説明

電気掃除機用ノズル

【課題】毛髪等の梳き出し能力及び梳き出された毛髪等の回収効率を向上させた電気掃除機用ノズルを提供すること。
【解決手段】底面部14に吸込口17を有するノズル本体2と、前記吸込口17と連通する接続管部3と、前記ノズル本体2の底面部14から下方に突出する複数の突起26,27からなる突起群4とを有する電気掃除機用ノズル1において、前記ノズル本体2を構成する基部7の底面部14に、下方に凸となる凸曲面部15を設けると共に、この凸曲面部15の下端部16に前記吸込口17を設けたことで、前記ノズル1を絨毯C等に沿って動かした際に、進行方向Dの前側が高くなるように前記ノズル本体2が傾斜したとしても、前記吸込口17から絨毯C等までの距離が適正に保たれるので、前記突起群4によって梳き出された毛髪等を効率的に回収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機のノズルに関するものであり、特に、毛髪等を吸引するのに適した電気掃除機のノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機用ノズルとしては、真空掃除機の吸引管に対して着脱自在となるように構成されると共に、吸込口に沿う位置に、被清掃物の毛を梳くための間隔を保って並設した複数の梳歯を有する櫛状部(本願発明の突起群に相当する)を備えた吸込み具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この吸込み具は、絨毯等の被清掃物に櫛状部を押し当てて前後動させ、梳歯で被清掃物の毛を梳くようにしながら吸引することで、被清掃物の内部深くにあった塵埃を表面まで梳き出して、この梳き出された塵埃を吸込口から吸い込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−11734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような電気掃除機用ノズルの突起群は、絨毯等を梳くために、硬い材質によって構成されていた。従って、突起群を絨毯や毛布等に強く押し付けることで、絨毯や毛布等を傷める虞があった。このような問題を回避するために、本出願人は、突起群を構成する各突起をエラストマー等の可撓性を有する材質によって錐状に構成したものを出願した。そして、このような構造の電気掃除機用ノズルは、ノズルの進行方向を基準として、吸込口よりも後方に設けられた各突起によって梳き出された毛髪等を、これらの突起よりも進行方向前方に設けられた前記吸込口から吸引するように構成されていた。
【0005】
しかしながら、使用者がノズルを絨毯等の上で自然に動かすと、ノズル本体は、進行方向を基準として、前側が高く、後側が低くなるように傾斜する。この状態では、前記吸込口から絨毯等までの距離が大きくなるので、前記吸込口に至るまでの気流の流速が遅くなる。このため、従来のノズルを出力の小さな電気掃除機に取り付けて使用する場合、前記突起群によって梳き出された毛髪等の回収率の向上に改善の余地があった。更に、従来のノズルでは、複数種類の長さの異なる突起を設けることで、絨毯等の表層から深層までの広い範囲から効率よく毛髪等を梳き出すことを狙ったが、前述したようにノズル本体が傾斜すると、絨毯等の種類によっては、短い突起が殆ど作用しない場合も起こり得る。このため、毛髪等の梳き出し能力の向上にも、改善の余地があった。
【0006】
本発明は以上の問題点を解決し、毛髪等の梳き出し能力及び梳き出された毛髪等の回収効率を向上させた電気掃除機用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機用ノズルは、底面部に吸込口を有するノズル本体と、前記吸込口と連通する接続管部と、前記ノズル本体の底面部から下方に突出する複数の突起からなる突起群とを有する電気掃除機用ノズルにおいて、前記ノズル本体の底面部に、下方に凸となる凸曲面部を設けると共に、この凸曲面部の下端部に前記吸込口を設けたものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の電気掃除機用ノズルは、請求項1において、前記突起群が、前記吸込口に沿って設けられた短突起から成る近突起列と、この近突起列を挟んで前記吸込口の反対側に並べて設けられた長突起から成る遠突起列とを有して構成されると共に、前記近突起列を前記凸曲面部に設けたものである。
【0009】
更に、本発明の請求項3に記載の電気掃除機用ノズルは、請求項2において、前記突起群を構成する各突起を、それらの軸線の基端側よりも先端側が前記吸込口から離れるように傾斜させて設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機用ノズルは、以上のように構成することにより、ノズルを絨毯等に沿って動かした際に、進行方向前側が高くなるように前記ノズル本体が傾斜したとしても、前記吸込口から絨毯等までの距離が適正に保たれるので、前記突起群によって梳き出された毛髪等を効率的に回収することができる。
【0011】
なお、前記突起群を、前記吸込口に沿って設けられた短突起から成る近突起列と、この近突起列を挟んで前記吸込口の反対側に並べて設けられた長突起から成る遠突起列とで構成すると共に、前記近突起列を前記凸曲面部に設けることで、進行方向前側が高くなるように、前記ノズル本体が傾斜しても、前記近突起列と遠突起列の両方が絨毯等の毛並みに入り込んで、毛髪等を梳き出す作用を奏することができる。
【0012】
更に、前記突起群を構成する各突起を、それらの軸線の基端側よりも先端側が前記吸込口から離れるように傾斜させたことで、進行方向前側が高くなるように、前記ノズル本体が傾斜したとしても、前記突起群が絨毯等から受ける抵抗が小さくなり、軽い操作力で絨毯等から毛髪等を梳き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す電気掃除機用ノズルの正面図である。
【図2】同、底面図である。
【図3】同、側面図である。
【図4】同、A−A断面図である。
【図5】同、使用状態におけるA−A断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態を示す電気掃除機用ノズルの正面図である。
【図7】同、側面図である。
【図8】同、B−B断面図である。
【図9】同、使用状態におけるB−B断面図である。
【図10】本発明との比較例を示す電気掃除機用ノズルの断面図である。
【図11】同、使用状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1乃至図5に基づいて説明する。また、比較例として、図10及び図11を用いて説明する。なお、比較例である図10及び図11は、本発明を実施したものではない。
【0015】
1は本発明の電気掃除機用ノズルであり、図示しない掃除機本体に接続される。前記ノズル1は、ノズル本体2と、接続管部3と、突起群4とで構成される。前記ノズル本体2は、平面視で横長の方形状である。そして、このノズル本体2は、上本体5と、下本体6と、基部7とを有して構成される。そして、前記上本体5と接続管部3は、一体に形成される。また、前記基部7は、前記突起群4と一体に形成され、これらによって突起部材8が構成される。更に、前記下本体6と突起部材8は、インサート成型によって一体的に形成される。そして、前記下本体6は、その底面部9の中央部に、下方に凸となる凸部10を有する。また、この凸部10は、その下端部11に横長の吸込口12を有する。更に、前記吸込口12の中央には、連通口13が設けられる。そして、前記基部7は、その底面部14の中央部に、下方に凸となる凸曲面部15を有する。また、この凸曲面部15は、その下端部16に、前記吸込口12に対応して吸込口17を有する。なお、前記凸曲面部15は、側面視でほぼ円弧状となるように突出する。
【0016】
前記接続管部3は、両端が開放した中空管状に形成される。この接続管部3は、前記上本体5から直立するように設けられる基管18と、後方に倒れた状態で設けられる接続管19と、これら基管18と接続管19とを繋ぐ屈曲部20とを有して構成される。なお、前記基管18は、ごく短く形成される。また、前記基管18を設けず、前記屈曲部20を前記上本体5に接続するようにしてもよい。そして、前記基管18は、前記上本体5を下本体6に固定した際に、前記連通口13に接続される。これによって、前記接続管部3は前記吸込口12,17と連通する。また、前記接続管19は、図示しない掃除機本体に接続されるように、先端側がやや細くなるように形成される。更に、前記屈曲部20は、その凸側、即ち前側に、平面状の指当て部21が形成される。なお、この指当て部21は、斜め前上方を向くように形成される。また、前記指当て部21は、前記ノズル本体2から直立するように設けられた前記基管18の上端に設けられた屈曲部20の凸側に設けられるので、前記ノズル本体2の直上に位置する。更に、前記基管18がごく短く形成されるので、前記指当て部21は、前記ノズル本体2の近くに位置する。
【0017】
前記突起群4は、前記ノズル本体2を構成する前記基部7の底面部14から下方に突出して設けられる。そして、前記突起群4は、一対の近突起列22,23と、一対の遠突起列24,25とから構成される。前記各近突起列22,23は、それぞれ前記吸込口17に沿って短突起26を並べることで構成される。また、前記近突起列22は前記吸込口17の前側に、前記近突起列23は前記吸込口17の後側に、それぞれ設けられる。また、前記各近突起列22,23は、それぞれ、右部22R,23Rと左部22L,23Lとから成る。そして、前記近突起列22の右部22Rと左部22Lは、同一直線上に並ぶ。同様に、前記近突起列23の右部23Rと左部23Lも、同一直線上に並ぶ。そして、前記各近突起列22,23は、それぞれ前記基部7の凸曲面部15に設けられる。更に、前記近突起列22を構成する短突起26は、その中心軸線Xaの先端側が基端側よりも前方となるように、傾斜して設けられる。また、前記近突起列23を構成する短突起26は、その中心軸線Xbの先端側が基端側よりも後方となるように、傾斜して設けられる。即ち、何れの短突起26も、それらの中心軸線Xa,Xbの先端側が基端側よりも前記吸込口12,17から離れるように、傾斜して設けられる。一方、前記各遠突起列24,25は、それぞれ前記近突起列22,23を挟んで前記吸込口12,17の反対側に、長突起27を並べることで構成される。また、前記遠突起列24は、前記近突起列22の前側に、前記遠突起列25は、前記近突起列23の後側に、それぞれ設けられる。そして、前記各遠突起列24,25は、それぞれ、前記基部7の底面部14における前記凸曲面部15と平坦な外周部28との境界部に設けられる。更に、前記遠突起列24を構成する長突起27は、その中心軸線Xcの先端側が基端側よりも前方となるように傾斜して設けられる。また、前記遠突起列25を構成する長突起27は、その中心軸線Xdの先端側が基端側よりも後方となるように傾斜して設けられる。即ち、何れの長突起27も、それらの中心軸線Xc,Xdの先端側が基端側よりも前記吸込口12,17から離れるように、傾斜して設けられる。なお、前記各短突起26の中心軸線Xa,Xbの傾斜角度は、傾く方向が正反対となるだけで、値は同じである。同様に、前記各長突起27の中心軸線Xc,Xdの傾斜角度も、傾く方向が正反対となるだけで、値は同じである。また、前記各短突起26の中心軸線Xa,Xbの傾斜角度は、前記各長突起27の中心軸線Xc,Xdの傾斜角度よりも小さい。更に、前記各長突起27の先端は、前記各短突起26の先端と同じか、又は前記各短突起26の先端よりもやや下方となる。
【0018】
なお、比較例についても説明する。前述した通り、この比較例は、本発明を実施したものではない。比較例のノズル101も、ノズル本体102と、接続管部103と、突起群104とを有して構成される。また、前記ノズル本体102も、上本体105と、下本体106と、基部107とを有して構成される。また、前記突起群104も、複数の短突起126から成る近突起列122,123と、複数の長突起列127から成る遠突起列124,125とを有して構成される。更に、前記基部107と突起群104とで、突起部材108が構成される点も共通する。そして、比較例の前記各突起126,127の数、材質、大きさ及び形状は、本実施形態の各突起26,27の数、材質、大きさ及び形状と同じである。本実施形態と比較例との相違点は、以下の通りである。本実施形態の前記ノズル1は、前記ノズル本体2の基部7に前記凸曲面部15が形成されるのに対し、比較例の前記ノズル101は、前記ノズル本体102の基部107が平坦である。また、本実施形態は、前記突起群4を構成する前記各突起26,27が傾斜して設けられるのに対し、比較例は、前記各突起126,127が垂直に設けられる。更に、本実施形態は、前記吸込口12が前記下本体6の凸部10に、前記吸込口17が前記基部7の凸曲面部15に形成されるのに対し、比較例は、吸込口112が下本体106の平坦な底面部109に、吸込口117が前記基部107の平坦な底面部114に形成される。
【0019】
次に、本実施形態の作用について説明する。なお、以下の説明において、毛髪等とは、人の体毛ばかりでなく、ペットの体毛も含む。まず使用者は、前記接続管部3の接続管19を、図示しない前記掃除機本体に接続した後、この掃除機本体を作動させる。そして、使用者は、前記接続管部3を把持し、前記ノズル本体2の後方が高く、前方が低くなるように前記ノズル1を傾斜させて、前記吸込口12,17の前側に設けられた近突起列22及び遠突起列24を絨毯C等に押し当てた後、この絨毯C等に沿って前記ノズル1を進行方向D(この場合、後方向)に移動させる。即ち、この場合、前記近突起列22及び遠突起列24は、進行方向Dを基準として、前記吸込口12,17の後側となる。そして、この際、前記遠突起列24を構成する長突起27が、前記近突起列22を構成する短突起26よりも強く絨毯C等に押し付けられるので、前記長突起27は、進行方向Dに対して遅れる方向に大きく変形する。一方、前記短突起26は、進行方向Dに対して遅れる方向に小さく変形する。このように、大きく変形した長突起27と、小さく変形した短突起26とで、絨毯C等の毛並みに潜んだ毛髪等が、前記各突起26,27の進行方向Dの前側、即ち前記吸込口12,17側に梳き出される。そして、前記各突起26,27によって梳き出された毛髪等は、前記基部7と絨毯C等の間を通った気流に乗り、前記各突起26,27の進行方向Dの前側に位置する前記吸込口12,17から、前記連通口13及び接続管部3を経由して、図示しない前記掃除機本体に吸引される。
【0020】
なお、使用者によっては、進行方向が前方向である方が扱いやすい場合もあり得る。また、清掃箇所によって、進行方向を前方向とせざるを得ない場合もあり得る。この場合、使用者は、前記接続管部3を把持し、前記ノズル本体2の後方が低く、前方が高くなるように前記ノズル1を傾斜させて、前記吸込口12,17の後側に設けられた近突起列23及び遠突起列25を絨毯C等に押し当てた後、この絨毯C等に沿って前記ノズル1を進行方向(この場合、前方向)に移動させる。即ち、この場合、前記近突起列23及び遠突起列25は、進行方向を基準として前記吸込口12,17の後側となる。そして、この際、前記遠突起列25を構成する長突起27が、前記近突起列23を構成する短突起26よりも強く絨毯C等に押し付けられるので、前記長突起27は、進行方向に対して遅れる方向に大きく変形する。一方、前記短突起26は、進行方向に対して遅れる方向に小さく変形する。このように、大きく変形した長突起27と、小さく変形した短突起26とで、絨毯C等の毛並みに潜んだ毛髪等が、前記各突起26,27の進行方向の前側、即ち前記吸込口12,17側に梳き出される。そして、前記各突起26,27によって梳き出された毛髪等は、前記基部7と絨毯C等の間を通った気流に乗り、前記各突起26,27の進行方向の前側に位置する前記吸込口12,17から、前記連通口13及び接続管部3を経由して、図示しない前記掃除機本体に吸引される。
【0021】
また、前記ノズル1は、前記接続管部3でなく、図示しない掃除機本体側の接続管を把持して操作してもよく、また、図示しない掃除機本体に設けられた把持部を把持して操作してもよい。
【0022】
この作用について、本実施形態と比較例とを比較する。なお、本実施形態と比較例は、前記長突起27,127の変形量が同じになるように、即ち、同じ力で絨毯C等に押し付けるようにすると共に、前記ノズル本体2,102の傾斜角度も同じになるようにする。本実施形態は、前述した通り、前記吸込口17が、前記ノズル本体2を構成する基部7の凸曲面部15の下端部16に設けられるので、前記吸込口17から絨毯C等までの距離を比較的小さくすることができる。特に、前記凸曲面部15が、側面視で円弧状となるように構成されるので、図5に示すように前記ノズル本体2を傾斜させた場合でも、前記吸込口17の後部がやや高くなるものの、前記吸込口17の前端から中央部にかけての広い範囲で、前記吸込口17から絨毯C等までの距離をほぼ均等に比較的小さくすることができる。これによって、前記基部7と絨毯C等との間を通過する気流の流速が低下しないようにすることができるので、梳き出された毛髪等を前記吸込口17から前記吸込口12を経由して確実に吸引することができる。このため、前記ノズル1を比較的出力の小さな掃除機本体に接続したとしても、梳き出された毛髪等を効率的に回収することができる。また、前述したように、前記凸曲面部15が、側面視で円弧状となるように構成されるので、前記ノズル1を引く際に、その傾斜角度が変動しても、前記吸込口17から絨毯C等までの距離の変動が少ないので、この距離を適正に保つことができる。また、前記短突起26の先端が、比較的下方に位置するので、前記短突起26と長突起27の両方で、絨毯C等に潜んだ毛髪等を梳き出すことができる。この際、前記長突起27が大きく撓み、前記短突起26が小さく撓むことで、これら長突起27と短突起26の角度を違わせることができるので、より効果的に絨毯C等から毛髪等を梳き出すことができる。更に、前記近突起列22を構成する短突起26と、前記遠突起列24を構成する長突起27が、進行方向Dに対して遅れる方向に傾斜するので、前記突起群4が絨毯C等から受ける抵抗を小さくすることができる。これによって、軽い操作力で、絨毯C等に潜んだ毛髪等を梳き出すことができる。
【0023】
これに対し、比較例は、前述した通り、前記吸込口117が、前記基部107の平坦な底面部114に設けられるので、前記吸込口117から絨毯C等までの距離が比較的大きくなる。特に、図11に示すように前記ノズル本体102を傾斜させた場合、前記吸込口117は、後部に向かうに従って高くなる。このため、前記基部107と絨毯C等との間を通過する気流の流速が低下してしまうので、前記ノズル101を比較的出力の小さな掃除機本体に接続した場合、梳き出された毛髪等を前記吸込口117から前記吸込口112を経由して確実に吸引して回収することができない虞がある。更に、前述したように、前記吸込口117が、前記基部107の平坦な底面部114に設けられるので、前記ノズル101を引く際に、その傾斜角度が変動すると、前記吸込口117から絨毯C等までの距離の変動が大きく、この距離を適正に保つことができない。また、前記短突起126の先端が比較的上方に位置するので、前記ノズル本体102の傾斜角度によっては、前記短突起126が絨毯C等と接しない場合があり得る。この場合、前記短突起126は毛髪等を梳き出すことがないので、梳き出し能力が低下する虞がある。更に、前記長突起127が、前記基部107に対し直立して設けられるため、前記ノズル本体102を図11に示すように傾斜させると、前記長突起127は、進行方向Dに対し進む方向に傾斜する。図11に示すように、前記長突起127が進行方向Dに対して遅れる方向に撓んだとしても、この長突起127の基端側における中心軸線の方向が、進行方向Dに対して進む方向に傾斜したままなので、突起群104が絨毯C等から受ける抵抗は大きくなる。従って、前記ノズル101の操作力は重くなる。
【0024】
なお、本実施形態は、前記接続管部3を握る際、使用者の指F(人差し指又は親指)の指腹を、前記屈曲部20の凸側に設けられた平面状の前記指当て部21に押し当てることで、前記指当て部21に押し当てた指Fに安定して力を加えやすい。この結果、絨毯C等に沿って進行方向Dに引くように前記ノズル1を動かす際に、容易に前記ノズル1を引くことができる。また、前記指当て部21が前記ノズル本体2の直上に設けられることで、前記指当て部21に加えた力を安定して効率的に前記各突起26,27に伝えることができる。この結果、軽い力で前記突起群4を絨毯C等に安定して押し当てることができるので、より容易に前記ノズル1を引くことができる。なお、前記指当て部21が前記屈曲部20の凸側、即ち前側に設けられることで、図5に示すように前記ノズル本体2を傾斜させた場合、絨毯C等と接する前記各突起列22,24と前記指当て部21との進行方向Dのズレが小さくなるので、より効率的に、前記指当て部21に加えた力を前記各突起列22,24に伝えることができる。更に、前記基管18をごく短く形成したことで、前記指当て部21と突起群4との距離を短くできるので、この突起群4をより安定して絨毯C等に押し当て、引くことができる。
【0025】
以上のように、本発明は、底面部14に吸込口17を有するノズル本体2と、前記吸込口17と連通する接続管部3と、前記ノズル本体2の底面部14から下方に突出する複数の突起26,27からなる突起群4とを有する電気掃除機用ノズル1において、前記ノズル本体2を構成する基部7の底面部14に、下方に凸となる凸曲面部15を設けると共に、この凸曲面部15の下端部16に前記吸込口17を設けたことで、前記ノズル1を絨毯C等に沿って動かした際に、進行方向Dの前側が高くなるように前記ノズル本体2が傾斜したとしても、前記吸込口17から絨毯C等までの距離が適正に保たれるので、前記突起群4によって梳き出された毛髪等を効率的に回収することができるものである。
【0026】
また、本発明は、前記突起群4を、前記吸込口17に沿って並んだ短突起26から成る近突起列22,23と、この近突起列22,23を挟んで前記吸込口17の反対側に並んだ長突起27から成る遠突起列24,25とで構成すると共に、前記近突起列22,23を、前記凸曲面部15に設けることで、進行方向Dの前側が高くなるように、前記ノズル本体2が傾斜しても、前記近突起列22と遠突起列24の両方が絨毯C等の毛並みに入り込んで、毛髪等を梳き出す作用を奏することができるものである。
【0027】
更に、本発明は、前記突起群4を構成する各突起26,27を、それらの軸線Xa〜Xdの基端側よりも先端側が前記吸込口17から離れるように傾斜させたことで、進行方向Dの前側が高くなるように、前記ノズル本体2が傾斜したとしても、前記突起群4が絨毯C等から受ける抵抗が小さくなり、軽い操作力で絨毯C等から毛髪等を梳き出すことができるものである。
【0028】
次に、本発明の第二の実施形態について、図6乃至図9に基づいて説明する。31は本発明の電気掃除機用ノズルであり、図示しない掃除機本体に接続される。前記ノズル31は、ノズル本体32と、接続管部3と、突起群34とで構成される。前記ノズル本体32は、平面視で横長の方形状である。そして、このノズル本体32は、上本体5と、下本体36と、基部37とを有して構成される。そして、前記上本体5と接続管部3は、一体に形成される。また、前記基部37は、前記突起群34と一体に形成され、これらによって突起部材38が構成される。更に、前記下本体36と突起部材38は、インサート成型によって一体的に形成される。そして、前記下本体36は、その底面部39の中央部に、下方に凸となる凸部40を有する。また、この凸部40は、その下端部41に横長の吸込口42を有する。更に、前記吸込口42の中央には、連通口43が設けられる。そして、前記基部37は、その底面部44の前半部に、下方に凸となる凸曲面部45を有する。一方、前記基部37は、その底面部44の後半部に、下端面が平面状となる突出部46を有する。そして、前記凸曲面部45と突出部46は、それらの下端面が連続するように形成される。このように、前記凸曲面部45と突出部46によって、突部47が形成される。そして、この突部47は、その下端部48に、前記吸込口42に対応して吸込口49を有する。なお、前記凸曲面部45は、側面視でほぼ円弧状となるように突出する。
【0029】
前記突起群34は、前記ノズル本体32を構成する前記基部37の底面部44から下方に突出して設けられる。そして、前記突起群34は、近突起列52と遠突起列54とから構成される。前記近突起列52は、前記吸込口49に沿って短突起56を並べることで構成される。また、前記近突起列52は、前記吸込口49の前側に設けられる。そして、前記近突起列52は、前記基部37の凸曲面部45に設けられる。更に、前記近突起列52を構成する短突起56は、その中心軸線Xeの先端側が基端側よりも前方となるように、傾斜して設けられる。即ち、何れの短突起56も、それらの中心軸線Xeの先端側が基端側よりも前記吸込口42,49から離れるように、傾斜して設けられる。一方、前記遠突起列54は、前記近突起列52を挟んで前記吸込口42,49の反対側に、長突起57を並べることで構成される。また、前記遠突起列54は、前記近突起列52の前側に設けられる。そして、前記遠突起列54は、前記基部37の底面部44における前記凸曲面部45と平坦な外周部58との境界部に設けられる。更に、前記遠突起列54を構成する長突起57は、その中心軸線Xfの先端側が基端側よりも前方となるように傾斜して設けられる。即ち、何れの長突起57も、それらの中心軸線Xfの先端側が基端側よりも前記吸込口42,49から離れるように、傾斜して設けられる。なお、前記各短突起56の中心軸線Xeの傾斜角度は、前記各長突起57の中心軸線Xfの傾斜角度よりも小さい。更に、前記各長突起57の先端は、前記各短突起56の先端と同じか、又は前記各短突起56の先端よりもやや下方となる。
【0030】
次に、本実施形態の作用について説明する。なお、本実施形態でも、毛髪等とは、人の体毛ばかりでなく、ペットの体毛も含む。まず、使用者は、前記接続管部3の接続管19を、図示しない前記掃除機本体に接続した後、この掃除機本体を作動させる。そして、使用者は、前記接続管部3を把持し、前記ノズル本体32の後方が高く、前方が低くなるように前記ノズル31を傾斜させて、前記近突起列52及び遠突起列54を絨毯C等に押し当てた後、この絨毯C等に沿って前記ノズル31を進行方向Dに移動させる。なお、本実施形態の場合、進行方向Dは必ず後方向となる。即ち、この場合、前記近突起列52及び遠突起列54は、進行方向Dを基準として、前記吸込口42,49の後側となる。そして、この際、前記遠突起列54を構成する長突起57が、前記近突起列52を構成する短突起56よりも強く絨毯C等に押し付けられるので、前記長突起57は、進行方向Dに対して遅れる方向に大きく変形する。一方、前記短突起56は、進行方向Dに対して遅れる方向に小さく変形する。このように、大きく変形した長突起57と、小さく変形した短突起56とで、絨毯C等の毛並みに潜んだ毛髪等が、前記各突起56,57の進行方向Dの前側、即ち前記吸込口42,49側に梳き出される。そして、前記各突起56,57によって梳き出された毛髪等は、前記基部37と絨毯C等の間を通った気流に乗り、前記各突起56,57の進行方向Dの前側に位置する前記吸込口42,49から、前記連通口43及び接続管部3を経由して、図示しない前記掃除機本体に吸引される。
【0031】
この作用について詳述する。本実施形態は、前述した通り、前記吸込口49が、前記ノズル本体32を構成する基部37の凸曲面部45の下端部48に設けられるので、前記吸込口49から絨毯C等までの距離を比較的小さくすることができる。特に、前記凸曲面部45が、側面視で円弧状となるように構成されるので、図9に示すように前記ノズル本体32を傾斜させた場合でも、前記吸込口49の後部がやや高くなるものの、前記吸込口49の前端から中央部にかけての広い範囲で、前記吸込口49から絨毯C等までの距離をほぼ均等に比較的小さくすることができる。これによって、前記基部37と絨毯C等との間を通過する気流の流速が低下しないようにすることができるので、梳き出された毛髪等を前記吸込口49から前記吸込口42を経由して確実に吸引することができる。このため、前記ノズル31を比較的出力の小さな掃除機本体に接続したとしても、梳き出された毛髪等を効率的に回収することができる。また、前述したように、前記凸曲面部45が、側面視で円弧状となるように構成されるので、前記ノズル31を引く際に、その傾斜角度が変動しても、前記吸込口49から絨毯C等までの距離の変動が少ないので、この距離を適正に保つことができる。また、前記短突起56の先端が、比較的下方に位置するので、前記短突起56と長突起57の両方で、絨毯C等に潜んだ毛髪等を梳き出すことができる。この際、前記長突起57が大きく撓み、前記短突起56が小さく撓むことで、これら長突起57と短突起56の角度を違わせることができるので、より効果的に絨毯C等から毛髪等を梳き出すことができる。更に、前記近突起列52を構成する短突起56と、前記遠突起列54を構成する長突起57が、進行方向Dに対して遅れる方向に傾斜するので、前記突起群34が絨毯C等から受ける抵抗を小さくすることができる。これによって、軽い操作力で、絨毯C等に潜んだ毛髪等を梳き出すことができる。
【0032】
なお、本実施形態は、前記接続管部3を握る際、使用者の指F(人差し指又は親指)の指腹を、前記屈曲部20の凸側に設けられた平面状の前記指当て部21に押し当てることで、前記指当て部21に押し当てた指Fに安定して力を加えやすい。この結果、絨毯C等に沿って進行方向Dに引くように前記ノズル31を動かす際に、容易に前記ノズル31を引くことができる。また、前記指当て部21が前記ノズル本体2の直上に設けられることで、前記指当て部21に加えた力を安定して効率的に前記各突起56,57に伝えることができる。この結果、軽い力で前記突起群34を絨毯C等に安定して押し当てることができるので、より容易に前記ノズル31を引くことができる。なお、前記指当て部21が前記屈曲部20の凸側、即ち前側に設けられることで、図9に示すように前記ノズル本体32を傾斜させた場合、絨毯C等と接する前記各突起列52,54と前記指当て部21との進行方向Dのズレが小さくなるので、より効率的に前記指当て部21に加えた力を前記各突起列52,54に伝えることができる。更に、前記基管18をごく短く形成したことで、前記指当て部21と突起群34との距離を短くできるので、この突起群34をより安定して絨毯C等に押し当て、引くことができる。
【0033】
以上のように、本発明は、底面部44に吸込口49を有するノズル本体32と、前記吸込口49と連通する接続管部3と、前記ノズル本体32の底面部44から下方に突出する複数の突起56,57からなる突起群34とを有する電気掃除機用ノズル31において、前記ノズル本体32を構成する基部37の底面部44に、下方に凸となる凸曲面部45を設けると共に、この凸曲面部45の下端部48に前記吸込口49を設けたことで、前記ノズル31を絨毯C等に沿って動かした際に、進行方向Dの前側が高くなるように前記ノズル本体32が傾斜したとしても、前記吸込口49から絨毯C等までの距離が適正に保たれるので、前記突起群34によって梳き出された毛髪等を効率的に回収することができるものである。
【0034】
また、本発明は、前記突起群34を、前記吸込口49に沿って並んだ短突起56から成る近突起列22と、この近突起列22を挟んで前記吸込口49の反対側に並んだ長突起57から成る遠突起列54とで構成すると共に、前記近突起列22を、前記凸曲面部45に設けることで、進行方向Dの前側が高くなるように、前記ノズル本体32が傾斜しても、前記近突起列52と遠突起列54の両方が絨毯C等の毛並みに入り込んで、毛髪等を梳き出す作用を奏することができるものである。
【0035】
更に、本発明は、前記突起群34を構成する各突起56,57を、それらの軸線Xe,Xfの基端側よりも先端側が前記吸込口49から離れるように傾斜させたことで、進行方向Dの前側が高くなるように、前記ノズル本体32が傾斜したとしても、前記突起群34が絨毯C等から受ける抵抗が小さくなり、軽い操作力で絨毯C等から毛髪等を梳き出すことができるものである。
【0036】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、長突起を凸曲面部と平坦部の境界位置に設けたが、長突起を凸曲面部に設けるようにしても良い。また、上記実施形態では、ノズル本体の底面部の中央部に凸曲面部を設けたが、ノズル本体の底面部全体を凸曲面部としても良い。
【符号の説明】
【0037】
1,31 電気掃除機用ノズル
2,32 ノズル本体
3 接続管部
4,34 突起群
14,44 底面部
15,45 凸曲面部
16,48 下端部
17,49 吸込口
22,23,52 近突起列
24,25,54 遠突起列
26,56 短突起
27,57 長突起
Xa,Xb,Xc,Xd,Xe,Xf 中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部に吸込口を有するノズル本体と、
前記吸込口と連通する接続管部と、
前記ノズル本体の底面部から下方に突出する複数の突起からなる突起群とを有する電気掃除機用ノズルにおいて、
前記ノズル本体の底面部に、下方に凸となる凸曲面部を設けると共に、
この凸曲面部の下端部に前記吸込口を設けたことを特徴とする電気掃除機用ノズル。
【請求項2】
前記突起群が、前記吸込口に沿って設けられた短突起から成る近突起列と、この近突起列を挟んで前記吸込口の反対側に並べて設けられた長突起から成る遠突起列とを有して構成されると共に、
前記近突起列を前記凸曲面部に設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機用ノズル。
【請求項3】
前記突起群を構成する各突起を、それらの軸線の基端側よりも先端側が前記吸込口から離れるように傾斜させて設けたことを特徴とする請求項2記載の電気掃除機用ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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