説明

電気掃除機

【課題】本体への取り付けの耐久性が高く、着脱時の操作性の良いフィルターカバーを備えた電気掃除機を得る。
【解決手段】電動送風機9を内蔵する本体ケースと、電動送風機9により吸引された空気に含まれる塵埃を捕集する集塵部20と、集塵部20の下流側に設けられて塵埃を捕集するフィルターユニット40と、フィルターユニット40を開閉可能に覆うフィルターカバー30とを備え、フィルターカバー30の一端は、軸支持部により本体ケースに回動自在に取り付けられ、フィルターカバー30の他端には、フィルターカバー30を閉じた状態で本体ケースに設けられた被係合部に係合してフィルターカバー30が開くのを規制するフック34を回動自在に取り付け、フック34を開くときの回動方向と、フィルターカバー30を開くときの回動方向とを同じ方向とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機は、電動送風機の吸引力により吸引された空気に含まれる塵埃を集塵部で捕集するが、この集塵部で捕集しきれなかった軽くて微細な塵埃等を捕集するため、集塵部の下流側に集塵用のフィルターを備えているのが一般的である。従来、このようなフィルターを保持するためのフィルターカバーとして、「本体前部13aに取り付けるための固定爪30aおよび凹部30Cを有した係止部30dを一体的に有している」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−272656号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術においては、フィルターカバーを本体に取り付けるための係止部(固定爪、凹部)を、フィルターカバー自身に一体的に備えていて、フィルターカバーを本体に着脱する際には、フィルターカバー自身を弾性変形させて固定爪を本体に係合させる。このため、フィルターカバーの着脱を繰り返すと、フィルターカバーを繰り返し弾性変形させることとなる結果、疲労によりフィルターカバーの本体への係止力が弱くなってフィルターカバーを適切に本体に取り付けることができなくなるおそれがあった。また、フィルターカバーを弾性変形させるときには、ユーザが強い力でフィルターカバーを所定方向へ押圧する必要があり、操作性が悪かった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本体への取り付けの耐久性が高く、着脱時の操作性の良いフィルターカバーを備えた電気掃除機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気掃除機は、吸引力を発生する電動送風機と、前記電動送風機を内蔵する本体ケースと、前記電動送風機により吸引された空気に含まれる塵埃を捕集する集塵部と、前記集塵部の下流側に設けられて塵埃を捕集するフィルターと、前記フィルターを開閉可能に覆うフィルターカバーとを備え、前記フィルターカバーの一端は、軸支持部により前記本体ケースに回動自在に取り付けられ、前記フィルターカバーの他端には、前記フィルターカバーを閉じた状態で前記本体ケースに設けられた被係合部に係合して前記フィルターカバーが開くのを規制する係止フックを回動自在に取り付け、前記係止フックを開くときの回動方向と、前記フィルターカバーを開くときの回動方向とを同じ方向としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電気掃除機は、フィルターカバーの他端に回動自在に設けた係止フックによりフィルターカバーが開くのを規制するようにしたので、固定爪による固定と比べてフィルターカバーの保持力を向上させることができる。また、係止フックを開くときの回動方向と、フィルターカバーを開くときの回動方向とを同じ方向としたので、係止フックを開くときの動作の流れでフィルターカバーをも開くことができ、ユーザの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る電気掃除機の外観斜視図である。
【図2】図1の掃除機本体の平面図である。
【図3】図1の掃除機本体の右側面図である。
【図4】図2のA−A矢視断面図である。
【図5】実施の形態1に係る掃除機本体から集塵部を取り外した状態の斜視図である。
【図6】実施の形態1に係る掃除機本体からフィルターカバーを取り外した状態の斜視図である。
【図7】実施の形態1に係る掃除機本体のフィルターカバーを閉じた状態の背面斜視図である。
【図8】実施の形態1に係る掃除機本体のフィルターカバーを開けた状態の背面斜視図である。
【図9】図7のフィルターユニットの分解図である。
【図10】図8の縦断面図である。
【図11】実施の形態1に係る格子部品の例を示す図である。
【図12】実施の形態1に係るフィルターカバーのフックを説明する要部断面図である。
【図13】実施の形態2に係る掃除機本体の要部断面図である。
【図14】実施の形態2に係る掃除機本体のフィルターユニットを取り外した状態を示す要部断面図である。
【図15】実施の形態2に係る掃除機本体のフィルターユニットを取り付ける際の動作を説明する要部断面図である。
【図16】実施の形態3に係る掃除機本体のフィルターカバーを開けた状態の要部斜視図である。
【図17】実施の形態3に係るフィルターカバーを取り外した状態の分解図である。
【図18】実施の形態3に係るフィルターカバーの軸支持部を示す要部断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明に係る電気掃除機の外観斜視図である。図1に示すように、電気掃除機100は、吸込具1と、延長パイプ2と、手元ホース3と、ホース4と、掃除機本体5とを備えている。吸込具1は床面上の塵埃及び含塵空気(塵を含む空気)を吸い込む。吸込具1の出口側には真直な円筒状の延長パイプ2の一端が接続されている。延長パイプ2の他端には、電気掃除機100の運転を制御する操作スイッチ8が設置された取手が設けられた手元ホース3の一端が接続されている。手元ホース3の他端には、可撓性を有する蛇腹状のホース4の一端が接続されている。さらに、ホース4の他端には、掃除機本体5が接続されている。掃除機本体5の後部には車輪6を備えており、掃除機本体5の前方下面に備えた前キャスター(図示せず)と車輪6とにより、掃除機本体5は移動可能になっている。掃除機本体5には電源コード7が接続されており、電源コード7が外部電源に接続されることで、通電し、電動送風機9(図7参照)が駆動されて吸引動作を行う。吸込具1、延長パイプ2、手元ホース3及びホース4は、含塵空気を掃除機本体5の外から内部に流入させるための吸引経路の一部を構成する。
【0010】
図2は掃除機本体5の平面図、図3は掃除機本体5の右側面図、図4は図2のA−A矢視断面図、図5は掃除機本体5から集塵部20を取り外した状態の斜視図である。また、図6はフィルターカバー30を取り外した状態の斜視図、図7はフィルターカバー30を閉じた状態の背面斜視図、図8はフィルターカバー30を開けた状態の背面斜視図、図9はフィルターユニット40の分解図、図10は図9の縦断面図である。図2〜図10に示すように、掃除機本体5は、本体ケース10と、集塵部20と、フィルターカバー30と、フィルターユニット40とを備えている。
【0011】
掃除機本体5の外殻を構成する本体ケース10は、上部を開口し電動送風機9や各種制御基板(図示せず)を収容する下ケース11と、下ケースの開口部を覆う上ケース12と、ホース4を接続可能なホース接続口13とを備えている。このホース接続口13は、掃除機本体5に吸引される空気の入口である。上ケース12の上面は、集塵部20を載置可能な形状に構成されている。
【0012】
本体パイプ14は、各種樹脂で構成されていて、ホース4が接続されるホース接続口13と集塵部20とを接続する機能を有する。本体パイプ14は、ほぼ筒形状の集塵部20の長手方向に沿うようにして、本体ケース10の上に載置されている。排気孔15は、電動送風機9からの排気を外部に排出するために設けられた多数の孔で構成されている。
【0013】
本体ケース10は、電動送風機9の真上の位置に吸引開口部16が設けられていて、この吸引開口部16を通って電動送風機9へ空気が吸引される。吸引開口部16には、本体ケース10内に異物が落下するのを抑制するための格子部品17が取り付けられている。なお、図11に示すように、合成繊維等で構成されたフィルターネット17aを、インサート成形により格子部品17の上面に一体化させてもよい。このようにすると、例えば掃除等のためにフィルターユニット40を取り外した場合に、格子部品17を介して本体ケース10内に異物が落下するのをさらに抑制することができる。また、格子部品17にフィルターネット17aをインサート成形することで、両者を1部品として扱うことができるので、電気掃除機100の部品点数を減らすことができるとともに組み立ての手間を軽減できる。
【0014】
集塵部20は、電動送風機9の吸引力により吸引された空気に含まれる塵埃を捕集するものであり、掃除機本体5への吸引空気の入口であるホース接続口13から電動送風機9へ至る吸引経路の一部を構成している。集塵部20の集塵方式は、サイクロン方式あるいは紙パック方式のいずれでもよい。集塵部20の出口側は、本実施の形態では、フィルターカバー30に接続されている。集塵部20は、図5に示すように本体ケース10から着脱可能である。集塵部20に塵埃等が溜まった場合には、集塵部20を本体ケース10から取り外して塵埃等を廃棄する。
【0015】
フィルターカバー30は、フィルターユニット40を外側から開閉可能に覆うカバーであり、本体ケース10の上面に取り付けられている。本実施の形態では、フィルターカバー30は、カバー本体31と、集塵部20から排出された空気の入口である連通口32とを備えていて、集塵部20と電動送風機9とを繋ぐ風路を形成している。フィルターカバー30は、集塵部20の出口側とフィルターユニット40との間に介在していて、カバー本体31によってフィルターユニット40の外周及び上面を覆っているが、連通口32により集塵部20とフィルターユニット40とを連通させている。フィルターカバー30の一端には回動軸33が形成されていて、この回動軸33が本体ケース10の上面に設けられた軸受け部19に回動可能に保持されている。そして、回動軸33と軸受け部19とにより構成される軸支持部により、フィルターカバー30は回動自在となっている。
【0016】
フィルターユニット40は、集塵部20から排出された空気に含まれる微細な塵埃を捕集するためのものであり、吸引開口部16の上流側に、吸引開口部16を覆うように設置されている。掃除機本体5に吸引された空気に含まれる塵埃は、基本的には集塵部20に捕集されるが、この集塵部20で捕集しきれなかった微細な塵埃を電動送風機9に吸引させないために、フィルターユニット40を設けている。本実施の形態1では、フィルターユニット40は、1次フィルター41と2次フィルター42とで構成されている。1次フィルター41及び2次フィルター42は、例えばハニカム形状、コルゲート形状、プリーツ形状、平板形状に形成された不織布で構成されている。2次フィルター42の方が1次フィルター41よりもフィルターの目が細かく、1次フィルター41を通過した微細な塵埃を2次フィルター42で捕集する。
フィルターユニット40は、掃除機本体5から集塵部20が取り外された状態ではまだフィルターカバー30に覆われており、フィルターカバー30を回動させることで、フィルターユニット40を露出させることができるようになっている。これは、フィルターユニット40を確実に保護し、かつフィルターユニット40の清掃性を確保するためであり、フィルターユニット40の保護とメンテナンス性を両立させるための構成となっている。
【0017】
次に、掃除機本体5に吸い込まれた空気の流れを説明する。本体ケース10内に収容された電動送風機9を駆動させると、含塵空気は、ホース接続口13と本体パイプ14を経て集塵部20に取り込まれ、取り込まれた空気に含まれる塵埃は集塵部20に捕集される。集塵部20を通過した空気は、フィルターカバー30を経由してフィルターユニット40を通過し、このときに空気に含まれる塵埃がフィルターユニット40に捕集される。フィルターユニット40を通過した空気は、格子部品17を通って本体ケース10内に流入し、電動送風機9に達し、さらに図示しない内部通路を経て排気孔15から排気される。
【0018】
次に、フィルターカバー30についてさらに説明する。図12はフィルターカバー30に設けられたフック34を説明する要部断面図である。図17、図12に示すように、フィルターカバー30の後側端部、すなわちフィルターカバーの軸支持部(回動軸33と軸受け部19)の反対側の端部には、2つのフック34が設けられている。このフック34は、回動軸33により開閉可能に取り付けられたカバー本体31が開かないように、カバー本体31を本体ケース10に固定するための部材である。なお、本実施の形態1ではフック34を2つ設ける例を説明するが、フック34を1つあるいは3つ以上設けてもよい。
【0019】
フック34は、軸把持部341と、係合部342と、操作部343とを備えている。軸把持部341は、カバー本体31の後部にほぼ水平に設けられた軸部35を回動可能に把持している。係合部342は、本体ケース10の背面に設けられたフック係止部18に係合可能な突起を有しており、係合部342をフック係止部18に係合させることで、カバー本体31が本体ケース10に固定されてカバー本体31が開くのが規制される。操作部343は、ユーザが指をかけるための窪みが設けられた部位であり、軸把持部341とは反対側の端部に設けられている。本実施の形態1では、係合部342がフック係止部18に係合された状態において(図12(a))、軸把持部341が上側の端部に、操作部343が下側の端部に位置するように設けられている。
【0020】
カバー本体31を本体ケース10に固定した状態では、図12(a)に示すように、係合部342がフック係止部18に係合している。カバー本体31の本体ケース10への固定を解除する際には、操作部343に指をかけて引き上げる。このようにすると、図12(b)に示すように、軸部35を始点として軸把持部341が回転し、係合部342とフック係止部18との係合が解除されてカバー本体31を開くことができるようになる。
【0021】
さらに、操作部343に指をかけたまま引き上げると、回動可能に保持された回動軸33により、カバー本体31を開けることができる。すなわち、本実施の形態では、カバー本体31の開く方向と、フック34の固定が解除される方向とを一致させているので、フック34を解除する(開く)ときの動作の流れで、カバー本体31を開けることができる。
【0022】
以上のように本実施の形態1では、フィルターカバー30のカバー本体31の一端を、回動軸33と軸受け部19とにより構成される軸支持部により本体ケース10に回動自在に取り付けた。また、カバー本体31の他端には、カバー本体31を閉じた状態で本体ケース10に設けられたフック係止部18に係合してカバー本体31が開くのを規制するフック34を回動自在に取り付け、フック34を開くときの回動方向と、フィルターカバー30を開くときの回動方向とを同じ方向とした。このように、フック34によりカバー本体31が開くのを規制するようにしたので、固定爪による固定と比べてフィルターカバー30の保持力を向上させることができる。また、フック34を開くときの回動方向と、フィルターカバー30を開くときの回動方向とを同じ方向としたので、フック34を開くときの動作の流れでカバー本体31をも開くことができ、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0023】
実施の形態2.
本実施の形態2では、フィルターユニット40が取り付けられていないときにはフィルターカバー30が閉じないようにするための構造を説明する。図13は実施の形態2に係る電気掃除機の要部断面図、図14はフィルターユニット40を取り外した状態を示す要部断面図、図15はフィルターユニット40を取り付ける際の動作を説明する要部断面図である。なお、本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0024】
図13〜図15に示すように、本実施の形態2に係る電気掃除機は、フィルターストッパー50を備えている。フィルターストッパー50は、回動軸Pを中心に、矢印Qの方向に図示しないバネ等により付勢されている。このフィルターストッパー50は、フィルター当接部51、爪部52、干渉部53とを備えている。
【0025】
フィルター当接部51は、図13に示すようにフィルターユニット40を取り付けた状態において、フィルターユニット40の背面に縦方向に沿うように接する。爪部52は、フィルター当接部51の下端部から本体ケース10の前方内側に向かってほぼ直角に伸びており、フィルターユニット40を取り付けた状態ではフィルターユニット40の底面に接する。干渉部53は、フィルター当接部51の上端部から本体ケース10の後斜め上外側に向かって伸びている。
【0026】
図14に示すように、フィルターユニット40が取り付けられていないときには、バネで付勢されたフィルターストッパー50が矢印Qの方向に回動し、干渉部53が本体ケース10の背面よりも外側に飛び出す。このため、フィルターカバー30を閉じようとしても、この干渉部53が本体ケース10の上端部に載っているためにフィルターカバー30を閉じることができない。
【0027】
図15に示すように、フィルターユニット40を取り付ける際には、爪部52にフィルターユニット40の後側の下端部を載置するようにして、フィルターユニット40を押し下げる。そうすると、フィルターユニット40に爪部52が押されてフィルターストッパー50は矢印Rの方向に回動し、これに伴って干渉部53は本体ケース10の内側に戻る。このようにしてフィルターユニット40を取り付けると、フィルターカバー30を閉めることができる。
【0028】
以上のように、本実施の形態2に係る電気掃除機は、フィルターユニット40が取り付けられていないときにはフィルターカバー30が閉じるのを妨げるフィルターストッパー50を備えたので、フィルターユニット40の取り付け忘れを防止することができる。
【0029】
また、本実施の形態2に係る電気掃除機は、フィルターカバー30の上側に、集塵部20を取り付ける構成となっている。このため、フィルターユニット40が取り付けられていないためにフィルターカバー30を閉めることができなければ、集塵部20を取り付けることもできない。したがって、フィルターユニット40が取り付けられていない状態で吸引するのを防ぐことができる。フィルターユニット40が取り付けられていない状態で電動送風機9を駆動すると、吸気中に含まれる塵埃が電動送風機9に吸い込まれうるが、本実施の形態2ではそのような事態を回避でき、電動送風機9の故障を抑制することができる。
【0030】
実施の形態3.
本実施の形態3では、フィルターカバー30を本体ケース10に回動可能に保持している軸支持部について説明する。図16はフィルターカバー30を開けた状態の掃除機本体5の要部斜視図、図17はフィルターカバー30を取り外した状態の分解図である。なお、本実施の形態3では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0031】
図16、図17に示すように、フィルターカバー30には、電気部品60が取り付けられている。すなわち、この電気部品60は、電源回路等の各種制御基板が収容された本体ケース10の外側であるフィルターカバー30に、取り付けられている。本実施の形態3では、フィルターカバー30に設けられた開口部に電気部品60が設置されていて、フィルターカバー30の上面側に電気部品60のリード線接続端子62が設けられている。この電気部品60は、電力を供給されて動作する任意の部品であり、例えば、フィルターユニット40に向けてオゾンを発生させ、このオゾンによりフィルターユニット40の脱臭・殺菌を行うオゾン発生装置である。そして、電気部品60に電力を供給するためのリード線61が、本体ケース10からフィルターカバー30まで延びている。
【0032】
次に、本体ケース10にフィルターカバー30を回動可能に支持する軸支持部の構成について説明する。フィルターカバー30には、回動軸33Aが横方向外側に向かって延びている。この回動軸33Aは、中空であり、フィルターカバー30の上面に設けられた配線室37に通じている。配線室37は、電気部品60のリード線接続端子62を収容する空間である。配線室37にはリード線カバー38が被せられていて、このリード線カバー38が被せられた状態ではリード線61が露出しないようになっている。
【0033】
本体ケース10の上面には、回動軸33Aを回動可能に支持する軸受け部19が形成されている。軸受け部19は、回動軸33Aを嵌合可能な内腔を有していて、この内腔は本体ケース10の内部と通じている。
【0034】
図18は、本体ケース10の軸受け部19とフィルターカバー30の回動軸33Aとを中心に示す要部断面模式図である。図18に示すように、本体ケース10内の電源回路(図示せず)に接続された電気部品60のリード線61は、軸受け部19を介して、フィルターカバー30の中空の回動軸33Aの中を通り、配線室37内の電気部品60に接続されている。
【0035】
フィルターカバー30を開閉すると、回動軸33Aが回動する。このとき、本体ケース10内からフィルターカバー30へと延びているリード線61が屈曲するが、本実施の形態3では、中空の回動軸33A内部を貫通している部分全体でリード線61が屈曲することとなる。すなわち、リード線61の図18に示すX部分全体で、フィルターカバー30の開閉時の屈曲を受けることとなり、屈曲を受ける部分が集中しない。
【0036】
電源回路等が収容された本体ケース10の外側に電気部品60を設ける場合、この電気部品60への電力供給路を設ける必要がある。例えば、配線室37の底部(本体ケース10の上面と接している部分)にリード線61を引き込むための穴を開けるなどして、本体ケース10内から配線室37へ直接リード線61を引き込むとすると、フィルターカバー30を開閉するとリード線61を引き込んだ穴の部分でリード線61が常に屈曲するので、リード線61が断線しやすくなってしまう。
しかし、本実施の形態3によれば、フィルターカバー30に中空の回動軸33Aを設けるとともに本体ケース10に回動軸33Aを嵌合させて支持する軸受け部19を設け、中空の回動軸33Aと軸受け部19とにリード線を通してフィルターカバー30に取り付けられた電気部品60に電力を供給可能とした。このため、フィルターカバー30を開閉したときにリード線61の屈曲を受ける部分が分散されるため、フィルターカバー30の開閉を繰り返してもリード線61が断線しにくく、リード線61の屈曲寿命を長くすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 吸込具、2 延長パイプ、3 手元ホース、4 ホース、5 掃除機本体、6 車輪、7 電源コード、8 操作スイッチ、9 電動送風機、10 本体ケース、11 下ケース、12 上ケース、13 ホース接続口、14 本体パイプ、15 排気孔、16 吸引開口部、17 格子部品、17a フィルターネット、18 フック係止部、19 軸受け部、20 集塵部、30 フィルターカバー、31 カバー本体、32 連通口、33 回動軸、33A 回動軸、34 フック、35 軸部、37 配線室、38 リード線カバー、40 フィルターユニット、41 1次フィルター、42 2次フィルター、50 フィルターストッパー、51 フィルター当接部、52 爪部、53 干渉部、60 電気部品、61 リード線、62 リード線接続端子、100 電気掃除機、341 軸把持部、342 係合部、343 操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を発生する電動送風機と、
前記電動送風機を内蔵する本体ケースと、
前記電動送風機により吸引された空気に含まれる塵埃を捕集する集塵部と、
前記集塵部の下流側に設けられて塵埃を捕集するフィルターと、
前記フィルターを開閉可能に覆うフィルターカバーとを備え、
前記フィルターカバーの一端は、軸支持部により前記本体ケースに回動自在に取り付けられ、
前記フィルターカバーの他端には、前記フィルターカバーを閉じた状態で前記本体ケースに設けられた被係合部に係合して前記フィルターカバーが開くのを規制する係止フックを回動自在に取り付け、
前記係止フックを開くときの回動方向と、前記フィルターカバーを開くときの回動方向とを同じ方向とした
ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記フィルターが取り付けられていないときには、前記フィルターカバーが閉じるのを妨げるストッパーを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記フィルターカバーは、前記集塵部の出口との連通口を備えていて前記集塵部と前記電動送風機とを繋ぐ風路を形成しており、
前記集塵部を、前記フィルターカバーの上側に配置した
ことを特徴とする請求項2記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記集塵部は、前記本体ケースに着脱可能に取り付けられており、
前記フィルターカバーは、前記集塵部の出口と前記フィルターとの間に介在しているとともに、前記集塵部と前記フィルターとを連通可能な連通口を備えていて、
前記集塵部を前記本体ケースから取り外した状態で、前記フィルターカバーを開いて前記フィルターを露出させることができる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記軸支持部は、前記フィルターカバーと前記本体ケースのうち一方に設けられた中空の回動軸と、他方に設けられ前記回動軸を嵌合させて支持する軸受け部とを備え、
前記中空の回動軸と前記軸受け部とにリード線を通し、前記フィルターカバーに取り付けられた電気部品に電力を供給可能とした
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項6】
吸引力を発生する電動送風機と、
前記電動送風機を内蔵する本体ケースと、
前記電動送風機により吸引された空気に含まれる塵埃を捕集する集塵部と、
前記集塵部の下流側に設けられて塵埃を捕集するフィルターと、
軸支持部により前記本体ケースに回動自在に取り付けられ、前記フィルターを開閉可能に覆うフィルターカバーとを備え、
前記軸支持部は、前記フィルターカバーと前記本体ケースのうち一方に設けられた中空の回動軸と、他方に設けられ前記回動軸を嵌合させて支持する軸受け部とを備え、
前記中空の回動軸と前記軸受け部とにリード線を通し、前記フィルターカバーに取り付けられた電気部品に電力を供給可能とした
ことを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−245210(P2011−245210A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123960(P2010−123960)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】