説明

電気掃除機

【課題】 電気掃除機を牽引走行させる際の不快音を軽減するとともに、安定した走行状態が得られるようにする。
【解決手段】 電気掃除機1は、集塵室や集塵袋、さらに吸引機構部等からなる集塵手段を有する掃除機本体と、この掃除機本体の一部に設けられ牽引走行時に床面上で回転される牽引走行手段10としての空気式タイヤ11と、この空気式タイヤを弾性支持するサスペンション又は防振ゴム等からなる弾性支持手段21を有する懸架手段20とを備えている。そして、空気式タイヤは、この懸架手段を介して前記掃除機本体の一部に支架されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃作業時に使用される電気掃除機、特に床面上を牽引して走行させることができる牽引走行手段として空気式タイヤを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の電気掃除機において、清掃作業時に床面上を牽引して走行させるために車輪が設けられている。この種電気掃除機の車輪としては種々の構造のものが従来から知られており、一般的にはキャスタと呼ばれる合成樹脂材製のものが用いられている。さらに、この種の車輪として、フレーム部分を合成樹脂材で形成し、接地部分をゴム材等の弾性材で形成した構造のものも採用されるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】 実開平5−29801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したような従来の車輪では、牽引して走行させる際に、床面がフローリング(板の間)であったり、段差部があったりすると、走行には問題はないものの、振動を生じたり、騒音を生じたりする等といった問題を生じることを避けられない。
【0005】
特に、上述した騒音問題は、たとえば集合住宅等といった居住環境のように階下に影響を与える場合に問題であり、可能な限り牽引走行時の不快音を解消することが望まれている。この種の騒音問題としては、床面上に段差があったり、種々の障害物に衝突したときにも生じるものであり、何らかの対策を講じることが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、床面上を牽引して走行させる際に、安定した走行状態が得られるとともに、走行時に不快音等といった騒音問題も生ぜず、清掃作業を静粛な状態で行うことができる電気掃除機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る電気掃除機は、牽引走行可能な電気掃除機であって、集塵手段を有する掃除機本体と、この掃除機本体の一部に設けられ牽引走行時に床面上で回転される空気式タイヤと、この空気式タイヤを弾性支持する弾性支持手段を有する懸架手段からなり、前記空気式タイヤは、この懸架手段を介して前記掃除機本体の一部に支架されていることを特徴とする。
【0008】
本発明(請求項2記載の発明)に係る電気掃除機は、請求項1記載の電気掃除機において、前記懸架手段は、空気式タイヤを弾性支持する弾性支持手段としてサスペンションを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明(請求項3記載の発明)に係る電気掃除機は、請求項2記載の電気掃除機において、前記弾性支持手段としてのサスペンションの代わりに、防振ゴムを用いたことを特徴とする。
【0010】
本発明(請求項4記載の発明)に係る電気掃除機は、請求項1、請求項2または請求項3記載の電気掃除機において、前記懸架手段を介して前記空気式タイヤに制動力を与える制動手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明(請求項5記載の発明)に係る電気掃除機は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電気掃除機において、前記空気式タイヤを前記懸架手段を介して転舵させる手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明に係る電気掃除機によれば、空気式タイヤと懸架手段のサスペンションや防振ゴム等といった弾性支持手段によって掃除機本体を弾性支持することができるから、フローリングや障害物、段差等がある床面上を牽引して走行させる際に、安定した走行状態が得られるとともに、不快音等といった騒音問題も解消することができ、清掃作業時の不具合がなくなる。
【0013】
さらに、本発明によれば、空気式タイヤと懸架手段とによって高い弾性支持機能を得ることができるから、清掃作業時における振動が床面に伝達するのを効果的に防止して騒音問題を軽減できるばかりでなく、耐久性の面でも優れている電気掃除機を得ることができる。
【0014】
また、本発明によれば、掃除機本体に空気式タイヤに制動を与える制動手段や転舵させるための転舵手段を設けることにより、清掃作業を容易に行える等といった利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2は本発明に係る電気掃除機の一実施の形態を示す。
これらの図において、図2中符号1は電気掃除機の掃除機本体で、この掃除機本体1の内部には、周知の通り集塵室や集塵袋、その他塵埃を吸引する吸引手段等(図示せず)が設けられている。2は掃除機本体1に設けた蓋体、3は図示しない床ブラシ部に繋がるホースダクトである。
【0016】
さて、本発明によれば、上述したような構成による電気掃除機において、図1および図2に示すように、掃除機本体1の底部の一部に設けられ牽引走行時に図示しない床面上で回転して走行する牽引走行手段10である空気式タイヤ11と、この空気式タイヤ11を弾性支持する弾性支持手段であるサスペンション21を有する懸架手段20とが設けられている。そして、このような構成によって、空気式タイヤ11は、この懸架手段20を介して前記掃除機本体1の一部に支架されている。
【0017】
ここで、図1中、符号22はショックアブソーバを構成するピストン、23はコイルばねである。さらに、24はナックルアーム、26は懸架手段20を掃除機本体側に連結するリンク系である。なお、これらの懸架手段20の詳細な説明は、ここでは省略するが、要は、空気式タイヤ11を弾性支持した状態で掃除機本体1に支架することができる構成であればよい。特に、この種の空気式タイヤ11と懸架手段20としては、従来から自動車に使用されているサスペンション空気式タイヤ、高性能ベアリング等の部品を小型化し、掃除機本体1に組み込むように構成すればよい。
【0018】
以上の構成によれば、懸架手段20のサスペンション21と空気式タイヤ11とによって、掃除機本体1を弾性的に支持することができるから、これを牽引して走行する際の不快音を招く虞れはなくなり、清掃作業時を静粛に行えるものであり、特にフローリングや障害物、段差等がある床面上を牽引走行させる際に有益である。
【0019】
なお、上述した実施の形態では、図2に示すように、掃除機本体1の後部両側の2箇所に空気式タイヤ11とその懸架手段20を設けた場合を例示したが、これに限定されない。要は、必要な部位に空気式タイヤ11やその懸架手段20からなる牽引走行手段10を設けるようにすればよい。
【0020】
ここで、この実施の形態では、懸架手段20における弾性支持手段としてサスペンション21を用いた場合を説明したが、これに限定されず、防振ゴム等を用いてもよい。このような構成でも、振動や騒音問題等がそれほど大きくないところで使用される場合は充分である。
【0021】
さらに、この種の電気掃除機では、上述した掃除機本体1の懸架手段20を収納した部分に、該懸架手段20を介して空気式タイヤ11に制動力を与える制動手段、空気式タイヤ11を懸架手段20を介して転舵させる手段等を設けるようにしてもよい。そして、このような制動手段や転舵手段の操作部を、使用者が操作しやすいホースダクト3の保持部等の位置に設けるとよい。具体的には、たとえば懸架手段20の収納部分に、制動手段や転舵手段を構成する電気的な機構部を設け、その操作スイッチ等を使用者の操作しやすい位置に設け、コード等を配線したり、無線で操作可能に構成する等の手法が考えられる。このようにすれば、牽引走行時に障害物があっても、これを迂回させる際に操作が容易になる。
【0022】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、電気掃除機を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。要は、電気掃除機の車輪部分を、懸架手段20で弾性支持された空気式タイヤ11で構成すればよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 本発明に係る電気掃除機の一実施の形態を示し、懸架手段とこれに支持させた空気式タイヤの組付け状態を示す概略斜視図である。
【図2】 図1の空気式タイヤを組み込んだ電気掃除機の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1…電気掃除機の掃除機本体、2…蓋体、3…ホースダクト、10…牽引走行手段、11…空気式タイヤ、20…懸架手段、21…サスペンション(弾性支持手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引走行可能な電気掃除機であって、
集塵手段を有する掃除機本体と、
この掃除機本体の一部に設けられ牽引走行時に床面上で回転される空気式タイヤと、
この空気式タイヤを弾性支持する弾性支持手段を有する懸架手段からなり、
前記空気式タイヤは、この懸架手段を介して前記掃除機本体の一部に支架されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1記載の電気掃除機において、
前記懸架手段は、空気式タイヤを弾性支持する弾性支持手段としてサスペンションを備えていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項2記載の電気掃除機において、
前記弾性支持手段としてのサスペンションの代わりに、防振ゴムを用いたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3記載の電気掃除機において、
前記懸架手段を介して前記空気式タイヤに制動力を与える制動手段を備えていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電気掃除機において、
前記空気式タイヤを前記懸架手段を介して転舵させる手段を備えていることを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−122603(P2006−122603A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339600(P2004−339600)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(504426920)
【Fターム(参考)】