説明

電気接続箱

【課題】 本発明は、電気接続箱の小型化を図る。
【解決手段】 配電基板12と制御回路基板21とは、配電基板12側のバスバー10に形成された配電側タブ片14と、制御回路基板21側のバスバー10に形成された制御側タブ片25とを、雌型中継端子30に挿入することにより接続されている。配電基板12と制御回路基板21とをワイヤーハーネスを介さずに接続することができるので、電気接続箱80に関連するシステム全体として小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに電装品を収容してなる電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気接続箱としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このものは、絶縁基板に複数本のバスバーを沿わせて配設してなる配電基板がハウジングに収容されてなり、そのハウジングの上面にリレー等の電装品を装着して、配電基板に接続されるようになっている。また、上記リレーを制御するための制御回路は、電気接続箱とは別の場所に設置される制御ボックス内に収容したプリント基板にトランジスタやIC等の電子部品を実装して構成されている。
【特許文献1】特開平8−322127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上述の従来の構成によると、電気接続箱及び制御ボックスの双方にワイヤハーネス用のコネクタが必要となるため、その分、電気接続箱及び制御ボックスが大型化する上、ワイヤハーネスが占める容積も加わって電気接続箱関連のシステム全体として大きな設置スペースを要するという問題があった。
【0004】
かかる問題に対処するため、電気接続箱内に制御回路を構成するプリント基板を内蔵する構造も試みられている。これによればワイヤハーネスが不要になるから、その分、小容積化が期待できる。
【0005】
ところが、実際には、プリント基板と電気接続箱内の回路との接続には相当の工夫を要する。プリント基板は絶縁基板の表面に銅箔による回路を構成してあり、一方、電気接続箱内は厚肉の銅板からなるバスバーによって回路が構成されているからである。バスバーをプリント基板上の銅箔回路に例えば半田付けすることも考えられるが、これではバスバーが振動したときに銅箔が絶縁基板から剥がれるおそれがあるから、振動が多い自動車用では全く実用に耐えない。また、プリント基板側に例えばカードエッジタイプの端子構造を形成し、電気接続箱内にはカードエッジコネクタを設けることも考えられるが、やはり、カードエッジコネクタとバスバー回路との接続が問題となって構造が複雑化し、十分な小型化を図ることができない。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電気接続箱の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、絶縁基板に複数本のバスバーを沿わせて配設してなる配電基板をハウジング内に収容し、そのハウジングにリレー等の電装品を装着して前記配電基板に接続されるようにした電気接続箱において、前記ハウジング内には、前記配電基板の絶縁基板とは異なる絶縁基板に電子回路が構成された制御回路基板が設けられており、前記制御回路基板には前記電子回路と接続される複数本のバスバーが配設されており、前記配電基板側のバスバー及び前記制御回路基板側のバスバーのうち少なくとも一方に、他方と接続するための接続片部を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記配電基板側のバスバー及び前記制御回路基板側のバスバーの双方には、互いに相手側に向けて延びる接続片部が形成されており、前記両接続片部が、雌型中継端子を介して接続されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、前記ハウジングには、前記ハウジングの外側に向けて開口するコネクタ用フード部が一体に形成され、前記配電基板側のバスバー群のうちの所定のものには、前記コネクタ用フード部内に突出する雄型端子部が一体に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1または3のいずれかに記載の電気接続箱において、前記制御回路基板は、前記配電基板に対して垂直となるように配設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4記載のものにおいて、前記制御回路基板は、前記配電基板の端部に位置し、前記制御回路基板が、前記配電基板の両面側に延びるT字型配置とされていることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4または5記載のものにおいて、前記ハウジングには、前記制御回路基板を収容するための補助ハウジングが一体に設けられ、この補助ハウジングは前記配電基板とは反対側の面を開放した形態とされていることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6記載のものにおいて、前記制御回路基板には前記補助ハウジングの開放面側に位置して放熱板が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項6または7記載のものにおいて、前記ハウジングには前記配電基板の表裏両面側から電装品が取り付けられるようになっており、前記補助ハウジングの前記配電基板と直交する方向の高さ寸法は、前記ハウジングの表面側に取り付けられた前記電装品の最高高さと、裏面側に取り付けられた前記電装品の最高高さとの幅の範囲内となるように設定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項4ないし8のいずれかに記載のものにおいて、前記制御回路基板側のバスバーは、前記制御回路基板の板面に対して垂直に曲げ加工されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、配電基板側のバスバー及び制御回路基板側のバスバーのうち少なくとも一方に設けられた接続片部と、他方のバスバーとを、例えば半田付け、ろう付け、又は溶接等により接続することにより、配電基板と制御回路基板とをワイヤーハーネスを介さずに接続することができる。これにより電気接続箱関連のシステム全体として小型化を図ることができる。
【0017】
また、請求項1の発明によれば、バスバーという同種の部材同士が接続されるので、配電基板と制御回路基板の接続に用いられる部材のうちの一方の強度が著しく他方に劣るということがない。このため、振動等により、強度の低い側の部材が容易に破壊されて、配電基板と制御回路基板との接続が断絶することが防止されるので、接続信頼性が向上する。
【0018】
<請求項2の発明>
配電基板及び制御回路基板に配設されたバスバーは、金属板材を打ち抜き加工して形成されるものであり、これらのバスバーの端部を所定の形状に加工することにより、容易に接続片部を形成することができる。このように容易に形成された接続片部同士を、雌型中継端子に挿入するという簡易な手法で接続することにより、制御回路基板と配電基板とを接続することができる。このように請求項2の発明によれば、制御回路基板と配電基板との接続工程を全体として簡素化することができる。
【0019】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、制御回路基板と、電気接続箱の外部との電流の流出入は、ハウジングに一体に形成されたコネクタ用フード部内に突出する雄型端子部を介して行われる。これにより、制御回路基板上に、外部との接続用のコネクタを設けなくてもよいので、電気接続箱を全体として小型化できる。
【0020】
また、上記の雄型端子部は配電基板側のバスバーと一体に形成されているので、雄型端子部と配電基板側のバスバーとを別体とし、両者を組み付けることによりコネクタの端子金具を構成する場合に比べて、コネクタの構造を全体として簡素化することができる。これにより、電気接続箱を小型化することができる。
【0021】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、制御回路基板は配電基板に対して垂直となるように配設されているので、配電基板の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく、電気接続箱に電装品を実装することができる。これにより電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【0022】
<請求項5の発明>
ハウジングにはリレー等の電装品が配設されて配電基板に接続されるようになっているので、配電基板と直交する方向に延びる空間のうち、所定の体積の空間は電装品により占有されている。請求項5の発明によれば、制御回路基板は、配電基板の端部に位置して、この制御回路基板が、配電基板の両面側に延びるT字型配置とされている。これにより、配電基板と直交する方向に延びる空間のうち、元々電装品の占有する空間を利用して、制御回路基板を配することができるので、電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【0023】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、補助ハウジングは電気接続箱のハウジングと一体に形成されているので、両者が別体に形成される場合に比べて、ハウジングを全体として小型化できる。
【0024】
また、補助ハウジングの開放面側から制御回路基板を組み付けることができるので、制御回路基板の電気接続箱への組付作業が容易となる。
【0025】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、制御回路基板に設けられた放熱板は、補助ハウジングの開放面側に位置しているので、制御回路基板に実装された電装品からの発熱を、電気接続箱の外部へ効率よく放散することができる。これにより、電気接続箱の放熱性を向上させることができる。
【0026】
<請求項8の発明>
ハウジングには、配電基板の表裏両面側から電装品が配設されているので、配電基板と直交する方向に延びる空間のうち、ハウジングの表面側に取り付けられた電装品の最高高さと、裏面側に取り付けられた電装品の最高高さとの幅によって区分される空間は、電気接続箱によって占有されるようになっている。請求項8の発明によれば、電装品が取り付けられた状態の電気接続箱が占有する空間内に、補助ハウジングが形成されている。この補助ハウジング内に制御回路基板を収容することにより、元々電気接続箱の占有する空間内に制御回路基板を配することができるので、電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【0027】
<請求項9の発明>
請求項9の発明によれば、バスバーの先端に形成されたタブ片は、制御回路基板と垂直な方向を向いている。このため、タブ片を、例えば電気接続箱に配設した雌型端子金具に挿入して、制御回路基板と電気接続箱とを接続しようとした場合、タブ片と雌型端子金具とが接触してタブ片がその板面に垂直な方向に撓み変形しても、垂直に曲げ加工された部位で撓み変形が止められるため、制御回路基板に取り付けられたバスバー側には、バスバーの板面に垂直な方向を向いた力が加わることはない。このため、制御回路基板と電気接続箱とを接続する際に、バスバーから、制御回路基板が剥離することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<実施形態>
本発明を車両用の電気接続箱に適用した一実施形態を図1ないし図5を参照して説明する。本実施形態の電気接続箱80は、扁平形状をなすハウジング40に、配電基板12を、その板面が上下方向を向くように収容したものである(図4参照)。ハウジング40は合成樹脂製であり、上面を開放したロアケース60と、その開放上面を覆うアッパーケース41とを結合させてなる。
【0029】
図3、図4に示すように、ロアケース60の下壁には、リレー87を装着するために凹み形成させたリレー装着部62と、ワイヤーハーネス(図示せず)を接続するためのコネクタ用フード部64とが形成されている。リレー装着部62には、ロアケース60の下壁を上下方向に貫通するリレー端子挿入口63が形成され、ここに後述する配電用端子13(請求項3の雄型端子部に相当する)が挿入されるようになっている。また、コネクタ用フード部64の底壁には、後述する配電用端子13が貫通して、コネクタ用フード部64内に突出するようになっている。
【0030】
図2に示すように、ロアケース60は上方から見て略長方形状をなしており、このロアケース60の長手方向の両側に位置する側壁の外側面には、その両端寄りの位置に、後述するロック片54と係止してロアケース60とアッパーケース41とを固定するためのロック突部67が形成されている。
【0031】
図1、図4に示すように、アッパーケース41の上壁には、ヒューズ86を装着するために凹み形成させたヒューズ装着部43と、ワイヤーハーネス(図示せず)を接続するためのコネクタ用フード部46とが形成されている。ヒューズ装着部43には、アッパーケース41の上壁を上下方向に貫通するヒューズ端子挿入口44が形成され、ここに後述する配電用端子13が挿入されるようになっている。また、コネクタ用フード部46の底壁には、後述する配電用端子13が貫通して、コネクタ用フード部46内に突出するようになっている。
【0032】
図1に示すように、アッパーケース41は上方から見て略長方形状をなしており、このアッパーケース41の長手方向の両側に位置する2つの側壁の外側面、及びアッパーケース41の長手方向に平行な2つの側壁の外側面のうち両端寄りの位置には、ハウジング40を図示しない車体に固定するためのランス50が形成されている。
【0033】
図1に示すように、アッパーケース41の長手方向の両側に位置する側壁の外側面の下端部には、ロアケース60のロック突部67と対応する位置に、ロック突部67と係止してアッパーケース41とロアケース60とを固定するロック片54が形成されている。
【0034】
アッパーケース41とロアケース60とは、ロアケース60の上方からアッパーケース41が組み付けられて、ロック片54がロック突部67に弾性的に係止されることにより一体化されている。
【0035】
配電基板12は、金属板材を打ち抜いて形成した複数本のバスバー10を複数層(本実施形態では3層)に配し、各層の間に絶縁板11(請求項1において、配電基板を構成する絶縁基板に相当する)を介して積層されてなる。バスバー10の端部のうち所定のものについては、上方又は下方に曲げ加工されており、配電用端子13とされている。絶縁板11は略長方形状をなしており、その板面には、配電用端子13を挿入するための、上下に連通する複数の挿通孔15が、所定の位置に形成されている。配電基板12の上面からは、挿通孔15から配電用端子13が上方に突出している。また、配電基板12の下面からは、挿通孔15から配電用端子13が下方に突出している。
【0036】
図4に示すように、配電基板12の端部には、制御回路基板21が配されている。制御回路基板21は、絶縁基板の一方の面にプリント配線手段によって制御回路を形成すると共に、ここにリレー等の電装品24を実装して構成され、その部品実装面とは反対側の面に複数本のバスバー10を制御回路と電気的に接続した状態で沿わせてある。なお、バスバー10は、絶縁性を有する薄い接着シート(図示せず)を介して絶縁基板と一体的に貼り付けられている。また、バスバー10には、電装品24から発生する熱を放熱するための放熱板22が、絶縁性の接着層(図示せず)を介して接着されている。この放熱板22は略矩形状をなしており、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属板により形成されると共に、複数条のフィン26を備え、上下の端部寄りに取り付け用挿通孔27が形成されている。
【0037】
一方、ロアケース60のうち、図2における左手前側の側壁には、図2における左手前側に開口した箱状のロアケース側補助ハウジング68が形成されており、制御回路基板21を収容可能になっている。ロアケース側補助ハウジング68の下壁の図2における左手前側の端部には、弾性変形可能な係止爪58が上方に突出して形成されている。
【0038】
ロアケース側補助ハウジング68の下端寄りの位置には、制御回路基板21をネジ止めするための円柱状のボス81が図2における左手前側に突出して形成されている。ボス81の先端部にはネジ孔82が形成されている。
【0039】
また、アッパーケース41のうち、図2における左手前側の側壁には、図2における左手前側に開口したアッパーケース側補助ハウジング55が形成されており、制御回路基板21を収容可能になっている。
【0040】
アッパーケース側補助ハウジング55の上壁のうち、図2における左手前側の端部には、弾性変形可能な係止爪58が下方に垂下して形成されている。
【0041】
アッパーケース側補助ハウジング55には、制御回路基板21をネジ止めするための円柱状のボス81が図2における左手前側に突出するように形成されている。このボス81の先端部にはネジ孔82が形成されている。
【0042】
アッパーケース41とロアケース60とが一体化された状態では、ハウジング40の、図1における左手前側に、アッパーケース側補助ハウジング55と、ロアケース側補助ハウジング68とが一体化されて形成された補助ハウジング75が、図1における左手前側に開口する開口部76を備えて形成されている。
【0043】
図4に示すように、補助ハウジング75の上下方向の高さ寸法Hは、ヒューズ装着部43に装着されたヒューズ86の頂部と、リレー装着部62に装着されたリレー87の頂部との間の寸法W内に収まるように(ここでは略等しく)設定されている。
【0044】
そして、図4に示すように、制御回路基板21は、配電基板12に対して垂直となるようにして、かつ、放熱板22がハウジング40の外側に露出するように、補助ハウジング75の開口部76に対して開放面側から組み付けられている。制御回路基板21は、配電基板12の端部に位置し、制御回路基板21が、配電基板12の両面側に延びるT字型配置とされている。放熱板22の上端縁及び下端縁は係止爪58の内側に嵌り込んで抜け止めされている。放熱板22の取り付け用挿通孔27には、ワッシャー85を介してネジ84が挿入され、このネジ84がネジ孔82に螺合されることにより、制御回路基板21が補助ハウジング75に固定されている。
【0045】
さて、配電基板12に配設されたバスバー10群の端部のうち、配電用端子13と異なる端部は、一旦下方に曲げ加工された後、図2における左手前側に突出するように曲げ加工されて、その先端部がやや先細り形状に形成されて、制御回路基板21と接続するための配電側タブ片14(接続片部に相当する)とされている。配電側タブ片14は、配電基板12のうち、図2における左手前側の端部から、同一平面上に並んで突出している。
【0046】
また、制御回路基板21に配設されたバスバー10群のうち所定のものは、制御回路基板21の板面に平行な方向に延出された後、部品実装面側に突出するように曲げ形成されると共に、その先端部がやや先細り形状に形成されて、配電基板12と接続するための制御側タブ片25(接続片部に相当する)とされている。制御側タブ片25は同一平面上に並んだ形態になっている。
【0047】
そして、図4に示すように、配電基板12と制御回路基板21とは、配電側タブ片14と、制御側タブ片25とを、雌型中継端子30に挿入することにより電気的に接続されている。
【0048】
図5に示すように、雌型中継端子30は、導電性の金属板をプレスによって所定形状に打ち抜いた後、曲げ加工を施すことにより略直方体状に形成されている。雌型中継端子30には、図5における右方に、制御側タブ片25が挿入されるための制御側タブ片挿入口31が形成されている。また、図5における左方には、配電側タブ片14が挿入されるための配電側タブ片挿入口32が形成されている。
【0049】
雌型中継端子30の下壁33のうち、図5における左端からは、弾性接触片34が延出されており、図5における右方へ折り返されている。この弾性接触片34は、側方から見て略S字状をなすように2回曲げされている。
【0050】
弾性接触片34のうち、側方から見て下方に突出して屈曲した部分の下面は、制御側タブ片25と接続するための、制御側接点部36となっている。また、弾性接触片34のうち、側方から見て上方に突出して屈曲した部分の上面は、配電側タブ片14と接続するための、配電側接点部35となっている。雌型中継端子30の上壁は、一段下方に低く形成されており、配電側タブ片14と接触する受け部37とされている。
【0051】
図4に示すように、配電側タブ片挿入口32に、図4における左方から挿入された配電側タブ片14は、配電側接点部35と接触して弾性接触片34を下方へ押圧している。これにより弾性接触片34は撓み変形して、その復元弾力により、受け部37と弾性接触片34との間に配電側タブ片14が挟持されている。
【0052】
また、制御側タブ片挿入口31に、図4における右方から挿入された制御側タブ片25は、制御側接点部36と接触して弾性接触片34を上方へ押圧している。これにより弾性接触片34は撓み変形して、その復元弾力により、雌型中継端子30の下壁33と弾性接触片34との間に制御側タブ片25が挟持されている。
【0053】
次に、本実施形態の作用、効果について説明する。
配電側タブ片挿入口32に、図4における左方から配電側タブ片14を挿入すると共に、制御側タブ片挿入口31に、図4における右方から制御側タブ片25を挿入することにより、配電側タブ片14と制御側タブ片25とが雌型中継端子30とを介して接続される。このように本実施形態の構成によれば、配電基板12と制御回路基板21とをワイヤーハーネスを介さずに接続することができるので、電気接続箱80を全体として小型化できる。
【0054】
そして、本実施形態によれば、制御回路基板21を収容する補助ハウジング75は、ハウジング40と一体化されているので、両者が別体に形成される場合に比べてハウジング40を全体として小型化でき、これにより電気接続箱80を小型化できる。
【0055】
そして、本実施形態によれば、制御回路基板21から流出する電流は、制御回路基板21→制御回路基板21側のバスバー10→雌型中継端子30→配電基板12側のバスバー10→配電用端子13を通って電気接続箱80の外部へ流出する。一方、電気接続箱80へ流入する電流は、配電用端子13から、上述したのとは逆の経路をたどって制御回路基板21へと流入する。このように制御回路基板21と電気接続箱80の外部との電流の流出入は、ハウジング80に一体に形成されたコネクタ用フード部46,64内に突出する配電用端子13を介して行われる。これにより、制御回路基板21上に、外部との接続用のコネクタを設けなくてもよいので、電気接続箱80を全体として小型化できる。
【0056】
そして、本実施形態によれば、上記の配電用端子13は配電基板側のバスバー10と一体に形成されているので、配電用端子13と配電基板側のバスバー10とを別体とし、両者を組み付けることによりコネクタ用フード部46,64内に端子金具を構成する場合に比べて、コネクタ用フード部46,64の構造を全体として簡素化することができる。これにより電気接続箱80を小型化することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、配電基板側のバスバー10と制御回路基板側のバスバー10という、同種の部材同士が接続されているので、例えばプリント基板上に形成された銅箔とバスバーとを半田付けする場合のように、一方の部材の強度が著しく他方に劣るということがない。このため、振動等により、強度の低い側の部材が容易に破壊されて、配電基板12と制御回路基板21との接続が断絶することが防止されるから、接続信頼性が向上する。
【0058】
また、本実施形態によれば、制御回路基板21は配電基板12に対して垂直となるように配設されているので、配電基板12の板面に垂直な方向の投影面積を増大させることなく、電気接続箱80に電装品24を実装することができる。これにより電気接続箱80のスペース効率を向上させることができる。
【0059】
そして、ハウジング40には、配電基板12の表裏両面側からリレー87,ヒューズ86が配設されているので、配電基板12と直交する方向に延びる空間のうち、ヒューズ装着部43に装着されたヒューズ86の頂部と、リレー装着部62に装着されたリレー87の頂部との間の寸法W内の空間は、電気接続箱によって占有されるようになっている。本実施形態によれば、制御回路基板21は、配電基板12の端部に位置して、この制御回路基板21が、配電基板12の両面側に延びるT字型配置とされており、さらに、補助ハウジング75の上下方向の高さ寸法Hは、上述の寸法W内に収まるように設定されて、この補助ハウジング75内に制御回路基板21が収容されている。これにより、元々電気接続箱80の占有する空間内に制御回路基板21を配することができるので、電気接続箱80のスペース効率を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、制御回路基板21が、補助ハウジング75の開口部76に対して開放面側から取り付けられるようになっていることにより、組付作業時に障害となるような部材が存在しないので、制御回路基板21を補助ハウジング75内に収容する際の組付作業が容易となる。そして、バスバー10の端部に形成した配電側タブ片14と制御側タブ片25とを雌型中継端子30に挿入するという容易な手法で制御回路基板21と配電基板12とを接続することにより、制御回路基板21を電気接続箱80に組み付ける工程を全体として簡略化することができる。
【0061】
また、制御回路基板21から、制御回路基板21の板面に垂直に突出して形成された制御側タブ片25を、雌型中継端子30の制御側タブ片挿入口31に図5の右方から挿入すると、制御側タブ片25は、配電側接点部36に図5の右方から当接する。すると、制御側タブ片25が、その板面に垂直な方向に撓み変形する場合がある。しかしながら、制御側タブ片25が形成されたバスバー10は、制御回路基板21の板面に垂直に曲げ形成されているので、制御側タブ片25の撓み変形は、この垂直曲げされた部分で吸収される。このため、絶縁基板に接着された部分のバスバー10が、その板面に垂直な方向に撓み変形することを防止できる。これにより、バスバー10から、放熱板22や制御回路基板21が剥離することを防止できる。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0063】
(1)本実施形態によれば、配電基板側のバスバー10に配電側タブ片14が形成されると共に、制御回路基板側のバスバー10に制御側タブ片25が形成される構成としたが、これに限られず、配電基板側のバスバー10にのみ接続片部が形成され、この接続片部と制御回路基板側のバスバー10とを溶接、半田付け、ろう付け等により接続する構成としてもよい。また、制御回路基板側のバスバー10にのみ接続片部が形成され、この接続片部と配電基板側のバスバー10とを溶接、半田付け、ろう付け等により接続する構成としてもよい。
【0064】
(2)本実施形態によれば、制御側タブ片25と配電側タブ片14とは雌型中継端子30により接続される構成としたが、これに限られず、例えば、制御側タブ片25と配電側タブ片14とを例えば溶接、半田付け、ろう付け等により接続する構成としてもよい。
【0065】
(3)本実施形態においては、配電基板側のバスバー10群のうちの所定のものに、ハウジング40と一体に形成されたコネクタ用フード部46,64内に突出する配電用端子13が一体に形成される構成となっていたが、これに限られず、制御回路基板側のバスバー10群のうちの所定のものに、コネクタ用フード部46,64内に突出する配電用端子13が一体に形成される構成としてもよい。
【0066】
(4)本実施形態では、配電基板12は複数本のバスバー10を絶縁板11を介して三層に積層して形成したが、これに限られず、一層のみで配電基板12が形成されてもよいし、絶縁板11を介して二層又は四層以上に積層して形成されるものとしてもよい。
【0067】
(5)本実施形態においては、バスバー10と絶縁板11とを、両者の板面が平行になるように積層して配電基板12を形成したが、これに限られず、絶縁板11の板面とバスバー10との板面とが垂直にすると共に、絶縁板11の板面とバスバー10とが接するように配設するものとしてもよい。
【0068】
(6)本実施形態においては、補助ハウジング75は電気接続箱80のハウジング40と一体に形成されるものとしたが、これに限られず、補助ハウジング75が別体に形成されて、電気接続箱80のハウジング40に取り付けられる構成としてもよい。
【0069】
(7)本実施形態においては、制御回路基板21に放熱板22が設けられる構成としたが、これに限られず、制御回路基板21に実装された電装品24から発する熱を効率よく放散する構成であれば、放熱板22が設けられない構成としてもよい。また、ヒートパイプ等、放熱板22以外の放熱手段を設けてもよい。
【0070】
(8)本実施形態においては、補助ハウジング75の上下方向の高さ寸法Hは、ヒューズ装着部43に装着されたヒューズ86の頂部と、リレー装着部62に装着されたリレー87の頂部との間の寸法Wと略等しく設定されていたが、これに限られず、寸法Hを寸法Wよりも小さく設定してもよい。また、配電基板12と直交する方向に補助ハウジング75を設置可能な十分なスペースを確保できる場合には、寸法Hを寸法Wより大きく設定してもよい。
【0071】
(9)本実施形態においては、制御回路基板21に接着されたバスバー10のうち所定のものは、制御回路基板21の板面に対して垂直に曲げ形成されて、その先端部に制御側タブ片25が形成される構成としたが、これに限られず、制御側タブ片25の板面に垂直な方向の撓み変形が防止される構成とされている場合には(例えば、タブ片14がアライメントプレートに挿入されている場合など)、バスバー10が制御回路基板21と平行に延びて、その先端に制御側タブ片25が形成されるものとし、バスバー10のうち所定のものを配電基板12の板面に平行に突出させた後、配電基板12の板面に垂直に曲げ形成して、その先端に制御側タブ片25を形成する構成とし、このようにして形成された制御側タブ片25と配電側タブ片14とを雌型中継端子30により接続する構成としてもよい。
【0072】
(10)本実施形態によれば、制御回路基板21は、配電基板12の端部に位置し、制御回路基板21が配電基板12の両面側に延びるT字型配置とされていたが、これに限られず、制御回路基板21が配電基板12の板面上に垂直に配設される構成としてもよい。
【0073】
(11)本実施形態によれば、配電基板12と制御回路基板21とは垂直に配置されるものとしたが、これに限られず、例えば配電基板12と制御回路基板21とは、板面を同じ方向に向けて同一平面上に並べて配置される構成としてもよいし、また例えば、配電基板12と制御回路基板21とが、板面を平行にして上下二段に重ねて配置される構成としてもよく、任意に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態における電気接続箱の斜視図
【図2】本実施形態における電気接続箱の分解斜視図
【図3】本実施形態における電気接続箱の底面図
【図4】図1における電気接続箱のA−A線断面図
【図5】図1における電気接続箱の組付前の状態を示すA−A線断面図
【符号の説明】
【0075】
10…バスバー
11…絶縁板
12…配電基板
13…配電用端子(雄型端子部)
14…配電側タブ片(接続片部)
20…絶縁基板
21…制御回路基板
22…放熱板
24…電装品
25…制御側タブ片(接続片部)
30…雌型中継端子
40…ハウジング
46,64…コネクタ用フード部
75…補助ハウジング
80…電気接続箱
86…ヒューズ
87…リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板に複数本のバスバーを沿わせて配設してなる配電基板をハウジング内に収容し、そのハウジングにリレー等の電装品を装着して前記配電基板に接続されるようにした電気接続箱において、
前記ハウジング内には、前記配電基板の絶縁基板とは異なる絶縁基板に電子回路が構成された制御回路基板が設けられており、
前記制御回路基板には前記電子回路と接続される複数本のバスバーが配設されており、
前記配電基板側のバスバー及び前記制御回路基板側のバスバーのうち少なくとも一方に、他方と接続するための接続片部を設けたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記配電基板側のバスバー及び前記制御回路基板側のバスバーの双方には、互いに相手側に向けて延びる接続片部が形成されており、
前記両接続片部が、雌型中継端子を介して接続されていることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ハウジングには、前記ハウジングの外側に向けて開口するコネクタ用フード部が一体に形成され、
前記配電基板側のバスバー群のうちの所定のものには、前記コネクタ用フード部内に突出する雄型端子部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記制御回路基板は、前記配電基板に対して垂直となるように配設されていることを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記制御回路基板は、前記配電基板の端部に位置し、前記制御回路基板が、前記配電基板の両面側に延びるT字型配置とされていることを特徴とする請求項4記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記ハウジングには、前記制御回路基板を収容するための補助ハウジングが一体に設けられ、この補助ハウジングは前記配電基板とは反対側の面を開放した形態とされていることを特徴とする請求項4または5記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記制御回路基板には前記補助ハウジングの開放面側に位置して放熱板が設けられていることを特徴とする請求項6記載の電気接続箱。
【請求項8】
前記ハウジングには前記配電基板の表裏両面側から電装品が取り付けられるようになっており、前記補助ハウジングの前記配電基板と直交する方向の高さ寸法は、前記ハウジングの表面側に取り付けられた前記電装品の最高高さと、裏面側に取り付けられた前記電装品の最高高さとの幅の範囲内となるように設定されていることを特徴とする請求項6または7記載の電気接続箱。
【請求項9】
前記制御回路基板側のバスバーは、前記制御回路基板の板面に対して垂直に曲げ加工されていることを特徴とする請求項6または7記載の電気接続箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−60881(P2006−60881A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237686(P2004−237686)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】