説明

電気掃除機

【課題】電気掃除機において、掃除中の障害物等を避けるために吸込具を持ち上げる際、有る程度の握力が必要であり、力の弱い女性や高齢者には使い勝手が悪かった。
【解決手段】吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記吸引風とともに塵埃を吸引する吸込具6と、前記掃除機本体と吸込具6とを接続する延長管4と、吸込具6を移動させるための把手部1からなり、把手部1の後方斜め上方に、把手部1を握った手の小指根元から手首関節までの間と接触してこれを支えるサポート部3を構成とした。これにより、吸込具6持ち上げ時にサポート部3で手の小指後方付近を支えることで、吸込具6を持ち上げ容易となり、掃除中の障害物や絨毯等の端を避けての掃除が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込具、把手部を有する電気掃除機において、吸込具を床面から持ち上げる際の労力を低減させることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電気掃除機は、把手部の延長上に重量物である吸込具が接続されているものを、把手部を片手で握って操作する形となっている。したがって、床面の段差・じゅうたんの端、あるいはその他障害物などを避けるため、吸込具部分を持ち上げることが必要となった際には、腕、手首、指にかなりの力が必要となる。パワーノズルなどのモーターが搭載された重い吸込具を有するものや、縦型掃除機のように把手部の延長上に吸引モーターと吸込具の双方が設けられた掃除機では把手部の先の質量がさらに重くなるために、力の弱い女性などにとっては片手での吸込具の持ち上げはほぼ不可能である。そのため、実際には両手で持ち上げたり、吸込具やモーターに近い部分に持ち替えるなどの必要性があった。
【0003】
この対策として、特開2003−265383号公報にあるように、腕を支える支持部2を追加して吸込具6持ち上げ時の労力を低減させる方法がある。
【特許文献1】特開2003−265383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の方法では、腕を支える支持部がかなり大きく長いものとなるため、吸込具の向きを変更するために手元をねじると支持部が邪魔になったり、収納動作が面倒などという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記吸引風とともに塵埃を吸引する吸込具と、前記掃除機本体と吸込具とを接続する延長管と、前記延長管の一端と接続され前記吸込具を移動させるための把手部とを備え、前記把手部の後方斜め上方に、前記把手部を握った手の小指根元から手首関節までの間と接触してこれを支えるサポート部を設ける構成とした。
【0006】
上記発明によれば、サポート部まわりが比較的小さく構成できるため、吸込具の向きを変更するために手元をねじる動作が容易となり、また、把手部を握った手が把手部の後方に滑り難く、逃げ難くなるため、把手部を握る指に余分な力が不要となり、吸込具を持ち上げる際の労力を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機によれば、吸込具の向きを変更するために手元をねじる動作が容易となり、また吸込具を持ち上げる際の労力も低減でき、使い勝手を向上することが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記吸引風とともに塵埃を吸引する吸込具と、前記掃除機本体と吸込具とを接続する延長管と、前記延長管の一端と接続され前記吸込具を移動させるための把手部とを備え、前記把手部の後方斜め上方に、前記把手部を握った手の小指根元から手首関節までの間と接触してこれを支えるサポート部を設けたもので、サポート部まわりが比較的小さく構成できるため、吸込具の向きを変更するために手元をねじる動作が容易となり、また吸込具持ち上げ時にサポート部で手の小指後方付近を支えることにより、把手部に指を引っ掛ける程度の握り力をかけるだけで吸込具を持ち上げ可能となり、掃除中の障害物や絨毯の端等を避けての掃除が容易となり、掃除時に障害物を避ける際の労力を大幅に低減させることも可能となる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明のサポート部と把手部とを接続する支持部を、前記把手部の後方端部に連結し、前記サポート部は前記支持部に対し、前記把手部の前後方向へシーソー状に回動自在に構成されたもので、常にサポート部が小指から手首間接までに沿う形となり、掃除機使用中の違和感を低減し、使い勝手を向上できるものである。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の支持部の把手側端部は把手部と回動自在に連結され、前記支持部は、把手部の天面を覆うように回動されて、前記把手部の天面に被さる構成としたもので、掃除機本体をクローゼットなどに収納する際にも邪魔とならず、また、デザイン性にも優れ支持部収納時あるいは不使用時の外観見栄えを良くすることができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1〜図2は本発明の第1の実施の形態の電気掃除機の把手部まわりの外観斜視図である。通常使用状態で略水平となる角度で設けられた把手部1の握り部4後方には支持部2が設けられており、支持部2の先端にはサポート部3が回動自在に設けられている。サポート部3の表面は窪んでおり、この窪み部表面には軟質材が設けられる。支持部2は把手部1と回動自在に取り付けられており、支持部2は把手部1の握り部4の天面に覆いかぶさる位置(収納状態)から、手の小指後方付近を支える状態(使用状態)まで回動可能である。
【0013】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0014】
収納時には支持部2が把手部1の握り部4上に覆いかぶさる形となっており、外観的にも収まりの良いものとなっている。このとき、サポート部3は窪み面が把手部1側に向く形となって収納されるため、収納状態でも不自然に突出した形とはならない。また、支持部2の収納状態でも把手部に設けられたスイッチ部8の操作が可能となる位置にサポート部3が収納されているため、掃除状況や好みにより支持部2を使用したくない場合でも通常通りに掃除機本体の操作が可能である。
【0015】
通常使用時には支持部2を手の小指後方付近が当たる部分まで回動させ使用する。このときサポート部3は窪み面が手の方向を向くため、サポート部が手に沿った形で保持される。また、サポート部の窪み面表面には不織布、起毛布、スポンジなどの軟質体、あるいは軟質感のある塗装などが設けられているため、手へのフィット感もよい。また、サポート部3の支持部2に対する回動は規制されており、360度は回転しないようになっているため、サポート部が裏返って手に当たることもない。
【0016】
支持部2が手の小指後方付近を支えている状態で吸込具6を持ち上げる動作は、指を把手部1にかけたまま手首あるいは腕を曲げることで行う。この際、支持部2が手の小指後方付近を支えているために、支持部2の無い状態では把手部1をしっかりと握り締める必要があるのに対し、支持部2がある場合には握力は把手部1に指を引っ掛ける程度でも良く、持ち上げ労力を大幅に低減することが可能となる。
【0017】
(実施の形態2)
図3〜図5は、本発明の第2の実施の形態の電気掃除機の把手部まわりの外観斜視図を、図6は同電気掃除機の把手部を握りしめた状態での吸込具を含む要部外観斜視図を、それぞれ表すものである。
【0018】
支持部2は把手部1と回動・摺動自在に構成され、支持部2は把手部1下の収納部5(収納状態)から手の小指後方付近を支える状態(使用状態)まで回動、摺動可能である。
【0019】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0020】
収納部5内部に収納されている支持部2は、手前に引き出すことで収納部5から取り出し、上方に回動させることで手を支える位置にサポート部3が移動する。サポート部3には使用時には下方へと力が加わるため、支持部2と把手部1にはロック機構7が設けられている。支持部2を再度収納する再には一旦支持部2を情報へ引っ張り、ロック機構7を解除した後に収納部5へと回動、摺動させて収納する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように本発明にかかる電気掃除機は、吸込具を持ち上げる労力を大幅に低減させることが可能となるため、お年寄りや女性、子供でも容易に掃除をすることが可能であり、また長時間の掃除でも疲労を抑えることが可能となるため、使用者の年齢・性別あるいは家庭用、業務用の区分を問わず、掃除をする際の労力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の把手部まわりの外観斜視図(使用状態)
【図2】同、電気掃除機の把手部まわりの外観斜視図(収納状態)
【図3】本発明の実施の形態2における電気掃除機の把手部まわりの外観斜視図(使用状態)
【図4】同、電気掃除機の把手部まわりの外観斜視図(収納状態)
【図5】同、電気掃除機の把手部の支持部ロック機構を表す要部外観斜視図
【図6】同、電気掃除機の把手部を握りしめた状態での吸込具を含む要部外観斜視図
【図7】従来の電気掃除機の腕を支える支持部まわりを表す外観斜視図
【符号の説明】
【0023】
1 把手部
2 支持部
3 サポート部
4 延長管
5 収納部
6 吸込具
7 ロック機構
8 スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記吸引風とともに塵埃を吸引する吸込具と、前記掃除機本体と吸込具とを接続する延長管と、前記延長管の一端と接続され前記吸込具を移動させるための把手部とを備え、前記把手部の後方斜め上方に、前記把手部を握った手の小指根元から手首関節までの間と接触してこれを支えるサポート部を設けた電気掃除機。
【請求項2】
サポート部と把手部とを接続する支持部を、前記把手部の後方端部に連結し、前記サポート部は前記支持部に対し、前記把手部の前後方向へシーソー状に回動自在に構成された請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
支持部の把手側端部は把手部と回動自在に連結され、前記支持部は、把手部の天面を覆うように回動されて、前記把手部の天面に被さる構成とした請求項2記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−195358(P2009−195358A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38248(P2008−38248)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】