記吸込口部8及び通気部9を細く形成したとしても、前記ノズル本体4の剛性を十分に確保することができる。従って、前記ノズル本体4に必要な剛性を確保した状態で、前記ノズル本体4の重量の増加を抑えることができる。
【0013】
次に、本実施形態の作用について説明する。前記縦型電気掃除機2は、不使用時には、床F上に立てて置かれる。この際、前記ノズル1は床Fに置かれ、また、前記掃除機本体3は立てられる。この状態において、前記ノズル1は、その一対の前輪6と一対の後輪7とが床Fに接する。即ち、前記縦型電気掃除機2は、前記ノズル1の前輪6と後輪7が床Fに接する点を結んだ領域上に前記掃除機本体3の重心が位置すれば、立てて置くことができる。そして、前記ノズル本体4の通気部9が前後方向に長ければ、前記前輪6と後輪7との距離が長くなることで、前記前輪6と後輪7が床Fに接する点を結んだ領域の面積が大きくなるので、前記縦型電気掃除機2を安定して立てて置くことができる。なお、前記ノズル本体4は、その通気部9が前後に長いものの、前記吸込口部8の側部近傍の後部と、前記通気部9の後部近傍の側部とを接続するように、梁状の前記補強部10を設けたことで、捻れに対する強度が確保される。従って、立てた状態の前記縦型電気掃除機2の掃除機本体3に触れることで前記ノズル1に力が加わったとしても、前記ノズル本体4の捻れが抑えられるので、前記縦型電気掃除機2を転倒し難くすることができる。
【0014】
前記縦型掃除機2によって床Fを清掃する場合、使用者は、前記掃除機本体3の図示しない把持部を把持し、前記ノズル1を、前記前輪6及び後輪7の転がり方向、即ち前後方向に往復するように床F上を移動させる。この際、床F上に障害物があると、清掃中に前記ノズル1を障害物に衝突させてしまう虞がある。特に、本実施形態のような、前記縦型電気掃除機2の場合、動かされる質量が大きいため、衝突時に前記ノズル1が受ける衝撃が大きくなる傾向にある。しかしながら、前述したように、前記吸込口部8の側部近傍の後部と、前記通気部9の後部近傍の側部とを接続するように、梁状の前記補強部10を設けたことで、前記吸込口部8及び通気部9を従来の縦型電気掃除機で用いられるノズルに比べて細くしたとしても、前記ノズル本体4の剛性が十分確保されるので、前記ノズル1を床F上の障害物に衝突させた際に前記ノズル1を破損し難くすることができる。また、前記補強部10を梁状としたことで、前記補強部10が衝撃によって撓むので、衝突時の衝撃を吸収して前記ノズルを破損し難くすることができる。特に、前記ノズル1を後方に引くことで、前記補強部10を障害物に衝突させた場合、前記補強部10が、図1に示すように、前記吸込口部8の右又は左の端部近傍と前記通気部9の後部近傍を接続するように、傾斜させて設けられることで、衝突時の衝撃を斜めに逃がすことができる。これによって、前記ノズル1をより破損させにくくすることができる。
【0015】
また、前記補強部10を梁状としたことで、前記ノズル1の重量の増加を最小限に抑えることができる。更に、前記補強部10を、前記吸込口部8の右又は左の端部近傍と前記通気部9の後部近傍を接続するように、傾斜させて設けたことで、障害物を前記ノズル1の吸込口部8に引っ掛けにくくすることもできる。これらの要因によって、前記ノズル1を用いた縦型電気掃除機2の、清掃時における取扱性を向上させることができる。なお、これらの効果は、縦型電気掃除機2に限らず、他の形式の電気掃除機であっても奏することができる。
【0016】
以上のように、本発明は、横長に形成された吸込口部8と、前後方向に通気路12が形成された通気部9とによって略T字状に形成されたノズル本体4を有する縦型電気掃除機2のノズル1において、前記ノズル本体4の左右に、前記吸込口部8の側部近傍と前記通気部9の後部近傍とを接続するように、一対の梁状の補強部10を形成したことで、前記吸込口部8と通気部9を細く形成しても、梁状の補強部10によって剛性を確保することができるので、前記ノズル1を縦型電気掃除機2に使用した場合、この縦型電気掃除機2を転倒し難くすることができるばかりでなく、電気掃除機の形式に拘わらず、前記ノズル1を障害物に衝突させたとしても、破損し難くすることができるものである。
【0017】
また、本発明は、前記各補強部10を、これらの補強部10同士の左右方向の距離が、前端部よりも後端部において狭くなるように、傾斜させて設けたことで、前記ノズル1を後方に引いた際に、前記吸込口部8を障害物に引っ掛けにくくすることができるばかりでなく、後方からの衝突時の衝撃を斜めに逃がし、前記ノズル1を破損し難くすることができるものである。
【0018】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、補強部に第二補強部を設けたが、剛性を十分確保できるのであれば、第二補強部は必ずしも設けなくても良い。逆に、補強部を細く形成し、第二補強部を複数も受けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のノズルは、縦型電気掃除機において最大の効果を発揮する。しかしながら、ノズル自体は電気掃除機の部品であるので、あらゆる形式の電気掃除機に採用することが可能である。縦型電気掃除機以外の形式の電気掃除機に、本発明のノズルを採用した場合、転倒し難いという効果は発揮できないものの、軽量な構造でありながら剛性を確保できる、取扱性を向上させることができる、及び吸込口部を障害物に引っ掛けにくいという効果は発揮することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 ノズル
4 ノズル本体
8 吸込口部
9 通気部
10 補強部
12 通気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長に形成された吸込口部と、前後方向に通気路が形成された通気部とによって略T字状に形成されたノズル本体を有する電気掃除機のノズルにおいて、
前記ノズル本体の左右に、前記吸込口部の側部近傍と前記通気部の後部近傍とを接続するように、一対の梁状の補強部を形成したことを特徴とする電気掃除機のノズル。
【請求項2】
前記各補強部を、これらの補強部同士の左右方向の距離が、前端部よりも後端部において狭くなるように、傾斜させて設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機のノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−397(P2012−397A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141059(P2010−141059)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】