説明

電気掃除機用集塵袋

【課題】 電気掃除機用集塵袋において、漏れが少なく集塵効率の良いものにすることにあり、また微細ゴミも有効に除去でき、環境面や健康面からも優れた性能を有する電気掃除機用集塵袋および電気掃除機を提供することにある。
【解決手段】 電気掃除機用集塵袋が、メルトブロー不織布からなる中間層材とその両面に外層材と内層材を有するフィルター層A、Bからなり、そのA層とB層が互いに内層材を内側にして積層され、袋周辺部が接合されることにより構成されており、この袋周辺部の接合の一部が、層Aの内層材と中間層材との接合部(Sa−1)、層Aと層Bの接合部(Sc)、層Bの内層材と中間層材との接合部(Sb−1)とが、袋の厚み方向の断面において接着剤が貫通する部分を有するように接合されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機用集塵袋に関し、特に、袋の接合部からの漏れが少ない、フィルター特性の良い高品質の電気掃除機用集塵袋に関する。

【背景技術】
【0002】
電気掃除機用集塵袋の袋の形成には、一層のフィルター層からなり、フィルター層の内層材と外層材が接合されることによって筒を形成し、前後をシールすることによって袋を形成する方式(胴貼方式、例えば特開平11−285460、特開2001−120476)が一般的である。また他の方式として、二層のフィルター層を用いて、フィルター層Aの内層材層と、フィルター層Bの内層材層とが接合されて袋が形成される方式(合掌方式)がある。胴貼方式は、袋の側面を折り畳みギャザーまたはガゼットを構成し、さらに袋の前後に折り返し接合部を有しており、コンパクトな形式の袋とすることができることに特徴を有する。合掌方式は、形状が単純で製造が容易であることや、フィルターA層とB層の特性を異にする組み合わせを可能にするなどの特徴を有する。本発明は、従来の合掌方式を改善した発明を提供することを目的とする。
【0003】
従来の合掌方式は、その接合方式が融着(超音波接着を含め、フィルターを構成する繊維を融かすことで層間を接合する方式)によって行われている。しかしその融着方式では、繊維が融解することにより繊維の切断やフィルター層に切れ目が生じ、特に中間層材のメルトブロー不織布が融解して切断することにより漏れが生じ、集塵効率の良い電気掃除機用集塵袋とはなりえない問題点があった。当然、接着剤による接合方式も想定されるが、単に接着剤によって接合したのみでは、不織布の内部や層間を通じて漏れが生じ易く、高性能な集塵袋とはなりえなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−285460号公報(第1−2頁、第3図)
【特許文献2】特開2001−120476号公報(第1−2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、電気掃除機用集塵袋の合掌方式の袋において、漏れが少なく集塵効率の良いものにすることにある。また本発明は、微細ゴミも有効に除去でき、環境面や健康面からも優れた性能を有する電気掃除機用集塵袋および電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであって、本発明の電気掃除機用集塵袋は、袋の一面に吸引口を有し、フィルター層Aとフィルター層Bがメルトブロー不織布からなる中間層材とその両面に外層材と内層材を有し、互いに内層材を内側にして積層され、袋周辺部が接合されることにより構成されており、この袋周辺部の接合の一部が、層Aの内層材と中間層材との接合部(Sa−1)、層Aと層Bの接合部(Sc)、層Bの内層材と中間層材との接合部(Sb−1)とが、袋の厚み方向の断面において接着剤が貫通する部分を有するように接合されていることを特徴とする。また前記貫通する接合部のさらに袋の周辺部において、前記フィルター層Aの外層材と前記フィルター層Bの外層材とが接合されている電気掃除機用集塵袋に関する。また前記貫通する接合部のさらに袋の周辺部において、前記フィルター層Aの外層材、中間層材、内層材と、前記フィルター層Bの外層材、中間層材、内層材とが接合されている電気掃除機用集塵袋に関する。また本発明は、前記袋周辺部の接着剤接合において、前記袋断面の貫通部を複数有する請求項1の電気掃除機用集塵袋に関する。さらに本発明は、前記電気掃除機用集塵袋を装着してなる電気掃除機に関する。
【0007】
本発明は、電気掃除機用集塵袋に関する。電気掃除機用集塵袋は、近年、吸引力を上昇させると同時に健康志向から排気空気中の大気塵、ダニの死骸や糞、花粉などの微細ゴミの量を極限まで減少させることが求められている。そのような要件の下、掃除機への負担を減らすべく、圧力損失の減少、長期にわたる耐久性や捕集性能が求められる。このようにますます高品質のフィルター機能が求められており、従来の合掌方式の袋の接合方式では、求められる性能を満足することができなくなってきている。
【0008】
電気掃除機用集塵袋は、フレキシブルな袋からなるが、袋の片面には掃除機本体部へ通じる吸引口を有する支持板が設けられる必要がある。この支持板は、電気掃除機本体に機械的に固定されるため、ある程度硬いしっかりしたものである必要があり、板紙やプラスチックシート等で構成されることが多い。
【0009】
本発明の電気掃除機用集塵袋は、フィルター層Aとフィルター層Bとの内層材層相互間が接合されることによって構成されている。このフィルター層Aとフィルター層Bは、外層材、中間層材、内層材の3種類の材料が積層された構成であることは共通する。そして、それぞれの外層材、中間層材、内層材は、それぞれの層がさらに複数の層からなるようにすることもできる。例えば、中間層材をSMS(スパンボンド不織布−メルトブロー不織布−スパンボンド不織布)のようなケースや、外層材において、2層抄の湿式不織布からなる場合や、単にそれぞれの層材を複数枚使用することもできる。フィルター層Aとフィルター層Bは、通常2枚のフィルター層からなるが、一枚のフィルター層を折り返して使用することもできる。なお、このフィルター層Aとフィルター層Bが2枚からなる場合、それらは同じ構造にすることもできるが、フィルター層Aの外層材は吸引口を有する支持板を設ける必要性などから接合性のある材質とし、フィルター層Bの外層材は、耐衝撃性のある材質にするなど、異なった構造や材質にすることもできる。
【0010】
本発明における外層材は、中間層材となるメルトブロー不織布を保護する役目や、袋全体の強度を有する必要性や、この集塵袋に吸引口を有する支持板を取り付ける必要性や、集塵袋が掃除機本体との摩擦に耐える必要性や、袋の電気掃除機からの脱着の必要性などのため、力学的強度を要する。また、支持板や中間層材であるメルトブロー不織布との接着接合性の良い素材であることが望ましい。しかし、それらの特性を有しながら、フィルター性能をできるだけ妨げないものが望ましい。それらの特性から、本発明の外層材は不織布であって、特にスパンボンド不織布又は湿式不織布であることが望ましい。また、トウ開繊不織布や直交不織布、クロスレイ不織布等も使用することができる。
【0011】
本発明の中間層材には、メルトブロー不織布が使用され、フィルター層のフィルター機能の中核をなす。メルトブロー不織布のフィルター機能が向上されたものは、柔軟で嵩高であるため力学的強度が著しく低く、製袋や接着加工時の取扱性が悪い。そのため、外層材や内層材で保護して使用する必要がある。なお、このメルトブロー不織布は、エレクトレット加工されていることが望ましい。
【0012】
本発明の内層材は、メルトブロー不織布の保護やメルトブロー不織布と内層材および内層材相互の接着適合性をアップするために使用される。本発明の内層材は不織布であって、特に乾式不織布、スパンボンド不織布、湿式不織布から選ばれた1種の不織布であることが望ましい。またこの内層材には、抗菌性や消臭性、防カビ性などの機能を持たせることが好ましい。
【0013】
本発明の電機掃除機用集塵袋の袋形成方式は、フィルター層Aとフィルター層Bが、互いにその内層材が接合されることによって構成される合掌方式が採用される。合掌方式は、製袋が容易であることや、フィルター層Aは、掃除機からの吸引口を設けるための吸引口を有する支持板との接合性を重視し、フィルター層Bは吸引されてきた金属などに対する衝撃特性を高めた構造にするなど、フィルター層Aとフィルター層Bとの特性を異にする組み合わせを可能にする。また、胴貼方式のように折り返し部を有しないため、歩留も良いことも特徴である。本発明は、従来の合掌方式を改善した発明を提供することを目的とする。
【0014】
本発明の電気掃除機用集塵袋は、袋周辺部が接合されて袋が形成されるが、その袋の形状は通常4角形であるが、6角形、8角形、楕円形など種々の形状をとることができる。袋周辺部とは、袋の外縁部の内側で、同じ材料で袋の容積を出来るだけ大きくとれるよう、できるだけ外縁部に近い場所が望ましいが、高速生産における接合精度や接合作業の容易性から決められる。通常、外縁部から1〜20mm内側であることが望ましい。
【0015】
本発明における集塵袋の周辺部の接合は、本発明のフィルター層が1枚のフィルター層からなり折り返すことで構成されている場合は、その折り返し部分は接合する必要がない。また周辺部の接合の全てを、下記に示す接着剤接合である必要はなく、一部の辺では、従来の折り返し接合などを使用してもよい。袋が4角形である場合の例として、袋の前後を従来の折り返し接合とし、両サイドは本発明の接着剤接合とすることもできる(2方接着剤接合)。また、本発明のフィルター層が1枚のフィルター層からなり折り返すことで構成されている場合は、折り返し部分以外の3方を接着剤接合とすることで袋が形成される(3方接着剤接合)。また、フィルター層が1層の場合で、前後を折り返し接合とすると、1方向だけ接着剤接合とすることもできる。しかし通常は、4角形の4辺を接着剤接合することで袋が形成される(4方接着剤接合)。
【0016】
集塵袋の袋周辺部を接合する接合方式としては、大別して融着方式、接着剤方式、機械的接合の3種類がある。融着方式は、接合部分を構成する材料そのものが融解されて接合する方式で、外部から接着性物質(接着剤)を使用することはない。融着方式には、ヒートシーラーなどによる加熱圧着による方式や、超音波接着、高周波接着、誘電加熱接着などの方式がある。合掌方式での電気掃除機用集塵袋は、現在は融着方式による接合が採用されているが、フィルター層を形成する繊維素材を上記のように融解するため、繊維の有する強度を失い、また、不織布は厚みムラがあるため、融着が不十分な部分や過度の融着でメルトブロー不織布が切断して切れ目が生じて穴が開いてしまうなど、品質上の問題点がある。また、繊維が融着しているため力学的に強度を失っており、長期にわたる耐久性や捕集性能が劣化してくる問題点もあった。機械的接合は、糸による縫合や針などによる接合である。しかし、機械的接合は、糸や針の間でフィルター性能を著しく損なうことや、糸や針を通じて空気が漏れることより、フィルター分野では一般に採用されていない。
【0017】
本発明は、融着方式や機械的接合の問題点を回避するため、合掌方式での電気掃除機用集塵袋の接合方式として、接着剤方式を採用する。集塵袋のフィルター層は多層構造をなしているため、それぞれの層間を単に接着剤で接合するのみでは、本発明の目的である集塵効率の良い集塵袋とはなりえない。本発明では、袋周辺部の接合の一部が、層Aの内層材と中間層材との接合部(Sa−1)、層Aと層Bの接合部(Sc)、層Bの内層材と中間層材との接合部(Sb−1)の袋の厚み方向の断面で接着剤が貫通する部分を有するように接着剤により接合されていることを特徴とする。袋周辺部の接合の一部としたのは、本発明の合掌方式における袋周辺部の接合にあっては、上記のように1方接着剤接合、2方接着剤接合、3方接着剤接合の場合のように、本発明の接着剤接合を必ずしも必要としない辺があるからである。
【0018】
本発明における接着剤接合は、層Aの内層材と中間層材との接合部(Sa−1)、層Aと層Bの接合部(Sc)、層Bの内層材と中間層材との接合部(Sb−1)の袋の厚み方向の断面で接着剤が貫通する部分を有するように接着剤により接合されていることを特徴とする。厚み方向とは、接合部で袋を切断し、そのフィルター層の断面である。本発明では、その断面で接着剤が貫通していることを特徴とし、貫通とは、接着剤がつながって存在していることを意味する。貫通する部分とは、一部に貫通しない部分があっても、その接合部分で必ず貫通する部分を有していれば、必ずしも接合部分全体に渡って貫通していなくてもよい。例えば、接合部分にボイドがあっても、そのボイドの周辺で貫通部分を有していればよい。なお、貫通する接合部は、一つのラインではなく、複数のラインで接合されていることにより、漏れに対する安全性が高い。接着剤コーターのノズルの詰まりなどによる品質の悪化を最小限に防ぐためである。
【0019】
本発明の接着剤接合において使用される接着剤としては、ポリビニルアルコールや澱粉系などの水溶剤接着剤、クロロプレンやニトリルゴムなどを溶剤に溶解した溶剤系接着剤、アクリル系や酢酸ビニル系などのエマルジョン接着剤、エポキシやシアノアクリレートなどの無溶剤系接着剤、室温では固体であるが熱によって溶融して使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とするホットメルト接着剤などがある。これらの接着剤は、不織布中によく含浸し、貫通することができるばかりでなく、フィルター層を構成する繊維を損傷することもないので、本発明における接着剤接合に適合する。これらの接着剤のうち、本発明では、水溶剤接着剤、エマルジョン接着剤、ホットメルト接着剤が、環境を汚染することもなく、作業性もよいので、本発明においては特に好ましい。
【0020】
本発明における前記貫通する接合部のさらに袋の周辺部において、フィルター層Aの外層材とフィルター層Bの外層材とが接合されていることが好ましい。このようにすることによって、袋の強度を維持し、袋がメルトブロー不織布層等で層間剥離をすることを防止できる。なお、フィルター層Aの外層材と、フィルター層Bの外層材の間に、中間層材や内層材の層があっても、それらを介してフィルター層Aの外層材とフィルター層Bの外層材が接合一体化されていてもよい。なおこのいずれの場合の接合も、必ずしも接着剤接合には限定されず、融着等も採用することができる。この接合部は、袋の強度を維持するための接合であって、仮に部分的に接合不良や融着による繊維の切断や切れ目が生じても、袋内部からの塵埃の漏れ防止には影響しない。前記貫通する接合部の存在によって、漏れ防止が実現できているからである。
【0021】
本発明の電気掃除機は、上記本発明の電気掃除機用集塵袋を装着していることを特徴とする。本発明の電気掃除機用集塵袋が装着されることにより、微細なゴミの捕集性の良い高品質な電気掃除機となり、人間の健康を守り居住環境を良くする。

【発明の効果】
【0022】
本発明は、上記のように接合された電気掃除機用集塵袋を備えたことで、漏れが少なくフィルター特性の良い高集塵効率の電気掃除機用集塵袋および電気掃除機とすることができた。特に、大気塵、アレルギーの原因となるダニの死骸や糞、花粉症の原因となる物質などを殆ど透過することがない、健康に良く環境を汚すことのない、合掌方式の電気掃除機用集塵袋を提供することができた。

【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を図面で示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明に使用される合掌方式による電気掃除機用集塵袋の例を示す斜視図である。電機掃除機用集塵袋1は、フィルター層2(フィルター層A)とフィルター層3(フィルター層B)からなり、袋の周辺部が接合部4a、4b、4c、4dで接合されて袋を形成される。電気掃除機用集塵袋1には、吸引口5が開けられている支持板6を有しており、電機掃除機本体(図示していない)より吸引してきた空気が取り込めるようになっている。この支持板6は、外層材を貫通して、中間層材であるメルトブロー不織布と接着剤接合していることが望ましい。なお、接合部4a、4b、4c、4dは、1本の帯で示したが、これらの接合部は必要に応じ複数のラインから構成されてもよい。
【0024】
図2の(A)図は、従来使用されている一般的な胴貼方式による電気掃除機用集塵袋10を示す斜視図である。袋の前後は折り返し接合部11a、11bを有している。袋の胴体部は、フィルター層の外層材12が内層材と接合されている胴貼方式で接合された胴貼部13を有する。胴貼方式では、袋の側面にギャザーまたはガゼットを有しており、このガゼットの折り返し線14a、14bが存在する。図(B)は、折り返し接合部11の構造で、胴貼部13における断面図で示す。図で示すフィルター層a、b、cは、同一のフィルター層からなっている。集塵袋10の内側を内層とし、外側を外層とすると、胴貼部13では、フィルター層の外側の内層材15aと内側の外層材12bとが接合部Maで接合している。中間層材16aは、外側の外層材12aと内層材15aの間に存在し、内側の中間層材16bは、内側の外層材12bと内層材15bの間に存在する。また、図には示していないが、外層材12aと中間層材16a、内層材15aと中間層材16a、外層材12bと中間層材16b、内層材15bと中間層材16bの各層は、胴貼部の任意の位置で、帯状に融着方式や接着剤方式によって接合し、袋の強度を高める場合が多い。もう一方のフィルター層cは、袋内部であるN部の外側に、外層材12c、内層材15c、中間層材16cとからなっており、折り返し部でフィルター層a、b、cが重ねられて折り返される。折り返し部では、さらに接合部Mb、必要に応じてMcを有し、折り返し構造を安定化させている。
【0025】
図3は、本発明に使用される2方接着剤接合や3方接着剤接合の例を示す斜視図である。図(A)は、2方接着剤接合による電気掃除機用集塵袋21の例で、袋の前後を折り返し接合部22a、22bで接合され、袋の両サイドに接着剤接合部23a、23bで形成されている。図(B)は、3方向接着剤接合による電機掃除機用集塵袋26の例を示すもので、フィルター層27が内層材を内側にして折り返されており、折り返し部ではない3方が接合部28a、28b、28cで接着剤接合されて袋が形成されている。また、図(B)の方式で、接合部28a、28cの部分を図(A)の折り返し接合とすることで、接合部28bのみの1方接着剤接合とすることができる。なお、4方接着剤接合は図1で示した。
【0026】
図4は、本発明に使用される接着剤接合の例を示す袋の接合部の断面図を示す。フィルター層31A(フィルター層A)は、中間層材32aの両面に外層材33a、内層材34aが積層されて構成されている。同様に、フィルター層31B(フィルター層B)は、中間層材32bの両面に外層材33b、内層材34bが積層されて構成されている。そして、中間層材32aと内層材34aは、接合部Sa−1で接着剤接合され、中間層材32bと内層材34bは、接合部Sb−1で接着剤接合されている。内層材34aと内層材34bとは、接合部Sc−1で接着剤接合されている。外層材33aと外層材33bは、接合部Sa−1、Sb−1、Sc−1の袋のさらに外側において接合部Sd−1で接合されている。接合部Sd−1は接合部Sa−1、Sb−1、Sc−1に可及的に近い位置が望ましく、これらの一部に重なってもよいが、これらより内側に位置してはならない。本発明においては、接合部Sa−1、Sc−1、Sb−1の間で、接着剤が貫通するように接合されていることが必要である。集塵袋内の微細ゴミを含んだエアーは、点線Aで示すように袋の内部から内層材34、中間層材32、外層材33により濾過されて袋の外に排出される。また実線Pで示すように、袋の内部のエアーが接合部Sa−1、Sc−1、Sb−1で接着剤層に遮られる場合は、点線Eのように中間層材32中を通過して濾過された後、集塵袋の外に排出される。
【0027】
なお、接合部Sa−1、Sc−1、Sb−1の外側に、同様な接着剤が貫通している接着剤接合部Saー3、Sc−2、Sb−3を設ける場合の例を図5に示す。一つの接合部に欠陥があっても集塵効率を損なうことがないからである。また必要に応じ、中間層材32aと外層材33aは、接合部Sa−2で接着剤接合され、中間層材32bと外層材33bは、接合部Sb−2で接着剤接合されているが、その接合場所は、袋周辺部であれば場所は特定されない。本発明における接合部Sa−2、Sb−2における接合は、接着剤接合であることが望ましい。接着剤接合により、中間層材が損傷をできるだけ少なくすることができるからである。本発明における接合部Sd−1は、必ずしも接着剤接合の必要はなく、ヒートシール、溶断、縫製等の他の接合手段でもよい。この部分におけるフィルターすべき空気は、全て中間層材32を通過した空気しか存在せず、フィルター特性には影響しないからである。
【0028】
図6は、接合部Sd−2がフィルター層Aとフィルター層Bの外層材33の他、中間層材32や内層材34も合わせて接合一体化されている例を示す。このようにすることにより、接合工程をより単純化することができる。また接合部Sd−2においても、接合手段は必ずしも接着剤接合の必要はなく、ヒートシール、溶断、縫製等の他の接合手段でもよい。
【0029】
図7は、本発明に適合しない接着剤接合の例を示す袋の接合部の断面図である。この図では、接合部Sa−1、Sc、Sb−1の間で接着剤が貫通するように接合されておらず、集塵袋内部の微細ゴミを含んだエアーは、実線Qで示すように、中間層材34を通過することなく集塵袋の外に排出されてしまう。

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、電気掃除機用集塵袋およびそれが装着された電気掃除機であり、集塵効率の大きなフィルター特性を備えていることより、健康や住環境の向上に寄与する。

【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に使用される合掌方式による電気掃除機用集塵袋の例を示す斜視図。
【図2】従来使用されている胴貼方式による電気掃除機用集塵袋で、図(A)は袋全体を示す斜視図で、図(B)は折り返し接合部の構造を示す断面図。
【図3】本発明に使用される2方接着剤接合や3方接着剤接合の例を示す斜視図。
【図4】本発明に使用される接着剤接合の例を示す袋の接合部の断面図。
【図5】本発明に使用される接着剤接合の他の例を示す袋の接合部の断面図。
【図6】本発明に使用される接着剤接合のさらに他の例を示す袋の接合部の断面図。
【図7】本発明に適合しない接着剤接合の例を示す袋の接合部の断面図。
【符号の説明】
【0032】
1:電気掃除機用集塵袋、 2:フィルター層A、 3:フィルター層B、
4:接合部、 5:吸引口、 6:支持板。
10:電気掃除機用集塵袋、 11:折り返し接合部、 12:外層材、
13:胴貼部、 14:ガゼットの折り返し線、 15:内層材、16:中間層材、
Ma:胴貼接合部、 Mb、Mc:折り返し接合部。
21:電気掃除機用集塵袋、 22:折り返し接合部、 23:接着剤接合部、
26:電気掃除機用集塵袋、 27:フィルター層、 28:接着剤接合部。
31A:フィルター層A、 31B:フィルター層B、 32:中間層材、
33:外層材、 34:内層材、
Saー1、Sb−1:内層材と中間層材との接着剤接合部、
Sa−2、Sb−2:中間層材と外層材との接合部分、
Sa−3、Sb−3:内層材と中間層材との接合部分、
Sc:内層材相互間の接合部、
Sd−1:外層材相互間の接合部、
Sd−2:フィルター層Aとフィルター層Bの外層材、中間層材、内層材が接合一体化されている接合部。
A、E、P、Q:エアーの通路。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の一面に吸引口を有する電気掃除機用集塵袋であって、
該袋は、フィルター層Aとフィルター層Bが、メルトブロー不織布からなる中間層材とその両面に外層材と内層材を有し、互いに該内層材を内側にして積層され、袋周辺部が接合されることにより構成されており、
該袋周辺部の接合の一部が、層Aの内層材と中間層材との接合部(Sa−1)、層Aと層Bの接合部(Sc)、層Bの内層材と中間層材との接合部(Sb−1)とが、袋の厚み方向の断面において接着剤が貫通する部分を有するように接合されていることを特徴とする電気掃除機用集塵袋。
【請求項2】
前記貫通する接合部のさらに袋の周辺部において、前記フィルター層Aの外層材と前記フィルター層Bの外層材とが接合されている請求項1の電気掃除機用集塵袋。
【請求項3】
前記貫通する接合部のさらに袋の周辺部において、前記フィルター層Aの外層材、中間層材、内層材と、前記フィルター層Bの外層材、中間層材、内層材とが接合されている請求項1の電気掃除機用集塵袋。
【請求項4】
前記袋周辺部の接着剤接合において、前記袋の断面における貫通部を複数有する請求項1の電気掃除機用集塵袋。
【請求項5】
請求項1の電気掃除機用集塵袋を装着してなる電気掃除機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−79905(P2008−79905A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264451(P2006−264451)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(596115333)吉川紙商事株式会社 (1)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)
【出願人】(591161715)スーパーバッグ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】