説明

電気掃除機

【課題】水洗いした集塵部を短時間で乾燥させることができる電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機1は、本体10と、一端が本体10に接続され、他端に吸込口が接続されるホース40と、本体10に着脱可能に取り付けられ、水洗いが可能な集塵部15と、本体10に内蔵され、ホース40から吸い込まれて集塵部15を通る空気流を形成する電動送風機18を備える。本体10は、ホース40が接続されるホース接続口16から集塵部15に至る連通路Dと、電動送風機18の排気の一部を連通路Dに循環させる循環経路35とを有し、電動送風機18の運転によりホース接続口16からの外気と循環経路35からの電動送風機18の排気の一部とを集塵部15に吸引し、集塵部15を乾燥させる乾燥運転が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機の集塵部は、使い捨てにするものと、繰り返し使用するものの2方式に大別される。使い捨て方式の代表例は紙パック式フィルタである。繰り返し使用する集塵部にはサイクロン方式集塵機構やプリーツフィルタが用いられる。
【0003】
繰り返し使用する集塵部には、メンテナンスの一環として、水洗いを推奨するものが多い。その例を特許文献1に見ることができる。
【0004】
特許文献1に記載されたフィルタ装置は、フィルタ枠体に着脱可能に取り付けられるフィルタ体を有する。フィルタ体はウレタンなどの合成樹脂にてスポンジ状に形成されており、フィルタ枠体から取り外して洗濯可能である。フィルタ体を変形させることなく乾燥できるよう、フィルタ体にはフックに係合させて吊すことができる係合孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−135797号公報(国際特許分類:A47L9/10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気掃除機の集塵部は、一旦水洗いすると、それが乾燥して集塵に使えるようになるまでに長い時間がかかる。その間、電気掃除機を使用することができないので、使用者にとり非常に不便である。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、水洗いした集塵部を短時間で乾燥させることができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、電気掃除機は、本体と、一端が前記本体に接続され、他端に吸込口が接続されるホースと、前記本体に着脱可能に取り付けられ、水洗いが可能な集塵部と、前記本体に内蔵され、前記ホースから吸い込まれて前記集塵部を通る空気流を形成する電動送風機を備え、前記本体は、前記ホースが接続されるホース接続口から集塵部に至る連通路と、前記電動送風機の排気の一部を前記連通路に循環させる循環経路とを有し、前記電動送風機の運転により前記ホース接続口からの外気と前記循環経路からの前記電動送風機の排気の一部とを前記集塵部に吸引し、当該集塵部を乾燥させる乾燥運転が可能である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において前記本体は、前記集塵部の濡れ具合を検知する濡れセンサと、前記ホースの接続状況を検知するホースセンサと、前記濡れセンサ及びホースセンサから信号を受け取る制御部を有し、前記制御部は、前記ホース接続口に前記ホースが接続されていないことを前記ホースセンサが検知したときは、前記集塵部が所定の乾き状態に達したことを前記濡れセンサが検知するまで前記電動送風機を所定回転数で駆動し続ける乾燥運転を可能とする。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において、乾燥運転のための専用スイッチが設けられる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において、前記制御部は、前記ホースが接続されていないことを前記ホースセンサが検知したときは、通常の吸い込み開始のスイッチ操作で乾燥運転を開始する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において、前記本体のホース接続口にシャッタが設けられ、前記シャッタが閉ざされたとき、前記ホースセンサは前記ホースが接続されていないとの信号を発する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において、前記電動送風機の排気側と前記ホース接続口を連通する循環経路が形成され、前記循環経路の前記ホース接続口側の開口部は、当該ホース接続口に前記ホースを接続したときは閉ざされ、前記ホースを取り外したときは開かれるものである。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において、前記シャッタに、外部からの空気流入を可能とする通気口が形成されている。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において、前記本体のホース接続口と前記集塵部を連結する吸入管が設けられると共に、前記吸入管に隣接して、前記電動送風機からの排気を流す排気経路が設けられ、前記吸入管には前記排気経路に連通する連通口が形成され、前記連通口にはそれを閉ざす閉塞体が設けられる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において、前記排気路に排気フィルタ室が形成され、前記排気フィルタ室のフィルタカバーが前記閉塞体に兼用される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の電気掃除機において、前記フィルタカバーが取り去られたとき、前記排気フィルタ室内の排気フィルタを通り抜けた排気が前記吸入管に流入する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、ホース接続口からの外気と循環経路からの電動送風機の排気の一部とを集塵部に吸引し、当該集塵部を乾燥させる乾燥運転が可能であるから、集塵部15を強制的に短時間で乾燥させることができ、自然乾燥を待つのに比べて、電気掃除機1が使用可能になるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気掃除機の斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る電気掃除機の断面図である。
【図3】第1実施形態に係る電気掃除機の集塵部の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る電気掃除機の乾燥運転時の断面図である。
【図5】第1実施形態に係る電気掃除機の乾燥運転時の斜視図である。
【図6】第1実施形態に係る電気掃除機のブロック構成図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電気掃除機の斜視図である。
【図8】第2実施形態に係る電気掃除機の断面図である。
【図9】第2実施形態に係る電気掃除機の断面図で、図8と直角の方向に断面したものである。
【図10】第2実施形態に係る電気掃除機の斜視図で、集塵部を取り外した状態を示すものである。
【図11】第2実施形態に係る電気掃除機の集塵部の側面図である。
【図12】第2実施形態に係る電気掃除機の集塵部の側面図で、図11と視点を異ならせたものである。
【図13】第2実施形態に係る電気掃除機の集塵部の断面図である。
【図14】第2実施形態に係る電気掃除機の集塵部の図13と同様の断面図で、その中にフィルタを入れない状態を示すものである。
【図15】第2実施形態に係る電気掃除機の断面図で、集塵部と排気フィルタを取りつけていない状態を示すものである。
【図16】第2実施形態に係る電気掃除機の乾燥運転時の断面図である。
【図17】第2実施形態に係る電気掃除機の乾燥運転時の断面図で、図16と直角の方向に断面したものである。
【図18】第2実施形態に係る電気掃除機のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施形態に係る電気掃除機の構造を図1から図6に基づき説明する。
【0021】
電気掃除機1は、本体10と、本体10に一端が接続されるホース40を備える。ホース40の他端には図示しない吸込口が接続される。本体10は1個の前輪キャスタ11と2個の後輪12により床の上に三点支持される。本体10の上面中央には運搬用のハンドル13があり、ハンドル13よりも前の部分には集塵部15を上から入れる集塵部収納室14が形成されている。ホース40は本体10の正面のホース接続口16に接続されるものであり、その状態でホース40の内部は集塵部15の内部に連通する。
【0022】
本体10の内部には、集塵部収納室14の後に電動送風機室17が形成されている。電動送風機室17の中には電動送風機18が、電動機軸を垂直にし、吸込側を上に向ける形で収納されている。
【0023】
続いて集塵部15の構造を、主に図2、3を参照しつつ説明する。集塵部15は底部が開口した筒型のケース20を有し、その中にメインフィルタ21とプレフィルタ22が挿入される。メインフィルタ21はプリーツ加工した不織布を筒型に丸めたものであり、プレフィルタ22はメインフィルタ21を囲む円筒形の枠にナイロンネットを張ったものであって、どちらも水洗い可能である。
【0024】
ケース20の内部には水平な隔壁23が設けられている。隔壁23には平面形状円形の開口部24が形成されており、開口部24からは環状のリム25が下向きに突き出している。ケース20の底部開口から挿入したメインフィルタ21をリム25に外側から嵌合させ、その外側にプレフィルタ22を置いた後、ケース20にヒンジ部26で連結された蓋27を閉じて蓋27にロックをかければ、メインフィルタ21とプレフィルタ22の取り付けは完了する。
【0025】
メインフィルタ21とプレフィルタ22を取り付けた集塵部15を、天面のハンドル28を持って集塵部収納室14にはめ込むと、ケース20の正面の空気流入口29がホース接続口16に密着する。これにより、ホース接続口16から集塵部15に至る連通路Dが形成される。
【0026】
隔壁23の上の空間には、後方に向かって突き出す空気流出口30が設けられており、空気流出口30は電動送風機室17に連通する空気流入口31に密着する。このように集塵部収納室14にはめ込まれた集塵部15は、本体10の前部に設けられたロック装置ではめ込み状態を維持されるものであり、ロック解除釦32を押してロックを解除してから取り出すことができる。
【0027】
電動送風機18を通り抜けた空気は、電動送風機室17の周囲に設けられた排気空間33に出る。排気空間33には機外に通じる排気口34が設けられており、空気はそこから機外に排出される。
【0028】
排気空間33とホース接続口16の間には、集塵部15の外側を迂回する循環経路35が形成される。循環経路35は、排気空間33に入口側の開口36を開口させ、ホース接続口16の内面に出口側の開口37を開口させている。開口37は、ホース接続口16にホース40を接続したときは閉ざされ、ホース接続口16からホース40を取り外したときに開かれるものである。
【0029】
ホース接続口16にはシャッタ38が設けられる。シャッタ38はホース接続口16の下に形成された戸袋部39に収納されており、ホース40を取り除いた後、つまみ38aに指をかけて引き上げることにより、図4、5に示す通り、開口37よりも前方の位置でホース接続口16を閉ざすことができる。シャッタ38には複数のスリットからなる通気口38bが形成されている。
【0030】
本体10の制御システムは図6に示す構成となっている。本体10の制御を司る制御部50はマイクロコンピュータを中核として構成され、操作部51、濡れセンサ52、ホースセンサ53、及び乾燥スイッチ54から出力信号を受け取り、電動送風機18に対し制御信号を出力する。
【0031】
操作部51はホース40の先端の図示しないハンドル部に設けられており、電動送風機18のON/OFFや吸込力の強弱選択のためのキーを備えている。
【0032】
濡れセンサ52は集塵部15の濡れ具合を検知するものであって、湿度センサにより構成され、空気流入口31から電動送風機18の吸込側に向かう空間に配置されている。濡れセンサ52は、乾燥運転の間中、空気流入口31から流入する空気の湿度を検知し、湿度の値を制御部50に出力する。
【0033】
ホースセンサ53はホース40の接続状況を検知するためのものであって、本実施形態では、戸袋部39に配置されたマイクロスイッチがホースセンサ53を構成している。ホースセンサ53は、シャッタ38が開かれたときはホース40が接続されているとの信号を制御部50に出力し、シャッタ38が閉ざされたときはホース40が接続されていないとの信号を制御部50に出力する。
【0034】
乾燥スイッチ54は制御部50に乾燥運転を指令する専用スイッチであって、本体10の一部に設けられている。
【0035】
次に電気掃除機1の動作を説明する。本体10にホース40を接続し、操作部51の中のキーを操作して電動送風機18を駆動すると、ホース40から塵埃を含んだ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は連通路Dを通じて集塵部15のケース20の中に入り、ケース20の内壁とプレフィルタ22の間の環状の空間に入った後、プレフィルタ22を通ってその内側に吸い込まれ、次いでメインフィルタ21を通ってその内側に吸い込まれる。この過程で、空気に含まれていた塵埃はプレフィルタ22とメインフィルタ21により捕集される。
【0036】
メインフィルタ21の内側に吸い込まれた空気は開口部24から隔壁23の上に出、空気流出口30から空気流入口31を通って電動送風機18に吸い込まれる。電動送風機18は吸い込んだ空気を排気空間33に吐出し、吐出された空気は排気空間33から排気口34を通じて機外に排出される。この時循環経路35にも排気圧がかかるが、開口37が
ホース40で閉ざされているため、循環経路35を通る空気流は発生しない。
【0037】
集塵部15の中に塵埃が溜まってきたら、ロック解除釦32を押して集塵部15を取り出し、適宜の容器の上で蓋27を開いて塵埃を捨てる。
【0038】
使用累積時間が長くなると、フィルタ、特にメインフィルタ21に塵埃がこびりつき、電気掃除機1の吸引力が低下する。このような場合、蓋27を開いて塵埃を捨てた後、メインフィルタ21とプレフィルタ22をケース20から抜き出し、水洗いをして塵埃を徹底的に除去することができる。水洗い後のメインフィルタ21とプレフィルタ22は、本体10の外で乾燥させてからケース20にセットすることもできるが、本発明に係る電気掃除機1は、濡れたままのメインフィルタ21とプレフィルタ22をセットした集塵部15を本体10に取り付け、乾燥運転を実施することにより、短時間でフィルタを乾燥させることができる。
【0039】
乾燥運転の実施にあたっては、ホース接続口16からホース40を外し、シャッタ38を閉ざす。するとホースセンサ53が、ホース40が接続されていないとの信号を制御部50に出力する。この状態で乾燥スイッチ54をオンにすれば、制御部50は電動送風機18を所定の回転数で駆動する。この時の電動送風機18の回転数は、電気掃除機1を「吸込力強」で使用するときの回転数よりも低く設定しておく。
【0040】
電動送風機18を駆動すると、ホース40が存在しないため、開口37を通じて循環経路35に吸引力が作用する。開口36には排気空間33内の排気圧が作用する。これにより、電動送風機18からの排気が開口36から循環経路35に吸い込まれ、開口37からホース接続口16に出て、連通路D経由で集塵部15に吸引され、プレフィルタ22とメインフィルタ21を通り再び電動送風機18に吸い込まれるという、循環気流が発生する。電動送風機18からの排気は熱を持っているので、プレフィルタ22とメインフィルタ21は速やかに乾燥する。
【0041】
電動送風機18に吸い込まれる空気が、循環経路35を経て戻ってくる空気のみであると、電動送風機18が発生する熱が機外に排出されないため、本体10が過熱してしまう。また、プレフィルタ22とメインフィルタ21から蒸発した水分も本体10の中にこもってしまうことになる。
【0042】
ここで役割を果たすのが、シャッタ38に形成された通気口38bである。通気口38bから外気が吸い込まれるため、循環経路35に吸い込まれ得る以上の量の空気が電動送風機18から吐出され、余剰分の空気は排気口34から排出されざるを得なくなる。排気口34から排出される排気が熱を持ち去るため、本体10の過熱が防止される。プレフィルタ22とメインフィルタ21から蒸発した水分も順次本体10から排出されることになる。
【0043】
乾燥運転の間、濡れセンサ52は空気流入口31から流入する空気の湿度を検知し、湿度の値を制御部50に出力する。制御部50は、濡れセンサ52が検知した湿度の値に基づき集塵部15の濡れ具合を判定する。湿度が所定以下のレベルに低下したことを濡れセンサ52が検知したら、制御部50は集塵部15が所定の乾き状態に達したとの判定を下し、電動送風機18の駆動を停止する。これにより、乾燥運転は終了する。
【0044】
本発明に係る電気掃除機1は、ホース接続口16からの外気と循環経路35からの電動送風機18の排気の一部とを集塵部15に吸引し、集塵部15を乾燥させる乾燥運転が可能であるから、集塵部15を強制的に短時間で乾燥させることができ、自然乾燥を待つのに比べて、電気掃除機1が使用可能になるまでの時間を大幅に短縮することができる。また制御部50は、集塵部15の少なくともフィルタを水洗いした後、それが所定の乾き状態に達したことを濡れセンサ52が検知するまで、電動送風機18を所定回転数で運転し続けるから、乾燥の進み具合を使用者が気に掛ける必要はなく、乾燥運転の終了操作も不要である。また、ホース40が本体10に接続されていないことをホースセンサ53が検知しないかぎり、乾燥運転をさせることができないから、乾燥運転時に掃除を行うといった過ちを防ぐことができる。
【0045】
本実施形態では専用の乾燥スイッチ54を操作して乾燥運転を行うものとしたが、このような専用スイッチを設けず、ホース接続口16にホース40が接続されていないことをホースセンサ53が検知したときは、通常の吸い込み開始のスイッチ操作を操作部51で行うだけで、制御部50が乾燥運転を開始するように構成することもできる。
【0046】
図7から図17に本発明の第2実施形態を示す。第1実施形態と機能的に共通する構成要素には第1実施形態の説明で用いたのと同じ符号を付し、説明は省略する。
【0047】
第2実施形態は、集塵部15の構成とその取り付け方が第1実施形態と異なる。第1実施形態の集塵部15は、それを集塵部収納室14に出し入れする方向にメインフィルタ21とプレフィルタ22の軸線方向が一致していたが、第2実施形態では、メインフィルタ21とプレフィルタ22の軸線方向は集塵部収納室14への出し入れ方向と直角になっている。本体10のハンドル13は前後方向に延び、その前端にロック解除釦32が設けられている。
【0048】
集塵部15のケース20の側面には、ホース接続口16に接続する吸入管60が取り付けられている。吸入管60はケース20の空気流入口29とホース接続部16を連結するものである。吸入管60がホース接続口16と空気流入口29を連結することにより、ホース接続口16から集塵部15に至る連通路Dが形成される。
【0049】
メインフィルタ21の内側の空間は、蓋27に形成された空気流出口30を通じて本体10の空気流入口31に接続される。第2実施形態では、空気流入口31はホース接続口16の上に配置されている。
【0050】
空気流入口31は電動送風機18の吸込側に連通する。電動送風機18は軸線を水平にして設置されている。空気流入口31には、集塵部15を取り外したときにそこから異物が入り込まないよう、保護用フィルタ31aが設けられている。
【0051】
本体10の両側面には排気口34が形成されており、電動送風機18から排気口34に至る排気経路の末端は、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)からなる排気フィルタ61を配置した排気フィルタ室62となっている。排気フィルタ室62は集塵部収納室14の下に形成されている。排気フィルタ室62は着脱可能なフィルタカバー63で蓋をされるものであり、フィルタカバー63が集塵部収納室14と排気フィルタ室62を隔てる仕切板となる。
【0052】
フィルタカバー63は、前端に形成された突起64を排気フィルタ室62の前方の壁に形成された貫通穴に係合させ、後端に形成された弾性フック65を排気フィルタ室62の後方の壁に係合させることにより、排気フィルタ室62に蓋をする位置に保持される。弾性フック65に指を掛けて引き起こせば、フィルタカバー63を取り外すことができる。
【0053】
フィルタカバー63にはスリット66(図10、図15参照)が形成される。吸入管60にはスリット66を通じて排気フィルタ61に届く突起67(図8、図11参照)が形成される。突起67は排気フィルタ61が浮き上がらないように押さえつける役割を果たす。
【0054】
排気フィルタ61を入れ忘れたまま掃除をすることのないよう、排気フィルタ室62に次のような仕掛けが施されている。すなわち排気フィルタ室62の内部の、電動送風機18に近い側の隅に、シーソーのように揺動するストッパ70(図15参照)が設けられる。ストッパ70は、圧縮コイルばねにより、図15において時計方向に附勢されている。
【0055】
図8のように排気フィルタ61がきちんとセットされた状態では、排気フィルタ61が
ストッパ70を押し、ストッパ70は附勢力に抗して回動せしめられる。この時、ストッパ70の先端が排気フィルタ室62の後方の壁から離れることにより、ストッパ70はフィルタカバー63に干渉しなくなり、フィルタカバー63の取り付けが可能となる。
【0056】
図15のように排気フィルタ61が取り付けられていないと、ストッパ70の先端は排気フィルタ室62の後方の壁に接近する。この状態では、ストッパ70が邪魔をしてフィルタカバー63を完全にはめ込むことができない。スリット66も正しい位置からずれ、そこに突起67を入れることができなくなるので、集塵部15を取り付けることもできない。これにより使用者は、排気フィルタ61が取り付けられていないことを知り、回復措置をとることができる。
【0057】
集塵部15には、それを集塵部収納室14に出し入れするときに用いるハンドル28の他、蓋27を開けて塵埃を捨てるときに集塵部15を保持するためのハンドル71も設けられている。ハンドル71は、ケース20の中で、開口部となっている端面と反対の端面に形成された凹部72(図12、図13参照)の中にある。他方集塵部収納室14の後方の壁には、集塵部15をはめ込むときにハンドル71を挟んで誘導する1対の案内リブ73が形成されている(図13、図15参照)。案内リブ73の存在を利用して、メインフィルタ21をケース20に入れておかないかぎり集塵部15を集塵部収納室14にはめ込むことができない仕掛けが構成される。
【0058】
図13に示す通り、メインフィルタ21はプレフィルタ22の中に組み込まれており、プレフィルタ22をケース20に挿入すると、メインフィルタ21の中心のシャフト21aが凹部72の中に頭を出す。凹部72の中にはベルクランク形状のストッパ74が支軸75を中心として回動可能に取り付けられている。ストッパ74は引張コイルばね76により図13において時計方向に附勢されている。L字形をなすストッパ74の2本のアームのうち、一方はシャフト21aに対応し、他方は案内リブ73に対応する。
【0059】
図13のようにメインフィルタ21がケースに組み込まれていれば、シャフト21aがストッパ74の一方のアームに当たってこれを押す。ストッパ74は引張コイルばね76の附勢力に抗する方向に回動せしめられ、他方のアームは案内リブ73に干渉しない位置に待避する。これにより、集塵部15を集塵部収納室14の一番奥まで押し込むことが可能になる。
【0060】
メインフィルタ21がケース20に組み込まれていないと、ストッパ74は、図14に示す通り案内リブ73に干渉する位置に来て、集塵部15を集塵部収納室14の一番奥まで押し込むことができなくなる。これにより使用者は、メインフィルタ21が取り付けられていないことを知り、回復措置をとることができる。
【0061】
集塵部15は、メインフィルタ21の除塵のための仕組みを有する。メインフィルタ21のシャフト21aは、凹部72の壁を貫通するとき、軸線まわりの回転を止められる。これに対しプレフィルタ22は、メインフィルタ21の周囲を回転可能であるとともに、その内部に、メインフィルタ21のプリーツを内側からはじく弾性爪77が取り付けられている。
【0062】
メインフィルタ21のシャフト21aを囲むプレフィルタ22のシャフト22aは、ケース20の内部の隔壁20aに差し込まれたとき、隔壁20aと凹部72の間の空間に配置されたベベル歯車78に回転不能に連結する。ベベル歯車78と対をなすベベル歯車79(図8参照)は、集塵部15の側面に配置された除塵ダイヤル80に連結されている。除塵ダイヤル80を回すとベベル歯車79からベベル歯車78を経てプレフィルタ22に回転が伝わる。回転を止められたメインフィルタ21のプリーツを弾性爪77が順にはじくときの振動で、メインフィルタ21の外側から塵埃が落下する。
【0063】
吸入管60には、排気フィルタ室62に面する側に、排気フィルタ室62を含む排気経路に連通する連通口81(図16参照)が形成される。この連通口81が、電動送風機18の排気の一部を連通路Dに循環させる循環経路の役割を果たす。
【0064】
連通口81はフィルタカバー63によって閉塞される。図8から図10に示す通り、フィルタカバー63には連通口81をぴったりと閉ざす凸部82が形成されている。
【0065】
第1実施形態と同様、ホース40に対しホースセンサ53が設けられる。ホースセンサ53はマイクロスイッチであり、ホース接続口16に差し込まれたホース40の接続管部でアクチュエータが押されるものである。空気流入口31と電動送風機18の間の吸込経路には濡れセンサ52が配置される。さらに第2実施形態では、フィルタカバー63に対しても、それが取り付けられたことを検知して制御部50に出力するフィルタカバーセンサ83が設けられる。ホースセンサ53と同様、フィルタカバーセンサ83もマイクロスイッチにより構成される。
【0066】
次に電気掃除機1の動作を説明する。排気フィルタ61とフィルタカバー63を取り付け、集塵部15をセットした状態で、本体10にホース40を接続し、操作部51の中のキーを操作して電動送風機18を駆動すると、ホース40から塵埃を含んだ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は連通路Dを通じて集塵部15のケース20の中に入り、ケース20の内壁とプレフィルタ22の間の環状の空間に入った後、プレフィルタ22を通ってその内側に吸い込まれ、次いでメインフィルタ21を通ってその内側に吸い込まれる。この過程で、空気に含まれていた塵埃はプレフィルタ22とメインフィルタ21により捕集される。
【0067】
メインフィルタ21の内側に吸い込まれた空気は蓋27の空気流出口30から空気流入口31を通って電動送風機18に吸い込まれる。電動送風機18は吸い込んだ空気を排気空間33に吐出し、吐出された空気は排気空間33から排気フィルタ61を通って排気フィルタ室62に抜ける。排気フィルタ61はHEPAフィルタであるため、空気は高度に清浄化される。排気フィルタ62に入った空気は排気口34を通じて機外に排出される。この時吸入管60の連通口81はフィルタカバー63の凸部82で閉ざされており、排気フィルタ室62から吸入管60に空気が入り込むことはない。
【0068】
集塵部15の中に塵埃が溜まってきたら、ロック解除釦32を押して集塵部15を取り出し、適宜の容器の上で蓋27を開いて塵埃を捨てる。
【0069】
電動送風機18が停止している間に除塵ダイヤル80を回すと、プレフィルタ22が回転し、弾性爪77でメインフィルタ21をはじく。これによる振動でメインフィルタ21から塵埃が落下し、目詰まり状態が改善される。
【0070】
使用累積時間が長くなるとメインフィルタ21に塵埃がこびりつき、除塵ダイヤル80の回転では塵埃を落としきれなくなる。このような場合、蓋27を開いて塵埃を捨てた後、メインフィルタ21とプレフィルタ22をケース20から抜き出し、水洗いをして塵埃を徹底的に除去することができる。水洗い後のメインフィルタ21とプレフィルタ22は、本体10の外で乾燥させてからケース20にセットすることもできるが、濡れたままのメインフィルタ21とプレフィルタ22をセットした集塵部15を本体10に取り付け、乾燥運転を実施することにより、フィルタの乾燥を短時間で行うことができる。
【0071】
乾燥運転の実施にあたっては、フィルタカバー63を取り外した状態で集塵部15を取り付ける。このようにすると、図16及び図17に示すように、吸入管60が排気経路に隣接する形になる。ここでホース接続口16からホース40を外す。するとホースセンサ53が、ホース40が接続されていないとの信号を制御部50に出力する。この状態で乾燥スイッチ54をオンにすれば、制御部50は電動送風機18を所定の回転数で駆動する。この時の電動送風機18の回転数は、電気掃除機1を「吸込力強」で使用するときの回転数よりも低く設定しておく。
【0072】
電動送風機18から排気空間33に吐出された空気は排気フィルタ61を通って排気フィルタ室62に抜ける。フィルタカバー63が取り外されているため、循環経路として機能する連通口81が開いており、空気の一部はここから吸入管60に吸い込まれる。これにより、電動送風機18からの排気が循環経路から連通路D経由で集塵部15に吸引され、プレフィルタ22とメインフィルタ21を通り再び電動送風機18に吸い込まれるという、循環気流が発生する。電動送風機18からの排気は熱を持っているので、プレフィルタ22とメインフィルタ21は速やかに乾燥する。
【0073】
電動送風機18に吸い込まれる空気が、吸入管60を経て戻ってくる空気のみであると、電動送風機18が発生する熱が機外に排出されないため、本体10が過熱してしまう。また、プレフィルタ22とメインフィルタ21から蒸発した水分も本体10の中にこもってしまうことになる。
【0074】
しかしながらこの場合、ホース接続口16から外気が吸い込まれるため、連通口81に吸い込まれ得る以上の量の空気が電動送風機18から吐出され、余剰分の空気は排気口34から排出されざるを得なくなる。このようにして本体10から排出される排気が熱を持ち去るため、本体10の過熱が防止される。プレフィルタ22とメインフィルタ21から蒸発した水分も順次本体10から排出されることになる。
【0075】
乾燥運転の間、濡れセンサ52は空気流入口31から流入する空気の湿度を検知し、湿度の値を制御部50に出力する。制御部50は、濡れセンサ52が検知した湿度の値に基づき集塵部15の濡れ具合を判定する。湿度が所定以下のレベルに低下したことを濡れセンサ52が検知したら、制御部50は集塵部15が所定の乾き状態に達したとの判定を下し、電動送風機18の駆動を停止する。これにより、乾燥運転は終了する。
【0076】
上記第1実施形態と第2実施形態の説明では、集塵部15の中でもメインフィルタ21とプレフィルタ22を水洗いするものとしたが、それ以外の部分を水洗いした場合にも乾燥運転を適用できることは言うまでもない。サイクロン集塵部を備える電気掃除機にあっては、水洗いしたサイクロン集塵部を乾燥対象とできる。
【0077】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は電動送風機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 電気掃除機
10 本体
14 集塵部収納室
15 集塵部
16 ホース接続口
17 電動送風機室
18 電動機
33 排気空間
34 排気口
35 循環経路
36、37 開口部
38 シャッタ
38b 通気口
40 ホース
50 制御部
52 濡れセンサ
53 ホースセンサ
54 乾燥スイッチ
60 吸入管
61 排気フィルタ
62 排気フィルタ室
63 フィルタカバー
81 連通口
82 凸部
D 連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、一端が前記本体に接続され、他端に吸込口が接続されるホースと、前記本体に着脱可能に取り付けられ、水洗いが可能な集塵部と、前記本体に内蔵され、前記ホースから吸い込まれて前記集塵部を通る空気流を形成する電動送風機を備え、
前記本体は、前記ホースが接続されるホース接続口から集塵部に至る連通路と、前記電動送風機の排気の一部を前記連通路に循環させる循環経路とを有し、
前記電動送風機の運転により前記ホース接続口からの外気と前記循環経路からの前記電動送風機の排気の一部とを前記集塵部に吸引し、当該集塵部を乾燥させる乾燥運転が可能であることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記本体は、前記集塵部の濡れ具合を検知する濡れセンサと、前記ホースの接続状況を検知するホースセンサと、前記濡れセンサ及びホースセンサから信号を受け取る制御部を有し、
前記制御部は、前記ホース接続口に前記ホースが接続されていないことを前記ホースセンサが検知したときは、前記集塵部が所定の乾き状態に達したことを前記濡れセンサが検知するまで前記電動送風機を所定回転数で駆動し続ける乾燥運転を可能とするものであることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
乾燥運転のための専用スイッチが設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、前記ホースが接続されていないことを前記ホースセンサが検知したときは、通常の吸い込み開始のスイッチ操作で乾燥運転を開始することを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記本体のホース接続口にシャッタが設けられ、前記シャッタが閉ざされたとき、前記ホースセンサは前記ホースが接続されていないとの信号を発することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記電動送風機の排気側と前記ホース接続口を連通する循環経路が形成され、前記循環経路の前記ホース接続口側の開口部は、当該ホース接続口に前記ホースを接続したときは閉ざされ、前記ホースを取り外したときは開かれるものであることを特徴とする請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記シャッタに、外部からの空気流入を可能とする通気口が形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記本体のホース接続口と前記集塵部を連結する吸入管が設けられると共に、前記吸入管に隣接して、前記電動送風機からの排気を流す排気経路が設けられ、前記吸入管には前記排気経路に連通する連通口が形成され、前記連通口にはそれを閉ざす閉塞体が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記排気路に排気フィルタ室が形成され、前記排気フィルタ室のフィルタカバーが前記閉塞体に兼用されることを特徴とする請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記フィルタカバーが取り去られたとき、前記排気フィルタ室内の排気フィルタを通り抜けた排気が前記吸入管に流入することを特徴とする請求項9に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−245099(P2011−245099A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122742(P2010−122742)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)