説明

電気掃除機

【課題】空気を清浄化する物質を機外へ放出させることができる構成において、使い勝手の向上を図ることができる電気掃除機を提供すること。
【解決手段】掃除機本体2には、電動送風機9と、電解水ミストを生成する(電解水ミスト)生成ユニット20とが内蔵されている。生成ユニット20は、電動送風機9の排気の圧力によって電解水ミストを噴出させる。電動送風機9の運転は、排気の圧力が大きい強運転と、排気の圧力が小さい弱運転とに切り替え可能である。強弱スイッチ101を操作することで、電動送風機9の運転を選択でき、ミストスイッチ50を操作することで、生成ユニット20の運転を開始できる。ミストスイッチ50が操作されてから所定時間が経過するまでは、制御部100が、電動送風機9を強運転で運転させ、前記所定時間が経過すると、電動送風機9を、強弱スイッチ101で選択された運転で運転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気を清浄化する物質を放出する装置を内蔵した電気掃除機が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電気掃除機には、空気処理装置が内蔵されている。空気処理装置は、マイナスイオンを発生させて機外(室内)へ放出する。マイナスイオンが室内を浮遊している塵埃に付着して落下することで塵埃が除去され、これにより、室内の空気が清浄化される。
【0003】
この空気処理装置は、マイナスイオン化すべき気体を空気ポンプで供給する気体供給装置と、気体供給装置によって供給された気体をマイナスイオン化させて機外へ放出するマイナスイオン化装置とを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−288453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電気掃除機では、空気ポンプが気体を供給する勢いによって、マイナスイオンを機外へ放出させている。つまり、特許文献1では、空気を清浄化する物質(マイナスイオン)を機外へ放出させるために、空気ポンプを電気掃除機に備えねばならず、これにより、電気掃除機の構成の複雑化が懸念される。
そこで、電気掃除機に内蔵された電動送風機の排気の圧力によって前記物質を機外へ放出することが考えられる。
【0006】
ここで、電動送風機の吸引力(換言すれば、電動送風機の排気の圧力)は、一般的に可変である。この場合、排気の圧力が大きいときには、早いタイミングで前記物質が放出され、逆に、排気の圧力が小さいときには、遅れたタイミングで前記物質が放出されるのでは、ユーザにとって、違和感があって、使い勝手が悪い。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、空気を清浄化する物質を機外へ放出させることができる構成において、使い勝手の向上を図ることができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、電動送風機が内蔵され、一側面に電解水ミストの噴出口が設けられた掃除機本体と、前記掃除機本体に内蔵され、前記噴出口から電解水ミストを噴出させるために電解水ミストを生成する電解水ミスト生成ユニットとを備え、前記電解水ミスト生成ユニットは、内部に水を溜めることができ、連結路を介して前記電動送風機に結合されており、前記電動送風機の排気の一部を前記連結路によって内部に取り込むことができるタンクと、前記タンクの水を電気分解して電解水とするための電極と、多数の貫通孔が形成された板状であって、一方の側面が前記タンク内に連通して他方の側面が前記噴出口を介して前記掃除機本体の一側面から露出された状態で前記タンクに取り付けられており、電圧パルスが印加されることにより、前記タンク内に取り込まれた排気の圧力によって供給された電解水から電解水ミストを発生させて前記貫通孔から噴出させるための超音波振動子と、を含み、前記電動送風機の運転は、排気の圧力が相対的に大きい強運転と、排気の圧力が相対的に小さい弱運転とに切り替え可能であり、前記電動送風機の運転を選択するために操作される選択操作部と、前記電解水ミスト生成ユニットの運転を開始するために操作される開始操作部と、前記開始操作部が操作されてから所定時間が経過するまでは、前記電動送風機を前記強運転で運転させ、前記所定時間が経過すると、前記電動送風機を、前記選択操作部で選択された運転で運転させる運転制御手段と、を含むことを特徴とする、電気掃除機である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記超音波振動子に電圧パルスを印加する印加手段と、前記開始操作部が操作されてから前記所定時間が経過するまでは、前記印加手段による電圧パルスの印加を禁止する禁止手段と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、電気掃除機は、電動送風機が内蔵されて一側面に電解水ミストの噴出口が設けられた掃除機本体と、掃除機本体に内蔵され、噴出口から電解水ミストを噴出させるために電解水ミストを生成する電解水ミスト生成ユニットとを備えている。
電解水ミスト生成ユニットは、内部に水を溜めることができるタンクと、タンクの水を電気分解して電解水とするための電極と、電解水から電解水ミストを生成する超音波振動子とを含んでいる。超音波振動子は、多数の貫通孔が形成された板状であって、一方の側面がタンク内に連通して他方の側面が噴出口を介して掃除機本体の一側面から露出された状態でタンクに取り付けられている。タンクは、連結路を介して電動送風機に結合されており、これによって、電動送風機の排気の一部が連結路によってタンクの内部に取り込まれる。タンク内に取り込まれた排気の圧力によって、タンク内の電解水が超音波振動子に供給される。超音波振動子は、電圧パルスが印加されることによって、供給された電解水から電解水ミストを発生させ、タンク内に取り込まれた排気の圧力によって電解水ミストを貫通孔から噴出させる。噴出された電解水ミストは、掃除機本体の噴出口から機外に放出されて、室内を除菌および消臭する。
【0010】
電動送風機の運転は、排気の圧力が相対的に大きい強運転と、排気の圧力が相対的に小さい弱運転とに切り替え可能である。前述したように、タンク内に取り込まれた排気の圧力によってタンク内の電解水が超音波振動子に供給されることから、電動送風機の運転が強運転および弱運転のいずれであるかに応じて、タンク内の電解水が超音波振動子に供給されるタイミングが変わってくる。
【0011】
そして、選択操作部を操作することで、電動送風機の運転を選択でき、開始操作部を操作することで、電解水ミスト生成ユニットの運転を開始できる。
ここで、開始操作部が操作されてから所定時間が経過するまでは、運転制御手段が、電動送風機を強運転で運転させ、前記所定時間が経過すると、電動送風機を、選択操作部で選択された運転で運転させる。これにより、選択操作部の操作によって電動送風機の運転が強運転および弱運転のいずれに選択されていても、開始操作部が操作されてから所定時間が経過するまでは、電動送風機が強運転で運転されるので、常に同じタイミング(前記所定時間が経過したタイミング)で、タンク内の電解水が超音波振動子に供給される。そして、前記所定時間が経過すると、ユーザが選択していた強運転および弱運転のいずれかで電動送風機が運転される。
【0012】
この場合、ユーザは、開始操作部を操作する際に、選択操作部の操作によって電動送風機の運転を強運転および弱運転のいずれかに選択していても、常に同じタイミングで、電解水ミストが放出されるので、違和感を覚えずに済む。よって、使い勝手の向上を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、電気掃除機では、印加手段が超音波振動子に電圧パルスを印加し、禁止手段が、開始操作部が操作されてから前記所定時間が経過するまでは、印加手段による電圧パルスの印加を禁止する。つまり、タンク内の電解水が超音波振動子に供給されるまでは、超音波振動子に電圧パルスが印加されないので、電解水が供給されない状態で超音波振動子に電圧パルスが印加されることに起因して超音波振動子が故障するといった不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の掃除機本体2の右側面図である。
【図2】図2は、掃除機本体2の右側断面図である。
【図3】図3は、掃除機本体2の背面図である。
【図4】図4は、図3においてカバー22を取り外した状態を示している。
【図5】図5は、掃除機本体2の要部平面図である。
【図6】図6は、図3において、上下左右方向に沿って垂直に延びる平坦面で電解水ミスト生成ユニット20を切断したときの断面を示している。
【図7】図7は、上下左右方向に沿って垂直に延びる平坦面で電解水ミスト生成ユニット20を切断したときの断面図である。
【図8】図8(a)は、掃除機本体2の後側部分の左側面図であって、電解水ミスト生成ユニット20を含む一部を断面で示しており、図8(b)は、図8(a)において、電解水ミスト生成ユニット20を抜き出した拡大図である。
【図9】図9は、電動送風機9および電解水ミスト生成ユニット20を上側から見た斜視図である。
【図10】図10は、掃除機本体2の後側部分の右側面図であって、電解水ミスト生成ユニット20を含む一部を断面で示している。
【図11】図11は、図8に対応しており、掃除機本体2を起立させた状態を示している。
【図12】図12は、図11(b)に変形例を適用した図である。
【図13】図13(a)は、上下左右方向に沿って垂直に延びる平坦面で電解水ミスト生成ユニット20を切断したときの断面を示しており、図13(b)は、図13(a)のA−A矢視断面図である。
【図14】図14は、シャッタ機構60が設けられた掃除機本体2の後側部分の左側面図であって、電解水ミスト生成ユニット20を含む一部を断面で示している。
【図15】図15は、電解水ミスト生成ユニット20、電動送風機9およびシャッタ機構60の平面図であって、要部を断面で示しており、シャッタ61が閉位置にある状態を示している。
【図16】図16は、図15において、シャッタ61が開位置にある状態を示している。
【図17】図17(a)は、電解水ミスト生成ユニット20、および、変形例に係るシャッタ機構60の平断面図であって、シャッタ61が開位置にある状態を示しており、図17(b)は、図17(a)においてシャッタ61が閉位置にある状態を示している。
【図18】図18(a)は、生成ユニット20の背面図であり、図18(b)は、生成ユニット20の右側面図である。
【図19】図19(a)は、通常状態にある掃除機本体2の後側部分の右側面図であり、図19(b)は、図19(a)において掃除機本体2を起立させた状態を示している。
【図20】図20(a)は、電解水ミスト生成ユニット20および電動送風機9の背面図であって、一部を断面で示しており、図20(b)は、図20(a)の要部拡大図であって、図20(c)は、図20(b)においてボール弁80が浮上した状態を示している。
【図21】図21(a)は、電解水ミスト生成ユニット20の背面図であって、一部を断面で示しており、図21(b)〜(d)は、図21(a)のB−B矢視断面図である。
【図22】図22は、掃除機本体2の後側部分の右側面図であって、電解水ミスト生成ユニット20を含む一部を断面で示している。
【図23】図23は、図22においてカバー22を開く方向へ回動させ始めた状態を示している。
【図24】図24は、図23においてカバー22を開く方向へ更に回動させた状態を示している。
【図25】図25は、図24においてカバー22を閉じる方向へ回動させた状態を示している。
【図26】図26(a)は、第1の構成に係る超音波振動子39の平面図であり、図26(b)は、図26(a)の超音波振動子39の断面図である。
【図27】図27(a)は、第2の構成に係る超音波振動子39の平面図であり、図27(b)は、図27(a)の超音波振動子39の断面図である。
【図28】図28(a)は、第3の構成に係る超音波振動子39の平面図であり、図28(b)は、図28(a)の超音波振動子39の断面図である。
【図29】図29(a)は、第4の構成に係る超音波振動子39の平面図であり、図29(b)は、図29(a)の超音波振動子39の断面図である。
【図30】図30は、図29(b)において破線円で囲まれた部分の拡大図である。
【図31】図31は、電気掃除機1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図32】図32は、電気掃除機1において実施される処理の手順を示すフローチャートである。
【図33】図33は、電動送風機9および電解水ミスト生成ユニット20のそれぞれの動作状態を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の掃除機本体2の右側面図である。以下では、電気掃除機1およびその構成部品の説明に関し、特に断りがない限り、便宜上、図1における左側を前側、右側を後側、奥側を左側、手前側を右側として説明する。なお、左右方向と幅方向とは同じである。
【0015】
図1を参照して、電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース3と、パイプ(図示せず)と、吸込具(図示せず)とを備えている。
掃除機本体2は、前後にやや長手で丸みを帯びたボックス形状である。図1では、掃除機本体2の外郭をなす中空体である筐体4と、筐体4の左右の両側面の後端部に取り付けられた車輪5と、筐体4の底面の前端部に取り付けられたキャスター6と、筐体4の天面に取り付けられたハンドル7とが示されている。
【0016】
車輪5およびキャスター6が床面X上で回転することによって、掃除機本体2は、床面X上を円滑に移動することができる。車輪5およびキャスター6が床面Xに接触しているときの掃除機本体2の状態を通常状態(非収納状態)という。
ハンドル7は、平面視において後側へ円弧状に膨出するU字形状であり、前端部を支点として回動することができる。ハンドル7は、筐体4の天面に沿う傾倒位置(図1参照)と、筐体4の天面に対して略直交するように起立する起立位置(図示せず)との間で回動可能である。
【0017】
次に、掃除機本体2(筐体4)の内部構成について説明する。
図2は、掃除機本体2の右側断面図である。
図2を参照して、掃除機本体2は、筐体4内に、第1フィルタ8と、電動送風機9と、第2フィルタ10とを主に備えている。
ここで、筐体4では、前面11に、吸気口12が形成され、後面13(一側面)に、排気口14が形成され、筐体4内部に、吸気口12と排気口14とに連通する空気流路15が区画されている。上述した第1フィルタ8、電動送風機9および第2フィルタ10は、空気流路15内に配置されている。詳しくは、第1フィルタ8、電動送風機9および第2フィルタ10は、空気流路15における空気の流れ方向(太い黒色矢印参照)に見て、上流側から第1フィルタ8→電動送風機9→第2フィルタ10の順番で配置されている。
【0018】
掃除機本体2が通常状態にあるとき、筐体4の後面13は、略垂直方向に沿って延びている。排気口14は、後面13の上下方向略中央に複数(ここでは4つ)設けられている。これらの排気口14は、幅方向に細長いスリット状であり(後述する図3も参照)、所定の間隔を隔てて上下に並んでいる。
また、最下位の排気口14Aに関連して、後面13において排気口14Aが形成されている部分には、前側へ窪む凹部17が形成されている。凹部17は、幅方向から見て、前側へ向かって細くなる略三角形状であり、幅方向に細長い(図3も参照)。排気口14Aは、凹部17の前下側の部分をなしており、凹部17から後面13に露出されていて、後上側を臨んでいる。
【0019】
排気口14Aには、幅方向に細長い板状をなすシャッタ18が設けられている。シャッタ18は、その前端部で幅方向に延びる軸(図示せず)を中心に回動することで、開閉自在である。シャッタ18は、後下側へ延びるように閉じていて、排気口14Aを、筐体4の内側から塞いでいる(図示せず)。一方、シャッタ18は、閉じた状態から右側面視で反時計回りに所定量だけ回動すると、前上側へ延びるように開き、排気口14Aを開放する(図2参照)。清掃時以外では、シャッタ18は、閉じている。
【0020】
ホース3は、可撓性を有する蛇腹状のホースであり、その一端が吸気口12に接続されることで、ホース3の内部と空気流路15とが互いに連通している。
電気掃除機1では、ホース3の他端に、パイプ(図示せず)の一端が接続されていて、パイプの他端に吸込具(図示せず)が接続されている。吸込具(図示せず)は、幅方向に長手で上下に扁平なボックス状であり、その底面には、床面Xに上から対向する吸込口(図示せず)が形成されている。
【0021】
このような電気掃除機1において、床面Xの清掃時には、電動送風機9が、電力を受けて駆動されることによって、吸引力を発生する。この吸引力は、吸込具(図示せず)の吸込口(図示せず)に作用する。そのため、この吸引力によって、床面X上の塵埃は、吸込口(図示せず)から吸込具(図示せず)内に吸い込まれ、吸込具、パイプ(図示せず)、ホース3をこの順で通過した後、吸気口12から掃除機本体2の空気流路15まで吸い込まれる。また、吸込具(図示せず)の周りの空気は、床面X上の塵埃とともに、空気流路15まで吸い込まれる。
【0022】
空気流路15まで吸い込まれた空気および塵埃は、太い黒色矢印で示すように、まず、第1フィルタ8に受け入れられる。その際、塵埃が第1フィルタ8に捕獲され、これにより、空気と塵埃とが分離され、空気だけが、第1フィルタ8を通過して、引き続き空気流路15を流れる。第1フィルタ8を通過した空気は、電動送風機9によって、空気流路15において、上述した空気の流れ方向における電動送風機9の下流側へ吐き出される。
【0023】
電動送風機9の下流側へ吐き出された空気(排気)は、第2フィルタ10を通過する。第2フィルタ10は、いわゆるHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)またはULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)の部類に属する高い塵捕獲性能を有しており、第1フィルタ8よりも細かい塵埃を捕獲することができる。そのため、電動送風機9からの排気が第2フィルタ10を通過する際、この排気において第1フィルタ8によって捕獲しきれなかった微細な塵埃が、第2フィルタ10によって捕獲される。これにより、排気は、第2フィルタ10を通過することで、完全に清浄化される。
【0024】
第2フィルタ10を通過した排気は、引き続き空気流路15を流れ、筐体4の後面13側に向かう。
そして、最下位の排気口14Aより上側の排気口14に到った排気は、最下位の排気口14Aより上側の排気口14から、略水平方向に沿って後方へ向かって機外へ放出される(太い破線矢印参照)。
【0025】
一方、最下位の排気口14Aに向かった排気(太い白色矢印参照)は、シャッタ18へ到る。これにより、今まで閉じていたシャッタ18は、シャッタ18まで到達した排気(太い白色矢印参照)の風圧によって押し開けられ、後上側へ傾斜するまで回動する。これにより、排気口14Aが後上側へ開放され、シャッタ18まで到達した排気は、太い白色矢印で示すように、排気口14Aから、上方(詳しくは後上側)へ向けて機外へ放出される。
【0026】
このように最下位の排気口14Aから後上側へ向けて機外へ放出された空気(太い白色矢印参照)が、排気口14Aより上側の排気口14から機外へ略水平に放出された空気(太い破線矢印参照)に対して、下側から衝突する。これにより、排気口14Aより上側の排気口14から放出されて後方へ流出する空気は、流れる向きが上向きに修正されて、太い白色矢印で示すように、全体的に後上側へ流れるようになる。
【0027】
このように上方へ流れるように排気が排気口14から機外へ放出されることは、上方排気と呼ばれる。また、排気口14Aから後上側へ向けて機外へ放出された排気は、エアカーテンと呼ばれる。
空気流路15内から機外へ排出された空気が上方排気されることから、この空気が床面Xに浴びせられることで床面X上の塵埃が舞い上がることを防止できる。
【0028】
そして、床面Xの清掃を終えて電動送風機9の駆動が停止すると、電動送風機9が吸引力を発生しなくなることから、空気流路15において空気が流れなくなるので、シャッタ18を押し開ける空気がなくなり(風圧が弱くなり)、シャッタ18は、自重によって閉じ、再び排気口14Aを塞ぐ(図示せず)。これにより、排気口14Aから空気を噴き出す必要がないときには、外部のごみが排気口14Aから筐体4内に入り込むことを防止できる。
【0029】
次に、この掃除機本体2に内蔵されていて、後述する電解水ミストを生成する電解水ミスト生成ユニット20について説明する。
図3は、掃除機本体2の背面図である。図4は、図3においてカバー22を取り外した状態を示している。
電解水ミスト生成ユニット(以下では、「生成ユニット」と省略していう。)20に関連して、図3に示すように、筐体4の後面13の幅方向中央部分において、最上位の排気口14より上側の部分には、前側(図3における奥側)へ窪む凹状をなす収容室21が形成されている。収容室21は、幅方向に長手の略直方体形状の空間である(図2も参照)。収容室21に、生成ユニット20が収容される。
【0030】
また、筐体4には、収容室21を覆うカバー22が着脱可能に取り付けられる。カバー22は、掃除機本体2の一部である。カバー22は、薄板をL字状に折り曲げることによって形成されており、筐体4に取り付けられた状態では、後側(図3における手前側)へ延びた後に折れ曲って下方へ延びている(図2も参照)。カバー22において下方へ延びている部分の後側面は、後面13とほぼ面一になっていて後面13の一部である。
【0031】
カバー22において下方へ延びている部分において、上寄りかつ幅方向略中央の位置には、この部分を前後に貫通する噴出口23が形成されている。噴出口23は、背面視において丸い。カバー22において噴出口23を区画する部分は、後側へ向かって太くなる略円錐面をなしており、ガイド面24とされる(図2も参照)。
カバー22が筐体4に取り付けられた状態では、噴出口23は、最上位の排気口14よりも所定距離だけ上方ヘ離れた位置にある。
【0032】
カバー22には、その下端部に、幅方向外側へ突出する回動軸22Aが一体的に設けられており、回動軸22Aが筐体4に支持されることによって、カバー22は、回動軸22Aを中心として回動可能である。図3の状態において、カバー22の上側を手前に引くと、カバー22が手前側(後側)へ回動する。これにより、カバー22が開いて、図4に示すように、収容室21および生成ユニット20が後側へ露出される。なお、図4では、説明の便宜上、カバー22の図示を省略している。
【0033】
なお、カバー22を回動させる際に、カバー22が傾倒位置のハンドル7(図2参照)にぶつかるのであれば、事前にハンドル7を起立位置まで回動させてカバー22からどけておくとよい。
図5は、掃除機本体2の要部平面図である。
図5に示すように、掃除機本体2には、モータカバー25が設けられている。モータカバー25は、電動送風機9を覆うことで、電動送風機9を周囲の部品から熱的に遮断する。モータカバー25は、前側(図5では上側)が開放されたボックス形状をなしており、電動送風機9は、前側部分が露出された状態で、それ以外の部分がモータカバー25内に収納されている。電動送風機9が駆動されると、モータカバー25から露出された前側部分において吸引力を発生し、この吸引力は、電動送風機9の前側に配置された第1フィルタ8内に作用する(図2参照)。また、電動送風機9が吸引力を発生させることで吸い込んだ空気は、モータカバー25内において電動送風機9の外へ吐出される。この空気のほとんどは、モータカバー25の下側壁に形成された開口25A(図2参照)からモータカバー25の外へ流出し、前述した第2フィルタ10を通過した後に、排気口14から機外へ放出される(図2参照)。
【0034】
モータカバー25の後壁には、後側へ延びる管状の連結パイプ26(連結路)の前端部が接続されている。連結パイプ26の後端部は、生成ユニット20に接続されている。これにより、モータカバー25の内部と生成ユニット20の内部とが連結パイプ26を介して連通していて、モータカバー25内において電動送風機9の外へ吐出された空気の一部が連結パイプ26を通って生成ユニット20の内部に流入するようになっている(詳しくは、後述する)。
【0035】
図6は、図3において、上下左右方向に沿って垂直に延びる平坦面で生成ユニット20を切断したときの断面を示している。図7は、上下左右方向に沿って垂直に延びる平坦面で生成ユニット20を切断したときの断面図である。図8(a)は、掃除機本体2の後側部分の左側面図であって、生成ユニット20を含む一部を断面で示しており、図8(b)は、図8(a)において、生成ユニット20を抜き出した拡大図である。図9は、電動送風機9および生成ユニット20を上側から見た斜視図である。
【0036】
図6および図7に示すように、生成ユニット20は、幅方向に長手の略ボックス形状である。なお、以下では、生成ユニット20を説明する際、図6および図7に示すように背面側(後側)から見たときを基準として、生成ユニット20の左右方向を規定する。
生成ユニット20は、タンク28と、キャップ29と、2本の電極30と、水位センサ31(検知手段)と、超音波振動子ユニット32と、接続端子33(後述する図22参照)とを含んでいる。なお、水位センサ31については、別途詳しく説明することとし(後述する図18(b)参照)、ここでの説明は省略する。
【0037】
タンク28は、生成ユニット20の外郭をなす部分であり、幅方向に長手で中空の略ボックス形状である。タンク28の幅方向略中央部は、上側へ膨出しており、膨出部36とされる(図9参照)。タンク28は、膨出部36の下端近傍を境界部分として、上下に2分割できる。この境界部分は、パッキン16で塞がれている。タンク28の内部には、後述するように水を溜めることができる。
【0038】
タンク28内には、電解室34と配線室35という2つの空間が区画されている。
電解室34は、幅方向に長手の略直方体形状の空間であり、タンク28の内部空間のほとんどを占めている。膨出部36を有するタンク28の形状に応じて、電解室34は、背面側から見て、凸状をなしている。また、タンク28の底壁の右端部は、右上側へ傾斜しており、これに応じて、電解室34の右下側の端部は、右上側へ傾斜するように面取りされている。タンク28の底壁の右端部において、電解室34の右下側の面取り部分を区画する内壁面は、傾斜面28Aとされる。また、電解室34の幅方向略中央部は、幅方向から見ると、上側へ向かうに従って前側へ一段細くなる階段状をなしている(図8参照)。電解室34の幅方向略中央部の上側部分は、タンク28の膨出部36の内部空間である。
【0039】
タンク28の天壁において、前述したように上側へ膨出した幅方向略中央部(膨出部36)の右隣には、電解室34に対して上から連通する給水口37が形成されている。給水口37の真下の位置に、前述した傾斜面28Aが位置している。
タンク28には、導入パイプ27が接続されて一体化されている。導入パイプ27は、L字に折り曲げられた管状であって、一端部27Aがタンク28の左側壁に接続されており、他端部27Bは、下方を臨む遊端部である。導入パイプ27の内部は、電解室34に連通している。
【0040】
配線室35は、電解室34の左隣から上方へ延び、上端部において右側へ折れ曲っている。配線室35の上端部は、電解室34に対して上から隣接している。タンク28には、配線室35の内部を下方へ露出させる開口28Bが形成されている。
図8(b)を参照して、タンク28の膨出部36の後側壁36Aは、略垂直方向に沿って平坦に延びている。詳しくは、後側壁36Aは、垂直方向に対して、たとえば約15°傾斜して、前上側へ平坦に延びている。
【0041】
後側壁36Aには、前下側へ延びて後側壁36Aを貫通する貫通穴38が形成されている。
図7を参照して、キャップ29は、上側が塞がれた円筒状であって、タンク28に対して着脱可能である。キャップ29は、タンク28に取り付けられた状態において給水口37を上から塞ぐ。
【0042】
2本の電極30は、電解室34の左側領域に収容されている。これらの電極30は、前後に薄く上下に長手のL字状の薄板であって、下端部において前後に間隔を隔てて対向しつつ、平行に延びている(図8参照)。各電極30の下端は、電解室34の底から離れている。
図7を参照して、超音波振動子ユニット32は、超音波振動子39と、超音波振動子39をタンク42に取り付けるための支持部材40とを含んでいる。
【0043】
超音波振動子39は、前側面39A(一方の側面)および後側面39B(他方の側面)を有する金属製の薄い円板状の圧電体である(図8(b)参照)。ここでの超音波振動子39の直径は、たとえば約14mmである。超音波振動子39には、貫通孔41が多数形成されている。各貫通孔41は、ここでは、10μm以下の直径を有する程度に微小である。なお、図7では、説明の便宜上、貫通孔41を実際よりも大きく、かつ、少なく示している。
【0044】
図8(b)を参照して、支持部材40は、第1リング部材42と、第2リング部材43と、第3リング部材44と、第4リング部材45とを含んでいる。
第1リング部材42および第2リング部材43は、ほぼ同じ大きさの環状である。第1リング部材42において中空部分を区画する部分は、後側へ向かって太くなる略円錐面をなしており、ガイド面46とされる。図8(b)の姿勢を基準として、第1リング部材42において、前側部分(図8(b)における右側部分)は、後側部分よりも径方向外側へ張り出していて、フランジ部42Aとされる。
【0045】
第1リング部材42と第2リング部材43とは、それぞれの中空部分が互いに一致するように、重ね合わされている。この状態で、第1リング部材42は、第2リング部材43に対して後側(図8(b)では左側)に位置している。超音波振動子39は、重なった状態にある第1リング部材42および第2リング部材43によって挟持されている。この状態で、超音波振動子39において、後側面39Bは、第1リング部材42の中空部分から後側に露出されていて、前側面39Aは、第2リング部材43の中空部分から前側に露出されている。
【0046】
第3リング部材44および第4リング部材45は、ほぼ同じ大きさの環状であり、それぞれの最大内径は、第1リング部材42および第2リング部材43の外径より僅かに大きい。また、図8(b)の姿勢を基準として、第3リング部材44の後側端部は、全周に亘って径方向内側へ折り曲げられていて、係合部44Aとされる。第4リング部材45の内径は、後側において最も小さくなっており、ここでの内径は、第2リング部材43の内径より僅かに小さい。第4リング部材45には、管状の吸上げパイプ47(供給路)が前側から接続されている。吸上げパイプ47は、図8(b)の姿勢を基準として、前下側へ直線状に延びている。吸上げパイプ47における一端部(上端部)47Aは、吸上げパイプ47の基端部として、第4リング部材45において最も内径が小さい前側の中空部分に接続されており、他端部(下端部)47Bは、吸上げパイプ47の遊端部となっている。吸上げパイプ47は、第4リング部材45の一部である。
【0047】
第3リング部材44と第4リング部材45とは、それぞれの中空部分が互いに一致するように、重ね合わされている。この状態で、第3リング部材44は、第4リング部材45に対して後側に位置しており、第3リング部材44と第4リング部材45とは、重なった状態で超音波振動子39を挟持している第1リング部材42および第2リング部材43を挟持している。この状態において、第3リング部材44の係合部44Aが、第1リング部材42のフランジ部42Aに対して後側から係合して、第1リング部材42および第2リング部材43を第4リング部材45に押し付けている。また、第2リング部材43の中空部分と、第4リング部材45の吸上げパイプ47の一端部47Aの内部とが連通していて、一端部47Aが、第2リング部材43の中空部分を介して超音波振動子39の前側面39Aに接続されている。
【0048】
このような超音波振動子ユニット32は、第4リング部材45の吸上げパイプ47がタンク28の膨出部36の貫通穴38に対して後上側から挿通されることで、タンク28に固定されている。また、ねじ103を用いて超音波振動子ユニット32を膨出部36に組み付けることによっても、超音波振動子ユニット32はタンク28に固定されている(後述する図18(a)参照)。これにより、超音波振動子39は、タンク28に取り付けられている。
【0049】
掃除機本体2が通常状態にあって、超音波振動子ユニット32がタンク28に固定された状態において(図8(a)参照)、吸上げパイプ47は、電解室34内において、タンク28の膨出部36の貫通穴38から前下側へ直線状に延びている。このとき、吸上げパイプ47の他端部47Bは、電解室34の底の前端部近傍に位置しているものの、タンク28の内壁面には接触していない。また、この状態において、超音波振動子ユニット32では、第4リング部材45が、タンク28の膨出部36の後側壁36Aに対して後側から接触しており、超音波振動子39は、後側壁36Aに沿って前上側へ延びている。そのため、超音波振動子39(前側面39Aおよび後側面39B)は、垂直方向に対して、前述した15°程度傾斜している。
【0050】
また、この状態の超音波振動子39において、前側面39Aは、第2リング部材43の中空部分および吸上げパイプ47を介して、タンク28の内部(電解室34)に連通している。その一方で、後側面39Bは、第1リング部材42の中空部分を介して後上側の外部を臨んでいる。
接続端子33(図22参照)は、配線室35(図7参照)に収容されており、開口28B(図7参照)から下方に露出されている。接続端子33は、リード線48(図22参照)を介して、2本の電極30、水位センサ31(図18(b)参照)および超音波振動子39に対して電気的に接続されている。
【0051】
以上のような生成ユニット20において、まず、図7を参照して、キャップ29を外して、給水口37からタンク28の電解室34に水を注ぐ。給水口37から注がれた水は、給水口37の真下にあるタンク28の傾斜面28Aに当たることによって左側へ導かれ、電解室34における左側の領域へ速やかに行き渡る。また、水は、傾斜面28Aに当たって電解室34内に行き渡ることで電解室34内を循環する。これにより、タンク28の内側面に異物が付着することが防止される。
【0052】
所定量の水を注いだ後にキャップ29で給水口37を塞ぐと、電解室34には、所定の水位まで水が溜まる。電解室34に溜まった水の水面には、符号Tが付されている。電解室34に所定の水位まで水が溜まったとき、電解室34では、2本の電極30のそれぞれの下側部分が、水に浸かっている(なお、水位センサ31については後述する)。また、超音波振動子ユニット32の吸上げパイプ47の他端部47Bも、タンク42内の水に浸かっている。一方、導入パイプ27の一端部27Aは、水面Tよりも上方の位置でタンク28に接続されていて、導入パイプ27は、電解室34において水面Tよりも上方の空間に連通している。
【0053】
ここで、生成ユニット20では、パッキン等を用いることでシール性が確保されている。そのため、電解室34の水が配線室35に漏れたり、タンク28の後側壁36Aと超音波振動子ユニット32との継ぎ目や超音波振動子ユニット32における各構成部材の継ぎ目から水が漏れたりすることはない(図8(b)も参照)。
次いで、図6に示すように、通常状態にある掃除機本体2の筐体4に対して生成ユニット20を上から装着し、収容室21に上から収容する。生成ユニット20が筐体4に完全に装着されると、筐体4に設けられた本体端子49に対して接続端子33が接続される(図22参照)。また、モータカバー25から延びた連結パイプ26が、生成ユニット20の導入パイプ27の他端部27Bに対して下側から接続され(図22参照)、これにより、タンク28が、連結パイプ26を介して、モータカバー25内の電動送風機9に結合される(図5参照)。
【0054】
そして、カバー22を閉じて収容室21を塞ぐと(図3参照)、図2に示すように、生成ユニット20は、カバー22によって外から覆われ、掃除機本体2に内蔵された状態となる。この状態では、図8(a)に示すように、カバー22の噴出口23が、超音波振動子ユニット32の第1リング部材42の中空部分に対して後上側から対向している。これにより、超音波振動子39の後側面39Bが、噴出口23を介して筐体4(掃除機本体2)の後面13から後上側へ露出されている。このときも、超音波振動子39は、前上側へ延びており、垂直方向に対して、前述した15°程度傾斜している。
【0055】
この状態で、前述したように、床面Xの清掃を行う。その際、掃除機本体2に内蔵された本体電源(図示せず)から、前述した本体端子49および接続端子33(図22参照)を介して、生成ユニット20に電力が供給される。
ここで、図8(b)を参照して、生成ユニット20では、前述したように電解室34内の一対の電極30が水に浸っており、一対の電極30にリード線48を介して電圧が印加されることにより、電解室34内の水は電気分解されて、電解水となる。
【0056】
より具体的には、一対の電極30には、リード線48を介して、断続的に、互いに逆極性となるように交互に所定の電流が流れるよう電圧が印加され、これにより、電解室34内の水が電気分解される。水は、通常、水道水が用いられ、水道水には塩素が含まれているから、電気分解により下記のような電気化学反応が起こる。
(陽極側)
4H2 O−4e- →4H+ +O2 ↑+2H2
2Cl- →Cl2 +2e-
2 O+Cl2 ⇔HClO+H+ +Cl-
(陰極側)
4H2 O+4e- →2H2 ↑+4OH-
(電極間)
+ +OH- →H2
上記のような電気化学反応により、除菌効果や脱臭効果を有する次亜塩素酸(HClO)や活性酸素を含む電解水を生成し、電解室34の内部に溜めることができる。つまり、電解室34の内の水道水は、電気化学反応によって、所定の濃度の電解水となる。
【0057】
そして、床面の清掃中において、掃除機本体2に設けられた専用のスイッチ(ミストスイッチ50(開始操作部)といい、後述する図31参照)を押すと、電動送風機9(図2参照)が駆動された状態で、超音波振動子39に電圧パルスが印加され、これによって超音波振動子39が振動する。
これにより、図5を参照して、電動送風機9によってモータカバー25内に吐出された空気(排気)の一部が、太線矢印で示すように、連結パイプ26および導入パイプ27をこの順番で通過する。そして、この排気は、図7に示すように、タンク28における電解室34の内部に上から流入する。このように、タンク28は、電動送風機9の排気の一部を連結パイプ26および導入パイプ27によって内部の電解室34に取り込むことができる(図5参照)。
【0058】
そして、電解室34の内部に上から流入した(取り込まれた)排気は、電解室34における電解水の水面Tを上から押す。これにより、電解室34の電解水が、吸上げパイプ47の他端部47Bから吸上げパイプ47内に流入して吸上げパイプ47内を上昇する。図8(b)を参照して、吸上げパイプ47内を上昇した電解水は、吸上げパイプ47の一端部47Aから第2リング部材43の中空部分を通過して超音波振動子39の前側面39Aに到達する(供給される)。このように、吸上げパイプ47は、掃除機本体2の通常状態(非収納状態)において、タンク28(電解室34)の水を超音波振動子39に供給する。
【0059】
このとき、電圧パルスが印加されることで振動している超音波振動子39によって、超音波振動子39の前側面39A側における貫通孔41(図7参照)付近の電解水が超音波振動され、貫通孔41から、微小の水の粒子である電解水ミスト(以下では単に「ミスト」ということがある。)Mが発生する(図8(a)参照)。そして、電解室34の内部に流入した排気の圧力によって、電解室34の電解水が絶えず超音波振動子39に供給されているので、超音波振動子39で発生したミストは、排気の圧力によって、貫通孔41から噴出され、第1リング部材42の中空部分を通って後上側(斜め上方)へ噴出される(図8(a)参照)。
【0060】
貫通孔41から噴出されたミストMは、図2に示すように、カバー22の噴出口23から噴出されて、後上側へ放散される。なお、後上側とは別の方向へ噴出されようとしたミストMは、第1リング部材42のガイド面46および噴出口23におけるガイド面24によって、後上側(斜め上方)へ正しく噴出されるように、その噴出方向が矯正される。
後上側へ放散されたミストMは、上限まで上昇した後に、今度は自重によって放物線を描きながら後下側へ下降しようとする。その際、ミストMは、前述したように掃除機本体2の排気口14から上方排気された空気(図2の太い白色矢印参照)によって下からすくい上げられるので、この空気に乗ることによって再び後上側へ放散され、室内のすみずみまで行き渡る。これにより、室内に漂うウィルスやアレル物質がミストMによって除去されることで室内空間が除菌されるとともに、室内がミストMによって消臭される。
【0061】
ここで、前述したように、電動送風機9の排気の一部が連結パイプ26によってタンク28の内部に取り込まれ(図5参照)、この排気の圧力によって、タンク28内の電解水が超音波振動子39に供給される。そして、超音波振動子39は、供給された電解水からミストMを発生させ、タンク28内に取り込まれた排気の圧力によってミストMを貫通孔41(図7参照)から噴出させる。つまり、この電気掃除機1では、空気を清浄化する物質(ミストM)を、電動送風機9の排気の圧力を利用した簡易な構成で機外へ放出させることができる。
【0062】
図10は、掃除機本体2の後側部分の右側面図であって、生成ユニット20を含む一部を断面で示している。
図10を参照して、生成ユニット20と、筐体4の後面13において収容室21を区画する部分との間には、全域に亘って隙間Y(誘導路)が確保されている。隙間Yは、幅方向から見て、生成ユニット20と、筐体4の後面13において収容室21を区画する部分とによってL字状に区画されている。そして、カバー22が閉じられた状態において、カバー22の上端部の前端部には、カバー22を上下に貫通して隙間Yに上から連通する入口51が形成されている。また、カバー22の下端部と筐体4の後面13との間、または、カバー22の下端部自体に、隙間Yに後から連通する出口52が形成されている。出口52は、後面13の排気口14に対して上側から隣接している。
【0063】
この場合、排気口14から空気が上方排気されると(太い白色矢印参照)、この空気に引き寄せられるように、隙間Y内の空気が出口52から流出する。そして、これに伴って、入口51から隙間Yを通って出口52から流出する空気の流れが発生する(黒色矢印参照)。つまり、隙間Yは、機外の空気を入口51において取り込んで、出口52において、この空気を、排気口14から放出された排気(太い白色矢印参照)へと導く。
【0064】
生成ユニット20において、電解室34内では、電動送風機9からの排気が流入したり、電極30(図2参照)による電気分解が行われたりすることで、タンク28内(電解室34)の電解水の温度が上昇しやすい。これによって、電解室34内の電解水における次亜塩素酸の発生量や濃度が低下して電解水の除菌効果や脱臭効果が低下する虞がある。
そこで、排気口14から上方排気される空気の誘引作用を利用して、入口51から隙間Yを通って出口52から流出する空気の流れを発生させることにより、隙間Yを流れる空気によって生成ユニット20(タンク28)を冷却することができる。そのため、電極30による電気分解等によってタンク28内の水温が上昇しようとしても、この空気の流れによってタンク28が冷却されるので、タンク28内の水温の上昇を防止できる。
【0065】
図11は、図8に対応しており、掃除機本体2を起立させた状態を示している。
そして、床面Xの清掃を終えた後に電気掃除機1を収納する際、掃除機本体2を起立させると、掃除機本体2は、前述した通常状態(図8参照)から、図11に示す収納状態に姿勢を変えることができる。収納状態にある掃除機本体2では、筐体4の後面13が床面Xに対して上から対向する(図11(a)参照)。これにより、電気掃除機1をコンパクトに収納することができる。
【0066】
前述したように、通常状態では、吸上げパイプ47において、タンク28の水に浸かった他端部47B側から一端部47Aの超音波振動子39に水が供給されるので、超音波振動子39による電解水ミストMの放出が可能となる(図8参照)。
その一方で、図11(a)に示す収納状態では、超音波振動子39において噴出口23を介して掃除機本体2の後面13から露出される後側面39Bが、水平方向に対して傾斜しつつ床面Xに上から対向している。そのため、タンク28の電解室34の電解水が超音波振動子39の貫通孔41(図7参照)から後側面(図11では下側面)39Bを伝って(後側面39Bの傾斜に沿って)床面Xにこぼれ落ちることが想定される。
【0067】
しかし、この場合、電解室34の電解水を超音波振動子39に導く吸上げパイプ47では、通常状態では、他端部47Bが電解室34の電解水の水面Tより下にあるものの(図8参照)、収納状態では、水面Tから上方へ離れていてタンク28の電解水に浸っていない。そのため、収納状態では、電解室34の電解水が吸上げパイプ47を通って超音波振動子39に導かれること(供給されること)はなく、タンク28の電解水が超音波振動子39の貫通孔41から床面Xに漏れ落ちることを防止できる。
【0068】
このように、通常状態では他端部47Bが電解室34の電解水の水面Tより下にあってタンク28の水に浸かっている一方で、収納状態では他端部47Bが水面Tから上方へ離れているのは、吸上げパイプ47が、一端部47Aから他端部47Bへ向かって、筐体4の後面13から離れる方向へ傾斜して延びているからである。
図12は、図11(b)に変形例を適用した図である。
【0069】
同様の作用効果を奏するために、図12に示すように、吸上げパイプ47がL字状をなすように、他端部47Bを、筐体4の後面13から離れる方向(通常状態では前側であり、収納状態では上側)へ折り曲げておくとよい。そうすれば、通常状態では他端部47Bが電解室34の電解水の水面Tより下にあってタンク28の水に浸かっていて(図示せず)、吸上げパイプ47は電解水を超音波振動子39に導くことができる一方で、図12に示す収納状態では他端部47Bが水面Tから上方へ離れるので、電解水が吸上げパイプ47を通って超音波振動子39から床面Xにこぼれ落ちることはない。
【0070】
図13(a)は、上下左右方向に沿って垂直に延びる平坦面で生成ユニット20を切断したときの断面を示しており、図13(b)は、図13(a)のA−A矢視断面図である。なお、図13(a)では、超音波振動子39を仮想線で図示している。
図13(b)に示す生成ユニット20では、前述した実施形態とは異なり、第4リング部材45(図8参照)が省略されている。この場合、第3リング部材44と、タンク28の膨出部36の後側壁36Aとが、重なった状態で超音波振動子39を挟持している第1リング部材42および第2リング部材43を挟持している。そして、後側壁36Aの貫通穴38が、後側壁36Aの厚さ方向に沿って後側壁36Aを貫通していて、第2リング部材43の中空部分に対して前側から連通している。また、タンク28の内部の電解室34が、略水平に延びる区画壁53によって、膨出部36の内側部分より下側の部分(生成室54)と、膨出部36の内側部分(貯留室55)とに区画されている。貯留室55は、生成室54の上方に配置される。生成室54に、前述した電極30や水位センサ31(図7参照)が配置され、生成室54において電解水が生成される。後側壁36Aの貫通穴38は、貯留室55に対して後側から連通しており、超音波振動子39の前側面39Aが、第2リング部材43の中空部分および貫通穴38を介して、貯留室55内に後側から臨んでいる。
【0071】
区画壁53には、下方へ直線状に延びる吸上げパイプ56の上端部が接続されていて、吸上げパイプ56の内部を介して、生成室54と貯留室55とが連通している。吸上げパイプ56の下端部は、生成室54の底より上方の位置において、生成室54の電解水に浸かっている。
この場合、電動送風機9から吐出された排気の一部が、前述したように、連結パイプ26および導入パイプ27をこの順番で通過して(図5参照)、電解室34の生成室54の内部に上から流入して、生成室54の電解水の水面Tを上から押す。これにより、生成室54の電解水が吸上げパイプ56内を上昇して貯留室55に到り、貯留室55に溜められる。つまり、貯留室55には、生成室54内の電解水を吸い上げて溜めることができる。
【0072】
そして、電解水が超音波振動子39の前側面39Aに到達する位まで、貯留室55に電解水が溜まると、超音波振動子39を超音波振動させることでミストを発生させて、貫通孔41(図7参照)から、後上側の機外へ噴出させることができる。
前述したように、垂直方向に対する超音波振動子39の傾斜角度が、約15°である。これにより、貯留室55の電解水が超音波振動子39の貫通孔41(図7参照)を通過する際に外部の空気が貫通孔41から貯留室55内に進入して気泡となっても、この気泡は、超音波振動子39の前側面39Aに付着して貫通孔41を塞ぐことなく、速やかに貯留室55の上部空間へ移動するようになっている。これにより、超音波振動子39の貫通孔41におけるミストM(図2参照)の噴出が気泡によって妨げられることを防止できる。
【0073】
ただし、生成室54の電解水を吸上げパイプ56で貯留室55に吸上げる際に、貯留室55に気泡が発生し、超音波振動子39の貫通孔41を塞ぐことが想定される。そこで、貯留室55を上から区画するタンク28(膨出部36)の天壁36Bに、貯留室55に上から連通する貫通穴57を設け、この貫通穴57を、空気は通すが水分は通さない部材(フィルタ部材58という)で塞ぐ。フィルタ部材58として、テミッシュ(登録商標)が挙げられる。貯留室55で発生した気泡は、フィルタ部材58を通過して外部に放出されるので、この気泡によって貫通孔41が塞がれることを防止できる。その一方で、貯留室55内の電解水がフィルタ部材58を通って外部に漏れることはない。
【0074】
このように、貯留室55内に気泡が発生しても、フィルタ部材58が、この気泡を貯留室55の外へ逃がすので、貯留室55内に発生した気泡によって超音波振動子39の貫通孔41が塞がれてしまって貫通孔41から電解水ミストMを円滑に噴出できないといった不具合を防止できる。
また、貯留室55の空気をフィルタ部材58から生成ユニット20の外へ流出させることができるので、その分、ミストの発生を開始できる水位まで貯留室55に電解水を早期に溜めることができる。これにより、早期にミストを発生させることができる。
【0075】
図14は、シャッタ機構60が設けられた掃除機本体2の後側部分の左側面図であって、生成ユニット20を含む一部を断面で示している。図15は、生成ユニット20、電動送風機9およびシャッタ機構60の平面図であって、要部を断面で示しており、シャッタ61が閉位置にある状態を示している。図16は、図15において、シャッタ61が開位置にある状態を示している。
【0076】
また、前述した全ての構成の生成ユニット20に対して、超音波振動子39からの水漏れや、超音波振動子39への外部からの塵埃の付着等を防止するために、シャッタ機構60が設けられていてもよい。
シャッタ機構60は、噴出口23を開閉するシャッタ61を備え、シャッタ61を開閉させる機構として、図15に示す付勢部材62、押圧部材63(開部材)および取出しパイプ64とを備えている。
【0077】
シャッタ61は、幅方向に長手であって前後に薄い板状である。背面視におけるシャッタ61の姿勢を基準として、シャッタ61の右寄り(図15では下寄り)の位置には、シャッタ61を前後に貫通する連通穴65が形成されている。シャッタ61の左端部は、前側(図15における右側)へ略直角に折り曲げられている。シャッタ61の右端部には、被押圧部66が一体的に設けられている。被押圧部66の前端面の右側部分は、背面視において右後側へ直線状に傾斜する傾斜面66Aをなしている。
【0078】
シャッタ61は、カバー22や筐体4によって幅方向へスライド可能に支持されている。
背面視において、連通穴65がカバー22の噴出口23から右側にずれているときのシャッタ61は、閉じた位置(閉位置)にあって、連通穴65より左側の部分で噴出口23を前側から塞いでいるとともに、生成ユニット20の第1リング部材42の中空部分を後側から塞いでいる。この状態では、シャッタ61によって噴出口23と第1リング部材42の中空部分との間が遮断されている。そのため、タンク28内の電解水が超音波振動子39の貫通孔41(図7参照)から第1リング部材42の中空部分および噴出口23を介して機外に漏れることはなく、また、外部の塵埃が噴出口23から第1リング部材42の中空部分に侵入して超音波振動子39に付着することはない。
【0079】
一方、閉位置のシャッタ61を背面視で左側へスライドさせて、図16に示すように、連通穴65が、噴出口23と第1リング部材42の中空部分との間に配置されると、シャッタ61は、開いた位置(開位置)に配置されたことになる。このとき、連通穴65を介して、噴出口23と第1リング部材42の中空部分とが連通している。
図15を参照して、付勢部材62は、幅方向に長手の圧縮ばねであって、背面視において、カバー22の左内側面とシャッタ61の左端部との間に介挿されている。付勢部材62は、伸びようとする付勢力によって、シャッタ61を背面視で右側の閉位置(閉じる方向)へ向けて付勢している。
【0080】
押圧部材63は、前後方向に延びる円柱状の軸部67と、軸部67の後端部に設けられた押圧部68とを一体的に備えている。押圧部68の後端面は、背面視において右後側へ直線状に傾斜している。軸部67の前端には、軸部67の円周面から径方向外側へ鍔状に張り出したフランジ部67Aが一体的に設けられている。
また、掃除機本体2には、軸部67の前端部を収納する収納部69が設けられている。収納部69は、前後方向に延びる略円筒状であって、後端において開放されている一方で、前端において塞がれている。収納部69の後端は、径方向内側へ折り曲げられた折曲部69Aをなしている。押圧部材63は、軸部67の前端部が収納部69に収納された状態で、前後にスライド可能である。軸部67の前端部には、前後に長手のコイルばね70が巻回されている。コイルばね70は、圧縮ばねであって、軸部67の前端のフランジ部67Aと収納部69の後端の折曲部69Aとの間に介挿されており、伸びようとする付勢力によって、押圧部材63全体を前側へ付勢している。
【0081】
取出しパイプ64は、クランク状に折り曲げられた管状であって、一端部64Aがモータカバー25に接続されていて、他端部64Bが収納部69に接続されている。これにより、モータカバー25の内部と収納部69の内部(詳しくは、押圧部材63の軸部67の前端のフランジ部67Aより前側の領域)とが連通している。
このような構成において、シャッタ61は、電動送風機9が駆動されていない状態では、閉位置にある。そして、電動送風機9を駆動すると、電動送風機9から吐出された排気の一部が、取出しパイプ64によって取り出されることで取出しパイプ64内を通って収納部69の内部に到る。この排気は、押圧部材63においてフランジ部67Aが形成された軸部67の前端面を後側へ押す。これにより、押圧部材63が、電動送風機9の排気の一部を受けることによって、コイルばね70の付勢力に抗して後側へスライドし、その際、押圧部材63の押圧部68の傾斜した後端面が、シャッタ61の被押圧部66の傾斜面66Aを後側へ押す。これにより、押圧部68が被押圧部66を後側へ押す力が背面視における左側へ作用し、シャッタ61は、付勢部材62の付勢力に抗して左側へスライドし、図16に示す開位置に至る。つまり、押圧部材63が、電動送風機9の排気の一部を受けることによって、付勢部材62の付勢力に抗してシャッタ61を開く。
【0082】
一方、この状態で、電動送風機9の駆動を停止すると、電動送風機9から吐出された排気が軸部67の前端面を後側へ押さなくなるので、押圧部材63が、コイルばね70の付勢力によって元の前側の位置へ戻り、これに応じて、シャッタ61が、付勢部材62の付勢力によって閉位置へ戻る(図15参照)。
このように、電動送風機9が駆動されたとき(掃除機の運転中)には、シャッタ61が開くので、開放された噴出口23から電解水ミストを放出することができる(図16参照)。一方で、電動送風機9の駆動(掃除機の運転)が停止されると、シャッタ61が閉じて噴出口23が塞がれるので、タンク28(図2参照)の水が噴出口23から漏れ出たり、外部の塵埃が噴出口23から掃除機本体2内に侵入して超音波振動子39に付着したりするような不具合を防止できる(図15参照)。
【0083】
図17(a)は、生成ユニット20、および、変形例に係るシャッタ機構60の平断面図であって、シャッタ61が開位置にある状態を示しており、図17(b)は、図17(a)においてシャッタ61が閉位置にある状態を示している。
図17に示すように、図15および図16とは異なる構成のシャッタ機構60を用いてもよい。
【0084】
図17に示すシャッタ機構60では、シャッタ61の被押圧部66の前端面に、前述した傾斜面66Aが設けられておらず、代わりに、被押圧部66の後端面に、背面視で右前側へ傾斜する傾斜面66Bが形成されている。
また、前述した押圧部材63とは別の構成の押圧部材71(閉部材)が設けられている。押圧部材71は、前後方向に細長い軸部72と、軸部72の前端に接続された押圧部73とを一体的に備えている。押圧部73の前端面は、背面視で右前側へ傾斜している。押圧部73には、背面視における右側へ突出する突出部73Aが一体的に設けられている。また、掃除機本体2の筐体4において、突出部73Aに対して間隔を隔てて前側から対向する位置には、後側へ突出する支持ボス74が設けられている。突出部73Aと支持ボス74との間には、前後に長手の付勢部材75が介挿されている。
【0085】
付勢部材75は、圧縮ばねであり、伸びようとする付勢力によって押圧部材71を後側へ付勢している。ここで、カバー22において押圧部材71の軸部72と対向する位置には、軸部72を通す貫通孔76が形成されている。図17(a)では、掃除機本体2が通常状態にあって(図2参照)、後側へ付勢されている押圧部材71において、軸部72が、貫通孔76からカバー22の後外側へ突出している。このとき、シャッタ61は、前述した開位置にある。前述した付勢部材62は、シャッタ61が開位置に位置するように、シャッタ61を開く方向へ付勢している。
【0086】
この状態で、掃除機本体2を起立させて収納状態にすると(図11参照)、カバー22の貫通孔76から外側へ突出していた軸部72が、図17(b)に示すように、床面Xに当接されることで、押圧部材71が、付勢部材75の付勢力に抗して、床面Xから離れる側(収納状態にある掃除機本体2における上側)へスライドする。これにより、押圧部材71の押圧部73における傾斜した前端面(掃除機本体2が収納状態にあるときには上端面)が、シャッタ61の被押圧部66の傾斜面66Bを下から押す。これにより、押圧部73が被押圧部66を押す力が背面視における左側へ作用し、シャッタ61は、付勢部材62の付勢力に抗して左側へスライドして、閉位置に至る。このとき、シャッタ61において連通穴65より右側(図17(b)における下側)の部分によって噴出口23が塞がれる。つまり、軸部72を有する押圧部材71が、床面Xに当接されることによって、付勢部材62の付勢力に抗してシャッタ61を閉じる。
【0087】
一方、この状態で、掃除機本体2を収納状態から通常状態にしたり、掃除機本体2を床面Xから浮かせたりすると、押圧部材71の軸部72が床面Xに当接されなくなるので、シャッタ61の被押圧部66が押圧部材71に押圧されなくなる。これに応じて、シャッタ61が、付勢部材62の付勢力によって開位置に戻る(図17(a)参照)。
このように、掃除機本体2が収納状態にないとき(掃除機の運転中)には、シャッタ61が付勢部材62に付勢されることで開くので、開放された噴出口23から電解水ミストを放出することができる(図17(a)参照)。一方で、掃除機本体2が収納状態にあるとき(掃除機の運転が停止されたとき)、シャッタ61が閉じて噴出口23が塞がれるので、タンク28(図2参照)の水が噴出口23から漏れ出たり、外部の塵埃が噴出口23から掃除機本体2内に侵入して超音波振動子39に付着したりするような不具合を防止できる(図17(b)参照)。
【0088】
図18(a)は、生成ユニット20の背面図であり、図18(b)は、生成ユニット20の右側面図である。図19(a)は、通常状態にある掃除機本体2の後側部分の右側面図であり、図19(b)は、図19(a)において掃除機本体2を起立させた状態を示している。
次に、前述した水位センサ31について説明する。
【0089】
図18(b)を参照して、水位センサ31は、タンク28内の電解室34に収納されて、電解室34における水の水位を検知する。詳しくは、水位センサ31は、その下端部が水に触れないことによって、電解室34の水不足を検知する。
水位センサ31は、上下方向に細長く前後に薄い板状である。水位センサ31は、背面視において、1対の電極30と重なるように、これらの電極30に対して間隔を隔てた前側(図18(b)では左側)の位置に配置されている。つまり、水位センサ31は、1対の電極30よりも、掃除機本体2の筐体4の後面13から離れた位置にある(図19参照)。また、水位センサ31の下端は、電解室34の上下方向中央よりやや下寄りの位置にある。
【0090】
図19(a)を参照して、掃除機本体2が通常状態にあって電解室34に所定水位まで水が溜まっている場合、水位センサ31の下端部は、電解室34に所定水位まで溜まった水の水面Tより下にあって、電解室34の水に浸かっている。水位センサ31は、下端部が電解室34の水に浸かることによって通電され、これにより、電解室34に所定水位まで水が溜まっていることを検知する。
【0091】
逆に、電解室34の水位が所定水位より低くなると、水位センサ31は、電解室34における水面Tよりも上方に離れてしまう。これにより、水位センサ31に水が触れなくなるので、水位センサ31は通電されなくなる。そのため、水位センサ31は、電解室34に所定水位まで水が溜まっていないこと(電解室34の水不足)を検知する。
電解室34に所定水位まで水が溜まっていない状態では、電極30や超音波振動子39(図2参照)が水に触れていない。この状態で電極30や超音波振動子39に電圧が印加されると、電解水やミストが生成されないばかりでなく、電極30や超音波振動子39が発熱して破損しまう虞がある。そこで、掃除機本体2では、水位センサ31が水に触れなくなると、電極30や超音波振動子39への電圧の印加(つまり、生成ユニット20の運転)が停止するようになっている。具体的には、掃除機本体2に設けられた制御部100(後述する図31参照)が、水位センサ31が水に触れなくなったこと(水位センサ31が電解室34の水不足を検知したこと)に応じて、生成ユニット20の運転を停止させる。このような構成によって、水不足にもかかわらず生成ユニット20が運転されることが防止され、電極30や超音波振動子39の保護が図られている。
【0092】
そして、図19(b)に示すように掃除機本体2が起立して収納状態にある場合、電解室34の水面Tが床面Xや水位センサ31と平行になり、水位センサ31全体が電解室34の水の水面Tより高い位置に配置されて水に触れなくなる。これに伴い、生成ユニット20の運転が停止される。詳しくは、水位センサ31が水に触れなくなるので、これに応じて、制御部100(図31参照)が、生成ユニット20の運転を停止させる。よって、掃除機本体2が収納状態にあるにもかかわらず生成ユニット20が運転されることを防止できる。
【0093】
また、仮に超音波振動子39が水に触れていた場合において、掃除機本体2が収納状態にあるにもかかわらず超音波振動子39がミストを発生させて床面Xに吹き付けて床面Xを濡らすといった不具合も防止できる。
このように、掃除機本体2が収納状態にある場合に生成ユニット20が運転されないようにするために、掃除機本体2が収納状態にある場合において、水位センサ31を、電解室34の水面Tから上方に離れるように配置するとよい。
【0094】
図20(a)は、生成ユニット20および電動送風機9の背面図であって、一部を断面で示しており、図20(b)は、図20(a)の要部拡大図であって、図20(c)は、図20(b)においてボール弁80が浮上した状態を示している。
図20(a)を参照して、前述した電動送風機9からの排気を生成ユニット20の電解室34内に導く導入パイプ27と、電解室34(タンク28)との接合部分には、前述したテミッシュ(登録商標)で構成された第2フィルタ部材77が介挿されている。そのため、電解室34内の水が導入パイプ27を通って電動送風機9へ漏れ出ることを防止できる。なお、第2フィルタ部材77は、導入パイプ27と電解室34(タンク28)との接合部分に限らず、導入パイプ27や連結パイプ26の途中に配置されていてもよい。
【0095】
そして、電動送風機9を収納するモータカバー25と導入パイプ27との間をつなぐ連結パイプ26は、その途中において、導入パイプ27につながるメインパイプ26Aと、サブパイプ26Bとに分岐している。
図20(b)を参照して、サブパイプ26Bは、円管状であり、背面視で左側へ延びた後に略直角に折れ曲って上方へ延びている。サブパイプ26Bの上端部には、内部を外部に連通させる連通口78が形成されている。
【0096】
また、サブパイプ26Bの上端部の内周面において、連通口78より下側には、上側へ向けて拡径される円錐面79が形成されている。そして、サブパイプ26Bの上端部には、球状のボール弁80が内蔵されている。ボール弁80は、サブパイプ26Bの上端部の内部で上下にスライド可能であり、常態では、自重によって、円錐面79に上から接触している。これにより、サブパイプ26Bの内部は、ボール弁80と円錐面79との接触箇所においてボール弁80によって上から塞がれている。なお、この状態で、ボール弁80は、サブパイプ26Bの内周面において円錐面79以外の部分には接触していない。
【0097】
そして、電動送風機9では、吸引力を調整することができ、吸引力の変化に応じて、電動送風機9から吐出される排気の圧力が変動する。排気の一部は、前述したようにモータカバー25の内部から連結パイプ26(メインパイプ26A)および導入パイプ27を通って、電解室34内の水を押し下げる(図20(a)参照)。これによって、電解室34内の水が吸上げパイプ47を通って超音波振動子39に到達してミストとなり、排気の圧力によって機外へ放出される(図2参照)。
【0098】
ここで、電動送風機9から吐出される排気の圧力が変動しても、ミストを一定の勢いで機外へ放出したい。そこで、前述したボール弁80が機能する。
詳しくは、電動送風機9から吐出された排気の一部は、連結パイプ26を通るのだが、この排気は、連結パイプ26において、メインパイプ26Aだけでなく、サブパイプ26Bにも流入する(図20(a)参照)。サブパイプ26Bに流入した排気は、円錐面79に上から接触しているボール弁80を下から押す(図20(b)の太線矢印参照)。この際、排気の圧力が所定の大きさより小さければ、排気がボール弁80を押しても、ボール弁80は動かない。
【0099】
一方、排気の圧力が所定の大きさ以上であれば、排気がボール弁80を押すことで、図20(c)に示すように、ボール弁80は、今まで円錐面79に接触していた位置から浮上する。これにより、ボール弁80と円錐面79との間に、隙間Zが形成されるので、排気は、隙間Zを通ってサブパイプ26Bの上端部に至り、連通口78から外部(連結パイプ26の外部)へ放出される(図20(c)の太線矢印参照)。これにより、連結パイプ26内の排気の圧力が、前記所定の大きさより小さくなる。
【0100】
このように、ボール弁80は、いわゆる逃がし弁または気圧変動弁として機能するので、電動送風機9から吐出される排気の圧力が変動しても、メインパイプ26Aから電解室34内へ流入する排気の圧力を前記所定の大きさより小さくなるように維持する。これにより、生成ユニット20では、ミストを常に一定の勢いで機外へ放出することができる(図2参照)。
【0101】
また、掃除機本体2が転倒した場合には、ボール弁80が自重によって円錐面79から離れるので、上述した隙間Zが形成される。そのため、電動送風機9から吐出されて連結パイプ26に流入した排気は、この隙間Zを介して連通口78から外部に排出され、電解室34内に流入しない。そのため、掃除機本体2が転倒した状態で生成ユニット20からミストが放出されることを防止できる。
【0102】
なお、前述した逃がし弁を構成できるのであれば、ボール弁80以外の公知の構成を用いることができる。
また、図10に示すように、生成ユニット20の吸上げパイプ47の内部に、球状のボール弁81を移動自在に配置してもよい。ボール弁81は、電解室34内に排気が流入していない状態では、吸上げパイプ47の内部を塞いでいるので、電解室34の水が吸上げパイプ47から超音波振動子39に到達して超音波振動子39の貫通孔41(図7参照)から漏れることはない。一方、電解室34内に排気が流入すると、この排気にボール弁81が押し上げられてボール弁81と吸上げパイプ47の内周面との間に隙間が形成される。これにより、排気に押されて電解室34から吸上げパイプ47内に流入した水は、ボール弁81と吸上げパイプ47の内周面との隙間を通って超音波振動子39に至り、ミストとなって機外へ放出される。つまり、ボール弁81を設けることによって、電解室34内に排気が流入していない状態では、電解室34の水が超音波振動子39から漏れ出ないようにしてもよい。
【0103】
図21(a)は、生成ユニット20の背面図であって、一部を断面で示しており、図21(b)〜(d)は、図21(a)のB−B矢視断面図である。
電解室34における水の水位を検知するために、前述した水位センサ31(図18および図19参照)とは別の構成の水位検知ユニット82を用いることができる。
図21(b)を参照して、この水位検知ユニット82は、フロート83と、反射部材84と、1対の光学式センサ85A,85Bとを備えている。
【0104】
反射部材84は、光を反射することができる材料で形成された糸状または帯状(フィルムシート状)であり、上下に延びた状態で、下端部が電解室34の底につながれ、上端部がフロート83につながれている。フロート83は、電解室34内の水の水位(水面T)の変化に応じて上下し、これに応じて反射部材84が伸縮して、上下の長さを変化させることができる。光学式センサ85A,85Bのそれぞれは、赤外線LED等から構成される発光素子(図示せず)と、発光素子(図示せず)によって水平方向へ発光された光のうち、反射部材84に当たって反射した光を受ける受光素子(図示せず)とを備えている。光学式センサ85A,85Bのうち、光学式センサ85Aは、光学式センサ85Bよりも高い位置に配置されている。
【0105】
図21(b)に示すように、水が電解室34に所定水位以上溜められている状態(満水状態)では、光学式センサ85A,85Bのいずれも、高さ方向において反射部材84と一致している。この場合、光学式センサ85A,85Bのいずれにおいても、発光素子(図示せず)が発光した光が反射部材84で反射されて受光素子(図示せず)で受光されるようになっている。水位検知ユニット82は、光学式センサ85A,85Bのいずれにおいても、反射部材84で反射された光が受光素子で受光されることによって、満水状態を検知する。
【0106】
一方、図21(c)に示すように、満水状態から水位が所定量だけ下がると、電極30が電解室34の水に十分に浸っておらず、この状態で電極30に電圧が印加されても、電解水を生成できないだけでなく、電極30が発熱して破損する虞があるので、電極30への電圧の印加を停止して電極30を保護する必要がある。このときの水位を、電極保護水位という。
【0107】
このとき、上側の光学式センサ85Aは、反射部材84より高い位置にあって、下側の光学式センサ85Bは、引き続き、高さ方向において反射部材84と一致している。この場合、光学式センサ85Bのみにおいて、発光素子(図示せず)が発光した光が反射部材84で反射されて受光素子(図示せず)で受光される。水位検知ユニット82は、光学式センサ85Bのみにおいて、反射部材84で反射された光が受光素子で受光されることによって、現在の水位が電極保護水位にあることを検知する。これに応じて、後述する制御部100(図31参照)が、電極30への電圧の印加を停止する。ただし、水位が電極保護水位にある場合には、超音波振動子39においてミストを発生するのに十分な電解水が電解室34にあるので、超音波振動子39に対する電圧パルスの印加は停止されず、ミストMは継続的に放出されるようになっている(図2参照)。
【0108】
そして、図21(d)に示すように、電解室34において、水位が電極保護水位よりも下がって水がほとんどなくなった状態(渇水状態)では、光学式センサ85A,85Bのいずれも、高さ方向において反射部材84と一致していない。この場合、光学式センサ85A,85Bのいずれにおいても、発光素子(図示せず)が発光した光が反射部材84で反射さず、そのため、受光素子(図示せず)で受光されない。水位検知ユニット82は、光学式センサ85A,85Bのいずれにおいても、発光素子が発光した光が受光素子で受光されないことによって、渇水状態を検知する。この場合、超音波振動子39においてミストを発生するための電解水が電解室34にほとんどないので、超音波振動子39の保護のため、超音波振動子39に対する電圧パルスの印加が停止される。
【0109】
このように、水位検知ユニット82によれば、満水状態や渇水状態だけでなく、その途中の状態(電極保護水位)を検知することができるので、電解室34における各水位に応じた適切な処理を行うことができる。適切な処理とは、満水状態では、電極30および超音波振動子39の両方に対して電圧を印加し、水位が電極保護水位にあるときには、電極30に対する電圧の印加だけを停止し、渇水状態では、電極30および超音波振動子39の両方に対する電圧の印加を停止することである。
【0110】
図22は、掃除機本体2の後側部分の右側面図であって、生成ユニット20を含む一部を断面で示している。図23は、図22においてカバー22を開く方向へ回動させ始めた状態を示している。図24は、図23においてカバー22を開く方向へ更に回動させた状態を示している。図25は、図24においてカバー22を閉じる方向へ回動させた状態を示している。
【0111】
図22を参照して、生成ユニット20が掃除機本体2の筐体4に装着された状態において、生成ユニット20の接続端子33に対して、筐体4の本体端子49が下から接続されていて、生成ユニット20の導入パイプ27の他端部27Bに対して、筐体4の連結パイプ26が下から接続されている。
ここで、カバー22の下端部の回動軸22Aは、生成ユニット20の後下側の端部に対して、後側(図22における右側)から隣接している。そして、カバー22の下端部には前側へ突出するように延びた係合部22Bが一体的に設けられている。カバー22が閉じている状態において、係合部22Bは、生成ユニット20の後下側の端部の下側に潜り込んでいる。また、L字状のカバー22において略水平方向に延びている上側部分の下面には、下側へ突出するリブ22Cが一体的に設けられている。カバー22が閉じている状態において、リブ22Cは、生成ユニット20を上から押し付けており、これによって、接続端子33と本体端子49との接続状態、および、導入パイプ27の他端部27Bと連結パイプ26との接続状態が強固に維持されている。
【0112】
このように閉じた状態にあるカバー22を後側へ引くと、カバー22は、回動軸22Aを中心として後側(図22では時計回りの方向)へ回動し始める。すると、図23に示すように、カバー22の一部として回動する係合部22Bが、生成ユニット20の後下側の端部を下から押し上げる。これにより、生成ユニット20全体が上昇し、接続端子33が本体端子49から上側へ外れ始め、導入パイプ27の他端部27Bが連結パイプ26から上側へ外れ始める。
【0113】
そして、更に同じ方向へカバー22を回動させると、係合部22Bが生成ユニット20を更に押し上げる。これにより、図24に示すように、生成ユニット20全体が更に上昇し、接続端子33が本体端子49から上側へ完全に外れ、導入パイプ27の他端部27Bが連結パイプ26から上側へ完全に外れる。これにより、生成ユニット20は筐体4から完全に外れるので、離脱された生成ユニット20のメンテナンス(タンク28への水の補給等)が可能となる。
【0114】
一方、メンテナンス後の生成ユニット20を図24の位置にセットしてから、今までとは逆の方向へカバー22を回動させると、図25に示すように、係合部22Bが生成ユニット20から下側へ離間する一方で、カバー22の上側のリブ22Cが、生成ユニット20を上から押さえ付ける。これにより、生成ユニット20全体が下降し、その際、接続端子33が本体端子49に対して上側から接近するとともに、導入パイプ27の他端部27Bが連結パイプ26に対して上側から接近する。同じ方向へカバー22を更に回動させると、図23に示すように、生成ユニット20が更に下降し、接続端子33が本体端子49に対して上側から接続され始めるとともに、導入パイプ27の他端部27Bが連結パイプ26に対して上側から接続され始める。そして、図22に示すように、同じ方向へカバー22を更に回動させると、生成ユニット20が下降を停止し、その際、接続端子33が本体端子49に対して完全に接続され、導入パイプ27の他端部27Bが連結パイプ26に対して完全に接続される。
【0115】
図26(a)は、第1の構成に係る超音波振動子39の平面図であり、図26(b)は、図26(a)の超音波振動子39の断面図である。
次に、超音波振動子39について詳説する。
図26を参照して、超音波振動子39は、厳密には、前述した貫通孔41が形成された円板状の金属板87と、金属板87の一方の側面に導電接着剤88で接着された円環状の圧電体89と、金属板87および圧電体89のそれぞれに対して半田で接続される1対の配線90A,90Bとを含んでいる。金属板87の材料として、ステンレス等を用いることができる。導電接着剤88は、導電性を有する接着剤であり、たとえば、ドータイト(登録商標)が挙げられる。
【0116】
圧電体89は、たとえば、圧電セラミックで形成されており、電圧パルスが印加されると振動する。圧電体89の外径は、金属板87の外径より小さく、圧電体89の中空部分から、全ての貫通孔41が露出されている。圧電体89において金属板87に接着された側とは反対側の側面には、銀を焼結させることで構成された電極91が形成されている。
配線90A,90Bは、絶縁性を有するカバー92で覆われている。配線90Aにおいて、カバー92が剥かれることで露出された先端部分が、金属板87の前記一方の側面において圧電体89よりも径方向外側の部分に対して、半田によって接続されている(図26(a)参照)。配線90Bにおいて、カバー92が剥かれることで露出された先端部分が、圧電体89の電極91に対して、半田によって接続されている。この状態で、配線90A,90Bにおいて、カバー92で覆われている部分は、略平行に延びている(図26(a)参照)。
【0117】
配線90A,90B間で電流が流れると、圧電体89に電圧パルスが印加されて振動する。これによって、前述したように超音波振動子39全体が振動する。
ここで、銀の焼結体である電極91が比較的脆いので、運転時に生じる振動で配線90Bが引っ張られたり、メンテナンス時に配線90Bが引っ張られたりすることにより、配線90Bの先端93が電極91から外れてしまう虞がある。
【0118】
そこで、配線90Bの先端部(カバー92に覆われていない部分)を比較的長めにして、配線90Bの先端部の途中部分94を、絶縁性を有する接着剤95(シリコンボンド等)によって、金属板87の前記一方の側面において圧電体89よりも径方向外側の部分に対して接着する。
こうすれば、配線90Bが引っ張られても、配線90Bを引っ張る力は、配線90Bの途中部分94で受け止められて、先端93まで届かない。また、配線90Bにおいてカバー92に覆われている部分の荷重も途中部分94で受け止められて、先端93まで届かない。そのため、配線90Bの先端93が電極91から外れてしまうことを防止できる。これにより、配線90Bの先端93と電極91との電気的接続状態を、安定した状態で保つことができる。
【0119】
図27(a)は、第2の構成に係る超音波振動子39の平面図であり、図27(b)は、図27(a)の超音波振動子39の断面図である。図28(a)は、第3の構成に係る超音波振動子39の平面図であり、図28(b)は、図28(a)の超音波振動子39の断面図である。図29(a)は、第4の構成に係る超音波振動子39の平面図であり、図29(b)は、図29(a)の超音波振動子39の断面図である。図30は、図29(b)において破線円で囲まれた部分の拡大図である。
【0120】
また、図26とは別の構成として、図27に示す第2の構成、図28に示す第3の構成、図29に示す第4の構成が挙げられる。
図27に示す第2の構成では、電極91にステンレス等の金属板96を導電接着剤88で貼り付け、この金属板96に対して、配線90Bの先端93を半田で接続している。平面視で、金属板96は、配線90Bの先端93よりも大きく、金属板96の略中央部分に配線90Bの先端93が接続されている。配線90Bの先端93は、電極91に接続される場合に比べて、金属板96に対して強固に接続されている。
【0121】
こうすれば、配線90Bが引っ張られても、配線90Bの先端93が金属板96から外れることはない。また、先端93が電極91に接続される場合よりも広い接触面積で金属板96が電極91に接続されているので、配線90Bを引っ張る力は、金属板96において分散されて低減されるので、金属板96が電極91から剥がれることもない。そのため、配線90Bの先端93が電極91から外れてしまうことを防止できる。これにより、配線90Bの先端93と電極91との電気的接続状態を、安定した状態で保つことができる。
【0122】
図28に示す第3の構成では、配線90Bの先端93を、電極91に対して、半田でなく、導電接着剤88で接着する。導電接着剤88は、固まった状態において弾性を有しているので、配線90Bが引っ張られても、配線90Bの先端93と電極91との間で弾性変形することによって、配線90Bを引っ張る力を緩和する。そのため、配線90Bの先端93が電極91から外れてしまうことを防止できる。これにより、配線90Bの先端93と電極91との電気的接続状態を、安定した状態で保つことができる。
【0123】
図29に示す第4の構成では、フレキシブルケーブル97が用いられる。フレキシブルケーブル97は、可撓性を有するシート状であり、金属板87と圧電体89との段差に沿ってクランク状に折れ曲がっている。図30に示すように、フレキシブルケーブル97は、導電性を有するシート状の導体98と、導体98を被覆する絶縁膜99とを含んでいる。そして、図30の姿勢を基準として、導体98の左端部において絶縁膜99に被覆されていない下面が、導電接着剤88によって電極91に接着されていて、導体98の右端部において絶縁膜99に被覆されていない上面に対して配線90Bの先端93が接続されている。
【0124】
ここで、配線90Bは、弾性を有する金属の板ばねであり、先端93は、導体98の右端部において絶縁膜99に被覆されていない上面に対して、弾性的に接続されている。そのため、配線90Bが振動等によって動いても、配線90Bの先端93が、導体98の右端部において絶縁膜99に被覆されていない上面に対して摺動するだけであり、フレキシブルケーブル97が電極91から剥がれることはない。そのため、配線90Bが動いても、配線90Bの先端93と電極91との電気的接続状態は、安定した状態で保たれている。なお、もう一方の配線90Aも板ばねであって、金属板87に対して弾性的に接続されていてもよい(図29(b)参照)。
【0125】
図31は、電気掃除機1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
次に、図31を参照して、電気掃除機1の電気的構成について説明する。
電気掃除機1は、制御部100(停止手段、運転制御手段、印加手段、禁止手段)を備えている。制御部100は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。
【0126】
制御部100には、前述した電動送風機9、生成ユニット20およびミストスイッチ50が電気的に接続され、さらに、強弱スイッチ101(選択操作部)および計時部102が電気的に接続されている。
制御部100は、ユーザによってミストスイッチ50が操作されること(ONされること)に応じて、生成ユニット20の運転(電極30への電圧の印加および超音波振動子39への電圧パルスの印加)を開始する。
【0127】
強弱スイッチ101は、電動送風機9の吸引力を調整する際にユーザによって選択操作される部分(つまみ)であり、掃除機本体2(図2参照)の天面等に設けられている。強弱スイッチ101は、強ノッチ101Aと弱ノッチ101Bとに切り替え可能である。強弱スイッチ101が強ノッチ101Aに切り替えられれば、制御部100は、相対的に大きな吸引力が発生するように、電動送風機9を強運転させる。強弱スイッチ101が弱ノッチ101Bに切り替えられれば、制御部100は、相対的に小さな吸引力が発生するように、電動送風機9を弱運転させる。つまり、電動送風機9の運転は、強運転と弱運転とに切り替え可能であり、強弱スイッチ101を操作することによって電動送風機9の運転を選択することができる。
【0128】
ここで、強運転において相対的に大きな吸引力が発生する場合、電動送風機9からの排気の圧力が相対的に大きくなり、弱運転において相対的に小さな吸引力が発生する場合、電動送風機9からの排気の圧力が相対的に小さくなる。前述したように、タンク28内に取り込まれた電動送風機9の排気の圧力によってタンク28内の電解水が超音波振動子39に供給されることから(図2および図5参照)、超音波振動子39に水が届いていない状態では、電動送風機9の運転が強運転および弱運転のいずれであるかに応じて、タンク28内の電解水が超音波振動子39に供給されるタイミングが変わってくる。
【0129】
また、生成ユニット20は、電動送風機9の排気の圧力でミストを機外へ放出するので、ユーザによってミストスイッチ50がONされたことに応じて、制御部100は、生成ユニット20の運転を開始すると同時に、電動送風機9を強運転または弱運転させる。
計時部102は、計時を行う。
図32は、電気掃除機1において実施される処理の手順を示すフローチャートである。図33は、電動送風機9および生成ユニット20のそれぞれの動作状態を示すタイムチャートである。
【0130】
次に、図32を参照して、制御部100(図31参照)が行う処理について説明する。
制御部100は、ミストスイッチ50がONされたか否かを監視している(ステップS1)。ミストスイッチ50がONされると(ステップS1でYES)、制御部100は、強弱スイッチ101(図31参照)が強か弱か(つまり、強ノッチ101Aおよび弱ノッチ101Bのどちらが選択されているか)を確認する(ステップS2)。
【0131】
強ノッチ101Aが選択されていれば、制御部100は、電動送風機9の強運転を開始する一方で、ミストスイッチ50がONされたにもかかわらず、生成ユニット20の運転を停止(OFF)させている(ステップS3)。これにより、電動送風機9の排気が生成ユニット20の電解室34内に流入するものの、ミストが機外へ放出されることはない(図2参照)。
【0132】
そして、計時部102(図31参照)の計時に基づいて、ミストスイッチ50がONにされてから所定時間(ここでは、3秒)が経過すると(ステップS4でYES)、制御部100は、生成ユニット20の運転を開始(ON)する(ステップS5)。これにより、電動送風機9の排気の圧力でミストMが機外へ放出される(図2参照)。
そして、ユーザがミストの放出を終了しようとした場合には、ミストスイッチ50をOFFにする。ミストスイッチ50がOFFになると(ステップS6でYES)、制御部100は、生成ユニット20の運転を停止(OFF)する(ステップS7)。これにより、ミストの放出が終了する。なお、このとき、制御部100は、電動送風機9の運転を停止させてもよい。
【0133】
一方、ミストスイッチ50がONされたとき(ステップS1でYES)、弱ノッチ101Bが選択されていれば、制御部100は、電動送風機9を、弱運転でなく、強運転で運転させ始める一方で、ミストスイッチ50がONされたにもかかわらず、生成ユニット20の運転を停止(OFF)させている(ステップS8)。これにより、電動送風機9の排気が生成ユニット20の電解室34内に流入するものの、ミストが機外へ放出されることはない(図2参照)。
【0134】
そして、計時部102の計時に基づいて、ミストスイッチ50がONにされてから3秒経過すると(ステップS9でYES)、制御部100は、電動送風機9の運転を強運転から弱運転に切り替えるとともに、生成ユニット20の運転を開始(ON)する(ステップS10)。これにより、電動送風機9の排気の圧力でミストMが機外へ放出される(図2参照)。
【0135】
この後、ミストスイッチ50がOFFになると(ステップS6でYES)、制御部100は、生成ユニット20の運転を停止(OFF)する(ステップS7)。これにより、ミストの放出が終了する。なお、このとき、制御部100は、電動送風機9の運転を停止させてもよい。
このように、ステップS8〜S10の処理によって、図33のタイムチャートを参照して、弱ノッチ101Bが選択されていた場合においてミストスイッチ50がONされると、ミストスイッチ50がONされてから3秒間は、強制的に、電動送風機9が強運転されるともに、生成ユニット20がOFFにされる。そして、ミストスイッチ50がONされてから3秒が経過すると、電動送風機9の運転が弱運転に切り替えられ、生成ユニット20がONにされる。
【0136】
一方、強ノッチ101Aが選択されていた場合においてミストスイッチ50がONされた場合には、ミストスイッチ50がOFFにされるまでのいずれのタイミングにおいても、電動送風機9が強運転される一方で、ミストスイッチ50がONされてから3秒間は、生成ユニット20がOFFにされる(図32のステップS3)。そして、ミストスイッチ50がONされてから3秒が経過すると、生成ユニット20がONにされる(図32のステップS5)。
【0137】
つまり、ミストスイッチ50がONされた場合には、強ノッチ101Aおよび弱ノッチ101Bのいずれが選択されていても、ミストスイッチ50がONされてから3秒間は、制御部100が電動送風機9を強運転で運転させるので、比較的圧力の大きな排気が電解室34内に流入する。これにより、電解室34内や吸上げパイプ47内に元からあった空気が超音波振動子39の貫通孔41(図7参照)から機外へ押し出されて、その代わりに、電解室34内の電解水が速やかに超音波振動子39に到達する(図2参照)。
【0138】
また、この3秒間は、水がない状態で超音波振動子39が振動して発熱によって故障することを防止するために、超音波振動子39の振動(生成ユニット20の運転)を停止している(図32のステップS3およびステップS8)。つまり、制御部100は、ミストスイッチ50が操作されてから3秒間の所定時間が経過するまでは、超音波振動子39への電圧パルスの印加を禁止する。そして、この3秒が経過すると、超音波振動子39が振動することによって(図32のステップS5およびステップS10)、超音波振動子39に到達した電解水によってミストMが生成されて機外へ放出される(図2参照)。つまり、タンク28内の電解水が超音波振動子39に供給されるまでは、超音波振動子39に電圧パルスが印加されないので、電解水が供給されない状態で超音波振動子39に電圧パルスが印加されることに起因して超音波振動子39が故障するといった不具合を防止できる。
【0139】
そして、このようにすることで、ミストスイッチ50がONされた場合には、強ノッチ101Aおよび弱ノッチ101Bのいずれが選択されていても、同じタイミングでミストMを機外へ放出させ始めることができる(図2参照)。
この3秒間は、電動送風機9を強運転させた場合に電解室34内の電解水を超音波振動子39に到達させるのに必要な時間であるが、代わりに、電動送風機9を弱運転させた場合には、電解室34内の電解水を超音波振動子39に到達させるために20秒程度かかる。そのため、ミストスイッチ50がONされて弱ノッチ101Bが選択された場合に、電動送風機9を弱運転させると、電動送風機9を強運転させる場合に比べて、タイムラグが生じ、ユーザに違和感を与える虞がある。なお、この3秒間という所定時間は、電動送風機9の性能に応じて適宜設定される。
【0140】
そこで、ミストスイッチ50がONされた場合には、強ノッチ101Aおよび弱ノッチ101Bのいずれが選択されていても、ミストスイッチ50がONされてから3秒間は、電動送風機9を強運転させて、タンク28内の電解水を常に同じタイミング(3秒が経過したタイミング)で、速やかに、超音波振動子39に供給させている。そして、3秒経過直後に超音波振動子39を振動させることにより、常に一定のタイミングでミストMを放出させることができる(図2参照)。この場合、ユーザは、ミストスイッチ50を操作する際に、強弱スイッチ101の操作によって電動送風機9の運転を強運転および弱運転のいずれかに選択していても、前述したタイムラグがほとんどなく、常に同じタイミングで、電解水ミストMが放出されるので、違和感を覚えずに済む。よって、使い勝手の向上を図ることができる。
【0141】
そして、この3秒間の所定時間が経過すると、制御部100が、電動送風機9を、ユーザによって予め強弱スイッチ101で選択されていた強運転および弱運転のいずれかで運転させる(ステップS5およびステップS10)。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
9 電動送風機
13 後面
20 電解水ミスト生成ユニット
23 噴出口
26 連結パイプ
28 タンク
30 電極
39 超音波振動子
39A 前側面
39B 後側面
41 貫通孔
50 ミストスイッチ
100 制御部
101 強弱スイッチ
M 電解水ミスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機が内蔵され、一側面に電解水ミストの噴出口が設けられた掃除機本体と、前記掃除機本体に内蔵され、前記噴出口から電解水ミストを噴出させるために電解水ミストを生成する電解水ミスト生成ユニットとを備え、
前記電解水ミスト生成ユニットは、
内部に水を溜めることができ、連結路を介して前記電動送風機に結合されており、前記電動送風機の排気の一部を前記連結路によって内部に取り込むことができるタンクと、
前記タンクの水を電気分解して電解水とするための電極と、
多数の貫通孔が形成された板状であって、一方の側面が前記タンク内に連通して他方の側面が前記噴出口を介して前記掃除機本体の一側面から露出された状態で前記タンクに取り付けられており、電圧パルスが印加されることにより、前記タンク内に取り込まれた排気の圧力によって供給された電解水から電解水ミストを発生させて前記貫通孔から噴出させるための超音波振動子と、
を含み、
前記電動送風機の運転は、排気の圧力が相対的に大きい強運転と、排気の圧力が相対的に小さい弱運転とに切り替え可能であり、
前記電動送風機の運転を選択するために操作される選択操作部と、
前記電解水ミスト生成ユニットの運転を開始するために操作される開始操作部と、
前記開始操作部が操作されてから所定時間が経過するまでは、前記電動送風機を前記強運転で運転させ、前記所定時間が経過すると、前記電動送風機を、前記選択操作部で選択された運転で運転させる運転制御手段と、
を含むことを特徴とする、電気掃除機。
【請求項2】
前記超音波振動子に電圧パルスを印加する印加手段と、
前記開始操作部が操作されてから前記所定時間が経過するまでは、前記印加手段による電圧パルスの印加を禁止する禁止手段と、
を含むことを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−29803(P2012−29803A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171026(P2010−171026)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】