説明

電気掃除機

【課題】集塵ケースを容易に集塵室から取り出すことができる電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸入口2と電動送風機室6とに連通する集塵室3の内部に集塵ケース9を着脱自在に配置し、集塵ケース9はその前壁に吸入口2に連通する接続口91を有しその後壁を開放したものまたはその前壁に吸入口2に連通する接続口91を有しその後壁に通気面92を備えたものであり、集塵室3の底面に集塵ケース9を上方に付勢するコイルバネ14などからなる集塵ケース付勢機構を設けた電気掃除機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気掃除機に関し、特にその集塵ケース及び集塵ケースの取出口を開閉する外蓋に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機は、吸入口、吸入口に通じる集塵室、集塵室の開口部(集塵ケースの着脱口)を開閉する回転自在の外蓋、集塵室に通じる内部排気口、内部排気口に通じる電動送風機室、電動送風機室に通じる外部排気口を備えた本体ケースと、電動送風機室に配置された電動送風機とを備えている。そして、集塵室には集塵ケースが着脱自在に配置されて使用に供される。
【0003】
集塵ケースは、集塵袋を保持して集塵袋による集塵または直接塵埃を集塵するいずれかの集塵機能を有する。電動送風機の吸引によって吸入口から吸引された塵埃は集塵ケースにて捕獲され、吸引された空気は連通する内部排気口及び電動送風機室を経て、外部排気口から外に排出される(特許文献1参照)。
【0004】
また、外蓋の回転中心軸に外蓋を開く方向へ付勢するバネ等の付勢機構を備え、外蓋の本体ケースとの係止を解除することで、外蓋が付勢により開くものが知られている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭57−52432号公報
【特許文献2】実開平1−157649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上のような従来の電気掃除機では以下のような問題があった。
・集塵ケースに塵埃が溜まるにつれて集塵ケース自体の重量が増加して、集塵ケースを本体から取り外す際に手首に負担がかかる。
・集塵ケースの周囲にシール部材が設けられている場合は、集塵ケースが集塵室から更に外しにくくなる。つまり、集塵ケースを集塵室から引き出そうとすると、集塵ケースのシール部材と本体の摩擦により、片手で本体を押さえながらもう片方の手で集塵ケースを外す操作が必要となり、使い勝手が悪い。
・電動送風機の駆動により集塵ケースは集塵室後方の隔離壁に密着するため、紙パック内の塵埃が多くなればなるほど集塵ケースが隔離壁に密着して、集塵室から集塵ケースを引き出すのが困難になる。
・外蓋の回転中心軸にバネ等の付勢機構を設けると外蓋または本体ケースに強い応力が加わり、それらを変形もしくは破壊してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決する為になされたもので、容易に、特に片手で容易に集塵室から集塵ケースを取出すことができる電気掃除機を提供することを目的である。 また、本体ケースや外蓋を破損するような事態を生じさせることなく、外蓋の開動作を容易に行なわせる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気掃除機は、吸入口、前記吸入口に通じる集塵室、前記集塵室の開口部を開閉する回転自在の外蓋、前記集塵室に通じる内部排気口、前記内部排気口に通じる電動送風機室、前記電動送風機室に通じる外部排気口を備えた本体ケースと、前記電動送風機室に配置された電動送風機とを備えた電気掃除機であって、前記集塵室内部に集塵ケースを着脱自在に配置し、前記集塵ケースはその前壁に前記吸入口に連通する接続口を有しその後壁を開放したものまたはその前壁に前記吸入口に連通する接続口を有しその後壁に通気面を備えたものであり、前記集塵室の底面に前記集塵ケースを上方に付勢する集塵ケース付勢機構を設けたものである。
また、前記集塵ケースの上部と前記外蓋の内側に互いに係合し合う係合片をそれぞれ設け、前記集塵室の開口部から前記外蓋が開かれる際に、前記外蓋の係合片が前記集塵ケースの係合片を介して前記集塵ケースを前記吸入口側に押圧しながら持ち上げる態様にそれらの係合片を配置したものである。
さらに、前記外蓋の回転中心軸に設けられて前記外蓋を開く方向に付勢する付勢手段と、前記回転中心軸と反対側の前記外蓋の先端部にあって、該外蓋を前記集塵室の開口部を閉じた状態に前記本体ケースに係止する回転自在の錠体と、前記外蓋に設けられて前記外蓋を閉じる方向へ押圧可能、かつ前記錠体の前記本体ケースとの係止を解除可能な係止解除ボタンとを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気掃除機は、集塵室の底面に集塵ケースを上方に付勢する集塵ケース付勢機構を設けたので、集塵ケースに塵埃が溜まって集塵ケース自体の重量が増加した状態においても、容易に集塵ケースを本体から取出すことが可能となる。
また、集塵ケースの上部と外蓋の内側に互いに係合し合う係合片をそれぞれ設け、集塵室の開口部から外蓋が開かれる際に、外蓋の係合片が集塵ケースの係合片を介して集塵ケースを吸入口側に押圧しながら持ち上げる態様にそれらの係合片を配置しているので、外蓋が開かれる際に、集塵ケースの集塵室背面に対する密着が外れて、集塵ケースを集塵室から容易に取り出すことが可能となる。
さらに、外蓋の回転中心軸に設けられて外蓋を開く方向に付勢する付勢手段と、回転中心軸と反対側の外蓋の先端部にあって、外蓋を集塵室の開口部を閉じた状態に本体ケースに係止する回転自在の錠体と、外蓋に設けられて外蓋を閉じる方向へ押圧可能、かつ錠体の本体ケースとの係止を解除可能な係止解除ボタンとを備えたので、外蓋を開ける操作が容易になる。すなわち、係止解除ボタンを押す動作に伴って外蓋が閉じる方向へ押圧され、この動作によりバネのたわみ量が増大して、外蓋が開く方向への付勢力がより大きくなり、外蓋を容易に開けることができる。しかも、外蓋が閉じている状態では外蓋を開く方向に付勢する力を小さくでき、外蓋または本体ケースへ加わる応力を小さくしてそれらの破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下において、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、各図に示した符号のうち、同じ符号は同一物または相当物を表しているものとする。
実施の形態1
図1、図2は本発明の実施の形態1に係る電気掃除機を示す断面図であり、図1は集塵室の開口部(集塵ケースの着脱口)を開閉する外蓋が開いた状態を示し、図2は外蓋が閉じられて本体ケースに係止された状態を示している。図1、2において、本体ケース1には、吸入口2、吸入口2に通じる集塵室3、集塵室3の開口部を開閉する回転自在の外蓋4、集塵室3に通じる内部排気口5、内部排気口5に通じる電動送風機室6、電動送風機室6に通じる外部排気口7を備えている。集塵室3には着脱自在に集塵ケース9が配置され、電動送風機室6には電動送風機10が配置されている。なお、本体ケース1の下部には回転自在の車輪11A,11Bが設けられ、本体ケース1の吸入口2には吸込具を備えたホース12が接続される。
【0011】
集塵ケース9はその前壁に吸入口2に連通する接続口91を有しその後壁に内部排気口5及び電動送風機室7へ連通する通気面(フィルタを含む場合有り)92を備えている。なお、集塵ケース9の後壁は単に開放させた状態としてもよい。
集塵ケース9は内部に集塵袋(ここでは図示せず)を着脱自在に設けて塵埃を集塵袋に捕集してもよく、あるいは集塵ケース9の後面を通気面92として塵埃を直接ケース9に捕集するようにしてもよい。
集塵ケース9の上部には、集塵ケース9の着脱操作に利用するための回動自在なハンドル(以下回動ハンドル95という)が設けられている。
【0012】
集塵室3の底面には、コイルバネ14と該コイルバネ14の先端を覆う台座15からなり、集塵ケース9を上方に付勢する集塵ケース付勢機構が設けられている。コイルバネ14は、集塵室3の底面中央部より内部排気口5側に寄った位置に設けられるのが好ましい。それは、集塵が集塵ケース9内で内部排気口5側から蓄積されて、通常はその部分に集塵ケース9の重心があるからである。
なお、集塵ケース付勢機構は、コイルバネ14に代えて、他のバネあるいはゴムなど他の弾性体を利用して構成しても良い。
また、集塵室3の上部開口部は、回転中心軸(ここでは図示せず)を中心に矢印A方向に回転する外蓋4により、開閉可能とされている。
【0013】
本体ケース1の吸入口2周囲には、集塵ケース9が使用位置にある時に、集塵ケース9の接続口91と本体ケース1とのシール性を確保するためのパッキン13が設けられている。
また、集塵ケース9の後側外周には、集塵ケース9が使用位置にある時に、本体ケース1とのシール性を確保するためのパッキン93が設けられている。
【0014】
本体ケース1の吸入口2側には、コイルバネ14によって上方に押し出される集塵ケース9を集塵室3内に押圧保持するための保持部材17が設けられており、この保持部材17に集塵ケース9に形成された凸部94が係止されて、集塵ケース9は集塵室3内の所定位置(使用位置)に押圧保持される。したがって、保持部材17と集塵ケース9の凸部94は集塵ケース9に対してのラッチ機構を構成している。
保持部材17は軸18を中心に回動自在に構成されており、スプリング19によって矢印B方向と反対方向に常時付勢されている。保持部材17は、下方向に向かって厚みが増す斜面の終端に形成された掛かり爪17aを備え、その掛かり爪17aに凸部94が係止されるようになっている。集塵ケース9が集塵室3に押し込まれると、凸部94は掛かり爪17aに至るまでの斜面をスライドして掛かり爪17aに至り、そこで掛かり爪17aに係止される。なお、凸部94と掛かり爪17aとの係止は、保持部材17を矢印B方向に回動させることにより外すことができる。
【0015】
次に上記電気掃除機の作用について説明する。電動送風機10の吸引によってホース12から吸引された塵埃は吸入口2及び接続口91を経由して集塵ケース9内に集塵され、排気のみが内部排気口5及び電動送風機室6を経由して外部排気口7から外に排出される。そして、集塵ケース9の塵埃を廃棄処理するため等により、集塵ケース9を集塵室3から取り出す際は、本体ケース1に係止されて閉じられていた外蓋4を開けてそれを取り出す。外蓋4が完全に開いた時にはコイルバネ14の上方への付勢によって、集塵ケース9の上部が集塵室3から突出するため、集塵ケース9の上部または上面に設けた回動ハンドル95を持って、集塵ケース9を簡単に本体ケース1から外すことが容易に可能となる。
【0016】
実施の形態2
図3は本発明の実施の形態2に係る電気掃除機の断面図であり、外蓋4が閉じられて本体ケース1に係止された状態を示している。ここでは、外蓋4を閉めたときに、保持部材17と集塵ケース9の凸部94との係止を解除させるラッチ解除リブ42を、外蓋4の内側に外蓋4と一体に設けている。
すなわち、保持部材17と集塵ケース9の凸部94との係止により、集塵ケース9は集塵室3内の所定位置(例えば使用位置)に保持される。その後、集塵室3の開口部を閉じる外蓋4の閉動作が行われると、その閉動作の終了点付近で、ラッチ解除リブ42が保持部材17に当接してそれを矢印C方向に回動させ、保持部材17の掛かり爪17aと凸部94との係止を解除する。なお、ラッチ解除リブ42は、外蓋4が閉位置にある間、掛かり爪17aと凸部94との係止を解除した状態を維持する態様に形成されている。
加えて、外蓋4の内側に外蓋4と一体の押さえリブ43を設けておき、外蓋4が閉じられた状態にあっては、この押さえリブ43を集塵ケース9の上部に当接させて、集塵ケース9を集塵室3内の所定位置(使用位置)に保持するようにしている。
【0017】
次に、実施の形態2における外蓋4と集塵ケース9の作用について説明する。集塵ケース9を集塵室3内に押し込むと、保持部材17の掛かり爪17aに集塵ケース9の凸部94が係止されて、集塵ケース9が集塵室3内の所定位置に保持される。その後さらに外蓋4を閉めると、ラッチ解除リブ42によって掛かり爪17aと凸部94との係合が解除される。しかし、外蓋4が完全に閉じて本体ケース1に係止されると、集塵ケース9は、保持部材17に代わって、こんどは押さえリブ43によって集塵室3内の所定位置に押圧保持されることになる。
このような状態で集塵ケース9が本体ケース1に収納されているため、集塵ケース9を取り出す際には、外蓋4を開くだけで集塵ケース9がフリー状態になり、集塵ケース9は下方のコイルバネ14によって自動的に上方へ押上げられる。これにより、集塵ケース9を取り出す際には、保持部材17との係止解除操作を特に行うことなく、容易に集塵ケース9を本体ケース1から取り出すことが可能となる。
【0018】
実施の形態3
図4は本発明の実施の形態3に係る電気掃除機を示す断面図であり、集塵室3の開口部に位置合わせされて置かれた集塵ケース9を、所定位置(使用位置)に押し込むことを説明するものである。ここでは、外蓋4がその内側に一体に形成された押し込みリブ44を備えている。この押し込みリブ44は、外蓋4の閉動作時、集塵ケース9を集塵室3の所定位置へ押し込む作用を果たす。すなわち、集塵ケース9を集塵室3に装着する際に、集塵室3に対して水平方向の位置決めだけを行ってラフにセットすると、集塵ケース9は下方のコイルバネ14により上方に浮いた状態となる。その後、外蓋4を閉める動作を行うと、押し込みリブ44は外蓋4の閉動作に対応して集塵ケース9に作用し、集塵ケース9を集塵室3内の所定位置に押し込む作用を果たす。更に、外蓋4が閉状態にあっては、集塵ケース9を所定位置に保持する作用を兼ねる。
【0019】
したがって、集塵ケース9を集塵室3に装着する際、集塵ケース9を手で押し込める必要はなく、水平方向の位置決めのみ行えば、後は外蓋4の閉動作により集塵室3の所定位置まで押込まれるので、集塵ケース9をより簡単に本体ケース1に取り付けることができる。
なお、以上のような作用を果たす押し込みリブ44は、集塵ケース9の押し込み摩擦の最も大きい集塵ケース9の後部に当接するように対応させて、外蓋4の内側に形成するのが好ましい。
【0020】
実施の形態4
図5は本発明の実施の形態4に係る電気掃除機の断面図であり、外蓋4が閉じられて本体ケース1に係止された状態を示している。ここでは、集塵室3内の所定領域(集塵ケース9の使用位置として許容されている一定の範囲)における集塵ケース9の可動隙間について説明する。
図5は本体ケース1の吸入口2の中心と集塵ケース9の接続口91の中心とが一致している状態を示している。このような状態において、集塵ケース9の凸部94と掛かり爪17aとの間の隙間をC、集塵室3の底面とコイルバネ14の上端に被せられる台座15との隙間をDとする。これらの隙間C,Dは集塵室3内の使用位置部分での集塵ケース9の可動隙間を示している。
【0021】
一方、本体ケース1の吸入口2部分の内径Hは、集塵ケース9の接続口91の内径Gより小さく設けられている。本実施の形態では、これらの隙間C、隙間D、内径G、内径Hの関係が以下のようになるように設定している。
C≦(G−H)/2
D≦(G−H)/2
G>H
【0022】
次に上記の可動隙間を備えた電気掃除機の作用と効果について説明する。電気掃除機はそれを引きまわして移動させながら使用する場合が多い。そして電気掃除機が床面の段差乗り越える際には、電気掃除機が上下方向に振動するが、集塵室3の内部においては先に示した可動隙間C,Dとコイルバネ14により集塵ケース9の上下振動が増幅されて、塵埃によって目が詰まりつつある集塵袋や通気面(フィルターを含む場合もある)92にも伝達される。この伝達された振動によって、集塵袋や通気面92の目詰まりが解消されて、より多くの捕集性能を確保することができる。
また、上記の隙間C,Dと内径G,Hの関係により、集塵ケース9に上下動が生じても集塵ケース9の接続口91と本体ケース1の吸入口2がズレることなくシール性が確保できて、ホース12から吸入した塵埃が集塵室3内にこぼれることなく確実に集塵ケース9内に導かれることになる。
【0023】
実施の形態5
図6は本発明の実施の形態5に係る電気掃除機を示す断面図であり、外蓋4が開かれた状態を示している。ここでは、集塵ケース9の側面にケース側面から突出した突部96が設けられている。また、本体ケース1には、集塵室3と外蓋4との間を全周にわたってシールして電動送風機3の吸引効果を高める為のパッキン20が設けられている。そして、集塵ケース9がコイルバネ14の作用により上方に押し上げられた付勢終点位置またはその近傍で、それらの突部96とパッキン20とが干渉または係止する関係に配置されている。すなわち、集塵ケース9の突部96とパッキン20とは、集塵ケース9の集塵室3からの飛び出し量を規定する集塵ケース係止機構を構成している。
【0024】
以上のような構成の実施の形態5による電気掃除機の作用と効果について説明する。
閉じられていた外蓋4を開けると、下方のコイルバネ14の付勢によって集塵ケース9が集塵室3より押し出される。したがって、集塵室3の開放面が垂直面となる縦置き状態で使用または保管などされる場合、コイルバネ14の付勢によって、外蓋4を開けたとき勢い余って集塵ケース9が本体ケース1から脱落して、集塵ケース9内に捕集した塵埃を床面に撒き散らす可能性がある。しかし、本構成の電気掃除機においては、パッキン20と集塵ケース9の側面に設けた突部96とが引出し作動の途中または終点で干渉する為、集塵ケース9が集塵室3から脱落するのを防止できる。
なお、集塵ケース係止機構を構成する突部96は集塵ケース9の後面に設けることが好ましい。それは、電気掃除機を立てた状態では集塵ケース9が重力の関係で本体の後側に来るため、パッキン20との干渉がより効果的に実行されることになるからである。
【0025】
実施の形態6
図7、図8は本実施の形態6に係る電気掃除機の内部を示す断面図であり、図7は外蓋4が閉じて本体ケース1に係止された状態を示し、図8は外蓋4が開かれている途中を表した図である。
実施の形態6では、外蓋4の内側と集塵ケース9の上部とに、外蓋4が閉じた状態から外蓋4が所定の開度に至るまでの範囲で、互いに係合し合う係合片47,97をそれぞれ設け、外蓋4が開かれる際に、外蓋4の係合片47が集塵ケース9の係合片97に作用して集塵ケース9を吸入口2側に押圧しながら持上げ、その後互いの係合片47,97が離れるように構成したものである。なお、係合片47は外蓋4と一体に、係合片97は集塵ケース9と一体にそれぞれ形成される。
これを設けた理由は、電動送風機10を利用して吸入口2から塵など吸引していくうちに、集塵ケース9の後面が本体ケース1の内部排気口5の周囲を構成する隔離壁31に密着されるようになり、それによって集塵ケース9が集塵室3から取り出しにくくなることに対処するためである。
【0026】
次に実施の形態6の電気掃除機における集塵ケース9の取出方法を説明する。まず、集塵室3の開口部を閉じていた外蓋4を開くには、外蓋4の先端部に対応する部位の本体ケース1に形成されている開口50から指を差し入れて、外蓋4の本体ケース1に対する係止状態を解除して外蓋4を持ち上げる。これにより外蓋4はその回転中心軸100を中心に可動し始める。この時、回転軸100より下方にある外蓋4の係合片47の可動軌跡は一旦吸入口2側に向かいながら上方に向かい、係合片47と係合片97との係止部が回転軸100と水平位置(同じ高さ位置)になると、今度は電動送風機室6側に向いながらさらに上方に向かう。このような外蓋4の係合片47の移動軌跡にともない、係合片47と係合している集塵ケース9の係合片97の軌跡も同様に一旦吸入口2側に向かいながら上方に向かい、係合片47と係合片97との係止部が回転中心軸100と水平位置になると、それらの間の係合が外れる。
【0027】
上記のように係合片47と係合片97の係合部の軌跡に伴い、集塵ケース9の全体も同様に一旦吸入口2側に向かいながら上方に上がる。これによって、本体ケース1の内部排気口5の周囲を構成する集塵室背面の隔離壁31に密着されていた集塵ケース9は、隔離壁31との密着が外れる。係合片47と係合片97との係止部が回転中心軸100と水平位置になると、それらの間の係合が外れ集塵ケース9は集塵室3内に落ちるが、隔離壁31に対して密着状態にはなっていないので、集塵ケース9を集塵室3から容易に取り出すことができる。
【0028】
実施の形態7
次に本発明の実施の形態7に係る電気掃除機を先に示した図7、図8を基に説明する。実施の形態7では、集塵室3の開口部を開閉する外蓋4の先端部に、本体ケース1先端の切欠部(以下開口50という)に設けられた鉤部51と係合して外蓋4を閉状態に保持する尾錠48を設けている。この尾錠48は中心軸48aを中心に回動可能なL字型とされていて、尾錠48の一方の端部が本体ケース1の鉤部51と係合可能とされ、尾錠48の他方の端部は、外蓋4の外側から押圧できるように外蓋4に設けた係止解除ボタン49と当接可能とされている。係止解除ボタン49はバネなどの弾性体で戻り自在に支持されており、係止解除ボタン49を押圧すると、係止解除ボタン49の底部が本体ケース1の鉤部51に係合されている尾錠48に作用して、それを鉤部51から外す作用を果たす。これにより閉じていた外蓋4が開いて、図7から図8へ状態が移行する。
【0029】
また、この実施の形態7では、外蓋4の先端部と本体ケース1との間の開口50から指を挿入可能としており、指で尾錠48を操作可能にしてある。これにより、係止解除ボタン49を利用しても、また直接指で操作しても、尾錠48を鉤部51から外して外蓋4を開くことができるようにしている。
【0030】
また、図9に示すように、外蓋4の回転中心軸100には、外蓋4を支えるアーム40が取り付けられている。そして、外蓋4の回転中心軸100には、外蓋4を常に開く方向へ付勢する反発力発生具としてのバネ101が設けられている。加えて、係止解除ボタン49の押圧時、外蓋4はそれが閉じられて係止した状態よりもさらに下方へ押されることが可能となるように、集塵室3に装着された集塵ケース9との間に可動隙間が形成されている。これにより、集塵室3の外蓋4の外側に設けた係止解除ボタン49を押す動作に伴い、外蓋4もそれがさらに閉じられる方向に押され、この動作によってバネ101のたわみ量、すなわち反発力がさらに増える。これにより、閉じている状態での外蓋4に対するバネ101の付勢力を小さく設定しても、係止解除ボタン49を押した時には外蓋4を開かせる方向への付勢力を大きくすることが可能となり、外蓋4を開ける際の操作が容易になる。しかもこれにより、外蓋4が閉じている状態の外蓋4または本体ケース1へ加わる応力を小さくすることができる。
【0031】
更に、図9に示したように、外蓋4を支持するアーム40の回転を一定幅に制限するストッパ102を、本体ケース1に設けておくのが好ましい。それにより、バネ101の付勢力によって勢いよく開いた外蓋4が一旦ストッパ102によって止まるため、外蓋4の急激な開動作が生じても安全が確保できる。なお、ストッパ102によって止められた外蓋4は、既に部分的に開いているため、その後は手動によって容易に開くことができる。 また、図12に示すように、外蓋4の係合片47を、外蓋4が一定幅だけ開いたときに集塵ケース9の係合片97と接触する態様に配置しておき、その接触を利用して外蓋4の急激な開動作を一旦停止させたり、開動作の速度を低下させることができる。
【0032】
図10、図11は集塵ケース9の上部に設けられている回動ハンドル95の正面図と側面図である。ここでは、集塵ケース9を集塵室3に収納した際における回動ハンドル95の回動方向を外蓋4の回動方向と同じ方向にするとともに、回動ハンドル95の回転中心軸106に、回動ハンドル95に作用して回動ハンドル95を常に起立状態とするように付勢する反発力発生具としてのバネ107を設けている。
この構成によれば、集塵ケース9の回動ハンドル95が起立状態へと移動する動作に伴い、回動ハンドル95が外蓋4の内面に当接し、外蓋4を開く方向へ付勢する補助力をもたらす。したがって、この構成により、外蓋4の回転中心軸100に設ける付勢力を小さく設定することが可能となり、外蓋4または本体ケース1へ加わる応力を小さくすることができる。
なお、回動ハンドル95は、外蓋4の閉状態から回動ハンドル95がほぼ直立状態に至るまでのできるだけ長い間、外蓋4に接触しているのが好ましく、このため外蓋4の内側に、回動ハンドル95が立ち上がった際にその先端部95aが当接するハンドルリブ60などを外蓋4と一体に設けるのが好ましい。
また、回動ハンドル95の外蓋4内面との当接部95aは、図11に示すように滑らかな曲面とするのが好ましい。
【0033】
以上、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明の各態様は、集塵ケース内に使い捨て紙パックを設ける場合と設けない場合の両方の場合に適用できる。
また、上記で説明した各実施の形態を適宜組み合わせて電気掃除機を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の外蓋開状態の断面図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の外蓋閉状態の断面図。
【図3】本発明の実施の形態2に係る電気掃除機の外蓋閉状態の断面図。
【図4】本発明の実施の形態3に係る電気掃除機の外蓋動作中の断面図。
【図5】本発明の実施の形態4に係る電気掃除機の外蓋閉状態の断面図。
【図6】本発明の実施の形態5に係る電気掃除機の外蓋開状態の断面図。
【図7】本発明の実施の形態6及び7に係る電気掃除機の外蓋閉状態の断面図。
【図8】本発明の実施の形態6及び7に係る電気掃除機の外蓋動作中の断面図。
【図9】本発明の実施の形態7に係る電気掃除機の外蓋の回転中心軸付近の拡大図。
【図10】実施の形態7に係る集塵ケースに設けられている回動ハンドルの説明図。
【図11】図10の回動ハンドルの側面図。
【図12】本発明の実施の形態7の変形例を示す電気掃除機の外蓋閉状態の断面図。
【符号の説明】
【0035】
1 本体ケース、2 吸入口、3 集塵室、4 外蓋、5 内部排気口、6 電動送風機室、7 外部排気口、9 集塵ケース、10 電動送風機、11A,11B 車輪、12 ホース、13 パッキン、14 コイルバネ、15 台座、17 保持部材、17a 掛かり爪、18 保持部材の回転中心軸、19 スプリング、20 パッキン、40 アーム、42 ラッチ解除リブ、43 押さえリブ、44 押し込みリブ、47 外蓋の係合片、48 尾錠、49 係止解除ボタン、50 開口、51 鉤部、60 ハンドルリブ、91 接続口、92 通気面、93 パッキン、94 凸部、95 回動ハンドル、95a 回動ハンドルの先端部、96 突部、97 集塵ケースの係合片、100 外蓋の回転中心軸、101 バネ、102 ストッパ、106 回動ハンドルの回転中心軸、107 バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口、前記吸入口に通じる集塵室、前記集塵室の開口部を開閉する回転自在の外蓋、前記集塵室に通じる内部排気口、前記内部排気口に通じる電動送風機室、前記電動送風機室に通じる外部排気口を備えた本体ケースと、前記電動送風機室に配置された電動送風機とを備えた電気掃除機であって、
前記集塵室内部に集塵ケースを着脱自在に配置し、前記集塵ケースはその前壁に前記吸入口に連通する接続口を有しその後壁を開放したものまたはその前壁に前記吸入口に連通する接続口を有しその後壁に通気面を備えたものであり、
前記集塵室の底面に前記集塵ケースを上方に付勢する集塵ケース付勢機構を設けたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記集塵ケースを前記集塵室内の所定位置に押圧して保持状態にする集塵ケースラッチ機構を備え、
前記外蓋が前記集塵室の開口部を閉状態にしている間、前記外蓋が前記集塵ケースラッチ機構の保持状態を解除し、かつ前記集塵ケースをその上部から押圧した状態で前記本体ケースに係止されていること特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記集塵室の開口部に位置合わせされた前記集塵ケースを前記外蓋の閉動作に連動して集塵室の所定位置に押し込む押し込みリブを、前記外蓋の内側に該外蓋と一体に設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記集塵ケースの前記接続口を前記本体ケースの前記吸入口の内径よりも大きくし、かつ前記集塵ケースが前記集塵室内で前記接続口と前記吸入口との内径差以内の上下方向に可動可能に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記外蓋を開けた時に前記集塵ケースの前記集塵室からの飛び出し量を規制する集塵ケース係止機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項6】
吸入口、前記吸入口に通じる集塵室、前記集塵室の開口部を開閉する回転自在の外蓋、前記集塵室に通じる内部排気口、前記内部排気口に通じる電動送風機室、前記電動送風機室に通じる外部排気口を備えた本体ケースと、前記電動送風機室に配置された電動送風機とを備えた電気掃除機であって、
前記集塵室内部に集塵ケースを着脱自在に配置し、前記集塵ケースはその前壁に前記吸入口に連通する接続口を有しその後壁を開放したものまたはその前壁に前記吸入口に連通する接続口を有しその後壁に通気面を備えたものであり、
前記集塵ケースの上部と前記外蓋の内側に互いに係合し合う係合片をそれぞれ設け、前記集塵室の開口部から前記外蓋が開かれる際に、前記外蓋の係合片が前記集塵ケースの係合片を介して前記集塵ケースを前記吸入口側に押圧しながら持ち上げる態様にそれらの係合片を配置していることを特徴とする電気掃除機。
【請求項7】
吸入口、前記吸入口に通じる集塵室、前記集塵室の開口部を開閉する回転自在の外蓋、前記集塵室に通じる内部排気口、前記内部排気口に通じる電動送風機室、前記電動送風機室に通じる外部排気口を備えた本体ケースと、前記電動送風機室に配置された電動送風機とを備えた電気掃除機であって、
前記外蓋の回転中心軸に設けられて前記外蓋を開く方向に付勢する付勢手段と、
前記回転中心軸と反対側の前記外蓋の先端部にあって、該外蓋を前記集塵室の開口部を閉じた状態に前記本体ケースに係止する回転自在の錠体と、
前記外蓋に設けられて前記外蓋を閉じる方向へ押圧可能、かつ前記錠体の前記本体ケースとの係止を解除可能な係止解除ボタンと、を備えたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項8】
前記錠体の前記本体ケースとの係止を指で直接解除可能な開口を前記本体ケースの先端部に形成していることを特徴とする請求項7記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記集塵ケースの上部に設けられた回動可能なハンドルと、
前記ハンドルを起立状態とする方向へ付勢するハンドル付勢機構とを備え、
前記ハンドルが前記ハンドル付勢機構の作用により前記外蓋を開く方向に付勢することを特徴とする1ないし6のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記集塵室内部に着脱自在に配置された集塵ケースと、
前記集塵ケースの上部に設けられた回動可能なハンドルと、
前記ハンドルを起立状態とする方向へ付勢するハンドル付勢機構とを備え、
前記ハンドルが前記ハンドル付勢機構の作用により前記外蓋を開く方向に付勢することを特徴とする7または8記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記ハンドルの前記リブとの当接部を曲面形状としていることを特徴とする請求項9または10記載の電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−29231(P2007−29231A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213867(P2005−213867)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】