説明

電気接続箱

【課題】 放熱性の良好な電気接続箱を提供する。
【解決手段】 基板11上に素子が実装されてなる回路構成体10がアッパーケース30とロアケース20とを組み合わせたハウジング29内に収容されてなり、回路構成体10からの熱をロアケース20を介して放散させるようにした電気接続箱であって、アッパーケース30には、ロアケース20に向けて突出し、回路構成体10をロアケース20の底板21に押圧する押さえ部36を設け、押さえ部36の先端は段差状に縮径された小径軸部37が突出して形成される一方、回路構成体10及びロアケース20には、小径軸部37を貫通させる貫通孔24が形成されており、ロアケース20の下面側に突出した小径軸部37の先端には、押さえ部36により基板11を押圧した状態でロアケース20の下面側において溶融して潰された抜け止め径大部24Aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、共通の車載電源から各種電子ユニットへ電力を分配するために用いられる電気接続箱として、回路構成体(例えば、制御回路基板(基板)、スイッチング素子、バスバーからなる)をアッパーケースとロアケースからなるハウジング内に収容したものがある(特許文献1参照)。
【0003】
この種の回路構成体においては、基板の上面に回路パターンが形成されており、この回路パターン上には、電力の導通を制御するスイッチング素子と、このスイッチング素子の駆動を制御するための制御回路素子が実装されている。一方、基板の下面には、回路パターンと導通されるバスバーが絶縁層を介して接着されており、このバスバーの下面には、絶縁層を介してロアケースが接着されている。
【0004】
そして、このロアケースの上方からアッパーケースを嵌合させることにより、回路構成体がケース内に収容されるようになっている。
【0005】
ここで、電力導通路(バスバー等)には大きな電流が流れるため、スイッチング素子からの発熱量はそれに応じて比較的大きなものとなる一方、制御回路素子は熱による影響を受けると誤動作等を生じやすい。したがって、スイッチング素子から発生した熱は、制御回路素子には伝熱されずに外部(ケース外)に放出されることが望ましい。
【特許文献1】特開2003−164040公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スイッチング素子で発生した熱は、基板やバスバーを介してロアケースに伝熱された後、外部に放出されるようになっている。ここで、これらの部材が密着していない場合、すなわちこれらの部材の間に隙間(空気層)が生じている場合には、この隙間に熱がこもってしまい、十分に外部に熱が放出されない。特に、基板及びバスバーを接着した状態では、これらの材質が異なる(例えば、合成樹脂等と金属)ことに起因する膨張率の違いにより基板及びバスバーが反りかえってしまうおそれがあり、かかる場合に、バスバーとロアケースとの間に生じた隙間により、外部に十分に熱が放出されにくい。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱性の良好な電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、基板上に素子が実装されてなる回路構成体がアッパーケースとロアケースとを組み合わせたハウジング内に収容されてなり、前記回路構成体からの熱を前記ロアケースを介して放散させるようにした電気接続箱であって、前記アッパーケースには、前記ロアケースに向けて突出し、前記回路構成体を前記ロアケースとの接触部位に押圧する押さえ部を設けた構成としたところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ロアケースは、放熱板を含んで構成されるところに特徴を有する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ロアケースは、合成樹脂からなるところに特徴を有する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記回路構成体は、長方形状の基板に素子が実装され、この基板の下面に重ねられるバスバーが前記基板と接着されることにより前記基板上の回路と前記バスバーとが導電路を形成するものであって、前記押さえ部は、前記基板の長手方向の略中央部を押圧するように設けられるところに特徴を有する。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、
前記押さえ部の先端は段差状に縮径された小径軸部が突出して形成される一方、前記回路構成体及び前記ロアケースには、前記小径軸部を貫通させる貫通孔が形成されており、前記ロアケースの下面側に突出した小径軸部の先端には、前記押さえ部により前記基板を押圧した状態で前記ロアケースの下面側において溶融して潰された抜け止め径大部が設けられているところに特徴を有する。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記押さえ部の先端は段差状に縮径され、先端面に螺子孔を有する小径軸部が突出して形成されると共に、前記回路構成体及び前記ロアケースには前記小径軸部を貫通させる貫通孔が形成され、さらに、前記押さえ部により前記基板が押圧された状態で前記ロアケースの下面側に突出した前記小径軸部の前記螺子孔に螺合された螺子と、この螺子の頭部と前記ロアケースの前記貫通孔の周縁との間に挟まれる弾性材製のワッシャーとを有するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
本構成によれば、押さえ部が回路構成体をロアケースとの接触部位に押圧するから、基板とロアケースとの間に隙間(空気層)が生じにくく、放熱性を向上させることができる。
【0015】
<請求項2の発明>
本構成によれば、放熱板から熱を放出することができる。
【0016】
<請求項3の発明>
本構成によれば、合成樹脂からなるロアケースから外部に放熱される。したがって、他の部材(金属等)からなる放熱板を設けなくて済む。
【0017】
<請求項4の発明>
本構成によれば、押さえ部は、より隙間の生じやすい基板の長手方向の略中央部を押圧するように設けられるから、基板とロアケースとの間に隙間が生じにくく、放熱性を向上させることができる。
【0018】
<請求項5の発明>
本構成によれば、回路構成体とロアケースとの離間を規制することができる。
【0019】
<請求項6の発明>
本構成によれば、回路構成体とロアケースとの離間を規制することができる。また、弾性材製のワッシャーを介して螺子を螺合させるから、このワッシャーにより、押さえ部の押圧で基板に生じる応力を緩和することができ、基板上の回路と素子との接合部分にクラック等が生じることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図11を参照して説明する。
本実施形態の電気接続箱は、回路構成体10をロアケース20とアッパーケース30とを嵌合させてなるハウジング29内に収容したものであり(図1参照)、車両(図示しない)の電源供給路に配され、電源からの電流を分配して車両の各部に供給するとともに、このとき回路構成体10から発生した熱をロアケース20を介して外部に放散するようになっている。
【0021】
回路構成体10は、図2に示すように、絶縁基材にパターン(回路)を敷設してなる長方形状の基板11(回路基板)と、金属板材を所定パターンに打ち抜かれてなるバスバー13とを重ね合わせ、さらにその基板11側の表面にスイッチング素子12(例えば機械式リレースイッチ、半導体スイッチング素子など)を実装して構成される。
【0022】
なお、本実施形態では、基板11は、主にスイッチング素子12の駆動等を制御する制御回路を形成しており、バスバー13は電源電流を供給する電力回路を形成している。
【0023】
ここで、基板11とバスバー13とは、絶縁性を有する薄い接着シート19を介して一体化(接着)されている(図3の部分拡大図参照)。これらの基板11とバスバー13とは、基板11にスイッチング素子12を実装する前の工程で接合されている。この接合時には基板上にスイッチング素子12は実装されていないので、基板11の表面のほぼ全域に亘って均一にプレス機等で押圧することにより、接着シート19を基板11の裏面とバスバー13の表面に対して強固に接着させることができ、このような全面押圧によって基板11とバスバー13とが間に隙間が生じることなく強固に結合されている。
【0024】
また、バスバー13の図7の左側に延びる延出部分は、ロアケース20の後部の起立壁22に沿うように上方に垂直に曲げられるとともに、この起立壁22の先端(上端)にて再び外方(図7の左方)に垂直に曲げられ、全体としてクランク状に屈曲されている。クランク状に屈曲された延出部分の先端部は、ハウジング29の後端に接続される6つのコネクタハウジング28A(図1参照)からなるコネクタブロック28のうち右側の1つ及び左側の2つのコネクタハウジング28A内に収容されてコネクタ端子部13Aを形成している。
【0025】
また、回路構成体10には、コネクタブロック28のうち右から2〜4番目のコネクタハウジング28A内に一端側が突出する制御用端子14が設けられている。この制御用端子14は、図8に示すように、L字状をなし、ハウジング29内の後端部に設けられる端子支持台17に幅方向に所定の間隔で圧入されている。そして、制御用端子14の他端側が回路構成体10に設けられたスルーホール10Cに貫通されて半田付けされることで制御回路と導通接続されるとともに、その先端はロアケース20の上面21B(表面)に設けられる窪み部21A内に収容される。なお、端子支持台17は基板11及びバスバー13を挟んでビス18止めされることにより基板11上に固定されている。
【0026】
また、ハウジング29のうち、コネクタブロック28側とは反対側の端部の略中央部には、図5に示すように、電源供給側の端子(図示しない)と接続される電源側端子部15が上方に突出して形成されており、ここからハウジング29内の回路構成体10に電源側からの電流が供給され、この電流が分配されてバスバー13のコネクタ端子部13Aや制御用端子14に流れるようになっている。
【0027】
ロアケース20は、合成樹脂からなり、図2,3に示すように、基板11の外形に沿った平板で長方形状の底板21と、この底板21の周縁部からほぼ全周に亘って上方にやや突出した起立壁22とが一体に設けられている。また、底板21の起立壁22のうち、左右両側の起立壁22は、係合爪部23が前後一対上方に突出して設けられている。この係合爪部23には、そのほぼ中間の高さで外面が段差状に拡径した後、先端に向かうにしたがって先窄みとなるテーパ面23Aが形成されている。そして、アッパーケース30とロアケース20とを嵌合させる際には、このテーパ面23Aに後述するアッパーケース30のテーパ面33Aが摺接して係合爪部23が内方へ撓むとともに、両ケース20,30が所定の嵌合位置に達すると、係合爪部23が復元変形してアッパーケース30の係合部33と係合し、両ケース20,30の嵌合状態が保持されるようになっている。
【0028】
アッパーケース30は、図1,3に示すように、基板11の外形に沿った平板で長方形状の天板31と、この天板31の周縁部からほぼ全周に亘って下方(ロアケース20側)に突出した壁部32とが一体に設けられている。この壁部32の高さは、両ケース20,30の嵌合時に壁部32の先端(下端)がロアケース20の底板21に達する高さとされるとともに、壁部32のうち両側壁には、その内面側の先端部(下端部)が内方に向けて段差状に拡径した後、先端に向かうにしたがって先窄みとなるテーパ面33Aの形成された係合部33とされている。
【0029】
天板31には、図1に示すように、ヒューズ差込み口34が電源側端子部15の両側に複数並んで設けられており、ここにヒューズ35が装着されることにより、電源からの電流はこのヒューズ35を介して各部に分配され、各部に過電流が供給されないようになっている。
【0030】
さて、本実施形態では、アッパーケース30には、図2,3に示すように、回路構成体10を押圧する押さえ部36が形成されている。
この押さえ部36は、アッパーケース30の天板31の下面のうち各角部及び基板11の長手方向の略中央部における前端部において下方に突出して形成されており、壁部32とほぼ同じ長さ(高さ)で後述する貫通孔24よりもやや太い円柱(棒)状とされている。
そして、この押さえ部36が基板11の表面を押圧することにより、回路構成体10とロアケース20との間の隙間(空気層)をなくすことができ、回路構成体10から発せられた熱の放熱性を向上させるようになっている。
【0031】
また、押さえ部36の先端には、押さえ部36から段差状に縮径された段差面36Aが形成され、この先には回路構成体10とロアケース20とを重ねた厚みよりもやや長く、貫通孔24よりもやや細い小径軸部37が突出して形成されている。この小径軸部37の材質はアッパーケース30の他の部分と同様であり、熱により溶融状態とされる合成樹脂、例えば、変性PPE樹脂が用いられている。
【0032】
一方、回路構成体10及びロアケース20の底板21には、図3に示すように、同軸状に上下方向(基板11の板面と直角な方向)に貫通する円形の貫通孔24が、長方形状の基板11の各角部及び基板11の長手方向の略中央部における前端部側であって、アッパーケース30の押さえ部36と対応する位置に形成されている。なお、貫通孔24の形成位置にバスバー13が存在している場合には、バスバー13にも貫通孔24が貫通して形成されるが、貫通孔24の形成位置にバスバー13が存在していない場合には、バスバー13には貫通孔が形成されない。
【0033】
また、貫通孔24の奥端部(ロアケース20の下端部)には段差状に拡径された拡径孔部24Aが形成されており、この拡径孔部24Aに、押さえ部36の小径軸部37の溶融した部分が埋まることにより、この拡径孔部24Aに相当する大きさの抜け止め径大部37Aがロアケース20の下面(裏面)と面一となるように形成され(図11(B)参照)、バスバー13(回路構成体10)とロアケース20との間の離間が規制されるようになっている。
【0034】
次に、本実施形態の作用・効果について説明する。
まず、図3に示すように、ロアケース20上における起立壁22の内側に回路構成体10を載置し、押さえ部36の小径軸部37を回路構成体10及びロアケース20の貫通孔24に挿入しながら、アッパーケース30をロアケース20の上方から嵌め合わせる。そして、そのままアッパーケース30を下方に移動させると、押さえ部36の段差面36Aが基板11(回路構成体10)の表面に当接して押圧し、バスバー13の下面13Bがロアケース20の底板21の上面21Bに隙間(空気層)なく密着する。このとき、小径軸部37の先端は、ロアケース20の下面から突出している(図11(A))。
【0035】
ここで、小径軸部37の先端部を熱により溶融させて拡開変形させる。すると、図11(B)に示すように、小径軸部37の先端が拡径孔部24Aに固着(熱溶着)され、回路構成体10(バスバー13)とロアケース20とが密着された状態が保持される。これにより、接着剤を用いなくても、バスバー13(回路構成体10)とロアケース20とを隙間(空気層)なく密着(回路構成体10とロアケース20との離間を規制)させることができる。
【0036】
この後、コネクタハウジング28Aを組み付けるとともに、ヒューズ差込み口34にヒューズ35を差し込むことで電気接続箱の組み付けが完了する。
この電気接続箱を、例えば、車両の電源供給路に縦置き(コネクタ端子部13A側を下方とする方向)で配置し、電源側端子部15を車両の電源(オルタネータ、バッテリー等)と導通させるとともに、コネクタ端子部13Aと制御用端子14とを車両の各装置につながれた相手側コネクタの端子(図示しない)と導通させることにより、車両の電源電流が車両内の各装置に分配される。
【0037】
このように、本実施形態によれば、押さえ部36が回路構成体10を押圧しているので、回路構成体10とロアケース20との間に隙間(空気層)が生じることがなく、放熱性を向上させることができる。仮に周囲の温度変化等により回路構成体10に反りが生じることがあっても、押さえ部36が変形を抑制するので回路構成体10とロアケース20との間に隙間(空気層)が生じにくく、放熱性を向上させることができる。
【0038】
また、押さえ部36が回路構成体10をロアケース20に密着させることで、ロアケース20に十分に熱を伝達可能となり、合成樹脂からなるロアケース20から外部に放熱されるので、他の部材(金属等)による放熱手段を設けなくても、放熱性が確保される。
【0039】
さらに、押さえ部36は、より隙間の生じやすい基板11の長手方向の略中央部を押圧するから、回路構成体10とロアケース20との間に隙間が生じにくく、放熱性を向上させることができる。
【0040】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図12によって説明する。
上記実施形態では、バスバー13の下面13Bとロアケース20の底板21の上面21Bとを隙間(空気層)なく密着させるために、小径軸部37の先端を溶融させる構成とした。
実施形態2では、小径軸部37を螺子41止めすることによりバスバー13の下面13Bとロアケース20の上面21Bとを隙間(空気層)なく密着させるものである。なお、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
具体的には、図12(A)に示すように、小径軸部37の長さが回路構成体10とロアケース20とを隙間なく重ねた厚みとほぼ同じとされるとともに、この小径軸部37の先端面には、螺子孔42が設けられている。また、回路構成体10及びロアケース20には、共に一様な径で連続して上下に貫通する貫通孔44が設けられている。
そして、貫通孔44よりも大きい合成樹脂製(弾性材製)の環状のワッシャー43を介して螺子孔42に螺子41を螺合させることにより、図12(B)に示すように、ワッシャー43が螺子41の頭部41Aと貫通孔44の下端の周縁44Aとの間に挟まれた状態で、回路構成体10とロアケース20とが固定される。
【0042】
このようにすれば、回路構成体10とロアケース20との離間を規制することができる。また、合成樹脂製(弾性材製)のワッシャー43を介して螺子41を螺合させるから、このワッシャー43により、押さえ部36の押圧で基板11に生じる応力を緩和することができ、基板11上の回路と素子との接合部分(半田付けした箇所)にクラック等が生じることを防止することができる。
【0043】
<実施形態3>
上記実施形態では、ロアケース20の全体が合成樹脂により成形されたものを用いたが、実施形態3では、ロアケース20の底板21を熱伝導率の高い金属製(例えば、アルミニウム合金)の放熱板(図示しない)とし、この放熱板から熱を放散させるようになっている。
このようにすれば、ロアケース20から十分に熱を放散させることができる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0045】
(1)上記実施形態では、ロアケース20の底板21に回路構成体10のバスバー13を接着剤を用いずに重ねる構成としたが、絶縁性の接着シートによりバスバー13の下面13Bとロアケース20の底板21の上面21Bとを接着する構成としてもよい。
【0046】
(2)上記実施形態では、アッパーケース30の下面のうち各角部及び基板11の長手方向の略中央部における前端部側に押さえ部36を設けたが、これらの場所に限られず、他の箇所に設けてもよい。また、押さえ部36の数は、上記した場所の5つとしたがこれ以下若しくはこれ以上であってもよい。
【0047】
(3)上記実施形態では、押さえ部36の先端の小径軸部37を回路構成体10の貫通孔24に貫通させた状態で小径軸部37の先端部を溶融させて固着し、回路構成体10とロアケース20とを密着状態とすることにより押さえ部36が基板11(回路構成体10)を押圧する構成としたが、小径軸部37及び貫通孔24を設けず、例えば、押さえ部36の扁平な先端面(下端面)の全体で基板11(回路構成体10)を押圧してロアケース20外への放熱性を高める構成としてもよい。
【0048】
(4)上記実施形態では、小径軸部37の材質は、変性PPE樹脂が用いられることとしたが、この限りではなく、他の材質であってもよい。この場合、好ましくは、小径軸部37の材質をロアケース20の材質よりも溶融温度の低い材質を用いることにより、熱溶着時におけるロアケース20の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態の電気接続箱の上面図
【図2】電気接続箱の平断面図
【図3】アッパーケースをロアケースに嵌合させる状態を示す断面図
【図4】両ケースが嵌合した状態を示す図2のAーA面の略断面図
【図5】電気接続箱の前面図
【図6】後面図
【図7】BーB面の断面図
【図8】CーC面の断面図
【図9】DーD面の断面図
【図10】側面図
【図11】(A)アッパーケースをロアケースに嵌合させたときの押さえ部と回路構成体の拡大断面図 (B)小径軸部を熱溶着させた状態を示す拡大断面図
【図12】(A)本発明の第2実施形態の電気接続箱が螺子止めされる前の拡大断面図 (B)小径軸部が螺子止めされた状態を示す拡大断面図
【符号の説明】
【0050】
10…回路構成体
11…基板
12…スイッチング素子
13…バスバー
20…ロアケース
21…底板
24…貫通孔
24A…拡径孔部
29…ハウジング
30…アッパーケース
36…押さえ部
37…小径軸部
37A…抜け止め径大部
41…螺子
42…螺子穴
43…ワッシャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に素子が実装されてなる回路構成体がアッパーケースとロアケースとを組み合わせたハウジング内に収容されてなり、前記回路構成体からの熱を前記ロアケースを介して放散させるようにした電気接続箱であって、
前記アッパーケースには、前記ロアケースに向けて突出し、前記回路構成体を前記ロアケースとの接触部位に押圧する押さえ部を設けたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記ロアケースは、放熱板を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ロアケースは、合成樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記回路構成体は、長方形状の基板に素子が実装され、この基板の下面に重ねられるバスバーが前記基板と接着されることにより前記基板上の回路と前記バスバーとが導電路を形成するものであって、
前記押さえ部は、前記基板の長手方向の略中央部を押圧するように設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記押さえ部の先端は段差状に縮径された小径軸部が突出して形成される一方、前記回路構成体及び前記ロアケースには、前記小径軸部を貫通させる貫通孔が形成されており、前記ロアケースの下面側に突出した小径軸部の先端には、前記押さえ部により前記基板を押圧した状態で前記ロアケースの下面側において溶融して潰された抜け止め径大部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記押さえ部の先端は段差状に縮径され、先端面に螺子孔を有する小径軸部が突出して形成されると共に、前記回路構成体及び前記ロアケースには前記小径軸部を貫通させる貫通孔が形成され、さらに、前記押さえ部により前記基板が押圧された状態で前記ロアケースの下面側に突出した前記小径軸部の前記螺子孔に螺合された螺子と、この螺子の頭部と前記ロアケースの前記貫通孔の周縁との間に挟まれる弾性材製のワッシャーとを有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−74921(P2006−74921A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256175(P2004−256175)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】