説明

電気掃除機

【課題】掃除作業性を向上した電気掃除機を提供する。
【解決手段】掃除機本体2の操作用の細長状のアーム部5内に電源コード29の一部を配設する。電源コード29を、開口65により、アーム部5の上方から後方に向けて導出可能とする。作業者がアーム部5を把持して掃除すると、電源コード29が作業者の側方ないし後方に常に位置して、電源コード29が作業者に絡み付いたり、作業者が誤って電源コード29を踏んだりすることを防止でき、掃除作業性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動送風機に外部から給電する電源コードを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるアップライト型の電気掃除機は、電動送風機を収容した縦長の掃除機本体を備え、掃除機本体の下端部に、電動送風機の吸込側に連通する床ブラシが設けられている。そして、掃除機本体内には、電動送風機などに外部の商用交流電源から給電するための電源コードを巻回したコードリールが回転可能に収容され、電源コードの先端側が、掃除機本体に対して進退可能に設けられている。
【0003】
このような電気掃除機においては、電源コードの先端部を掃除機本体から導出してコンセントなどに接続した状態で、掃除機本体とともに床ブラシを床面上で前後に走行させて掃除する。
【0004】
しかしながら、この電源コードは、掃除機本体を床面上で走行させるために、掃除機本体からコンセントまでの距離よりも長く導出して弛ませておく必要があり、このように弛ませた電源コードは、掃除作業中に作業者に絡み付いたり、作業者が誤って踏んでしまったりするおそれがあるなど、掃除作業性が良好でないという問題を有している。
【0005】
そこで、余分な電源コードを巻き付けるフックを掃除機本体に設けた構成(例えば、特許文献1参照。)、あるいは、掃除機本体の上部に設けた開口部から電源コードを導出する構成(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【特許文献1】特開2000−33054号公報(第3頁、図2−3)
【特許文献2】特開2003−210370号公報(第3頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された電気掃除機では、掃除機本体を定位置で動かさずに掃除をする際には一定の効果が見込めるが、例えば掃除機本体を移動させながら掃除をする際には、フックに巻き付けられた電源コードを引き出したり、巻き取ったりしなければならず、掃除作業性が良好でないという問題点を有している。
【0007】
また、上述の特許文献2に記載された電気掃除機では、掃除機本体の上部の開口部から電源コードを導出したに過ぎないため、例えば掃除機本体以外の部分に、作業者が把持して操作する部分を設ける際などには、結果的に電源コードが作業者に絡み付いたりするおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、掃除作業性を向上した電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、掃除機本体の上部に基端側が位置して設けられ、この掃除機本体の操作用となる細長状のアーム部と、このアーム部の上方に、後方に向けて開口された開口と、アーム部内に少なくとも一部が配設され開口から外部に導出可能で、かつ、電動送風機に外部から給電する電源コードとを具備したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、掃除機本体の操作用の細長状のアーム部内に電源コードの少なくとも一部を配設し、この電源コードを、開口により、アーム部の上方から後方に向けて導出可能とすることで、作業者がアーム部を把持して掃除すると、電源コードが作業者の側方ないし後方に常に位置して、電源コードが作業者に絡み付いたり、作業者が誤って電源コードを踏んだりすることを防止でき、掃除作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施の形態の電気掃除機の構成を図1ないし図3を参照して説明する。なお、以下、図1および図2に示す左側を前側、右側を後側として説明する。
【0012】
図1および図2において、1はアップライト型の電気掃除機で、この電気掃除機1は、上下方向に沿って長手状の掃除機本体2を備えており、この掃除機本体2には、下側に電動送風機3が収容され、この電動送風機3の上方に、集塵部としてのダストカップ4が着脱可能に取り付けられている。さらに、この掃除機本体2は、ダストカップ4の上流側すなわち吸込側に連通するパイプ状の延長管である上下に長尺状のアーム部5が後部に設けられている。また、アーム部5の先端部は、掃除機本体2の後側下部に設けられた筒状の受け部6の上端部に挿入される。そして、受け部6の下端部には、吸込口体としての床ブラシ7の下流側すなわち排気側である基端部が連通接続され、この床ブラシ7は、掃除機本体2に対して相対的に前後方向へと回動可能に設けられている。
【0013】
掃除機本体2は、電気掃除機1を持ち運び可能にする取手部11が上端部に設けられている。また、掃除機本体2の内部には、後側である一端側すなわち上流側がアーム部5に連通する連通風路13、この連通風路13の他端側に連通しダストカップ4を着脱可能な着脱空間部14、この着脱空間部14に連通する下側連通風路15、および、この下側連通風路15に連通し電動送風機3を収容した電動送風機室16が、上側から下側へと順次形成されており、連通風路13の下側かつ下側連通風路15の上方に、コードリール17を収容したコードリール室18が区画されている。
【0014】
連通風路13は、掃除機本体2内で、後側から水平に前方へ突出するとともに、着脱空間部14側が、この着脱空間部14に向けて下方に屈曲された筒状に形成されている。
【0015】
着脱空間部14は、ダストカップ4の外形に沿って掃除機本体2の前側に切り欠き形成された凹状の空間部である。
【0016】
下側連通風路15は、着脱空間部14の下側の後部から下方に直線状に連通した筒状の空間部であり、電動送風機室16に連通する下端部が拡径されている。
【0017】
電動送風機室16は、着脱空間部14の下側まで位置している。そして、電動送風機3は、この電動送風機室16内にて、吸込側を上側に向けた状態で収容され、吸込側である上側の周囲が筒状のシール部材であるクッションシート21により保持され、このクッションシート21の上側が下側連通風路15の下端部に当接することで、電動送風機3の吸込側が下側連通風路15に対して気密に接続されている。
【0018】
また、ダストカップ4は、例えば電動送風機3の駆動により床ブラシ7などから空気とともに吸い込まれた塵埃を捕集するもので、着脱空間部14に対して着脱されるカップ本体23と、このカップ本体23の後側に設けられたフィルタ24とを有している。
【0019】
カップ本体23は、大きな塵埃である粗塵を主に収容するもので、例えば合成樹脂などによりカップ状に形成されている。そして、このカップ本体23は、掃除機本体2に設けられた図示しない着脱ボタンを操作することにより、着脱空間部14から取り外し可能となっている。
【0020】
フィルタ24は、通過する空気に含まれる微細な塵埃すなわち細塵を捕集するもので、例えば掃除機本体2の左右方向に交互に前後にプリーツ状となるように形成されたプリーツフィルタなどであり、上側が下側よりも前方に傾斜するように取り付けられている。さらに、このフィルタ24は、カップ本体23の後部に着脱可能に取り付けられている。
【0021】
また、コードリール17は、コイルボビン状のリール本体28を備え、このリール本体28の周囲に、電動送風機3などに給電するための電源コード29が巻回されている。また、このコードリール17は軸方向を前後方向に沿わせて掃除機本体2内に収容され、図示しないぜんまいばねなどにより、電源コード29の巻き取り方向に付勢されている。さらに、このコードリール17は、掃除機本体2内のこのコードリール17の上方に収容された回転保持解除部31により、ぜんまいばねの付勢に抗して回転状態を保持したり、この保持を解除してコードリール17に電源コード29を巻き取らせたりすることが可能に構成されている。
【0022】
電源コード29の先端部には、図示しない商用交流電源のコンセントに接続可能なプラグ部33が設けられている。
【0023】
また、アーム部5は、下端部が受け部6に挿入された長尺パイプ状の下側アーム本体35と、この下側アーム本体35内に収納可能で、かつ、下側アーム本体35に下側が挿入され、この下側アーム本体35内を上下に摺動可能な上側アーム本体36と、この上側アーム本体36の上端部に取り付けられた手元操作部としての握り管部37とを有している。したがって、アーム部5は、上側アーム本体36が下側アーム本体35に対して上下に摺動することで上下に伸縮されるように構成され、最大に縮めた状態で、図2に示す収納状態となるとともに、最大に伸ばした状態で、図1に示す使用状態となる。そして、このアーム部5は、作業者が握り管部37を把持して掃除機本体2を、床ブラシ7を介して床面上で走行させるための操作用となるものである。
【0024】
下側アーム本体35は、上端部が掃除機本体2の上端部の後部に突設された筒状の挿通筒部39に固定され、掃除機本体2と一体的となっている。
【0025】
上側アーム本体36は、上端部側が下側アーム本体35および挿通筒部39よりも常に上側に突出し、この突出した部分の外周面に握り管部37が設けられている。また、この上側アーム本体36の前部には、この上側アーム本体36に沿って上下に長尺状の押動部41が取り付けられている。さらに、この上側アーム本体36の外周面の後側には、上側寄りの位置と、下側寄りの位置とに、それぞれ凹部42が設けられている。
【0026】
挿通筒部39は、下側アーム本体35と上側アーム本体36とが挿通される第1挿通孔45が後側に上下方向に設けられ、この第1挿通孔45の前方に、第1挿通孔45と異なる第2挿通孔46が上下方向に設けられている。すなわち、挿通筒部39は二重管構造を有している。
【0027】
第1挿通孔45の内周部の後側には、上側アーム本体36を係止、および、この係止を解除可能な図示しないクランプ部が設けられている。このクランプ部は、先端部が第1挿通孔45の内周面にて前側に突出した図示しないクランプを備え、このクランプが、挿通筒部39の後側に突出した図示しない操作ボタン部により前後されることで、クランプの先端が下側アーム本体35を通して上側アーム本体36の凹部42に係脱されることにより、上側アーム本体36の下側アーム本体35に対する上下方向の摺動を係止、あるいはこの係止を解除可能に構成されている。
【0028】
第2挿通孔46は、回転保持解除部31の上方に位置し、押動部41と、コードリール室18から上方へと導出された電源コード29とがともに挿通されている。したがって、押動部41は、下側アーム本体35に対して上側アーム本体36を縮めた状態で、第2挿通孔46から掃除機本体2内に下方へと挿入され、回転保持解除部31を動作させることが可能となっている。
【0029】
ここで、この回転保持解除部31は、コードリール17に接触する上下に長尺状のロック部51と、このロック部51の上端部に嵌合され先端部が後側に突出したレバー部52とを有している。
【0030】
ロック部51は、コードリール17に接触した状態でこのコードリール17の回転を保持すなわちロックするものである。また、このロック部51の上端部の後側には、レバー部52の前端部が嵌合する嵌合凹部54が設けられている。
【0031】
また、レバー部52は、掃除機本体2に対して上下方向に回動可能に設けられ、図示しないトーションばねなどにより上側への回動方向に付勢されている。さらに、このレバー部52は、掃除機本体2内に挿入された押動部41に当接して下方へ回動されることで、基端側がトーションばねの付勢に抗して相対的に上側へと回動され、ロック部51の嵌合凹部54との係合により、このロック部51を上側へと押し上げることで、ロック部51をコードリール17から離間させ、コードリール17の回転のロックを解除可能に構成されている。
【0032】
握り管部37は、上側アーム本体36の上端部に取り付けられてこの上側アーム本体36の上端部を閉塞する略有蓋円筒状の被取付部57と、この被取付部57に一体に設けられ作業者に把持される把持部58とを有している。
【0033】
把持部58は、被取付部57の下端部から前方へと突出し、上端部が被取付部57よりも上方に突出して、アーム部5の先端である上端部に、後側へと略垂直に屈曲された屈曲部61が形成されている。また、把持部58は、下端部に、上側アーム本体36の前方で下方に向けて開口する連通開口62が設けられ、内部に、この連通開口62に連通する中空な通路部63が屈曲部61まで連続し、この屈曲部61の先端部に、図3に示すように、通路部63に連通する略筒状の回動体64が回動軸を中心として上下方向に回動可能に軸支され、この回動体64の先端部が開口65となっている。
【0034】
そして、図1および図2に示すように、これら連通開口62から、通路部63、回動体64および開口65へと、第2挿通孔46から上側アーム本体36の前方に導出された電源コード29が挿通され、プラグ部33が開口65から導出されている。この開口65は、プラグ部33の外形よりも小さく形成され、プラグ部33が把持部58の内部に入り込むことを防止する。
【0035】
さらに、この把持部58には、電動送風機3の駆動をオンオフするための図示しない電源スイッチが前側に設けられている。
【0036】
また、受け部6は、掃除機本体2の電動送風機3の後方に設けられている。
【0037】
そして、床ブラシ7は、掃除機本体2の下方に設けられ、床面に載置されて電気掃除機1を支持するとともに、掃除機本体2を前後に走行させるものであり、横長に形成され、底面部に、アーム部5の上流側に連通する図示しない吸込口が開口され、この吸込口に、モータにより回転される回転ブラシが回転可能に設けられ、かつ、両側部に、床面上を走行可能な車輪69(一方のみ図示)が回転自在に設けられている。
【0038】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0039】
電気掃除機1を、図2に示す収納状態から、図1に示す使用状態にする際には、クランプ部を操作しつつ把持部58を把持して上側アーム本体36を引き上げることで、凹部42とクランプとの係合が解除され、上側アーム本体36が下側アーム本体35に対して上方向へと摺動し、アーム部5が伸張される。
【0040】
このとき、押動部41は回転保持解除部31のレバー部52の後部を上側へと滑り、プラグ部33の周囲が開口65に係合していることで、アーム部5の伸張に伴って電源コード29が引っ張られ、コードリール17から導出される。
【0041】
そして、上側アーム本体36の下側の凹部42がクランプ部の前側に位置した状態でクランプ部の操作を解除すると、クランプが前方へ突出して凹部42に係合し、上側アーム本体36が使用状態で固定される。
【0042】
同時に、回転保持解除部31のレバー部52は、押動部41との当接がなくなることで、トーションばねの付勢により回動が上方向へと復帰し、ロック部51を介してコードリール17の回転がロックされ、電源コード29の巻き戻りが防止される。
【0043】
さらに、作業者は、コンセントまでの距離で不足している分、電源コード29をさらに引っ張って開口65から導出し、プラグ部33をコンセントに接続する。
【0044】
この状態で、作業者が電源スイッチを操作すると、コンセントから電源コード29を介して外部の電力が電動送風機3へと供給され、この電動送風機3が駆動する。
【0045】
そして、作業者は、把持部58を把持して掃除機本体2を床面上で前後に走行させ、床ブラシ7の吸込口から空気とともに塵埃を吸い込む。
【0046】
このとき、開口65は、作業者の手よりも後側に位置するため、電源コード29が作業者の側方ないし後方に位置するとともに、掃除機本体2の走行により、開口65から導出された電源コード29の引き出し方向が変わると、図3の想像線に示すように、この引き出し方向の変化に対応して回動体64が回動軸を中心として上下に回動する。
【0047】
床ブラシ7の吸込口から吸い込まれた空気は、吸込風となり、床ブラシ7から、受け部6、連通風路13を介して着脱空間部14へと流入する。
【0048】
ここで、吸込風に含まれる粗塵は、この着脱空間部14に取り付けられたダストカップ4のカップ本体23に捕集され、粗塵が捕集された吸込風は、フィルタ24を通過する際に細塵が捕集され、この細塵が捕集された吸込風は、下側連通風路15を介して電動送風機室16へと流入する。
【0049】
この後、この吸込風は、電動送風機3に吸い込まれて排気風となり、電動送風機3の側部の排気口からこの電動送風機3の外部へと排気され、さらに、掃除機本体2の図示しない排気孔から掃除機本体2の外部へと排気される。
【0050】
掃除が終了すると、作業者は電源スイッチを操作して電動送風機3の駆動を停止させた後、着脱ボタンを操作してカップ本体23をフィルタ24とともに着脱空間部14から取り外し、図示しないごみ箱などに、捕集した塵埃を廃棄し、再度着脱空間部14に取り付ける。
【0051】
さらに、電気掃除機1を収納する際には、クランプ部を操作しながら把持部58を把持して上側アーム本体36を下方へと押し込むと、押動部41が第2挿通孔46に挿入されて回転保持解除部31のレバー部52に当接して、このレバー部52を押し下げ、このレバー部52の前端部が嵌合凹部54にて嵌合したロック部51が上方に押し上げられてコードリール17から離間され、コードリール17がぜんまいの付勢力により回転して、電源コード29を巻き取る。
【0052】
上述したように、上記第1の実施の形態では、掃除機本体2の操作用の細長状のアーム部5の把持部58内に電源コード29の一部を配設し、この電源コード29を、開口65により、電気掃除機1の使用状態(起立状態)で、アーム部5の伸張状態での上方から後方に向けて導出可能とする構成とした。
【0053】
この結果、作業者がアーム部5を把持して掃除すると、電源コード29が作業者の側方ないし後方に常に位置する。
【0054】
したがって、一般的に作業者の前方かつ側方に掃除機本体2を位置させて掃除するアップライト型の電気掃除機1であっても、作業者が電源コード29を持って掃除せずに済み、電源コード29が作業者に絡み付いたり、作業者が誤って電源コード29を踏んだりすることを防止でき、掃除作業性を向上できるとともに、掃除機本体2に電源コード29を引っ掛けるためのコードフックなどを設ける必要もなく、製造性が向上する。
【0055】
特に、アーム部5の先端である把持部58の屈曲部61の先端に開口65を形成することで、電源コード29が作業者に最も絡み付きにくくなる。
【0056】
しかも、把持部58は、電源スイッチを設けたりするために、内部が中空に形成されているので、電源コード29を挿通する構成を容易に形成できる。
【0057】
また、掃除機本体2の上部に突出するアーム部5の上端部から電源コード29を導出可能とするため、電源コード29の引き出し時に作業者が屈む必要がない。
【0058】
さらに、把持部58に設けた回動体64が、電源コード29の引き出し方向に追従して回動することで、電源コード29が開口65の縁部に引っ掛かることを抑制し、掃除機本体2の操作がより円滑になるとともに、電源コード29を開口65の縁部などで傷めることを防止できる。
【0059】
そして、伸縮自在のアーム部5に電源コード29の一部を通すことで、伸縮自在のアーム部を有する電気掃除機に対して、容易に適用できる。
【0060】
また、アーム部5を縮めると電源コード29が巻き取られるように構成することで、使い勝手がより向上する。
【0061】
具体的に、掃除機本体2内に回転保持解除部31を設けることで、アーム部5を縮めることによりレバー部52とロック部51とが動作して、コードリール17が自動的に電源コード29の巻き取り方向に回転するため、アーム部5を縮めることに対応して電源コード29を巻き取る構成を、容易に形成できる。
【0062】
なお、上記第1の実施の形態において、把持部58に回動体64を設けずに、屈曲部61の後部に直接開口65を開口形成することも可能である。この場合には、構成をより簡略化できる。
【0063】
また、電源コード29は、把持部58内を通す他に、アーム部5の任意の位置を通すように構成してもよい。
【0064】
次に、第2の実施の形態を図4および図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。また、以下、図4および図5に示す左側を前側、右側を後側として説明する。
【0065】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態の伸縮自在のアーム部5に代えて、掃除機本体2に対して後方向に回動させることで折り畳み可能な長尺状のアーム部71を設けるものである。
【0066】
すなわち、アーム部71は、掃除機本体2の上部後側に設けられた軸支部73に回動可能に軸支され、後方に最大に回動させた状態で、図5に示す収納状態となるとともに、前方に最大に回動させた状態で、図4に示す使用状態となる。
【0067】
また、アーム部71は、軸支部73側へと太くなる中空なアーム部本体75を備え、このアーム部本体75の先端部に、作業者が把持する把持部76が一体に設けられている。
【0068】
アーム部本体75の後部下側には、軸支部73に回動可能に軸支される側面視略円形状の被軸支部78が突設されている。また、アーム部本体75の軸支部73の平面状の上面に対向する平面状の下面には、アーム部係止クランプ81が設けられている。このアーム部係止クランプ81は、アーム部本体75の下端側の前部に設けられたアーム部係止クランプ部82により操作されることで、軸支部73に設けられた図示しない被係合部に係合、あるいはこの係合を解除可能に構成されている。
【0069】
被軸支部78には、中心部に、軸支部73の回動軸84の周囲に嵌合する筒状の回動軸部85が設けられ、この回動軸部85の周囲に、この回動軸部85と一体的に回動するカム部86が設けられている。また、この被軸支部78の外周部には、電源コード29がこの被軸支部78内に挿入されるスリット部87が周方向に長孔状に設けられている。したがって、電源コード29は、このスリット部87を介してアーム部本体75内へと導入されている。
【0070】
カム部86は、アーム部71の回動に伴い、掃除機本体2の後部に収容されコードリール17に接続された回転保持解除部89を動作させるもので、中心部からの突出量が、例えば図1に示す下側から上側へと反時計回り方向に増加する形状に形成されている。換言すれば、カム部86は、図1に示す使用状態から図2に示す収納状態へとアーム部71が回動されるに従い、下方への突出量が大きくなって回転保持解除部89の動作量を大きくするように構成されている。
【0071】
ここで、この回転保持解除部89は、ぜんまいばねの付勢に抗して回転状態を保持したり、この保持を解除してコードリール17に電源コード29を巻き取らせたりすることが可能なもので、コードリール17側に接続され後側に突出した水平ロック部91と、下端部がこの水平ロック部91の上側に当接し上端部がカム部86の外周に当接する押動軸部92とを有している。
【0072】
水平ロック部91は、図示しないトーションばねなどにより、後側が前側に対して上方向に回動するように付勢され、コードリール17側に当接することで、このコードリール17の回転を保持すなわちロック可能に設けられている。
【0073】
押動軸部92は、上端部がスリット部87を介して被軸支部78の内部に挿入されてカム部86の外周面に摺接し、このカム部86の形状に沿って上下方向に移動されて、この移動に伴って水平ロック部91の後部側を押し下げてコードリール17の回転をロックさせたり、この水平ロック部91をトーションばねなどの付勢により元の状態に復帰させてコードリール17の回転のロックを解除したりすることが可能となっている。
【0074】
把持部76は、アーム部本体75に対して傾斜状に屈曲され、この把持部76とアーム部本体75との連続部の前側に、電源スイッチ93が設けられている。さらに、把持部76の上端側の後部には、電源コード29を導出する開口94が開口形成されている。
【0075】
また、受け部6は、上下に長尺状の筒状管部96により、連通風路13の上流側に接続されている。
【0076】
そして、図5に示す収納状態から、把持部76を把持してアーム部71を前側へと回動させて起こすことで、電気掃除機1が図4に示す使用状態となる。
【0077】
このとき、アーム部係止クランプ部82のアーム部係止クランプ81が、軸支部73の被係合部に係合することで、アーム部71が掃除機本体2の上部に固定される。
【0078】
同時に、カム部86の形状に従って、回転保持解除部89の押動軸部92が次第に上方向に移動することで、アーム部71内に挿通された電源コード29が、回動初期の状態ではアーム部5の回動に伴って引っ張られ、コードリール17から導出されるとともに、回動終期の状態では水平ロック部91が元の位置に復帰してコードリール17の回転がロックされ、電源コード29の巻き戻りが防止される。
【0079】
さらに、作業者は、コンセントまでの距離で不足している分、電源コード29をさらに引っ張って開口94から導出し、プラグ部33をコンセントに接続する。
【0080】
この状態で、作業者が電源スイッチ93を操作して、上記第1の実施の形態と同様に掃除作業をし、捕集した塵埃は、電動送風機3を停止させた後、ダストカップ4を着脱空間部14から取り外してごみ箱などに廃棄し、このダストカップ4を再度着脱空間部14に取り付ける。
【0081】
さらに、電気掃除機1を収納する際には、アーム部係止クランプ部82を操作しながら把持部76を把持してアーム部71を後方へ回動させると、カム部86の形状にしたがって、回転保持解除部89の押動軸部92が押し下げられ、この押動軸部92により水平ロック部91の後端側が下方に回動してコードリール17のロックが解除され、ぜんまいの付勢力によりコードリール17が回転して、電源コード29を巻き取る。
【0082】
このように、上記第2の実施の形態でも、掃除機本体2の操作用の細長状のアーム部71内に電源コード29の一部を配設し、この電源コード29を、開口94により、電気掃除機1の使用状態(起立状態)で、アーム部71の伸張状態での上方から後方に向けて導出可能とすることで、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0083】
また、折り畳み可能なアーム部71に電源コード29を通すことで、折り畳み可能なアーム部を有する電気掃除機に対して、容易に適用できる。
【0084】
さらに、アーム部71を折り畳むと電源コード29が巻き取られるように構成することで、使い勝手がより向上する。
【0085】
具体的に、掃除機本体2内に回転保持解除部89を設けることで、アーム部71を折り畳むことにより押動軸部92と水平ロック部91とが動作して、コードリール17が自動的に電源コード29の巻き取り方向に回転するため、アーム部71を折り畳むことに対応して電源コード29を巻き取る構成を、容易に形成できる。
【0086】
しかも、アーム部71の折り畳みに伴い回動するカム部86の外周部が押動軸部92と当接することで回転保持解除部89が動作するので、カム部86の形状を設定することで、コードリール17の回転のロックの程度およびタイミングなどを容易に設定できる。
【0087】
なお、上記第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態の回動体64を把持部76に適用することも可能である。
【0088】
また、アーム部5,71の伸縮、あるいは回動動作に連動してコードリール17の回転状態の保持を解除する構成としてもよい。
【0089】
さらに、電源コード29は、アーム部71に一部のみを通して、開口94から先端部を導出するように構成してもよい。
【0090】
そして、上記各実施の形態において、電源コードをアーム部の伸張状態での上方から導出する各構成は、アーム部が伸縮自在のもの、あるいは、折り畳み可能なもの以外でも適用できることは言うまでもない。
【0091】
また、例えば把持部58,76の形状、回動保持解除部31,89など、電気掃除機1の細部は、上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電気掃除機の使用状態を示す縦断面図である。
【図2】同上電気掃除機の収納状態を示す縦断面図である。
【図3】同上電気掃除機の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の電気掃除機の使用状態を示す縦断面図である。
【図5】同上電気掃除機の収納状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
3 電動送風機
5,71 アーム部
17 コードリール
29 電源コード
65,94 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
この掃除機本体の上部に基端側が位置して設けられ、この掃除機本体の操作用となる細長状のアーム部と、
このアーム部の上方に、後方に向けて開口された開口と、
前記アーム部内に少なくとも一部が配設され前記開口から外部に導出可能で、かつ、前記電動送風機に外部から給電する電源コードと
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
開口は、アーム部の先端に形成されている
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
電源コードを巻き取り可能なコードリールを具備し、
アーム部は、掃除機本体に対して伸縮自在に設けられ、
前記コードリールは、前記アーム部を縮めた際に前記電源コードを巻き取る
ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
電源コードを巻き取り可能なコードリールを具備し、
アーム部は、折り畳み可能に設けられ、
前記コードリールは、前記アーム部を折り畳んだ際に前記電源コードを巻き取る
ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−175392(P2007−175392A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379553(P2005−379553)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】