説明

電気接続箱、及び電気接続箱の組付け方法

【課題】本発明は、粉塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減することができる電気接続箱1、及び電気接続箱1の組付け方法を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のコネクタ端子を有するバスバー回路体300と、アッパケース100と、ロアケース200とを備え、バスバー回路体300を挟んでアッパケース100、及びロアケース200を重ね合わせるように組付ける電気接続箱1であって、アッパケース100に、コネクタ端子の突出方向に開口を有するとともに、コネクタ端子を収容するコネクタハウジングを一体形成し、コネクタハウジングに、アッパケース100、及びロアケース200の重ね合わせ方向からコネクタ端子の挿通を許容する端子挿通部を形成し、ロアケース200に、重ね合わせ方向から嵌合することにより、コネクタ端子を閉塞する閉塞部を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車などの車両において、プリント基板などの電気回路体を収容しているECUやジャンクションボックスのような電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されて、ワイヤーハーネスなどの電線同士を中継、あるいは分岐するジャンクションボックス、もしくは電線を介して電気的に接続したセンサー信号を受信してエンジンなどを制御するECUのような電気接続箱がある。
【0003】
この電気接続箱は、通常、ユーザーが触れることがないため、車両の車室内におけるユーザーの足元近辺やインパネ内部、あるいは車室外におけるエンジンルームなど、比較的粉塵などの多い場所に設置されていることが多い。
【0004】
そして、このような電気接続箱の内部には、プリント基板方式、あるいはバスバー方式の電気回路体が収容固定されている。また、電気回路体は、外部に突出した接続端子を有しており、電線に接続したコネクタの接続端子と嵌合することで、各種装置などとの電気的な接続を確立する。このため、電気接続箱には、外部に突出した接続端子を収容するとともに、コネクタを保持するコネクタハウジングを備えている。
【0005】
例えば、特許文献1では、複数のヒューズ端子と電源供給端子との突出方向が平面方向において90度ずれた配置関係にある電気回路体、及びヒューズ端子用のヒューズキャビティと電源供給端子用のコネクタハウジングとが一体形成されたヒューズホルダーを備えた電気接続箱が提案されている。
【0006】
特許文献1によれば、ヒューズホルダーのコネクタハウジングは、電源供給端子が挿通するスリットを形成することで、電気接続箱の側面方向から組付け可能にしている。これにより、突出方向が90度ずれた配置関係にあるヒューズ端子と電源供給端子とを有する電気接続箱において、ヒューズキャビティを組付けると同時に、コネクタハウジングを組付けることができるとされている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の電気接続箱は、コネクタハウジングに電源供給端子を挿通するスリットを形成しているため、スリットから電源供給端子の基部に粉塵などが侵入して、短絡や接触不良などが生じるおそれがある。また、特許文献1の電気接続箱は、アッパーカバー、コントローラーカバー、及びヒューズホルダーで構成しているため、部品点数が多く軽量化や組立て工数の低減が難しいという問題がある。
【0008】
さらに、アッパーカバー、及びコントローラーカバーの組付け方向(上下方向)と、ヒューズホルダーの組付け方向が異なるため、電気接続箱の組付け作業性が悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−187053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑み、粉塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減することができる電気接続箱、及び電気接続箱の組付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、絶縁性を有する略板状の絶縁板における板面上に電気回路パターンを有するとともに、前記絶縁板の面内方向における側方に突出する少なくとも1つの接続端子部を有する電気回路体と、前記絶縁板の一方の板面側から前記電気回路体を覆う第1ケースと、前記絶縁板の他方の板面側から前記電気回路体を覆う第2ケースとを備え、前記絶縁板に対して略垂直な方向で前記電気回路体を挟んで前記第1ケース、及び前記第2ケースを重ね合わせるように組付ける電気接続箱であって、前記第1ケースに、前記接続端子部の突出方向に開口を有するとともに、前記接続端子部を収容するハウジングを一体形成し、該ハウジングに、前記第1ケース、及び前記第2ケースの重ね合わせ方向から前記接続端子部の挿通を許容する端子挿通部を形成し、前記第2ケースに、前記重ね合わせ方向から嵌合することにより、前記端子挿通部を閉塞する閉塞部を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記面内方向における側方は、絶縁板の板面上を略二次元平面と仮定した場合、略二次元平面における絶縁板の外側とすることができる。
上記接続端子部は、コネクタ端子、ヒューズ端子などとすることができる。
【0013】
上記電気回路体は、プリント基板方式、あるいはバスバー方式とすることができる。
上記ハウジングは、コネクタ端子を収容するコネクタハウジング、あるいはヒューズ端子を収容するヒューズハウジングなどとすることができる。
【0014】
この発明により、粉塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減できる電気接続箱を構成することができる。
具体的には、第1ケースにハウジングを一体形成したことにより、ハウジングを固定する固定部品などが不要となり、電気接続箱の部品点数を削減することで、電気接続箱の軽量化や組立て工数の低減を図ることができる。これにより、電気接続箱は、コストダウンを図ることができる。
【0015】
また、電気接続箱は、絶縁板に対して略垂直な方向で、電気回路体を挟んで第1ケース、及び第2ケースを重ね合わせるようにして組付けることができる。そして、ハウジングの端子挿通部により、絶縁板の面内方向における側方に突出した端子接続部を、第1ケース、及び第2ケースの重ね合わせ方向からハウジングに収容することができる。
【0016】
すなわち、電気接続箱は、電気回路体を挟んで第1ケース、及び第2ケースを組付けると同時に、第1ケースに一体形成したハウジングに接続端子部を収容することができる。これにより、電気接続箱は、接続端子部を有する電気回路体を効率よく組付けることができる。
【0017】
なお、電気接続箱は、複数の接続端子部を有する電気回路体であっても、同様に効率よく組付けることができる。例えば、接続端子部の突出方向が、絶縁板の面内方向において交差するような配置であっても、電気接続箱は、第1ケース、及び第2ケースを組付けると同時に、ハウジングに接続端子部を収容することができる。
【0018】
さらに、電気回路体を挟んで第1ケース、及び第2ケースを組付けると同時に、第2ケースの閉塞部により第1ケースの端子挿通部を閉塞するので、電気接続箱は、接続端子部の露出を抑えることができる。これにより、接続端子部の基部に粉塵などが侵入することを抑制できる。さらに、接続端子部の基部から電気接続箱の内部に、粉塵などが侵入することを抑制できる。
【0019】
従って、電気接続箱は、粉塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減することができる。
【0020】
この発明の態様として、前記第2ケースの前記閉塞部を、前記接続端子部の突出方向、かつ前記絶縁板に対して略垂直方向の断面において、前記端子挿通部に嵌合する略L字状の垂直断面形状に形成した嵌合部、及び前記ハウジングと対向する略平板状の平面部で構成し、前記嵌合部を、前記平面部上において前記接続端子部の突出方向に延びて、かつ前記ハウジングに向けて突設した平面突部、及び該平面突部における突出方向の基部側端部から前記ハウジングに向けて立設して、前記接続端子部の基部を前記端子挿通部とで挟み込んで支持する支持部で前記略L字状の垂直断面形状を形成する構成とすることができる。
【0021】
この発明により、ハウジングの端子挿通部と支持部とで接続端子部の基部を挟み込んで支持するので、電気接続箱は、ハウジング内で接続端子部を確実に支持することができる。これにより、コネクタ脱着時における接続端子部の変形を抑制することができる。
【0022】
また、嵌合部が端子挿通部に嵌合するので、コネクタ脱着時におけるハウジングのよじれを抑制することができる。さらに、第2ケースの平面部により、ハウジングを第2ケース側から支持することができるので、コネクタ脱着時にハウジングに加わり易い重ね合わせ方向の荷重に対して、ハウジングの変形を抑制できる。
【0023】
従って、電気接続箱は、より確実に粉塵の侵入を抑制するとともに、ハウジングの変形も抑制することができる。
【0024】
また、この発明の態様として、前記第2ケースの閉塞部を、前記重ね合わせ方向に沿った視点方向において、前記接続端子部の短手方向、及び長手方向の寸法と略同等の寸法に形成することができる。
【0025】
上記重ね合わせ方向に沿った視点方向は、絶縁板に対して略垂直方向を電気接続箱における上下方向とするならば、平面視、あるいは底面視などとすることができる。もしくは、重ね合わせ方向が電気接続箱における左右方向であれば側面視、あるいは前後方向であれば、正面視、もしくは背面視とすることができる。
【0026】
この発明により、重ね合わせ方向に沿った視点方向において、端子挿通部によるハウジングの開口と接続端子部との隙間を最小限にすることができる。これにより、ハウジングにおける端子挿通部による開口率を小さくすることができるので、コネクタ脱着時におけるハウジングの変形をより抑制できる。
【0027】
また、複数の接続端子部を収容するハウジングにおいて、接続端子部と同数の端子挿通部をスリット状の開口部として設けることができる。すなわち、1つの端子挿通部で複数の接続端子部を挿通許容する場合と比べて、ハウジングにおける端子挿通部による開口率をより小さくすることができる。これにより、コネクタ脱着時におけるハウジングの変形をより抑制することができる。
【0028】
また、第2ケースの嵌合部を接続端子部の突出方向、かつ絶縁板に対して略垂直方向の断面において、端子挿通部に嵌合する略L字状の垂直断面形状に形成することで、電気接続箱は、ハウジングの外部から接続端子部の基部に至る粉塵などの侵入経路を複雑にすることができる。
【0029】
すなわち、粉塵などの侵入方向に対して段差を形成できるので、粉塵などの侵入経路の距離を直線距離よりも長くすることができる。これにより、電気接続箱は、接続端子部の基部に粉塵が到達することをより確実に抑制できる。つまり、電気接続箱の内部に粉塵などが侵入することを抑制して、粉塵などによる短絡や接触不良などが生じることを防止できる。
【0030】
従って、電気接続箱は、より確実に粉塵の侵入を抑制するとともに、ハウジングの変形も抑制することができる。
【0031】
また、この発明の態様として、前記電気回路体を、前記重ね合わせ方向に所定の間隔を介して複数の前記接続端子部を配置した構成とし、前記重ね合わせ方向における前記接続端子部間に、前記ハウジング、及び前記閉塞部とともに、前記接続端子部の基部を挟み込んで支持する中間支持部を備えることができる。
【0032】
この発明により、接続端子部が重ね合わせ方向に複数配置されても、中間支持部により、接続端子部間を支持することができる。そして、中間支持部は、ハウジング、及び閉塞部とともに、接続端子部の基部を挟持することができる。すなわち、電気接続箱は、接続端子部の基部を確実に支持することができる。さらに、接続端子部が重ね合わせ方向に複数配置されても、電気接続箱は、接続端子部の基部における隙間を小さくすることができる。
【0033】
従って、接続端子部が重ね合わせ方向に複数配置された場合においても、電気接続箱は、より確実に粉塵の侵入を抑制することができる。
【0034】
また、この発明は、絶縁性を有する略板状の絶縁板における板面上に電気回路パターンを有するとともに、前記絶縁板の面内方向における側方に突出する少なくとも1つの接続端子部を有する電気回路体と、前記絶縁板の一方の板面側から前記電気回路体を覆う第1ケースと、前記絶縁板の他方の板面側から前記電気回路体を覆う第2ケースとを備え、前記絶縁板に対して略垂直な方向で前記電気回路体を挟んで前記第1ケース、及び前記第2ケースを重ね合わせるように組付ける電気接続箱の組付け方法であって、前記第1ケースに前記接続端子部の突出方向に開口を有して一体形成するとともに、前記接続端子部を収容するハウジングの端子挿通部により、前記第1ケース、及び前記第2ケースの重ね合わせ方向から前記接続端子部の挿通を許容して、前記第2ケースの閉塞部により、前記重ね合わせ方向から嵌合して前記端子挿通部を閉塞することを特徴とする。
【0035】
この発明により、塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減できる電気接続箱の組付け方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、粉塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減できる電気接続箱、及び電気接続箱の組付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】電気接続箱の外観を示す上方からの外観斜視図。
【図2】電気接続箱の構成を示す上方からの分解斜視図。
【図3】図2における第1、第2、及び第3コネクタハウジングの底面側を示す部分拡大斜視図。
【図4】図2における第1、及び第2ヒューズ端子を示す部分拡大斜視図
【図5】図2におけるロアケースの右閉塞部を示す部分拡大斜視図。
【図6】図1中のA−A矢視断面図。
【図7】第1、第2、及び第3コネクタハウジングにおける組付け状態を示す部分拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、図1は電気接続箱1の上方からの外観斜視図を示し、図2は電気接続箱1の上方からの分解斜視図を示し、図3は図2における第1コネクタハウジング111、第2コネクタハウジング112、及び第3コネクタハウジング113の底面側の部分拡大斜視図を示してしる。さらに、図4は図2における第1ヒューズ端子343、及び第2ヒューズ端子344の部分拡大斜視図を示し、図5は図2におけるロアケース200の右閉塞部215の部分拡大斜視図を示し、図6は図1中のA−A矢視断面図を示し、図7は第1コネクタハウジング111、第2コネクタハウジング112、及び第3コネクタハウジング113における組付け状態の部分拡大斜視図を示している。ただし、図2においてヒューズカバー2、及びリレー3の図示を省略している。
【0039】
また、本明細書における電気接続箱1の上面(上方向)は図中の上方向とし、電気接続箱1の底面(下方向)は図中の下方向とし、電気接続箱1の前面(前方向、前部)は図中の左下方向とし、電気接続箱1の後面(後方向、後部)は図中の右上方向とする。さらに、電気接続箱1の左側面(左方向、左端)は図中の左上方向とし、電気接続箱1の右側面(右方向、右端)は図中の右下方向とする。ただし、図2においてのみ、図中の上方向を電気接続箱1の底面とする。
【0040】
電気接続箱1は、図1に示すように、平面視において略方形の天板101と、天板101の周縁の下方に配置した右側面部10、前面部20、左側面部30、及び後面部40と、これらの下方に配置して天板101に対向する底板201とで、上下方向に所定の厚みを有する略箱状をなしている。
【0041】
電気接続箱1の右側面となる右側面部10は、前方向から順に右前方壁部110、第1コネクタハウジング111、第2コネクタハウジング112、第3コネクタハウジング113、及び右後方壁部114で構成している。なお、第1コネクタハウジング111は、右方向に開口を有するとともに、右側面視略凹形状の筒状に形成している。また、第2コネクタハウジング112、及び第3コネクタハウジング113は、いずれも右方向に開口を有するとともに、右側面視略凸形状の筒状に形成している。
【0042】
電気接続箱1の前面となる前面部20は、詳しくは後述する第1ヒューズハウジング、及び第2ヒューズハウジングで構成し、これらを覆い隠すようにヒューズカバー2を嵌合固定している。なお、ヒューズカバー2の右端には、右前方壁部110に嵌合するカバー嵌合孔部2aを形成している。
【0043】
電気接続箱1の左側面となる左側面部30は、前方向から順に左壁部130、及び1つの第4コネクタハウジング131で構成している。この第4コネクタハウジング131は、左方向に開口を有するとともに、左側面視略凸状の筒状に形成している。
【0044】
電気接続箱1の後面となる後面部40は、略平板状の後壁部140で構成している。
なお、天板101の左縁端近傍には、電気接続箱1の上方から挿入したリレー3を備えている。
【0045】
このような略箱状の電気接続箱1は、より具体的には、図2に示すようにアッパケース100、及びロアケース200を上下方向に組付けて略箱状に構成している。さらに、電気接続箱1の内部には、バスバー回路体300を収容している。
【0046】
このバスバー回路体300は、絶縁板310と、絶縁板310の上面に設けたリレー端子320と、絶縁板310の上面、及び下面に固定された複数のバスバー330とで所望の回路パターンを構成している。
【0047】
絶縁板310は、絶縁性を有する合成樹脂材料で、天板101に対向する略平板状に形成している。また、絶縁板310の板面上には、バスバー330を固定する複数の凹凸を所望の回路パターンに応じた位置に形成している。
【0048】
さらに、絶縁板310の前縁端には、複数のヒューズ4を保持可能なヒューズホルダー311を形成している。加えて、絶縁板310は、後述する第3コネクタ端子342、及び第2ヒューズ端子344に対応する中間支持部を形成している。この中間支持部については、後ほど詳しく説明する。
【0049】
バスバー330は、天板101に対向する銅合金材等の薄板を、所望の回路パターンに応じた適宜の形状に打ち抜きプレスで形成している。また、バスバー330は、絶縁板310の外周縁から左右方向、あるいは前後方向に突出するとともに、各コネクタハウジングに収容される複数のコネクタ端子を形成している。
【0050】
詳述すると、バスバー330は、第1コネクタハウジング111に収容する第1コネクタ端子340、第2コネクタハウジング112に収容する第2コネクタ端子341、及び第3コネクタハウジング113に収容する第3コネクタ端子342を、絶縁板310の右縁端から右方向に突出して形成している。
【0051】
第1コネクタ端子340は、図2、及び図3に示すように、絶縁板310の上面に固定したバスバー330から突出して形成している。
第2コネクタ端子341は、図2、及び図3に示すように、絶縁板310の下面に固定したバスバー330から突出して形成するとともに、前後方向に並設した端子341a、及び端子341bで構成している。
【0052】
第3コネクタ端子342は、図2、及び図3に示すように、絶縁板310の上面に固定した複数のバスバー330から突出して形成するとともに、前後方向に6つ並設した端子342a、及び下面に固定したバスバー330から突出するとともに前後方向に6つ並設した端子342bが、絶縁板310を挟んで上下方向に重なり合うように配置して構成している。
【0053】
さらに、図3、及び図6に示すように、第3コネクタ端子342の端子342aと端子342bとの基部間において、絶縁板310は、右縁端から右方向に突出するとともに、端子342a、及び端子342bに当接する中間支持部312を形成している。
【0054】
また、バスバー330は、図2、及び図4に示すように、後述する第1ヒューズハウジング120に収容する第1ヒューズ端子343、及び後述する第2ヒューズハウジング121に収容する第2ヒューズ端子344を、絶縁板310の前縁端から前方向に突出して形成している。
【0055】
第1ヒューズ端子343は、絶縁板310に形成したヒューズホルダー311を挟んで、絶縁板310の上面、及び下面に固定されたバスバー330からそれぞれ複数突出するとともに、ヒューズ4の挿入を許容して電気的な接続を確立する形状に形成している。
【0056】
第2ヒューズ端子344は、図4に示すように、絶縁板310の前縁端から前方向に突出して形成した端子344a、344b、及び344cを、左右方向に並設して構成している。
【0057】
この端子344a、344b、及び344cは、それぞれ絶縁板310の上面に固定したバスバー330から突出して形成した端子と絶縁板310の下面に固定したバスバー330から突出して形成した端子とを、絶縁板310を挟んで上下方向に重なり合うように配置して構成している。
【0058】
さらに、端子344a、344b、及び344cの各基部間において、絶縁板310は、前縁端から前方向に突出した中間支持部313を形成している。なお、この中間支持部313は、第3コネクタ端子342における中間支持部312と突出方向が異なることを除けば、中間支持部312と同様に形成している。
【0059】
また、バスバー330は、図2に示すように、第4コネクタハウジング131に収容する第4コネクタ端子345を、絶縁板310の左縁端後部から左方向に突出して形成している。
【0060】
第4コネクタ端子345は、第3コネクタ端子342と突出方向が異なる以外は第3コネクタ端子342と同様に形成しているので、その詳しい説明を省略する。また、絶縁板310は、第4コネクタ端子345に対応する中間支持部(図示省略)を形成している。
【0061】
次に、バスバー回路体300を上方より覆うアッパケース100は、図1、及び図2に示すように、電気接続箱1の上面となる天板101、右側面部10、前面部20、左側面部30、及び後面部40で構成している。
【0062】
天板101は、平面視において略方形状の平板に形成している。また、天板101の左縁端近傍には、リレー3を保持するリレー保持部102が上方に向けて立設している。
【0063】
右側面部10の右前方壁部110には、ヒューズカバー2のカバー嵌合孔部2aと前後方向で嵌合するカバー嵌合爪部110a、及びロアケース200と上下方向で嵌合するケース嵌合孔部110bを形成している。
右側面部10の右後方壁部114には、ロアケース200と嵌合するケース嵌合孔部(図示省略)を形成している。
【0064】
また、右側面部10の第1コネクタハウジング111の底面には、図3に示すように、第1コネクタ端子340を下方から挿通許容する第1端子挿通部111aを形成している。
【0065】
第1端子挿通部111aは、図3に示すように、底面視における第1コネクタ端子340の長さ、及び幅と略同等の大きさで第1コネクタハウジング111を上下方向にくり抜くように開口して形成している。さらに、第1端子挿通部111aは、バスバー回路体300を電気接続箱1に収容した状態で、後述するロアケース200の第1コネクタ嵌合部211とで第1コネクタ端子340の基部を上下方向から挟持可能に形成している。
【0066】
また、第2コネクタハウジング112の底面には、第2コネクタ端子341を下方から挿通許容する第2端子挿通部112aを形成している。この第2端子挿通部112aは、第1コネクタハウジング111の第1端子挿通部111aと同様に形成しているが、第2コネクタ端子341の端子341a、及び端子341bにそれぞれ対応するよう2つの開口を形成している点が異なる。
【0067】
また、第3コネクタハウジング113の底面には、第3コネクタ端子342を下方から挿通許容する第3端子挿通部113aを形成している。この第3端子挿通部113aは、第1コネクタハウジング111の第1端子挿通部111aと同様に形成しているが、第3コネクタ端子342の平面視における端子数に対応する6つのスリット状の開口を形成している点が異なる。
【0068】
また、ヒューズカバー2を取り外した前面部20は、図2に示すように、左方向から順に第1ヒューズハウジング120、及び第2ヒューズハウジング121で構成している。
【0069】
第1ヒューズハウジング120は、第1ヒューズ端子343を備えたヒューズホルダー311の左右側面、及び上面を覆うとともに、組付け状態において第1ヒューズ端子343を備えたヒューズホルダー311を上方から保持する形状に形成している。
【0070】
第2ヒューズハウジング121は、正面視において左右方向に長い略矩形に形成するとともに、正面視略方形で前後方向に開口したヒューズ差込口121a、121b、及び121cを左右方向に並設して形成している。このヒューズ差込口121a、121b、及び121cには、それぞれ第2ヒューズ端子344の端子344a、344b、及び344cを収容する。
【0071】
そして、第2ヒューズハウジング121の底面には、各ヒューズ差込口に対応する第2ヒューズ端子344を下方向から挿通許容するヒューズ端子挿通部(図示省略)を形成している。
【0072】
このヒューズ端子挿通部は、第1コネクタハウジング111の第1端子挿通部111aと同様に形成しているが、平面視における第2ヒューズ端子344の突出方向、長さ、及び幅に対応する形状に形成している点が異なる。
左側面部30の左壁部130には、ロアカバー200と嵌合するケース嵌合孔部(図示省略)を前後方向に所定の間隔を介して2箇所設けている。
【0073】
第4コネクタハウジング131の底面には、第4コネクタ端子345を下方から挿通許容する第4端子挿通部(図示省略)を形成している。この第4端子挿通部は、第3コネクタハウジング113の第3端子挿通部113aと同様に形成しているが、第4コネクタ端子345に対応する方向に開口を形成している点が異なる。
後面部40を構成する後壁部140には、ロアカバー200と嵌合するケース嵌合孔部(図示省略)を1箇所設けている。
【0074】
次に、バスバー回路体300を下方より覆うロアケース200は、図1、及び図2に示すように、電気接続箱1の底面となる底板201と、底板201の右縁端において前方向から順に形成した右前方嵌合爪部210、右閉塞部215、及び右後方嵌合爪部216と、底板201の前縁端において左方向から順に形成した第1ヒューズハウジング底部220、及び前閉塞部221とで構成している。さらに、ロアケース200は、底板201の左縁端において前方向から順に形成した左嵌合爪部230、及び左閉塞部231と、底板201の後縁端に形成した後嵌合爪部240とで構成している。
【0075】
底板201は、バスバー回路体330を挟んでアッパケース100の天板101と対向するとともに、平面視略方形状の平板に形成している。
右前方嵌合爪部210は、底板201の右縁端前部において上方向に立設した内壁面部210aと、内壁面部210aから右方向に突出して形成した爪部210bとで構成している。
【0076】
右閉塞部215は、図2、及び図5に示すように、底板201の右縁端から右方向に突出するとともに、第1コネクタハウジング111、第2コネクタハウジング112、及び第3コネクタハウジング113の下面と上下方向で対向する略平板状の平面部214と、平面部214上に形成した第1コネクタ嵌合部211、2つの第2コネクタ嵌合部212、及び6つの第3コネクタ嵌合部213とで構成している。
【0077】
第1コネクタ嵌合部211は、第1コネクタハウジング111の第1端子挿通部111aに嵌合する形状に形成している。
詳述すると、第1コネクタ嵌合部211は、平面部214の基部から右方向に延びるとともに上方向に突設した平面突部211aと、平面突部211aにおける平面部214の基部側端部から上方向に立設した支持部211bとで構成している。
【0078】
そして、第1コネクタ嵌合部211は、平面部214の基部から右方向、かつ上下方向(垂直方向)の断面において、平面突部211aと支持部211bとで略L字状の垂直断面形状を形成している。
【0079】
また、平面突部211aは、平面視において第1コネクタ端子340と長さ、及び幅と略同等の大きさに形成している。さらに、支持部211bは、平面視において平面突部211aの幅と略同等の大きさに形成している。加えて、支持部211bは、組付け状態において上端が第1コネクタ端子340と当接する高さに形成している。
【0080】
第2コネクタ嵌合部212は、第2コネクタハウジング112における第2端子挿通部112aの2つの開口にそれぞれ嵌合する形状に形成している。この第2コネクタ嵌合部212は、第1コネクタ嵌合部211と同様に形成しているが、第2コネクタ端子341、及び第2端子挿通部112aに対応する形状に形成している点が異なる。
【0081】
第3コネクタ嵌合部213は、第3コネクタハウジング113における第3端子挿通部113aの6つの開口にそれぞれ嵌合する形状に形成している。この第3コネクタ嵌合部213は、第1コネクタ嵌合部211と同様に形成しているが、第3コネクタ端子342、及び第3端子挿通部113aに対応する形状に形成している点が異なる。
【0082】
右後方嵌合爪部216は、図2、及び図5に示すように、底板201の右縁端後部において上方向に立設した内壁面部216aと、内壁面部216aから右方向に突出して形成した爪部216bとで構成している。
【0083】
第1ヒューズハウジング底部220は、図2に示すように、アッパケース100の第1ヒューズハウジング120の下面開口を覆うとともに、ヒューズ端子343を備えたヒューズホルダー311を下方より保持する形状に形成している。また、第1ヒューズハウジング底部220には、ヒューズホルダー311の右端を係止して保持するホルダー保持部220aを上方向に立設している。
【0084】
前閉塞部221は、図2に示すように、第2ヒューズハウジング121の底面と上下方向で対向するとともに、底板201の前縁端から前方向に突出した略平板状の平面部221aと、平面部221a上に形成した3つの第2ヒューズ嵌合部222とで構成している。
【0085】
第2ヒューズ嵌合部222は、ヒューズ差込口121a、121b、及び121cのヒューズ端子挿通部の開口にそれぞれ嵌合する形状に形成している。第2ヒューズ嵌合部222は、それぞれ第1端子挿通部111aに対応する第1コネクタ嵌合部211と同様に形成しているが、平面視におけるヒューズ端子挿通部の突出方向、長さ、及び幅に対応する形状に形成している点が異なる。
【0086】
左嵌合爪部230は、底板201の左縁端において上方に立設した内壁面部230aと、内壁面部230aから左方向に突出した2つの爪部(図示省略)とで形成している。
【0087】
左閉塞部231は、底板201の左縁端後部から左方向に突出するとともに、コネクタハウジング131の底面と上下方向で対向する略平板状の平面部231aと、平面部231a上に形成した6つの第4コネクタ嵌合部232とで構成している。
【0088】
第4コネクタ嵌合部232は、第4コネクタハウジング131における第4端子挿通部の6つの開口にそれぞれ嵌合する形状に形成している。この第4コネクタ嵌合部232は、第3コネクタ嵌合部213に対して形成方向が異なることを除いて第3コネクタ嵌合部213と同様に形成しているので、その詳細な説明を省略する。
【0089】
後嵌合爪部240は、底板201の後縁端において上方向に立設した内壁面部240aと、内壁面部240aから後方向に突出した1つの爪部(図示省略)とで形成している。
【0090】
以上のような構成の電気接続箱1において、バスバー回路体300を挟んでアッパケース100とロアケース200とを上下方向に組付ける方法について説明する。
【0091】
まず、アッパケース100にバスバー回路体300を下方向から組付ける。このとき、バスバー回路体300は、第1コネクタ端子340を第1コネクタハウジング111の第1端子挿通部111aに下方向から挿通しながらアッパケース100に収容する。
【0092】
同様に、第2コネクタ端子341を第2端子挿通部112aに挿通し、第3コネクタ端子342を第3端子挿通部113aに挿通し、第4コネクタ端子345を第4端子挿通部に挿通しながらアッパケース100に収容する。
【0093】
さらに、バスバー回路体300は、第2ヒューズ端子344の端子344a、344b、及び344cも同様に、それぞれ対応するヒューズ差込口121a、121b、及び121cのヒューズ端子挿通部に下方向から挿通しながらアッパケース100に収容する。加えて、第1ヒューズ端子343を備えたヒューズホルダー311を第1ヒューズハウジング120に収容する。
【0094】
続いて、バスバー回路体300を収容したアッパケース100に、アッパケース100の下方向からロアケース200を組付ける。
このとき、ロアケース200は、第1コネクタ嵌合部211を第1コネクタハウジング111の第1端子挿通部111aにアッパケース100の下方向から嵌合しながらアッパケース100に組付ける。
【0095】
同様に、第2コネクタ嵌合部212を第2端子挿通部112aに嵌合し、第3コネクタ嵌合部213を第3端子挿通部113aに嵌合し、第4コネクタ嵌合部232を第4端子挿通部に嵌合しながらアッパケース100に組付ける。
【0096】
さらに、ロアケース200は、第2ヒューズ嵌合部222を第2ヒューズハウジング121の各ヒューズ端子挿通部にアッパケース100の下方向から嵌合しながらアッパケース100に組付ける。加えて、第1ヒューズハウジング底部220のホルダー保持部220aを、第1ヒューズ端子343を備えたヒューズホルダー311に係止する。
【0097】
そして、ロアケース200の右前方嵌合爪部210をアッパケース100のケース嵌合孔部110bに嵌合し、同様に他の嵌合爪部をケース嵌合孔部に嵌合して、アッパケース100とロアケース200との組付けを完了する。
このようにして、アッパケース100、及びロアケース200でバスバー回路体300を上下方向に挟み込むようにして組付ける。
【0098】
ここで、各コネクタハウジングにおける組付け状態の一例として、図7に示すように、第1コネクタハウジング111、第2コネクタハウジング112、及び第3コネクタハウジング113は、それぞれ対応するコネクタ端子を右方向に突出した状態で収容している。そして、各端子挿通部による各コネクタハウジングの開口を各コネクタ嵌合部で閉塞するように組付けている。
【0099】
例えば、第3コネクタハウジング113において、図6に示すように、第3端子挿通部113aによる第3コネクタハウジング113の開口を、第3コネクタ端子342、中間支持部312、及び第3コネクタ嵌合部213で閉塞するように組付けている。なお、図6において、第3コネクタハウジング113には、電線(図示省略)に接続したコネクタ5を接続している。
【0100】
詳述すると、第3コネクタ端子342の端子342aが第3端子挿通部113aの上端部113bと上下方向で当接している。また、第3コネクタ端子342の端子342bが第3コネクタ嵌合部213の支持部213bの上端と上下方向で当接している。
【0101】
さらに、第3コネクタ端子342とともにバスバー回路体300の中間支持部312を、第3端挿通部113aと支持部213bとが挟むように組付けている。加えて、第3端子挿通部113aによる第3コネクタハウジング113の底面開口を、第3コネクタ嵌合部213の平面突部213aで閉塞するように組付けている。
【0102】
また、右閉塞部215の平面部214が、第3コネクタハウジング113の底面を覆うように当接して組付けている。
このように第3端子挿通部113aによる第3コネクタハウジング113の開口を、第3コネクタ端子342、中間支持部312、及び第3コネクタ嵌合部213で閉塞するように組付けている。
【0103】
同様に、第1端子挿通部111aによる第1コネクタハウジング111の開口を、第1コネクタ端子341、及び第1コネクタ嵌合部211で閉塞するように組付けている。
また、第2端子挿通部112aによる第2コネクタハウジング112の開口を、第2コネクタ端子341、及び第2コネクタ嵌合部212で閉塞するように組付けている。
【0104】
また、第4端子挿通部による第4コネクタハウジング131の開口を、第4コネクタ端子345、中間支持部、及び第4コネクタ嵌合部231で閉塞するように組付けている。
さらに、各ヒューズ端子挿通部による第2ヒューズハウジング121の各開口を、それぞれ第2ヒューズ端子344、中間支持部313、及び第2ヒューズ嵌合部222で閉塞するように組付けている。
【0105】
以上のように、バスバー回路体300を挟んでアッパケース100とロアケース200を上下方向で組付けると同時に、各コネクタ端子、あるいはヒューズ端子を対応するハウジングに収容することを実現する構成により、電気接続箱1は、粉塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減できる。
【0106】
具体的には、アッパケース100に第1コネクタハウジング111、第2コネクタハウジング112、第3コネクタハウジング113、及び第4コネクタハウジング131を一体形成したことにより、各コネクタハウジングを固定する固定部品などが不要となり、電気接続箱1の部品点数を削減することで、電気接続箱1の軽量化や組立て工数の低減を図ることができる。これにより、電気接続箱1は、コストダウンを図ることができる。
【0107】
また、電気接続箱1は、上下方向で、バスバー回路体300を挟んでアッパケース100、及びロアケース200を重ね合わせるようにして組付けることができる。そして、各コネクタハウジング(111,112,113,131)の各端子挿通部により、絶縁板310の前方向、あるいは左右方向に突出した各コネクタ端子(340,341,342,345)を、アッパケース100、及びロアケース200の重ね合わせ方向から各コネクタハウジングに収容することができる。
【0108】
すなわち、電気接続箱1は、バスバー回路体300を挟んでアッパケース100、及びロアケース200を組付けると同時に、アッパケース100に一体形成した各コネクタハウジング(111,112,113,131)に各コネクタ端子(340,341,342,345)を収容することができる。これにより、電気接続箱1は、コネクタ端子を有するバスバー回路体300を効率よく組付けることができる。
【0109】
また、第1コネクタ端子340、第2コネクタ端子341、及び第3コネクタ端子342の突出方向(右方向)と、第4コネクタ端子345の突出方向(左方向)と、第2ヒューズ端子344の突出方向(前方向)とがそれぞれ異なっていても、電気接続箱1は、アッパケース100、及びロアケース200を組付けると同時に、各コネクタハウジングに各コネクタ端子、あるいは第2ヒューズ端子344を収容することができる。
【0110】
さらに、バスバー回路体300を挟んでアッパケース100、及びロアケース200を組付けると同時に、ロアケース200の各閉塞部によりアッパケース100の各端子挿通部を閉塞するので、電気接続箱1は、各コネクタ端子の露出を抑えることができる。これにより、各コネクタ端子の基部に粉塵などが侵入することを抑制できる。さらに、各コネクタ端子の基部から電気接続箱1の内部に、粉塵などが侵入することを抑制できる。
【0111】
従って、電気接続箱1は、粉塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減することができる。
【0112】
また、ロアケース200の右閉塞部215を、第1コネクタ嵌合部211、第2コネクタ嵌合部212、及び平面部214で構成したことにより、第1端子挿通部111aと支持部211bとで第1コネクタ端子340の基部を挟み込んで支持し、第2端子挿通部112aと支持部212bとで第2コネクタ端子341の基部を挟み込んで支持するので、電気接続箱1は、第1コネクタハウジング111、及び第2コネクタハウジング112内で第1コネクタ端子340、及び第2コネクタ端子341を確実に支持することができる。これにより、コネクタ5の脱着時における各コネクタ端子の変形を抑制することができる。
【0113】
また、各嵌合部が各端子挿通部に嵌合するので、コネクタ5の脱着時における各コネクタハウジングのよじれを抑制することができる。さらに、ロアケース200の各平面部により、各コネクタハウジングを下方向から支持することができるので、コネクタ5の脱着時に各コネクタハウジングに加わり易い重ね合わせ方向の荷重に対して、各コネクタハウジングの変形を抑制できる。
【0114】
従って、電気接続箱1は、より確実に粉塵の侵入を抑制するとともに、コネクタハウジングの変形も抑制することができる。
【0115】
また、各嵌合部を、平面視におけるコネクタ端子の長さ、幅と略同等の寸法に形成したことにより、平面視において各端子挿通部による各コネクタハウジングの開口と各コネクタ端子との隙間を最小限にすることができる。これにより、各コネクタハウジングにおける各端子挿通部による開口率を小さくすることができるので、コネクタ5の脱着時における各コネクタハウジングの変形をより抑制できる。
【0116】
また、複数の端子からなる第2コネクタ端子341を収容する第2コネクタハウジング112において、第2コネクタ端子341の端子数と同数の第2端子挿通部112aをスリット状の開口部として設けることができる。すなわち、1つの端子挿通部で複数のコネクタ端子を挿通許容する場合と比べて、第2コネクタハウジング112における第3端子挿通部112aによる開口率をより小さくすることができる。これにより、コネクタ5の脱着時における第2コネクタハウジング112の変形をより抑制することができる。なお、第3コネクタハウジング113、及び第4コネクタハウジング131においても同様の効果を得ることができる。
【0117】
また、ロアケース200の各嵌合部を略L字状の垂直断面形状に形成することで、電気接続箱1は、各コネクタハウジングの外部から各コネクタ端子の基部に至る粉塵などの侵入経路を複雑にすることができる。
【0118】
例えば、図6に示すように、第3コネクタハウジング113の底面とロアケース200の平面部214との隙間から図中の左方向へ侵入した粉塵などは、第3コネクタハウジング113の第3端子挿通部113aと平面突部213aとの隙間から第3コネクタハウジング113内に侵入する。そして、平面突部213aの上面とコネクタ5との隙間を通って、支持部213bとコネクタ5との隙間から第3コネクタ端子342の基部に到達する。
【0119】
このように、粉塵などの侵入方向に対して第3端子挿通部113aや平面突部213aなどで段差を形成できるので、粉塵などの侵入経路の距離を直線距離よりも長くすることができる。これにより、電気接続箱1は、第3コネクタ端子342の基部に粉塵が到達することをより確実に抑制できる。つまり、電気接続箱1の内部に粉塵などが侵入することを抑制して、粉塵などによる短絡や接触不良などが生じることを防止できる。なお、第1コネクタハウジング111、第2コネクタハウジング112、及び第4コネクタハウジング131においても同様の効果を得ることができる。
【0120】
従って、電気接続箱1は、より確実に粉塵の侵入を抑制するとともに、各コネクタハウジングの変形も抑制することができる。
【0121】
また、バスバー回路体300に中間支持部312を備えたことにより、上下方向に端子を配置した第3コネクタ端子342であっても、中間支持部312で端子間を支持することができる。そして、中間支持部312は、第3コネクタハウジング113、及び支持部213bとともに、第3コネクタ端子342の基部を挟持することができる。すなわち、電気接続箱1は、第3コネクタ端子342の基部を確実に支持することができる。
【0122】
さらに、上下方向に端子が複数配置された第3コネクタ端子342であっても、電気接続箱1は、第3コネクタ端子342の基部における隙間を小さくすることができる。なお、第4コネクタ端子345に対応する中間支持部においても同様の効果を得ることができる。
【0123】
従って、上下方向に端子が複数配置されたコネクタ端子であっても、電気接続箱1は、より確実に粉塵の侵入を抑制することができる。
【0124】
また、アッパケース100に一体形成するとともに、各コネクタ端子を収容する各コネクタハウジングの各端子挿通部で、前記アッパケース100の下方向から各コネクタ端子の挿通を許容して、ロアケース200の各閉塞部を下方向から嵌合して各端子挿通部を閉塞することにより、塵の侵入を抑制するとともに、組付け作業性を損なうことなく、部品点数を削減できる電気接続箱1の組付け方法を提供することができる。
【0125】
なお、第2ヒューズ端子344を収容する第2ヒューズハウジング121のヒューズ端子挿通部、及び前閉塞部221においても上述のコネクタハウジングと同様の効果を得ることができる。
【0126】
また、上述の実施例において、バスバー回路体300を電気接続箱1に収容したが、これに限定せずコネクタ端子を有するプリント配線基板などを電気接続箱1に収容する構成であってもよい。
【0127】
また、アッパケース100の下方向からバスバー回路体300を組付けたが、ロアケース200に上方からバスバー回路体300を組付けたのち、ロアケース200の上方からアッパケース100を組付けてもよい。
【0128】
また、アッパケース100に各コネクタハウジングを一体形成したが、ロアケース200にコネクタハウジング(ヒューズハウジング)を一体形成し、これに対応する閉塞部をアッパケース100に形成してもよい。
【0129】
あるいは、アッパケース100にコネクタハウジング、及びヒューズハウジングに対応する閉塞部を一体形成し、ロアケース200にコネクタハウジングに対応する閉塞部、及びヒューズハウジングを一体形成した構成などとしてもよい。
【0130】
また、アッパケース100、及びロアケース200を嵌合にて組付けたが、ネジなどで螺合してもよい。加えて、バスバー回路体300もネジなどで螺合してもよい。
【0131】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の電気回路体は、実施形態のバスバー回路体300に対応し、
以下同様に、
接続端子部は、第1コネクタ端子340、第2コネクタ端子341、第3コネクタ端子342、第4コネクタ端子345、及び第2ヒューズ端子344に対応し、
第1ケースは、アッパケース100に対応し、
第2ケースは、ロアケース200に対応し、
コネクタハウジングは、第1コネクタハウジング111、第2コネクタハウジング112、第3コネクタハウジング113、第4コネクタハウジング131、及び第2ヒューズハウジング121に対応し、
端子挿通部は、第1端子挿通部111a、第2端子挿通部112a、第3端子挿通部113a、第4端子挿通部、及びヒューズ端子挿通部に対応し、
閉塞部は、右閉塞部215、前閉塞部221、及び左閉塞部231に対応し、
嵌合部は、第1コネクタ嵌合部211、第2コネクタ嵌合部212、第3コネクタ嵌合部213、第4コネクタ嵌合部232、及び第2ヒューズ嵌合部222に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、自動車に搭載されるECUやジャンクションボックスだけでなく、様々な分野において用いられる電気接続箱に利用することができる。
【符号の説明】
【0133】
1…電気接続箱
100…アッパケース
111…第1コネクタハウジング
111a…第1端子挿通部
112a…第2端子挿通部
113a…第3端子挿通部
112…第2コネクタハウジング
113…第3コネクタハウジング
121…第2ヒューズハウジング
131…第4コネクタハウジング
200…ロアケース
211…第1コネクタ嵌合部
212…第2コネクタ嵌合部
213…第3コネクタ嵌合部
211a、212a、213a…平面突部
211b、212b、213b…支持部
215…右閉塞部
221…前閉塞部
222…第2ヒューズ嵌合部
231…左閉塞部
232…第4コネクタ嵌合部
214、221a、231a…平面部
300…バスバー回路体
310…絶縁板
312、313…中間支持部
340…第1コネクタ端子
341…第2コネクタ端子
342…第3コネクタ端子
344…第2ヒューズ端子
345…第4コネクタ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する略板状の絶縁板における板面上に電気回路パターンを有するとともに、前記絶縁板の面内方向における側方に突出する少なくとも1つの接続端子部を有する電気回路体と、
前記絶縁板の一方の板面側から前記電気回路体を覆う第1ケースと、
前記絶縁板の他方の板面側から前記電気回路体を覆う第2ケースとを備え、
前記絶縁板に対して略垂直な方向で前記電気回路体を挟んで前記第1ケース、及び前記第2ケースを重ね合わせるように組付ける電気接続箱であって、
前記第1ケースに、
前記接続端子部の突出方向に開口を有するとともに、前記接続端子部を収容するハウジングを一体形成し、
該ハウジングに、
前記第1ケース、及び前記第2ケースの重ね合わせ方向から前記接続端子部の挿通を許容する端子挿通部を形成し、
前記第2ケースに、
前記重ね合わせ方向から嵌合することにより、前記端子挿通部を閉塞する閉塞部を備えた
電気接続箱。
【請求項2】
前記第2ケースの前記閉塞部を、
前記接続端子部の突出方向、かつ前記絶縁板に対して略垂直方向の断面において、前記端子挿通部に嵌合する略L字状の垂直断面形状に形成した嵌合部、及び
前記ハウジングと対向する略平板状の平面部で構成し、
前記嵌合部を、
前記平面部上において前記接続端子部の突出方向に延びて、かつ前記ハウジングに向けて突設した平面突部、及び
該平面突部における突出方向の基部側端部から前記ハウジングに向けて立設して、前記接続端子部の基部を前記端子挿通部とで挟み込んで支持する支持部で前記略L字状の垂直断面形状を形成する構成とした
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記第2ケースの閉塞部を、
前記重ね合わせ方向に沿った視点方向において、前記接続端子部の短手方向、及び長手方向の寸法と略同等の寸法に形成した
請求項1または2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記電気回路体を、
前記重ね合わせ方向に所定の間隔を介して複数の前記接続端子部を配置した構成とし、
前記重ね合わせ方向における前記接続端子部間に、
前記ハウジング、及び前記閉塞部とともに、前記接続端子部の基部を挟み込んで支持する中間支持部を備えた
請求項1から3のいずれか1つに記載の電気接続箱。
【請求項5】
絶縁性を有する略板状の絶縁板における板面上に電気回路パターンを有するとともに、前記絶縁板の面内方向における側方に突出する少なくとも1つの接続端子部を有する電気回路体と、前記絶縁板の一方の板面側から前記電気回路体を覆う第1ケースと、前記絶縁板の他方の板面側から前記電気回路体を覆う第2ケースとを備え、前記絶縁板に対して略垂直な方向で前記電気回路体を挟んで前記第1ケース、及び前記第2ケースを重ね合わせるように組付ける電気接続箱の組付け方法であって、
前記第1ケースに前記接続端子部の突出方向に開口を有して一体形成するとともに、前記接続端子部を収容するハウジングの端子挿通部により、前記第1ケース、及び前記第2ケースの重ね合わせ方向から前記接続端子部の挿通を許容して、
前記第2ケースの閉塞部により、前記重ね合わせ方向から嵌合して前記端子挿通部を閉塞する
電気接続箱の組付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−59187(P2013−59187A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195580(P2011−195580)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】