説明

電気掃除機

【課題】使用者の電気掃除機の運転時間や、電気掃除機への通電時間に関わらず、安定して捕集塵埃に含まれる雑菌に対する除菌効果を得ることができる電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸引風を発生させる電動送風機(図示せず)と、塵埃を捕集する集塵室(図示せず)と、電気エネルギーを蓄える電気二重層コンデンサ20と、電気二重層コンデンサ20への充電を制御する充電制御手段15と、高圧印加式のイオン発生装置7と、イオン発生装置7の動作を制御するイオン制御手段16とを備え、イオン制御手段16は、電気掃除機への通電がない場合には、電気二重層コンデンサ20に蓄えられたエネルギーを用いてイオン発生装置7を動作させるもので、非通電時にも、イオン発生装置7を動作させて、集塵室内の塵埃を除菌することが出来るので、使用者の電気掃除機の運転時間や、電気掃除機への通電時間に関わらず、安定して高い除菌効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するものであり、特に、イオン発生装置を備えた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のイオン発生装置を備えた電気掃除機は、掃除機本体内の吸気経路外にイオン発生装置を設け、このイオン発生装置で発生させたイオンを、電気掃除機の運転中に吸気経路内に供給して、空気流中の浮遊菌を除菌するものが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4159298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の電気掃除機の構成では、電気掃除機の機器としての特長として、使用時にしか通電しない短時間通電機器であることから、電気掃除機の短い運転時間では、浮遊菌を除菌するために充分な時間を確保できず、除菌効果を得る前に掃除動作が終了し、イオン発生装置への電力供給が終了してしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、使用者の運転時間や、電気掃除機への通電時間に関わらず、安定した除菌効果を発揮する電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、吸引風を発生させる電動送風機と、塵埃を捕集する集塵室と、電気エネルギーを蓄える蓄電手段と、前記蓄電手段への充電を制御する充電制御手段と、高圧印加式のイオン発生装置と、前記イオン発生装置の動作を制御するイオン制御手段とを備え、前記イオン制御手段は、電気掃除機への通電がない場合には、前記蓄電手段に蓄えられたエネルギーを用いて前記イオン発生装置を動作させるもので、非通電時にも、イオン発生装置を動作させて、集塵室内の塵埃を除菌することが出来るので、使用者の電気掃除機の運転時間や、電気掃除機への通電時間に関わらず、安定して高い除菌効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、使用者の掃除機運転時間や、電気掃除機への通電時間に関わらず、イオン発生装置を動作させることが可能となり、安定して捕集塵埃に含まれる雑菌に対する除菌効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における電気掃除機の掃除機本体の概略断面図、(b)同掃除機本体の概略側面図
【図2】同電気掃除機の回路ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、吸引風を発生させる電動送風機と、塵埃を捕集する集塵室と、電気エネ
ルギーを蓄える蓄電手段と、前記蓄電手段への充電を制御する充電制御手段と、高圧印加式のイオン発生装置と、前記イオン発生装置の動作を制御するイオン制御手段とを備え、前記イオン制御手段は、電気掃除機への通電がない場合には、前記蓄電手段に蓄えられたエネルギーを用いて前記イオン発生装置を動作させるもので、非通電時にも、イオン発生装置を動作させて、集塵室内の塵埃を除菌することが出来るので、使用者の電気掃除機の運転時間や、電気掃除機への通電時間に関わらず、安定して高い除菌効果を得ることができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の集塵室内に堆積した塵埃の量を検知する塵埃量検知手段を備え、イオン制御手段は、前記塵埃量検知手段の検知した塵埃量情報に応じて、イオン発生装置の動作時間を制御するもので、前記集塵室内に堆積した塵埃の量に関わらず、安定して集塵室の除菌効果を得ることができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の集塵室の開閉蓋の開閉を検知する開閉検知手段を備え、イオン制御手段は、前記開閉検知手段が前記開閉蓋が開いているのを検知した場合、イオン発生装置を停止させるもので、前記集塵室の開閉蓋が開いている状態で前記イオン発生装置を動作させてもイオンが大気に拡散してしまい、充分な除菌効果が得られずエネルギーの無駄となる。前記蓄電手段に蓄えられたエネルギーも有限であるため、除菌効果の得られない状態でエネルギーを無駄に消費してしまうと、肝心の除菌効果が得られる状態(前記集塵室の開閉蓋が閉じている状態)でエネルギーが不足してしまい、除菌効果が充分に得られない恐れがある。
【0012】
そこで、前記集塵室の開閉蓋の開閉を検知して、前記集塵室の開閉蓋が開いている場合には前記イオン発生装置を停止させることで、前記蓄電手段内に蓄えられたエネルギーを無駄にせず、確実に集塵手段の除菌効果が得られるものである。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明のイオン発生装置の動作時間が異なる複数の運転モードへの切り替え操作を受け付ける動作時間設定手段を備え、使用者が前記イオン発生装置の運転時間を選択可能にしたもので、吸引した塵埃の種類や機器の使用環境によっては、雑菌の量が多くなり、予め設定された所定の前記イオン発生装置の動作時間では充分に除菌しきれないことも想定される。また、雑菌の繁殖が気になり、入念に除菌したいというケースも想定される。
【0014】
そこで、使用者が前記イオン発生装置の運転時間を選択可能とすることで、状況に応じてよりフレキシブルに除菌時間を設定することができ、使用性の良い電気掃除機を提供できるものである。
【0015】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の蓄電手段を電気二重層コンデンサで構成したもので、大電流による急速充電が可能となるため、電気掃除機のような短時間しか通電しない機器でも、より早い時間で充電を完了することができる。また、二次電池と比較して充放電回路が簡素化できるため、電気掃除機の低コスト化を実現できる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の実施の形態1における電気掃除機の掃除機本体の概略断面図、図1(b)は、同掃除機本体の概略側面図、図2は、同電気掃除機の回路ブロック図である。
【0018】
図1において、本実施の形態における電気掃除機の掃除機本体1の後部には、電動送風機2が配され、前部には、着脱自在で塵埃を捕集する集塵袋3を収納する集塵室4が配されており、電動送風機2によって吸引された塵埃と吸気風の内、集塵袋3で塵埃を捕集し、吸気風のみを通過させる構成となっている。
【0019】
集塵室4の上部には、開閉蓋5が開閉自在に取り付けられており、使用者が、集塵袋3の交換作業を行う際などに開け閉めできる構成となっており、開閉蓋5と集塵室4の嵌合部には、開閉蓋5の開閉を検知する開閉検知手段6が取り付けられている。また、集塵室4の内部には、イオン発生装置7が搭載されている。
【0020】
掃除機本体1の上部には、使用者がイオン発生装置7を運転する運転時間(例えば、30分、1時間、2時間)を選択するためスイッチである動作時間設定手段19が搭載されている。
【0021】
次に、図2を用いて、本実施の形態における電気掃除機の制御方法について説明する。
【0022】
イオン発生装置7は、高周波発振回路8と、昇圧トランス9と、第一の倍電圧整流回路10と、第二の倍電圧整流回路11と、正極性の電極針12、及び負極性の電極針13から構成されている。
【0023】
制御手段14は、充電制御手段15及び、イオン制御手段16の動作を制御する。また、制御手段14は、開閉検知手段6、塵埃量検知手段17、動作時間設定手段19からの信号に応じてイオン制御手段16の動作に補正を加える。
【0024】
蓄電手段である電気二重層コンデンサ20は、充電制御手段15とイオン制御手段16に接続されている。電源装置21は、商用電源からスイッチング等で得られたDC電源であり、電気二重層コンデンサ20の充電、及びイオン発生装置7を直接駆動するための電気エネルギーを供給する。
【0025】
充電制御手段15及びイオン制御手段16は、トランジスタ等の半導体スイッチで構成されている。充電制御手段15は、制御手段14からの動作信号を受けて、電源装置21と電気二重層コンデンサ20を導通させて、電気二重層コンデンサ20を充電する。
【0026】
イオン制御手段16は、制御手段14からの動作信号を受けて、電気二重層コンデンサ20または電源装置21とイオン発生装置7を導通させる。これにより、高周波発振回路8が、電気二重層コンデンサ20に蓄えられたDC電圧、または電源装置21の出力DC電圧を高周波AC電圧に変換し、その電圧を、昇圧トランス9が昇圧する。昇圧トランス9の二次側に発生する高周波電圧を、第一の倍電圧整流回路10と、第二の倍電圧整流回路11が更に昇圧し、正極性の電極針12と負極性の電極針13に印加することで、正負のイオンを発生させる。
【0027】
塵埃量検知手段17は、集塵袋3内に捕集された塵埃の量を検知し、制御手段14に伝達するもので、本実施の形態においては、電動送風機2の電流値を検出する電流センサー(図示せず)で、塵埃量の増加による電動送風機2の風量低下(電流低下)を検知している。
【0028】
開閉検知手段6は、開閉蓋5の開閉を検知して制御手段14に信号を発信する。動作時間設定手段19は、使用者が選択したイオン発生装置7の動作時間を、制御手段14に伝達する。
【0029】
以上のように構成された本実施の形態における電気掃除機の動作、作用について説明する。
【0030】
本実施の形態における電気掃除機が商用電源に通電されると、まず制御手段14が充電制御手段15を動作させて、電気二重層コンデンサ20の充電を開始する。この充電制御により、電気二重層コンデンサ20は、商用電源通電時には一定電圧を維持し、商用電源から切り離されても、電気二重層コンデンサ20にはエネルギーが蓄えられることになる。
【0031】
続いて使用者が操作部(図示せず)を操作し、電気掃除機を運転モードにして、電動送風機2を動作させると、吸引風が発生し、吸引された塵埃は、集塵袋3内に蓄積されていく。捕集された塵埃には、ダニや雑菌等が含まれており、不快臭の原因となる。
【0032】
この時、制御手段14は、イオン制御手段16を動作させて、電源装置21からの供給電圧で、イオン発生装置7を駆動し、正イオン、及び負イオンを発生させる。発生した正イオン、及び負イオンの大半は、排気風とともに掃除機本体1外に排出されるが、一部は、集塵袋3に集塵された塵埃に含まれる雑菌に作用し、雑菌を除菌する。
【0033】
次に、使用者が電気掃除機の運転を停止し、掃除作業を終了する場合を考える。
【0034】
電動送風機2が停止して吸引風が無くなるため、イオン発生装置7から発生した正イオン、及び負イオンは、集塵室4内に充満していくこととなり、掃除作業時よりも効率よく雑菌を除菌することができる。その一方で、一般的に電気掃除機は使用時(掃除作業時)のみ商用電源に接続して使用する機器であるため、掃除作業が終了すると、使用者は商用電源との接続を解除し、電気掃除機を所定の収納場所に収納することが多い。
【0035】
また、充分な除菌効果を得るためには、ある程度の長い時間、雑菌を正イオン、及び負イオンに曝露させる必要がある。
【0036】
本実施の形態のケースにおいても、使用者が電気掃除機を収納しようと商用電源との接続を解除したとする。
【0037】
商用電源からの電力供給が絶たれる為、電源装置21から供給される電圧は無くなるが、イオン制御手段16は、電気二重層コンデンサ20に蓄えられた電気エネルギーを用いて、イオン発生装置7の動作を継続させる。これにより、商用電源からの電源供給が絶たれても、塵埃に含まれる雑菌を継続的に正イオン、及び負イオンに曝露させることができる。
【0038】
以上のように、本実施の形態では、電気二重層コンデンサ20に蓄えられた電気エネルギーを用いてイオン発生装置7を動作させることにより、商用電源からの電源供給が絶たれた非通電時にも、塵埃に含まれる雑菌を除菌可能とすることとなり、使用者の掃除作業時間や、電気掃除機への通電時間に関わらず、安定して高い除菌効果を得ることができる。
【0039】
また、一般的に集塵袋3内に捕集された塵埃量に比例して雑菌の数は増加するため、除菌効果を得るために必要な曝露時間も増加する。
【0040】
そこで、表1のように、塵埃量検知手段17で検知された塵埃量が多いほどイオン発生装置7の動作時間を長くすることで、集塵室4内に捕集した塵埃の量に関わらず、安定して集塵室4の除菌効果を得ることができる。
【0041】
【表1】

【0042】
また、集塵室4の開閉蓋5が開いている状態で、イオン発生装置7を動作させてもイオンが大気に拡散してしまい、除菌効果が得られずエネルギーの無駄となる。電気二重層コンデンサ20に蓄えられた電気エネルギーも有限であるため、除菌効果の得られない状態でエネルギーを無駄に消費してしまうと、肝心の除菌効果が得られる状態(開閉蓋5が閉じている状態)でエネルギーが不足してしまい、除菌効果が充分に得られない恐れがある。
【0043】
そこで、本実施の形態では、制御手段14が開閉検知手段6を用いて開閉蓋5の開閉を検知して、開閉蓋5が開いている場合には、イオン発生装置7を停止させることで、電気二重層コンデンサ20に蓄えられたエネルギーを無駄にせず、効率よく除菌効果が得られるものである。
【0044】
或いは、吸引した塵埃の種類や機器の使用環境によっては、雑菌の量が多くなり、予め設定された所定のイオン発生装置7の動作時間では、充分に除菌しきれないことも想定される。そのため、使用者がイオン発生装置7の運転時間を選択可能とすることで、状況に応じてよりフレキシブルに除菌時間を設定することができ、使用性の良い電気掃除機を提供できるものである。
【0045】
尚、本実施の形態においては、集塵袋3を有した電気掃除機を例に挙げて説明を行ったが、集塵袋3を必要としない所謂サイクロン方式の電気掃除機で実施しても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように本発明に係る電気掃除機は、使用者の掃除作業時間や、電気掃除機への通電時間に関わらず、安定して高い除菌効果を得ることができる使い勝手の良いもので、家庭用、業務用、店舗用の各種電気掃除機に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 掃除機本体
2 電動送風機
3 集塵袋
4 集塵室
5 開閉蓋
6 開閉検知手段
7 イオン発生装置
8 高周波発振回路
9 昇圧トランス
10 第一の倍電圧整流回路
11 第二の倍電圧整流回路
12 正極性の電極針
13 負極性の電極針
14 制御手段
15 充電制御手段
16 イオン制御手段
17 塵埃量検知手段
19 動作時間設定手段
20 電気二重層コンデンサ(蓄電手段)
21 電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発生させる電動送風機と、塵埃を捕集する集塵室と、電気エネルギーを蓄える蓄電手段と、前記蓄電手段への充電を制御する充電制御手段と、高圧印加式のイオン発生装置と、前記イオン発生装置の動作を制御するイオン制御手段とを備え、前記イオン制御手段は、電気掃除機への通電がない場合には、前記蓄電手段に蓄えられたエネルギーを用いて前記イオン発生装置を動作させる電気掃除機。
【請求項2】
集塵室内に堆積した塵埃の量を検知する塵埃量検知手段を備え、イオン制御手段は、前記塵埃量検知手段の検知した塵埃量情報に応じて、イオン発生装置の動作時間を制御する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
集塵室の開閉蓋の開閉を検知する開閉検知手段を備え、イオン制御手段は、前記開閉検知手段が前記開閉蓋が開いているのを検知した場合、イオン発生装置を停止させる請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
イオン発生装置の動作時間が異なる複数の運転モードへの切り替え操作を受け付ける動作時間設定手段を備え、使用者が前記イオン発生装置の運転時間を選択可能にした請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
蓄電手段を電気二重層コンデンサで構成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−94208(P2013−94208A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236867(P2011−236867)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】