説明

電気接続ライン

【課題】機関を制御する調整装置と機関とを接続するための電気接続ラインであって、外側の被覆体を備え、外側の被覆体の内側で延びる少なくとも3本の出力ラインを備え、これらの出力ラインは、それぞれ電気的に絶縁性のスリーブによって包囲されており、アースラインを備え、外側の被覆体の内側で延びる制御ラインを備えている、電気接続ラインを改良する。
【解決手段】制御ラインの内側に2本の制御心線44,46が配置されており、これらの制御心線は、第2の被覆体45によって包囲されており、該第2の被覆体および外側の被覆体32は、互いに絶縁されており、第2の被覆体に、接続ラインの少なくとも一方の端部で、電気コンタクト装置49が配置されており、電気コンタクト装置は、第2の電気被覆体と導電接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機関を制御する調整装置と機関とを接続するための電気接続ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
機関配置構造は、長年来背景技術において公知である。特に公知であるが、機関配置構造は、機関自体の他に、一般的に機関に配置された機関発信器、ならびに機関の運動を制御する調整装置および/または評価装置を備えている。このような評価装置は、一般的にラインもしくはケーブルを介して機関と接続されている。具体的に述べると、一般的に多数のケーブルが必要であり、ケーブル、たとえばラインケーブルおよび多数の制御ケーブルもしくは制御心線は、調整装置および/または評価装置から機関にガイドされる。
【0003】
その他に、機関を制御するために位置値、速度値および加速度値を機関の発信器が利用するような機関発信器システムも公知である。ここでは各位置値、速度値および加速度値は、制御ケーブルを介して電子評価装置に伝達され、電子評価装置は、測定値に反応して機関を制御する。これによって極めて大きなケーブルの手間およびコストが生じる。なぜならば出力信号、センサ信号および送信器信号は、それぞれ独自のケーブル内で伝達されるからである。具体的に述べると、2重または多重のケーブルガイドが必要であり、また2倍もしくはより多数のプラグもしくはケーブルが必要である。その他にたとえば電気機械に幅広のケーブル引込装置および大きな組込スペースが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、電気接続ラインを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部に記載した構成を有する電気接続ラインによって解決される。
【0006】
有利な形態および改良形は、従属請求項の対象である。
【発明の効果】
【0007】
機関配置構造は、機関を備えており、機関に、発信器装置が配置されている。さらに機関から空間的に分離された調整装置が設けられており、調整装置は、少なくとも1本の機関ラインを介して機関と通信接続されていて、かつ機関の運動を制御する。さらに機関に配置された少なくとも1つのセンサが設けられており、センサは、機関の少なくとも1つの物理特性もしくは機関運動を検出して、物理特性を表す信号を送信する。発信器装置は、接続ラインを介して、特に有利には機関ラインを介して、調整装置と接続されている。
【0008】
センサと発信器装置との間に直接的な通信接続部が設けられており、通信接続部を介して、センサは、物理特性を表す信号を直に発信器装置に送信する。
【0009】
機関の物理特性もしくは機関の運動とは、一般的に機関または機関の運動を表すことのできる全ての特性と解され、たとえば機関の温度、機関の回転モーメント、ロータ軸またはロータの位置などである。外部で生じる物理値、たとえば衝撃、振動などを検出して、処理することもできる。
【0010】
したがって、発信器システムもしくは発信器装置は、外部センサを評価するための中央制御ユニットとして使用される。前述したように、センサの信号および発信器信号がそれぞれ独自のケーブルで調整装置に送られる間、信号の一部、たとえば外部センサの評価は、発信器交点を介して行われる。したがって外部センサは、機関から空間的に間隔を有する電子評価装置に供給する必要はない。このようにして必要な信号ラインは大幅に低減され、特に信号ラインは直にラインケーブルに布設することもできる。発信器装置は、中央制御ユニットとして機能し、ここでは個々のセンサの信号がまとまって伝達される。その他に予防保守に関する情報を求めて、評価して、記憶する装置を設けるか、または接続してもよい。
【0011】
有利には、発信器装置は、プロセッサを備えており、プロセッサは、センサから伝達された物理特性を表す信号に反応して、出力信号を調整装置に送るように形成されている。さらに調整装置は、出力信号に反応して、機関を適切に操作することができる。機関と調整装置との間のケーブル布設に関する手間は、大幅に低減される。
【0012】
有利には、機関配置構造は、複数のセンサを備えており、個々のセンサは、それぞれセンサラインまたは共通の幾つかのラインまたは共通の通信部を介して発信器装置と接続されている、したがってこのような形態では、発信器装置は、中央制御ユニットとして使用され、中央制御ユニットは、多数のセンサ信号を処理する。
【0013】
有利には、センサは、温度センサ装置、位置センサ装置、速度センサ装置、力センサ装置、加速度センサ装置、これらの装置の組み合わせなどを有するセンサ装置群から選択されている。このような様々なセンサによって、機関の精確な制御を行うことができる。
【0014】
別の有利な形態では、少なくとも1つのセンサが、発信器装置と双方向に通信接続されている。したがってたとえば発信器装置は、中央制御ユニットとして、逆に、信号を位置センサまたは温度センサに送信することができ、発信器装置は、位置センサまたは温度センサから信号を出力する際にも利用される。
【0015】
有利には、機関配置構造は、ブレーキ装置を備えており、ブレーキ装置もまた発信器装置と通信接続されている。したがって発信器装置によってブレーキ装置も制御され、この場合逆に、ブレーキ装置が信号を発信器装置に伝達することもできる。その他に制御ユニットを設けるか、もしくは組み込んでもよく、制御ユニットは、たとえば操作過程の間にブレーキ信号を評価し、これによってブレーキ装置の動作を推測することができる。たとえばブレーキ信号の継続的な監視も実現されており、これによって故障は既に発生時に認識される。
【0016】
有利には、機関ラインは、3本の出力ラインとアースラインと2本の制御ラインとを備えている。有利には機関およびその発信器装置も、有利には個々のセンサと共に、共通のハウジング内に配置されている。このようにしてケーブル布設の手間が低減され、同時にこのようにして確実なケーブル接続が保証される。
【0017】
本発明は、機関を制御する調整装置と機関とを接続するための電気接続ラインである。接続ラインは、外側の被覆体を備え、外側の被覆体の内側で延びる少なくとも3本の出力ラインを備え、これらの出力ラインは、それぞれ電気的に絶縁性のスリーブによって包囲されている。さらにアースラインが設けられており、ならびに外側の被覆体の内側で延びる制御ラインが設けられている。本発明によれば、制御ラインの内側に2本の制御心線が配置されており、これらの制御心線は、まとめて第2の被覆体によって包囲されており、第2の被覆体および外側の被覆体は、互いに絶縁されており、第2の被覆体に、接続ラインの少なくとも一方の端部で、電気コンタクト装置が配置されており、電気コンタクト装置は、第2の電気被覆体と導電接続されている。
【0018】
有利には、少なくとも1つのスリーブの横断面および/または第2の被覆体の横断面は、接続ラインの少なくとも一方の端部に、有利には両方の端部に、不規則に非円形に形成されている。この場合不規則とは、前述の絶縁体もしくは被覆体の横断面が、最大で1本の対象軸線を有していると解される。
【0019】
有利には、前述の横断面は、スリーブに関して外向きに延びる少なくとも1つの突出部を備えている。大体において内向きに延びる凹部も考えられる。
【0020】
これによって本発明によれば、第2の被覆体もしくは内側の被覆体は、独自のコンタクトもしくは独自のPINを備えている。
【0021】
別の利点および形態は、図面から看取される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】背景技術による機関配置構造を示す図である。
【図2】機関配置構造を示す図である。
【図3】機関配置構造の作業関係を示す概略図である。
【図4】本発明による電気接続ラインの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、背景技術による機関配置構造を示した。ここでは機関4は、出力軸4aを備えており、機関4は、発信器6およびセンサ8,14と共に、共通のハウジング内に配置されている。
【0024】
符号3で接続部を示しており、接続部3を介して、機関4および個々の装置は、複数の接続ケーブル5,5aを介して、機関を制御する調整および評価装置2と接続されている。ここでは機関4を調整/評価装置2と接続するために、複数の心線が必要である。具体的に述べると、3本の出力ラインおよび1本のアースラインの他に、機関の回転運動を制御するために、複数、たとえば4本の制御心線が必要である。その他には、個々のセンサ装置は、調整を行うために、ライン5aを介して、それぞれ調整/評価ユニット2(以下調整装置と記載する)と接続されており、またここでも全てのセンサを調整/評価ユニットと接続するために、複数、たとえば10本の制御心線が必要である。
【0025】
したがって背景技術において多大なケーブル布設の手間が必要であり、これに応じて面倒なプラグ接続を提供する必要がある。さらにこのようなプラグ接続およびケーブル接続は、多くの場合エラー源となる。なぜならばたとえば外的作用、たとえば衝撃によって、プラグコンタクトに負荷の掛かる恐れがあるからである。またこのような外側の差込コンタクトは、大きな外的作用に曝されており、したがって高い摩耗に曝されている。
【0026】
図2には、機関配置構造を示した。看取されるように、ここでは発信器ユニットが、中央制御ユニットの機能を担う。具体的に述べると、センサ8,14,16は、それぞれセンサライン9,11,13を介して発信器装置6と接続されている。これによって発信器システムと調整装置2との間のケーブル布設が大幅に簡略化され、これによって多数のプラグ、ケーブルもしくはラインが省略される。符号18でブレーキ操作装置を示しており、ブレーキ操作装置もまた接続ライン22を介して発信器装置6と通信接続されている。したがって機関配置構造10は、背景技術に対して極めて簡単に構成することができる。具体的に述べると、機関ライン10内に、出力ケーブルもアースラインも2本の制御心線もガイドすることができる。発信器装置は、接続ライン21を介して、機関4と接続されている。
【0027】
したがって、調整装置2と機関4との間にはライン接続(機関ライン10)しか必要でない。発信器装置6には、プロセッサが設けられており、プロセッサは、個々のセンサ8,14,16ならびにブレーキ操作装置18の入力信号を検出して、これに応じて処理された信号を調整装置2に伝達する。この信号は、機関ライン10もしくは機関ライン10内の制御心線の1本を介して伝達することができる。この信号に反応して、調整装置2は機関を制御し、このこともまた機関ライン10もしくは機関ライン内の制御心線の1本を介して行われる。符号12で発信器装置と接続部との間の接続ラインを示した。この接続ラインは、とりわけ極めて短い区間では、接続コンタクトとして形成してもよい。
【0028】
図3に示した発信器装置6は、中央制御ユニットとして、たとえば双方向性の接続ライン23を介して、ブレーキ操作装置18と通信する。さらに別の双方向性の接続ライン24を介して、特定の機関データ、たとえばロータの位置、速度または加速度が、中央制御ユニット6に伝達される。
【0029】
符号8は、機関温度用の温度センサを示した。一方では双方向性の接続ライン25を介して温度データを発信器装置6に伝達することができ、他方では信号を発信器装置から温度センサ8に伝達することができ、温度センサ8は同様に機関運転に影響を及ぼすことができる。この場合機関を監視するために複数の温度センサを用いてもよく、温度センサの信号は評価される。
【0030】
符号14で別のセンサもしくは別の複数のセンサを表しており、センサ14の信号は、一方向性の接続部26を介して発信器装置6に伝達される。符号19で、考えられる別のセンサまたは出力装置を表しており、別のセンサまたは出力装置は、機関および/または外部装置を制御するのに用いることができる。その他に装置は、記憶装置を備えており、記憶装置は、関連する機関データ、たとえば規定の時点で特定の温度を検出するか、もしくは記録する。
【0031】
図4には、本発明によるラインケーブル(もしくは機関ライン10)を概略横断面図で示した。ラインケーブル内に、機関に供給するための3本の出力ライン34,36,38が設けられている。これらの出力ラインは、それぞれ絶縁性のスリーブ35,37,39によって包囲されている。符号40でアースラインを示しており、アースライン40も同様にスリーブ41によって包囲されている。これらの出力ラインの傍に、接続ラインは、制御ライン42を備えている。制御ライン42内に、2本の制御心線44,46が設けられており、制御心線44,46は、第2の被覆体45、有利には金属製の被覆体、たとえば錫めっきされた銅網線によって包囲されている。第2の被覆体45は、有利には2重に取り付けられたフィルム(Mylarfolie;マイラーフィルム(R))によって包囲されている。
【0032】
ライン全体は、第1の被覆体32によって包囲されており、第1の被覆体32は、有利には同様に錫めっきされた銅網線から成っている。符号32a,32bで、帯体を示しており、帯体32a,32bは、第1の被覆体32に取り付けられている。
【0033】
符号33で、ラインケーブル10の外套33を示した。符号31で、コアモノフィルを示し、符号43で、個々のラインの間に配置された別のモノフィルを示した。
【0034】
両方の心線44,46は、それぞれスリーブ状の絶縁体47によって取り囲まれていて、互いに撚り合わされている。
【0035】
その他に第1の被覆体32と第2の被覆体45との間に、図示していない別の絶縁性のスリーブを設けることができ、絶縁性の別のスリーブは、第2の被覆体45を包囲する。絶縁性の別のスリーブは、有利には非円形のプロフィールを有しており、これによってこれに応じて適合された連結部材に差し込むことができる。このようなコード化によって、機関への接続ラインの誤った差込を防止することができる。別の絶縁性のスリーブによって、既に絶縁体内で、ケーブル自体が正確にプラグに接続されるよう保証される。特に有利には、図示していない別の絶縁性のスリーブは、コード化に役立つ外向きまたは内向きに延びる突出部を備えている。
【0036】
符号49でPINもしくはコンタクト箇所を表しており、PINもしくはコンタクト箇所によって、第2の被覆体45は、機関に接続することができる。したがって図4に示したラインケーブル10は、全体で8本または9本のPINもしくはコンタクトを有しており、PINもしくはコンタクトは、対応する連結部材に導入される。3本の出力ライン34,36,38およびアースライン40の他に、両方の制御心線44,46は、接続部もしくはPINを備えている。別の接続部は、接続部49によって形成されており、最後の接続部は、直に第1の被覆体32であり、第1の被覆体32は、たとえば金属性プラグのハウジングにガイドすることができる。
【0037】
さらに絶縁体35,37または39は、非円形の横断面もしくはコードを備えてもよく、これによって電気ライン10の誤った差込が防止される。絶縁体47は、それ自体の誤った差込を防止するために、図示した形状とは別の形状を有していてもよい。
【0038】
明細書に開示した全ての特徴は、単独でもまたは組み合わせでも、背景技術に対して新しい構成において、本発明の重要な要素を成す。
【符号の説明】
【0039】
1 機関配置構造、 2 調整装置もしくは調整/評価装置、 3 接続部、 4 機関、 4a 出力軸、 5,5a 接続ケーブル(背景技術)、 6 発信器装置、 7 ハウジング、 8 センサ,温度センサ、 9 センサライン、直接的な通信接続部、 10 機関ライン、 11 センサライン、 12 接続ライン、 13 センサライン、 14、16 センサ、 15 ブレーキ装置、 18 ブレーキ操作装置、 19 別のセンサ、 21 接続ライン、 22、24、25 双方向の接続ライン、 26 一方向の接続部、 31 コアモノフィル、 32 第1の被覆体、 32a,32b 帯体、 33 外套、 34,36,38 出力ライン、 35,37,39 絶縁性のスリーブ、 40 アースライン、 41 スリーブ、 42 制御ライン、 43 別のモノフィル、 44,46 制御心線、 45 第2の被覆体、 45a 箔、 47 スリーブ状の絶縁体、 49 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関を制御する調整装置(2)と機関とを接続するための電気接続ライン(10)であって、
外側の被覆体(32)を備え、該外側の被覆体(32)の内側で延びる少なくとも3本の出力ライン(34,36,38)を備え、これらの出力ライン(34,36,38)は、それぞれ電気的に絶縁性のスリーブ(35,37,39)によって包囲されており、アースライン(40)を備え、外側の被覆体(32)の内側で延びる制御ライン(42)を備えている、電気接続ラインにおいて、
制御ライン(42)の内側に2本の制御心線(44,46)が配置されており、これらの制御心線(44,46)は、第2の被覆体(45)によって包囲されており、該第2の被覆体(45)および外側の被覆体(32)は、互いに絶縁されており、第2の被覆体(45)に、接続ラインの少なくとも一方の端部で、電気コンタクト装置(49)が配置されており、該電気コンタクト装置(49)は、第2の電気被覆体と導電接続されていることを特徴とする、電気接続ライン(10)。
【請求項2】
少なくとも1つのスリーブ(35,37,39,41,47)の横断面が、接続ラインの少なくとも一方の端部で、非対称的に形成されている、請求項1記載の電気接続ライン。
【請求項3】
少なくとも1つのスリーブ(35,37,39,41,47)の横断面が、スリーブに関して外向きに延びる突出部を有している、請求項2記載の電気接続ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−16503(P2013−16503A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195124(P2012−195124)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2010−500122(P2010−500122)の分割
【原出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】