説明

電気掃除機

【課題】除電や凝集の対象とするごみや風路壁面にイオンを確実に届けることができる電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸引風を発生させる送風機16と、送風機16を内蔵した筐体10と、吸引風により含塵空気を吸い込む吸込口体9と、含塵空気の中からごみを捕集する集塵部20と、吸込口体9と集塵部20とを連通する吸引風路12と、送風機16よりも上流側にイオンを放出するイオン生成手段38と、イオン生成手段38を格納したケース体37と、を備え、ケース体37の少なくとも一部は、筐体10内で送風機16よりも下流側に配置されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機においては、ごみと掃除機内の風路とが接触する。この際、ごみと風路壁面との帯電列上の位置に起因して、ごみが正及び負の少なくとも一方に帯電する。帯電したごみは、集塵部に捕集される際に電気力によって集塵部の内面に付着する。このため、ごみを集塵部から捨てる際、ごみの滑落性が悪くなる。
【0003】
これに対し、集塵部内にイオンを放出する電気掃除機が提案されている。この電気掃除機によれば、ごみや風路壁面を除電することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、集塵部よりも上流側にイオンを放出する装置も提案されている。この装置によれば、ごみはイオンにより事前に凝集される。凝集したごみは、集塵部に捕集される。これにより、集塵部の集塵効率を高めることができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−015881号公報
【特許文献2】特表昭59−502059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2においては、イオンが途中の経路で消失し得る。この場合、イオンがごみや風路壁面に十分に行き届かない。すなわち、除電や凝集の効果が十分でない。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、除電や凝集の対象とするごみや風路壁面にイオンを確実に届けることができる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る電気掃除機は、吸引風を発生させる送風機と、前記送風機を内蔵した筐体と、前記吸引風により含塵空気を吸い込む吸込口体と、前記含塵空気の中からごみを捕集する集塵部と、前記吸込口体と前記集塵部とを連通する吸引風路と、前記送風機よりも上流側にイオンを放出するイオン生成手段と、前記イオン生成手段を格納したケース体と、を備え、前記ケース体の少なくとも一部は、前記筐体内で前記送風機よりも下流側に配置されたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、除電や凝集の対象とするごみや風路壁面にイオンを確実に届けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1における電気掃除機の斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1における電気掃除機の本体の斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1における電気掃除機の本体の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における電気掃除機の本体の側面図である。
【図5】図3のA−A線における断面図である。
【図6】図3のB−B線における断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1における電気掃除機の集塵部の縦断面図である。
【図8】図7のC−C線における断面図である。
【図9】図7のD−D線における断面図である。
【図10】図7のE−E線における断面図である。
【図11】この発明の実施の形態1における電気掃除機の本体筐体の平面図である。
【図12】図11から上筐体を取り外した状態を示す平面図である。
【図13】図11のF−F線における断面図である。
【図14】図4のG−G線における断面図である。
【図15】この発明の実施の形態1における電気掃除機のイオン生成手段の斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態2における電気掃除機のイオン生成手段の斜視図である。
【図17】この発明の実施の形態3における電気掃除機のイオン生成手段の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
実施の形態1.
まず、図1を用いて、電気掃除機の概要を説明する。
図1はこの発明の実施の形態1における電気掃除機の斜視図である。
【0013】
図1において、1はサイクロン方式の掃除機本体である。掃除機本体1の後部両側には、車輪2が設けられる。掃除機本体1の後部には、コードリール部(図示せず)が設けられる。コードリール部には、電源コード3が巻き付けられる。
【0014】
掃除機本体1の前部には、サクションホース4の一端が接続される。サクションホース4は、可撓性を有するように蛇腹状に形成される。サクションホース4の他端には、接続パイプ5の一端が接続される。接続パイプ5は、中途にて若干折れ曲がるように形成される。接続パイプ5には、取手6が設けられる。取手6には、操作スイッチ7が設けられる。接続パイプ5の他端には、吸引パイプ8の一端が接続される。吸引パイプ8は、円筒状に真っ直ぐに形成される。吸引パイプ8の他端には、吸込口体9が接続される。
【0015】
次に、図2〜図6を用いて、掃除機本体1を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における電気掃除機の本体の斜視図である。図3はこの発明の実施の形態1における電気掃除機の本体の平面図である。図4はこの発明の実施の形態1における電気掃除機の本体の側面図である。図5は図3のA−A線における断面図である。図6は図3のB−B線における断面図である。
【0016】
図2に示すように、掃除機本体1の下部には、本体筐体10が配置される。本体筐体10は、下筐体10aと上筐体10bとからなる。下筐体10aは、本体筐体10の下部に配置される。上筐体10bは、本体筐体10の上部に配置される。
【0017】
図2に示すように、本体筐体10の前部には、吸引口11が形成される。図2〜4に示すように、本体筐体10の一側には、吸引風路12が設けられる。図3に示すように、本体筐体10の他側には、排気口13が設けられる。
【0018】
図5と図6とに示すように、下筐体10aと上筐体10bとの間には、空間が形成される。図6に示すように、本体筐体10の他側の後方上部には、排出風路14が形成される。排出風路14の下方には、吸気フィルタ15が配置される。吸気フィルタ15の下方には、電動送風機16が配置される。電動送風機16の前方には、排気フィルタ17が配置される。排気フィルタ17の前方には、排気空間18が形成される。排気空間18の下部には、電源基板19が設けられる。
【0019】
図2に示すように、掃除機本体1の上部には、集塵部20が設けられる。集塵部20は、本体筐体10の上部に着脱自在に取り付けられる。例えば、図2、図5に示すように、集塵部20の一側には、一次サイクロン分離装置20aが設けられる。例えば、図2、図6に示すように、集塵部20の他側には、二次サイクロン分離装置20bが設けられる。
【0020】
次に、図7〜図10を用いて、集塵部20をより具体的に説明する。
【0021】
図7はこの発明の実施の形態1における電気掃除機の集塵部の縦断面図である。図8は図7のC−C線における断面図である。図9は図7のD−D線における断面図である。図10は図7のE−E線における断面図である。
【0022】
図7に示すように、一次サイクロン分離装置20aの外面には、一次流入口21が形成される。図8に示すように、一次流入口21には、一次旋回室22の一次円筒部22aの接線側が接続される。図7に示すように、一次円筒部22aの下方には、一次円錐部22bが連結される。一次円錐部22bの下方には、一次開口部23が形成される。一次円錐部22bの周りには、一次集塵室24が形成される。
【0023】
図7に示すように、一次円筒部22aの中央には、一次排出口25が形成される。一次排出口25の下方は円錐体25aからなる。一次排出口25の上方は円筒体25bからなる。円筒体25bの上方には、一次排出管26が連結される。
【0024】
図7に示すように、二次サイクロン分離装置20bの上部には、二次流入口27が形成される。図9に示すように、二次流入口27は、一次排出管26に連結される。二次流入口27には、二次旋回室28の二次円筒部28aの接線方向が接続される。図7に示すように、二次円筒部28aの下方には、二次円錐部28bが連結される。二次円錐部28bの下方には、二次開口部29が形成される。二次開口部29の下方には、二次集塵室30が連結される。二次円錐部28bの周りには、0次集塵室31が形成される。
【0025】
図7に示すように、二次円筒部28aの中央には、二次排出口32が形成される。二次排出口32の上方には、二次排出管33が連結される。
【0026】
図7に示すように、一次サイクロン分離装置20aと二次サイクロン分離装置20bとは、隔壁34等によって区切られる。ただし、図10に示すように、一次円筒部22aと0次集塵室31との間には、0次開口部35が形成される。図7に示すように、一次集塵室24と0次集塵室31との間には、連通部36が形成される。
【0027】
次に、図1を用いて、掃除機本体1がごみを吸引する際の含塵空気の流れを説明する。
掃除機本体1は、電源コード3が外部電源に接続されることで通電する。この状態で操作スイッチ7が操作されると、電動送風機16(図1においては図示せず)は、所定の吸引風を発生させる。この吸引風により、吸込口体9は、床面上のごみと周囲の空気を含塵空気として吸い込む。
【0028】
当該含塵空気は、吸引パイプ8、接続パイプ5、サクションホース4を介して、掃除機本体1に流入する。すなわち、吸込口体9、吸引パイプ8、接続パイプ5、サクションホースは、含塵空気を掃除機本体1に流入させるための経路の一部となる。
【0029】
次に、図11を用いて、本体筐体10から集塵部20までの含塵空気の流れを説明する。
図11はこの発明の実施の形態1における電気掃除機の本体筐体の平面図である。
図11に示すように、本体筐体10内においては、含塵空気は、吸引口11、吸引風路12を介して、集塵部20の一次サイクロン分離装置20a(図11においては図示せず)に到達する。
【0030】
次に、図7を用いて、集塵部20がごみを捕集する際の動作を説明する。
本体筐体10から到達した含塵空気は、一次旋回室22で旋回する。この旋回により、当該含塵空気からごみが遠心分離される。当該ごみは、0次集塵室31又は一次集塵室24に捕集される。
【0031】
ごみと分離された含塵空気は、一次排出口25、一次排出管26を介して、二次流入口27に到達する。当該含塵空気は、二次旋回室28で旋回する。この旋回により、当該含塵空気から微細塵が遠心分離される。当該微細塵は、二次集塵室30に捕集される。微細塵と分離された空気は、二次排出口32、二次排出管33を介して、本体筐体10(図7においては図示せず)へ排出される。
【0032】
次に、図6を用いて、本体筐体10から排出される空気の流れを説明する。
集塵部20から排出された空気は、排出風路14に到達する。当該空気は、吸気フィルタ15、電動送風機16を通過する。このとき、電動送風機16のコイル部(図示せず)に流れる電流により当該コイル部が発熱している。この発熱により、当該空気の温度が上昇する。温度上昇した空気は、排気フィルタ17、排気空間18、排気口13を順に経て、本体筐体10の外部に排出される。
【0033】
次に、図12〜図15を用いて、吸引風路12にイオンを放出する構造を説明する。
図12は図11から上筐体を取り外した状態を示す平面図である。図13は図11のF−F線における断面図である。図14は図4のG−G線における断面図である。図15はこの発明の実施の形態1における電気掃除機のイオン生成手段の斜視図である。
【0034】
図12に示すように、本体筐体10の前方では、吸引風路12の上部に近接して、ケース体37が設けられる。図13と図14とに示すように、ケース体37は、上ケース37aと下ケース37bとからなる。上ケース37aの上部には、取込口37cが設けられる。下ケース37bの下部には、放出口37dが設けられる。図13に示すように、ケース体37の少なくとも一部は、排気空間18に露出する。
【0035】
図13と図14とに示すように、上ケース37aと下ケース37bとの間には、イオン生成手段38が設けられる。イオン生成手段38は、フレーム38a、支持体38b、放電電極38cを備える。
【0036】
図15に示すように、フレーム38aは、角筒状に形成される。支持体38bは、板状に形成される。支持体38bは、フレーム38a内の一面に固定される。放電電極38cは、針状に形成される。放電電極38cは、支持体38bの一縁部に支持される。この際、支持体38bの肉厚方向中心の平面は、放電電極38cの軸心を通過する。
【0037】
本実施の形態においては、図13と図14とに示すように、取込口37cと放出口37dとを結ぶ平面と放電電極38cの延設方向とが略平行となるように、イオン生成手段38が電源基板19(図13と図14とにおいては図示せず)に近接して配置される。具体的には、放電電極38cの根元側は、取込口37c側に配置される。これに対し、放電電極38cの先端側は、放出口37d側に配置される。
【0038】
このイオン生成手段38においては、高電圧が放電電極38cに印加されると、放電電極38cの先端から大気中に向けて放電が発生する。この放電により、集中電界が発生する。
【0039】
当該集中電界内においては、空気分子から外郭電子が奪われる。その結果、当該空気分子は、正イオンになる。これに対し、当該空気分子から離脱した電子は、別の空気分子に捕獲される。その結果、別の空気分子は、負イオンになる。
【0040】
放電電極38cに印加される電圧が正である場合、正イオンは、放電電極38cに反発される。その結果、正イオンは、イオン風として、放電電極38cの延設方向に放電電極38cの先端から広がって離れるように、自由空間(集中電界外の空間)に放出される。これに対し、放電電極38cに印加される高電圧が負である場合、負イオンは、放電電極38cに反発される。その結果、負イオンは、イオン風として、放電電極38cの延設方向に放電電極38cの先端から広がって離れるように、自由空間に放出される。
【0041】
一方、含塵空気は、ケース体37、吸引風路12、集塵部20等の風路を通過する際に各内壁面と接触する。この際、含塵空気と各内壁面との帯電列上の位置に起因して、各内壁面が帯電する。例えば、帯電列において内壁面が含塵空気よりも正側の場合、該内壁面は正に帯電する。これに対し、含塵空気は負に帯電する。
【0042】
そこで、本実施の形態においては、ケース体37の内壁面、吸引風路12の内壁面、集塵部20の内壁面を、帯電列において含塵空気よりもイオン側にある材料で形成した。このため、イオンが正イオンである場合は、これらの内壁面は、帯電列において含塵空気よりも正側になる。これに対し、イオンが負イオンである場合は、これらの内壁面は、帯電列において含塵空気よりも負側になる。
【0043】
その結果、これらの内壁面は、イオンと同極性に帯電する。この帯電により、イオンが電気力により内壁面に吸着されることを防止できる。すなわち、吸引風路12へのイオンの放出効率が高まる。
【0044】
以上で説明した実施の形態1によれば、ケース体37の内壁面、吸引風路12の内壁面、集塵部20の内壁面は、帯電列において含塵空気よりもイオン側にある。このため、ごみにイオンを確実に届けることができる。その結果、ごみを確実に凝集させることができる。
【0045】
なお、ケース体37の内壁面、吸引風路12の内壁面、集塵部20の内壁面のうち少なくとも一つを、帯電列において含塵空気よりもイオン側にあるようにしてもよい。さらには、各内壁面の一部分でも、帯電列において含塵空気よりもイオン側にあるようにしてもよい。この場合も、イオンが電気力により当該部分に吸着されることを防止できる。
【0046】
ただし、除電の対象とする内壁面は、イオンが電気力により内壁面に吸着されることを促進すべきである。このため、当該内壁面は、帯電列において含塵空気よりもイオン側にないようにすべきである。
【0047】
また、吸引風路12の内壁面を、帯電列において集塵部20よりもイオン側にあるようにしてもよい。この場合、集塵部20よりも吸引風路12の方がより強くイオンと同極性に帯電する。その結果、吸引風路12から集塵部20に向かって、イオンと同極性の電気力線が形成される。このため、イオンは、電気力によって集塵部20に到達しやすくなる。
【0048】
また、ケース体37の内壁面を、帯電列において吸引風路12よりもイオン側にあるようにしてもよい。この場合、吸引風路12よりもケース体37の方がより強くイオンと同極性に帯電する。その結果、ケース体37から吸引風路12に向かって、イオンと同極性の電気力線が形成される。このため、イオンは、電気力によって吸引風路12に放出されやすくなる。
【0049】
また、ケース体37の少なくとも一部は、排気空間18内に露出する。このため、ケース体37内が高温となる。これにより、イオンのブラウン運動が活発になる。その結果、集中電界内において、イオン化した空気が放電電極38cの近傍に漂いやすくなる。このため、イオンは、放電電極38cの反発力を受けやすくなる。その結果、イオンは、自由空間に放出されやすくなる。
【0050】
さらに、放出されたイオンのブラウン運動も活発になる。その結果、イオンは、効率よく放出口37dを介して吸引風路12内に放出される。このため、イオンは、ごみ、吸引風路12、集塵部20等の内壁面に行き届きやすくなる。その結果、対象物の除電や凝集を効率良く行うことができる。
【0051】
また、ケース体37の温度上昇により、ケース体37内部での電荷の移動、ケース体37の内壁面が空気と接触する際の電荷の移動も活発になる。その結果、ケース体37の内壁面の帯電が促進される。このため、イオンは、より効率的に電気力によって吸引風路12により効率的に放出される。
【0052】
また、ケース体37の温度上昇には、電動送風機16からの排気の熱が利用される。すなわち、別途加熱源を備える必要がない。このため、構造の簡素化、コストの低減を図ることができる。
【0053】
さらに、イオン生成手段38は、電源基板19に近接して設けられる。このため、イオン生成手段38への電源線の引き回しを簡素化することができる。
【0054】
なお、吸引風路12や集塵部20の少なくとも一部を排気空間18内に露出させても、同様な効果を得ることができる。
【0055】
また、電動送風機16からの排気の一部は、取込口37cを介してケース体37内に取り込まれる。このため、イオン生成手段38付近の空気温度を効率的に上昇させることができる。また、ケース体37内にイオン化済み空気が充満することを防止できる。このため、イオンの放出効率をさらに高めることができる。また、放電電極38cへのごみの付着を抑制することができる。このため、これらの放電電極38cの寿命を延ばすことができる。この際、電動送風機16からの排気は、排気フィルタ17により清浄化される。このため、イオン生成効率をさらに高めることができる。
【0056】
また、吸引口11は、本体筐体10の前方に設けられる。電動送風機16は、本体筐体10の後方に設けられる。電動送風機16は、本体筐体10の前方に排気する。その結果、イオン生成手段38を吸引風路12に近接して設けることができる。このため、イオン生成手段38と吸引風路12との間の経路でイオンが消失することを防止できる。また、掃除機本体1を小さくすることができる。
【0057】
また、イオン生成手段38は、集塵部20よりも上流側にイオンを放出する。このため、集塵部20を除電して、集塵部20の内壁面へのごみの付着を抑制することができる。その結果、ごみを捨てる際に、ごみの滑落性を向上することができる。すなわち、電気掃除機の使い勝手を良くすることができる。また、イオンと逆電荷のごみ同士を電気力で凝集することができる。このため、集塵部20の集塵効率を向上することができる。
【0058】
なお、イオン生成手段38から放出するイオンを、ごみと逆電荷のイオンとしてもよい。この場合、ごみの凝集効果が高まる。このため、集塵部20での集塵性能をさらに向上させることができる。
【0059】
また、取込口37cと放出口37dとを結ぶ平面と放電電極38cの延設方向とが略平行となる。具体的には、放電電極38cの根元側は、取込口37c側に配置される。これに対し、放電電極38cの先端側は、放出口37d側に配置される。このため、ケース体37内の空気の流れは、放電電極38cの延設方向におおよそ一致する。これにより、イオン風と取込口37cからの空気の流れが干渉することを防止できる。その結果、イオン風と空気の流れとの相乗効果により、イオンを吸引風路12に効率良く放出することができる。すなわち、ケース体37内におけるイオン化済み空気の充満を防ぎ、イオンの放出効率を高めることができる。
【0060】
さらに、取込口37cからの空気の流れにより、放電電極38cにごみが付着することを防止できる。このため、イオン生成手段38の性能が劣化することを防止できる。また、放電電極38cに沿って空気を流すことで、放電電極38cが破損することを防止できる。
【0061】
また、支持体38bの肉厚方向中心の平面は、放電電極38cの軸心を通過する。このため、支持体38bは、取込口37cから放出口37dまでの空気の流れを妨げない。このため、イオンを吸引風路12に効率良く放出することができる。
【0062】
実施の形態2.
図16はこの発明の実施の形態2における電気掃除機のイオン生成手段の斜視図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
実施の形態2のイオン生成手段38は、実施の形態1のイオン生成手段38に対向電極38dを付加したものである。対向電極38dは、放電電極38cの針先端から放電電極38cの延設方向に距離を置いた位置に設けられる。これにより、放電電極38cの先端からの放電強度が増す。
【0064】
以上で説明した実施の形態2によれば、対向電極38dは、放電電極38cの先端から放電電極38cの延設方向に距離を置いて配置される。このため、イオン風の方向は、放電電極38cの延設方向と略一致する。これにより、イオン風の方向と取込口37cからの空気の流れとが干渉することを防止できる。その結果、イオン風と空気の流れとの相乗効果により、イオンを吸引風路12に効率良く放出することができる。すなわち、ケース体37内におけるイオン化済み空気の充満を防ぎ、イオンの放出効率を高めることができる。
【0065】
実施の形態3.
図17はこの発明の実施の形態3における電気掃除機のイオン生成手段の斜視図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
実施の形態3のイオン生成手段38は、実施の形態1のイオン生成手段38に対向電極38dを付加したものである。対向電極38dは、支持体38bの両側から支持体38bから支持体38bの肉厚中心方向に延設される。その結果、対向電極38dは、放電電極38cの軸心に対して対称に、放電電極38cの両側に配置される。
【0067】
本実施の形態においては、図17に示すように、放電電極38cの先端から両対向電極38dの先端に向かって放電される。この場合、イオン風の主方向は、両側の対向電極38dへの放電方向をベクトル加算した方向となる。すなわち、イオン風の主方向は、放電電極38cの延設方向となる。
【0068】
以上で説明した実施の形態3によれば、対向電極38dは、放電電極38cの両側に配置される。このため、放電強度を高めつつ、対向電極38dにより取込口37cからの空気の流れおよびイオン風を乱すことがない。これにより、イオンを吸引風路12に効率良く放出することができる。すなわち、ケース体37内におけるイオン化済み空気の充満を防ぎ、イオンの放出効率を高めることができる。
【0069】
なお、上述した実施の形態1〜3の電気掃除機においては、サイクロン式の集塵方式であった。しかしながら、例えば、紙パックやフィルタといった集塵方式の電気掃除機においても、上記同様の効果を奏することができる。また、電気掃除機を実施の形態1〜3のキャニスタータイプのものに限定する必要もない。
【0070】
また、イオンを放出する「吸引風路」として、吸込口体9、吸引パイプ8、接続パイプ5、サクションホース4等を選定してもよい。この場合、イオンが電気力により吸込口体9、吸引パイプ8、接続パイプ5、サクションホース4等の内壁面に吸着されることを防止できる。
【0071】
なお、実施の形態1〜3において、各部品間のシール構造およびロック構造によってイオンの放出経路を妨げないようにすることが望ましい。
【符号の説明】
【0072】
1 掃除機本体
2 車輪
3 電源コード
4 サクションホース
5 接続パイプ
6 取手
7 操作スイッチ
8 吸引パイプ
9 吸込口体
10 本体筐体
10a 下筐体
10b 上筐体
11 吸引口
12 吸引風路
13 排気口
14 排出風路
15 吸気フィルタ
16 電動送風機
17 排気フィルタ
18 排気空間
19 電源基板
20 集塵部
20a 一次サイクロン分離装置
20b 二次サイクロン分離装置
21 一次流入口
22 一次旋回室
22a 一次円筒部
22b 一次円錐部
23 一次開口部
24 一次集塵室
25 一次排出口
25a 円錐体
25b 円筒体
26 一次排出管
27 二次流入口
28 二次旋回室
28a 二次円筒部
28b 二次円錐部
29 二次開口部
30 二次集塵室
31 0次集塵室
32 二次排出口
33 二次排出管
34 隔壁
35 0次開口部
36 連通部
37 ケース体
37a 上ケース
37b 下ケース
37c 取込口
37d 放出口
38 イオン生成手段
38a フレーム
38b 支持体
38c 放電電極
38d 対向電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発生させる送風機と、
前記送風機を内蔵した筐体と、
前記吸引風により含塵空気を吸い込む吸込口体と、
前記含塵空気の中からごみを捕集する集塵部と、
前記吸込口体と前記集塵部とを連通する吸引風路と、
前記送風機よりも上流側にイオンを放出するイオン生成手段と、
前記イオン生成手段を格納したケース体と、
を備え、
前記ケース体の少なくとも一部は、前記筐体内で前記送風機よりも下流側に配置された電気掃除機。
【請求項2】
前記ケース体は、前記送風機よりも下流側に配置された位置に、前記送風機からの排気を取り込むための取込口を有する請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記送風機からの排気を清浄化するフィルタ、
を備えた請求項2記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記筐体は、前記吸込口体と接続する吸引口を前部に有し、
前記送風機は、前記筐体の後部に設けられ、前記筐体の前方に排気する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記イオン生成手段は、前記集塵部よりも上流側にイオンを放出する請求項1〜4のいずれかに記載の電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−228454(P2012−228454A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99860(P2011−99860)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【特許番号】特許第5018983号(P5018983)
【特許公報発行日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】