説明

電気掃除機

【課題】構成を簡略化しつつ電動送風機の駆動による吸込音を低減した電気掃除機を提供する。
【解決手段】電動送風機の吸込側に連通して掃除機本体に接続する管部の操作用の手元操作部5の手元操作部本体11と把持用の把持部12との内部に連続して、風路の一部をなす手元風路13を把持部12内で折り返して区画する。新たな部材などを追加することなく手元風路13を利用して管部内の風路の全長を延長し、構成を簡略化しつつ電動送風機の駆動による吸込音を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機本体に管部と延長管とを順次接続可能な電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体を備えている。この掃除機本体内には、電動送風機の吸込側に連通する集塵部が設けられている。また、掃除機本体には、集塵部の上流側に連通する本体吸込口が開口形成され、この本体吸込口に、ホース体が連通接続される。このホース体の先端部には、作業者が把持する把持部が突設された手元操作部が設けられている。また、この手元操作部には、延長管および床ブラシが順次連通接続され、ホース体、延長管および床ブラシにより管部が構成されている。そして、このような電気掃除機においては、電動送風機の駆動により発生した負圧により、床ブラシなどの先端から空気とともに塵埃を集塵部へと吸い込んで掃除をする。
【0003】
このような電気掃除機において、電動送風機の駆動による吸い込みの際には比較的大きい吸込音が発生するため、ホース体の基端部に穿設した複数の小孔の周囲に筒状体を配設して共鳴型の消音器を構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平05−220072号公報(第2頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の電気掃除機では、ホース体の基端部に小孔を穿設するだけでなく、別体で設けた筒状体を取り付ける必要があり、構成を簡略化することが容易でないという問題点を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、構成を簡略化しつつ電動送風機の駆動による吸込音を低減した電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、操作用の手元操作部を備え、内部に風路を区画するとともに、電動送風機の吸込側に連通して掃除機本体に接続される管部を具備し、手元操作部は、手元操作部本体と、この手元操作部本体から突設された把持用の把持部と、手元操作部本体と把持部との内部に連続して区画され、把持部内で折り返されて風路の一部をなす手元風路とを備えているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、手元操作部本体と把持用の把持部との内部に連続して、把持部内で折り返され風路の一部をなす手元風路を区画することで、新たな部材などを追加することなく手元風路を利用して管部内の風路の全長を延長し、構成を簡略化しつつ電動送風機の駆動による吸込音を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態の電気掃除機の構成を図1および図2を参照して説明する。
【0009】
図2において、1は掃除機本体で、この掃除機本体1は、内部に収容されたモータファンである電動送風機2の駆動にて生じる吸気風とともに吸い込んだ塵埃を、着脱可能な図示しない集塵パックにて集塵する。
【0010】
また、この掃除機本体1には、外部から空気を吸引する本体吸込口3が開口されている。この本体吸込口3には、可撓性を有し湾曲可能な細長略円筒状のホース体4が連通接続されている。このホース体4の先端には、電動送風機2の動作モードなどが選択可能な手元操作部5が設けられている。
【0011】
さらに、この手元操作部5の先端には、伸縮可能な細長略円筒状の延長管8が着脱可能に連通接続されている。またさらに、この延長管8の先端には、例えば室内の床面の絨毯などの上に載置させて、この絨毯上の塵埃を吸い込む吸込口体としての床ブラシ9が着脱可能に連通接続されている。これら床ブラシ9、延長管8およびホース体4により、内部に風路Wを区画する管部10が構成されている。
【0012】
そして、図1に示すように、手元操作部5は、例えばホース体4よりも硬質の合成樹脂などにより形成されており、手元操作部本体11と、この手元操作部本体11から基端側すなわち後方上側へと突設された長手状の把持部12とを備え、これら手元操作部本体11と把持部12との内部に連続して手元風路13が区画形成されている。
【0013】
手元操作部本体11は、略筒状の上流側本体部15と、この上流側本体部15の下流側に設けられた下流側本体部16とを備えている。
【0014】
上流側本体部15は、先端部である上流端に、延長管8を係止可能なクランプ18(図2)が設けられ、このクランプ18を介して延長管8を係止可能である。また、この上流側本体部15は、延長管8の軸方向に略沿って直線状に形成されている。
【0015】
下流側本体部16は、後端部である下流端がホース体4の上流側に連通している。また、この下流側本体部16は、上流側本体部15に対して、下流側が下方へと傾斜するように屈曲されている。このため、手元操作部本体11は、側面視で略へ字状に屈曲されている。
【0016】
また、把持部12は、掃除する際に作業者が把持するもので、上流側本体部15の下流端すなわち下流側本体部16との連続部近傍から突出した基端部としての中空状の突出基端部21と、この突出基端部21の先端部から屈曲された先端部としての中空状の屈曲先端部22とを備えている。
【0017】
突出基端部21は、手元操作部本体11の上流側本体部15に対して、下流側本体部16と離間されるように、すなわち後方上側へと傾斜状に突出形成されている。
【0018】
屈曲先端部22は、突出基端部21の先端部に対して後方へと屈曲されている。このため、把持部12は、側面視で略へ字状に屈曲されている。また、この屈曲先端部22は、断面視で略円形状に形成されている。さらに、屈曲先端部22内には、この屈曲先端部22の上側寄りの位置に設けられた区画板部24により、収容空間部25が区画形成されている。
【0019】
この収容空間部25は、手元風路13の上部に位置しており、掃除機本体1内の電動送風機2などを複数の動作モードに設定する複数の設定ボタン26(図2)を有する基板部27が収容されている。したがって、この基板部27は、区画板部24により手元風路13から隔離されている。
【0020】
基板部27は、メンブレンスイッチなどを備えたフレキシブル基板であり、図示しない配線を介して掃除機本体1(図2)内の制御手段などに電気的に接続されている。
【0021】
そして、手元風路13は、上流側本体部15を介して延長管8の下流側に連通するとともに、下流側本体部16を介してホース体4の上流側に連通して風路W(図2)の一部をなすもので、手元操作部本体11の上流側本体部15の内部から、把持部12の内部の屈曲先端部22の先端近傍に亘って突設された区画壁部31により区画されている。
【0022】
区画壁部31は、手元操作部本体11の上流側本体部15の下流端近傍の位置から、突設された基端突出部33と、この基端突出部33の先端部に延設された屈曲部34と、この屈曲部34の先端部に延設された延設部35とを備えている。
【0023】
基端突出部33は、上流側本体部15の径方向に沿って突出し、先端部が把持部12の突出基端部21の基端近傍に位置している。
【0024】
屈曲部34は、把持部12の突出基端部21の中心に沿って設けられている。したがって、この屈曲部34は、基端突出部33に対して後方上側へと傾斜状に屈曲されている。そして、この屈曲部34は、突出基端部21内を上下に分割している。
【0025】
延設部35は、屈曲部34の先端部から、屈曲先端部22の中心に沿って設けられている。したがって、延設部35は、屈曲部34に対して後方へと屈曲形成されている。また、この延設部35は、屈曲先端部22内を突出基端部21側から先端部近傍に亘って上下に分割している。さらに、この延設部35は、その先端が、屈曲先端部22内の先端に対して離間されている。
【0026】
したがって、手元風路13は、区画壁部31により、把持部12内で折り返し形成されており、この把持部12内において、区画壁部31の上部と下部とに断面略半円状に形成されている。
【0027】
このため、手元風路13は、把持部12内において、手元操作部本体11に対する把持部12の突出量の約2倍の長さに形成されている。
【0028】
次に、上記一実施の形態の作用を説明する。
【0029】
まず、作業者は、掃除機本体1の本体吸込口3に、ホース体4、延長管8および床ブラシ9を順次連通接続する。
【0030】
さらに、作業者が、掃除機本体1から電源コードを引き出して図示しないコンセントに接続した後、把持部12を把持して所定の設定ボタン26を操作すると、この設定ボタン26により設定された動作モードに応じて電動送風機2が駆動される。
【0031】
そして、作業者は、把持部12を把持して床面上で床ブラシ9を前後に走行させ、床ブラシ9の先端から床面の塵埃を吸い込む。
【0032】
塵埃とともに吸い込まれた空気は吸込風となり、塵埃とともに風路W内を床ブラシ9から延長管8へと通過した後、上流側本体部15から手元風路13に流入する。
【0033】
このとき、吸込風は、区画壁部31の基端突出部33により把持部12の突出基端部21内へと整流され、区画壁部31の屈曲部34の上側から延設部35の上側に亘って流れた後、把持部12内の先端にて区画壁部31に沿って折り返され、延設部35および屈曲部34の下側に沿って流れ、下流側本体部16からホース体4へと流入する。
【0034】
そして、塵埃とともにホース体4を通過した吸込風は、掃除機本体1の本体吸込口3へと導かれて、この掃除機本体1内に収容された図示しない集塵パックを通過する際に、塵埃が捕集される。
【0035】
この後、吸込風は、電動送風機2へと吸気されて排気風となり、掃除機本体1の図示しない排気口から外部へと排気される。
【0036】
上述したように、上記一実施の形態によれば、手元操作部本体11と把持用の把持部12との内部に連続して、把持部12内で折り返され風路Wの一部をなす手元風路13を区画することで、新たな部材などを追加することなく手元風路13を利用して管部10内の風路Wの全長を延長することで、電動送風機2の駆動により発生する吸込音の特に高音成分が減衰するので、構成を簡略化しつつ電動送風機2の駆動による吸込音を低減できる。
【0037】
また、手元風路13を把持部12内で折り返すことにより、この手元風路13の全長を、手元操作部本体11からの把持部12の突出量の約2倍の長さとすることができ、風路Wの全長を、より増加させることができるので、電動送風機2の駆動により発生する吸込音を、より効果的に低減できるとともに、手元風路13の全長を確保しながら把持部12の太さが必要以上に太くなることもなく、作業者が把持部12を把持しにくくなることがない。
【0038】
さらに、手元操作部5の内部は、基板部27を収容する他に使用されることがないデッドスペースであるから、このデッドスペースを有効に利用して風路Wの全長を確保できる。
【0039】
しかも、手元操作部5は、手元風路13により、全体に亘って略中空状となるため軽量化され、操作性が向上する。
【0040】
なお、上記一実施の形態において、管部10は、ホース体4、延長管8および床ブラシ9の順番で接続されるものに限定されるものではない。
【0041】
また、管部10は、上記ホース体4、延長管8および床ブラシ9の3つで構成されるものに限定されるものではない。
【0042】
さらに、管部10は、把持部12と一体に形成されたものでもよい。
【0043】
そして、手元操作部5は、手元操作部本体11から把持部12を突出させて手元風路13を内部に形成するものであれば、その形状などの細部は上記構成に限定されるものではない。
【0044】
また、電気掃除機の細部は、上記構成に限定されるものではなく、電気掃除機としては、キャニスタ型に限らず、例えば自走式(走行補助式)や自律走行式(ロボット式)の電気掃除機などでもよく、また、例えばホースや延長管を有さないアップライト型またはホースや延長管を有するアップライト型、あるいはハンディ型などであっても対応させて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態の電気掃除機の要部を示す説明断面図である。
【図2】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 掃除機本体
2 電動送風機
5 手元操作部
10 管部
11 手元操作部本体
12 把持部
13 手元風路
W 風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
操作用の手元操作部を備え、内部に風路を区画するとともに、前記電動送風機の吸込側に連通して前記掃除機本体に接続される管部とを具備し、
前記手元操作部は、
手元操作部本体と、
この手元操作部本体から突設された把持用の把持部と、
前記手元操作部本体と前記把持部との内部に連続して区画され、前記把持部内で折り返されて前記風路の一部をなす手元風路とを備えている
ことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−142269(P2008−142269A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332356(P2006−332356)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】