説明

電気掃除機

【課題】電気掃除機の掃除機本体部の移動操作を簡単に行うことのできる電気掃除機を提供すること。
【解決手段】本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xは,掃除機本体部1から上方に長尺状を成し,該掃除機本体部1を移動させるための操作に用いられる本体ハンドル6(本体操作把手の一例)を備えて構成されている。特に,前記掃除機本体部1を傾けて後輪71だけで支持させた状態で移動させることができるように,前記本体ハンドル6は前記掃除機本体部1の前部に接続されている。また,前記本体ハンドル6は,長さの調節や前記掃除機本体部1に対する角度調節,曲折などが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電動送風機の運転によって塵埃を収集する電気掃除機に関し,特に,掃除機本体部の移動操作を簡単に行うことのできる電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここに,図7は,従来の電気掃除機Yの一例を示す図である。なお,図7における左方向が電気掃除機Yの前方,右方向が後方であるとする。
図7に示すように,電気掃除機Yは,電動送風機や集塵室などが設けられた掃除機本体部101と,該掃除機本体部101に接続された接続ホース102と,該接続ホース102に接続された接続管103と,前記接続管103の一端に設けられた操作ハンドル部104及び他端に設けられた吸気口部105とを備えて概略構成されている。ここで,前記接続ホース102は,曲折自在であって伸縮性を有する材料で形成され,前記接続管103は,伸縮性を有しない材料で形成されている。
また,前記掃除機本体部101は,後端部の両側に設けられた一対の後輪106及び前端部の中央に設けられた補助輪107によって移動自在に支持されている。なお,例えば特許文献1(図2参照)に,図7に示す前記電気掃除機Yと同様の電気掃除機が示されている。
ユーザは,前記電気掃除機Yを稼働させ,前記操作ハンドル部104を操作して前記吸気口部105を前後に移動させることにより,床面の塵埃を前記接続管103及び前記接続ホース102を通じて前記掃除機本体部101内の集塵室(不図示)に集塵する。
ここで,ユーザが前記操作ハンドル部104を操作して前記吸気口部105を移動させることのできる範囲は,前記接続管103及び前記接続ホース102の長さに限定される。そのため,その範囲を超えて清掃を行う場合,ユーザは,前記掃除機本体部101を移動させる必要がある。このとき,ユーザは,前記掃除機本体部1の場所まで移動してかがんだ状態で該掃除機本体部1を移動させるのではなく,前記接続ホース102を引っ張ることにより前記掃除機本体部101を引き寄せることが多い。
【特許文献1】特開2000−166835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,前記接続ホース102が伸縮性を有する材料で形成されているため,該接続ホース102を引っ張って前記掃除機本体部101を所望の位置に移動させるという操作は困難である。例えば,前記掃除機本体部101が最大静止摩擦力の高い絨毯の上にある場合には,該掃除機本体部101を移動させるために大きな力が必要となるが,ユーザが大きな力で前記接続ホース102を引っ張ると,その力で動き始めた前記掃除機本体部101が所望の位置よりも行き過ぎてしまうことがある。
また,通常,ユーザは,前記掃除機本体部101よりも高い位置から前記接続ホース102を通じて該掃除機本体部101を引っ張る。そのため,前記掃除機本体部101を移動させるためには,該掃除機本体部101を水平方向から引っ張って移動させる場合に必要な力N101に,垂直方向の力N102を加えた力N103が必要となり,ユーザの負担が大きいという問題もある。
したがって,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,電気掃除機の掃除機本体部の移動操作を簡単に行うことのできる電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,吸気口から塵埃を吸い込むための送風機が設けられた掃除機本体部と,前記吸気口を有する吸気口部に接続された接続管と,前記接続管及び前記掃除機本体部を接続する接続ホースと,前記掃除機本体部を移動可能に支持する車輪部と,を備えてなる電気掃除機に適用されるものであって,前記掃除機本体部の前部に接続されて該掃除機本体部から上方に長尺状を成し,該掃除機本体部を移動させるための操作に用いられる本体操作把手を備えてなり,前記車輪部が,前記掃除機本体部の後部の両側に設けられた一対の後輪を含んでなることを特徴とする電気掃除機として構成される。
このように構成された前記電気掃除機では,ユーザは,従来のように前記接続ホースを引っ張ることなく,前記本体操作把手を操作することで前記掃除機本体部を簡単に移動させて清掃を行うことができる。しかも,ユーザは,前記掃除機本体部が前記後輪だけで支持された状態で,且つその重心が前記後輪の床面への接触位置よりも前後のいずれかにずれた位置となるように,前記本体操作把手を用いて前記掃除機本体部の前方を上方に持ち上げるという操作を行うことが可能である。これにより,前記掃除機本体部の荷重により床面に対して作用する垂直方向の力が低減されるため,前記車輪部と床面との最大静止摩擦係数が小さくなり,該掃除機本体部を移動させやすくなる。
【0005】
ところで,前記本体操作把手の適切な長さは,ユーザによって異なる。そこで,前記本体操作把手の長さを調整するための長さ調整手段を更に備えてなることが望ましい。
具体的には,前記本体操作把手が,一方が他方に挿入可能な第1の把手管及び第2の把手管を備えてなり,前記長さ調整手段が,前記第1の把手管及び前記第2の把手管の一方の他方への挿入量を調整するためのものであることが考えられる。これにより,ユーザは,前記長さ調整手段を用いて,前記第1の把手管及び前記第2の把手管の一方の他方への挿入量を調整することにより,前記本体操作把手の長さを任意に調整することができる。
【0006】
また,前記本体操作把手の前記掃除機本体部に対する角度を調整するための角度調整手段を更に備えてなる構成が好ましい。
具体的には,前記角度調整手段が,前記本体操作把手を前記掃除機本体部に回動自在に接続する回動接続部と,該回動接続部における前記本体操作把手の回動の可否を切り換える回動可否切換部とを含んでなることが考えられる。
このように,前記本体操作把手の前記掃除機本体部に対する角度の調整が可能であれば,即ち前記本体操作把手の傾きと前記掃除機本体部の傾きとを独立して調整することができれば,前記本体操作把手のユーザ側の端部の位置を変えることなく,前記掃除機本体部を傾ける角度を調整することが可能となる。
【0007】
さらに,前記本体操作把手が一箇所又は複数箇所で曲折可能であって,前記掃除機本体部に,一箇所又は複数箇所で曲折された前記本体操作把手をその状態で固定する把手固定部を設けておくことが望ましい。
これにより,前記本体操作把手を用いない場合には,該本体操作把手を曲折させた状態で前記掃除機本体部に固定して収容しておくことができる。
また,前記接続ホースが,前記掃除機本体部内に挿脱可能である構成が望ましい。これにより,前記電気掃除機の未使用時などに,前記接続ホースを前記掃除機本体部に挿入して収納することができ,該電気掃除機全体の収容スペースを縮小することができる。
具体的には,前記接続ホースの前記掃除機本体部に対する挿脱の可否を切り換える挿脱切換手段を備える構成が考えられる。これにより,前記接続ホースを前記掃除機本体部に収納した状態や,前記接続ホースを前記掃除機本体部から最も引き出した状態などで,該接続ホースの前記掃除機本体部への挿脱を禁止して固定することができる。
【0008】
また,前記掃除機本体部の後端から後方に突出し,該掃除機本体部が略直立されたときに床面と接触することにより,前記後輪と共に前記掃除機本体部を支持する後端支持部を更に備えてなり,その後端支持部が折り畳み可能であることが望ましい。
これにより,ユーザは,前記後端支持部を折り畳むことで,前記掃除機本体部を直立よりも後方に傾けることが可能となる。即ち,前記掃除機本体部の重心が少なくとも前記後輪の床面への接触位置よりも後方に位置する状態を実現することができる。このような状態では,前記掃除機本体部から前記後輪に対して前斜め方向の力が作用することになるため,ユーザは前記掃除機本体部の前方への移動操作を容易に行うことができる。
ところで,前記電気掃除機では,前記吸気口の床面への密接度合いによって該吸気口からの吸気量が変化し,清掃性能に影響することが知られている。具体的には,前記吸気口部を押して前方へ移動させるときよりも,該吸気口部を引いて後方へ移動させるときの方が,前記吸気口からの吸気量が多く,高い清掃性能を得ることができる。
そこで,前記掃除機本体部の重心が少なくとも前記後輪の床面への接触位置よりも後方に位置する状態で,該掃除機本体部の下面を前記接続管に連結する本体連結手段を設けておくことが望ましい。このような構成では,ユーザは,前記本体操作把手を用いて前記掃除機本体部を移動させて,該掃除機本体部に連結された前記接続管を移動させることによって清掃を行うことができる。このとき,前記掃除機本体部を前進させるための力は,前記後輪に作用することになり,前記吸気口部には直接作用しないため,該吸気口部が床面に押さえつけられることがなく,前記掃除機本体部を先進させるだけで高い清掃性能を得ることができる。したがって,前記掃除機本体部を前後に揺動させながら前進させる必要がないため清掃効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,ユーザは,従来のように前記接続ホースを引っ張ることなく,前記本体操作把手を操作することで前記掃除機本体部を簡単に移動させて清掃を行うことができる。しかも,前記掃除機本体部の荷重により床面に対して作用する垂直方向の力を低減させることにより,前記車輪部と床面との最大静止摩擦係数を低下させて,該掃除機本体部を移動させやすくすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの外観図,図2は前記電気掃除機Xの本体ハンドル6の長さ調整機構及び曲折機構を説明するための模式図,図3は前記電気掃除機Xの本体ハンドル6の未使用時の収容形態を説明するための図,図4は前記電気掃除機Xの掃除機本体部1の内部構成図,図5は前記電気掃除機Xの接続ホース4を掃除機本体部1に収納した状態を示す図,図6は前記電気掃除機Xの使用例を説明するための図である。
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの概略構成について説明する。なお,図1における左方向が電気掃除機Xの前側,右方向が電気掃除機Xの後側とする。
図1に示すように,前記電気掃除機Xは,掃除機本体部1,吸気口部2,接続管3,接続ホース4,操作ハンドル5及び本体ハンドル6などを備えている。前記掃除機本体部1は,該掃除機本体部1の前端に接続された前記接続ホース4と,該接続ホース4に接続された前記接続管3とを介して前記吸気口部2に接続されている。また,前記掃除機本体部1には,前記吸気口部2が有する吸気口2aから塵埃を吸い込むための電動送風機(図4参照)や吸い込まれた塵埃が収納される集塵室12(図4参照)などが設けられている。
ユーザは,前記電気掃除機Xを稼働させ,前記操作ハンドル5を把持して操作することにより,前記接続管3を移動させて前記吸気口部2を床面上で移動させることでその床面上の清掃を行う。
具体的に,前記電気掃除機Xでは,前記掃除機本体部1に内蔵された電動送風機11(図4参照)が作動することによって,前記接続管3及び前記接続ホース4を通じて,前記吸気口部2に形成された吸気口2aからの吸気が行われる。これにより,前記吸気口部2が移動する床面上の塵埃は,該吸気口部2の吸気口2aから吸い込まれ,前記掃除機本体部1に内蔵された集塵室12(図4参照)に収集される。なお,前記電動送風機11(図4参照)によって吸い込まれた塵埃を含む空気は,前記集塵室12(図4参照)で塵埃が除去された後,排気フィルタ13(図4参照)を経て前記掃除機本体部1の後方から排出される。
【0011】
また,前記掃除機本体部1は,後端部の両側に設けられた回転自在の一対の後輪71と,前端部の中央に設けられた回転自在の一つの補助輪72とを有している。通常,前記掃除機本体部1は,一対の前記後輪71及び前記補助輪72の三点で移動自在に支持される。ここに,前記後輪71及び前記補助輪72が車輪部の一例である。
また,前記掃除機本体部1の後端部には,折り畳み可能な後端支持部73が設けられている。前記後端支持部73は,前記掃除機本体部1の後端から後方に突出して設けられ,該掃除機本体部1が前記後輪71だけで支持された状態で後方に倒されて略直立するときに床面と接触することによって,前記後輪71と共に前記掃除機本体部1を支持するものである。但し,前記後端支持部73が折り畳まれている状態では,前記掃除機本体部1が前記後輪71だけで支持された状態で後方に倒されても,該後端支持部73が床面に接触せず,該掃除機本体部1は直立状態よりも後方に倒れた状態となる。
【0012】
ところで,前記接続管3は,一方が他方に挿入可能な二つの管部材を有しており,長さ調整が可能である。この接続管3は,伸縮性を有しない材料で形成されている。なお,前記接続管3には,前記補助輪72と係合することにより,該接続管3及び前記掃除機本体部1を連結する本体連結部31(本体連結手段の一例)が設けられているが,この点については後段で詳述する。
これに対し,前記接続ホース4は,曲折自在で,且つある程度の伸縮性を有する材料で形成されたものである。そして,前述したように,従来,ユーザは,その伸縮性のある前記接続ホース4を引っ張ることで前記掃除機本体部1を移動させることが多かった。しかし,それでは前記掃除機本体部1を所望の位置で停止させることができない等の問題があった。
一方,本発明の実施の形態に係る前記電気掃除機Xでは,前記掃除機本体部1の前部に,該掃除機本体部1から上方に長尺状を成し,該掃除機本体部1を移動させるための操作に用いられる本体ハンドル6(本体操作把手の一例)が設けられている。
【0013】
図1に示すように,前記本体ハンドル部6は,前記掃除機本体部1の前端部近傍において,該掃除機本体部1の両側面の二箇所に接続されている。
ここで,前記本体ハンドル6は,前記掃除機本体部1に回動可能に支持されており,前記掃除機本体部1に対する角度を調整することが可能である。具体的には,前記掃除機本体部1に,前記本体ハンドル6の回動軸部6aを該掃除機本体部1に回動自在に接続する不図示の軸受部(回動接続部の一例)と,前記軸受部における本体ハンドル6の回動の可否を切り換える不図示の回動可否切換部(角度調整手段の一例)とが設けられている。なお,この機構は,後述する前記本体ハンドル6の曲折機構と同様に構成されたものであってもよい。このように構成された前記電気掃除機Xでは,前記本体ハンドル6の前記掃除機本体部1に対する角度を,ユーザの好みに合わせて調整することができる。
【0014】
そして,前記本体ハンドル6が設けられた前記電気掃除機Xでは,ユーザは,従来のように前記接続ホース4を引っ張ることなく,前記本体ハンドル6を用いて前記掃除機本体部1を簡単に所望の位置に移動させることができる。
特に,前記掃除機本体部1では,前記本体ハンドル6が前記掃除機本体部1の前端部近傍に接続されているため,図1に示すように,前記掃除機本体部1が前記後輪71だけで支持された状態で,且つその重心が前記後輪71の床面への接触位置よりも前にずれた位置となるように,前記本体ハンドル6を用いて前記掃除機本体部1の前方を上方に持ち上げるという操作を行うことが可能である。このとき,前記掃除機本体部1の前記後輪71に対する荷重N1は,図1に示すように,垂直方向の力N2と水平方向の力N3に分力される。
したがって,前記後輪71から床面に対して作用する垂直方向の力が低減されるため,前記後輪71と床面との最大静止摩擦係数が小さくなり,該掃除機本体部1を移動させやすくなる。
【0015】
次に,図2及び図3を用いて,前記本体ハンドル6の詳細について説明する。
図2(a)に示すように,前記本体ハンドル6は,前記掃除機本体部1に接続される本体接続部61と,前記本体接続部61に接続された中継部62(第1の把手管の一例)と,前記中継部62に挿脱可能な把持部63(第2の把手管の一例)とを有している。
まず,図2(a),(b)を参照しつつ,前記本体ハンドル6の長さ調整機構について説明する。なお,ここで説明する長さ調整機構は単なる一例に過ぎず,従来周知の他の機構を用いてもよい。
前記把持部63は,前記中継部62に挿入される部位に所定間隔ごとに形成された凹部631を有している。一方,前記中継部62は,該中継部62内に突出して前記凹部631に嵌合する嵌合部621と,その嵌合部621の前記中継部62内への突出の有無を切り換える機械式の固定スイッチ622とを有している。
このように構成された前記本体ハンドル6では,前記固定スイッチ622を操作して前記嵌合部621の前記凹部631への嵌合を解除し,前記把持部63を前記中継部62に対して移動させた後,前記嵌合部621を前記凹部631に嵌合させることにより,前記把持部63の前記中継部62への挿入量を調整して,該本体ハンドル6全体の長さを調整することができる(図2(a),(b)参照)。ここに,前記凹部631,前記嵌合部621及び前記固定スイッチ622が,前記本体ハンドル6における長さ調整機構(長さ調整手段の一例)を構成する。
【0016】
続いて,図2(a),(c)を参照しつつ,前記本体ハンドル6の曲折機構について説明する。なお,ここで説明する曲折機構は単なる一例に過ぎず,従来周知の他の機構を用いてもよい。
前記本体接続部61は,前記中継部62を回動可能に支持する回動支持部611を有している。前記回動支持部611には,前記中継部62の回動を制限して固定するための固定溝612が形成されている。また,前記回動支持部611には,後述の回動軸部623の回動の可否を切り換えるための移動スペース613が設けられている。
一方,前記中継部62は,前記回動支持部611に軸支される回動軸部623を有している。前記回動軸部623の周囲には,前記固定溝612に嵌合することにより,該回動軸部623を中心とする前記中継部62の回動を制限して固定するための複数の凸部624が形成されている。
このように構成された前記本体ハンドル部6では,前記回動軸部623を前記移動スペース613に移動させて,前記固定溝612及び前記凸部624の嵌合を解除することで,前記中継部62を回動させることが可能となる(図2(c)参照)。その後,前記回動軸部623を移動させて前記固定溝612及び前記凸部624を嵌合させることにより,前記中継部62の回動を制限して固定することができる(図2(a)参照)。
このように,前記本体ハンドル6は,前記回動支持部611において曲折可能に構成されている。なお,ここでは,前記本体ハンドル6が,一箇所で曲折可能である構成について説明したが,更に複数の曲折機構を有することにより複数箇所で曲折可能な構成であってもかまわない。
【0017】
ところで,前記本体ハンドル6を使用しない場合には,該本体ハンドル6が邪魔になる場合もある。そこで,図1に示すように,前記電気掃除機Xでは,前記掃除機本体部1の上面部に,曲折された前記本体ハンドル6をその状態で固定するハンドル固定部8(把手固定部の一例)が設けられている。前記ハンドル固定部8は,例えば前記本体ハンドル6の把持部63に嵌合或いは係合することにより,該把持部63を固定するものである。
このように前記ハンドル固定部8を有する前記電気掃除機Xでは,図3(a)に示す状態から,前記本体ハンドル6を曲折させて前記ハンドル固定部8に固定することによって,図3(b)に示すように,前記本体ハンドル6が邪魔にならないように,該掃除機本体部1に収容することができる。
【0018】
続いて,図4〜6を用いて,前記電気掃除機Xにおいて,前記接続ホース4が前記掃除機本体部1の内部に収納可能である点について説明する。ここに,図4は前記電気掃除機Xの掃除機本体部1の内部構成図であって,(a)は前記掃除機本体部1を側方から見た内部構成図,(b)は上方から見た内部構成図,(c)は(a)におけるA−A矢示断面図である。
図4(a),(b)に示すように,前記電気掃除機Xの前記掃除機本体部1内には,電動送風機11(ファン付きモーター),集塵室12,排気フィルタ13等の他に,前記接続ホース4を収納するための収納スペース14が設けられている。また,前記掃除機本体部1の前端部には,該掃除機本体部1内に前記接続ホース4を挿入するためのホース挿入口15が設けられている。前記接続ホース4は,前記ホース挿入口15から前記掃除機本体部1内に挿入され,前記集塵室12に接続されている。
一般に,従来の電気掃除機では,前記接続ホース4は,前記ホース挿入口15に固定されており,該接続ホース4は,前記掃除機本体部1内に対して挿脱することができない。
しかしながら,前記電気掃除機Xでは,前記接続ホース4の前記ホース挿入口15への固定の有無を切り換えることが可能な構成が採用されており,該接続ホース4を前記収納スペース14に挿入して収納することができる。
【0019】
具体的に,前記電気掃除機Xでは,図4(c)に示すように,前記接続ホース4及び前記ホース挿入口15に,相互に係合するホース側フック41,本体側ホルダー151が設けられている。前記ホース側フック41は,前記接続ホース4を前記ホース挿入口15から外部に最も露出させたときに,該ホース挿入口15の本体側ホルダー151に係合する位置に設けられている。例えば,前記接続ホース4を回転させることにより前記ホース側フック41が前記本体側ホルダー151に係合する構成が考えられる。
このように構成された前記電気掃除機Xでは,前記ホース側フック41を前記本体側ホルダー151に係合させることにより,前記接続ホース4を前記ホース挿入口15に固定することでき,前記ホース側フック41及び前記本体側ホルダー151の係合を解除させることにより,前記接続ホース4を前記ホース挿入口15に対して挿脱することが可能となる。ここに,前記ホース側フック41及び前記本体側ホルダー151が挿脱切換手段の一例である。
したがって,例えば前記電気掃除機Xを使用しない場合には,図5(a),(b)に示すように,前記接続ホース4を前記掃除機本体部1内の収納スペース14に収納することで,該電気掃除機Xの収容に必要なスペースを縮小させることができる。また,前記接続ホース4を前記掃除機本体1に収納した状態で相互に係合する係合部を,前記操作ハンドル5及び前記ホース挿入口15に設けておくことで,該接続ホース4を前記掃除機本体1に収納した状態を保持させることができる。
【0020】
その他,例えば,図6(a)に示すように,前記電気掃除機Xの清掃の対象となる床面と前記電気掃除機Xを載置する床面との高さが異なる場合には,前記接続ホース4を前記掃除機本体部1内に収容した状態で使用することで,前記接続ホース4から発せられる騒音を低減することができる。
また,前記係合部41,151に換えて,前記接続ホース4を任意の位置で,前記ホース挿入口15に固定することのできる構成も考えられる。例えば,前記ホース挿入口15に前記接続ホース4の外周部を把持/解除する把持部材を設けておくことが考えられる。これにより,前記把持部材による前記接続ホース4の把持/解除を切り換えて,前記接続ホース4の前記掃除機本体部1への挿入量を調整し,該接続ホース4の露出部の長さを任意に調整することが可能である。
【0021】
また,前記電気掃除機Xは,図6(b)に示すように,所謂アップライト型の電気掃除機に変形させることが可能である。
具体的には,前記接続ホース4を前記掃除機本体部1内に収納した状態(図5,図6(a)参照)から,さらに前記接続管3を縮めて,該接続管3に設けられた前記本体連結部31に,前記掃除機本体部1の補助輪72を係合させることにより,該掃除機本体部1及び前記接続管3を連結することで,図6(b)に示すようにアップライト型の形態が実現される。
ここで,前記本体連結部31は,前記掃除機本体部1が前記後輪71だけで支持され,前記掃除機本体部1の重心が少なくとも前記後輪71の床面への接触位置よりも後方に位置する状態で,該掃除機本体部1の下面に設けられた前記補助輪72に係合することにより,前記掃除機本体部1及び前記接続管3を連結するものである。したがって,前記本体連結部31によって前記接続管3に連結された前記掃除機本体部1は,その重心が前記後輪71の床面への接触位置よりも後方に位置することになる。
【0022】
このように変形された前記電気掃除機Xでは,ユーザは,前記操作ハンドル5ではなく,前記本体ハンドル6を把持して前記電気掃除機X全体を移動させて,前記吸気口部2を床面上で移動させることにより,その床面上を清掃することができる。
このとき,前記掃除機本体部1の重心は,前記後輪71よりも後方に位置しているため,該掃除機本体1の荷重N1が前記後輪71に対して前斜め下方向に作用することになる。この荷重N1は,図6に示すように,垂直方向の力N2と水平方向の力N4に分力される。即ち,前記掃除機本体1が前進する方向の力N4が作用するため,ユーザによる前記電気掃除機Xの前進動作が容易となる。
さらに,従来では,ユーザは前記操作ハンドル5を用いて前記吸気口部2を前進させていたため,該吸気口部2を前進させる際に,該吸気口部2に前斜め下方向,即ち前記吸気口2aが床面に密着する方向に力が作用していた。そのため,前記吸気口部2を前進させるだけではなく,前記吸気口部2を前後に揺動させながら前進させる必要があった。
しかし,前記電気掃除機Xでは,前述したように,前記本体ハンドル6を把持して前記掃除機本体1を前進させることで,前記吸気口部2を前進させて清掃を行うことができる。そのため,前記本体ハンドル6から作用する前斜め下方向の力は前記吸気口部2に直接作用せず,前記掃除機本体1を支持する前記後輪71に作用する。したがって,前記吸気口部2の吸気口2aが床面に密着し過ぎない状態を維持しつつ前記吸気口部2を前進させることができ,前記電気掃除機Xを前進させるだけで高い清掃性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る電気掃除機の外観図。
【図2】本発明の実施の形態に係る電気掃除機の本体ハンドルの長さ調整機構及び曲折機構を説明するための模式図。
【図3】本発明の実施の形態に係る電気掃除機の本体ハンドルの未使用時の収容形態を説明するための図。
【図4】本発明の実施の形態に係る電気掃除機の掃除機本体部の内部構成図。
【図5】本発明の実施の形態に係る電気掃除機の接続ホースを掃除機本体部に収納した状態を示す図。
【図6】本発明の実施の形態に係る電気掃除機の使用例を説明するための図。
【図7】従来の電気掃除機の外観図。
【符号の説明】
【0024】
1…掃除機本体部
11…電動送風機
12…集塵室
13…排気フィルタ
14…収納スペース
15…ホース挿入口
151…本体側ホルダー
2…吸気口部
2a…吸気口
3…接続管
31…本体連結部
4…接続ホース
41…ホース側フック
5…操作ハンドル
6…本体ハンドル(本体操作把手の一例)
61…本体接続部
611…回動支持部
612…固定溝
62…中継部
621…嵌合部
622…固定スイッチ
623…回動軸部
624…凸部
63…把持部
631…凹部
71…後輪
72…補助輪
73…後端支持部
8…本体連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口から塵埃を吸い込むための送風機が設けられた掃除機本体部と,前記吸気口を有する吸気口部に接続された接続管と,前記接続管及び前記掃除機本体部を接続する接続ホースと,前記掃除機本体部を移動可能に支持する車輪部と,を備えてなる電気掃除機であって,
前記掃除機本体部の前部に接続されて該掃除機本体部から上方に長尺状を成し,該掃除機本体部を移動させるための操作に用いられる本体操作把手を備えてなり,
前記車輪部が,前記掃除機本体部の後部の両側に設けられ,外周が該掃除機本体部の後端よりも後方に突出した一対の後輪を含んでなることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記本体操作把手の長さを調整するための長さ調整手段を更に備えてなる請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記本体操作把手が,一方が他方に挿入可能な第1の把手管及び第2の把手管を備えてなり,
前記長さ調整手段が,前記第1の把手管及び前記第2の把手管の一方の他方への挿入量を調整するものである請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記本体操作把手の前記掃除機本体部に対する角度を調整するための角度調整手段を更に備えてなる請求項1〜3のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記角度調整手段が,前記本体操作把手を前記掃除機本体部に回動自在に接続する回動接続部と,該回動接続部における前記本体操作把手の回動の可否を切り換える回動可否切換部とを含んでなる請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記本体操作把手が,一箇所又は複数箇所で曲折可能であって,
前記掃除機本体部に,一箇所又は複数箇所で曲折された前記本体操作把手をその状態で固定する把手固定部が設けられてなる請求項1〜5のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記接続ホースが,前記掃除機本体部内に挿脱可能である請求項1〜6のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記接続ホースの前記掃除機本体部への挿脱の可否を切り換える挿脱切換手段を更に備えてなる請求項7に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記掃除機本体部の後端から後方に突出し,該掃除機本体部が略直立されたときに床面と接触することにより,前記後輪と共に前記掃除機本体部を支持する後端支持部を更に備えてなり,
前記後端支持部が折り畳み可能である請求項1〜8のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記掃除機本体部の重心が少なくとも前記後輪の床面への接触位置よりも後方に位置する状態で,該掃除機本体部の下面を前記接続管に連結する本体連結手段を更に備えてなる請求項1〜9のいずれかに記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−6013(P2009−6013A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171556(P2007−171556)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】