説明

電気掃除機

【課題】掃除機本体の雑菌が繁殖しやすい部分での雑菌の繁殖を十分に防止することができ、掃除機本体を常に清潔に保つことができるとともに、掃除機本体から発生する悪臭を十分に抑制することができる電気掃除機の提供。
【解決手段】電動送風機を内蔵する電動送風機室と、電動送風機室の上流に設けられており、塵埃を捕集する集塵部を内蔵する集塵室と、を有する掃除機本体と、掃除機本体に設けられており、ラジカル成分を含む帯電微粒子水を生成する静電霧化ユニットと、を備え、静電霧化ユニットは、電動送風機室内に帯電微粒子水を放出させる位置に配置されている電気掃除機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特に帯電微粒子水を発生させる静電霧化ユニットを搭載した電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機においては、電動送風機の排気中に含まれる集塵装置を通過した真菌類や細菌類を捕集し、殺菌及び/または死滅、もしくは増殖を防止するべく、電動送風機の下流側に殺菌及び/または抗菌機能を有するフィルターを配置する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の電気掃除機としては、例えば、図5に示す構成を有する電気掃除機が提案されている。
【0004】
図5に示すように、掃除機本体100は、主として、吸引風を発生させる電動送風機113を内蔵する電動送風機室114と、集塵袋119を内蔵する集塵室118とから構成されている。電動送風機113の後方には通気口125が設けられており、電動送風機113から排出された空気流(排気風)は全て通気口125に集められるように構成されている。
【0005】
通気口125には、微細塵フィルター128が設けられており、この微細塵フィルター128は、静電フィルター内層129とそれを覆う殺菌フィルター外層130とからなる二重構造とされている。静電フィルター内層129は、直径20〜30μmのポリプロピレン繊維の如き合成樹脂で形成した不織布からなり、繊維自体に静電気力が帯電されている。また、殺菌フィルター外層130は、ポリエステル繊維、レーヨン繊維等で形成した不織布からなり、各繊維上に殺菌剤および/または抗菌剤の溶液を付着乾燥させ、固着させている。
【0006】
以上の構成において、電動送風機113の排気風に含まれる集塵袋119を通過した真菌類や細菌類は、電動送風機113の後方に設けられた微細塵フィルター128の静電フィルター内層129によって一度捕集され、時には、この中で繁殖した真菌類や細菌類は殺菌フィルター外層130中の殺菌剤および/または抗菌剤と接触して繁殖が防止され、死滅せしめられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−53624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の電気掃除機においては、掃除機本体を十分に清潔に保つという観点からは未だ改善の余地があった。
【0009】
一般的に、電動送風機の外周には、フィルターや防音材が設けられており、このフィルターや防音材においても、電動送風機の排気風に含まれる集塵袋を通過した真菌類や細菌類が繁殖しやすい。また、電動送風機は発熱部品であるため、電動送風機の近傍及び電動送風機室内は、掃除機本体の他の部分に比べ温度が高くなっている。そのため、電動送風機の近傍及び電動送風機室内は、真菌類や細菌類が繁殖しやすい環境となっている。
【0010】
上記従来の電気掃除機においては、電動送風機の後方に設けた殺菌及び/または抗菌機能を有する微細塵フィルターにより真菌類や細菌類の繁殖を防止し、死滅せしめる構成であるため、電動送風機の近傍及び電動送風機室での真菌類や細菌類の繁殖を防止することができず、掃除機本体を十分に清潔に保つことができない場合があった。
【0011】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、掃除機本体の雑菌が繁殖しやすい部分での雑菌の繁殖を十分に防止することができ、掃除機本体を常に清潔に保つことができるとともに、掃除機本体から発生する悪臭を十分に抑制することができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、吸引風を発生させる電動送風機を内蔵する電動送風機室と、電動送風機室の上流に設けられており、吸引風により吸引された塵埃を捕集する集塵部を内蔵する集塵室と、を有する掃除機本体と、掃除機本体に設けられており、ラジカル成分を含む帯電微粒子水を生成する静電霧化ユニットと、を備え、静電霧化ユニットは、電動送風機室内に帯電微粒子水を放出させる位置に配置されている電気掃除機を提供する。
【0013】
これにより、静電霧化ユニットにより発生された帯電微粒子水により、真菌類や細菌類が繁殖しやすい電動送風機の近傍及び電動送風機室での真菌類や細菌類の繁殖を防止することができ、掃除機本体を常に清潔に保つことができるとともに、掃除機本体から発生する悪臭を十分に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電気掃除機によれば、真菌類や細菌類が繁殖しやすい電動送風機の近傍及び電動送風機室での真菌類や細菌類の繁殖を防止することができ、掃除機本体を常に清潔に保つことができるとともに、掃除機本体から発生する悪臭を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除機本体の内部構成図
【図2】本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除機本体の底面図
【図3】本発明の電気掃除機の実施の形態1における吸込具の収納状態図
【図4】本発明の電気掃除機の実施の形態1における静電霧化ユニットの構成図
【図5】従来の電気掃除機の掃除機本体の内部構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、吸引風を発生させる電動送風機を内蔵する電動送風機室と、電動送風機室の上流に設けられており、吸引風により吸引された塵埃を捕集する集塵部を内蔵する集塵室と、を有する掃除機本体と、掃除機本体に設けられており、ラジカル成分を含む帯電微粒子水を生成する静電霧化ユニットと、を備え、静電霧化ユニットは、電動送風機室内に帯電微粒子水を放出させる位置に配置されている電気掃除機を提供する。
【0017】
これにより、静電霧化ユニットにより発生された帯電微粒子水により、真菌類や細菌類が繁殖しやすい電動送風機の近傍及び電動送風機室での真菌類や細菌類の繁殖を防止することができ、掃除機本体を常に清潔に保つことができるとともに、掃除機本体から発生する悪臭を十分に抑制することができる。
【0018】
第2の発明は、特に第1の発明において、電動送風機室の下流には、電動送風機から発生した排気をろ過する排気フィルターが設けられているものである。
【0019】
これにより、集塵袋を透過した雑菌が付着しやすく、外観に露出されることが多く、使用者の手が触れやすい排気フィルターが静電霧化ユニットにより発生された帯電微粒子水に晒されるため、排気フィルターでの雑菌の繁殖抑制や脱臭が可能となり、衛生的となる。
【0020】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、掃除機本体の底面には、電動送風機室と連通するとともに帯電微粒子水を放出させる放出口が設けられているものである。
【0021】
これにより、毛足の長い絨毯などが接し汚れやすい上に収納や運搬時に使用者の手が触れやすい掃除機本体の底面が静電霧化ユニットにより発生された帯電微粒子水に晒されるため、掃除機本体の底面での雑菌の繁殖抑制や脱臭が可能となり、衛生的となる。
【0022】
第4の発明は、特に第1〜第3の発明において、掃除機本体には、床面と接するローラーが設けられており、ローラーの近傍には、電動送風機室と連通するとともに帯電微粒子水を放出させる放出口が設けられているものである。
【0023】
これにより、常に床面と接し汚れやすい上に収納や運搬時に手の触れやすいローラーが静電霧化ユニットにより発生された帯電微粒子水に晒されるため、ローラー及びローラーの近傍での雑菌の繁殖抑制や脱臭が可能となり、衛生的となる。
【0024】
第5の発明は、特に第1〜第4の発明において、掃除機本体に連通するとともに、床面の塵埃を吸引する吸込具と、掃除機本体に設けられており、吸込具の非使用時に吸込具を掃除機本体に係止させる係止部と、を有し、掃除機本体には、電動送風機室と連通するとともに帯電微粒子水を放出させる放出口が設けられており、放出口は、吸込具が係止部に係止されている状態において、吸込具に帯電微粒子水が放出される位置に設けられているものである。
【0025】
これにより、常に床面と接し、掃除機全体の中で最も汚れやすい部分の1つである吸込具が、吸込具の非使用時に掃除機本体に係止されている状態において、静電霧化ユニットにより発生された帯電微粒子水に晒されるため、吸込具での雑菌の繁殖抑制や脱臭が可能となり、衛生的となる。
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の電気掃除機の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図1〜図4を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除機本体の内部構成図である。また、図2は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除機本体の底面図である。さらに、図3は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における吸込具の収納状態図である。また、図4は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における静電霧化ユニットの構成図である。
【0029】
図1に示すように、掃除機本体1は、主として、掃除機本体1の後方に設けられており、吸引風を発生する電動送風機2を内蔵する電動送風機室3と、電動送風機2の前方の負圧側に設けられており、吸引風によって吸い込まれた塵埃8を捕集する集塵袋7を内蔵する集塵室5とから構成されている。電動送風機2の排気風10は、掃除機本体1の後部に
設けられた排気フィルター41を通過し、掃除機本体1の外部へと放出される。
【0030】
掃除機本体1の上部には、カバー30が設けられており、このカバー30と掃除機本体1とにより、冷却室6が形成されている。この冷却室6内には、制御基板28と、後述する静電霧化ユニット21の放熱フィン22が配置されている。
【0031】
集塵室5には、掃除機本体1の前方に設けられており、集塵室5と連通する吸引口11が設けられている。
【0032】
静電霧化ユニット21は、放電電極24が電動送風機室3内に露出するとともに放熱フィン22が冷却室6内に露出するように、電動送風機室3の上部に配置されている。
【0033】
図1及び図2に示すように、掃除機本体1の底面には、電動送風機室3と連通するとともに静電霧化ユニット21で発生させた帯電微粒子水20を掃除機本体1の外部へと放出させる放出口42が設けられている。
【0034】
図2及び図3に示すように、掃除機本体1の底面には吸込具45の非使用時に吸込具45を掃除機本体1に係止させる係止部46が設けられており、掃除機本体1を起こした状態で吸込具45を係止部46に掛けると吸込具45の底面が放出口42に対面する位置となるように係止部46が構成されている。
【0035】
図4に示すように、静電霧化ユニット21は、主として、ペルチェ素子23と、ペルチェ素子23の発熱側に設けられた放熱フィン22と、ペルチェ素子23の冷却側に設けられた放電電極24とにより構成されており、放電電極24には高電圧が印加される構成となっている。
【0036】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0037】
まず、使用者が、掃除機本体1を運転すると、電動送風機2により吸引風が発生され、掃除機本体1の吸引口11から集塵袋7内に塵埃8が吸込まれる。吸込まれた塵埃8は、集塵袋7によって捕集される。電動送風機2の排気風10は、掃除機本体1の後部に設けられた排気フィルター41を通過し、掃除機本体1の外部に排出される。
【0038】
次に、使用者が、掃除機本体1の運転を停止し、静電霧化ユニット21を動作させることで、ペルチェ素子23が通電される。ペルチェ素子23に通電されることにより、ペルチェ素子23の冷却側に接続されている放電電極24が冷却されるとともに、ペルチェ素子23の発熱側に接続されている放熱フィン22により、ペルチェ素子23で発生する熱が放熱される。放電電極24の温度が外気の露点以下に達すると、放電電極24の表面に結露水27が生じる。放電電極24には高電圧が印加されており、これにより結露水27から帯電微粒子水20が生成される。
【0039】
掃除機本体1の運転停止後しばらくは電動送風機2から発生する熱により、掃除機本体1内部は高温となっている。効果的に帯電微粒子水20を発生させるためには放熱フィン22を充分冷却することが必要なため、電動送風機2から排気フィルター41までの風路とは隔離された冷却室6を構成し、その中に放熱フィン22および制御基板28を配置している。なお、冷却室6を換気するファンを搭載することで、放熱フィン22や制御基板28をより効果的に冷却することも可能となる。
【0040】
静電霧化ユニット21により生成された帯電微粒子水20は、電動送風機室3及び電動送風機室3と排気フィルター41との間に充満し、電動送風機2の近傍、電動送風機室3
の内部及び排気フィルター41に付着した雑菌や悪臭を除菌・脱臭する。また、帯電微粒子水20は浸透性が良いため、排気フィルター41の外側表面にも浸透し、排気フィルター41の内外両面に対して除菌・脱臭効果を与える。
【0041】
電動送風機室3の内部に充満した帯電微粒子水20の一部は、放出口42から掃除機本体1底面に放出され、床面44と掃除機本体1との間の空間にも帯電微粒子水20が充満し、掃除機本体1の底面や、底面前方のキャスターローラー47、底面後方両側のローラー43に付着した雑菌に対しても除菌・脱臭効果を与える。
【0042】
また、掃除機本体1の非使用時においては、掃除機本体1を起こし排気フィルター41が底面になるように立てることで、掃除機本体1の底面に設けられた係止部46に吸込具45を係止可能となる。掃除機本体1を起こし、吸込具45を係止部46に係止した状態では放出口42から放出される帯電微粒子水20により吸込具45の底面に付着した雑菌の繁殖が抑制され除菌・脱臭が可能となり、吸込具45を常に清浄な状態に保つことが可能となる。
【0043】
以上のように、本実施の形態においては、帯電微粒子水20を電動送風機室3及び電動送風機室3と排気フィルター41との間に充満させ、排気フィルター41や放出口42を通じて外部へ放出させることで、電動送風機2の近傍、電動送風機室3の内部、排気フィルター41、ローラー43とキャスターローラー47および掃除機本体1の底面に付着した雑菌の繁殖を抑制し、除菌・脱臭が可能となり、衛生的な電気掃除機とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の電気掃除機は、真菌類や細菌類が繁殖しやすい電動送風機の近傍及び電動送風機室での真菌類や細菌類の繁殖を防止することができ、掃除機本体を常に清潔に保つことができるとともに、掃除機本体から発生する悪臭を十分に抑制することが可能となるため、家庭用の電気掃除機だけでなく、業務用の電気掃除機の分野・用途にも好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 掃除機本体
2 電動送風機
3 電動送風機室
5 集塵室
6 冷却室
7 集塵袋
8 塵埃
10 排気風
11 吸引口
20 帯電微粒子水
21 静電霧化ユニット
22 放熱フィン
23 ペルチェ素子
24 放電電極
27 結露水
28 制御基板
30 カバー
41 排気フィルター
42 放出口
43 ローラー
44 床面
45 吸込具
46 係止部
47 キャスターローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発生させる電動送風機を内蔵する電動送風機室と、前記電動送風機室の上流に設けられており、前記吸引風により吸引された塵埃を捕集する集塵部を内蔵する集塵室と、を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に設けられており、ラジカル成分を含む帯電微粒子水を生成する静電霧化ユニットと、
を備え、
前記静電霧化ユニットは、前記電動送風機室内に前記帯電微粒子水を放出させる位置に配置されている電気掃除機。
【請求項2】
前記電動送風機室の下流には、前記電動送風機から発生した排気をろ過する排気フィルターが設けられている請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記掃除機本体の底面には、前記電動送風機室と連通するとともに前記帯電微粒子水を放出させる放出口が設けられている請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記掃除機本体には、床面と接するローラーが設けられており、
前記ローラーの近傍には、前記電動送風機室と連通するとともに前記帯電微粒子水を放出させる放出口が設けられている請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記掃除機本体に連通するとともに、床面の塵埃を吸引する吸込具と、
前記掃除機本体に設けられており、前記吸込具の非使用時に前記吸込具を前記掃除機本体に係止させる係止部と、を有し、
前記掃除機本体には、前記電動送風機室と連通するとともに前記帯電微粒子水を放出させる放出口が設けられており、
前記放出口は、前記吸込具が前記係止部に係止されている状態において、前記吸込具に前記帯電微粒子水が放出される位置に設けられている請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−234999(P2011−234999A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110741(P2010−110741)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】