説明

電気掃除機

【課題】 掃除中などにおいて排出孔のキャップが緩んだり或いは外れてしまっても水漏れしにくいようにする。
【解決手段】 電動送風機7を内蔵すると共に把手部3を備えた掃除機本体1に集塵ケース9を取り付ける。この集塵ケース9は、前記掃除機本体1に対して着脱自在に設けられ、前記電動送風機7の一次側7Aが接続されると共に、前部に吸込口13が下向きに設けられる。前記集塵ケース9の吸込口13の近傍に閉塞体としてのキャップ16を着脱自在に設けた排出孔17を設けると共に、この排出孔17を前記吸込口13の近傍の上面9Bに設ける。これによって、掃除中に前記集塵ケース9の下面9Dに水分Wが貯留しても、その水面S上に前記排出孔17が配置されるので、前記キャップ16が緩んでいたとしても、前記排出孔17から水分Wが漏れにくくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体又は液体と塵埃の混合物を吸引して掃除することができる電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとしてファンモータ(電動送風機に相当)を内蔵すると共にハンドルを後部に備えた掃除機本体と、該掃除機本体の前部に着脱自在に接続され前記電動送風機の一次側を接続すると共に前側にノズル状の吸込口を下向きに設けた集塵ケースと、該集塵ケースの前記吸込口の近傍の前面下部に設けられキャップを着脱自在に設けた水抜き孔を備え、吸込口から吸い込んだ水分を集塵ケースに溜め、そしてキャップを外した水抜き孔より集塵ケースに溜まった水分を排出できるようにした電気掃除機が公知である(例えば特許文献1、2)
【特許文献1】特開昭62ー246337号公報
【特許文献2】特開昭62ー246338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来技術においては集塵ケースに水分が所定量溜まるたびに比較的頻繁にキャップを外して排水する必要がある。そして、排水後は水抜き孔にキャップを取り付けて閉じるものであるが、キャップの取り付けが弱いと、吸込口を下向きとしている掃除の途中で緩んだり或いは外れてしまい、この結果集塵ケースに溜まった水分が水抜き孔より漏れ出てしまうおそれがあった。これは、水抜き孔が吸込口の近傍の下部に配置されていることに起因する。
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、液体又は液体と塵埃の混合物を吸引して掃除することができる、キャップが着脱自在に設けられた排出孔を備えた電気掃除機において、掃除中などにおいて排出孔のキャップが緩んだり或いは外れてしまっても液漏れしにくいようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、電動送風機を内蔵すると共に把手部を備えた掃除機本体と、該掃除機本体に対して取り付けられ前記電動送風機の一次側が接続されると共に前部に吸込口を下向きに設けた集塵ケースと、該集塵ケースの前記吸込口の近傍に設けられると共に閉塞体が着脱自在に設けられた排出孔を備えた電気掃除機において、前記排出孔を前記吸込口の近傍の上部に設けたことを特徴とする電気掃除機である。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記排出孔を前記集塵ケースの上面に設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機である。
【0007】
更に、請求項3の発明は、前記吸込口に前側を接続した吸込案内筒を前記集塵ケース内部に後方に向けて延長すると共に、該吸込案内筒の後側に設けた排出用開口部を前記集塵ケース内に連通し、前記排出用開口部よりも前側に前記排出孔を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の電気掃除機である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、排出孔を吸込口の近傍の上部に設けたことにより、集塵ケースに液体が貯留しても、その液面上に排出孔を配置でき、排出孔から液体が漏れるようなことはない。
【0009】
請求項2の発明によれば、排出孔を集塵ケースの上面に設けたことにより、液面S上から可及的上方に排出孔を配置することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、電気掃除機を下向きとして集塵ケースに貯留された液体を排出孔より排出する際、液体が吸込口から直接排出されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0012】
図は実施例1を示している。掃除機本体1は筒形状の本体ケース2の後部に握り部となるハンドル等とも称せられる把手部3が設けられると共に、内部に充電式電池4と該電池4に接続されたモータ5の駆動軸に羽根6を設けた遠心型の電動送風機7が設けられている。そして、前記本体ケース2の前部には嵌合受け部8が形成され、この嵌合受け部8に集塵ケース9の後部開口部9Aが着脱自在に嵌合するようになっている。また、前記嵌合受け部8の前面には、吸気口によって前記電動送風機7の一次側7Aが形成されていると共に、前記本体ケース2の右側面2Aに形成された排気孔によって、前記電動送風機7の二次側7Bが形成されている。さらに、前記本体ケース2の上面2Bの中央には、前記電動送風機7の電源スイッチ操作部10、前記上面2Bの前部には前記集塵ケース9を前記本体ケース2に固定するためのロック操作装置11が設けられている。このロック操作装置11は、前記本体ケース2に中央部を回動自在に設けた梃子体11Aの先端が、前記集塵ケース9の後部開口部9A近傍に形成された係止受部9Eに対して係止可能に形成されると共に、前記梃子体11Aの基端に該梃子体11Aをロック状態に付勢するためのバネ等弾性体11Bが設けられている。そして、前記梃子体11Aの先端を前記係合受部9Eに係合させることで、前記集塵ケース9を前記本体ケース2に対して取り付けることができる。
【0013】
前記集塵ケース9は、前部がやや幅狭となるように前記本体ケース2と連なるような上面9B、左右両側面9C、下面9Dを有する筒形状をなして中空部12を内部に形成して、この中空部12内に塵埃と共に水分W等の液体をも貯留できるようになっている。そして、前記集塵ケース9の前部には、斜め下向きの吸込口13が形成されている。尚、この吸込口13を接続口として、これに下向きの吸込用ノズル(図示せず)をアタッチメントとして着脱自在に設けてもよい。
【0014】
そして、前記集塵ケース9の内部に、吸込案内筒14を一体に形成する。この吸込案内筒14は、前記吸込口13から吸い込んだ水分W等の液体、或いは水分W等の液体と塵埃の混合物を前記集塵ケース9内の後側で排出するように案内するものであり、その横断断面積は前記中空部12の横断断面積より小さい筒状であり、その前側14Aが前記吸込口13に一体に接続され、その後側が中空部12内で後方に向けて延長され、さらに、前記吸込案内筒14の後端には排出用開口部15が前記中空部12内に配置されていると共に、この排出用開口部15は後方に向けて開口している。
【0015】
そして、前記集塵ケース9の吸込口13の近傍には、閉塞体であるキャップ16が着脱自在に設けられた排出孔17が設けられている。この排出孔17は、前記吸込口13の近傍の上部にある上面9Bに、開口平面が略円形となるように、内外を貫通して形成されている。尚、前記吸込口13の近傍とは、各図に示されるように、少なくとも前記排出孔17が前記排出用開口部15よりも前方に配置されていることをいう。また、前記排出孔17を閉塞可能な前記キャップ16は円板状であって、その上面には摘み18が形成されている。そして、前記前記キャップ16を前記排出孔17に対して着脱自在且つ水密/気密に閉塞する手段としては、螺子式接続やバヨネット式接続(結合)、嵌着式接続或いはこのような他の着脱可能な接続手段でもよい。本実施例の場合、前記キャップ16の周縁に係合突起16Aを設けると共に、前記排出孔17の周縁に前記係合突起16Aが係合可能な係合受突起17Aを設けたバヨネット式接続の構造を示している。
【0016】
さらに、前記集塵ケース9の後部開口部9Aには、フィルターケース19が該後部開口部9Aを覆うように着脱自在に装着される。このフィルターケース19は、前記集塵ケース9の後部開口部9Aに嵌合する取付枠20に第1のフィルター21が着脱自在に装着されると共に、その前側には一次側通路22が形成される。この一次側通路22は、前面22A、上面22B、左右両側面22C及び下面22Dを有する筒状であって、前面22Aは排出用開口部15と間隔Aをおいて対向するように、上部22Eが前側となり下部22Fが後側になるように凹曲面状に傾斜している。また、前記一次側通路22の上面22Bの前側には、吸引口23が上向きに設けられ、この吸引口23は前記集塵ケース9の上面9Bの内側に該上面9Bと間隔Bを有して対向するように設けられると共に、この吸引口23には第2のフィルター24が装着されている。そして、前記吸込口13から空気と共に吸い込まれた水分Wが前記一次側通路22の凹曲面状となった前面22Aに衝突することで、水分Wと空気とが分離され、水分Wは前記集塵ケース9の下面9D側に貯留し、空気は前記第2のフィルター24、一次側通路22、第1のフィルター21を通過するようになっている。なお、水分Wと共に塵埃(図示せず)が前記吸込口13から吸引された場合、塵埃の一部は水分Wと混じって前記集塵ケース9の下面9D側に貯留されると共に、残りの一部は気流に乗り、この気流が前記第2のフィルター24及び第1のフィルター21を通過する際、これらのフィルター24,21によって捕捉される。
【0017】
次に、前記構成についてその作用を説明する。掃除を行う場合、使用者は前記電気掃除機本体1の把手部3を手で握って前記吸込口13を斜め下向きとして床面Fに当てると共に、前記電源スイッチ操作部10を操作する。これによって、前記充電式電池4から電力が供給され、前記モータ5が作動することにより前記羽根6が高速回転し、前記一次側7Aから吸い込んだ空気を前記二次側7Bへ排気するようになる。そして、水分W或いは水分Wと塵埃の混合物を掃除する場合は、空気と共に前記吸込口13から吸い込まれる。そして、空気と共に吸い込まれた水分W(及び塵埃)は、前記吸込案内筒14を通り、前記一次側通路22の傾斜した前面22Aに向かって前記排出用開口部15より排出される。そして、水分W(及び塵埃)の混ざった気流が前記一次側通路22の前面22Aに衝突すると、その衝撃力によって水分W(及び塵芥)が気流から分離され、(塵埃の混ざった)水分Wは水面Sを形成して前記集塵ケース9の中空部12内で下面9D側に貯留する。一方、一部の塵埃は気流から分離されず、気流と共に中空部12、間隙A,Bを通って第2のフィルター24に至るが、この塵埃は第2のフィルター24によって捕捉される。さらに、前記第2のフィルター24を通過した気流は、前記一次側通路22を通ってから前記第1のフィルター21に至り、この第1のフィルター21によって、前記第2のフィルター24では捕捉されなかった微細な塵埃が補足される。そして、前記第一のフィルター21を通過した清浄な空気は、前記電動送風機7の一次側7Aから二次側7Bへ至り、前記掃除機本体1の外部へ排気される。
【0018】
このような掃除の後に電気掃除機を例えば洗面台に持ち運び、そして、前記集塵ケース9内に貯留した水分Wを排出するには、前記摘み18を摘んで回動することで、前記係合突起16Aと係合受突起17Aとの係合状態を解除して、前記排出孔17に取り付けられていた前記キャップ16を取り外し、前記排出孔17を下向きとして排水することができる。この際、前記排出用開口部15よりも前側に前記排出孔17を設けたことにより、貯留した水分Wが前記吸込案内筒14を通って排出されるようなことはなくなり、前記排出孔17から水分Wを確実に排出することができる。このため、(塵埃の混ざった)水分Wが前記吸込案内筒14を通って前記吸込口13から予期せず排出されることを防止することができ、これによって、排水を床等にこぼしてしまう虞を減ずることができる。このように、水分Wを排出した後、再び前記キャップ16を回動して前記排出孔17に取り付けることによって、再び掃除を行うことができる。
【0019】
そして、仮に前記キャップ16が前記排出孔17に対して緩んで取り付けられていたとしても、前記吸込口13を斜め下向きとした掃除中にあっては、貯留されている水分Wの水面Sが前記排出孔17より下方にあるので、前記排出孔17から水漏れしにくくすることができる。また掃除の後に前記吸込口13を斜め下向にして電気掃除機を例えば洗面台に持ち運ぶ際にも、貯留されている水分Wの水面S´が排出孔17より下方にあるので水漏れしないで済む。
【0020】
一方、前記各フィルター21,24に溜まった塵埃を除去する場合、前記ロック操作装置11の梃子体11Aの基端を前記弾性体11Bに抗して押圧することで、前記梃子体11Aの先端と前記集塵ケース9の係止受部9Eとの係止を解除して、前記掃除機本体1から前記集塵ケース9を取り外し、さらに、この集塵ケース9から前記フィルターケース19を取り外すことで、前記第2のフィルター24や第1のフィルター21を掃除することができる。
【0021】
尚、前記電気掃除機の不使用時には、この電気掃除機を充電台(図示せず)に載せて給電しておく。
【0022】
以上のように、前記実施例では、電動送風機7を内蔵すると共に把手部3を備えた掃除機本体1に集塵ケース9を着脱自在に取り付け、この集塵ケース9に前記電動送風機7の一次側7Aが接続されると共に前部に吸込口13を下向きに設け、該集塵ケース9の吸込口13の近傍にキャップ16が着脱自在に設けられた排出孔17を設け、この排出孔17を前記吸込口13の近傍の上部に設けたことにより、掃除中に前記集塵ケース9の下面9D側に水分Wが貯留しても、その水面S上に前記排出孔17が配置されるので、前記キャップ16が緩んでいたとしても前記排出孔17から水分Wが漏れるようなことはない。
【0023】
さらに、前記排出孔17を前記集塵ケース9の上面9Bに設けたことにより、前記排出孔17を前記集塵ケース9の下面9Dに対して可及的に上方へ配置できるので、水面S上から可及的上方に前記排出孔17を配置して水分Wの漏れの虞を一層なくすることができる。
【0024】
また、前記吸込口13に前側14Aが一体に接続された吸込案内筒14を前記集塵ケース9内部に後方に向けて延長すると共に、該吸込案内筒14の後側に設けた排出用開口部15を前記集塵ケース9内に連通し、前記排出用開口部15よりも前側に前記排出孔17を設けたことによって、電気掃除機を下向きとして前記集塵ケース9に貯留された水分Wを前記排出孔17より排出する際、水分Wが前記吸込口13より直接排出するようなことはなく、貯留された水分Wを前記排出孔17より確実に排出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように本発明に係る電気掃除機は、各種の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1を示す全体の斜視図である。
【図3】本発明の実施例1を示す全体の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例1を示す要部の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 掃除機本体
3 把手部
7 電動送風機
7A 一次側
9 集塵ケース
9B 上面
13 吸込口
14 吸込案内筒
14A 前側
15 排出用開口部
16 キャップ(閉塞体)
17 排出孔



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を内蔵すると共に把手部を備えた掃除機本体と、該掃除機本体に対して取り付けられ前記電動送風機の一次側が接続されると共に前部に吸込口を下向きに設けた集塵ケースと、該集塵ケースの前記吸込口の近傍に設けられると共に閉塞体が着脱自在に設けられた排出孔を備えた電気掃除機において、前記排出孔を前記吸込口の近傍の上部に設けたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記排出孔を前記集塵ケースの上面に設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記吸込口に前側を接続した吸込案内筒を前記集塵ケース内部に後方に向けて延長すると共に、該吸込案内筒の後側に設けた排出用開口部を前記集塵ケース内に連通し、前記排出用開口部よりも前側に前記排出孔を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の電気掃除機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−319266(P2007−319266A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150610(P2006−150610)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)