説明

電気掃除機の防音材

【課題】電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいして、十分な防音効果を有すると共に、複雑な構造にて異なる材質の防音材を、別途、使用する必要が無く、形状が簡易で、かつ組付けが極めて容易な電気掃除機の防音材を提供する。
【解決手段】被清掃面に付着した塵埃等を吸引する為の電気掃除機に装着して形成されてある防音材において、前記防音材は所定形状の三次元繊維構造体、及び所定形状の軟質樹脂体あるいは軟質ゴム体が接合層を有して重ね合わされることにより形成されてあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃面に付着した塵埃等を吸引する為の電気掃除機に配設して形成されてある防音材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の被清掃面に付着した塵埃等を吸引する為の電気掃除機の防音対策に関しては、さまざまな改良がなされ、例えば、モーター部とファン部よりなる電動送風機を内蔵する本体下と、前記本体下の上方開口部の少なくとも一部を覆う本体上と、前記電動送風機の下方を覆うカバー体と、前記本体上に設けられ前記カバー体の上方開口部分を閉鎖する仕切壁を備え、前記仕切壁もしくは前記カバー体の少なくとも一方に排気が排出される排気口を設けた電気掃除機において、前記電動送風機のモーター部とファン部の一部の外周を覆うウレタン等の材質で形成した略円筒状の防音材を設け、前記電動送風機の前部を防振、保持する発泡ゴム材等で形成した前方防振体と前記カバー体の前方開口部の周縁との間で前記防音材の一部を挟み前記カバー体の前方開口部を閉鎖した電気掃除機が、電気掃除機として、特開2001−120471号公報に、開示されてある。
【0003】
また、例えば、略円筒状の胴体部を有した電動機、この電動機の駆動により回転されるファン及びこのファンを覆い前記電動機の胴体部より径大で前記電動機に取り付けられるファンカバーを備えた電動送風機と、前記電動機の胴体部を嵌合する略円形の嵌合孔を有しこの嵌合孔の全周縁から放射状に複数の切込が設けられて前記嵌合孔を非円形状に変形可能で前記胴体部に取り付けられて前記ファンカバーの外周縁及び胴体部の外周面間を閉塞する遮音板とを具備したことを特徴とする電気掃除機が、電気掃除機として、特開2001−61722号公報に、開示されてある。
【0004】
従来の電気掃除機の防音対策に関しては、上記の如くの改良がされてあるが、特開2001−120471号公報に開示されてある技術においては、ウレタン等の材質で形成した略円筒状の防音材、及び発泡ゴム材等で形成した前方防振体により、所定の吸音効果は有しているが、電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいしては、不十分であるという課題を有している。また、ウレタン等、及び発泡ゴム材等という異なる材質の防音材を、複雑な構造にて使用しているという課題も有している。また、特開2001−61722号公報に開示されてある技術においては、使用されてある遮音板の形状が複雑であると共に、電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいしては、不十分であるという課題を有している。
【0005】
【特許文献1】 特開2001−120471号公報
【特許文献2】 特開2001−61722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決する為になされたもので、電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいして、十分な防音効果を有すると共に、複雑な構造にて異なる材質の防音材を、別途、使用する必要が無く、形状が簡易で、かつ組付けが極めて容易な電気掃除機の防音材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる電気掃除機の防音材は、次のように構成したものである。
(1)被清掃面に付着した塵埃等を吸引する為の電気掃除機に装着して形成されてある防音材において、前記防音材は所定形状の三次元繊維構造体、及び所定形状の軟質樹脂体あるいは軟質ゴム体が接合層を有して重ね合わされることにより形成されてあるものである。
【0008】
(2)上記(1)記載の電気掃除機の防音材において、前記三次元繊維構造体は直方体あるいは立方体形状のフェルトにて形成されてあると共に、前記軟質樹脂体あるいは軟質ゴム体は、平板形状の塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、発泡樹脂材、合成樹脂発泡体、軟質ゴム材のいずれかの材質にて形成されてあるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気掃除機の防音材は、次に示すような効果を得ることができる。なお、説明にあたっては、請求項の番号と同じ番号を付して説明する。
【0010】
(1)モーターにて発生した音にたいして、防音材に使用されてある軟質樹脂体は、軟質である為、硬質樹脂体の如く、共振をする事が無く、発生した音を遮断する事ができる。また、軟質樹脂体は、樹脂体である為、比重が高く、共振を防止する事ができる。また、三次元繊維構造体は、繊維の集合体である為、繊維自体が共振する事により、発生した音を相殺する事ができる。また、三次元繊維構造体は、三次元の構造体である為、繊維間の空間で、発生した音を分散させる事ができる。
【0011】
また、電気掃除機の防音材は、所定形状の軟質樹脂体、所定形状の三次元繊維構造体、及び接合層より形成されてあり、軟質樹脂体、及び三次元繊維構造体が、接合層を有して重ね合わされることにより形成されてある。その為、防音材は、モーターにて発生した音にたいして、軟質樹脂体が有する、共振を防止すると共に、発生した音を遮断する事ができるという遮音効果を有する事ができると共に、三次元繊維構造体が有する、発生した音を相殺すると共に、分散させる事ができるという吸音効果を有する事ができる。その為、防音材は、発生した音にたいして、遮音効果、及び吸音効果を有する事ができると共に、遮音効果、及び吸音効果による相乗効果を有する事ができ、電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいして、十分な防音効果を有する事ができる。
【0012】
また、電気掃除機の防音材は、所定形状の軟質樹脂体、所定形状の三次元繊維構造体、及び接合層より形成されてあり、軟質樹脂体、及び三次元繊維構造体が、接合層を有して重ね合わされることにより形成されてある為、異なる材質の防音材を、別途、使用する必要が無い。また、電気掃除機の防音材は、形状を簡易にする事ができる為、組付けを極めて容易にする事ができる。また、電気掃除機の防音材は、所定形状の三次元繊維構造体を有している為、例えば、防音材を配設する箇所の隙間の形状が複雑な場合であっても、三次元繊維構造体を、隙間の形状に沿わせるように変形させて配設する事が容易にできる。さらにまた、防音材に使用されてある軟質樹脂体、三次元繊維構造体、及び接合層に、難燃規格合格品等の難燃材質を使用した場合においては、モーターから発生した熱にたいしても、防音材は、発熱する事が無く、火災等が発生する事が無い。
【0013】
(2)防音材を、モーターの外周部に配設した場合においては、モーターにて発生した音にたいして、防音材に使用されてある軟質樹脂体は、軟質である為、硬質樹脂体の如く、共振をする事が無く、発生した音を遮断する事ができる。また、軟質樹脂体は、樹脂体である為、比重が高く、共振を防止する事ができる。また、軟質樹脂体は、塩化ビニル樹脂が使用されてある為、形状を容易に、かつ安価に製造できる。また、三次元繊維構造体は、繊維の集合体である為、繊維自体が共振する事により、発生した音を相殺する事ができる。また、三次元繊維構造体は、三次元の構造体である為、繊維間の空間で、発生した音を分散させる事ができる。また、三次元繊維構造体は、フェルトの一種である、粗毛繊維材からなる不織布が使用されてある為、形状を迅速に、かつ安価に製造できる。
【0014】
また、電気掃除機の防音材は、平板形状の軟質樹脂体、直方体形状の三次元繊維構造体、及び接合層より形成されてあり、軟質樹脂体、及び三次元繊維構造体が、接合層を有して重ね合わされることにより形成されてある。その為、防音材は、モーターの外周部に配設した場合においては、モーターにて発生した音にたいして、軟質樹脂体が有する、共振を防止すると共に、発生した音を遮断する事ができるという遮音効果を有する事ができると共に、三次元繊維構造体が有する、発生した音を相殺すると共に、分散させる事ができるという吸音効果を有する事ができる。その為、防音材は、発生した音にたいして、遮音効果、及び吸音効果を有する事ができると共に、遮音効果、及び吸音効果による相乗効果を有する事ができ、電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいして、十分な防音効果を有する事ができる。
【0015】
また、電気掃除機の防音材は、平板形状の軟質樹脂体、直方体形状の三次元繊維構造体、及び接合層より形成されてあり、軟質樹脂体、及び三次元繊維構造体が、接合層を有して重ね合わされることにより形成されてある為、異なる材質の防音材を、別途、使用する必要が無い。また、電気掃除機の防音材は、形状を簡易にする事ができる為、組付けを極めて容易にする事ができる。また、電気掃除機の防音材は、直方体形状の三次元繊維構造体を有している為、例えば、防音材を配設する箇所の隙間の形状が複雑な場合であっても、三次元繊維構造体を、隙間の形状に沿わせるように変形させて配設する事が容易にできる。さらにまた、防音材に使用されてある軟質樹脂体、三次元繊維構造体、及び接合層に、難燃規格合格品等の難燃材質を使用した場合においては、モーターから発生した熱にたいしても、防音材は、発熱する事が無く、火災等が発生する事が無い。
【0016】
また、防音材を、床ノズルのケースの内面部にたいして配設した場合においては、防音材は、回転ブラシにて発生した回転音、及びケースにて発生した吸引音にたいして、前記に記載の如く、モーターの外周部に配設した場合と同様の効果を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいして、十分な防音効果を有すると共に、複雑な構造にて異なる材質の防音材を、別途、使用する必要が無く、形状が簡易で、かつ組付けが極めて容易な電気掃除機の防音材を提供するという目的を、被清掃面に付着した塵埃等を吸引する為の電気掃除機に装着して形成されてある防音材において、前記防音材は、所定形状の三次元繊維構造体、及び所定形状の軟質樹脂体あるいは軟質ゴム体が接合層を有して重ね合わされることにより形成されてある構成において実現した。
【実施例1】
【0018】
図1から図3にて実施例1を示す。図1は、本発明の電気掃除機の防音材を前面側から見た斜視図である。図1において、1は防音材、2は軟質樹脂体、3は三次元繊維構造体、4は接合層である。図2は、図1の防音材を使用した電気掃除機の外観図である。図2において、51は電気掃除機、52は床ノズル、53は延長管、54は取っ手、55はホース、56は本体フレーム、57はホイールである。図3は、図1の防音材を使用した電気掃除機を構成する本体フレームの断面図である。図3において、58は集塵フィルター、59はフィルター、60はモーター、81は排気フィルターである。
【0019】
電気掃除機の防音材1は、図1の如く、所定形状の軟質樹脂体2、所定形状の三次元繊維構造体3、及び接合層4より形成されてあり、軟質樹脂体2、及び三次元繊維構造体3が、接合層4を有して重ね合わされることにより形成されてある。軟質樹脂体2の材質については、各種軟質樹脂、各種軟質発泡樹脂材、各種軟質合成樹脂発泡体等、軟質樹脂体であれば、使用目的に応じて、適時、設定できる。また、二次元繊維構造体3の材質については、各種フェルト、ウレタンフォーム等の各種合成樹脂発泡体、グラスウール素材等、三次元構造体であれば、使用目的に応じて、適時、設定できる。また、接合層4は、軟質樹脂体2、及び三次元繊維構造体3の間に形成されてある。接合層4の材質は、軟質樹脂体2、及び三次元繊維構造体3を重ね合わせて形成させることが可能な材質であるならば、何ら限定されることは無い。また、接合する方法についても、軟質樹脂体2、及び三次元繊維構造体3を重ね合わせて形成させることが可能な方法であるならば、何ら限定されることは無く、例えば、接着、溶着、融着、圧着、縫製等、使用目的に応じて、適時、設定できる。また、使用する軟質樹脂体2、三次元繊維構造体3、及び接合層4の詳細形状についても、例えば、シート状の軟質樹脂体2を使用することができる。また、三次元繊維構造体3の繊維間の空間を、電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいして十分なレベルになるように、適時、設定できる。さらにまた、防音材1に使用されてある軟質樹脂体2、三次元繊維構造体3、及び接合層4は、例えば、難燃規格合格品等の難燃材質を、使用する事ができる。
【0020】
次に、防音材1に使用されてある軟質樹脂体2、及び三次元繊維構造体3の有する防音の原理について説明する。従来、音の発生に関しては、空気伝搬音、及び固体振動音の2種類がある。空気伝搬音とは、空気中を通して伝達される音であり、固体振動音とは、固体を通じて共振効果により伝達される音である。軟質樹脂体2は、軟質である為、硬質樹脂体の如く、共振をする事が無く、発生した音が遮断される。また、軟質樹脂体2は、樹脂体である為、比重が高く、共振が防止される。また、三次元繊維構造体3は、繊維の集合体である為、繊維自体が共振する事により、発生した音が相殺される。また、三次元繊維構造体3は、三次元の構造体である為、繊維間の空間で、発生した音が分散される。
【0021】
次に、図2及び図3により、本発明の電気掃除機の防音材1を、電気掃除機に使用した形態を説明する。電気掃除機51は、図2の如く、床ノズル52、延長管53、取っ手54、ホース55、本体フレーム56、及びホイール57より構成されてある。本体フレーム56の内部には、図3の如く、集塵フィルター58、フィルター59、モーター60、及び排気フィルター81が配設されてあり、モーター60の外周部にたいして、三次元繊維構造体3を当接させるように、防音材1が配設されてある。
【0022】
実施例1の電気掃除機の防音材1は、上記の如くの構成となっているので、モーター60にて発生した音にたいして、防音材1に使用されてある軟質樹脂体2は、軟質である為、硬質樹脂体の如く、共振をする事が無く、発生した音を遮断する事ができる。また、軟質樹脂体2は、樹脂体である為、比重が高く、共振を防止する事ができる。また、三次元繊維構造体3は、繊維の集合体である為、繊維自体が共振する事により、発生した音を相殺する事ができる。また、三次元繊維構造体3は、三次元の構造体である為、繊維間の空間で、発生した音を分散させる事ができる。
【0023】
また、電気掃除機の防音材1は、所定形状の軟質樹脂体2、所定形状の三次元繊維構造体3、及び接合層4より形成されてあり、軟質樹脂体2、及び三次元繊維構造体3が、接合層4を有して重ね合わされることにより形成されてある。その為、防音材1は、モーター60にて発生した音にたいして、軟質樹脂体2が有する、共振を防止すると共に、発生した音を遮断する事ができるという遮音効果を有する事ができると共に、三次元繊維構造体3が有する、発生した音を相殺すると共に、分散させる事ができるという吸音効果を有する事ができる。その為、防音材1は、発生した音にたいして、遮音効果、及び吸音効果を有する事ができると共に、遮音効果、及び吸音効果による相乗効果を有する事ができ、電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいして、十分な防音効果を有する事ができる。
【0024】
また、電気掃除機の防音材1は、所定形状の軟質樹脂体2、所定形状の三次元繊維構造体3、及び接合層4より形成されてあり、軟質樹脂体2、及び三次元繊維構造体3が、接合層4を有して重ね合わされることにより形成されてある為、異なる材質の防音材を、別途、使用する必要が無い。また、電気掃除機の防音材1は、形状を簡易にする事ができる為、組付けを極めて容易にする事ができる。また、電気掃除機の防音材1は、所定形状の三次元繊維構造体3を有している為、例えば、防音材1を配設する箇所の隙間の形状が複雑な場合であっても、三次元繊維構造体3を、隙間の形状に沿わせるように変形させて配設する事が容易にできる。さらにまた、防音材1に使用されてある軟質樹脂体2、三次元繊維構造体3、及び接合層4に、難燃規格合格品等の難燃材質を使用した場合においては、モーター60から発生した熱にたいしても、防音材1は、発熱する事が無く、火災等が発生する事が無い。
【0025】
実施例1の電気掃除機の防音材1は、上記の如くの構成となっているが、使用目的に応じて、軟質樹脂体2の替わりに、軟質ゴム体を使用することもできる。また、防音材1を配設する箇所については、前記の如く、モーター60の外周部以外にも、例えば、床ノズル52、延長管53、取っ手54、ホース55、本体フレーム56、ホイール57、集麈フィルター58、フィルター59、排気フィルター81の内部あるいは外部、モーター60の内部等、電気掃除機51の内外部を問わず、防音対策として求められている防音レベルにたいして、十分な防音効果を有する事ができる箇所であるならば、適時、設定できる。また、防音材1を配設する方法についても、図3に記載の如く、モーター60の外周部にたいして三次元繊維構造体3を当接させる方法以外にも、例えば、モーター60の外周部にたいして、軟質樹脂体2を当接させる方法を採用する事もできる。また、本体フレーム56の内面部にたいして、軟質樹脂体2、あるいは三次元繊維構造体3を当接させる方法を採用する等、適時、設定できる。
【実施例2】
【0026】
図4から図6にて実施例2を示す。図4は、本発明の電気掃除機の防音材を前面側から見た斜視図である。図4において、11は防音材、12は軟質樹脂体、13は三次元繊維構造体、14は接合層である。図5は、図4の防音材を使用した他の電気掃除機を構成する本体フレームの断面図である。図5において、66は本体フレーム、68は集塵フィルター、69はフィルター、70はモーター、91は排気フィルターである。図6は、図4の防音材を使用した他の電気掃除機を構成する床ノズルの断面図である。図6において、52は床ノズル、75はケース、76は回転ブラシである。
【0027】
電気掃除機の防音材11は、図4の如く、平板形状の軟質樹脂体12、直方体形状の三次元繊維構造体13、及び接合層14より形成されてあり、軟質樹脂体12、及び三次元繊維構造体13が、接合層14を有して重ね合わされることにより形成されてある。軟質樹脂体12の材質には、塩化ビニル樹脂が使用されてある。また、三次元繊維構造体13の材質には、フェルトの一種である、粗毛繊維材からなる不織布が使用されてある。
【0028】
次に、図5及び図6により、本発明の電気掃除機の防音材11を、他の電気掃除機に使用した形態を説明する。防音材11は、図5の如く、モーター70の外周部にたいして、三次元繊維構造体13が当接するように、配設されてある。また、図6においては、防音材11は、床ノズル52のケース75の内面部にたいして、軟質樹脂体12が当接するように、配設されてある。
【0029】
実施例2の電気掃除機の防音材11は、上記の如くの構成となっているので、防音材11を、モーター70の外周部に配設した場合においては、モーター70にて発生した音にたいして、防音材11に使用されてある軟質樹脂体12は、軟質である為、硬質樹脂体の如く、共振をする事が無く、発生した音を遮断する事ができる。また、軟質樹脂体12は、樹脂体である為、比重が高く、共振を防止する事ができる。また、軟質樹脂体12は、塩化ビニル樹脂が使用されてある為、形状を容易に、かつ安価に製造できる。また、三次元繊維構造体13は、繊維の集合体である為、繊維自体が共振する事により、発生した音を相殺する事ができる。また、三次元繊維構造体13は、三次元の構造体である為、繊維間の空間で、発生した音を分散させる事ができる。また、三次元繊維構造体13は、フェルトの一種である、粗毛繊維材からなる不織布が使用されてある為、形状を迅速に、かつ安価に製造できる。
【0030】
また、電気掃除機の防音材11は、平板形状の軟質樹脂体12、直方体形状の三次元繊維構造体13、及び接合層14より形成されてあり、軟質樹脂体12、及び三次元繊維構造体13が、接合層14を有して重ね合わされることにより形成されてある。その為、防音材11は、モーター70の外周部に配設した場合においては、モーター70にて発生した音にたいして、軟質樹脂体12が有する、共振を防止すると共に、発生した音を遮断する事ができるという遮音効果を有する事ができると共に、三次元繊維構造体13が有する、発生した音を相殺すると共に、分散させる事ができるという吸音効果を有する事ができる。その為、防音材11は、発生した音にたいして、遮音効果、及び吸音効果を有する事ができると共に、遮音効果、及び吸音効果による相乗効果を有する事ができ、電気掃除機の防音対策として求められている防音レベルにたいして、十分な防音効果を、有する事ができる。
【0031】
また、電気掃除機の防音材11は、平板形状の軟質樹脂体12、直方体形状の三次元繊維構造体13、及び接合層14より形成されてあり、軟質樹脂体12、及び三次元繊維構造体13が、接合層14を有して重ね合わされることにより形成されてある為、異なる材質の防音材を、別途、使用する必要が無い。また、電気掃除機の防音材11は、形状を簡易にする事ができる為、組付けを極めて容易にする事ができる。また、電気掃除機の防音材11は、直方体形状の三次元繊維構造体13を有している為、例えば、防音材11を配設する箇所の隙間の形状が複雑な場合であっても、三次元繊維構造体13を、隙間の形状に沿わせるように変形させて配設する事が容易にできる。さらにまた、防音材11に使用されてある軟質樹脂体12、三次元繊維構造体13、及び接合層14に、難燃規格合格品等の難燃材質を使用した場合においては、モーター70から発生した熱にたいしても、防音材11は、発熱する事が無く、火災等が発生する事が無い。
【0032】
また、防音材11を、床ノズル52のケース75の内面部にたいして配設した場合においては、防音材11は、回転ブラシ76にて発生した回転音、及びケース75にて発生した吸引音にたいして、前記に記載の如く、モーター70の外周部に配設した場合と同様の効果を発揮できる。
【0033】
実施例2の電気掃除機の防音材11は、上記の如くの構成となっているが、軟質樹脂体12の材質については、塩化ビニル樹脂以外にも、エチレン・ビニル・アセテート樹脂、エチレン・エチル・アクリレート樹脂、エチレン・メチル・アクリレート樹脂、エチレン・ブチル・アクリレート樹脂に代表されるポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等からなるポリオレフィン樹脂を、使用目的に応じて、適時、設定できる。また、軟質ゴム材、発泡樹脂材、合成樹脂発泡体のいずれかの材質を、使用目的に応じて、適時、設定できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の電気掃除機の防音材は、被清掃面に付着した塵埃等を吸引する為の電気掃除機に配設して使用される防音材に関するものである。具体的には、電気掃除機の構成部品である床ノズル、延長管、取っ手、ホース、本体フレーム、ホイール、集塵フィルター、フィルター、モーター、排気フィルター等の内部あるいは外部等、電気掃除機の内外部を問わず、好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】 本発明の電気掃除機の防音材を前面側から見た斜視図である。
【図2】 図1の防音材を使用した電気掃除機の外観図である。
【図3】 図1の防音材を使用した電気掃除機を構成する本体フレームの断面図である。
【図4】 本発明の電気掃除機の防音材を前面側から見た斜視図である。
【図5】 図4の防音材を使用した他の電気掃除機を構成する本体フレームの断面図である。
【図6】 図4の防音材を使用した他の電気掃除機を構成する床ノズルの断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1、11 防音材 2、12 軟質樹脂体 3、13 三次元繊維構造体
4、14 接合層 51 電気掃除機 52 床ノズル 53 延長管 54 取っ手
55 ホース 56、66 本体フレーム 57 ホイール 58 集塵フィルター
59 フィルター 60 モーター 75 ケース 76 回転ブラシ
81、91 排気フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃面に付着した塵埃等を吸引する為の電気掃除機に装着して形成されてある防音材において、前記防音材は所定形状の三次元繊維構造体、及び所定形状の軟質樹脂体あるいは軟質ゴム体が接合層を有して重ね合わされることにより形成されてあることを特徴とする電気掃除機の防音材。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる電気掃除機の防音材において、前記三次元繊維構造体は直方体あるいは立方体形状のフェルトにて形成されてあると共に、前記軟質樹脂体あるいは前記軟質ゴム体は平板形状の塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、発泡樹脂材、合成樹脂発泡体、軟質ゴム材のいずれかの材質にて形成されてあることを特徴とする電気掃除機の防音材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−20998(P2006−20998A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227359(P2004−227359)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】