説明

電気掃除機

【課題】電気掃除機本体前方に設けた把手において、十分な強度を確保する。
【解決手段】電気掃除機本体101の把手部6を、本体101に設けた第1の把手部4の内周面8と外周面9を、蓋体3に設けた第2の把手部5でコの字状に覆うように構成することで、第1の把手部4と第2の把手部5が一体となったとき十分な強度を確保し、持ち上げて移動させる際、第1の把手部4と第2の把手部5が合わさった状態であっても、蓋体3を開いた状態であっても、安定感があり心地よい持ちやすさを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特に電気掃除機の把手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機の把手は、本体の上方部に折りたたみ可能に設置されることが多い。また、本体を垂直に立てた収納状態から直ちに持ち運びを可能にするため、把手を本体の前方に設置した電機掃除機もある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭60−199427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載の従来の構成では、後端部に本体への引掛け部を設けた蓋体の前方部に蓋把手を形成し、掃除機本体に設けた本体把手と重ね合わせて電気掃除機の把手として使用できるようにすると共に、指の挟みこみ防止のため、蓋体と一体に前方に延出した把手部の蓋把手壁が、本体把手の壁面よりも外側にオーバーラップするように形成されているが、そのオーバーラップが蓋把手の内周壁側の片側のみであるため、蓋把手と本体把手を重ね合わせた把手部が十分な強度を確保できていなかった。
【0004】
その対策として、蓋把手と本体把手を太くすることで強度を向上させる方法も考えられるが、把手部が太くなることで握り心地が悪化してしまうという課題もあった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、本体前方に設置された把手の強度と取り扱い性を向上した電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、集塵室と前記集塵室の後方に配置された電動送風機とを備えた本体と、前記集塵室を覆うと共に後端を前記本体に開閉可能に軸支された蓋体とからなり、前記本体と一体に前方へ延出して設けた第1の把手部と、前記蓋体と一体に前方に延出し前記第1の把手部を覆う様に設けた第2の把手部とからなる構成としたため、第1の把手部と第2の把手部が一体となったとき、第1の把手部の上面・内周面・外周面の3面が、第2の把手部のコの字状内面とそれぞれ面で接触、保持されるため、十分な強度を確保できる。
【0007】
また、本発明は、蓋体を閉めた状態を保持するための尾錠を備えると共に、蓋体を開方向に付勢する弾性体を軸支部に有し、前記尾錠を解除すると前記蓋体が開方向へ回動し、第2の把手部が略最上位置に移動するよう構成したため、蓋を開けると第2の把手部が本体上方に移動し、その状態で安定しているため、第2の把手部のみを利用して体を屈めることなく立った姿勢での本体の持ち運びを可能としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の掃除機の把手は、第1の把手部の内周と外周両面を第2の把手部でコの字状に覆うように構成することで、第1の把手部と第2の把手部が一体となったとき十分な強度を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、集塵室と前記集塵室の後方に配置された電動送風機とを備えた本体と、前記集塵室を覆うと共に後端を前記本体に開閉可能に軸支された蓋体とからなり、前記本体と一体に前方へ延出して設けた第1の把手部と、前記蓋体と一体に前方に延出し前記第1の把手部を覆う様に設けた第2の把手部とからなる構成としたため、第1の把手部と第2の把手部が一体となったときの十分な強度を確保するとともに、心地よい握り感を実現する。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の電気掃除機において、蓋体を閉めた状態を保持するための尾錠を備えると共に、蓋体を開方向に付勢する弾性体を軸支部に有し、前記尾錠を解除すると前記蓋体が開方向へ回動し、第2の把手部が略最上位置に移動することを特徴とする構成としたため、体を屈めることなく立った姿勢で第2の把手部のみを利用して持ち運びが可能となる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の把手を、第1の把手部と第2の把手部が合わさった状態の把手部を持って本体を持ち上げた際、前記把手部が略垂直となるような傾斜角度をもって前記第1の把手部と第2の把手部が本体及び蓋体より延出されたことを特徴とする構成としたため、本体を持ち上げた際に、持ちやすく、安定感を得ることができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について、図1〜5を用いて説明する。
【0014】
図1に示すように、電気掃除機本体101(以下、本体と称す)は、集塵室1と集塵室1の後方に配置された電動送風機2とを備えており、集塵室1を覆うと共に後端を本体101に開閉可能に軸支された蓋体3とからなり、前記本体と一体に前方へ延出して設けた第1の把手部4と、蓋体3と一体に前方に延出し第1の把手部4を覆う様に設けた第2の把手部5とが、本体101前方で重なり合うことで一体化する把手部6を有している。
【0015】
第2の把手部5の断面はコの字状を成しており、蓋体3で集塵室1を覆うと、第1の把手部4の上面・内周面8・外周面9の3面と第2の把手部5の内面3面がそれぞれ面で接触される。
【0016】
また、図4に示すように、第1の把手部4は、第2の把手部5を有する蓋体6の軸支部7と略水平の関係で位置しており、第1の把手部4の内周面8と外周面9、そして第2の把手部5の前壁10と後壁11は、それぞれの面がほぼ垂直になるように構成している。
【0017】
つまり、第1の把手部4の内周面8と外周面9、そして第2の把手部5の前壁10と後壁11は、蓋体3の軸支部7に対する円弧の接線にほぼ一致しているので、蓋体6に構成した第2の把手部5を回動させて本体101に設けた第1の把手部4を覆うように構成しても、第1の把手部4の内周面8と第2の把手部5の後壁11の間、第2の把手部5の外周面9と第2の把手部5の前壁10の間の隙間を最少とすることができ、密着させることができる。
【0018】
更に、第1の把手部4の内周面8、外周面9を覆っている第2の把手部5の前壁10と後壁11は5mmの厚みを持っており、第1の把手部4の内周面8、外周面9の下端に対して、第2の把手部5の前壁10と後壁11の先端がそれぞれ5mm以上短くし、且つ後壁11の下端は円弧状に構成し、第1の把手部4と第2の把手部5を重ね合わせたとき、第1の把手部4と第2の把手部5に段差を構成している。
【0019】
また、蓋体3には、蓋体3を閉めた状態を保持するための尾錠12、及び蓋体3を開方向に付勢する弾性体としてバネ13を軸支部7に有しており、尾錠12を解除するとバネ13の付勢により蓋体3が開方向へ回動し、垂直状態で保持されるように構成しており、この時、第2の把手部5は略最上位置に移動、保持される。
【0020】
第1の把手部4と第2の把手部5が合わさった状態の把手部6は、本体の前方に対して約20度の傾斜角度で、延出されている。この傾斜角度は、第1の把手部4と第2の把手部5が合わさった状態の把手部6と本体の重心14とを結んだ直線の傾斜角度と一致させている。
【0021】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0022】
図3に示すように、第1の把手部4の上面・内周面8・外周面9の3面を、第2の把手部5のコの字形状で隙間なく保持することによって、第1の把手部4と第2の把手部5を重ね合わせた把手部6が十分な強度を確保できる。
【0023】
また、第1の把手部4と第2の把手部5を重ね合わせたとき、第1の把手部4と第2の把手部5に設けられている段差によって、第1の把手部4と第2の把手部5を重ね合わせる際に、第1の把手部4と第2の把手部5の隙間で指の腹や手の平の肉をつめるという恐れなく使用性を向上させる効果がある。特にこのような蓋体3は、蓋把手と本体把手の接合部が使用者に見えにくく、使用者は不意に指をはさむことが懸念されるが、本実施の形態によれば把手部の持ち方に拠らず指詰めが防止できる。
【0024】
さらに、第2の把手部5の断面がコの字状を成し、5mm以上の厚みを有しているため、第1の把手部4と重なり合っていない、単独の状態においても把手部としての十分な強度を確保できているとともに、その断面の外形寸法が第1の把手部と重なり合った状態と同等の寸法幅を有しているため、第1の把手部4と重なり合った状態6と同じように、第2の把手部5単独での心地良い握り感を実現している。
【0025】
図4に示すように、蓋体3を開けた状態においては、蓋体3の長さ分だけ第2の把手部5が高い所に位置しており、蓋体3を開けた状態の本体を移動しようとする際、ほとんど体を屈めることなく、立ったままの姿勢で第2の把手部5を掴むことができる。
【0026】
また、蓋体の軸支部7に備えたバネ13が常に蓋体3を開方向へ回動させようとする力を付加しているため、蓋体3が略最上位置に倒立した状態で安定しており、蓋体3を開けた状態で第2の把手部5だけを利用して本体101を移動させる際、安定感があり持ちやすい。
【0027】
また、第1の把手部4と第2の把手部5が合わさった状態の把手部6を持って本体101を持ち上げた際、第1の把手部4と第2の把手部5が合わさった状態の把手部6が本体の前方に対して20度の傾斜角度を有しているため、第1の把手部4と第2の把手部5が合わさった状態の把手部6が略垂直となり、持ち上げて移動させる際に、安定感があり持ちやすいものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、第1の把手部の内周と外周両面を第2の把手部でコの字状に覆うように構成することで、第1の把手部と第2の把手部が一体となったとき十分な強度を確保できており、持ち上げて移動させる際には、第1の把手部と第2の把手部が合わさった状態であっても、蓋体を開いた状態であっても、安定感があり心地よい持ちやすさが可能となるので、特に家庭、業務用等の電気掃除機に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の蓋体を開けた状態での斜視図
【図2】同掃除機の蓋体を閉めた状態での斜視図
【図3】同掃除機の把手部の断面図
【図4】同掃除機の断面図
【図5】同掃除機の把手部を利用して持ち上げた状態での断面図
【符号の説明】
【0030】
3 蓋体
4 第1の把手部
5 第2の把手部
6 第1の把手部と第2の把手部が合わさった状態の把手部
7 軸支部
13 バネ(弾性体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵室と前記集塵室の後方に配置された電動送風機とを備えた本体と、前記集塵室を覆うと共に後端を前記本体に開閉可能に軸支された蓋体とからなり、前記本体と一体に前方へ延出して設けた第1の把手部と、前記蓋体と一体に前方に延出し前記第1の把手部を覆う様に設けた第2の把手部とからなる電気掃除機。
【請求項2】
蓋体を閉めた状態を保持するための尾錠を備えると共に、蓋体を開方向に付勢する弾性体を軸支部に有し、前記尾錠を解除すると前記蓋体が開方向へ回動し、第2の把手部が略最上位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
第1の把手部と第2の把手部が合わさった状態の把手部を持って本体を持ち上げた際、前記把手部が略垂直となるような傾斜角度をもって前記第1の把手部と第2の把手部が本体及び蓋体より延出されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−212388(P2008−212388A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53820(P2007−53820)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】