説明

電気掃除機用集塵袋

【課題】細塵を確実に捕集できるとともに集塵量を確保できる集塵パックを提供する。
【解決手段】濾材16aにより袋状に形成した外袋紙16内に、繊維17aにより団塊状に形成した細塵捕集体17を設けることで、電動送風機の駆動により空気とともに吸い込んだ塵埃のうち、細塵は細塵捕集体17により確実に捕集でき、細塵よりも大きい塵埃は外袋紙16内の間隙23に捕集できる。細塵の殆どが細塵捕集体17に捕集されるので、細塵により外袋紙16が目詰まりして電動送風機の吸込力が低下することを抑制できるから、集塵パック12内の塵埃収容空間を有効に利用でき、集塵量を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動送風機の駆動により吸い込まれた塵埃を捕集する電気掃除機用集塵袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機用集塵袋は、電動送風機を収容した掃除機本体内に設けられ電動送風機の吸込側に連通する集塵室内に取り付けられる。そして、この電気掃除機用集塵袋は、開口を備え集塵室に固定される口枠と、この口枠に設けられパルプや合成繊維などで形成された複数の濾材により層状に形成された集塵袋本体とを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2−116338号公報(第2−4頁、第1図および第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の電気掃除機用集塵袋で微細な塵埃を電気掃除機用集塵袋にて捕集する際には、集塵袋本体を構成する濾材の一つを、不織布繊維の一層に置き換えて帯電処理を施すことがある。
【0004】
しかしながら、このような電気掃除機用集塵袋では、細塵が集塵袋本体の内側表面に付着してこの集塵袋本体が目詰まりし、集塵袋本体のフィルタ機能および電動送風機による吸込力が低下するため、捕集した塵埃を収容する空間が殆ど空洞であるにも拘らず、集塵袋本体の内側表面分しか集塵できなくなってしまうという問題点を有している。
【0005】
そして、電気掃除機を停止させると集塵袋本体の内側表面に付着した塵埃が剥がれ落ち、再度電気掃除機を駆動させると、この剥がれ落ちた塵埃が舞い上がって集塵袋本体の内側表面を目詰まりさせるという挙動を繰り返してしまう。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、細塵を確実に捕集できるとともに集塵量を確保できる電気掃除機用集塵袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、濾材により袋状に形成された集塵袋本体と、この集塵袋本体内に設けられ、繊維により団塊状に形成された細塵捕集体とを具備したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、濾材により袋状に形成した集塵袋本体内に、繊維により団塊状に形成した細塵捕集体を設けることで、この細塵捕集体により細塵を確実に捕集できるとともに細塵が集塵袋本体に目詰まりすることを抑制でき、集塵量を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0010】
図3において、1は掃除機本体で、この掃除機本体1は、内部に収容された電動送風機2の駆動にて生じる吸気風とともに吸い込んだ塵埃を捕集する。さらに、この掃除機本体1は、上部が開放された下ケース1aと、この下ケース1aの上部に取り付けられる上ケース1bと、下ケース1aの上部を開閉可能に閉塞する蓋体1cとを備えている。
【0011】
また、この掃除機本体1には、外部から空気を吸引する本体吸込口3が開口されている。この本体吸込口3には、可撓性を有し湾曲可能な細長略円筒状のホース体4が連通接続されている。このホース体4の先端には、電動送風機2の動作モードなどが選択可能な手元操作部5が設けられている。この手元操作部5には、掃除機本体1内の電動送風機2などを複数の駆動モードに設定する複数の設定ボタン6が設けられているとともに、掃除する際に作業者が把持する把持部7が基端側に向けて突設されている。
【0012】
さらに、この手元操作部5の先端には、伸縮可能な細長略円筒状の延長管8が着脱可能に連通接続されている。またさらに、この延長管8の先端には、例えば室内の床面の絨毯などの上に載置させて、この絨毯上の塵埃を吸い込む吸込口体としての床ブラシ9が着脱可能に連通接続されている。
【0013】
また、掃除機本体1内には、本体吸込口3の下流側かつ電動送風機2の吸込側にそれぞれ連通した四角形状の空間部である集塵室11が設けられている。この集塵室11は、掃除機本体1の前寄りに位置し、蓋体1cにより下ケース1aの上部を開けることで、上部が掃除機本体1の外部に露出する。そして、この集塵室11には、図1および図2に示す電気掃除機用集塵袋としての使い捨て用の集塵パック12が着脱可能に取り付けられる。
【0014】
この集塵パック12は、四角形板状の口枠15と、この口枠15に一体的に取り付けられる集塵袋本体としての外袋紙16と、この外袋紙16内に収容された細塵捕集体17とを備え、袋状に形成されている。そして、この集塵パック12は、図2に示すように偏平に折り畳まれた状態で集塵室11に取り付けられ、電動送風機2の駆動により吸い込まれた空気が通過すると図1に示すように集塵室11内で膨らみ、外袋紙16の内部に塵埃を収容する。
【0015】
口枠15は、集塵パック12を集塵室11に取り付ける際に集塵室11内に固定される被固定部となるもので、例えば硬質の厚紙などで形成され、中央部に円形状の開口21が開口形成されている。そして、この開口21は、外袋紙16内に連通して集塵パック12の吸込口となるもので、集塵パック12を集塵室11に取り付けた際に、本体吸込口3の吸込側に連通して集塵室11内に突出した図示しない連通管が挿入されて接続される。なお、この開口21には、図示しないが、塵埃の逆流防止用の弁体を取り付けてもよい。
【0016】
また、外袋紙16は、例えば紙、不織布、あるいはウレタンの繊維などで平面視矩形状に形成された複数の濾材16aを重ね合わせたシートを袋状にして形成されている。さらに、この外袋紙16は、接着剤を介して口枠15に一体的に貼着されている。なお、この外袋紙16は、濾材16aにてそれぞれ形成された袋状のシートを重ねて形成してもよい。
【0017】
そして、細塵捕集体17は、多数の繊維17aにより団塊状に形成され、これら繊維17aにより内部に三次元網目構造が形成されているとともに、周囲が複数の紐帯状の連結体22により外袋紙16の内面に連結されている。このため、この細塵捕集体17は、図2に示すように、集塵パック12を折り畳んだ状態で圧縮されて外袋紙16の内部に収容され、集塵パック12がスペースを占有しないようになっている。
【0018】
さらに、この細塵捕集体17は、図1に示すように、外袋紙16が展開した状態で、この外袋紙16の内面との間に間隙23が形成される大きさとなっている。この間隙23は、集塵パック12に吸い込まれた細塵よりも大きい綿ごみなどの塵埃を収容する空間部である。
【0019】
また、繊維17aは、例えばポリエステルなどの化学繊維であり、予め帯電処理が施されている。なお、これら繊維17aは、天然繊維とすることも可能であるが、帯電処理は化学繊維の方が容易であることを考慮すると、帯電処理をする場合には化学繊維とすることが好ましい。
【0020】
さらに、連結体22は、細塵捕集体17の周囲に略均等にそれぞれ配置されている。また、これら連結体22は、外袋紙16を最大に折り畳んだ状態での細塵捕集体17の表面と、外袋紙16の展開状態での内側表面との間の距離よりも小さく形成されている。この結果、連結体22は、外袋紙16の展開に伴い、細塵捕集体17を前後、左右および上下などに略均等に、かつ、強制的に伸張させるとともに、この細塵捕集体17の略中心を開口21の中心線C上に位置させ、間隙23が細塵捕集体17と外袋紙16との間で略均等に全周に形成されるように、すなわち、展開状態の外袋紙16の中心近傍に細塵捕集体17が位置するように、この細塵捕集体17を位置決めする。
【0021】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0022】
まず、掃除機本体1の蓋体1cを開け、集塵室11を露出させた後、口枠15を集塵室11内の図示しない固定部に固定して集塵パック12の外袋紙16を集塵室11内に配置させ、蓋体1cを閉めて、手元操作部5の所定の設定ボタン6を押して電動送風機2を所定の駆動モードで駆動させる。
【0023】
このとき、集塵パック12は、電動送風機2の駆動により吸い込まれた吸込風によって外袋紙16が図2に示す折り畳み状態から図1に示す展開状態に膨らみ、この外袋紙16の展開に伴い、連結体22により周囲が引っ張られて細塵捕集体17が開口21に対向した状態で強制的に伸張されて拡がる。
【0024】
さらに、床ブラシ9を床面に載置させ、この床面上を前後に走行させて床面上の塵埃を空気とともに吸い込む。
【0025】
床ブラシ9から空気とともに吸い込まれた塵埃は、延長管8、ホース体4および本体吸込口3を順次通過して集塵パック12内へと、開口21から吸い込まれる。
【0026】
そして、比較的大きい塵埃は、集塵パック12の間隙23内に収容されるとともに、細塵は開口21から流入した空気が細塵捕集体17を通過する際にこの細塵捕集体17の繊維17aに吸い付けられて絡め取られ、捕集および保持される。
【0027】
この後、塵埃を捕集された空気は、外袋紙16を通過した後、電動送風機2の吸込側へと吸い込まれ、図示しない排気口から掃除機本体1の外部へと排気される。
【0028】
そして、集塵パック12内に所定量の塵埃が溜まると、蓋体1cを開けて集塵パック12を集塵室11から取り外して塵埃とともに廃棄し、新たな集塵パック12を集塵室11に配置して蓋体1cを閉め、電気掃除機を再度使用する。
【0029】
上述したように、上記一実施の形態によれば、濾材16aにより袋状に形成した外袋紙16内に、繊維17aにより団塊状に形成した細塵捕集体17を設けることで、電動送風機2の駆動により空気とともに吸い込まれた塵埃のうち、細塵は細塵捕集体17により確実に捕集でき、細塵よりも大きい塵埃は外袋紙16内の間隙23に収容されて捕集できる。
【0030】
また、細塵の殆どが細塵捕集体17に捕集されるので、細塵により外袋紙16が目詰まりして電動送風機2の吸込力が低下することを抑制できるから、集塵パック12内の塵埃収容空間を有効に利用でき、集塵量を確保できる。
【0031】
しかも、細塵捕集体17は、繊維17aが三次元網目構造となっているので、電気掃除機の駆動を停止させても、捕集した細塵が細塵捕集体17内に保持されるため、電気掃除機を再駆動させた際などに、一旦捕集した細塵が細塵捕集体17から剥がれ落ちるなどして外袋紙16を目詰まりさせることなどもなく、集塵パック12の集塵量を一杯に使い切ることができる。
【0032】
さらに、細塵捕集体17を、繊維17aにより団塊状に形成することで、集塵パック12の使用前には、集塵パック12を扁平な状態に折り畳んでおくことができるので、集塵パック12の流通および保管などの際に必要以上にスペースを取ることもない。
【0033】
そして、細塵捕集体17の繊維17aに帯電処理を施すことで、細塵が繊維17aに吸い付けられるので、細塵捕集体17で細塵をより確実に捕集および保持できる。
【0034】
また、細塵捕集体17を連結体22により外袋紙16の内面に連結することで、外袋紙16が折り畳み状態から展開すると、この展開に伴って細塵捕集体17が連結体22により強制的に伸張されて拡がるので、細塵捕集体17の細塵の捕集容量を有効に利用できるとともに、集塵パック12に吸い込まれた吸込風により下流側すなわち後側の外袋紙16の内側表面に細塵捕集体17が押し付けられて外袋紙16を目詰まりさせることも防止できる。
【0035】
さらに、細塵捕集体17を開口21に対向させて位置させることで、開口21から吸い込まれた細塵を含む吸込風を、細塵捕集体17に確実に通過させることができ、細塵捕集体17で細塵をより確実に捕集できる。
【0036】
そして、細塵捕集体17の大きさを、展開状態の外袋紙16の内部の大きさよりも小さくして細塵捕集体17の周囲に間隙23を形成することで、細塵よりも大きい塵埃をこの間隙23に収容でき、集塵量を確保できる。
【0037】
なお、上記一実施の形態において、特に細塵のみを捕集する場合には、細塵捕集体17の最大の大きさを、展開状態の外袋紙16の内部の大きさと略等しくしてもよい。
【0038】
また、電気掃除機としては、キャニスタ型の電気掃除機に限らず、床ブラシ9が掃除機本体1の下面に直接形成されたアップライト型、その他、掃除機本体1と床ブラシ9とが一体化された自走式の電気掃除機あるいはハンディ型などであっても対応させて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態の電気掃除機用集塵袋の展開状態を示す側面断面図である。
【図2】同上電気掃除機用集塵袋の折り畳み状態を示す側面断面図である。
【図3】同上電気掃除機用集塵袋を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
2 電動送風機
12 電気掃除機用集塵袋としての集塵パック
16 集塵袋本体としての外袋紙
16a 濾材
17 細塵捕集体
17a 繊維
21 開口
22 連結体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機の駆動により吸い込まれた塵埃を捕集する電気掃除機用集塵袋であって、
濾材により袋状に形成された集塵袋本体と、
この集塵袋本体内に設けられ、繊維により団塊状に形成された細塵捕集体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機用集塵袋。
【請求項2】
細塵捕集体は、帯電処理が施されている
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項3】
細塵捕集体は、表面が連結体により集塵袋本体の内面に連結されている
ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項4】
集塵袋本体内に連通し塵埃を吸い込む開口を具備し、
細塵捕集体は、前記開口に対向して位置する
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の電気掃除機用集塵袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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