説明

電気掃除機

【課題】
低濃度のオゾンでも十分に脱臭・除菌を行うように構成し、ユーザにオゾン臭による不快感を与えることが無い、衛生性に優れる電気掃除機を提供する。
【解決手段】
電動送風機54と吸引口1との間に集塵ユニット50を配置し、集塵ユニット50と電動送風機54との間に集塵フィルタ部53を設け、集塵ユニット50の下流側でかつ集塵フィルタ部53の上流側にオゾン発生デバイス63を備えるとともに集塵フィルタ部53は金属イオンを含有するようにして構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機内の脱臭及び除菌を実行し、掃除機内部をクリーンに保つ機能を有する電気掃除機に関し、特にオゾンを活用することにより脱臭効率及び除菌効率を向上させた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電気掃除機を複数回使用してから、集塵部に蓄積された塵埃等のゴミを廃棄することが多い。したがって、集塵部にゴミが長期間蓄積されることになる。そのために、ゴミに含まれている臭気成分及び雑菌が掃除機内部で繁殖し、掃除機内の衛生性が損なわれることになってしまう。
【0003】
このようなことを低減するために、電気掃除機にオゾン発生手段を設け、簡単な操作でオゾンを発生させることにより、脱臭機能及び除菌機能等の技術を備えるようにした電気掃除機が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。オゾン(O3)は、非常に不安定で、酸素原子の一つを他の物質に与え、安定した酸素分子(O2)になろうとする特性を有している。つまり、オゾンは、強い酸化力を有するものであり、特許文献1に記載の電気掃除機は、オゾンの酸化力を利用することによって、掃除機内部の脱臭及び除菌等を行なうようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】特開平1−238815(第1−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電気掃除機では、集塵部である集塵袋内に長期間ゴミを保管するため、集塵部のゴミの脱臭、除菌効果を得るためには多量のオゾンを発生させる必要があり、脱臭・除菌を行う際に、電動送風機の動作により排気口から多量のオゾンが漏洩し、ユーザにオゾン臭による不快感を与えてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、係る課題を解決するためになされたもので、低濃度のオゾンでも十分に脱臭・除菌を行うように構成し、ユーザにオゾン臭による不快感を与えることが無い、衛生性に優れる電気掃除機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気掃除機は、電動送風機と吸引部との間に集塵部を配置し、前記集塵部と電動送風機との間に集塵フィルタを設け、前記集塵部の下流側でかつ集塵フィルタの上流側にオゾン発生デバイスを備えるとともに前記集塵フィルタは金属イオンを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電気掃除機によれば、電動送風機と吸引部との間に集塵部を配置し、集塵部と電動送風機との間に集塵フィルタを設け、集塵部の下流側でかつ集塵フィルタの上流側にオゾン発生デバイスを備えるとともに集塵フィルタは金属イオンを含有することで、脱臭・除菌を行う際に、電動送風機の動作により排気口から多量のオゾンが漏洩することを抑制することができ、十分な脱臭、除菌性能を有した、衛生性に優れる電気掃除機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の外観斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の電気掃除機本体の外観斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の掃除機本体の上面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の図2のa−a断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の図2のb−b断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の制御回路のブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の低濃度オゾンと銀イオンの除菌性能を示すグラフである。
【図8】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の集塵フィルタの銀イオンの添着量による除菌性能を示すグラフである。
【図9】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の低濃度オゾンと銀イオンの除菌メカニズムを示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機のオゾン発生デバイスの要部拡大図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機のオゾン発生デバイスの設置箇所によるオゾン発生率のグラフである。
【図12】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機のオゾン発生デバイスの放電電極のゴミ付着量とオゾン濃度との関係図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の集塵フィルタの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る電気掃除機について説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は本発明に係る電気掃除機100の外観を示す外観斜視図、図2は掃除機本体5の外観斜視図であり、図3は掃除機本体5の上面図である。また、図4は図2の掃除機本体5のa−a断面図であり、図5は図2の掃除機本体5のb−b断面図である。これをもって実施の形態1に係る構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、電気掃除機100は、吸込口体1と、吸引パイプ2と、接続パイプ3と、サクションホース4と、サイクロン方式の掃除機本体5とから構成されている。吸込口体1は床面上の塵埃及び含塵空気を吸い込む。吸込口体1の出口側には真直ぐな円筒状の吸引パイプ2の一端が接続されている。吸引パイプ2の他端には、電気掃除機100の運転を制御する操作スイッチ2aが設置された取手が設けられており、中途にて若干折れ曲がった接続パイプ3の一端が接続されている。接続パイプ3の他端には、可撓性を有する蛇腹状のサクションホース4の一端が接続されている。さらに、サクションホース4の他端側には、掃除機本体5と着脱自在にが接続されている。掃除機本体5には電源コードが接続されており、電源コードが外部電源に接続されることで、通電し、図示しない電動送風機が駆動されて吸引動作を行う。吸込口体1、吸引パイプ2、接続パイプ3およびサクションホース4は、含塵空気を掃除機本体5の外から内部に流入させるための吸引経路の一部を構成する。
【0013】
電気掃除機本体5について説明する。図2〜図5に示すように、電気掃除機本体5は、吸引風路49と、集塵ユニット50と、排気風路51と、オゾン発生部52と、集塵フィルタ部53と、電動送風機54と、排気フィルタ部55と、排気口56と、を備えている。その他に、掃除機本体5は、その後部において、車輪57、制御回路58、表示部59、集塵ユニット接続確認センサ60、ホース接続確認センサ61、集塵フィルタ部接続確認センサ75、コードリール部などを備えている。
集塵ユニット50は、一次サイクロン分離装置10と、この一次サイクロン分離装置10と並設され、かつ一次サイクロン分離装置10の下流側に接続された二次サイクロン分離装置20とから構成され、掃除機本体5に着脱可能な構成となっている。
一次サイクロン分離装置10は、一次流入口11と、一次旋回室12と、0次開口部113と、一次開口部13と、0次集塵室114と、一次集塵室14と、一次排出口15、一次排出管16と、を備えている。さらに、二次サイクロン分離装置20は、二次流入口21と、二次旋回室22と、二次開口部23と、二次集塵室24と、二次排出口25、二次排出管26と、を備えている。なお、上記の0次集塵室114と、一次集塵室14と二次集塵室24とは1つのケース部品により形成されているとともに、0次集塵室114は二次集塵室24を包囲するように配されている。
オゾン発生部52は、オゾン発生口62と、オゾン発生デバイス63にて構成されている。
集塵フィルタ部53は、少なくともオゾン発生デバイス52より発生されるオゾンと接触する上流面53aに金属イオン、例えば銀イオンが添着されている。
【0014】
掃除機本体5の内部に流入した空気を掃除機本体5の外部に排出する経路について説明する。
掃除機本体5の内部に流入した空気は、吸入風路49を経て一次サイクロン分離装置10に到達する。一次サイクロン分離装置10において、一次流入口11、一次旋回室12、一次排出口15の順に流れていき、該一次排出口15から排出された空気は一次排出管16を通って二次サイクロン分離装置20に到達する。二次サイクロン分離装置20において、二次流入口21、二次旋回室22、二次排出口25の順に流れていき、該二次排出口25から排出された空気は二次排出管26を通過して、排気風路51側へと流れていく。その後、該空気は、排気風路51、オゾン発生部52、集塵フィルタ部53、電動送風機54、排気フィルタ部55、排気口56からなる排気経路を経て掃除機本体5の外部に排出される構成となっている。
【0015】
図6は掃除機本体5に搭載される制御回路58のブロック図である。これを用いて電気掃除機100の動作について説明する。
【0016】
図6に示すように、制御回路58は、動作スイッチ2aと、集塵フィルタ部接続確認センサ75と、集塵ユニット接続確認センサ60と、ホース接続確認センサ61から受けた入力を処理する信号処理部64と、信号処理部64から命令を受け、外部の表示部59とオゾン発生デバイス63に入力を行うオゾン発生デバイス制御部65と、信号処理部64から命令を受け、電動送風機54に入力を行う電動送風機制御部66で構成される。
動作スイッチ2aのON/OFFと、集塵フィルタ部接続確認センサ75と、集塵ユニット接続確認センサ60と、ホース接続確認センサ61のONの信号により、信号処理部64が、表示部59と、オゾン発生デバイス制御部65と電動送風機制御部66に所定の命令を送り、オゾン発生デバイス63と電動送風機54の動作を制御する。
なお、オゾン発生デバイス制御部65はオゾン発生デバイス63の、電動送風機制御部66は電動送風機54に印加される電流を検知し、それぞれの電流閾値を設定することが可能であり、電流閾値によりオゾン発生デバイス63、電動送風機54の正常、異常を判断し、異常が起こった際に信号処理部64に対し、異常検知信号を送る機能を有している。
【0017】
次に、電気掃除機本体5のオゾン発生部52の動作について説明する。
先ず、動作スイッチ2aからの入力を受信しオゾン発生部52の動作が開始する。この動作スイッチ2aからの入力は、動作スイッチ2aの構成要素であるオゾン発生ボタン(図示せず)を押した時、あるいは掃除動作の開始ボタン(図示せず)が押された際に送信される。動作スイッチ2aからの入力を受信すると、集塵フィルタ部53が掃除機本体5に接続されているか、サクションホース4が掃除機本体5に接続されているか、集塵ユニット50が掃除機本体5に接続されているかを確認する。少なくともいずれかが接続されていないと判断されたら、表示部59にエラー表示をし、オゾン発生デバイス63の動作は停止される。この確認動作を行うことで、電気掃除機100が集塵動作を行うことが可能かどうかの確認を行っている。この、集塵フィルタ部53の接続、サクションホース4の接続及び集塵ユニット50の接続確認動作は電気掃除機100の集塵動作中も継続して実施されている。
【0018】
なお、オゾン発生デバイス63は、動作スイッチ2aによるオゾン発生デバイス63の動作信号や電動送風機制御部66の停止信号、オゾン発生デバイス制御部56や電動送風機制御部66からの異常検知信号が送信された場合は、表示部59のオゾン発生中の出力を停止し、オゾン発生デバイス63の動作の停止を行うこととする。
【0019】
次に、オゾン発生デバイス63から発生されるオゾンと集塵フィルタ53に添着された銀イオンによる除菌について説明する。
【0020】
本実施の形態1に係わる電気掃除機100は、電動送風機54と集塵フィルタ部53との間の空間Aにオゾン発生デバイス63を設置している。そして、オゾン発生部52は前記集塵フィルタ部53よりも上流側に配置されることから、オゾン発生部52内のオゾン発生デバイス63が動作して生成したオゾンは、電動送風機54の送風動作と共に、集塵フィルタ部53に導かれる。
このとき、生成されたオゾンは外部から吸引された空気により希釈される。一般的に、一般環境下でのオゾン濃度は0.05ppmまでは増加するとされる。本濃度の環境下では、殆どの人は不快に感じることはない。しかし、0.05ppmよりも上の濃度では徐々に不快に感じる人が増加し、オゾン濃度が0.1ppm以上であると、殆どの人が不快となる。
このことから、排気から排出されるオゾン濃度は、0.05ppm以下であることが望ましく、排出されるオゾン濃度は0.05ppm以下を保つ必要がある。
したがって、電動送風機54の送風動作と共にオゾンの発生を実施した場合、オゾン発生デバイス63から発生するオゾン量が吸引される空気により希釈されて掃除機本体100から排出されることから、除菌効果が得られるような濃度を空間Aで確保し、かつ使用者が不快に感じないようにするためには、オゾン発生デバイス63からのオゾン発生量は下記の(1)式に限定されるオゾン量が望ましい。
{単位時間当たりのオゾン発生量(mg/min)/吸引風量(m/min)}
*α*10≦0.05(ppm) (1)
α=単位物質量当たりの体積(L)/オゾンの分子量(g)
以上のことから、上記の式の条件を満たすように電気掃除機100を動作することで、オゾンによる除菌効果は得られ、かつ電気掃除機100内の菌数増加を抑制できる。
【0021】
このようにして発生されるオゾンは、電動送風機54の送風動作により外部から吸引された空気とともに集塵フィルタ部53に到達する。集塵フィルタ部53の上流面53aには、金属イオン、例えば銀イオンが添着されており、吸引された空気に含まれる租塵と共に、菌が捕捉されている。オゾンは、集塵フィルタ部53上にて捕捉されている菌と接触し、後述するような効果により菌を弱体化させ、銀イオンの除菌作用を高める。
図7は本実施の形態1に係る電気掃除機において、オゾン発生デバイス63からのオゾンの発生の有無、集塵フィルタ部53の銀イオンの添着の有無により、集塵フィルタ部53に繁殖する菌の減衰の経時変化を比較したグラフである。なお、ここで発生しているオゾンは低濃度で、前述する式(1)を満たす発生量である。図7の結果から未処理のフィルタ上の菌の時間減衰に対し、未処理のフィルタにオゾンを放出した際の菌の減衰量は48hで1桁であり、その除菌性能は誤差範囲に収まるものである。これに対し、銀イオンが添着された集塵フィルタ部53に対しオゾンを放出した際の菌数の減衰は、未処理のフィルタ上の菌数の時間減衰に対し、48hで、6桁以上の差が得られている。以上の結果から、明らかに除菌性能が向上していることがわかる。なお、オゾンの放出を行わず、銀イオンが添着されたフィルタのみの菌数の減衰を確認した場合、未処理のフィルタ上の菌数の時間減衰に対し、48hで、3桁減であり、これに対しても除菌性能に差があることが分かる。つまり、本結果から、オゾン単体では殆ど除菌性能が得られないような低濃度でも、銀イオンが添着された集塵フィルタ部53と併用を行うことで、除菌性能を得ることが可能であることが分かる。
次に、集塵フィルタ53の銀イオンの添着量による除菌性能について説明する。図8は本発明の実施形態1に係る銀イオン添着量に対する除菌性能を示すグラフである。
図に示すように、集塵フィルタ部53に添着する銀イオンの量は所定添着量と最大添着量の2条件で試験を行った結果、菌の自然減衰に対し、48h後の所定添着量では約3桁の除菌性能、最大添着量では5桁の除菌性能結果であった。これに対し、銀イオンが所定添着量の集塵フィルタ部53に低濃度オゾンを接触させた場合は6桁以上の除菌性能が得られた。
図9にオゾンと銀イオンの併用による除菌メカニズムについての模式図を図示する。図9に示すように、オゾンは菌に接触すると、直ちに細胞壁に作用する。ここで、オゾンが低濃度であると、菌の内部まで到達する程の効果は得られないため、除菌することは出来ない。しかし、細胞壁に集まることで、細胞壁にダメージを与えることがはできる。これを長時間行うことで、低濃度でもオゾンにより一部の菌は細胞壁を壊すことが出来るのである。ここで銀イオンが菌付近に存在すると、さらに、細胞壁の壊れた部分から銀イオンが菌の内部に浸透し、細胞内部のタンパク質或いは酵素に銀イオンが作用し菌を死滅させることが出来る。
このように、オゾンと銀イオンの併用によって、オゾンは細胞壁にダメージを与え、ダメージを受けた細胞壁から銀イオンが細胞内部に侵入して除菌を行うものであり、一定時間後に除菌性能が向上する。
【0022】
次に、集塵性能とオゾン脱臭性能の関係について説明する。
【0023】
本実施の形態1に係わる電気掃除機100の掃除機本体5は、電動送風機54への微細塵の入り込みを防止するため、電動送風機54よりも上流側に集塵フィルタ部53を有し、オゾン発生部52が集塵フィルタ部53よりも上流側に設置されている。そのため、臭いの発生源となる、吸引されたゴミや菌は殆ど集塵フィルタ部53にて捕集される。従って、オゾン発生部52から発生されるオゾンは集塵フィルタ部53に対して発生させることで、最も排気への脱臭性能を得ることが出来る。
【0024】
そして、オゾン発生デバイス63は、図5に示すように、集塵ユニット50からの風が直接当たらないように、空間Aの風洞から避ける箇所に設置するようにしている。これは、オゾン発生デバイス63が、図10に示すように、放電電極42が対向電極41に対して一定の電圧を与えることでオゾンが生成される構成となっているため、オゾン発生デバイス63に常に風が当たると、放電電極42に集塵ユニット50から流れてくる気流に含まれる塵埃が付着してしまい、放電に影響をもたらし、オゾン発生率が徐々に減ってしまう。図11は、オゾン発生デバイス63を風が当る箇所と当らない箇所に設置した場合のオゾン発生率を示すグラフであり、オゾン発生デバイス63は風が直接当てると、放電電極42が汚れて、オゾンの生成量は初期性能より減衰することが分かる。風に当らないところに設置すると、放電電極42が汚れにくく、オゾン生成量は初期値より落ちる又は落ちる傾向が遅くなっている。また、図12はオゾン発生デバイス63の放電電極42のゴミ付着量とオゾン発生率を示すグラフであり、オゾン発生デバイス63は一定時間運転すると、風に当る場合、放電電極42の先端に付着するゴミの量は風に当らない場合より約4倍も多くなることがわかっている。
したがって、オゾン発生デバイス63を風に当らない箇所に設置することで、オゾン発生デバイス63のオゾン発生率を高め、さらにオゾンをより長く発生し続けることができ、オゾンの安定供給を維持することができる。さらに、オゾン発生率を50%以上に維持することで、オゾン濃度の制御を正確に行うこともができる。
【0025】
また、図13は本発明の実施形態1に係る集塵フィルタ部53の形状を示す要部拡大図であり、集塵フィルタ部53はプリーツ加工して構成されている。このように集塵フィルタ部53をプリーツ形状とすることで、表面積を増加させてオゾン発生デバイス63から発生したオゾンと集塵フィルタ部53の上流面53aに添着されている銀イオンとをより多く接触させることができ、その結果集塵フィルタ部53の上流面53aにおいて菌の除菌も効率的に行うことができるものである。
【0026】
また、本実施の形態1に係わる電気掃除機100は、オゾン発生部52よりも上流側に、サイクロン構造の集塵ユニット50を有する。集塵ユニット50により、大きなゴミを事前に分離し、ある程度清浄化した空気をオゾン発生部52に流通させることで、オゾン発生部52へのゴミ付着を抑制し、ゴミ付着によるオゾン発生部56の故障を回避することが出来る。
また、上述したサイクロン構造の集塵ユニット50により大きなゴミを事前に分離し、ある程度清浄化された空気が集塵フィルタ部53に流通されるため、集塵フィルタ部53に付着するゴミ量を抑制することができ、臭気や菌の付着が抑制されるため、脱臭、除菌に必要なオゾン量が少なくて済む。
【0027】
また、集塵ユニット50は掃除機本体5から取外し可能であり、集塵ユニット50で捕集したゴミを容易に捨てることが可能な構造であることから、ユーザにゴミ捨てのメンテナンスを行ってもらうことで、排気臭、菌増加を抑制することが可能である。特にサイクロン構造を有しているため、紙パック式と比較するとゴミ捨てのメンテナンス期間が短く、排気臭、菌増加を抑制する効果が得られやすい傾向がある。
ただし、紙パック式と異なり、圧による負荷が高いサイクロン方式の電気掃除機の場合、集塵ユニット50の圧による負荷が大きい部分は、オゾンによる材料の酸化劣化による亀裂が生じやすくなり、空気漏れによる吸込み性能の低下が起こってしまう場合がある。そのため、集塵ユニット50がサイクロン構造を有している場合は、オゾン発生部52よりも上流側に、サイクロン構造の集塵ユニット50を有する必要がある。
【0028】
本実施の形態1に係わる電気掃除機100では、オゾン発生部52は、電動送風機54と連動し、電動送風機54の送風動作と共にオゾン発生部52が動作するよう制御されている。上述するような動作を行うことで、発生したオゾンは送風動作により流れる空気により希釈されるため、掃除機本体5からの排気から漏洩するオゾン濃度が薄まり、ユーザに不快感を与えない構成となっている。
【0029】
また、集塵フィルタ部53はオゾン発生部52の重力方向の下方に設けることが望ましい。オゾンの比重は空気より重いため、集塵フィルタ部53をオゾン発生部52の下方にあることで、オゾンの自重による接触を促進させることが可能なっている。
【符号の説明】
【0030】
1 吸込口、2 吸引パイプ、3 接続パイプ、4 サクションホース、5 掃除機本体、10 一次サイクロン分離装置、11 一次流入口、12 一次旋回室、13 一次開口部、14 一次集塵室、15 一次排出口、16 一次排出管、20 二次サイクロン分離装置、21 二次流入口、22 二次旋回室、23 二次開口部、24 二次集塵室、25 二次排出口、26 二次排出管、49 吸引風路、50 集塵ユニット、51 排気風路、52 オゾン発生部、53 集塵フィルタ部、53a 上流面、54 電動送風機、55 排気フィルタ部、56 排気口、57車輪、58 制御回路、59 表示部、60 サイクロンユニット接続確認センサ、61 ホース接続確認センサ、62 オゾン発生口、63 オゾン発生デバイス、64 信号処理部、65 オゾン発生デバイス制御部、66 電動送風機制御部、67 フレーム、68 軸受、69 回転軸、70 整流子、71 ブラシ部、72 電機子、73 固定子、74 ファン、75 集塵フィルタ部接続確認センサ、100 電気掃除機、114 0次集塵室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と吸引部との間に集塵部を配置し、前記集塵部と電動送風機との間に集塵フィルタを設け、前記集塵部の下流側でかつ集塵フィルタの上流側にオゾン発生デバイスを備えるとともに前記集塵フィルタは金属イオンを含有することを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記集塵フィルタの金属イオンは、銀、銅、亜鉛及びその化合物のイオンとすることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記オゾン発生デバイスは、直接風に当らない箇所に設置することを特徴とする請求項1記載の電気掃除機
【請求項4】
前記集塵フィルタはプリーツ状に形成することを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記オゾン発生デバイスは、前記電動送風機の運転と連動してオゾンを発生し、該オゾンを前記電動送風機による吸引気流とともに前記集塵フィルタに接触させるように構成したことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記集塵部を電気掃除機本体に着脱可能に構成し、前記オゾン発生デバイスは、前記集塵部の掃除機本体への装着が検知された場合にオゾンを発生し、該オゾンを前記電気送風機の吸引気流とともに前記集塵フィルタに接触させるように構成したことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記集塵フィルタを電気掃除機本体に着脱可能に構成し、前記オゾン発生デバイスは、前記集塵フィルタの掃除機本体への装着が検知された場合にオゾンを発生し、該オゾンを前記電気送風機の吸引気流とともに前記集塵フィルタに接触させるように構成したことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−5575(P2012−5575A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142510(P2010−142510)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)