説明

電気掃除機

【課題】塵埃捕集室を効果的に除電することが可能な電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機1は、電動送風機110と吸気通路200と塵埃捕集室120とイオン発生部140とを備えている。塵埃捕集室120は、吸気通路200に配置され、吸気を旋回させて塵埃を分離する。イオン発生部140は、イオンを発生させるイオン発生器141と、導入路142とを有している。導入路142は、発生したイオンを含む吸気を塵埃捕集室120に流通させる。また、塵埃捕集室120には、流入口125と導入口121とが形成されている。流入口125は、吸気通路200を流通する吸気を塵埃捕集室120に流入させる。導入口121は、流入口125よりも下方に配置され且つ導入路142を流通するイオンを含む吸気を塵埃捕集室120に導入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機のうち、特に、イオンを発生させるイオン発生部を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃捕集室または塵埃捕集室に集められる塵埃の帯電を防ぐための構成等を有する電気掃除機が、従来から知られている。塵埃または塵埃捕集室の帯電を防ぐための構成として、例えば、特開2003−153831号公報(以下では特許文献1という)に係る電気掃除機または特開2009−297389号公報(以下では特許文献2という)に係る電気掃除機のように、吸気にイオンを供給するものが提案されている。
【0003】
特許文献1に係る電気掃除機または特許文献2に係る電気掃除機では、塵埃捕集室に接続された吸気路のうちの塵埃捕集室よりも上流側の部分に、イオン発生器が配置されている。
【0004】
また、特許文献1には、イオン発生器のイオン流出口が塵埃捕集室の天井面に形成された開口に連通し、且つ、吸気の流入口が塵埃捕集室の上部に配置された電気掃除機が、記載されている。この電気掃除機では、イオン流出口付近の負圧を利用して塵埃捕集室にイオンが導入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−153831号公報
【特許文献2】特開2009−297389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る電気掃除機または特許文献2に係る電気掃除機のように、吸気路のうちの塵埃捕集室よりも上流側の部分にイオン発生器を配置した場合には、吸気路の内部を流れる塵埃または吸気路を形成する部材を除電することができる。しかし、吸気路の部材または吸気路の内部の塵埃が除電されたとしても、塵埃は、その後、集塵室に流入するまでの間に吸気または吸気路と摩擦されることにより、再び帯電される。その結果、吸気路にて供給されたイオンの多くは、塵埃捕集室に導入される前に消滅してしまう。
【0007】
さらに、特許文献1に係る電気掃除機のように、イオン流出口付近の負圧を利用して塵埃捕集室にイオンを導入させる場合には、塵埃捕集室での旋回流の流速が比較的高いところにイオンが導入される。このように、旋回流の流量が比較的大きいところでは、塵埃捕集室の内壁等にイオンが激しく衝突することがある。その結果、吸気路から塵埃捕集室に流入した塵埃とイオンとが塵埃捕集室の内部で効果的に混ざらないことにより、塵埃が効果的に徐電されない。
【0008】
そこで、この発明の目的は、塵埃捕集室を効果的に除電することが可能な電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に従った電気掃除機は、吸込口体と電動送風機と吸気通路と塵埃捕集室とイオン発生部とを備えている。吸込口体は、吸込口を有している。電動送風機は、吸気を発生させる。吸気通路は、吸込口体から電動送風機に吸気を導いている。塵埃捕集室は、吸気通路に配置され、吸気を旋回させて塵埃を分離する。イオン発生部は、イオンを発生させるものであり、導入路を有している。導入路は、発生したイオンを含む吸気を塵埃捕集室に流通させる。また、塵埃捕集室には、流入口と導入口とが形成されている。流入口は、吸気通路を流通する吸気を塵埃捕集室に流入させる。導入口は、流入口よりも下方に配置され且つ導入路を流通するイオンを含む吸気を塵埃捕集室に導入させる。
【0010】
この発明に従った電気掃除機では、導入路は、イオン発生部の一部として構成され、イオンを含む吸気が塵埃捕集室に流入するために導入路を流通するときには、吸気通路の流入口と吸込口との間の部分を流通しない。そのため、イオン発生部にて発生するイオンの多くは、塵埃捕集室に導入される前に消滅することなく、塵埃捕集室に導入される。
【0011】
また、この発明に従った電気掃除機では、吸込口から塵埃捕集室までの吸気通路を流通する吸気は、塵埃捕集室には流入口から流入している。さらに、イオンを含む吸気を塵埃捕集室に導入するための導入口は、流入口よりも下方に配置されている。すなわち、導入口は、塵埃捕集室において旋回流の流量が比較的小さいところに配置されている。このように、この発明に従った電気掃除機は、吸気通路から塵埃捕集室に流入した塵埃と導入路から塵埃捕集室に導入されたイオンとが、塵埃捕集室の内部で効果的に混ざり合うように構成されている。したがって、この発明に従った電気掃除機は、塵埃捕集室を効果的に除電することができる。
【0012】
この発明に従った電気掃除機において、塵埃捕集室は、略円筒形状を有するダストカップと、イオン導入路とを有していることが好ましい。導入口とダストカップとは、イオン導入路によって接続されていることが好ましい。また、ダストカップには、イオン導入口が形成されていることが好ましい。イオン導入口は、イオン導入路を流通するイオンを含む吸気をダストカップに導入させる。さらに、イオン導入路は、ダストカップの断面においてイオン導入口が配置されている部分の接線が延びる方向にイオンを含む吸気がダストカップに流入するように、ダストカップに接続されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、イオン発生部にて発生したイオンを含む吸気は、ダストカップの断面においてイオン導入口が配置されている部分の接線が延びる方向にダストカップに流入する。すなわち、イオンを含む吸気は、ダストカップのうちのイオン導入口が配置されている部分において、旋回流の流れの方向と略平行な方向にダストカップに流入する。そのため、この構成によれば、イオン導入路を流通するイオンを含む吸気は、ダストカップに円滑に流入する。このように、この構成によれば、イオン導入路の内部またはイオン導入口付近等にイオンが激しく衝突することが抑制されている。したがって、この発明に従った電気掃除機は、塵埃捕集室をさらに効果的に除電することができる。
【0014】
この発明に従った電気掃除機において、流入口は、塵埃捕集室の上部に形成されていることが好ましい。また、塵埃捕集室には、吹出口が形成されていることが好ましい。吹出口は、流入口よりも上方に配置されていることが好ましい。また、吹出口は、流入口から塵埃捕集室に流入した吸気を塵埃捕集室から吸気通路に流出させるものであることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、吹出口は、塵埃捕集室の上下方向に関して、導入口と比べて流入口の近くに配置されている。吸気通路から塵埃捕集室に流通する吸気の流れ方向に関して、流入口の直下流の位置では、旋回流の流量が特に大きい。一方、導入口と吹出口とは、塵埃捕集室の上下方向に関して互いに比較的離れた位置に配置されている。このように、導入口は、塵埃捕集室において旋回流の流量が比較的小さいところに配置され、且つ、流入口と比較して吹出口から離れた位置に配置されている。そのため、この構成によれば、流入口から塵埃捕集室に流入した吸気が塵埃捕集室の内部を十分に旋回することができるとともに、イオンを含む吸気は塵埃捕集室に流入した塵埃と効果的に混ざり合うことができる。したがって、この発明に従った電気掃除機は、塵埃捕集室をさらに効果的に除電することができる。
【0016】
この発明に従った電気掃除機は、本体をさらに備えていることが好ましい。本体は、少なくとも塵埃捕集室とイオン発生部とを収容していることが好ましい。また、本体は、イオン発生部にて発生したイオンを含む吸気を流通させる導出路を有していることが好ましい。さらに、本体には、導出路を流通するイオンを含む吸気を本体の外方に導出させる導出口が形成されていることが好ましい。また、この発明に従った電気掃除機は、第1の方向と第2の方向とのいずれか一方に、イオン発生部にて発生したイオンを含む吸気が流れる方向を切り換える切換部を備えていることが好ましい。第1の方向は、イオンを含む吸気が、導入路から導入口を介して塵埃捕集室に向かう方向である。第2の方向は、イオンを含む吸気が、導出路から導出口を介して本体の外方に向かう方向である。
【0017】
この構成によれば、イオンを含む吸気が流れる方向を切換部が切り換えることにより、イオンを含む吸気は、イオン発生部から塵埃捕集室の内部または本体の外方のいずれか一方に流れていく。イオン発生部から本体の外方にイオンを含む吸気が流れる場合には、この発明に従った電気掃除機が使用される室内等の空間に、本体からイオンが放出される。これにより、室内等の空間が効果的に浄化される。一方、上述のように、イオン発生部から塵埃捕集室の内部にイオンを含む吸気が流れる場合には、この発明に従った電気掃除機は、塵埃捕集室を効果的に除電することができる。したがって、この発明に従った電気掃除機は、塵埃捕集室を効果的に除電することができ、且つ、室内等を効果的に浄化することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、この発明によれば、塵埃捕集室を効果的に除電することが可能な電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る電気掃除機の全体を示す斜視図である。
【図2】この発明に係る電気掃除機の塵埃捕集室の全体を示す斜視図である。
【図3】この発明に係る電気掃除機のケース部材に取り付けられたイオン発生部を示す斜視図である。
【図4】この発明に係る電気掃除機のケース部材に形成された第3の開口を示す斜視図である。
【図5】この発明に係る電気掃除機の流路切換弁が吸気側を閉塞しているときの本体の断面図である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】この発明に係る電気掃除機の流路切換弁が吸気側を開放しているときの本体の断面図である。
【図8】図7の一部拡大図である。
【図9】この発明に係る電気掃除機の制御ブロック図である。
【図10】この発明に係る電気掃除機の操作部を模式的に示す図である。
【図11】この発明に係る電気掃除機の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、電気掃除機1は、吸込口を有する吸込口体101と、本体100と、延長管102と、接続パイプ103と、サクションホース104と、連結管105とを備えている。本体100は、吸気を発生させる電動送風機110(図5参照)と塵埃捕集室120(図5参照)とを収容している。吸込口体101には、延長管102、接続パイプ103、サクションホース104、連結管105が順次接続されている。延長管102と接続パイプ103とサクションホース104と連結管105とは、吸気通路200を形成する。吸気通路200は、吸込口体101と本体100とを接続する。吸気通路200は、吸込口体101から本体100の内部に配置された電動送風機110に吸気を導いている。
【0022】
接続パイプ103は、グリップ36を有している。サクションホース104は、連結管105を介して本体100に接続されている。接続パイプ103のグリップ36には、操作部4が配置されている。使用者が操作部4を操作することにより、例えば電動送風機110の駆動と駆動停止とが切り換えられる。なお、操作部4は、本体100に配置されていてもよい。
【0023】
延長管102は、用途に合わせて使用者が長さを調節することが可能であるように、途中で分割できるように構成されていてもよく、二重構造の伸縮式に構成されていてもよい。サクションホース104は、柔軟に曲がるように構成されている。一方、吸込口体101と延長管102と接続パイプ103と連結管105とは、柔軟に曲がることがないように樹脂またはプラスチック等の硬性材料で構成されている。
【0024】
本体100には、本体100を床面上で移動可能に支持する車輪106が設けられている。また、本体100は、通常、使用者が本体100を持ち上げるためのハンドル131(図3参照)を有している。ただし、本体100は、ハンドル131を有していなくてもよい。
【0025】
図1に示すように、本体100は、塵埃捕集室120とケース部材130とイオン発生部140とを収容している。図5に示すように、本体100の内部には、電動送風機110と、塵埃捕集室120と、イオン発生部140と、フィルタ150と、排気経路107とが配置されている。本体100の外周面100aにおいて、左右の車輪106の間には、排気経路107に接続される排気口108が形成されている。
【0026】
排気経路107とは、吸気通路200のうち、電動送風機110と排気口108との間に位置する空気の流路である。塵埃捕集室120にて塵埃と分離された空気は、本体100の外方へ導出されるときは、排気経路107を流通する。また、本体100は、電動送風機110からイオン発生部140に吸気を導く流路として、返還流路109を有している。排気経路107と返還流路109とは、それぞれ吸気通路200の一部である。
【0027】
なお、図2〜図8において、符号Fr、Rr、U、D、R、Lは、本体100のそれぞれ前方、後方、上方、下方、右方、左方を示している。図5に示すように、電気掃除機1では、接続部132が配置されている側が本体100の前側であり、且つ、排気口108が配置されている側が本体100の後側である。
【0028】
図1と図3に示すように、電気掃除機1は、ケース部材130を備えている。ケース部材130は、接続部132を有している。接続部132には、吸気通路200を形成する連結管105(図1参照)が取り付けられる。接続部132は、ケース部材130の前端部に配置されている。
【0029】
ケース部材130には、第1の開口133と第2の開口134とが形成されている。第1の開口133は、接続部132の前端に配置されている。第2の開口134は、ケース部材130において凹部138の後方に配置されている。図4に示すように、凹部138は、ケース部材130において上下方向に延びる略円柱状の空間である。第2の開口134は、第1の開口133よりも上方に配置されている。
【0030】
図1と図3に示すように、電気掃除機1は、イオン発生部140を備えている。イオン発生器141を有するイオン発生部140は、ケース部材130に取り付けられている。図5に示すように、イオン発生部140は、イオンを発生させるイオン発生器141と、導入路142と有している。イオン発生器141は、イオンを発生させる。導入路142には、電動送風機110が発生させる吸気と、その吸気のうちフィルタ150を通過したものとが流通する。また、導入路142は、発生したイオンを含む吸気を塵埃捕集室120に流通させるものである。イオン発生部140の導入路142は、ケース部材130と一体に形成されていてもよい。このとき、イオン発生器141のみがケース部材130に取り付けられていてもよい。電気掃除機1では、電動送風機110が駆動している間は、イオン発生器141はイオンを発生させている。
【0031】
また、図3に示すように、イオン発生部140の下方には、ステッピングモータ162が配置されている。ステッピングモータ162は、イオン発生部140のうちの導入路142(図5参照)の下方に配置されている。
【0032】
図1と図5に示すように、電気掃除機1は、塵埃捕集室120を備えている。塵埃捕集室120は、吸気通路200に配置されている。塵埃捕集室120には、流入口125と導入口121とが形成されている。流入口125は、吸気通路200を流通する吸気を塵埃捕集室120に流入させる。導入口121は、導入路142を流通するイオンを含む吸気を塵埃捕集室120に導入させる。このような構成により、塵埃捕集室120は、吸気通路200を流通する吸気を旋回させて塵埃を分離する。
【0033】
塵埃捕集室120は、ケース部材130の凹部138に嵌め込まれるようにケース部材130に取り付けられる(図2と図3とを参照)。図4に示すように、ケース部材130には、第3の開口136が形成されている。第3の開口136は、ケース部材130の左側に配置されている。図7に示すように、第3の開口136は、イオンを含む吸気が導出口144から塵埃捕集室120まで流れるときの流れ方向に関して、導入路142の下流端に位置している。第3の開口136は、塵埃捕集室120の導入口121に面している。
【0034】
図2に示すように、塵埃捕集室120の上部126は、上下方向に関して、塵埃捕集室120の中央よりも上方に配置された部分である。一方、上下方向に関して、塵埃捕集室120の中央よりも下方に配置された部分は、塵埃捕集室120の下部127である。導入口121は、塵埃捕集室120の下部127に配置されている。
【0035】
塵埃捕集室120には、吹出口124が形成されている。吹出口124は、塵埃捕集室120の内部で塵埃と分離された吸気を塵埃捕集室120から吸気通路200に流出させる。吹出口124から塵埃捕集室120の外部に流出する吸気は、電動送風機110(図5参照)に向かって吸気通路200を流れていく。塵埃捕集室120は、天井部129を有している。天井部129は、塵埃捕集室120の蓋部材を構成し、且つ、本体100の一部を構成している。吹出口124は、天井部129の下方に配置されている。吹出口124は、ケース部材130の第2の開口134に面している(図2と図3とを参照)。上述のように、第2の開口134は、第1の開口133よりも上方に配置されている。したがって、吹出口124は、流入口125よりも上方に配置されている。
【0036】
図3に示すように、接続部132の内部は、吸気通路200の一部を形成している。塵埃捕集室120の流入口125は、吸気通路200を流れる吸気の流れ方向に関して、第1の開口133の下流側に配置され且つ接続部132の後端部135(図4参照)に面している。接続部132の後端部135には、第4の開口137(図5参照)が形成されている。塵埃捕集室120の流入口125は、後端部135の第4の開口137に面している。図2に示すように、流入口125は、塵埃捕集室120の上部126に形成されている。また、流入口125は、導入口121よりも上方に配置されている。
【0037】
図5に示すように、吸気通路200を吸込口体101(図1参照)から塵埃捕集室120に向かって流れる吸気は、ケース部材130(図3参照)と塵埃捕集室120とにおいて、第1の開口133と後端部135の第4の開口137と塵埃捕集室120の流入口125との順に流れることにより、塵埃捕集室120の内部に流入する。後述するように、所定の場合には、電動送風機110が発生させる吸気のうち、イオン発生部140を通過する吸気は、イオン発生器141が発生させるイオンが供給された後に、図5に示すように導出口144を介して本体100の外方に流出する。また、他の所定の場合には、電動送風機110が発生させる吸気のうち、イオン発生部140を通過する吸気は、イオン発生器141が発生させるイオンが供給された後に、図7に示すように導入口121を介して塵埃捕集室120に流入する。
【0038】
図2に示すように、塵埃捕集室120は、略円筒形状を有するダストカップ122とイオン導入路128とを有している。図5に示すように、イオン導入路128は、導入口121とダストカップ122とを接続している。ダストカップ122には、イオン導入口123としての開口が形成されている。イオン導入口123は、導入口121を介してイオン導入路128を流通するイオンを含む吸気をダストカップ122に導入させる。
【0039】
なお、イオン導入口123と導入口121との塵埃捕集室120での上下方向に関する位置は、互いに略同一でもよく、イオン導入口123が導入口121よりも下方もしくは上方であってもよい。
【0040】
イオン導入路128は、ダストカップ122の断面においてイオン導入口123が配置されている部分の接線が延びる方向にイオンを含む吸気がダストカップ122に流入するように、ダストカップ122に接続されている。図5に示すように、イオン導入路128は、ダストカップ122の断面においてイオン導入口123が配置されている部分の接線が延びる方向と平行な方向に延びている。これにより、導入口121を介してイオン導入路128を流通するイオンを含む吸気は、ダストカップ122の断面においてイオン導入口123が配置されている部分の接線が延びる方向にダストカップ122の内部に流入する。なお、イオン導入路128は、イオン導入路128のうちのイオン導入口123よりも上流側の部分が図5の下方(本体100の前方)に向かって曲線状に曲がるように形成されていてもよい。さらに、イオン導入路128は、略円状のダストカップ122の断面の外周に沿って、ダストカップ122の断面と同心円の円弧のように延びていてもよい。
【0041】
図5に示すように、本体100は、イオン発生部140にて発生したイオンを含む吸気を流通させる導出路143を有している。電気掃除機1では、導出路143は、イオン発生部140の一部である。ただし、導出路143は、本体100においてイオン発生部140と別に構成されていてもよい。イオン発生部140では、導入路142の一部が導出路143に利用されている。一方、導出路143の一部は、導入路142に利用されている。本体100には、導出路143を流通するイオンを含む吸気を本体100の外方に導出させる導出口144が形成されている。導出口144は、本体100の一部であってもよく、ケース部材130(図3参照)の一部であってもよく、またはイオン発生部140の一部であってもよい。
【0042】
導出口144は、本体100の外周面100a、ケース部材130(図3参照)の外周面、またはイオン発生部140の外周面に形成された開口である。導出口144は、スリット状に形成されていてもよい。また、導出口144には、網または不織布等のフィルタが設置されていてもよい。
【0043】
なお、電気掃除機1において、イオン導入路128の長さは、イオン発生部140の導入路142の長さよりも短い。また、イオン導入路128の長さとイオン発生部140の導入路142の長さとの和は、吸込口体101から流入口125までの長さよりも小さく、且つ、ダストカップ122と電動送風機110との間の距離よりも小さい。
【0044】
図9に示すように、電気掃除機1は、切換部160を備えている。また、図5に示すように、切換部160の流路切換弁161は、イオン発生部140のイオン発生器141から導入路142を介して塵埃捕集室120に向かう第1の方向と、イオン発生部140のイオン発生器141から導出路143を介して本体100の外方に向かう第2の方向とのいずれか一方に、イオン発生部140にて発生したイオンを含む吸気が流れる方向を切り換える。切換部160の流路切換弁161は、イオン発生部140の導入路142に配置されている。
【0045】
以下では、電気掃除機1に係る制御について、図9と図10とを用いて説明する。図9に示すように、制御部170は、判断部171とタイマ172と記憶部173と弁切換部174とを有している。切換部160は、少なくとも流路切換弁161とステッピングモータ162と制御部170の弁切換部174とによって構成されている。制御部170は、操作部4の操作に基づいて切換部160を制御する。
【0046】
判断部171は、電気掃除機1の制御に係る条件を判定している。タイマ172は、時間を計測する。記憶部173は、電動送風機110の出力が所定の出力である強運転モードと、電動送風機110の出力が所定の出力よりも小さい出力である弱運転モードとを記憶している。なお、電気掃除機1は、強運転モードと弱運転モードとの他に、通常モードを有していてもよい。通常モードは、強運転モードよりも電動送風機110の出力が小さく、且つ、弱運転モードよりも電動送風機110の出力が大きいモードである。さらに、記憶部173は、後述するように、弱運転モードを除いたモード(例えば強運転モード)において第1の方向と第2の方向とが所定の時間に基づいて切り換えられる徐電モードを記憶している。上述のように、第1の方向は、イオン発生部140のイオン発生器141から導入路142を介して塵埃捕集室120に向かう方向である(図7参照)。第2の方向は、イオン発生部140のイオン発生器141から導出路143を介して本体100の外方に向かう方向である(図5参照)。
【0047】
制御部170は、イオン発生部140のイオン発生器141と操作部4と電動送風機110とに接続されている。制御部170は、操作部4の操作に基づいてイオン発生器141と電動送風機110とを制御する。また、制御部170の弁切換部174は、ステッピングモータ162に接続されている。弁切換部174は、制御部170の一部であり且つ切換部160の一部である。弁切換部174は、ステッピングモータ162の作動を制御する。
【0048】
ステッピングモータ162は、導入路142(図5参照)に配置された流路切換弁161と機械的または電子的に接続されている。ステッピングモータ162の作動に基づき、流路切換弁161が導入路142の吸気側を開放する(排気側を閉塞する)ことと、流路切換弁161が吸気側を閉塞する(排気側を開放する)こととが切り換えられる。図8に示すように、流路切換弁161が吸気側を開放する(排気側を閉塞する)場合には、イオン発生器141から導入路142を介して塵埃捕集室120に向かう方向(つまり第1の方向)に、イオンを含む吸気が流れる。一方、図6に示すように、流路切換弁161が導入路142の吸気側を閉塞する(排気側を開放する)場合には、イオン発生部140から導出路143を介して本体100の外方に向かう方向(つまり第2の方向)に、イオンを含む吸気が流れる。
【0049】
図10に示すように、操作部4は、第1のモードとしての強運転モードを選択するボタン41と、第2のモードとしての弱運転モードを選択するボタン42とを有している。操作部4では、ボタン41とボタン42とによって第1の選択部が構成されている。また、操作部4は、電動送風機110の駆動を停止させる停止ボタン44を有している。さらに、操作部4は、除電モードを選択する第2の選択部としてのボタン43を有している。
【0050】
ただし、第1の選択部としてのボタンは、一つであってもよい。この一つのボタンによって、強運転モードから弱運転モードに変更されることであってもよく、通常モード、強運転モード、弱運転モードの順等にモードが変更されるものであってもよい。また、第1の選択部および第2の選択部としてのボタンは、一つであってもよい。この一つのボタンによって、例えば、強運転モード、徐電モード、弱運転モードの順にモードが変更されるものであってもよい。さらに、操作部4は、停止ボタン44を有していなくてもよい。この場合は、操作部4では、第1の選択部および第2の選択部としての一つのボタンによって、例えば、強運転モード、徐電モード、弱運転モード、電気掃除機1の駆動の停止の順にモード等が変更されるものであってもよい。
【0051】
後述するように、徐電モードは、弱運転モードを除いたモード(例えば強運転モード)において、イオンを含む吸気が流通する方向を所定の時間T1に基づいて流路切換弁161(図9参照)が切り換えるモードである。すなわち、制御部170の記憶部173が強運転モードと弱運転モードとを記憶している場合には、徐電モードは強運転モードの一部を構成している。そのため、制御部170の記憶部173が強運転モードと弱運転モードとを記憶している場合には、ボタン43が操作されることにより、強運転モードとして電動送風機110は駆動し、且つ、強運転モードのうちの徐電モードとして切換部160は作動する。
【0052】
以下では、電動送風機110が発生させる吸気の流れについて説明する。図5と図7とに白で示す矢印と黒で示す矢印とは、それぞれ電動送風機110を通過する前と後との吸気の流れる方向を示している。
【0053】
使用者が操作部4(図1参照)を操作することによって電気掃除機1の駆動が開始された場合は、少なくともイオン発生部140(図5参照)と電動送風機110とが駆動される。イオン発生部140が駆動されることにより、イオン発生器141はイオンを発生させる。
【0054】
電動送風機110の駆動が開始されることにより、吸気が発生する。吸気は、吸込口から吸込口体101(図1参照)の内部に吸い込まれる。吸込口体101の内部に吸い込まれた吸気は、延長管102、接続パイプ103、サクションホース104、連結管105を順に通って、電気掃除機1の本体100の内部に吸い込まれる。本体100の内部において、吸気は、連結管105の内部と接続部132(図5参照)の内部から流入口125を通って、塵埃捕集室120の内部に流入する。
【0055】
流入口125からダストカップ122の内部に流入した吸気は、図5に白の矢印で示すように、ダストカップ122の内部にて旋回する。吸気は、ダストカップ122の内部にて旋回することにより、塵埃と分離される。ダストカップ122の内部にて塵埃と分離された吸気は、吹出口124(図2参照)を介して電動送風機110に向かって吸気通路200を流通する。このとき、塵埃と分離された吸気は、図5の紙面表面よりも手前を本体100の前方から後方に向かって流れている。図5に示すように、電動送風機110の下流側には、フィルタ150が設置されている。吸気は、フィルタ150を通過して清浄化され、排気経路107を通って、排気口108から本体100の外に排出される。フィルタ150を通過した吸気の一部は、返還流路109を通ってイオン発生部140の導入路142に流入する。
【0056】
図5に黒の矢印で示すように、電動送風機110が駆動され、且つ、流路切換弁161が吸気側を閉塞している場合には、電動送風機110が発生させる吸気の一部は、返還流路109を介して導入路142に流入した後で、イオン発生器141および導出路143を通過して、導出口144を介して本体100の外部に排出される。一方、図7に白の矢印で示すように、電動送風機110が駆動され、且つ、流路切換弁161が吸気側を開放している場合には、電動送風機110が発生させる吸気の一部は、導出口144を介して導出路143に流入した後で、イオン発生器141を通過する。イオン発生器141を通過することによってイオンが供給された吸気は、第3の開口136および導入口121を介してイオン導入路128に流入した後で、イオン導入口123を介してダストカップ122の内部に流入する。
【0057】
図7に示すように、イオン発生部140から吸気に供給されたイオンは、吸気ともに、ダストカップ122の内部を旋回する。このとき、吸気中のイオンは、吸気中の塵埃に衝突する。また、吸気中のイオンはダストカップ122の内壁面220に衝突する。
【0058】
吸気中の塵埃は、吸気との摩擦や塵埃どうしの接触によって帯電していることが多い。また、ダストカップ122の内壁面220も、吸気との摩擦または塵埃との接触によって帯電していることが多い。このように帯電している塵埃またはダストカップ122の内壁面220に、イオン発生部140から供給されるイオンが衝突することによって、塵埃またはダストカップ122が除電される。
【0059】
塵埃捕集室120では、導入口121が吹出口124よりも下方に配置されている。そのため、イオン発生部140から供給されるイオンは、図2に示す吹出口124から排出されることなく、導入口121からの吸気に乗って、塵埃捕集室120の内部を旋回することができる。
【0060】
使用者が操作部4を操作することにより、電動送風機110の駆動が停止される。電動送風機110の駆動が完全に停止した後において、使用者は、ダストカップ122を本体100から取り外して、ダストカップ122の内部に溜められた塵埃を廃棄する。
【0061】
電気掃除機1では、電動送風機110の駆動が完全に停止されたときには塵埃とダストカップ122とがイオン発生部140から供給されるイオンによって除電されている。そのため、ダストカップ122から塵埃を廃棄するときに、静電気によって塵埃が飛び散ったり、ダストカップ122に塵埃が付着したまま残ったりすることが防止されている。塵埃を取り除かれたダストカップ122は、再び電気掃除機1の本体100に装着される。
【0062】
以下では、電気掃除機1において、イオン発生部140が供給するイオンによって塵埃とダストカップ122とを除電するときの制御について説明する。
【0063】
電動送風機110が駆動して電気掃除機1が部屋等を掃除しているときには、流路切換弁161は導入路142の吸気側を閉塞している(図6参照)。すなわち、切換部160(図9参照)は、例えば、ボタン41、ボタン42、またはボタン43を使用者が押すことによって電動送風機110の駆動が開始された後には、イオンを含む吸気が流れる方向を第2の方向に切り換えている。これにより、図5に示すように、イオン発生器141が発生させるイオンが導入路142にて吸気に供給される。イオンが供給された吸気は、導出口144を介して本体100の外部に排出される。
【0064】
一方、電動送風機110の駆動を停止するように使用者が操作部4の停止ボタン44を押すことにより、電気掃除機1が掃除を終了するときには、流路切換弁161は導入路142の排気側を閉塞する(図8参照)。すなわち、切換部160(図9参照)は、電動送風機110の駆動を停止するように操作部4が操作された後には、イオンを含む吸気が流れる方向を第1の方向に切り換える。これにより、図7に示すように、イオン発生器141が発生させるイオンが導入路142にて吸気に供給される。イオンが供給された吸気は、第3の開口136および導入口121を介してイオン導入路128に流入した後に、イオン導入口123を介してダストカップ122の内部に流入する。
【0065】
このように、電気掃除機1は、掃除中である場合には、電気掃除機1が使用される部屋等の空間にイオンを供給することができ、且つ、掃除終了時には、塵埃捕集室120の内部にイオンを供給することができる。
【0066】
ただし、電気掃除機1は、使用者が選択するモードに応じて、掃除中である場合でも塵埃捕集室120の内部にイオンを供給することができる。以下では、使用者が選択するモードに応じ、掃除中である場合でも電気掃除機1が塵埃捕集室120の内部にイオンを供給するときの制御について、図11を用いて説明する。なお、電気掃除機1では、判断部171が、操作部4の操作に基づいて図11に示す条件を判定している。
【0067】
ステップS10aでは、使用者が操作部4(図9参照)を操作する。これにより、ステップS10bにおいて電動送風機110(図9参照)が駆動を開始し、電気掃除機1による掃除が開始される。
【0068】
ステップS11では、電動送風機110の駆動が開始された後において、弱運転モードが選択されているか否かが判定される。ステップS11において、弱運転モードが選択されていると判定される場合には、ステップS19に進む。一方、ステップS11において、弱運転モードが選択されておらず、例えば強運転モードまたは通常モードのいずれか一方が選択されていると判定される場合には、ステップS12に進む。
【0069】
ステップS12では、徐電モードが選択されているか否かが判定される。ステップS12において、徐電モードが選択されていると判定される場合には、ステップS18に進む。一方、ステップS12において、徐電モードが選択されていないと判定される場合には、ステップS13に進む。
【0070】
ステップS18では、弱運転モードよりも電動送風機110(図9参照)の出力が大きいモードにおいて所定の時間T1が経過したか否かが判定される。上述のように、電気掃除機1は、弱運転モードと強運転モードと徐電モードとを有している。電気掃除機1では、徐電モードは、強運転モードにおいて、イオンを含む吸気が流通する方向を所定の時間T1に基づいて流路切換弁161(図9参照)が切り換えるモードである。ステップS18において、所定の時間T1が経過していることが判定される場合には、ステップS19に進む。ステップS18において、所定の時間T1が経過していないことが判定される場合には、ステップS13に進む。
【0071】
ステップS13では、流路切換弁161は、導入路142(図6参照)の排気側を開放(吸気側を閉塞)する。これにより、イオン発生器141が発生させたイオンを含む吸気は、導出路143を通って導出口144から本体100の外方に排出される。このように、電気掃除機1では、掃除中である場合に、弱運転モードもしくは徐電モードが選択されていないとき、または、徐電モードにおいて所定の時間T1が経過していないときには、電気掃除機1が使用される部屋等の空間にイオンが供給される。これにより、部屋等の空間が浄化される。
【0072】
ステップS19では、流路切換弁161は、導入路142(図8参照)の吸気側を開放(排気側を閉塞)する。これにより、イオン発生器141が発生させたイオンを含む吸気は、第3の開口136と導入口121とを介して塵埃捕集室120の内部に流入する。つまり、電気掃除機1では、掃除中である場合でも、弱運転モードが選択されているときまたは除電モードにおいて所定の時間T1が経過したときには、塵埃捕集室120の内部にイオンが供給される。その結果、電気掃除機1は、掃除中である場合でも、弱運転モードが選択されているときまたは除電モードにおいて所定の時間T1が経過したときには、塵埃捕集室120の内部を徐電することができる。
【0073】
ステップS19の後は、ステップS11に戻る。このとき、ステップS18を経験してからステップS19を経験した場合には、所定の時間T1とは異なる他の所定の時間の間にステップS11とステップS12とを経て、ステップS13において流路切換弁161が吸気側を閉塞する。つまり、ステップS18を経験してからステップS19を経験した場合には、所定の時間T1とは異なる他の所定の時間だけ流路切換弁161は吸気側を開放している。このように、徐電モードでは、少なくとも所定の時間T1に基づいて、流路切換弁161が導入路142の吸気側と排気側とを切り換える。これにより、徐電モードでは、イオンが供給された吸気が塵埃捕集室120の内部に間欠的に流入する。
【0074】
一方、電気掃除機1が弱運転モードで掃除している場合には、流路切換弁161は、導入路142(図8参照)の吸気側を常に開放(排気側を閉塞)している(ステップS11とステップS19とを参照)。すなわち、電気掃除機1が弱運転モードで掃除している場合には、塵埃捕集室120の内部にイオンが常に供給されている。これにより、電気掃除機1が弱運転モードで掃除している場合には、塵埃捕集室120を常に除電することができる。
【0075】
ステップS14では、電気掃除機1に掃除を終了させるか否か、つまり、電動送風機110(図9参照)の駆動が停止されるように操作部4が操作されたか否かが判定される。ステップS14において、電気掃除機1が掃除を終了させないことが判定される場合には、ステップS11に戻る。なお、上述のように、操作部4の停止ボタン44(図10参照)を使用者が操作することにより、電気掃除機1による掃除を終了させることができる。
【0076】
ステップS13の後のステップS14において、操作部4が操作されたことが判定される場合には、ステップS15に進む。ステップS15では、流路切換弁161は、導入路142の吸気側を開放(排気側を閉塞)する。これにより、イオン発生器141が発生させたイオンを含む吸気は、第3の開口136と導入口121とを介して塵埃捕集室120の内部に流入する。
【0077】
ステップS15に続いてステップS16では、所定の時間T2が経過したか否かが判定される。ステップS16において所定の時間T2が経過したことが判定される場合には、ステップS17において電動送風機110の駆動が停止される。これにより、電気掃除機1による掃除が終了される。つまり、電気掃除機1による掃除が終了される場合には、所定の時間T2だけ塵埃捕集室120にイオンを含む吸気が供給される。ただし、この場合には、所定の量だけ塵埃捕集室120にイオンを含む吸気が供給されることであってもよい。また、ステップS18の判定に利用される所定の時間T1と、ステップS16の判定に利用される所定の時間T2とは、互いに同一の時間であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
【0078】
以上のように、電気掃除機1は、吸込口体101と電動送風機110と吸気通路200と塵埃捕集室120とイオン発生部140とを備えている。吸込口体101は、吸込口を有している。電動送風機110は、吸気を発生させる。吸気通路200は、吸込口体101から電動送風機110に吸気を導いている。塵埃捕集室120は、吸気通路200に配置され、吸気を旋回させて塵埃を分離する。イオン発生部140は、イオンを発生させるイオン発生器141と、導入路142とを有している。導入路142は、発生したイオンを含む吸気を塵埃捕集室120に流通させる。また、塵埃捕集室120には、流入口125と導入口121とが形成されている。流入口125は、吸気通路200を流通する吸気を塵埃捕集室120に流入させる。導入口121は、流入口125よりも下方に配置され且つ導入路142を流通するイオンを含む吸気を塵埃捕集室120に導入させる。
【0079】
電気掃除機1では、導入路142は、イオン発生部140の一部として構成され、イオンを含む吸気が塵埃捕集室120に流入するために導入路142を流通するときには、吸気通路200の流入口125と吸込口体101との間の部分を流通しない。そのため、イオン発生器141が発生させるイオンの多くは、塵埃捕集室120に導入される前に消滅することなく、塵埃捕集室120に導入される。
【0080】
また、電気掃除機1では、吸込口体101から塵埃捕集室120までの吸気通路200を流通する吸気は、塵埃捕集室120には流入口125から流入している。さらに、イオンを含む吸気を塵埃捕集室120に導入するための導入口121は、流入口125よりも下方に配置されている。すなわち、導入口121は、塵埃捕集室120において旋回流の流量が比較的小さいところに配置されている。このように、電気掃除機1は、吸気通路200から塵埃捕集室120に流入した塵埃と、導入路142から塵埃捕集室120に導入されたイオンとが、塵埃捕集室120の内部で効果的に混ざり合うように構成されている。したがって、電気掃除機1は、塵埃捕集室120を効果的に除電することができる。
【0081】
塵埃捕集室120は、略円筒形状を有するダストカップ122と、イオン導入路128とを有している。導入口121とダストカップ122とは、イオン導入路128によって接続されている。また、ダストカップ122には、イオン導入口123が形成されている。イオン導入口123は、イオン導入路128を流通するイオンを含む吸気をダストカップ122に導入させる。さらに、イオン導入路128は、ダストカップ122の断面においてイオン導入口123が配置されている部分の接線が延びる方向にイオンを含む吸気がダストカップ122に流入するように、ダストカップ122に接続されている。
【0082】
この構成によれば、イオン発生部140にて発生したイオンを含む吸気は、ダストカップ122の断面においてイオン導入口123が配置されている部分の接線が延びる方向にダストカップ122に流入する。すなわち、イオンを含む吸気は、ダストカップ122のうちのイオン導入口123が配置されている部分において、旋回流の流れの方向と略平行な方向にダストカップ122に流入する。そのため、この構成によれば、イオン導入路128を流通するイオンを含む吸気は、ダストカップ122に円滑に流入する。このように、イオン導入路128の内部またはイオン導入口123付近等にイオンが激しく衝突することが抑制されている。したがって、電気掃除機1は、塵埃捕集室120をさらに効果的に除電することができる。
【0083】
電気掃除機1において、流入口125は、塵埃捕集室120の上部126に形成されている。また、塵埃捕集室120には、吹出口124が形成されている。吹出口124は、流入口125よりも上方に配置されている。また、吹出口124は、流入口125から塵埃捕集室120に流入した吸気を塵埃捕集室120から吸気通路200に流出させる。
【0084】
この構成によれば、吹出口124は、塵埃捕集室120の上下方向に関して、導入口121と比べて流入口125の近くに配置されている。吸気通路200から塵埃捕集室120に流通する吸気の流れ方向に関して、流入口125の直下流の位置では、旋回流の流量が特に大きい。一方、導入口121と吹出口124とは、塵埃捕集室120の上下方向に関して互いに比較的離れた位置に配置されている。このように、導入口121は、塵埃捕集室120において旋回流の流量が比較的小さいところに配置され、且つ、流入口125と比較して吹出口124から離れた位置に配置されている。そのため、この構成によれば、流入口125から塵埃捕集室120に流入した吸気が塵埃捕集室120の内部を十分に旋回することができるとともに、イオンを含む吸気は塵埃捕集室120に流入した塵埃と効果的に混ざり合うことができる。したがって、電気掃除機1は、塵埃捕集室120をさらに効果的に除電することができる。
【0085】
電気掃除機1は、本体100を備えている。本体100は、少なくとも塵埃捕集室120とイオン発生部140とを収容している。また、本体100は、導出路143を有している。導出路143は、イオン発生部140のイオン発生器141が発生させたイオンを含む吸気を流通させる。さらに、本体100には、導出路143を流通するイオンを含む吸気を本体100の外方に導出させる導出口144が形成されている。また、電気掃除機1は切換部160を備えている。切換部160は、第1の方向と第2の方向とのいずれか一方に、イオン発生器141が発生させたイオンを含む吸気が流れる方向を切り換える。第1の方向は、イオンを含む吸気が、導入路142から導入口121を介して塵埃捕集室120に向かう方向である。第2の方向は、イオンを含む吸気が、導出路143から導出口144を介して本体100の外方に向かう方向である。
【0086】
この構成によれば、イオンを含む吸気が流れる方向を切換部160が切り換えることにより、イオンを含む吸気は、イオン発生部140から塵埃捕集室120の内部または本体100の外方のいずれか一方に流れていく。イオン発生部140から本体100の外方にイオンを含む吸気が流れる場合には、電気掃除機1が使用される室内等の空間に、本体100からイオンが放出される。これにより、室内等の空間が効果的に浄化される。一方、イオン発生部140から塵埃捕集室120の内部にイオンを含む吸気が流れる場合には、電気掃除機1は、塵埃捕集室120を効果的に除電することができる。したがって、電気掃除機1は、塵埃捕集室120を効果的に除電することができ、且つ、室内等を効果的に浄化することができる。
【0087】
以上のように、電気掃除機1によれば、塵埃捕集室120を効果的に除電することができる。
【0088】
また、電気掃除機1は、吸込口体101と電動送風機110と吸気通路200と塵埃捕集室120とイオン発生器141を有するイオン発生部140と本体100とを備えている。吸込口体101は、吸込口を有している。電動送風機110は、吸気を発生させる。吸気通路200は、吸込口体101から電動送風機110に吸気を導いている。塵埃捕集室120は、吸気通路200のうちの電動送風機110よりも上流側に配置され、吸気を旋回させて塵埃を分離する。イオン発生部140のイオン発生器141は、イオンを発生させる。また、イオン発生部140は、導入路142を有している。導入路142では、イオン発生器141が発生させたイオンが、電動送風機110が発生させた吸気に供給される。イオンを含む吸気は、導入路142から塵埃捕集室120に向かって流通する。本体100は、少なくとも塵埃捕集室120とイオン発生部140とを収容し、導出路143を有している。導出路143では、電動送風機110が発生させた吸気に、イオン発生器141が発生させたイオンが供給されることにより、イオンを含む吸気が流通する。
【0089】
また、電気掃除機1では、塵埃捕集室120に導入口121が形成され、本体100に導出口144が形成されている。導入口121は、導入路142を流通するイオンを含む吸気を塵埃捕集室120に導入させる。導出口144は、導出路143を流通するイオンを含む吸気を本体100の外方に導出させる。
【0090】
さらに、電気掃除機1は、切換部160と操作部4と制御部170とを備えている。制御部170は、判断部171とタイマ172と記憶部173と弁切換部174とを有している。切換部160は、導入路142から導入口121を介して塵埃捕集室120に向かう第1の方向と、導出路143から導出口144を介して本体100の外方に向かう第2の方向とのいずれか一方に、イオン発生器141が発生させたイオンを含む吸気が流れる方向を切り換える。切換部160は、流路切換弁161と弁切換部174とステッピングモータ162とを有している。操作部4は、電動送風機110の駆動の開始と停止とを切り換える。制御部170は、操作部4と切換部160のステッピングモータ162とに接続され、操作部4の操作に基づいて切換部160の弁切換部174がステッピングモータ162を制御する。弁切換部174は、操作部4が電動送風機110の駆動を開始するように操作された後には、イオンを含む吸気が流れる方向を第2の方向に切り換え、且つ、操作部4が電動送風機110の駆動を停止するように操作された後には、イオンを含む吸気が流れる方向を第1の方向に切り換える。
【0091】
電気掃除機1によれば、操作部4が電動送風機110の駆動を開始するように操作された後には、導出路143から導出口144を介して本体100の外方にイオンを含む吸気が流れるように、切換部160の流路切換弁161は、導入路142の吸気側を閉塞(排気側を開放)する。これにより、電気掃除機1が掃除中であるときには、イオンを含む空気が本体100の外方に排出される。そのため、電気掃除機1では、電気掃除機1が掃除中であるときには室内等の空気を浄化することができる。一方、操作部4が電動送風機110の駆動を停止するように操作された後には、導入路142から導入口121を介して塵埃捕集室120の内部にイオンを含む吸気が流れるように、切換部160の流路切換弁161は、導入路142の吸気側を開放(排気側を閉塞)する。これにより、電気掃除機1が掃除を終了するときには、イオンを含む空気が塵埃捕集室120に導入される。
【0092】
このように、電気掃除機1は、掃除中と掃除終了時とで、吸気に供給されたイオンをそれぞれ別のところへ送出することができる。したがって、電気掃除機1は、有効的に吸気にイオンを供給することができる。
【0093】
電気掃除機1では、制御部170は、電動送風機110に接続し且つ電動送風機110を制御する。また、制御部170は、少なくとも強運転モードと弱運転モードとを記憶している。強運転モードは、電動送風機110の出力が所定の出力であるモードである。一方、弱運転モードは、電動送風機110の出力が所定の出力よりも小さい出力であるモードである。また、操作部4は、強運転モードを選択するボタン41と弱運転モードを選択するボタン42とを有している。さらに、切換部160の流路切換弁161は、電動送風機110の駆動を開始するように操作部4のボタン41、ボタン42、またはボタン43が操作され、且つ、ボタン42が操作されることによって弱運転モードが選択されている場合には、導入路142の吸気側を開放(排気側を閉塞)する。
【0094】
これにより、弱運転モードにて電動送風機110が駆動しているときには、イオンを含む空気が塵埃捕集室120に導入される。このように、電気掃除機1は、掃除中と掃除終了時とで、さらに掃除中であっても強運転モードと弱運転モードとで、吸気に供給されたイオンをそれぞれ別のところへ送出することができる。したがって、電気掃除機1は、掃除中、掃除終了時、または掃除のモードに応じて、有効的に吸気にイオンを供給することができる。
【0095】
制御部170は、時間を計測するタイマ172を有している。また、制御部170の記憶部173は、徐電モードを記憶している。この徐電モードは、弱運転モードでの電動送風機110の出力よりも電動送風機110の出力が大きいモード(例えば強運転モード)において第1の方向と第2の方向とが少なくとも所定の時間T1に基づいて切り換えられるモードである。また、操作部4は、除電モードを選択するボタン43を有している。さらに、流路切換弁161は、操作部4のボタン41、ボタン42、またはボタン43が操作されることによって電動送風機110の駆動が開始され、操作部4のボタン42またはボタン43が操作されることによって強運転モードが選択され、且つボタン43が操作されることによって除電モードが選択されている場合に、タイマ172が計測する時間が所定の時間T1を経過しているときには、導入路142の吸気側を開放(排気側を閉塞)する。
【0096】
これにより、電気掃除機1は、電気掃除機1が掃除中である場合でも、除電モードにおいて所定の時間T1が経過したときには、塵埃捕集室120の内部にイオンを含む吸気を送出することができる。このように、電気掃除機1は、掃除中と掃除終了時とで、また掃除中であっても強運転モードと弱運転モードとで、さらに強運転モードにて掃除中であっても所定の時間T1の経過前と経過後とで、吸気に供給されたイオンをそれぞれ別のところへ送出することができる。したがって、電気掃除機1は、掃除中、掃除終了時、または掃除のモード等に応じて、さらに有効的に吸気にイオンを供給することができる。
【0097】
以上のように、電気掃除機1は、有効的に吸気にイオンを供給することができる。
【0098】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0099】
1:電気掃除機、4:操作部、41:ボタン、42:ボタン、43:ボタン、44:停止ボタン、100:本体、101:吸込口体、110:電動送風機、120:塵埃捕集室、121:導入口、122:ダストカップ、123:イオン導入口、124:吹出口、125:流入口、126:上部、127:下部、128:イオン導入口、140:イオン発生部、141:イオン発生器、142:導入路、143:導出路、144:導出口、160:切換部、170:制御部、172:タイマ、173:記憶部、200:吸気通路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を有する吸込口体と、
吸気を発生させる電動送風機と、
吸気を前記吸込口体から前記電動送風機に導く吸気通路と、
前記吸気通路に配置され、吸気を旋回させて塵埃を分離する塵埃捕集室と、
イオンを発生させ、発生したイオンを含む吸気を前記塵埃捕集室に流通させる導入路を有するイオン発生部と、
を備え、
前記塵埃捕集室には、前記吸気通路を流通する吸気を前記塵埃捕集室に流入させる流入口と、前記流入口よりも下方に配置され且つ前記導入路を流通するイオンを含む吸気を前記塵埃捕集室に導入させる導入口と、が形成されている、
電気掃除機。
【請求項2】
前記塵埃捕集室は、略円筒形状を有するダストカップと、前記導入口と前記ダストカップとを接続するイオン導入路と、を有し、
前記ダストカップには、前記導入口を介して前記イオン導入路を流通するイオンを含む吸気を前記ダストカップに導入させるイオン導入口が形成され、
前記イオン導入路は、前記ダストカップの断面において前記イオン導入口が配置されている部分の接線が延びる方向にイオンを含む吸気が前記ダストカップに流入するように、前記ダストカップに接続されている、
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記流入口は、前記塵埃捕集室の上部に形成され、
前記塵埃捕集室には、前記流入口よりも上方に配置され且つ前記流入口から前記塵埃捕集室に流入した吸気を前記塵埃捕集室から前記吸気通路に流出させる吹出口が形成されている、
請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
少なくとも前記塵埃捕集室と前記イオン発生部とを収容し、前記イオン発生部にて発生したイオンを含む吸気を流通させる導出路を有する本体をさらに備え、
前記本体には、前記導出路を流通するイオン含む吸気を前記本体の外方に導出させる導出口が形成され、
前記導入路から前記導入口を介して前記塵埃捕集室に向かう第1の方向と、前記導出路から前記導出口を介して前記本体の外方に向かう第2の方向とのいずれか一方に、イオンを含む吸気が流れる方向を切り換える切換部をさらに備えた、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電気掃除機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−75445(P2012−75445A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220393(P2010−220393)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【特許番号】特許第4859994号(P4859994)
【特許公報発行日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】