説明

電気掃除機用アタッチメント、吸込口体および電気掃除機

【課題】複数の電動送風機のうちいずれかの電動送風機を駆動させる場合に吸込仕事率を損失することのない電気掃除機を提案する。
【解決手段】アタッチメント28は、両端に開口を有する筒状の連結管部31と、一方の開口の外周縁部を、それぞれ略半周ずつ分担して囲む一対のブラシ35と、連結管部31の一方の端部に傾動自在に枢支され、ブラシ35の一方である第一ブラシ36が植設された第一枠体33と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口の外周縁部にブラシを備えた電気掃除機用アタッチメント、この電気掃除機用アタッチメントを備えた吸込口体および電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機用アタッチメントは、吸込口を有する接続管と、接続管に傾動自在に枢支された環状の枠体と、吸込口の外周縁部を囲むように枠体に植設されたブラシと、を備える。また、枠体およびブラシは、吸込口の外周縁部をコ字状に囲むものもある。これらの枠体およびブラシは、被掃除面に押し当てられることで能動的に傾動され、ブラシの毛先の全てが略一様に被掃除面を掃くように姿勢が調整される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−329009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電気掃除機用アタッチメントは、吸込口の周囲がブラシで囲まれている。このような電気掃除機用アタッチメントで平坦な被掃除面を掃くと、ブラシが掻き上げた塵埃が吸込口に円滑に吸い込まれない場合があった。例えば、従来の電気掃除機用アタッチメントは、平坦な被掃除面にブラシを押し当てると、枠体およびブラシが適宜に傾動し、ブラシの毛先の全てが略一様に被掃除面に当接される。この状態で従来の電気掃除機用アタッチメントを移動させると、ブラシに掃かれた塵埃が吸込口側に円滑に移動せず、吸込口から遠ざかる方向へ掃き出されてしまうことがあった。
【0005】
一方、吸込口の周囲の一部がブラシで囲まれた従来の電気掃除機用アタッチメント、例えば吸込口の周囲がブラシでコ字状に囲まれた従来の電気掃除機用アタッチメントは、ブラシが掻き上げた塵埃を吸込口の前方(吸込口に吸い込まれる空気流の反対方向)に掃き集めるには好都合であるが、吸込口周囲の流路断面積が大きく、吸い込まれる空気の流速が下がってしまうため、掃き集めた塵埃を吸い込む力が劣ってしまう。
【0006】
すなわち、ブラシの毛先の全てが略一様に被掃除面を掃くような能動的な姿勢調整が行われる枠体およびブラシを備えた従来の電気掃除機用アタッチメントは、被掃除面における塵埃の掃き集め易さと、掃き集めた塵埃を吸い込む力とを両立させることが困難であった。
【0007】
本発明は、被掃除面における塵埃の掃き集め易さと、掃き集めた塵埃を吸い込む力とを両立可能な電気掃除機用アタッチメント、吸込口体および電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明に係る電気掃除機用アタッチメントは、両端に開口を有する筒状の連結管部と、一方の前記開口の外周縁部を、それぞれ略半周ずつ分担して囲む一対のブラシと、前記連結管部の一方の端部に傾動自在に枢支され、前記ブラシの一方が植設された枠体と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る吸込口体は、吸込口を有する本体部と、前記本体部に設けられた接続管部と、前記接続管部に嵌脱自在に嵌め込まれた前記電気掃除機用アタッチメントと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る電気掃除機は、掃除機本体と、前記掃除機本体に連通された集塵ホースと、前記集塵ホースに連通された延長管と、前記延長管の端部に嵌脱自在に嵌め込まれた前記電気掃除機用アタッチメントと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被掃除面における塵埃の掃き集め易さと、掃き集めた塵埃を吸い込む力とを両立可能な電気掃除機用アタッチメント、吸込口体および電気掃除機を提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示した図。
【図2】本発明の実施形態に係る電気掃除機の要部を示した斜視図。
【図3】本発明の実施形態に係るアタッチメントおよび吸込口体を示した斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係るアタッチメントを示した長手軸方向の断面図。
【図5】本発明の実施形態に係るアタッチメントの吸込口体側の端部を示した部分的な断面図。
【図6】本発明の実施形態に係るアタッチメントの第一枠体および第二枠体を示した斜視図。
【図7】本発明の実施形態に係るアタッチメントを示した斜視図。
【図8】本発明の実施形態に係るアタッチメントを示した長手軸方向の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る電気掃除機用アタッチメント、吸込口体および電気掃除機の実施形態について図1から図8を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示した図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、掃除機本体2と、集塵ホース3と、手元操作管4と、把持部5と、操作部6と、延長管7と、吸込口体8と、を備える。
【0016】
掃除機本体2は、接続口2aおよび排気口(図示省略)を有するケース体11と、ケース体11に収容された電動送風機12と、電動送風機12の駆動によって負圧が作用する集塵室13に着脱自在に装着された塵埃分離集塵部14と、電動送風機12の駆動を制御する制御部15と、電動送風機12に電力を供給する電源コード16と、を備える。ケース体11は、下ケース19と、下ケース19を覆う上ケース20と、上ケース20に回動自在に設けられた蓋ケース21と、を備える。塵埃分離集塵部14は、集塵袋(いわゆる紙パック)方式や、遠心分離方式などの集塵方式で構成される。制御部15は、予め設定された複数の運転モードを有し、操作部6から入力される操作信号に基づいて任意の運転モードを択一的に選択可能に構成される。それぞれの運転モードは、電動送風機12に供給される電力を互いに異ならせて設定される。制御部15は、選択された運転モードに対応する電力を電動送風機12に供給し、電動送風機12の運転出力を制御する。電源コード16の自由端部には、電源プラグ23が形成される。
【0017】
集塵ホース3は、可撓性を有し、湾曲自在な細長略円筒状に形成される。集塵ホース3の一端は、接続口2aに着脱自在に接続される。集塵ホース3は、掃除機本体2の内部に連通される。
【0018】
手元操作管4の一端は、集塵ホース3の他端に設けられる。手元操作管4は、集塵ホース3を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0019】
把持部5は、電気掃除機1のユーザが把持して電気掃除機1を操作するものである。把持部5は、手元操作管4の他端部に突設され、集塵ホース3が設けられた手元操作管4の一端部に向けて湾曲させて形成される。
【0020】
操作部6は、把持部5に設けられる。電気掃除機1のユーザは、操作部6を操作して電動送風機12の運転モードを選択できる。操作部6は、電動送風機12の運転を停止させる停止スイッチ25と、電動送風機12の運転を開始させる起動スイッチ26と、を有する。操作部6は、停止スイッチ25または起動スイッチ26の操作を検出すると、操作信号を制御部15に出力する。
【0021】
延長管7は、伸縮可能な細長略円筒状に形成される。延長管7は、複数の筒状体を重ね合わせてテレスコピック構造に構成される。延長管7の一端は、手元操作管4の他端に着脱自在に接続される。延長管7は、手元操作管4、および集塵ホース3を介して掃除機本体2の内部に連通される。延長管7は、その他端に着脱自在に接続されたアタッチメント28(電気掃除機用アタッチメント)を備える。
【0022】
吸込口体8は、延長管7の他端、さらに詳しくはアタッチメント28に着脱自在に接続される。吸込口体8は、延長管7、手元操作管4、および集塵ホース3を介して掃除機本体2の内部に連通される。吸込口体8は、吸込口(図示省略)を有する。吸込口体8が床面などの被掃除面に配置されると、吸込口は被掃除面に対向される。
【0023】
電気掃除機1は、操作部6の起動スイッチ26が操作されると、電動送風機12が運転を開始し、塵埃分離集塵部14に負圧が作用する。この負圧は掃除機本体2の接続口2aから集塵ホース3と手元操作管4と延長管7とを経て吸込口体8に作用する。そうすると、電気掃除機1は吸込口体8から床などの被掃除面に溜まった塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。吸込口体8に吸い込まれた含塵空気は、掃除機本体2に収容された塵埃分離集塵部14によって空気と塵埃とに分離される。分離された塵埃は塵埃分離集塵部14に集塵される。他方、分離された空気は、電動送風機12を通って排気口から掃除機本体2の外部へ吐出される。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の要部を示した斜視図である。
【0025】
図2に示すように、電気掃除機1のアタッチメント28は、延長管7に挿脱自在に挿着された連結管部31と、連結管部31の吸込口体8側の端部に設けられたケーシング32と、連結管部31の吸込口体8側の端部に傾動自在に枢支された第一枠体33および第二枠体34と、第一枠体33および第二枠体34に設けられた一対のブラシ35と、を備える。ブラシ35は、第一枠体33に設けられた第一ブラシ36と、第二枠体34に設けられた第二ブラシ37と、を備える。
【0026】
アタッチメント28は、延長管7に設けられた係止機構(図示省略)の係止解除ボタン39を押圧することによって延長管7の端部から取り外し可能に構成される。
【0027】
吸込口体8は、吸込口(図示省略)を有する吸込口本体40と、吸込口本体40に対して回転および傾斜自在な接続管部41と、を備える。接続管部41は、アタッチメント28に挿脱自在に挿着される。また吸込口体8は、接続管部41に設けられた係止機構(図示省略)の係止解除ボタン42を押圧することによってアタッチメント28の端部から取り外し可能に構成される。
【0028】
延長管7および吸込口体8の係止機構は、一方端部に係止解除ボタン39、42が形成されたアーム部(図示省略)と、アーム部の他方端部に形成された係止爪(図示省略)と、アーム部の適宜の位置に形成された揺動軸(図示省略)と、を備え、係止解除ボタン39、42の押圧によって係止爪を移動自在に構成されたものである。
【0029】
すなわち、アタッチメント28は、延長管7および吸込口体8のいずれにも着脱自在に接続することが可能である。また、アタッチメント28は、延長管7に代えて手元操作管4の他端に直接接続することも可能である。
【0030】
電気掃除機1は、延長管7から吸込口体8を取り外し、アタッチメント28を用いて塵埃を吸い込むことができる。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係るアタッチメントおよび吸込口体を示した斜視図である。
【0032】
図3に示すように、電気掃除機1のアタッチメント28は、吸込口体8を取り外すと、延長管7の自由端を構成する。この状態におけるアタッチメント28は、第一枠体33および第一ブラシ36と、第二枠体34および第二ブラシ37と、をそれぞれ独立に傾動させて被掃除面を掃くことができる。
【0033】
アタッチメント28のケーシング32は、接続管部41に一体的に設けられる。ケーシング32は、第一枠体33および第二枠体34の傾動角度を適宜の範囲に抑える。具体的には、ケーシング32は、電気掃除機1のユーザが把持部5を把持し、延長管7を適宜の角度で被掃除面に延在させた状態で、第二ブラシ37の毛先が略一様に被掃除面に当接するよう第二枠体34の傾動角度を抑制する。他方、ケーシング32は、延長管7から吸込口体8を着脱する際に、第一枠体33、第一ブラシ36、第二枠体34および第二ブラシ37が吸込口体8とアタッチメント28との挿脱の妨げとならないよう、第一ブラシ36および第二ブラシ37の毛足が延長管7の長手軸方向に沿うように第一枠体33の傾動角度を抑制する。
【0034】
なお、第二枠体34は、電気掃除機1のユーザが把持部5を把持し、延長管7を適宜の角度で被掃除面に延在させた状態で、第二ブラシ37の毛先が略一様に被掃除面に当接するような傾動角度に固定させても良い。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係るアタッチメントを示した長手軸方向の断面図である。
【0036】
図4に示すように、電気掃除機1のアタッチメント28は、両端に開口44、45を有する筒状の連結管部31と、一方の開口44の外周縁部をそれぞれ略半周ずつ分担して囲む一対のブラシ35と、ブラシ35の一方である第一ブラシ36が植設された第一枠体33(枠体)と、ブラシ35の他方である第二ブラシ37が植設された第二枠体34と、を備える。
【0037】
連結管部31は、開口45を有するとともに延長管7に挿脱自在な外径を有する延長管7側の端部31aと、開口44を有するとともに吸込口体8の接続管部41を挿脱自在な内径を有する吸込口体8側の端部31bと、を備える。開口44は、アタッチメント28の吸込口である。
【0038】
連結管部31の端部31aは、アタッチメント28を延長管7の係止機構に着脱自在に係止させる係止凹部47を有する。他方、連結管部31の端部31bは、少なくとも第一枠体33が枢支された一対の軸孔48を有する。一対の軸孔48は、連結管部31の管壁に向かい合わせて開口され、略同一の中心を有する。
【0039】
また、連結管部31の端部31bに一体的に設けられたケーシング32は、その内部に延長管7と吸込口体8とを電気的に接続させるコネクタ(図示省略)および給電線(図示省略)と、アタッチメント28を吸込口体8の係止機構に着脱自在に係止させる係止凹部49と、を備える。
【0040】
一対のブラシ35は、略直線状に延在された毛を複数束ねた毛束35aを第一枠体33および第二枠体34に複数並設させて構成される。また、一対のブラシ35は、第一枠体33および第二枠体34を適宜に傾動させ、毛束35aの伸びる方向を略平行に揃えた状態で、その毛先が略同一面(図4中、二点鎖線)に揃えられる。
【0041】
そして、第一枠体33に植設された第一ブラシ36は、第二枠体34に植設された第二ブラシ37よりも低い剛性を有するよう構成される。例えば、第一ブラシ36および第二ブラシ37は、同じ材質と略同じ線径とを有するとともに、第二ブラシ37よりも第一ブラシ36のほうが長い毛足を有するよう形成される。
【0042】
第一枠体33は、連結管部31の軸孔48に枢支された軸部51aを備える。
【0043】
第二枠体34は、その内側に曲面52aを有するガイド凹部52が形成される。ガイド凹部52は、第二枠体34を傾動させケーシング32に当接させたとき、曲面52aが連結管部31の開口44の縁部31cに略連続的に繋がるよう形成される。
【0044】
図5は、本発明の実施形態に係るアタッチメントの吸込口体側の端部を示した部分的な断面図である。
【0045】
図6は、本発明の実施形態に係るアタッチメントの第一枠体および第二枠体を示した斜視図である。
【0046】
図5および図6に示すように、アタッチメント28の第一枠体33および第二枠体34は、それぞれ略コ字状に形成され、それぞれの開放端を付き合わせると全体で環状となる枠本体33a、34aを備える。また、第一枠体33および第二枠体34は、それぞれの枠本体33a、34aの開放端部に、連結管部31に対して互いを独立させて傾動自在に軸支させるとともに、互いを相対的に傾動自在に枢支する一対のヒンジ機構51を備える。
【0047】
一対のヒンジ機構51は、同一線上に位置された傾動軸芯を有する。具体的には、ヒンジ機構51は、例えば、第一枠体33に設けられた軸部51aおよび軸部51bと、第二枠体34に設けられるとともに、軸孔51cを有するアーム部51dと、を備える。軸部51aは、連結管部31の軸孔48に第一枠体33を枢支させる。軸部51bは、軸部51aと略同一軸芯に配置される。アーム部51dは、軸孔51cに枢支された軸部51bによって、第一枠体33に第二枠体34を枢支させる。
【0048】
なお、連結管部31の軸孔48、第一枠体33の軸部51aおよび軸部51b、第二枠体34の軸孔51cは、連結管部31に対して第一枠体33および第二枠体34を互いに独立させて傾動自在に軸支させることが可能な範囲であれば、軸と孔との組み合わせを適宜に変更しても良い。また、第一枠体33および第二枠体34の双方を連結管部31に直接軸支させても良い。
【0049】
第二枠体34の枠本体34aは、第一枠体33の枠本体33aよりも厚く形成される。これにより、第二ブラシ37の根本がかさ上げされ、第二ブラシ37よりも第一ブラシ36のほうが長い毛足を有する。
【0050】
第一ブラシ36および第二ブラシ37は、それぞれコ字状に形成された枠本体33a、34aと、枠本体33a、34aの開放端に設けられたヒンジ機構51とによって、第一枠体33および第二枠体34の傾動軸芯から遠ざかるほど、傾動軸芯に平行な線上に並ぶ毛束35aが増え、ブラシ全体としての腰(弾力)が強くなる。換言すれば、第一ブラシ36および第二ブラシ37は、第一枠体33および第二枠体34の傾動軸芯から遠ざかるほど部分的な剛性が増す。
【0051】
次に、本実施形態に係る電気掃除機1の掃除動作を説明する。
【0052】
電気掃除機1のユーザは、先ず、掃除機本体2に集塵ホース3、延長管7、吸込口体8を適宜の順序で接続する。
【0053】
次に、掃除機本体2から電源コード16を引き出し、商用電源を供給するコンセント(図示省略)に電源プラグ23を接続する。
【0054】
次に、電気掃除機1のユーザは、把持部5を把持して起動スイッチ26を操作する。そうすると、起動スイッチ26で設定された動作モードに応じて電動送風機12が作動する。
【0055】
次いで、電気掃除機1のユーザは、把持部5を把持したまま手元操作管4および延長管7を前後に往復する。そうすると、吸込口体8は、被掃除面上を前後に往復走行する。このとき、電気掃除機1は、空気とともに被掃除面の塵埃を吸込口体8の吸込口に吸い込む。
【0056】
吸込口体8に吸い込まれた含塵空気は、延長管7、手元操作管4および集塵ホース3と順次に通過した後、掃除機本体2の内部に吸い込まれる。
【0057】
含塵空気に含まれた塵埃は、掃除機本体2に収容された塵埃分離集塵部14で捕集される。
【0058】
塵埃が分離された空気は、さらに電動送風機12を通過し、掃除機本体2の排気口から排気される。
【0059】
そして、吸込口体8を用いた掃除が困難な被掃除面、例えば、吸込口体8を侵入させることが困難な家具と家具との間の狭隘な隙間を掃除する場合、電気掃除機1のユーザは、延長管7から吸込口体8を取り外す。そうすると、アタッチメント28は、使用可能な状態となる(図3)。
【0060】
次に、電気掃除機1のユーザは、アタッチメント28の第一ブラシ36および第二ブラシ37の毛先を被掃除面に当接し、アタッチメント28を隙間に侵入させる。
【0061】
図7は、本発明の実施形態に係るアタッチメントを示した斜視図である。
【0062】
図8は、本発明の実施形態に係るアタッチメントを示した長手軸方向の断面図である。
【0063】
図7および図8に示すように、電気掃除機1のアタッチメント28は、電気掃除機1のユーザから把持部5、手元操作管4および延長管7を介して被掃除面Fに操作力fで押圧される。
【0064】
そうすると、当初は被掃除面に一様に押圧されていた第一ブラシ36および第二ブラシ37は、徐々に湾曲する。このとき、第二ブラシ37は、第一ブラシ36よりも毛足が短く剛性が高いため、操作力fをより積極的に分担する。また、第一ブラシ36は、ケーシング32による傾動角度の規制を受けておらず、分担する操作力fの反力で被掃除面Fから遠ざかる方向へと傾動される。さらに、第二ブラシ37は、第一枠体33および第二枠体34の傾動軸芯から遠ざかるほど部分的な剛性が高いので、傾動軸芯から遠ざかる部分ほど操作力fをより積極的に分担し、傾動軸芯に近い部分では操作力fによって大きく湾曲される。なお、図8中、第一ブラシ36および第二ブラシ37の毛束35aが湾曲される部分を一点鎖線で示す。
【0065】
このようにして、第一ブラシ36および第二ブラシ37は、第二ブラシ37によって操作力fを主に分担し、第二ブラシ37の剛性分布による変位量の差によって第一ブラシ36を被掃除面Fから引き起こす。
【0066】
この状態で、アタッチメント28を隙間に侵入させると、被掃除面F上の塵埃は、第一ブラシ36と被掃除面Fとの間に形成された隙間を通って連結管部31の開口44の下方に案内される。この塵埃は、開口44から吸い込まれ、または第二ブラシ37によって被掃除面Fから掃き取られて開口44から吸い込まれる。このとき、開口44の周囲は、第一ブラシ36と被掃除面Fとの間に形成された隙間を除いて略全周がブラシ35によって囲まれているので、開口44から吸い込まれる空気の流速の低下を十分に抑制できる。
【0067】
このとき、ガイド凹部52の曲面52aは、連結管部31の開口44の縁部31cに略連続的に繋がる。
【0068】
なお、アタッチメント28は、電気掃除機1のユーザが把持部5を把持し、延長管7を適宜の角度で被掃除面に延在させた状態で、第二ブラシ37の毛先が略一様に被掃除面に当接するような傾動角度に第二枠体34を固定させても、同様な作用、効果を奏することができる。
【0069】
本実施形態によれば、アタッチメント28のブラシ35の毛先を被掃除面Fに押し当てることで第一枠体33および第一ブラシ36と第二枠体34および第二ブラシ37とをそれぞれ独立に傾動させ、第二ブラシ37を被掃除面Fに確実に押し当てつつ、第一ブラシ36と被掃除面Fとの間に適宜の隙間を形成できる。これにより、アタッチメント28は、吸込口である開口44をブラシ35によって極力囲みつつ、かつ、第一ブラシ36と被掃除面Fとの間に形成された隙間によってアタッチメント28の進行方向に存する被掃除面F上の塵埃を円滑に案内できるとともに、第二ブラシ37によって被掃除面Fから確実に掃き掃き取ることができる。したがって、アタッチメント28は、ブラシ35に掃かれた塵埃が開口44から遠ざかる方向へ掃き出されてしまうことがない。
【0070】
また、本実施形態によれば、ブラシ35を被掃除面に当接させた状態において第一ブラシ36と被掃除面Fとの間に形成される隙間を、被掃除面F上の塵埃を開口44に円滑に案内可能な範囲で極力狭く構成することが容易であり、これによって開口44に吸い込まれる空気の流速を適宜に高めることができる。
【0071】
したがって、本発明の実施形態によれば、被掃除面Fにおける塵埃の掃き集め易さと、掃き集めた塵埃を吸い込む力とを両立できる。
【符号の説明】
【0072】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
2a 接続口
3 集塵ホース
4 手元操作管
5 把持部
6 操作部
7 延長管
8 吸込口体
11 ケース体
12 電動送風機
13 集塵室
14 塵埃分離集塵部
15 制御部
16 電源コード
19 下ケース
20 上ケース
21 蓋ケース
23 電源プラグ
25 停止スイッチ
26 起動スイッチ
28 アタッチメント
31 連結管部
31a、31b 端部
31c 縁部
32 ケーシング
33 第一枠体
33a 枠本体
34 第二枠体
34a 枠本体
35 ブラシ
35a 毛束
36 第一ブラシ
37 第二ブラシ
39 係止解除ボタン
40 吸込口本体
41 接続管部
42 係止解除ボタン
44 開口
45 開口
47 係止凹部
48 軸孔
49 係止凹部
51 ヒンジ機構
51a 軸部
51b 軸部
51c 軸孔
51d アーム部
52 ガイド凹部
52a 曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口を有する筒状の連結管部と、
一方の前記開口の外周縁部を、それぞれ略半周ずつ分担して囲む一対のブラシと、
前記連結管部の一方の端部に傾動自在に枢支され、前記ブラシの一方が植設された枠体と、を備えたことを特徴とする電気掃除機用アタッチメント。
【請求項2】
前記枠体に植設された前記ブラシの一方は、前記ブラシの他方よりも剛性が低いことを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機用アタッチメント。
【請求項3】
前記連結管部の一方の端部に配置されるとともに、前記連結管部または前記枠体に傾動自在に枢支され、前記ブラシの他方が植設された第二枠体を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機用アタッチメント。
【請求項4】
前記枠体および前記第二枠体の傾動軸は略同軸芯に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の電気掃除機用アタッチメント。
【請求項5】
吸込口を有する本体部と、
前記本体部に設けられた接続管部と、
前記接続管部に嵌脱自在に嵌め込まれた請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機用アタッチメントと、を備えたことを特徴とする吸込口体。
【請求項6】
掃除機本体と、
前記掃除機本体に連通された集塵ホースと、
前記集塵ホースに連通された延長管と、
前記延長管の端部に嵌脱自在に嵌め込まれた請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機用アタッチメントと、を備えたことを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−4996(P2011−4996A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151707(P2009−151707)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】