説明

電気掃除機用ノズル

【課題】絨毯等を傷めることなく、軽い力で良好に絨毯やふとん等に付着した毛や髪を梳き出すことができる電気掃除機用ノズルを提供すること。
【解決手段】ノズル本体11の吸込口14の近傍に、複数の長突起15からなる長突起群16と、複数の短突起17からなる短突起群18とを設け、前記各突起15,17を、可撓性を有する材質で構成し、前記長突起群16が撓みながら絨毯C等の深層部に入り込んだ毛や髪等を梳き出し、前記短突起群18が絨毯C等の表層部の毛や髪等を梳き出すことで、絨毯C等を傷めることなく、効果的に絨毯C等に付着した毛や髪等を掻き集めることができるばかりでなく、前記短突起群18が絨毯C等の表層部を擦るように梳くことで、前記短突起群18と絨毯C等との抵抗を小さくすることができるので、突起数を多くしながらも、比較的軽い力で絨毯C等から毛や髪等を良好に梳き出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機のノズルに関するものであり、特に、絨毯やふとん等に付着した毛や髪を吸引するのに適した電気掃除機のノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機用ノズルとしては、真空掃除機の吸引管に対して着脱自在となるように構成されると共に、吸込口に沿う位置に、被清掃物の毛を梳くための間隔を保って並設した複数の梳歯を有する櫛状部(本願発明の突起群に相当する)を備えた吸込み具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この吸込み具は、絨毯等の被清掃物に櫛状部を押し当てて前後動させ、梳歯で被清掃物の毛を梳くようにしながら吸引することで、被清掃物の内部深くにあった塵埃を表面まで梳き出して、この梳き出された塵埃を吸込口から吸い込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−11734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような電気掃除機用ノズルの突起群は、絨毯等を梳くために、硬い材質によって構成されていた。従って、突起群を絨毯や毛布等に強く押し付けることで、絨毯や毛布等を傷める虞があった。このような問題を回避するために、突起群をエラストマー等の可撓性を有する材質によって構成することが考えられる。しかしながら、このような突起群では、毛足の長い絨毯等に潜む抜け毛等を良好に梳き出すことができない虞があった。また、絨毯等に潜む抜け毛等を良好に梳き出すためには、突起群を構成する突起の数を増やし、多くの突起によって抜け毛等を絨毯等から梳き出すようにするのが効果的である。しかしながら、突起群を構成する突起の数が増えると、絨毯等を梳く際の抵抗が大きくなってしまうという問題もあった。更に、絨毯や毛布等から梳き出された抜け毛等が、突起群に絡んでしまう虞もあった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、絨毯等を傷めることなく、軽い力で良好に絨毯やふとん等に付着した毛や髪を梳き出すことができる電気掃除機用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機用ノズルは、吸込口を有するノズル本体と、このノズル本体の吸込口の近傍に設けられる突起群とを有する電気掃除機のノズルにおいて、前記突起群が、可撓性を有する材質で構成され、前記突起群が、複数の比較的長い突起からなる長突起群と、複数の比較的短い突起からなる短突起群とを有して構成されるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の電気掃除機用ノズルは、請求項1において、前記突起群を構成する各突起が錐状であるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機用ノズルは、以上のように構成することにより、前記長突起群が撓みながら絨毯等の深層部にある抜け毛等を梳き出すと共に、前記短突起群が撓みながら絨毯等の表層部にある抜け毛等を梳き出すことで、絨毯等を傷めることなく、効果的に絨毯等に付着した抜け毛等を掻き集め、吸引することができる。そして、前記短突起群が絨毯等の表層部を擦るように梳くことで、前記短突起群と絨毯等との抵抗を小さくすることができるので、突起数を多くしながらも、比較的軽い力で絨毯等から抜け毛等を良好に梳き出すことができる。
【0009】
また、前記突起群を構成する各突起を錐状としたことにより、前記突起群に絡んだ抜け毛等が、前記ノズルの動きに伴って、前記各突起の傾斜に沿って抜けるので、前記突起群に抜け毛等が絡み付かないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す電気掃除機用ノズルの正面図である。
【図2】同、右側面図である。
【図3】同、底面図である。
【図4】同、絨毯等に使用した状態における右側面図である。
【図5】同、ふとん等に使用した状態における右側面図である。
【図6】同、本発明の電気掃除機用ノズルが取り付けられた電気掃除機の右側面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態を示す電気掃除機用ノズルの正面図である。
【図8】同、右側面図である。
【図9】同、絨毯等に使用した状態における右側面図である。
【図10】同、ふとん等に使用した状態における右側面図である。
【図11】本発明の第三の実施形態を示す電気掃除機用ノズルの正面図である。
【図12】同、右側面図である。
【図13】同、底面図である。
【図14】同、毛足の長い絨毯等に使用した状態における右側面図である。
【図15】同、毛足の短い絨毯等に使用した状態における右側面図である。
【図16】同、ふとん等に使用した状態における右側面図である。
【図17】本発明における突起形状の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1乃至図6に基づいて説明する。1は手持ち型の電気掃除機である。この電気掃除機1は、掃除機本体2と、この掃除機本体2に対して着脱自在に取り付けられるノズル3と、前記掃除機本体2に対して着脱自在に取り付けられる集塵手段4とを有して構成される。
【0012】
前記掃除機本体2は、電動送風機5が内蔵された胴部6と、図示しない吸引経路が内部に設けられた接続部7と、把持部8と、電源コード9とを有して構成される。また、前記把持部8には、前記集塵手段4を着脱するための操作部10及び図示しないスイッチ操作部が設けられる。そして、前記接続部7の吸引経路の一端には、前記ノズル3が着脱自在に取り付けられる。
【0013】
前記ノズル3について詳述する。このノズル3は、横長のノズル本体11と、このノズル本体11に対して回動可能に取り付けられる接続部材12とを有して構成される。そして、前記ノズル本体11は、その底面13の中央に吸込口14が形成される。また、この吸込口14を挟むように、前記底面13に、複数の長突起15から構成される長突起群16と、複数の短突起17から構成される短突起群18が設けられる。なお、前記各長突起15及び短突起17は、前記ノズル本体11の下部に取り付けられる基部19と一体に形成される。
【0014】
前記各長突起15及び短突起17は、エラストマー等の軟質合成樹脂やシリコンゴム等、可撓性を有すると共に弾性変形可能な素材によってそれぞれ構成される。また、前記各長突起15及び短突起17は、それぞれ下端側が尖った略円錐状に形成される。なお、前記各長突起15及び短突起17は、図1及び図2に示すように、全体として円錐状であれば、その下端部を丸めた形状であっても良い。そして、前記長突起群16は、一対の長突起列20,21により構成されると共に、前記短突起群18は、一対の短突起列22,23により構成される。これらの長突起列20,21及び短突起列22,23は、それぞれ左右方向に延びて設けられる。また、前記各長突起列20,21及び短突起列22,23は、互いに平行に設けられる。そして、前記短突起列22は、前記長突起列20よりも後方に設けられる。また、前記短突起列23は、前記長突起列21よりも前方に設けられる。即ち、前記各短突起列22,23は、前記各長突起列20,21よりも前記吸込口14に近い位置に設けられる。更に、前記各長突起列20,21を構成する長突起15同士の間隔は、前記各短突起列22,23を構成する短突起17同士の間隔と等しく構成されている。そして、前記各短突起17は、図1に示すように、正面視で、前記各長突起15の間に位置する。即ち、前記各長突起15と短突起17は、千鳥状に配列される。
【0015】
次に、本実施形態の作用について説明する。前記掃除機本体2に前記ノズル3及び集塵手段4が取り付けられた状態で、前記電源コード9の先端に設けられた図示しない電源プラグを、同じく図示しない電源に接続した後、同じく図示しないスイッチ操作部を操作することで、前記電動送風機5が作動する。そして、このように前記電動送風機5が作動することで、前記ノズル3から図示しない吸引経路、前記集塵手段4を経て前記電動送風機5に至る吸引気流が形成される。この吸引気流に含まれる塵埃は、前記集塵手段4内で吸引気流から分離され、前記集塵手段4内に溜められる。
【0016】
被清掃物が毛足の長い絨毯Cである場合、この絨毯C上に前記ノズル3を押し当てると、図4に示すように、前記各長突起15は撓んだ状態で前記絨毯Cの深層部に到達する。一方、前記各短突起17は、殆ど撓まずに、その先端部が前記絨毯Cの表層部に接触する。このような状態で、前記絨毯Cに沿って矢印A方向に前記ノズル3を動かすと、前記各長突起15は、前記絨毯Cの全層に亘って前記絨毯Cの毛の間に入り込んで、抜け毛等を梳き出すと共に、前記各短突起17は、前記絨毯Cの表層部において前記絨毯Cの毛の間に入り込んで、抜け毛等を梳き出す。そして、この梳き出された抜け毛等は、前記各突起15,17同士の間隙から、吸引気流と共に前記吸込口14に流入し、前記集塵手段4にて吸引気流から分離される。なお、前記各長突起15は、前述したように、撓んだ状態で前記絨毯Cの毛を梳くので、この絨毯Cを傷めにくくすることができる。一方、前記各短突起17は、殆ど撓まないものの、前記絨毯Cの表層部に軽く接し、この表層部のみを梳く。このため、前記各短突起17は、前記絨毯Cを傷めにくい。また、前記各短突起17が前記絨毯Cを梳く際の抵抗は、前記各長突起15が前記絨毯Cを梳く際の抵抗よりも小さくすることができる。また、前記短突起17は、その先端部が前記絨毯Cの表層部に接するので、その先端部によって前記絨毯Cの表層部を効果的に梳くことができる。このため、本実施形態の前記ノズル3は、本実施形態の長突起15の数と短突起17の数の和と同数の長突起を設けた構造に比べ、比較的小さな力で絨毯Cを梳いて、良好に清掃することができる。
【0017】
なお、前記絨毯Cの毛足が短い場合、前記短突起17は前記絨毯Cに触れない可能性がある。この場合、前記長突起15のみによって、前記絨毯Cに付着した抜け毛等が梳き出される。しかしながら、毛足の短い前記絨毯Cは、毛足の長いものよりも抜け毛等が梳き出され易い。従って、毛足の短い前記絨毯Cの場合、前記長突起15のみであっても、抜け毛等を良好に梳き出すことができる。
【0018】
被清掃物がふとん等である場合、このふとん等の上に前記ノズル3を押し当てると、図5に示すように、負圧によってふとん等の表面の布Fが前記吸込口14に吸引される。しかしながら、前記各突起15,17によって、前記ノズル3の底面13と布Fとの間に隙間が確保されると共に、前記長突起列20と短突起列22との間及び前記長突起列21と短突起列23との間にも隙間が確保されるので、前記吸込口14を塞ぐことなく、所定量の吸引気流を確保することができる。このように、所定量の吸引気流が確保された状態で、前記ふとん等の表面の布Fに沿って矢印A方向に前記ノズル3を動かすと、前記各長突起15は、撓みながら前記布Fの表面に付着した抜け毛等を掻き集める。一方、前記各短突起17は、前記布Fが吸引されることで、その先端部が前記布Fと接するため、前記各長突起15よりも軽く前記布Fと接し、前記布Fに付着した抜け毛等を掻き集める。そして、この掻き集められた抜け毛等は、前記各突起15,17同士の間隙から、吸引気流と共に前記吸込口14に流入し、前記集塵手段4にて吸引気流から分離される。なお、前記各長突起15は、前述したように、撓んだ状態で前記ふとん等の表面の布Fに接するので、この布Fを傷めにくくすることができる。一方、前記各短突起17は、殆ど撓まないものの、前述したように、前記ふとん等の表面の布Fに対し軽く接するので、この布Fを傷めにくくすることができる。
【0019】
なお、人や動物の抜け毛等は、梳き出されたり掻き集められたりした際に、前記各突起群16,18に絡み付く可能性がある。しかしながら、前述した通り、前記各突起15,17が先細の円錐形に形成されるので、前記各突起群16,18に絡んだ抜け毛等が、前記ノズル3の動きに伴って、前記各突起15,17の傾斜に沿って抜けるので、前記各突起群16,18に抜け毛等が絡み付かないようにすることができる。
【0020】
以上のように本発明は、吸込口14を有するノズル本体11と、このノズル本体11の吸込口14の近傍に設けられる突起群とを有する電気掃除機1のノズル3において、可撓性を有する材質で前記突起群を構成すると共に、前記突起群を、複数の長突起15からなる長突起群16と、複数の短突起17からなる短突起群18とで構成したことで、前記長突起群16が撓みながら絨毯C等の深層部の抜け毛等を梳き出し、前記短突起群18が撓みながら絨毯C等の表層部の抜け毛等を梳き出すことで、絨毯C等を傷めることなく、効果的に絨毯C等に付着した抜け毛等を掻き集めることができるばかりでなく、前記短突起群18が絨毯C等の表層部を擦るように梳くことで、前記短突起群18と絨毯C等との抵抗を小さくすることができるので、突起数を多くしながらも、比較的軽い力で絨毯C等から抜け毛等を良好に梳き出すことができるものである。
【0021】
また、前記各突起群16,18を構成する各突起15,17を錐状としたことにより、前記各突起群16,18に絡んだ抜け毛等が、前記ノズル3の動きに伴って、前記各突起15,17の傾斜に沿って抜けるので、前記各突起群16,18に抜け毛等が絡み付かないようにすることができるものである。
【0022】
次に、本発明の第二の実施形態について、図7乃至図10に基づいて説明する。なお、本実施形態では、ノズル30のみについて説明し、掃除機本体2及び集塵手段4については説明を省略する。また、前記ノズル30についても、第一の実施形態と共通する部分については共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0023】
前記ノズル30は、横長のノズル本体11と、このノズル本体11に対して回動可能に取り付けられる接続部材12とを有して構成される。そして、前記ノズル本体11は、その底面13の中央に吸込口14が形成される。また、この吸込口14を挟むように、前記底面13に、複数の長突起31から構成される長突起群32と、複数の短突起33から構成される短突起群34が設けられる。なお、前記各長突起31及び短突起33は、前記ノズル本体11の下部に取り付けられる基部35と一体に形成される。
【0024】
前記各長突起31及び短突起33は、エラストマー等の軟質合成樹脂やシリコンゴム等、可撓性を有すると共に弾性変形可能な素材によってそれぞれ構成される。また、前記各長突起31及び短突起33は、それぞれ下端側が尖った略円錐状に形成される。なお、前記各長突起31及び短突起33は、図7及び図8に示すように、全体として円錐状であれば、その下端部を丸めた形状であっても良い。そして、前記長突起群32は、一対の長突起列36,37により構成されると共に、前記短突起群34は、一対の短突起列38,39により構成される。これらの長突起列36,37及び短突起列38,39は、それぞれ左右方向に延びて設けられる。なお、前記長突起列36と短突起列38は、同一直線上に前記長突起31と短突起33とを交互に並べることで、それぞれ構成される。同様に、前記長突起列37と短突起列39も、同一直線上に前記長突起31と短突起33とを交互に並べることで、それぞれ構成される。即ち、本実施形態では、前記長突起列36と短突起列38は、それぞれ突起列40の一部を構成すると共に、前記長突起列37と短突起列39も、それぞれ突起列41の一部を構成する。また、前記突起列40と突起列41は、互いに平行に設けられる。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。被清掃物が毛足の長い絨毯Cである場合、この絨毯C上に前記ノズル30を押し当てると、図9に示すように、前記各長突起31は撓んだ状態で前記絨毯Cの深層部に到達する。一方、前記各短突起33は、殆ど撓まずに、その先端部が前記絨毯Cの表層部に接触する。このような状態で、前記絨毯Cに沿って矢印A方向に前記ノズル30を動かすと、前記各長突起31は、前記絨毯Cの全層に亘って前記絨毯Cの毛の間に入り込んで、抜け毛等を梳き出すと共に、前記各短突起33は、前記絨毯Cの表層部において前記絨毯Cの毛の間に入り込んで、抜け毛等を梳き出す。そして、この梳き出された抜け毛等は、前記各突起31,33同士の間隙から、吸引気流と共に前記吸込口14に流入し、集塵手段4にて吸引気流から分離される。なお、前記各長突起31は、前述したように、撓んだ状態で前記絨毯Cの毛を梳くので、この絨毯Cを傷めにくくすることができる。一方、前記各短突起33は、殆ど撓まないものの、前記絨毯Cの表層部に軽く接し、この表層部のみを梳くので、前記絨毯Cを傷めにくくすることができるばかりでなく、前記各短突起33が前記絨毯Cを梳く際の抵抗を小さくすることができる。また、前記短突起33は、その先端部が前記絨毯Cの表層部に接するので、その先端部によって前記絨毯Cの表層部を効果的に梳くことができる。このため、本実施形態の前記ノズル30は、本実施形態の長突起31の数と短突起33の数の和と同数の長突起を設けた構造に比べ、比較的小さな力で絨毯Cを梳いて、良好に清掃することができる。
【0026】
なお、前記絨毯Cの毛足が短い場合、前記短突起33は前記絨毯Cに触れない可能性がある。この場合、前記長突起31のみによって、前記絨毯Cに付着した抜け毛等が梳き出される。しかしながら、毛足の短い前記絨毯Cは、毛足の長いものよりも抜け毛等が梳き出され易い。従って、毛足の短い前記絨毯Cの場合、前記長突起31のみであっても、抜け毛等を良好に梳き出すことができる。
【0027】
被清掃物がふとん等である場合、このふとん等の上に前記ノズル30を押し当てると、図10に示すように、負圧によってふとん等の表面の布Fが前記吸込口14に吸引される。しかしながら、前記各突起31,33によって、前記ノズル30の底面13と布Fとの間に隙間が確保されるので、前記吸込口14を塞ぐことなく、所定量の吸引気流を確保することができる。このように、所定量の吸引気流が確保された状態で、前記ふとん等の表面の布Fに沿って矢印A方向に前記ノズル30を動かすと、前記各長突起31は、撓みながら前記布Fの表面に付着した抜け毛等を掻き集める。一方、前記各短突起33は、前記布Fが吸引されることで、その先端部が前記布Fと接した場合、前記各長突起31よりも軽く前記布Fと接し、前記布Fに付着した抜け毛等を掻き集める。そして、この掻き集められた抜け毛等は、前記各突起31,33同士の間隙から、吸引気流と共に前記吸込口14に流入し、前記集塵手段4にて吸引気流から分離される。なお、前記各長突起31は、前述したように、撓んだ状態で前記ふとん等の表面の布Fに接するので、この布Fを傷めにくくすることができる。一方、前記各短突起33は、殆ど撓まないものの、前述したように、前記ふとん等の表面の布Fに対し軽く接するので、この布Fを傷めにくくすることができる。
【0028】
なお、人や動物の抜け毛等は、梳き出されたり掻き集められたりした際に、前記各突起群32,34に絡み付く可能性がある。しかしながら、前述した通り、前記各突起31,33が先細の円錐形に形成されるので、前記各突起群32,34に絡んだ抜け毛等が、前記ノズル30の動きに伴って、前記各突起31,33の傾斜に沿って抜けるので、前記各突起群32,34に抜け毛等が絡み付かないようにすることができる。
【0029】
以上のように本発明は、吸込口14を有するノズル本体11と、このノズル本体11の吸込口14の近傍に設けられる突起群とを有する電気掃除機1のノズル30において、可撓性を有する材質で前記突起群を構成すると共に、前記突起群を、複数の長突起31からなる長突起群32と、複数の短突起33からなる短突起群34とで構成したことで、前記長突起群32が撓みながら絨毯C等の深層部の抜け毛等を梳き出し、前記短突起群34が撓みながら絨毯C等の表層部の抜け毛等を梳き出すことで、絨毯C等を傷めることなく、効果的に絨毯C等に付着した抜け毛等を掻き集めることができるばかりでなく、前記短突起群34が絨毯C等の表層部を擦るように梳くことで、前記短突起群34と絨毯C等との抵抗を小さくすることができるので、突起数を多くしながらも、比較的軽い力で絨毯C等から抜け毛等を良好に梳き出すことができるものである。
【0030】
また、前記各突起群32,34を構成する各突起31,33を錐状としたことにより、前記各突起群32,34に絡んだ抜け毛等が、前記ノズル30の動きに伴って、前記各突起31,33の傾斜に沿って抜けるので、前記各突起群32,34に抜け毛等が絡み付かないようにすることができるものである。
【0031】
次に、本発明の第三の実施形態について、図11乃至図16に基づいて説明する。なお、本実施形態でも、ノズル50のみについて説明し、掃除機本体2及び集塵手段4については説明を省略する。また、前記ノズル50についても、第一及び第二の実施形態と共通する部分については共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
前記ノズル50は、横長のノズル本体11と、このノズル本体11に対して回動可能に取り付けられる接続部材12とを有して構成される。そして、前記ノズル本体11は、その底面13の中央に吸込口14が形成される。また、この吸込口14を挟むように、前記底面13に、複数の長突起51から構成される長突起群52と、複数の第一短突起53から構成される第一短突起群54と、複数の第二短突起55から構成される第二短突起群56が設けられる。なお、前記第一短突起53は、前記長突起51よりも短く、且つ、前記第二短突起55よりも長く形成される。また、前記各長突起51、第一短突起53及び第二短突起55は、前記ノズル本体11の下部に取り付けられる基部57と一体に形成される。
【0033】
前記各長突起51、第一短突起53及び第二短突起55は、エラストマー等の軟質合成樹脂やシリコンゴム等、可撓性を有すると共に弾性変形可能な素材によってそれぞれ構成される。また、前記各長突起51、第一短突起53及び第二短突起55は、それぞれ下端側が尖った略円錐状に形成される。なお、前記各長突起51、第一短突起53及び第二短突起55は、図11及び図12に示すように、全体として円錐状であれば、その下端部を丸めた形状であっても良い。そして、前記長突起群52は、一対の長突起列58,59により構成される。また、前記第一短突起群54は、一対の第一短突起列60,61により構成される。更に、前記第二短突起群56は、一対の第二第二短突起列62,63により構成される。これらの長突起列58,59、第一短突起列60,61及び第二第二短突起列62,63は、それぞれ左右方向に延びて設けられる。また、前記各長突起列58,59、第一短突起列60,61及び第二第二短突起列62,63は、互いに平行に設けられる。そして、前記第一短突起列60は、前記長突起列58よりも後方に設けられると共に、前記第二第二短突起列62は、前記第一短突起列60よりも後方に設けられる。一方、前記第一短突起列61は、前記長突起列59よりも前方に設けられると共に、前記第二短突起列63は、前記第一短突起列61よりも前方に設けられる。即ち、前記各第二短突起列62,63は、前記各第一短突起列60,61よりも前記吸込口14に近い位置に設けられると共に、前記各第一短突起列60,61は、前記各長突起列58,59よりも前記吸込口14に近い位置に設けられる。更に、前記各長突起列58,59を構成する長突起51同士の間隔と、前記各第一短突起列60,61を構成する第一短突起53同士の間隔と、前記各第二短突起列62,63を構成する第二短突起55同士の間隔は、等しく構成されている。そして、前記各第一短突起53は、図11に示すように、正面視で、前記各長突起51の間に位置する。また、前記各第二短突起55は、前記各長突起51と前後に重なる。即ち、前記各長突起51と第一短突起53と第二短突起55は、千鳥状に配列される。
【0034】
次に、本実施形態の作用について説明する。被清掃物が毛足の長い絨毯Cである場合、この絨毯C上に前記ノズル50を押し当てると、図14に示すように、前記各長突起51は撓んだ状態で前記絨毯Cの深層部に到達する。これに対し、前記各第一短突起53は、殆ど撓まずに、その先端部が前記絨毯Cの中層部に達する。また、前記各第二短突起55は、殆ど撓まずに、その先端部が前記絨毯Cの表層部に接触する。このような状態で、前記絨毯Cに沿って矢印A方向に前記ノズル50を動かすと、前記各長突起51は、前記絨毯Cの全層に亘って前記絨毯Cの毛の間に入り込んで、抜け毛等を梳き出す。また、前記各第一短突起53は、前記絨毯の表層部から中層部に亘って前記絨毯Cの毛の間に入り込んで、抜け毛等を梳き出す。更に、前記各第二短突起55は、前記絨毯Cの表層部において前記絨毯Cの毛の間に入り込んで、抜け毛等を梳き出す。そして、この梳き出された抜け毛等は、前記各突起51,53,55同士の間隙から、吸引気流と共に前記吸込口14に流入し、集塵手段4にて吸引気流から分離される。なお、前記各長突起51は、前述したように、撓んだ状態で前記絨毯Cの毛を梳くので、この絨毯Cを傷めにくくすることができる。前記各第一短突起53も、前記絨毯Cの毛との抵抗によって僅かに撓みながら前記絨毯Cの毛を梳くので、この絨毯Cを傷めにくくすることができる。一方、前記各第二短突起55は、殆ど撓まないものの、前記絨毯Cの表層部に軽く接し、この表層部のみを梳くので、前記絨毯Cを傷めにくくすることができる。そして、前記第一短突起53は、前記絨毯Cの中層部までしか届かないので、前記第一短突起53が前記絨毯Cから受ける抵抗は、前記長突起51が前記絨毯Cから受ける抵抗よりも小さい。また、前記第二短突起55は、前記絨毯Cの表層部までしか届かないので、前記第二短突起55が前記絨毯Cから受ける抵抗は、前記長突起51や第一短突起53が前記絨毯Cから受ける抵抗よりも小さい。また、前記第二短突起55は、その先端部が前記絨毯Cの表層部に接するので、その先端部によって前記絨毯Cの表層部を効果的に梳くことができる。このため、本実施形態の前記ノズル50は、本実施形態の長突起51の数と第一短突起53の数と第二短突起55の数の和と同数の長突起を設けた構造に比べ、比較的小さな力で絨毯Cを梳いて、良好に清掃することができる。
【0035】
なお、前記絨毯Cの毛足がやや短い場合、前記第二短突起55は前記絨毯Cに触れない可能性がある。この場合、図15に示すように、前記長突起51及び第一短突起53のみによって、前記絨毯Cに付着した抜け毛等が梳き出される。そしてこの場合、前記第一短突起53の先端は、前記絨毯Cの表層部までしか届かない。しかしながら、毛足のやや短い前記絨毯Cは、毛足の長いものよりも抜け毛等が梳き出され易い。従って、毛足のやや短い前記絨毯Cの場合、前記長突起51と第一短突起53のみであっても、抜け毛等を良好に梳き出すことができる。即ち、この場合、前記第一短突起53が前述した第一の実施形態における前記短突起17の代わりとなることで、第一の実施形態の場合と同様に作用する。また、前記絨毯Cの毛足が短い場合、前記第一短突起53も前記絨毯Cに触れない可能性がある。この場合、前記長突起51のみによって、前記絨毯Cに付着した抜け毛等が梳き出される。しかしながら、毛足の短い前記絨毯Cは、毛足の長いものや毛足のやや短いものよりも抜け毛等が梳き出され易い。従って、毛足の短い前記絨毯Cの場合、前記長突起51のみであっても、抜け毛を良好に梳き出すことができる。
【0036】
被清掃物がふとん等である場合、このふとん等の上に前記ノズル50を押し当てると、図16に示すように、負圧によってふとん等の表面の布Fが前記吸込口14に吸引される。しかしながら、前記各突起51,53,55によって、前記ノズル50の底面13と布Fとの間に隙間が確保されると共に、前記長突起列58と第一短突起列60との間、この第一短突起列60と第二短突起列62との間、前記第二短突起列63と第一短突起列61との間、及びこの第一短突起列61と長突起列59との間にも隙間が確保されるので、前記吸込口14を塞ぐことなく、所定量の吸引気流を確保することができる。このように、所定量の吸引気流が確保された状態で、前記ふとん等の表面の布Fに沿って矢印A方向に前記ノズル50を動かすと、前記各長突起51は、撓みながら前記布Fの表面に付着した抜け毛等を掻き集める。一方、前記第一短突起53及び各第二短突起55は、前記布Fが吸引されることで、その先端部が前記布Fと接するため、前記各長突起51よりも軽く前記布Fと接し、前記布Fに付着した抜け毛等を掻き集める。そして、この掻き集められた抜け毛等は、前記各突起51,53,55同士の間隙から、吸引気流と共に前記吸込口14に流入し、集塵手段4にて吸引気流から分離される。なお、前記各長突起51は、前述したように、撓んだ状態で前記ふとん等の表面の布Fに接するので、この布Fを傷めにくくすることができる。一方、前記各第一短突起53及び第二短突起55は、殆ど撓まないものの、前述したように、前記ふとん等の表面の布Fに対し軽く接するので、この布Fを傷めにくくすることができる。
【0037】
なお、人や動物の抜け毛等は、梳き出されたり掻き集められたりした際に、前記各突起群52,54,56に絡み付く可能性がある。しかしながら、前述した通り、前記各突起51,53,55が先細の円錐形に形成されるので、前記各突起群52,54,56に絡んだ抜け毛等が、前記ノズル50の動きに伴って、前記各突起51,53,55の傾斜に沿って抜けるので、前記各突起群52,54,56に抜け毛等が絡み付かないようにすることができる。
【0038】
以上のように本発明は、吸込口14を有するノズル本体11と、このノズル本体11の吸込口14の近傍に設けられる突起群とを有する電気掃除機1のノズル50において、可撓性を有する材質で前記突起群を構成すると共に、前記突起群を、複数の長突起51からなる長突起群52と、複数の第一短突起53からなる第一短突起群54及び複数の第二短突起55からなる第二短突起群56とで構成したことで、前記長突起群52が撓みながら絨毯C等の深層部の抜け毛等を梳き出し、前記第一短突起群54が撓みながら絨毯C等の中層部の抜け毛等を梳き出し、前記第二短突起群56が撓みながら絨毯C等の表層部の抜け毛等を梳き出すことで、絨毯C等を傷めることなく、効果的に絨毯C等に付着した抜け毛等を掻き集めることができるばかりでなく、前記第一短突起群54が絨毯C等の中層部から表層部にかけて梳くと共に前記第二短突起群56が絨毯C等の表層部を擦るように梳くことで、前記各短突起群54,56と絨毯C等との抵抗を小さくすることができるので、突起数を多くしながらも、比較的軽い力で絨毯C等から抜け毛等を良好に梳き出すことができるものである。
【0039】
また、前記各突起群52,54,56を構成する各突起51,53,55を錐状としたことにより、前記各突起群52,54,56に絡んだ抜け毛等が、前記ノズル50の動きに伴って、前記各突起51,53,55の傾斜に沿って抜けるので、前記各突起群52,54,56に抜け毛等が絡み付かないようにすることができるものである。
【0040】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した第一及び第三の実施形態では、吸込口から離れた位置の突起列ほど突起の長さが長くなるように構成したが、突起列の位置とその突起列を構成する突起の長さの関係は任意である。また、第二の実施形態では、長突起と短突起とを交互に並べた突起列を、それぞれ吸込口の前後に一列ずつ設けたが、そのような突起列をそれぞれ吸込口の前後に複数列設けても良い。また、第三の実施形態では、短突起群を二種類の長さの短突起によって構成したが、短突起群を三種類以上の長さの短突起によって構成しても良い。更に、長突起と第一短突起とを交互に並べた突起列と、第一短突起と第二短突起とを交互に並べた突起列とを並べて設けるようにしても良い。
【0041】
また、突起は、全体として先端側を細くした略錐形状になっていれば良い。従って、突起は、図17(a)に示すように、先端をより尖らせた形状であっても良い。また、突起は、図17(b)に示すように、先端に球状部等の膨出した部分を設けた形状であっても良い。また、突起は、図17(c)に示すように、先端に円柱状部分を設けた形状であっても良い。また、突起は、図17(d)に示すように、基端に円柱部分を設けた形状であっても良い。更に、突起は、多角錐等、円錐以外の錐形状であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
3,30,50 ノズル
11 ノズル本体
14 吸込口
15,31,51 長突起
16,32,52 長突起群
17,33 短突起
18,34 短突起群
53 第一短突起(短突起)
54 第一短突起群(短突起群)
55 第二短突起(短突起)
56 第二短突起群(短突起群)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を有するノズル本体と、このノズル本体の吸込口の近傍に設けられる突起群とを有する電気掃除機のノズルにおいて、
前記突起群が、可撓性を有する材質で構成され、
前記突起群が、複数の比較的長い突起からなる長突起群と、複数の比較的短い突起からなる短突起群とを有して構成されることを特徴とする電気掃除機用ノズル。
【請求項2】
前記突起群を構成する各突起が錐状であることを特徴とする請求項1記載の電気掃除機用ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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