説明

電気接続箱

【課題】 本発明はバスバーからなる配電回路を制御回路に確実に接続できて小型にでき、しかも同時に電装品への分岐回路も確実に構成することができる電気接続箱を提供する。
【解決手段】 配電基板12から中継バスバー18Aを延出させて制御回路基板13の絶縁基板36を貫通させ、中継バスバー18Aの先端部に中継端子23を嵌合させる。この中継端子23には、制御回路基板13の電子回路と半田付けされた回路側端子部25と、ヒューズ16に接続された部品側端子部37とが形成されている。これにより、配電基板12と制御回路基板13とをワイヤーハーネスを介さずに接続することができるので、電気接続箱10を小型化することができる。しかも同時にヒューズ16への分岐回路も確実に構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に電装品を収容してなる電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車において例えばヘッドライトのランプやワイパモータ等の電装品負荷は電気接続箱によって通断電制御される。この電気接続箱は、多数のリレーを内蔵しており、それらのリレーが銅板等を打ち抜いて形成した多数本のバスバーからなる配電回路に接続されている。また、上記各リレーを制御するための制御回路は、電気接続箱とは別の場所に設置される制御ボックス内に収容したプリント基板にトランジスタやIC等の電子部品を実装して構成されている。
【0003】
制御ボックスは電気接続箱とは別の場所に設置されるから、制御回路からの信号を電気接続箱内に伝送するため、制御ボックスと電気接続箱の双方にコネクタを設け、これらコネクタ同士をワイヤハーネスによって接続していた。この種の電気接続箱として例えば特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開平8−322127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の従来の構成によると、電気接続箱及び制御ボックスの双方にワイヤハーネス用のコネクタが必要となるため、その分、電気接続箱及び制御ボックスが大型化する上、ワイヤハーネスが占める容積も加わって電気接続箱関連のシステム全体として大きな設置スペースを要するという問題があった。
【0005】
かかる問題に対処するため、電気接続箱内に制御回路を構成するプリント基板を内蔵する構造も試みられている。これによればワイヤハーネスが不要になるから、その分、小容積化が期待できる。
【0006】
ところが、実際には、プリント基板と電気接続箱内の配電回路との接続には相当の工夫を要する。プリント基板は絶縁基板の表面に銅箔により回路が構成されており、一方、電気接続箱内には厚肉の銅板からなるバスバーによって配電回路が構成されているからである。配電回路からバスバーを延出させ、これをプリント基板上の銅箔回路に例えば半田付けすることも考えられるが、これではバスバーが振動したときに銅箔が絶縁基板から剥がれるおそれがあるから、振動が多い自動車用では全く実用に耐えない。また、プリント基板側に例えばカードエッジタイプの端子構造を形成し、配電回路側にはカードエッジコネクタを設けることも考えられるが、やはり、カードエッジコネクタと配電回路との接続が問題となって構造が複雑化し、十分な小型化を図ることができない。
【0007】
また、配電回路から延出させたバスバーを制御回路に接続するだけでなく、同時に、その回路の一部を分岐させてリレーやヒューズ等の電装品に接続することが必要な場合もあり、このような場合には電装品との接続に苦慮する。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バスバーからなる配電回路を制御回路に確実に接続できて小型にでき、しかも同時に電装品への分岐回路も確実に構成することができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、複数本のバスバーを備えて構成される配電基板をハウジングに収容してなり、そのハウジングに電装品を装着して前記配電基板に接続されるようにした電気接続箱において、前記ハウジング内には絶縁基板に電子回路を構成した制御回路基板を収容し、その制御回路基板を前記配電基板の端部においてこれに対して垂直となる方向に配置すると共に、前記配電基板の前記バスバー群のうち少なくとも1本を前記配電基板から延出させて前記制御回路基板の絶縁基板を貫通させ、そのバスバーの先端部に、前記制御回路基板の電子回路に接続される回路側端子部と電装品に接続可能な部品側端子部とを一体に有する中継端子を嵌合させたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記回路側端子部はタブ状をなしており、前記回路側端子部の先端部は前記制御回路基板を貫通して、前記電子回路に半田付けされていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2記載のものにおいて、前記回路側端子部の先端部に切れ込みが形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のものにおいて、前記部品側端子部は、先端に前記電装品の端子と接触可能な接触部を有して拡開可能に対向する一対のアーム部を備えてなる音叉型をなしていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のものにおいて、前記部品側端子部は、角筒部と、前記角筒部の内側に形成された弾性接触片とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のものにおいて、前記部品側端子部と前記電装品の端子との嵌合方向は、前記配電基板の板面に対して垂直な方向となっていることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のものにおいて、前記中継端子には、前記バスバーの先端部と嵌合するバスバー端子部が形成されており、前記バスバー端子部は、角筒部と、前記角筒部の内側に形成された弾性接触片とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記バスバー端子部と前記回路側端子部との間、または前記バスバー端子部と前記部品側端子部との間には、弾性撓み可能な応力緩和部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、配電基板から延出されたバスバーの先端部に、制御回路基板の電子回路に接続される回路側端子部を有する中継端子を嵌合させることにより、配電基板と制御回路基板とをワイヤーハーネスを介さずに接続することができる。これにより、電気接続箱関連のシステム全体として小型化を図ることができる。
【0018】
また、上記の中継端子は、電装品に接続可能な部品側端子部も備えているので、配電回路から延出させたバスバーを制御回路基板に接続すると同時に、その回路の一部を分岐させてリレーやヒューズ等の電装品に接続することができる。このように請求項1の発明によれば、電装品への分岐回路を確実に構成することができる。
【0019】
また、制御回路基板は、配電基板の端部においてこれに対して垂直となる方向に配置されているので、配電基板の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく、制御回路基板を配設することができる。この制御回路基板に電装品を実装することにより、配電基板の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく、電気接続箱に電装品を増設することができるので、電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【0020】
<請求項2の発明>
自動車に搭載される電気接続箱では、走行中の振動により配電基板と制御回路基板との間に相対変位が生じる場合がある。請求項2の発明によれば、配電基板と制御回路基板との間の相対変位はタブ状の回路側端子部が撓み変形することにより吸収されるので、応力が制御回路基板に及ばない。これにより制御回路基板上の銅箔回路が剥離することを防止できるので、電気接続箱の接続信頼性を向上させることができる。
【0021】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、回路側端子部の先端部には切れ込みが形成されているので、回路側端子部の先端部の表面積が増加している。これにより、回路側端子部の先端部と半田との接触面積が増加するので、回路側端子部と制御回路基板との接続信頼性が向上する結果、電気接続箱の接続信頼性を向上させることができる。
【0022】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、金属板を打ち抜き加工することにより、接触部及びアーム部を備えてなる音叉型の部品側端子部を形成することができる。これにより、中継端子の製造工程を簡素化することができるので、電気接続箱の生産性を向上させることができる。
【0023】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、角筒部内に挿入された電装品の端子は、弾性接触片に押圧されることにより、角筒部の壁部の内側面と面接触する。これにより、電装品の端子と中継端子とを確実に接続することができるので、電気接続箱の接続信頼性を向上させることができる。
【0024】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、部品側端子部と電装品の端子との嵌合方向は、配電基板の板面に対して垂直な方向になっているので、配電基板の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく電装品を配設することができる。この結果、電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【0025】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、角筒部内に挿入されたバスバーは、弾性接触片に押圧されることにより、角筒部の壁部の内側面と面接触する。これにより、バスバーと中継端子とを確実に接続することができるので、電気接続箱の接続信頼性を向上させることができる。
【0026】
<請求項8の発明>
嵌合抵抗などによって、バスバー端子部と回路側端子部との間、またはバスバー端子部と部品側端子部との間で相対変位が生じても、応力緩和部が弾性撓みするため、バスバー端子部と回路側端子部との間、またはバスバー端子部と部品側端子部との間における過大な応力増大を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<実施形態1>
本発明を車両用の電気接続箱に適用した実施形態1を図1ないし図3によって説明する。本実施形態の電気接続箱10は、板面を水平に配置(横置き)した配電基板12と、板面を垂直に配置(縦置き)した制御回路基板13とを備え、その外周をハウジング11で取り囲んでなるものである。
【0028】
ハウジング11は合成樹脂製であり、上面を開放したロアケース14と、その開放上面を覆うアッパーケース15とを図示しないシール部材を介して、取り外し可能かつ液密に結合させたものである。
【0029】
ロアケース14は、左端寄りの底部が深くなっていて、縦置きの制御回路基板13(詳細後述)が収容されている。
【0030】
アッパーケース15の上壁には図示しないリレー等の電装品(図示せず)を装着するための電装品装着部(図示せず)が形成されており、この電装品装着部に電装品が装着されて、図示しない端子により配電基板12と接続されている。アッパーケース15の上壁のうち、左端寄りの部分は一段高くなっており、後述するヒューズ16(電装品)を上方から覆っている。
【0031】
配電基板12は、複数本のバスバー18を絶縁板50を介して上下二層に積層して構成され、その左端部からは上下各層のバスバー18のうち所定のものが左方に突出されており、下層から突出するものを中継バスバー18Aとし、上層から突出するものを電装品用バスバー18Bとしている。
【0032】
電装品用バスバー18Bの先端は上方に向けて曲げ形成されており、その先端には、一対のアーム部19,19が突出した形状となっている。アーム部19,19の先端付近には、互いに向かい合うように内側方向へ突設された接触部20,20がそれぞれ備えられ、ヒューズ16の端子部(図示せず)と嵌合したときに、そのヒューズ16の端子部を挟み込み可能とされている。
【0033】
配電基板12の左端部には、制御回路基板13が、配電基板12の板面に対して垂直に配置されている。この制御回路基板13は、絶縁基板36の一方の面に銅箔を備えたプリント配線板に半導体スイッチ等の電装品21を実装して構成されている。制御回路基板13の上部には、断面が略矩形状をなす複数個の挿通孔22が、上下二段に並ぶと共に、配電基板12の板面に平行な方向に並んで形成されており、この挿通孔22のうち下段に位置する挿通孔22Aには、中継バスバー18Aが挿入されている。なお、挿通孔22Aの孔径は中継バスバー18Aよりも大きく形成されており、中継バスバー18Aは非接触で制御回路基板13を貫通している。
【0034】
さて、図1に示すように、中継バスバー18Aの先端には、中継端子23が接続されている。この中継端子23は金属板を打ち抜き加工した後、曲げ加工することにより形成されており、中継バスバー18Aが接続されるバスバー端子部24を有する。このバスバー端子部24の右端は、右方に向かって延出されており、制御回路基板13と接続可能な回路側端子部25が形成されている。また、バスバー端子部24の左端は、上方に向かって延出されており、後述するヒューズ16と接続可能な部品側端子部37が形成されている。
【0035】
図2に示すように、バスバー端子部24は角筒部26を備えており、角筒部26は、上壁27Aと、上壁27Aの両側端から下方に折り曲げ加工された2つの側壁27B,27Bと、各側壁27B,27Bの下端から内側に折り曲げ加工された2つの底壁27C,27Cと、各底壁27C,27Cの端部から延出されて、各底壁27C,27Cの上方に折り返された後、下方に折り曲げられて、断面が略半円形状をなす2つの弾性接触片28,28とから構成される。弾性接触片28,28は下方に撓み変形可能で、中継バスバー18Aはこの弾性接触片28,28を押し下げつつ挿入可能となっている。
【0036】
そして、回路側端子部25は、角筒部26の上壁27Aの右端から右方に突出するように形成されていると共に、先端部が幅方向及び厚み方向にやや先細り形状に形成されてタブ状をなしている。回路側端子部25とバスバー端子部24との間には、上下方向に弾性撓み可能に形成された応力緩和部29が形成されている。
【0037】
そして、部品側端子部37は、角筒部26の上壁27Aの左端から上方に突出するように形成されて、全体として板状をなしており、その先端側(バスバー端子部24と逆側)は、一対のアーム部19,19が突出した形状となっている。アーム部19,19の先端付近には、互いに向かい合うように内側方向へ突設された接触部20,20がそれぞれ備えられ、後述するヒューズ16の端子部と嵌合したときに、そのヒューズ16の端子部を挟み込み可能とされている。
【0038】
上記したバスバー端子部24の角筒部26には、中継バスバー18Aが挿入されている。中継バスバー18Aは弾性接触片28,28を上方から押圧しており、これにより、弾性接触片28,28は下方へ弾性撓み変形している。この弾性接触片28,28の弾発力により、中継バスバー18Aは上方に押圧されて、角筒部26の上壁27Aの内側面と面接触している。このようにして、配電基板12と中継端子23とが接続されている。
【0039】
また、回路側端子部25は、制御回路基板13に形成された挿通孔22のうち上側に形成された挿通孔22Bに挿入されている。制御回路基板13を貫通した回路側端子部25の先端部が、制御回路基板13上の銅箔と半田付けされており、これにより制御回路基板13と中継端子23とが接続されている。
【0040】
ところで、図1及び図3に示すように、配電基板12と、制御回路基板13と、中継端子23とが接続された状態では、中継端子23の部品側端子部37と、配電基板12の電装品用バスバー18Bとが左右方向に並んだ状態になっていると共に、部品側端子部37及び電装品用バスバー18Bの先端に形成されたアーム部19,19及び接触部20,20が、略同じ高さになるように形成されている。この部品側端子部37と、電装品用バスバー18Bの上方(配電基板12の板面に垂直な方向)から、ヒューズ16が組み付けられている。
【0041】
ヒューズ16は、図示しないヒューズ本体と、ヒューズ本体の両端部に形成された図示しない端子部とが略直方体状のケーシング30に収容されて構成されている。
【0042】
部品側端子部37の上方から挿入されたヒューズ16の端子部は、部品側端子部37及び電装品用バスバー18Bに形成された接触部20,20と接触し、両接触部20,20を拡開する方向に押圧し、これにより両アーム部19,19は拡開変形している。この両アーム部19,19の弾発力により、ヒューズ16の端子部は両接触部20,20間に挟持されている。このようにして、ヒューズ16と中継端子23とが接続されると共に、ヒューズ16と配電基板12とが接続されている。
【0043】
次に、実施形態1の作用、効果について説明する。
上記構成によれば、制御回路基板13と配電基板12とは、中継端子23を介して接続されているから、配電基板12と制御回路基板13とをワイヤーハーネスを介さずに接続することができ、電気接続箱10を全体として小型化することができる。
【0044】
そして、中継端子23に形成された部品側端子部37とヒューズ16とが接続されているから、配電回路から延出された中継バスバー18Aを制御回路に接続すると同時に、その回路の一部を分岐させてヒューズ16に接続することができる。これにより、配電基板12から、制御回路及びヒューズ16への分岐回路を確実に構成することができる。
【0045】
また、中継バスバー18Aは、弾性接触片28,28に上方に押圧されることにより、角筒部26の上壁27Aの内側面と面接触しているので、中継バスバー18Aと中継端子23とを確実に接続することができ、電気接続箱10の接続信頼性を向上させることができる。
【0046】
そして、バスバー端子部24と回路側端子部25との間に形成された応力緩和部29により、バスバー端子部24と回路側端子部25との間における過大な応力増大を回避できる。これにより電気接続箱10の接続信頼性を向上させることができる。
【0047】
そして、実施形態1のように電気接続箱10が車両に搭載される場合、走行中の振動により電気接続箱10が振動し、この振動が配電基板12に伝達されると、配電基板12と制御回路基板13との間で相対変位が生じる場合がある。しかしながら本実施形態によれば、配電基板12と制御回路基板13との相対変位は、タブ状に形成された回路側端子部25がたわみ変形することにより吸収されるので、応力が制御回路基板13には及ばない。これにより、制御回路基板13上の銅箔が剥離することが防止されるので、電気接続箱10の接続信頼性を向上させることができる。
【0048】
また、制御回路基板13は、配電基板12の板面に対して垂直に配置されているので、配電基板12の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく、電装品21を増設することができ、電気接続箱10のスペース効率を向上させることができる。
【0049】
そして、実施形態1によれば、部品側端子部37とヒューズ16の端子部との嵌合方向は、配電基板12の板面に対して垂直な方向になっているので、配電基板12の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなくヒューズ16を配設することができる。この結果、電気接続箱10のスペース効率を向上させることができる。
【0050】
また、実施形態1の部品側端子部37は音叉型をなしているので、金属板を打ち抜き加工することにより形成することができる。このため、中継端子23の製造工程を簡素化することができるので、電気接続箱10の生産性を向上させることができる。
【0051】
また、実施形態1によれば、制御回路基板13と配電基板12とは、ハウジング11内に独立して配置されているので、車種、車格に応じて、制御回路基板13にプリント配線により形成された電子回路(図示せず)を変更したり、電子回路と接続された制御側電装品21を変更することが可能であるし、また、配電基板12に配設されたバスバー18により形成された電力回路(図示せず)を変更したり、配電基板12と接続される電装品を変更することが可能なので、設計変更に対して柔軟に対応できる。
【0052】
また、アッパーケース15は、取り外し可能に構成されているので、ヒューズ16を容易に交換可能になっている。
【0053】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図4を参照して説明する。
本実施形態は、中継端子23を上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については同一符号を付し、構造、作用及び効果については重複する説明を省略する。
【0054】
実施形態2では、部品側端子部37は角筒部26を備えており、この角筒部26は、右側壁27Dと、右側壁27Dの両側端から左方に折り曲げ加工された2つの側壁27B,27Bと、各側壁27B,27Bの左端から内側に折り曲げ加工された2つの左側壁27E,27Eと、各左側壁27E,27Eの端部から延出されて、各左側壁27E,27Eの右方に折り返された後、左方に折り曲げられて、断面が略半円形状をなす2つの弾性接触片28,28とから構成される。弾性接触片28,28は左方に撓み変形可能で、ヒューズ16の端子部はこの弾性接触片28,28を左方へ押圧しつつ挿入可能となっている。
【0055】
また、部品側端子部37と、バスバー端子部24との間には、左右方向に撓み変形可能に形成された応力緩和部29が形成されている。
【0056】
次に、実施形態2の作用、効果について説明する。
実施形態2によれば、角筒部26内に挿入されたヒューズ16の端子部は、弾性接触片28,28に押圧されることにより、角筒部26の右側壁27Dの内側面と面接触する。これにより、ヒューズ16の端子部と中継端子23とを確実に接続することができるので、電気接続箱10の接続信頼性を向上させることができる。
【0057】
また、ヒューズ16の端子部と弾性接触片28,28との嵌合抵抗などによって、バスバー端子部24と部品側端子部37との間で相対変位が生じても、応力緩和部29が弾性撓みするため、バスバー端子部24と部品側端子部37との間における過大な応力増大を回避できる。これにより電気接続箱10の接続信頼性を向上させることができる。
【0058】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図5を参照して説明する。
本実施形態は、中継端子23を上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については同一符号を付し、構造、作用及び効果については重複する説明を省略する。
【0059】
実施形態3では、回路側端子部25の先端部に切れ込み40が形成されて、回路側端子部25の先端部が2つに分割された形態になっている。また、制御回路基板13の上部に、上下二段に並んで形成された挿通孔22のうち、上段に位置する挿通孔22Bは、分割された回路側端子部25の先端部と対応する位置に形成されている。回路側端子部25の先端部は、それぞれ挿通孔22Bに挿入されて、制御回路基板13上の銅箔と半田付けされている。
【0060】
次に、実施形態3の作用、効果について説明する。実施形態3によれば、回路側端子部25の先端部に形成された切れ込み40により、回路側端子部25の先端部の表面積が、切れ込み40が形成されていない場合に比べて増大している。これにより、回路側端子部25の先端部と、半田との接触面積が増大するので、回路側端子部25と制御回路基板13との接続信頼性が向上する結果、電気接続箱10の接続信頼性が向上する。
【0061】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0062】
(1)本実施形態では、回路側端子部25はタブ状をなすものとしたが、制御回路基板13を貫通可能な形状であれば特に限定されず、例えばピン状をなすものとしてもよい。
【0063】
(2)本実施形態では、回路側端子部25はタブ状をなし、制御回路基板13を貫通して、制御回路基板13上に形成された銅箔に半田付けされる構成としたが、これに限られず、回路側端子部25は制御回路基板13を貫通して、制御回路基板13上に形成された銅箔にろう付けされる構成としてもよい。また、回路側端子部25の先端部に弾性変形可能な突出部を設け、制御回路基板13に形成された挿通孔22にはスルーホールメッキが施され、制御回路基板13を挿通孔22に挿入することにより突出部が撓み変形して、発生した弾発力により突出部がスルーホールメッキ部に押圧されて、回路側端子部25と制御回路基板13とが電気的に接続される、いわゆるプレスフィット端子としてもよい。
【0064】
(3)本実施形態では、部品側端子部37とヒューズ16の端子部との嵌合方向は、配電基板12の板面に対して垂直となっているものとしたが、これに限られず、例えばヒューズ16の高さ方向の寸法が小さい場合には、部品側端子部37とヒューズ16の端子部との嵌合方向が、配電基板12の板面と平行になっていてもよい。
【0065】
(4)実施形態1では、バスバー端子部24と回路側端子部25との間に応力緩和部29が形成されており、また、実施形態2では、バスバー端子部24と回路側端子部25との間、及びバスバー端子部24と部品側端子部37との間に応力緩和部29が形成されていたが、これに限られず、中継端子23に応力緩和部29が形成されていない構成としてもよい。
【0066】
(5)実施形態1及び実施形態2におけるバスバー端子部24においては、弾性接触片28,28は、角筒部26の側壁27B,27Bから折り返された底壁27C,27Cから延出し、これを断面が略半円形状になるように折り返された形態としたが、これに限られず、例えば角筒部26の底壁27Cから延出された舌片状の弾性接触片28を角筒部26の内側へ折り返して形成されるものとしてもよい。
【0067】
(6)実施形態2における部品側端子部37においては、弾性接触片28,28は、角筒部26の側壁27B,27Bから折り返された左側壁27E,27Eから延出し、これを断面が略半円形状になるように折り返された形態としたが、これに限られず、例えば角筒部26の左側壁27Eから延出された舌片状の弾性接触片28を角筒部26の内側へ折り返して形成されるものとしてもよい。
【0068】
(7)本実施形態では、中継端子23はハウジング等に保持されない形態としたが、これに限られず、図6に示すように、実施形態1に係る中継端子23を端子用ハウジング31に保持する形態としてもよいし、また、図7に示すように、実施形態2に係る中継端子23を端子用ハウジング31に保持する形態としてもよい。このとき、端子用ハウジング31には、中継端子23を保持可能なキャビティ32が形成されている。また、端子用ハウジング31の右側壁には、回路側端子部25を挿入可能な回路側端子部挿入口33と、中継バスバー18Aが挿入可能な中継バスバー挿入口34とが形成されると共に、端子用ハウジング31の上壁には、ヒューズ16の端子部38が挿入可能な電装品端子挿入口35が形成されている。中継端子23を端子用ハウジング31に保持する形態とすることにより、中継端子23に異物が接触して中継端子23が変形することを防止できるので、電気接続箱10の接続信頼性を向上させることができる。
【0069】
(8)本実施形態では、中継端子23及び配電基板12に接続されるのはヒューズ16であったが、これに限られず、例えばリレー、ヒュージブルリンク等の電装品でもよい。
【0070】
(9)本実施形態では、バスバー端子部24は角筒部26を備え、この角筒部26の内側に弾性接触片28,28が形成されている構成としたが、これに限られず、バスバー端子部24は、上壁27Aの両側縁部がそれぞれ内向きに円弧状に回曲することで、一対の湾曲部を備え、この湾曲部の先端は、常には上壁27Aから浮いた位置にあり、かつ、下方に撓み変形可能で、中継バスバー18Aがこの湾曲部の先端を押し下げつつ挿入可能となっていてもよい。
【0071】
(10)実施形態3では、回路側端子部25の先端部に1つの切れ込みが形成されるものとしたが、これに限られず、2つ以上の切れ込みが形成されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施形態1に係る電気接続箱の断面図
【図2】実施形態1に係る中継端子の斜視図
【図3】実施形態1に係る電気接続箱において、ヒューズを、部品側端子部及び電装品用バスバーと接続する前の状態を示す斜視図
【図4】実施形態2に係る中継端子の斜視図
【図5】実施形態3に係る中継端子の斜視図
【図6】他の実施形態(7)において、実施形態1に係る中継端子を端子用ハウジングに収容した状態を示す断面図
【図7】他の実施形態(7)において、実施形態2に係る中継端子を端子用ハウジングに収容した状態を示す断面図
【符号の説明】
【0073】
10…電気接続箱
11…ハウジング
12…配電基板
13…制御回路基板
16…ヒューズ(電装品)
18A…中継バスバー
18B…電装品用バスバー
23…中継端子
24…バスバー端子部
25…回路側端子部
29…応力緩和部
36…絶縁基板
37…部品側端子部
40…切れ込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のバスバーを備えて構成される配電基板をハウジングに収容してなり、そのハウジングに電装品を装着して前記配電基板に接続されるようにした電気接続箱において、
前記ハウジング内には絶縁基板に電子回路を構成した制御回路基板を収容し、その制御回路基板を前記配電基板の端部においてこれに対して垂直となる方向に配置すると共に、
前記配電基板の前記バスバー群のうち少なくとも1本を前記配電基板から延出させて前記制御回路基板の絶縁基板を貫通させ、そのバスバーの先端部に、前記制御回路基板の電子回路に接続される回路側端子部と電装品に接続可能な部品側端子部とを一体に有する中継端子を嵌合させたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記回路側端子部はタブ状をなしており、
前記回路側端子部の先端部は前記制御回路基板を貫通して、前記電子回路に半田付けされていることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記回路側端子部の先端部に切れ込みが形成されていることを特徴とする請求項2記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記部品側端子部は、先端に前記電装品の端子と接触可能な接触部を有して拡開可能に対向する一対のアーム部を備えてなる音叉型をなしていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記部品側端子部は、角筒部と、前記角筒部の内側に形成された弾性接触片とを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記部品側端子部と前記電装品の端子との嵌合方向は、前記配電基板の板面に対して垂直な方向となっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記中継端子には、前記バスバーの先端部と嵌合するバスバー端子部が形成されており、
前記バスバー端子部は、角筒部と、前記角筒部の内側に形成された弾性接触片とを備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項8】
前記バスバー端子部と前記回路側端子部との間、または前記バスバー端子部と前記部品側端子部との間には、弾性撓み可能な応力緩和部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−34018(P2006−34018A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210543(P2004−210543)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】