説明

電気掃除機

【課題】集塵ケースのハンドルを把持して本体から取り出す時に、フィルタ装置が開きゴミがこぼれない電気掃除機を提供する。
【解決手段】集塵ケース11が集塵室3aから取り出されるときに把持されるハンドル24にかかる荷重が、フィルタ装置13の係止解除ボタン22の回転軸22aの位置を上方に変形しないように、ハンドル24の一端が吸気口12側の集塵ケース本体14上部に固定され、他端に形成された取付部24dがフィルタ装置13側の集塵ケース本体14上部に固定され、取付部24dは集塵ケース本体14上面の前後方向の略中央部に配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に係り、特に、集塵室に着脱自在の集塵ケースを備えた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機では、一般にその本体に電動送風機および集塵ケースが収容されており、電動送風機を駆動させたときに発生する吸引力によって塵埃が吸い込まれ、この塵埃は、集塵ケースで捕獲される。
【0003】
図7は従来の電気掃除機における集塵ケースの側面断面図を示す。図7において、左側は吸引される風路の風上側(前側)、右側は風下側(後側)を示す。
集塵ケース11には、左側にホース(図示せず)に連通され塵埃を含む空気を吸込む吸気口12、右側に開口部(図示せず)が形成されており、開口部にはこれを塞ぐようにヒンジ21を軸に回動自在に軸支されたフィルタ装置13が配設されている。
【0004】
集塵ケース本体14の上面前端側には、サイクロン旋回部15を集塵ケース本体14の内壁に着脱自在に装着するために、サイクロン旋回部15の前端上部に形成したサイクロン旋回部係止部15aと、サイクロン旋回部係止部15aを係止するフック16と、サイクロン旋回部係止部15aとフック16との係止を解除する解除レバー17を備える。フック16はバネA18にて下方向に付勢されている。ここでフック16が集塵ケース本体14内を上下動する箇所には穴が設けられており,内外の気密はパッキン14bにてシ−ルされている。解除レバー17の下端にはこれと対向する位置に設けられるフック16のフランジ(図示せず)と下方から当接するフランジ押上げ部材が設けられている。解除レバー17の先端をバネA18の付勢力に抗して下方に押し下げることにより解除レバー17が回動してフランジ押上げ部材がフック16のフランジを押し上げ、フック16とサイクロン旋回部係止部15aとの係止が解除され、サイクロン旋回部15を取り外すことができる。
【0005】
集塵ケース本体14の上面後端側には、集塵ケース本体14の背面側に対向するように閉じられたフィルタ装置13のフィルタ被係止部19を、鉤状で上方から引掛けるように係止する係止レバー20を備え、フィルタ被係止部19と係止レバー20との係止を解除する係止解除ボタン22が設けられる。係止解除ボタン22は、回転軸22a(紙面垂直方向)を軸に回動自在に配設され、前部22bはバネB23によって上方向に付勢されている。後述するハンドル24の後部の後カバー24bが前部22bの上部を覆うように延設され、バネB23により係止解除ボタン22が回転軸22aを軸に時計方向に回動するのを規制する。バネB23の付勢力に抗して係止解除ボタン22の後面を前方に押し込むことにより、係止解除ボタン22は回転軸22aを軸に反時計方向に回動し、係止解除ボタン22と一体に形成される係止レバー20が上方に移動する。そして、フィルタ被係止部19と係止レバー20との係止が解除され、フィルタ装置13はヒンジ21を軸に回動して集塵ケース11の後面の開口部が開成され、集塵ケース11内の塵埃を廃棄することができる。
【0006】
集塵ケース本体14の上面には、前面の吸気口12側と後面のフィルタ装置13側とにまたがるようにハンドル24が設けられる。ハンドル24の前端の前カバー24aは、解除レバー17の前面で固定される。一方、ハンドル24の後端の後カバー24bは、係止解除ボタン22の上面の一部を覆うように延設して形成される。さらに、後カバー24bから左右方向(紙面に対し垂直方向)にアーチ状に広がり、それぞれの下端をつなぐように、底板24cがハンドル24と一体的に形成される。この底板24cと集塵ケース本体14の上面先端部14aとが固定される。また、回転軸22aは底板24cと固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
後述するように、集塵ケース11に集塵された塵埃を廃棄する場合、掃除機本体4の上面に回動自在に設けられる蓋部4fを開成し、ハンドル24を把持して上方に引き上げることにより、集塵ケース11を、その収容される集塵室3aから取り出す(図3参照)。集塵ケース11の外側壁は集塵室3aの内側壁と摺動するため、集塵ケース11の自重と摺動による摩擦力に抗してハンドル24を引き上げることになる。したがって、ハンドル24に大きな荷重がかかることになる。ハンドル24が把持されて上方に引き上げられた場合、特に、ハンドル24が上方前面寄り(紙面の左上)方向に引き上げられると、ハンドル24の後部側に引き上げようとする荷重が加わる。
【0008】
この荷重は、ハンドル24と一体的に構成される底板24cを上方に引き上げるように作用するとともに、底板24cが固定される集塵ケース本体14の上面先端部14aも上方に引き上げるように作用する。上面先端部14aは接続部14cにより集塵ケース本体14に連結される。底板24cを引き上げる力により上面先端部14aは上方に変形する。この変形においては、底板24cが力点、根元部14dを支点とし、上面先端部14aが作用点となる。この変形に伴って、回転軸22aが上方に移動し、係止解除ボタン22も上方に移動する。その結果、係止レバー20がフィルタ被係止部19から外れてフィルタ装置13が開いてしまい、集塵ケース11に貯められた塵埃がこぼれ落ち、集塵室3a内および室内等を汚してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、集塵ケースを電気掃除機本体から取り出す時にハンドルに加わる荷重が、フィルター装置の集塵ケース本体への係止を解除するように作用することを抑制する集塵ケースを備えた電気掃除機を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る電気掃除機は、電動送風機と、電動送風機が発生する気流により吸引される塵埃を集塵するとともに集塵室に着脱自在に収容される集塵ケースとを備えた電気掃除機において、集塵ケースは、前面に塵埃を吸気する吸気口、後面にフィルタ装置、上面にハンドルを有し、フィルタ装置は、このフィルタ装置の下方のヒンジにより回動自在に軸支されるとともに、上部には集塵ケース本体後端側と係止されるフィルタ被係止部を備え、フィルタ被係止部の上部と回動して係止する係止レバーを有する係止解除ボタンの回転軸を集塵ケース本体上面側に一体的に固定して設け、ハンドルは、一端が集塵ケース本体の吸気口側に固定され、他端が集塵ケース本体のフィルタ装置側の取付部に固定され、取付部は集塵ケース上面の前後方向の略中央部に配設されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気掃除機によれば、集塵ケースを集塵室から取り出す時にハンドルに加わる荷重による変形がフィルタ装置の集塵ケース本体への係止を解除するように作用することを抑制するので、使い勝手のよい電気掃除機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の全体構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機において、蓋部を取り外した状態の外観を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の集塵ケースを前面側からみた外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の集塵ケースを背面側から見た斜視図であり、フィルタ装置が開かれた状態の図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の集塵ケースの構成を示す側面断面図である。
【図7】従来の電気掃除機における集塵ケ−スの構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の全体構成図である。図2は本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。図3は本発明の実施の形態1に係る電気掃除機において、蓋部を取り外した状態の外観を示す斜視図である。図4は本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の集塵ケースを前面側からみた外観を示す斜視図である。図5は本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の集塵ケースを背面側から見た斜視図であり、フィルタ装置が開かれた状態の図である。図6は本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の集塵ケースの構成を示す側面断面図である。
【0014】
図1において、電気掃除機1は、電動送風機2と集塵部3を内臓した電気掃除機本体4に、ホース5の一端側が接続され、ホース5の他端側には電気掃除機1の操作部(図示せず)を備えた把持部6の一端側に接続される。把持部6の他端側には延長管7の一端側が接続される。延長管7の他端側には吸込具10が接続される。なお、集塵部3は、後述する集塵室3aと集塵室3aに収容される集塵ケース11から構成される。
【0015】
図2において、電気掃除機本体4に対し、左斜め下方側を前方、右斜め上方側を後方として説明し、以降の説明においても、方向を特定する場合は、この方向に従って前後、左右および上下を特定する。
【0016】
電気掃除機本体4は、たとえば樹脂で成形された本体ケ−ス4aによってその外形が形成されており、本体ケ−ス4aの前面にはホース5の一端が装着される吸込ホース装着孔4bが形成されている。また、本体ケ−ス4aの後方寄り左右両側には、比較的大径の車輪4cが備えられ、前方下面には小径の車輪4dが備えられている。さらに、本体ケ−ス4aの前面には、本体取っ手4eが設けられている。本体ケ−ス4aの上面には、開閉可能な蓋部4fが配置されている。蓋部4fは、後方側にヒンジ(図示せず)を有し、前方側が上方へ開いて集塵室3aの上面が開口され、集塵ケース11を取り出すことができる。
【0017】
図3において、蓋部4fで覆われた電気掃除機本体4内には、吸込ホース装着孔4bに連通する集塵室3aが形成されていて、集塵室3a内には集塵ケース11が着脱自在に収容されている。集塵室3aの後方には、図示しない電動送風機2が内蔵されている。集塵ケース11の上方には、集塵室3aから集塵ケース11を取り出すときに把持されるハンドル24が設けられる。
【0018】
図4において、集塵ケース本体14により集塵ケース11の外郭が構成される。集塵ケース本体14は透明又は半透明の樹脂で形成される。集塵ケース本体14の前面側(吸引される風路の風上側)には、ホース5に連通され塵埃を含む空気を吸込む吸気口12が形成されている。集塵ケース11が電気掃除機本体4の集塵室3aに収容された状態では、吸気口12は電気掃除機本体4に形成された吸込ホース装着孔4bと連通し、ホース5を経由して吸い込まれる空気および塵埃は、この吸気口12から集塵ケース本体14内へ取り込まれる。ここで吸込ホース装着孔4bと吸気口12とはパッキン(図示せず)によってシ−ルされている。一方、集塵ケース本体14の後面側(吸引される風路の風下側)には開口部(図示せず)が形成されており、開口部にはこれを塞ぐように一対のヒンジ21を軸に回動自在に軸支されたフィルタ装置13が配設されている。一対のヒンジ21は集塵ケース本体14の下方に配設される。
【0019】
図5において、左前面側が吸引風路の風下側である。サイクロン旋回部15は、透明または半透明の樹脂で形成されていて、集塵ケース本体14の背面側から集塵ケース本体14内壁に着脱自在に装着される。集塵ケース本体14の外部から装着されたサイクロン旋回部15を視認できる。なお、サイクロン旋回部15に代えて、紙パック(図示せず)も着脱自在に装着され、その場合、紙パック式掃除機として兼用できる。
【0020】
サイクロン旋回部15は、空気中の塵埃に遠心力を付与するための旋回流路15b、吸気口12から入る空気の流れを確保するためのバイパス流路15cを形成する。吸気口12から吸引された塵埃を含んだ空気はサイクロン旋回部15で旋回流となり、遠心力を付与された比較的重い塵埃が旋回流路15bに乗って運ばれ、集塵空間15dに至る。ここで、後述するフィルタ装置13で、比較的重い塵埃を含んだ空気が濾過され、塵埃の取り除かれた空気がフィルタ装置13を通過する。一方、比較的軽い塵埃を含んだ空気は旋回流路15bとは別のバイパス流路15cに乗って集塵空間15dに至る。ここで、比較的軽い塵埃を含んだ空気がフィルタ装置13で濾過され、塵埃の取り除かれた空気がフィルタ装置13を通過する。このように、サイクロン旋回部15においてサイクロン方式で集塵を行なうことできる。また、集塵ケース11にはバイパス流路15cが形成されているので、旋回流路15bが比較的重い塵埃により詰まっても、吸気口12からフィルタ装置13への空気の流れを確保することができる。
【0021】
フィルタ装置13は、その下端部が集塵ケース本体14の下方部に設けられた一対のヒンジ21を介して連結されている。集塵ケース本体14にサイクロン旋回部15が装着され、集塵ケース本体14に対してヒンジ21を軸にフィルタ装置13が回動されて、集塵ケース本体14の背面側に対向するように閉じられることにより、フィルタ装置13が集塵ケース本体14に取り付けられ、図4に示すように、集塵ケース11が構成される。
【0022】
フィルタ装置13は、上述したように、一対のヒンジ21によって集塵ケース本体14に連結されている。そして、フィルタ装置13には、集塵空間15dと集塵空間15dに溜まった塵埃を捕獲するネットフィルタ13aを支持するネットフィルタフレ−ム13bと、ネットフィルタ13aを通過した細塵を捕獲するプリ−ツフィルタ13cを支持するプリ−ツフィルタフレ−ム13dで構成されている。
【0023】
集塵ケース本体14の上方の後端には、一対の鉤状の係止レバー20が係止解除ボタン22と一体的に、回転軸22aを軸に回動自在に設けられ、一対の係止レバー20は、プリーツフィルタフレーム13dの先端(フィルタ装置13の閉成時には上端)の左右一対のフィルタ被係止部19をそれぞれ上方から引っ掛けるように係止する。係止解除ボタン22の後面を前方に押し込むと係止レバー20の先端が上方に回転する。そして、係止レバー20とフィルタ被係止部19の係止が解除され、フィルタ装置13がヒンジ21を軸に回動して集塵ケース本体14の後面を開放する。
【0024】
図6において、左側は吸引される風路の風上側(前側)、右側は風下側(後側)を示す。
集塵ケース11には、左側にホース(図示せず)に連通され塵埃を含む空気を吸込む吸気口12、右側に開口部(図示せず)が形成されており、開口部にはこれを塞ぐようにヒンジ21を軸に回動自在に軸支されたフィルタ装置13が配設されている。
【0025】
集塵ケース本体14の上面前端側には、サイクロン旋回部15を集塵ケース本体14の内壁に着脱自在に装着するために、サイクロン旋回部15の前端上部に形成したサイクロン旋回部係止部15aと、サイクロン旋回部係止部15aを係止するフック16と、サイクロン旋回部係止部15aとフック16との係止を解除する解除レバー17を備える。フック16はバネA18にて下方向に付勢されている。ここでフック16が集塵ケース本体14内を上下動する箇所には穴が設けられており,内外の気密はパッキン14bにてシ−ルされている。解除レバー17の下端にはこれと対向する位置に設けられるフック16のフランジ(図示せず)と下方から当接するフランジ押上げ部材が設けられている。解除レバー17の先端をバネA18の付勢力に抗して下方に押し下げることにより解除レバー17が回動してフランジ押上げ部材がフック16のフランジを押し上げ、フック16とサイクロン旋回部係止部15aとの係止が解除され、サイクロン旋回部15を取り外すことができる。
【0026】
集塵ケース本体14の上面後端側には、集塵ケース本体14の背面側に対向するように閉じられたフィルタ装置13のフィルタ被係止部19を、鉤状で上方から引掛けるように係止する係止レバー20を備え、フィルタ被係止部19と係止レバー20との係止を解除する係止解除ボタン22が設けられる(図5参照)。係止解除ボタン22は、回転軸22a(紙面垂直方向)を軸に回動自在に配設され、前部22bはバネB23によって上方向に付勢されている。ボタンカバー25は、前部22bの上部、バネB23を囲むように形成され、集塵ケース本体14の上面先端部14aに固定される。回転軸22aも上面先端部14aに固定される。係止解除ボタン22の前部22bの上部を覆うボタンカバー25は、バネB23により係止解除ボタン22が回転軸22aを軸に時計方向に回動するのを規制する。バネB23の付勢力に抗して係止解除ボタン22の後面を前方に押し込むことにより、係止解除ボタン22は回転軸22aを軸に反時計方向に回動し、係止解除ボタン22と一体に形成される係止レバー20が上方に移動する。そして、フィルタ被係止部19と係止レバー20との係止が解除され、フィルタ装置13はヒンジ21の周りに回動して集塵ケース11の後面の開口部が開成され、集塵ケース11内の塵埃を廃棄することができる。
【0027】
集塵ケース本体14の上面には、前面の吸気口12側と後面のフィルタ装置13側とにまたがるようにハンドル24が設けられる。ハンドル24の前端の前カバー24aは、解除レバー17の下方で集塵ケース本体14と固定される。一方、ハンドル24の後端にハンドル24と一体に形成された取付部24dが、一対のネジ27により集塵ケース本体14と固定される(図4参照)。取付部24dが集塵ケース本体14と固定される位置は、集塵ケース本体14上面の、前後方向の略中央部に設ける。なお、取付部24dはハンドルと別体で形成してもよい。
【0028】
取付部24dの上端と下端には、それぞれ後方に突出されるリブである指挟み防止リブ24e(後述する)と下端リブ24fが形成される。下端リブ24fの後面がボタンカバー前板25aの前面下端と当接する。また、後述するように、ボタンカバー前板25aの上部において前方に突出する目隠しリブ25bがハンドル24の後端と当接する。
【0029】
次に、集塵ケース11を集塵室3aから取り出すときに、ハンドル24に作用する力が係止解除ボタン22に対し作用する影響について説明する。
集塵ケース11に集塵された塵埃を廃棄する場合、掃除機本体4の上面に回動自在に設けられる蓋部4fを開成し、ハンドル24を把持して上方に引き上げることにより、集塵ケース11を集塵室3aから取り出す(図3参照)。集塵ケース11の外側壁は集塵室3aの内側壁と摺動するため、集塵ケース11の自重と摺動による摩擦力に抗してハンドル24を引き上げることになる。したがって、ハンドル24に大きな荷重がかかることになる。ハンドル24が把持されて上方に引き上げられると、特に、ハンドル24が上方前面寄り(紙面の左上)方向に引き上げられると、ハンドル24の後部側に引き上げようとする荷重が加わる。
【0030】
この荷重はハンドル24の後端に形成された取付部24dを介して、取付部24dとネジ27により固定された集塵ケース本体14の上面を上方に引き上げるように作用する。この作用により、取付部24dと固定された集塵ケース本体14の上面先端部14aは上方に変形する。この変形においては、取付部24dが力点、根元部14dを支点とし、上面先端部14aが作用点となる。
【0031】
この作用点に係る荷重を図7に記載した従来例の場合と比較する。ここで、図6と図7の場合とで、ハンドルにかかる加重が同じ、即ち、力点に作用する荷重が同じとする。
支点と力点との距離は図7の場合よりも図6の場合が小さい。したがって、作用点である上面先端部14aを上方に変形しようと作用するモーメントは、図6の方が図7の従来例の場合よりも小さくなる。つまり、図7では力点と作用点の位置が近接していて、力点にかかる荷重とほぼ同じ荷重が作用点にかかるのに対し、図6では、力点にかかる荷重に対し、支点−作用点間距離に対する支点−力点間距離の比率分だけ小さい荷重が作用点にかかる。この結果、図6における作用点である上面先端部14aに固定された係止解除ボタン22の回転軸22aを上方に移動させる距離が図7の場合と比べて小さく、係止レバー20がフィルタ被係止部19から外れてフィルタ装置13が開いてしまうことが抑制される。
【0032】
また、ハンドル24の取付部24dをボタンカバー前板25aと背中合わせに配置固定した場合、ハンドル24を把持して操作する場合に、取付部24dとボタンカバー前板25aとの合わせ部に隙間26が生じる。外観上隙間26を見えにくくするため、ボタンカバー前板25aの前面には目隠しリブ25bが設けられている。また、隙間26が生じた場合に指を挟む虞があることから、ハンドル24の上面がボタンカバー25の天面より高くなる位置に指挟み防止リブ24eを設けている。なお、指挟み防止リブ24eをハンドル24側に設けたが、ボタンカバー25側に設けてもよい。
【0033】
このように、実施の形態1によれば、集塵ケースが集塵室から取り出されるときに把持されるハンドルに加わる荷重が集塵ケース本体に加わる位置を係止解除ボタンの回転軸の位置よりも吸気口側に配設したので、ハンドルに加わる荷重が、フィルター装置の集塵ケース本体への係止を解除するように作用することを抑制し、集塵ケース内の塵埃が外にこぼれることがなく、使い勝手がよい電気掃除機を得ることができる。
また、ハンドルとボタンカバーとの間の隙間を覆う指挟み防止リブを設けたので、ハンドルとボタンカバーとの間に指を挟むことがなく、安全で使い勝手がよい電気掃除機を得ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 電気掃除機、2 電動送風機、3 集塵部、3a 集塵室、4 電気掃除機本体、
4a 本体ケース、4b 吸込ホース装着孔、4c 車輪、4d 車輪、
4e 本体取っ手、4f 蓋部、5 ホース、6 把持部、7 延長管、10 吸込具、
11 集塵ケース、12 吸気口、13 フィルタ装置、13a ネットフィルタ、
13b ネットフィルタフレーム、13c プリーツフィルタ、
13d プリーツフィルタフレーム、14 集塵ケース本体、14a 上面先端部、
14b パッキン、14c 接続部、14d 根元部、15 サイクロン旋回部、
15a サイクロン旋回部係止部、
15b 旋回流路、15c バイパス流路、15d 集塵空間、16 フック、
17 解除レバー、18 バネA、19 フィルタ被係止部、20 係止レバー、
21 ヒンジ、22 係止解除ボタン、22a 回転軸、22b 前部、23 バネB、
24 ハンドル、24a 前カバー、24b 後カバー、24c 底板、
24d 取付部、24e 指挟み防止リブ、24f 下端リブ、25 ボタンカバー、
25a ボタンカバー前板、25b 目隠しリブ、26 隙間、27 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と、
前記電動送風機が発生する気流により吸引される塵埃を集塵するとともに集塵室に着脱自在に収容される集塵ケースとを備えた電気掃除機において、
前記集塵ケースは、前面に塵埃を吸気する吸気口、後面にフィルタ装置、上面にハンドルを有し、
前記フィルタ装置は、前記集塵ケース本体の下方のヒンジにより回動自在に軸支されるとともに、上部には前記集塵ケース本体後端側と係止されるフィルタ被係止部を備え、
前記フィルタ被係止部の上部と回動して係止する係止レバーを有する係止解除ボタンの回転軸を集塵ケース本体上面側に一体的に固定して設け、
前記ハンドルは、一端が吸気口側の前記集塵ケース本体に固定され、他端に形成された取付部が前記フィルタ装置側の前記集塵ケース本体に固定され、
前記取付部は前記集塵ケース本体上面の前後方向の略中央部に配設されることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記係止解除ボタンの回動を規制するボタンカバーが前記取付部と隣接して前記集塵ケース本体上面に固定され、前記ハンドルと前記ボタンカバーとの間の隙間を覆う指挟み防止リブを設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−10982(P2011−10982A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159632(P2009−159632)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】