説明

電気接続箱

【課題】
リレー及びコネクタが実装された回路基板を有する電気接続箱において、リレーやコネクタを回路基板に実装するときに、リレーのリードを折り曲げることなく、リレーの半田による浮き上がりを防止する。
【解決手段】
リレー1をコネクタ2の下に配置する。コネクタ2のハウジング2bの下面に、リレー1の回路基板3からの浮き上がりを抑える突起7を形成する。リレーの半田による浮き上がりを防止できると共に、回路基板の面積を小さくでき、小型化、コスト低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、接続回路をプリント回路基板で構成し、このプリント回路基板にリレーやコネクタなどを実装し、これをケース内に収納してなる電気接続箱は公知である(特許文献1参照)。従来のこの種の電気接続箱では、図6に示すように、リレー1とコネクタ2は回路基板3上の異なる位置に実装されていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−224736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーやコネクタなどを回路基板に実装するには、それぞれの部品のリードを回路基板のスルーホールに挿通した状態で、フロー半田槽に入れて半田付けを行う。ところがこのフロー半田付けの際に、溶融半田によりリレーが浮き上がり、回路基板からリレーが脱落したり、半田付け不良が発生したりすることがある。これを防止するため従来は、図6に示すように、リレー1のリード1aを回路基板3のスルーホールに挿通した後、回路基板3の下面で折り曲げて、リレーが回路基板から浮き上がらないようにしている。しかしリードの折り曲げ作業は面倒であり、電気接続箱の生産効率を低下させる。
【0005】
本発明の目的は、リレーやコネクタを回路基板に実装するときに、リレーのリードを折り曲げる必要のない電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの解決手段は、リレー及びコネクタが実装された回路基板を有する電気接続箱において、前記リレーをコネクタの下に配置し、コネクタのハウジングでリレーの回路基板からの浮き上がりを抑えたことを特徴とするものである。
【0007】
上記の電気接続箱は、コネクタのハウジングの下面に、リレーの回路基板からの浮き上がりを抑える突起を形成したものであることが好ましい。
【0008】
本発明の他の解決手段は、リレー及びコネクタが実装された回路基板を有する電気接続箱において、前記リレーをコネクタの下に配置すると共に、前記リレーの上面に接触するように集/放熱板を配置し、この集/放熱板を前記回路基板に固定したことを特徴とするものである。
【0009】
上記の電気接続箱は、回路基板がメタルコアを有するものからなり、集/放熱板が前記回路基板のメタルコアと熱的に導通しているものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リレーをコネクタの下に配置し、コネクタのハウジングでリレーの回路基板からの浮き上がりを抑えるようにしたので、半田付けの際にリレーの浮き上がりを防止でき、リレーのリードの折り曲げ工程を省略することができる。またリレーとコネクタを回路基板の同じ位置に重ねて実装するので、回路基板の必要面積を小さくすることができ、電気接続箱の小型化、コスト低減を図ることができる。
【0011】
ところで、リレーは発熱部品であるため、コネクタのハウジングをリレーの上面に接触させたり、接近させたりすると、放熱性が低下するおそれがある。これを回避するためには、コネクタハウジングの下面に突起を形成して、この突起でリレーの浮き上がりを抑えるようにするとよい。このようにすると、コネクタハウジングの下面の突起以外の領域をリレーの上面から十分離すことができるので、放熱性の低下が少なくてすむ。
【0012】
また本発明によれば、リレーをコネクタの下に配置すると共に、回路基板に固定された集/放熱板をリレーの上面に接触させることによっても、半田付けの際にリレーが回路基板から浮き上がるのを抑えることができる。集/放熱板を用いることは、コネクタの下の狭い空間に配置されたリレーの放熱性を向上させるのにも有効である。
【0013】
また、電気接続箱の回路基板として、放熱性のよいメタルコア回路基板が使用される場合には、前記集/放熱板を回路基板のメタルコアと熱的に接続することにより、より高い放熱性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔実施形態1〕 図1〜図3は本発明の一実施形態を示す。図において、3は回路基板であり、この回路基板3の周辺部には、ヒューズ用コネクタ2と、ECU(電子制御ユニット)用コネクタ4と、ワイヤーハーネス等が接続されるコネクタ5、6が実装されている。ヒューズ用コネクタ2は回路基板3との間にスペースができるように設置され、このコネクタ2の下にリレー1が配置され、回路基板3に実装されている。
【0015】
コネクタ2は、ヒューズが接続される例えば音叉形の端子2aと、端子2aを所定の配置で支持するハウジング2bと、先端部が回路基板3のスルーホールに挿入されて半田付けされるリード2cとを有している。ハウジング2bの下面には図3に示すように突起7が形成され、この突起7で回路基板3からのリレー1の浮き上がりを抑えるようになっている。
【0016】
このような構成にすると、回路基板3にリレー1、コネクタ2、5、6、その他の電子部品8を載置して半田付けをする場合に、リレー1が回路基板3から浮き上がるのを抑えることができるので、リレー1の脱落や半田付け不良を確実に防止できる。またリレー1のリード1aを折り曲げる工程をなくすことができるので、生産性が向上する。さらにリレー1をコネクタ2の下に実装するため、リレーとコネクタを異なる所に実装する場合に比べ、回路基板3の面積を小さくすることができ、小型化できる。
【0017】
図1のように組み立てられた部品実装回路基板は、図示しないケース(ロアーケースとアッパーケース等で構成される)に収容され、電気接続箱となる。
【0018】
ところで、ハウジング2bの下面に形成した突起7は、図3のようにリレー1の上面に接触するように形成することが好ましいが、リレー1の上面との間に若干の隙間ができるように形成してもよい。これは次のような理由による。
【0019】
一般に、リレー等のスルーホールタイプ基板搭載部品のリードの長さは、回路基板の厚さが1.6mm〜2.0mmであることを考慮し、3.5mm程度に設定されている。これは、半田付けにより電気的、機械的接続を行うため、回路基板の下面(半田側)からのリード出代が1mm程度以上必要なためである。この実施形態の構成で、例えば厚さ1.6mmの回路基板を使用し、突起7をリレー1の上面との間に0.4mmの隙間ができるように形成した場合、半田付けの際にリレー1が浮き上がったとしても、浮き上がりを0.4mm以下に抑えることができ、半田接続に必要な基板下面からのリード出代1.0mmを確保することが可能である。
【0020】
〔実施形態2〕 図4及び図5は本発明の他の実施形態を示す。この電気接続箱も、ヒューズ用コネクタ2の下にリレー1を実装したものであるが、この実施形態の場合は、リレー1の上面に接触するように集/放熱板9を配置し、この集/放熱板9でリレー1の浮き上がりを抑えるようにしている。集/放熱板9はリレー1の裏側で下向きに折り曲げられ、その下端が回路基板3に固定されている。
【0021】
電気接続箱用の回路基板3は、放熱用のメタルコアを有しているので、集/放熱板9の下端は回路基板3のメタルコアにねじ止め、溶接又は半田付け等の手段により接続することが好ましい。これにより回路基板3のメタルコアと集/放熱板9が熱的に接続され、リレー1の熱をより効率よく放散することができる。
上記以外の構成及び効果は実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る電気接続箱の一実施形態を示す上側斜視図。
【図2】図1の電気接続箱の要部を示す下側斜視図。
【図3】同じく要部を示す側面図。
【図4】本発明に係る電気接続箱の他の実施形態の要部を示す下側斜視図。
【図5】同じく要部を示す側面図。
【図6】従来の電気接続箱の要部を示す側面図。
【符号の説明】
【0023】
1:リレー
1a:リード
2:コネクタ
2a:端子
2b:ハウジング
2c:リード
3:回路基板
7:突起
9:集/放熱板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレー及びコネクタが実装された回路基板を有する電気接続箱において、前記リレーをコネクタの下に配置し、コネクタのハウジングでリレーの回路基板からの浮き上がりを抑えたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
コネクタのハウジングの下面に、リレーの回路基板からの浮き上がりを抑える突起を形成したことを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
リレー及びコネクタが実装された回路基板を有する電気接続箱において、前記リレーをコネクタの下に配置すると共に、前記リレーの上面に接触するように集/放熱板を配置し、この集/放熱板を前記回路基板に固定したことを特徴とする電気接続箱。
【請求項4】
回路基板がメタルコアを有するものからなり、集/放熱板が前記回路基板のメタルコアと熱的に接続されていることを特徴とする請求項3記載の電気接続箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−6079(P2006−6079A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182295(P2004−182295)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】