説明

電気接続箱

【課題】 本発明はスペース効率に優れた電気接続箱を提供する。
【解決手段】 絶縁基板に電子回路を構成し、この電子回路に電装品24を実装した制御回路基板21を、複数本のバスバー10を複数枚の絶縁板11を介して積層してなる配電基板12に垂直となるように配設したものをハウジング40に収容してなる電気接続箱80である。これにより、配電基板12の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく、制御回路基板21に実装された電装品24を電気接続箱80に増設できるので、スペース効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに電装品を収容してなる電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気接続箱としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このものは、絶縁基板に複数本のバスバーを沿わせて配設してなる配電基板がハウジングに収容されてなり、そのハウジングの上面にリレー等の電装品を装着して、配電基板に接続されるようになっている。
【特許文献1】特開平8−322127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記の構成によれば、これらの電装品が装着されるために最低限必要とされる面積が配電基板に必要とされる。このため、電装品を増設しようとした場合、配電基板の面積を増大させる必要があり、電気接続箱の設置面積が大型化してしまうという問題点があった。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、限られたスペース内により多くの電装品を装着可能な、スペース効率に優れた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、絶縁基板に複数本のバスバーを沿わせて配設してなる配電基板をハウジング内に収容し、そのハウジングにリレー等の電装品を装着して前記配電基板に接続されるようにした電気接続箱において、前記配電基板の絶縁基板とは異なる絶縁基板に電子回路を構成した制御回路基板を前記ハウジング内で前記配電基板に対して垂直となるように配設し、この制御回路基板の電子回路により前記配電基板側の電装品または前記制御回路基板に実装したリレー等の電装品を制御するようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記制御回路基板は、前記配電基板の端部に位置し、前記制御回路基板が、前記配電基板の両面側に延びるT字型配置とされていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、前記ハウジングには、前記制御回路基板を収容するための補助ハウジングが一体に設けられ、その補助ハウジングは前記配電基板とは反対側の面を開放した形態とされていることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のものにおいて、前記制御回路基板には前記補助ハウジングの開放面側に位置して放熱板が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のものにおいて、前記ハウジングには前記配電基板の表裏両面側から電装品が取り付けられるようになっており、前記補助ハウジングの前記配電基板と直交する方向の高さ寸法は、前記ハウジングの表面側に取り付けられた前記電装品の最高高さと、裏面側に取り付けられた前記電装品の最高高さとの幅の範囲内となるように設定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のものにおいて、前記制御回路基板と前記放熱板との間には絶縁性の接着層を介して複数本のバスバーが接着されており、これらのバスバー群のうちの所定のものは、前記制御回路基板の板面に対して垂直に曲げ加工されており、その先端部には、前記配電基板と接続するためのタブ片が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6記載のものにおいて、前記配電基板に沿わせたバスバーには、前記制御回路基板側に向けて延びるタブ片が形成され、この配電基板側のタブ片と、前記制御回路基板側のタブ片とが雌型中継端子によって接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、制御回路基板は配電基板に対して垂直となるように配設されているので、配電基板の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく、電気接続箱に電装品を実装することができる。これにより電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【0013】
<請求項2の発明>
ハウジングにはリレー等の電装品が配設されて配電基板に接続されるようになっているので、配電基板と直交する方向に延びる空間のうち、所定の体積の空間は電装品により占有されている。請求項2の発明によれば、制御回路基板は、配電基板の端部に位置して、この制御回路基板が、配電基板の両面側に延びるT字型配置とされている。これにより、配電基板と直交する方向に延びる空間のうち、元々電装品の占有する空間を利用して、制御回路基板を配することができるので、電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【0014】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、補助ハウジングは電気接続箱のハウジングと一体に形成されているので、両者が別体に形成される場合に比べてハウジングを全体として小型化できる。
【0015】
また、補助ハウジングの開放面側から制御回路基板を組み付けることができるので、制御回路基板の電気接続箱への組付作業が容易となる。
【0016】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、制御回路基板に設けられた放熱板は、補助ハウジングの開放面側に位置しているので、制御回路基板に実装された電装品からの発熱を、電気接続箱の外部へ効率よく放散することができる。これにより電気接続箱の放熱性を向上させることができる。
【0017】
<請求項5の発明>
ハウジングには、配電基板の表裏両面側から電装品が配設されているので、配電基板と直交する方向に延びる空間のうち、ハウジングの表面側に取り付けられた電装品の最高高さと、裏面側に取り付けられた電装品の最高高さとの幅によって区分される空間は、電気接続箱によって占有されるようになっている。請求項5の発明によれば、電装品が取り付けられた状態の電気接続箱が占有する空間内に、補助ハウジングが形成されている。この補助ハウジング内に制御回路基板を収容することにより、元々電気接続箱の占有する空間内に制御回路基板を配することができるので、電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【0018】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、バスバーの先端に形成されたタブ片は、制御回路基板と垂直な方向を向いている。このため、タブ片を、例えば電気接続箱に配設した雌型端子金具に挿入して、制御回路基板と電気接続箱とを接続しようとした場合、タブ片と雌型端子金具とが接触してタブ片がその板面に垂直な方向に撓み変形しても、垂直に曲げ加工されて部位で撓み変形が止められるため、制御回路基板に取り付けられたバスバー側には、バスバーの板面に垂直な方向を向いた力が加わることはない。このため、制御回路基板と電気接続箱とを接続する際に、バスバーから制御回路基板が剥離することを防止できる。
【0019】
<請求項7の発明>
配電基板に配設されたバスバー及び制御回路基板に接着されたバスバーは金属板材を打ち抜き加工して形成されるものであり、このバスバーの端部を先細り形状に加工することにより、容易にタブ片を形成することができる。このように形成されたタブ片同士を、雌型中継端子に挿入するという簡易な手法で接続することにより、制御回路基板と配電基板とを接続することができる。このように請求項7の発明によれば、制御回路基板と配電基板との接続工程を全体として簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図5を参照して説明する。
本実施形態の電気接続箱80は、扁平形状をなすハウジング40に、配電基板12を、その板面が上下方向を向くように収容したものである(図4参照)。ハウジング40は合成樹脂製であり、上面を開放したロアケース60と、その開放上面を覆うアッパーケース41とを結合させてなる。
【0021】
図3、図4に示すように、ロアケース60の下壁には、リレー87を装着するために凹み形成させたリレー装着部62と、ワイヤーハーネス(図示せず)を接続するためのコネクタフード部64とが形成されている。リレー装着部62には、ロアケース60の下壁を上下方向に貫通するリレー端子挿入口63が形成され、ここに後述する配電用端子13が挿入されるようになっている。また、コネクタフード部64の底壁には、後述する配電用端子13が貫通して、コネクタフード部64内に突出するようになっている。
【0022】
図2に示すように、ロアケース60は上方から見て略長方形状をなしており、このロアケース60の長手方向の両側に位置する側壁の外側面には、その両端寄りの位置に、後述するロック片54と係止してロアケース60とアッパーケース41とを固定するためのロック突部67が形成されている。
【0023】
図1、図4に示すように、アッパーケース41の上壁には、ヒューズ86を装着するために凹み形成させたヒューズ装着部43と、ワイヤーハーネス(図示せず)を接続するためのコネクタフード部46とが形成されている。ヒューズ装着部43には、アッパーケース41の上壁を上下方向に貫通するヒューズ端子挿入口44が形成され、ここに後述する配電用端子13が挿入されるようになっている。また、コネクタフード部46の底壁には、後述する配電用端子13が貫通して、コネクタフード部46内に突出するようになっている。
【0024】
図1に示すように、アッパーケース41は上方から見て略長方形状をなしており、このアッパーケース41の長手方向の両側に位置する2つの側壁の外側面、及びアッパーケース41の長手方向に平行な2つの側壁の外側面のうち両端寄りの位置には、ハウジング40を図示しない車体に固定するためのランス50が形成されている。
【0025】
図1に示すように、アッパーケース41の長手方向の両側に位置する側壁の外側面の下端部には、ロアケース60のロック突部67と対応する位置に、ロック突部67と係止してアッパーケース41とロアケース60とを固定するロック片54が形成されている。
【0026】
アッパーケース41とロアケース60とは、ロアケース60の上方からアッパーケース41が組み付けられて、ロック片54がロック突部67に弾性的に係止されることにより一体化されている。
【0027】
配電基板12は、金属板材を打ち抜いて形成した複数本のバスバー10を複数層(本実施形態では3層)に配し、各層の間に絶縁板11(請求項1において、配電基板を構成する絶縁基板に相当する)を介して積層されてなる。バスバー10の端部のうち所定のものについては、上方又は下方に曲げ加工されており、配電用端子13とされている。また、配電用端子13と異なる端部は、一旦下方に曲げ加工された後、図2における左手前側に突出するように曲げ加工されて、その先端部がやや先細り形状に形成されて、制御回路基板21と接続するための配電側タブ片14(請求項7における配電基板側のタブ片に相当する)とされている。
【0028】
絶縁板11は略長方形状をなしており、その板面には、配電用端子13を挿入するための、上下に連通する複数の挿通孔15が、所定の位置に形成されている。
【0029】
配電基板12の上面からは、挿通孔15から配電用端子13が上方に突出している。また、配電基板12の下面からは、挿通孔15から配電用端子13が下方に突出している。そして、配電基板12の、図2における左手前側の端部からは、配電側タブ片14が同一平面上に並んで突出している。
【0030】
図4に示すように、配電基板12の端部には、制御回路基板21が配されている。制御回路基板21は、絶縁基板の一方の面にプリント配線手段によって制御回路を形成すると共に、ここにリレー等の電装品24を実装して構成され、その部品実装面とは反対側の面に複数本のバスバー10を制御回路と電気的に接続した状態で沿わせてある。なお、バスバー10は、絶縁性を有する薄い接着シート(図示せず)を介して絶縁基板と一体的に貼り付けられている。また、バスバー10には、電装品24から発生する熱を放熱するための放熱板22が、絶縁性の接着層(図示せず)を介して接着されている。この放熱板22は略矩形状をなしており、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属板により形成されると共に、複数条のフィン26を備え、上下の端部寄りに取り付け用挿通孔27が形成されている。バスバー10群のうち所定のものは、制御回路基板21の板面に平行な方向に延出された後、部品実装面側に突出するように曲げ形成されると共に、その先端部がやや先細り形状に形成されて、配電基板12と接続するための制御側タブ片25(請求項7における制御回路基板側のタブ片に相当する)とされている。制御側タブ片25は同一平面上に並んだ形態になっている。
【0031】
図4に示すように、配電基板12と制御回路基板21とは、配電側タブ片14と、制御側タブ片25とを、雌型中継端子30に挿入することにより電気的に接続されている。
【0032】
図5に示すように、雌型中継端子30は、導電性の金属板をプレスによって所定形状に打ち抜いた後、曲げ加工を施すことにより略直方体状に形成されている。雌型中継端子30には、図5における右方に、制御側タブ片25が挿入されるための制御側タブ片挿入口31が形成されている。また、図5における左方には、配電側タブ片14が挿入されるための配電側タブ片挿入口32が形成されている。
【0033】
雌型中継端子30の下壁33のうち、図5における左端からは、弾性接触片34が延出されており、図5における右方へ折り返されている。この弾性接触片34は、側方から見て略S字状をなすように2回曲げされている。
【0034】
弾性接触片34のうち、側方から見て下方に突出して屈曲した部分の下面は、制御側タブ片25と接続するための、制御側接点部36となっている。また、弾性接触片34のうち、側方から見て上方に突出して屈曲した部分の上面は、配電側タブ片14と接続するための、配電側接点部35となっている。雌型中継端子30の上壁は、一段下方に低く形成されており、配電側タブ片14と接触する受け部37とされている。
【0035】
図4に示すように、配電側タブ片挿入口32に、図4における左方から挿入された配電側タブ片14は、配電側接点部35と接触して弾性接触片34を下方へ押圧している。これにより弾性接触片34は撓み変形して、その復元弾力により、受け部37と弾性接触片34との間に配電側タブ片14が挟持されている。
【0036】
また、制御側タブ片挿入口31に、図4における右方から挿入された制御側タブ片25は、制御側接点部36と接触して弾性接触片34を上方へ押圧している。これにより弾性接触片34は撓み変形して、その復元弾力により、雌型中継端子30の下壁33と弾性接触片34との間に制御側タブ片25が挟持されている。
【0037】
一方、ロアケース60のうち、図2における左手前側の側壁には、図2における左手前側に開口した箱状のロアケース側補助ハウジング68が形成されており、制御回路基板21を収容可能になっている。ロアケース側補助ハウジング68の下壁の図2における左手前側の端部には、弾性変形可能な係止爪58が上方に突出して形成されている。
【0038】
ロアケース側補助ハウジング68の下端寄りの位置には、制御回路基板21をネジ止めするための円柱状のボス81が図2における左手前側に突出して形成されている。ボス81の先端部にはネジ孔82が形成されている。
【0039】
また、アッパーケース41のうち、図2における左手前側の側壁には、図2における左手前側に開口したアッパーケース側補助ハウジング55が形成されており、制御回路基板21を収容可能になっている。
【0040】
アッパーケース側補助ハウジング55の上壁のうち、図2における左手前側の端部には、弾性変形可能な係止爪58が下方に垂下して形成されている。
【0041】
アッパーケース側補助ハウジング55には、制御回路基板21をネジ止めするための円柱状のボス81が図2における左手前側に突出するように形成されている。このボス81の先端部にはネジ孔82が形成されている。
【0042】
アッパーケース41とロアケース60とが一体化された状態では、ハウジング40の、図1における左手前側に、アッパーケース側補助ハウジング55と、ロアケース側補助ハウジング68とが一体化されて形成された補助ハウジング75が、図1における左手前側に開口する開口部76を備えて形成されている。
【0043】
図4に示すように、補助ハウジング75の上下方向の高さ寸法Hは、ヒューズ装着部43に装着されたヒューズ86の頂部と、リレー装着部62に装着されたリレー87の頂部との間の寸法W内に収まるように(ここでは略等しく)設定されている。
【0044】
そして、図4に示すように、制御回路基板21は、配電基板12に対して垂直となるようにして、かつ、放熱板22がハウジング40の外側に露出するように、補助ハウジング75の開口部76に対して開放面側から組み付けられている。制御回路基板21は、配電基板12の端部に位置し、制御回路基板21が、配電基板12の両面側に延びるT字型配置とされている。
【0045】
制御回路基板21が開放面側から補助ハウジング75に組み付けられると、放熱板22の上端縁及び下端縁が係止爪58に図5の右方から当接する。さらに制御回路基板21を押し込むと、係止爪58が外方へ開き変形しながら放熱板22の上端縁及び下端縁に乗り上げる。さらに制御回路基板21を押し込むと、係止爪58が内側へ復元変形し、放熱板22の上端縁及び下端縁は係止爪58の内側に嵌り込んで抜け止めされるようになっている。
【0046】
取り付け用挿通孔27に、ワッシャー85を介してネジ84が挿入され、このネジ84がネジ孔82に螺合されることにより、制御回路基板21が補助ハウジング75に固定されている。
【0047】
次に、本実施形態の作用、効果について説明する。
本実施形態によれば、制御回路基板21は配電基板12に対して垂直となるように配設されているので、配電基板12の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく、電気接続箱80に電装品24を実装することができる。これにより電気接続箱80のスペース効率を向上させることができる。
【0048】
そして、ハウジング40には、配電基板12の表裏両面側からリレー87,ヒューズ86が配設されているので、配電基板12と直交する方向に延びる空間のうち、ヒューズ装着部43に装着されたヒューズ86の頂部と、リレー装着部62に装着されたリレー87の頂部との間の寸法W内の空間は、電気接続箱によって占有されるようになっている。本実施形態によれば、制御回路基板21は、配電基板12の端部に位置して、この制御回路基板21が、配電基板12の両面側に延びるT字型配置とされており、さらに、補助ハウジング75の上下方向の高さ寸法Hは、上述の寸法W内に収まるように設定されて、この補助ハウジング75内に制御回路基板21が収容されている。これにより、元々電気接続箱80の占有する空間内に制御回路基板21を配することができるので、電気接続箱80のスペース効率を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、制御回路基板21が、補助ハウジング75の開口部76に対して開放面側から取り付けられるようになっていることにより、組付作業時に障害となるような部材が存在しないので、制御回路基板21を補助ハウジング75内に収容する際の組付作業が容易となる。そして、バスバー10の端部に形成した配電側タブ片14と制御側タブ片25とを雌型中継端子30に挿入するという容易な手法で制御回路基板21と配電基板12とを接続することにより、制御回路基板21を電気接続箱80に組み付ける工程を全体として簡略化することができる。
【0050】
また、制御回路基板21から、制御回路基板21の板面に垂直に突出して形成された制御側タブ片25を、雌型中継端子30の制御側タブ片挿入口31に図5の右方から挿入すると、制御側タブ片25は、配電側接点部36に図5の右方から当接する。すると、制御側タブ片25が、その板面に垂直な方向に撓み変形する場合がある。しかしながら、制御側タブ片25が形成されたバスバー10は、制御回路基板21の板面に垂直に曲げ形成されているので、制御側タブ片25の撓み変形は、この垂直曲げされた部分で吸収される。このため、絶縁基板に接着された部分のバスバー10が、その板面に垂直な方向に撓み変形することを防止できる。これにより、バスバー10から、放熱板22や制御回路基板21が剥離すること防止できる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0052】
(1)本実施形態では、配電基板12は複数本のバスバー10を絶縁板11を介して三層に積層して形成したが、これに限られず、一層のみで配電基板12が形成されてもよいし、絶縁板11を介して二層又は四層以上に積層して形成されるものとしてもよい。
【0053】
(2)本実施形態においては、バスバー10と絶縁板11とを、両者の板面が平行になるように積層して配電基板12を形成したが、これに限られず、絶縁板11の板面とバスバー10との板面とが垂直にすると共に、絶縁板11の板面とバスバー10とが接するように配設するものとしてもよい。
【0054】
(3)本実施形態においては、補助ハウジング75は電気接続箱80のハウジング40と一体に形成されるものとしたが、これに限られず、補助ハウジング75が別体に形成されて、電気接続箱80のハウジング40に取り付けられる構成としてもよい。
【0055】
(4)本実施形態においては、制御回路基板21に放熱板22が設けられる構成としたが、これに限られず、制御回路基板21に実装された電装品24から発する熱を効率よく放散する構成であれば、放熱板22が設けられない構成としてもよい。また、ヒートパイプ等、放熱板22以外の放熱手段を設けてもよい。
【0056】
(5)本実施形態においては、補助ハウジング75の上下方向の高さ寸法Hは、ヒューズ装着部43に装着されたヒューズ86の頂部と、リレー装着部62に装着されたリレー87の頂部との間の寸法Wと略等しく設定されていたが、これに限られず、寸法Hを寸法Wよりも小さく設定してもよい。また、配電基板12と直交する方向に補助ハウジング75を設置可能な十分なスペースを確保できる場合には、寸法Hを寸法Wより大きく設定してもよい。
【0057】
(6)本実施形態においては、制御回路基板21に接着されたバスバー10のうち所定のものは、制御回路基板21の板面に対して垂直に曲げ形成されて、その先端部に制御側タブ片25が形成される構成としたが、これに限られず、制御側タブ片25の板面に垂直な方向の撓み変形が防止される構成とされている場合には(例えば、タブ片14がアライメントプレートに挿入されている場合など)、バスバー10が制御回路基板21と平行に延びて、その先端に制御側タブ片25が形成されるものとし、バスバー10のうち所定のものを配電基板12の板面に平行に突出させた後、配電基板12の板面に垂直に曲げ形成して、その先端に制御側タブ片25を形成する構成とし、このようにして形成された制御側タブ片25と配電側タブ片14とを雌型中継端子30により接続する構成としてもよい。
【0058】
(7)本実施形態によれば、制御側タブ片25と配電側タブ片14とは雌型中継端子30により接続される構成としたが、これに限られず、例えば、制御側タブ片25と配電側タブ片14とを溶接することにより接続する構成としてもよい。
【0059】
(8)本実施形態によれば、制御回路基板21は、配電基板12の端部に位置し、制御回路基板21が配電基板12の両面側に延びるT字型配置とされていたが、これに限られず、制御回路基板21が配電基板12の板面上に垂直に配設される構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態における電気接続箱の斜視図
【図2】本実施形態における電気接続箱の分解斜視図
【図3】本実施形態における電気接続箱の底面図
【図4】図1における電気接続箱のA−A線断面図
【図5】図1における電気接続箱の組付前の状態を示すA−A線断面図
【符号の説明】
【0061】
10…バスバー
11…絶縁板
12…配電基板
14…配電側タブ片
20…絶縁基板
21…制御回路基板
22…放熱板
24…電装品
25…制御側タブ片
30…雌型中継端子
40…ハウジング
75…補助ハウジング
80…電気接続箱
86…ヒューズ
87…リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板に複数本のバスバーを沿わせて配設してなる配電基板をハウジング内に収容し、そのハウジングにリレー等の電装品を装着して前記配電基板に接続されるようにした電気接続箱において、
前記配電基板の絶縁基板とは異なる絶縁基板に電子回路を構成した制御回路基板を前記ハウジング内で前記配電基板に対して垂直となるように配設し、この制御回路基板の電子回路により前記配電基板側の電装品または前記制御回路基板に実装したリレー等の電装品を制御するようにしたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記制御回路基板は、前記配電基板の端部に位置し、前記制御回路基板が、前記配電基板の両面側に延びるT字型配置とされていることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ハウジングには、前記制御回路基板を収容するための補助ハウジングが一体に設けられ、その補助ハウジングは前記配電基板とは反対側の面を開放した形態とされていることを特徴とする請求項1または2記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記制御回路基板には前記補助ハウジングの開放面側に位置して放熱板が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記ハウジングには前記配電基板の表裏両面側から電装品が取り付けられるようになっており、前記補助ハウジングの前記配電基板と直交する方向の高さ寸法は、前記ハウジングの表面側に取り付けられた前記電装品の最高高さと、裏面側に取り付けられた前記電装品の最高高さとの幅の範囲内となるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記制御回路基板と前記放熱板との間には絶縁性の接着層を介して複数本のバスバーが接着されており、これらのバスバー群のうちの所定のものは、前記制御回路基板の板面に対して垂直に曲げ加工されており、その先端部には、前記配電基板と接続するためのタブ片が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記配電基板に沿わせたバスバーには、前記制御回路基板側に向けて延びるタブ片が形成され、この配電基板側のタブ片と、前記制御回路基板側のタブ片とが雌型中継端子によって接続されていることを特徴とする請求項6記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−42501(P2006−42501A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219030(P2004−219030)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】