説明

電気暖房装置、特に自動車用補助暖房装置および自動車用空調装置

【課題】電気暖房装置の経済的な製造と、空調ハウジングへの電気暖房装置の取付けを改良する。
【解決手段】電気暖房装置、特に自動車用補助暖房装置に関し、この暖房装置は、少なくとも1個のPTC加熱素子2およびそれに当接している放熱器要素3を備えている層状加熱ブロックを備えており、層状加熱ブロック3は、空気通過開口9が形成される対向する空気通過領域8を形成しているハウジング1内に保持されている。ハウジング1の外面よりも突き出して設けられる流れ抵抗要素10,30であって、ハウジング1とは独立したコンポーネントとして製造されてハウジングに結合される流れ抵抗要素10,30を提案する。流路を画成している空調ハウジングの壁と自動車用補助暖房装置との間、自動車用補助暖房装置の高さに、少なくとも1個の流れ抵抗要素10,30が設けられており、ハウジング1と空調ハウジングの壁との間の隙間間隔を埋めている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気暖房装置に関し、詳細には、ハウジングを備えた電気暖房装置をベースとする、自動車用補助ヒータとしての電気暖房装置であって、ハウジングが、対向する空気通過領域を形成しており、空気通過領域それぞれに少なくとも1つの空気通過開口が形成されている、電気暖房装置、に関する。ハウジングには加熱ブロックが組み込まれている。この加熱ブロックは、少なくとも1個のPTC加熱素子と、それに隣接している少なくとも1個の放熱器要素とを備えている。
【背景技術】
【0002】
一般的な電気暖房装置は、例えば、特許文献1から公知である。このような装置では、PTC加熱素子は、同じ高さの1個または好ましくは複数のPTC素子からなり、これらPTC素子の対向する面に薄板金属帯が隣接しており、いくつかの薄板金属帯は加熱ブロックを超えて側方に延びて電気接続要素を形成している。これらの電気接続要素は、通常ではハウジングの外面に露出している。放熱器要素としては、蛇行型の湾曲した薄板金属片が使用されることが多い。
【0003】
現在、このタイプの電気暖房装置は、通常では空調装置において使用されている。これらの空調装置は、熱交換器を囲んでいる空調ハウジングを有し、熱交換器は自動車の冷却水回路に接続することができる。空調ハウジングは、内燃エンジンが比較的冷たいときに空調ハウジングの中を流れる空気を加熱する自動車用補助ヒータも収容している。この点において、空調ハウジングは、自動車の追加の暖房装置のための挿入開口を自身の外面に有する。空調ハウジングには、この挿入開口に対向する境界壁が形成されており、通常、境界壁には、取付けピンを収容する取付け穴が形成されている。取付けピンは、自動車用補助暖房装置のハウジングの外面から突き出して設けられており、この外面は、自動車の暖房装置を取り付けるときに境界壁に隣接する。
【0004】
空調ハウジングは、特許文献2に記載されている。自動車用補助暖房装置の適切なハウジングは、非特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0350528号明細書
【特許文献2】独国特許発明第3331890号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】”Integrales Klimasystem fur Elektroautomobile” [Integral air conditioning system for electric cars], ATZ - Automobiltechnische Zeitschrift, 11/1992 by Burk, Krauss, Dr. Lohle
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電気暖房装置の経済的な製造と、空調ハウジングへの電気暖房装置の取付けを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この点において、本発明は、請求項1の特徴を有する電気暖房装置を提案する。この電気暖房装置は、従来技術と比較して、ハウジングの外面に流れ抵抗要素が設けられており、流れ抵抗要素はハウジングとは独立したコンポーネントであり、ハウジングに結合されている。流れ抵抗要素は、好ましくは空気通過領域の延長部分として位置しており、したがって、この流れ抵抗要素によって、空調ハウジング内の電気暖房装置の高さにおける流れの抵抗を生み出す表面が大きくなっている。本発明においては、空気流を電気暖房装置の高さにおいて電気暖房装置にガイドする流路が、電気暖房装置のハウジングのサイズよりも大きい。従来、加熱ブロックを収容して保持するハウジングは、特に自動車の製造時、空調ハウジングのサイズに合わせるが、本発明では、与えられた外形寸法のハウジングを備えた既存の電気暖房装置を、媒体(空気)を加熱するための有利な流れ条件を犠牲にする必要なしに、大きさの異なる流路内に取り付けることを可能にする。これを達成するため、流れ抵抗要素はハウジングから外側に突き出している。
【0009】
このようにして、電気暖房装置のハウジングの外形寸法と、取付け後の電気暖房装置の高さにおいて流路の内壁との間に残る隙間を、流れ抵抗要素が埋めている。
【0010】
本発明による電気暖房装置の流れ抵抗要素は、個別のコンポーネントとして製造され、電気暖房装置のハウジングに結合されている。結合は、止め金具、溶接、接着剤による結合、または類似する方法によって行うことができる。いずれの場合も、本発明は、解決策として、ハウジングと少なくとも1個の流れ抵抗要素をあらかじめ最初に組み立てて、次いでそれを挿入開口の中に挿入することを提案する。この点において、ハウジングおよび少なくとも1個の流れ抵抗要素を備えた標準のコンポーネントを、組み立て時に挿入開口に挿入することができる。これにより、電気暖房装置の高さにおける流路に、必要な流れ条件が形成される。
【0011】
これらの流れ条件は、流れ抵抗要素の特殊な具体化によって適合させることができる。流れる媒体と(1つまたは複数の)放熱器要素との間の最適な熱伝達に関する計算から得られる流れハウジング内の特定の流れ条件において、流れ抵抗要素を特定の構造とすることで、特定の流れ抵抗が形成される。流れ抵抗要素を最終的に具体化するときに、さまざまな変形形態に起因して変化する圧力差を考慮することもできる。この場合、流れ抵抗要素自体は、通気開口あるいは空気ガイド要素を有することができ、(これらは流路内の流れに対して所定の影響を及ぼす)、またはハウジングと空調装置の壁との間の隙間間隔を流れ抵抗要素が完全に埋める。
【0012】
本発明の好ましいさらなる発展形態によると、流れ抵抗要素は、枠状に形成されており、ハウジングを収容するための受入れ部を有する。流れ抵抗要素は、電気暖房装置のハウジングとは個別に形成される標準化されたコンポーネントであり、空気通過領域に垂直に延在するハウジングの3箇所の周縁領域それぞれにおいてハウジングを囲んでいる。この場合、受入れ部は、ハウジングが小さい遊びで保持されるように形成されていることが好ましい。
【0013】
受入れ部は、ハウジングのための摺動ガイドを形成していることが好ましい。すなわち、受入れ部は、空気通過領域内に突き出している保持ラグを外面に有し、この保持ラグは、空気通過領域に垂直な方向のハウジングの動きを制限する。したがって、ハウジングは、受入れ部の中でわずかな遊びでこの方向に保持される。この場合、摺動ガイドは、電気暖房装置を空調ハウジングの挿入開口に挿入する方向に対応する延長部を有することが好ましい。
【0014】
射出成形の過程における流れ抵抗要素の特に単純な製造を考慮して、本発明の好ましいさらなる発展形態によると、間にハウジングを収容する対向する保持ラグによってガイドを形成し、これらの保持ラグを互いにオフセットして設けることを提案する。保持ラグは、例えば、挿入方向に互いにオフセットして設けることができる。保持ラグをオフセットして配置することによって、特に、流れ抵抗要素の平面視において、一方の空気通過領域の片側に位置している保持ラグが、ハウジングの他方の空気通過領域に位置する保持ラグと重ならない。この実施形態では、流れ抵抗要素の射出成形時に工具の可動部(例えば可動コア)を不要とすることができる。保持ラグを形成するとき、金型の入れ子を、射出成形工具の仕切り面から突き出すように交互に形成することができる。射出成形された流れ抵抗要素は、金型の入れ子から一体的に取り出すことができる。
【0015】
本発明の好ましいさらなる発展形態によると、挿入方向において受入れ部は、挿入方向におけるハウジングの延長部と同程度に設けられている。したがって、流れ抵抗要素とハウジングとがほぼ同じ高さにある。これにより、挿入開口の反対側に位置している空調ハウジングの境界壁と、電気暖房装置のハウジングに随意に結合されており空調ハウジングの外面に取り付けられるフランジ(加熱ブロックの層に対して横方向に延在する)との間に、流れ抵抗要素を固定することが可能になる。電気暖房装置を、個別に製造される流れ抵抗要素とともにしっかりと確実に取り付けるためには、ハウジングを受入れ部の中に挿入するのみでよい。この事前に組み立てられるユニット(その各部品を挿入方向に摺動させることができる)は、空調ハウジングの中に挿入した後、境界壁とフランジとの間に永久的に固定される。これによって、特に単純な実施形態が達成される。
【0016】
流れ抵抗要素は、ハウジングの空気通過領域を完全または部分的に覆って、ハウジングにおける流れ抵抗を最適な伝熱条件に適合させることもできるが、ハウジングにおいて空気通過開口それぞれが流れ抵抗要素によって遮られないように流れ抵抗要素が形成されていることが好ましい。この場合、ハウジングの空気通過開口は、対応的にハウジングに形成され、すなわち空気通過開口は、互いに平行にハウジングに形成され、加熱する空気流をほぼ直角に受ける。
【0017】
流れ抵抗要素は、流れ抵抗リッジを備えていることが好ましい。流れ抵抗リッジは、空気通過領域に平行に延在している。流れ抵抗リッジは縦壁から突き出しており、この縦壁は、流れ抵抗要素の接触基部(contact base)を形成しており、空気通過領域に垂直に延在している。ハウジングは、この接触基部に隣接することができる。流れ抵抗リッジは、挿入方向における延長部として設けることができる。しかしながら、流れ抵抗リッジは、挿入方向に垂直に延在していることもできる。流れ抵抗リッジとして特に指定される実施形態は、壁状であって、厚さ方向において流れ抵抗要素のほぼ中央に、すなわちハウジングの2個の空気通過領域の間のほぼ中央に形成される流れ抵抗リッジである。このようにすることで、流れ抵抗要素の製造時、材料を節約し、重量を低減することができる。流れ抵抗要素を補強するためと、流路内の電気暖房装置を支持するため、(1個または複数の)流れ抵抗リッジが、本質的に空気通過領域に垂直に延在している支持リッジによって支持されていることが好ましい。これらの支持リッジは、通常、ハウジングのための接触基部を形成している流れ抵抗要素の縦壁から突き出している。支持リッジは、例えば三角形の基部領域を有することができ、縦壁と流れ抵抗リッジの自由端部との間の三角形領域(gusset)に三角形の支持リッジが延在する。
【0018】
本発明の好ましいさらなる発展形態によると、流れ抵抗リッジは、その長手方向に複数の連続するリッジ開口を有する。支持リッジは、隣り合うリッジ開口の間に結合されている。リッジ開口を使用することで、流れ抵抗および流れの挙動を流れ抵抗要素によって調整することができる。
【0019】
好ましいさらなる発展形態は、電気暖房装置に関する従属請求項に記載されている。
【0020】
本発明に提案する自動車用空調装置は、請求項14に記載されている。この空調装置は、従来技術と異なる点として、流路が、自動車用補助暖房装置の高さにおいて補助暖房装置のハウジングよりも大きく、流路と自動車用補助暖房装置との間、自動車用補助暖房装置の高さに、少なくとも1個の流れ抵抗要素が設けられており、この流れ抵抗要素は、ハウジングとは独立したコンポーネントとして製造され、ハウジングと空調ハウジングの壁との間の隙間間隔を埋めている。本発明による自動車用空調装置の好ましい実施形態は、請求項15に記載されている。
【0021】
以下では、本発明について図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自動車用補助暖房装置としての電気暖房装置の、わずかに斜めからの側面図である。
【図2】枠状の流れ抵抗要素を有する、図1に示した自動車用補助暖房システムの実施形態である。
【図3】図2に示した実施形態のわずかに斜めからの側面図であり、流れ抵抗要素のさらなる実施形態が側面に結合されている。
【図4】自動車用補助暖房装置が組み込まれていない状態の、図3に示した枠状の流れ抵抗要素の実施形態の側面斜視図である。
【図5】図4に示した実施形態の平面図である。
【図6】自動車用空調装置の実施形態の側面図である。
【図7】図6に示した実施形態の平面斜視図であり、壁部の一部を切り取ってある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示した自動車用補助暖房システムの実施形態は、2個の部品からなるハウジング1を備えており、2個の部品は、一体に固定されている本質的に同じ形状のハウジング半体である。このハウジング1は加熱ブロックを備えており、加熱ブロックは、複数のPTC加熱素子2と、それに隣接している複数の放熱器要素3とからなる。この加熱ブロックは、通常、ばねの張力が印加された状態でハウジング1の中に保持されている。ハウジング1は、本質的に枠状に形成されており、1つの結合面6から、個々のPTC加熱素子2の特定の薄板金属帯が突き出しており、これらの薄板金属帯は、外面において電気的接触突起片を形成している。電気的接触突起片はプラグハウジング4によって囲まれており、プラグハウジング4は、射出成形によってフランジ5と一体に形成されている。このフランジ5の面には、ハウジング1によって結合面6が形成されている。結合面6とは反対側に位置する面には、取付けピン7がハウジング1から突き出している。これらの取付けピン7は、空調ハウジング(図示していない)に形成されている取付け穴に挿入することができる。取付けピン7を対応する取付け穴に挿入すると、ハウジング1は空調ハウジングに対して固定される。取付けピン7は、射出成形によってハウジング1に形成することができ、または、2個のハウジング半体を止め金具で固定することによってプラスチックハウジング1に固定または結合することができる。
【0024】
図2は、枠状の流れ抵抗要素10の実施形態を示している。この枠状の流れ抵抗要素10は、2つの対向する枠開口11を形成しており、これらの開口11は、ハウジング1において、その対向する空気通過領域8における空気通過開口9を遮らない。枠状の流れ抵抗要素10には、対向する2枚の縦壁12と、これら2枚の縦壁12の間に延びている端壁13とが形成されている。縦壁12および端壁13のサイズは、ハウジング1の厚さにほぼ一致している。縦壁12の間の距離は、ハウジング1の幅にほぼ一致している。縦壁12は、その内面から保持ラグ14が突き出しており、これらの保持ラグ14は、ハウジング1の空気通過領域8に割り当てられており、摺動受入れ部15の中のハウジング1の横方向の動きを制限する。対向する保持ラグ14の間隔は、ハウジング1の幅にほぼ一致している。
【0025】
図示した実施形態においては、流れ抵抗要素10とフランジ5との間の結合部を示していない。しかしながら、フランジ5と、ハウジング1と、流れ抵抗要素10とからなる1つの構造ユニットが形成されるように、流れ抵抗要素10とフランジ5とをラッチ式に固定することが考えられる。
【0026】
流れ抵抗要素10には、端壁13に隣接して格子タイプの支持構造が形成されている。結合面6の反対側に位置している流れ抵抗要素10の取付け面16は、そこから突き出しているピン要素17を有し、このピン要素17は、例えば、流れ抵抗要素10の製造時に射出成形によって形成される。端壁13は、ピン要素7の位置に対応する凹部18を有し、これらの凹部18は、ハウジング1の取付けピン7がちょうど収まるように形成されている。
【0027】
縦壁12は、摺動受入れ部15に対向して、その外面から突き出している流れ抵抗リッジ19を有し、この流れ抵抗リッジ19は、流れ抵抗要素10の厚み方向においてほぼ中央に、流れ抵抗要素10に形成されている。流れ抵抗リッジ19は、その長手方向に連続的に設けられているリッジ開口20を有する。隣り合うリッジ開口20の間に支持リッジ21が形成されており、支持リッジ21は、流れ抵抗リッジ19と縦壁12の外面との間に三角形領域として延在しており、流れ抵抗リッジ19を強固にしている。図2における上側の流れ抵抗リッジ19は、1列のリッジ開口20を有する。上側の流れ抵抗リッジ19に平行して延在している下側の流れ抵抗リッジ19は、2列のリッジ開口20を有する。
【0028】
図3は、流れ抵抗要素のさらなる実施形態を示しており、端壁抵抗要素30として形成されている。端壁流れ抵抗要素30は、完全な(full)要素として形成されており、すなわち、通気開口を備えていない。端壁流れ抵抗要素30は、ピン要素17の外径に嵌るように形成されている受入れ穴(図示していない)を有し、したがって、端壁流れ抵抗要素30は、これらのピン要素17の上に差し込まれて固定されている。端壁流れ抵抗要素30の断面は、枠状の流れ抵抗要素10の取付け面16の断面形状に対応している。端壁流れ抵抗要素30は、その取付け面31から突き出している2本のピン要素32を有する。これらのピン要素32は、自動車用空調装置の空調ハウジングに(すなわち自動車用補助暖房装置の挿入開口の高さに)形成されている取付け穴に嵌まる。
【0029】
特に図4および図5から明らかであるように、保持ラグ14は互いにオフセットして設けられている。ハウジング1の平面視において、保持ラグ14(対向する枠開口11内に設けられており、ハウジング1の境界に位置する)は、重なっていない(図5を参照)。図1に示した補助暖房システムを摺動受入れ部15に挿入するステップは、摺動開口を通じて行われ、この摺動開口は、枠状の流れ抵抗要素10の対向する2本の縦壁12の間に延在している結合リッジ34によって形成されている。この場合、結合リッジ34の側端部は、フランジの止め部を形成している。
【0030】
ハウジング1を流れ抵抗要素の中に挿入するためのガイドは、摺動受入れ部15によって形成されている。このガイドの深さ、すなわち、フランジ5に隣接している流れ抵抗要素10の自由端部と端壁13との間の距離は、長手方向(すなわち挿入方向に)におけるハウジング1のサイズにほぼ一致している。
【0031】
図1〜図5に示した流れ抵抗要素10,30の実施形態は、図1に示した補助暖房装置を、空調ハウジング内のさまざまな大きさの流れ断面の中に挿入できことを示しており、この場合、加熱する空気流の多くの部分が補助暖房装置のハウジング1を通過することもない。図2および図3の実施形態は、補助暖房装置の挿入方向と補助暖房装置の横方向とにおいて補助暖房装置のハウジング1よりも大きい空調ハウジングの中に挿入することができる。端壁流れ抵抗要素30は、補助暖房装置の挿入方向において、より大きな空調ハウジングとの間に延在している。
【0032】
図6および図7は、空調ハウジング42を有する自動車用空調装置(参照数字40)の実施形態を示している。空調ハウジング42は、空調空間46への空気取り入れ口44を形成している。空調空間46は、通常、熱交換器を収容しており、熱交換器は、加熱された冷却液をエンジン冷却システムにガイドし、冷却液に含まれている熱を熱交換器を流れる空気に放出する。さらに、空調空間46には、通常、空気を冷却するための蒸発器が設けられている。空調空間46は、1個または複数の空気フラップによって同じ大きさに分割されており、空気フラップは、空気を加熱または冷却できるように空調空間内の空気流を分けて空調空間46の異なるセクションに選択的にガイドする。空調空間46の後ろにはベンチレーションフラップが配置されており、ベンチレーションフラップは、車両の乗員の選択に応じて、温度調節された空気を車内の特定のセクションにガイドすることができ、例えば、除霜のためフロントガラスに吹き付けたり、足下から、あるいは計器パネルの中央から吹き出すことができる。そのために空調ハウジング42に設けられている通気口は、参照数字48によって示してある。
【0033】
図7において、空調空間46の中に収容されている単一機能部分は、前述した電気暖房装置であり、この図では参照数字50によって示してある。図6においては、この自動車用補助暖房システム50に関連して、フランジ5と、フランジ5から外側に突き出しているコネクタソケット52および電気プラグ要素54が見えている。電気プラグ要素54は、通常、ハウジング1の外面を貫いて外側に出ているPTC加熱素子2の薄板金属帯によって形成されている。
【0034】
特に図7において明らかであるように、空調ハウジング42は、その外面に複数の取付けスリーブ56を有し、取付けスリーブ56は、空調ハウジング42の外壁に支持リブ58によって結合されている。空調空間46の内側には(図7に示した図では空調空間の壁の一部を省いてある)、自動車用補助暖房システム50のみを示してある。この場合、前述した図1〜図5と同じコンポーネントは、同じ参照数字によって示してある。図7は、空調空間46の中に配置されている、図2に示した自動車用補助暖房システム50の実施形態を示している。空調ハウジング42には取付け枠60が形成されており、その内面は、自動車用補助暖房システム50のための収容空間62を囲んでいる。収容空間62は、図1に示した自動車用補助暖房システム50の実施形態のハウジング1の周囲よりも大きく、空調ハウジング42の壁63は、自動車用補助暖房システム50の高さにおいて空気を加熱するための流路を画成している。したがって、図6および図7に示した自動車用空調装置40の実施形態においては、自動車用補助暖房システム50は、図2に示した枠状の流れ抵抗要素10とともに空調ハウジング42の中に取り付けられている。自動車用補助暖房システム50の外側輪郭は、システム50が本質的にこの形状において収容空間42の縁部まで延在しているように設計されている。
【0035】
通常、熱交換器は、温度調節する空気の流れ方向において自動車用補助暖房システム50の上流に位置している。これに関連して、図7には、空調ハウジング42によって形成されている接触基部(参照数字64)を示してある。
【符号の説明】
【0036】
1 ハウジング
2 PTC加熱素子
3 放熱器要素
4 プラグハウジング
5 フランジ
6 ハウジング1の結合面
7 ハウジング1の取付けピン
8 空気通過領域
9 空気通過開口
10 枠状の流れ抵抗要素
11 枠開口
12 縦壁
13 端壁
14 保持ラグ
15 摺動受入れ部
16 枠状の流れ抵抗要素の取付け面
17 枠状の流れ抵抗要素のピン要素
18 凹部
19 流れ抵抗リッジ
20 リッジ開口
21 支持リッジ
30 端壁流れ抵抗要素
31 端壁流れ抵抗要素の取付け面
32 端壁流れ抵抗要素のピン要素
34 結合リッジ
40 自動車用空調装置
42 空調ハウジング
44 空気取り入れ口
46 空調空間
48 空気通過開口
50 自動車用補助暖房システム
52 コネクタソケット
54 電気プラグ要素
56 取付けスリーブ
58 支持リブ
60 取付け枠
62 収容空間
63 壁
64 熱交換器の接触基部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気暖房装置、特に自動車用補助暖房装置であって、前記自動車用補助暖房装置のための挿入開口が設けられた流路内に組み立てるようにされており、前記自動車用補助暖房装置が、少なくとも1個のPTC加熱素子(2)と、前記少なくとも1個のPTC加熱素子(2)に当接している放熱器要素(3)とを有する層状加熱ブロック、を備えており、前記加熱ブロックが、空気通過開口(9)が形成される対向する空気通過領域(8)を形成しているハウジング(1)内に保持されており、
枠状の流れ抵抗要素(10)であって、前記ハウジング(1)のための摺動ガイド(15)として形成されている、前記ハウジング(1)のための受入れ部を提供する前記流れ抵抗要素(10)を更に備え、
前記ハウジング(1)が、前記流れ抵抗要素(10)とは独立したコンポーネントとして、前記流れ抵抗要素(10)に収容されており、
前記流れ抵抗要素(10)が、前記自動車用補助暖房装置の高さにおける前記ハウジング(1)と前記流路の壁との間の隙間間隔を前記流れ抵抗要素(10)によって埋めることができるように、形成されている、
電気暖房装置。
【請求項2】
前記自動車用補助暖房装置を前記挿入開口を通じて挿入することができる、
請求項1に記載の電気暖房装置。
【請求項3】
前記流れ抵抗要素(10)がプラスチックからなる、
請求項1または2に記載の電気暖房装置。
【請求項4】
前記摺動ガイド(15)が、対向する保持ラグ(14)を有し、前記保持ラグ(14)が、自身の間に前記ハウジング(1)を収容し、互いにオフセットして設けられている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気暖房装置。
【請求項5】
前記流れ抵抗要素(10)が、前記ハウジング(1)に設けられている1個または複数の前記空気通過開口(9)を遮らないことを特徴とする、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気暖房装置。
【請求項6】
前記流れ抵抗要素(10)が、前記流れ抵抗要素(10)の接触基部の外側に、前記空気通過領域(8)に本質的に平行に延在している流れ抵抗リッジ(19)、を備えており、前記接触基部が、前記空気通過領域(8)に垂直に延在している前記ハウジング(1)の外側領域に当接することができる、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気暖房装置。
【請求項7】
前記流れ抵抗リッジ(19)が、前記空気通過領域(8)に本質的に垂直に延在している支持リッジ(21)によって支持されている、
請求項6に記載の電気暖房装置。
【請求項8】
前記流れ抵抗リッジ(19)に、前記流れ抵抗リッジ(19)の長手方向に連続的に形成されている複数のリッジ開口(20)が貫通している、
請求項6または7に記載の電気暖房装置。
【請求項9】
前記ハウジング(1)が、
前記加熱ブロックの前記層(2,3)に対して横方向に延在しており、前記流れ抵抗要素(10)に当接しているフランジ(5)、
を有する、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気暖房装置。
【請求項10】
前記ハウジング(1)に、結合面(6)と、前記結合面(6)の反対側に位置する取付け面とが形成されており、前記結合面(6)に、前記加熱ブロック(2,3)の電気接続要素が露出しており、前記取付け面に、前記ハウジング(1)上に配置されている取付けピン(7)が露出しており、
前記流れ抵抗要素(10)が、前記取付けピン(7)を収容するための凹部(18)を有し、前記ハウジング(1)の前記取付け面の側の、前記流れ抵抗要素(10)の外面において、ピン要素(17)が突き出しており、前記ピン要素(17)を車両の空調ハウジングにおける取付け穴に挿入することができる、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気暖房装置。
【請求項11】
前記枠状の流れ抵抗要素(10)の前記取付け面に形成されており、前記枠状の流れ抵抗要素(10)と同じ幅を有する第2の流れ抵抗要素(30)であって、前記枠状の流れ抵抗要素(10)の前記外面に設けられている前記ピン要素(17)のための受入れ穴を有し、前記第2の流れ抵抗要素(30)から突き出しているさらなるピン要素(32)を有し、前記さらなるピン要素(32)を、車両の空調ハウジングに形成されている取付け穴に挿入することができる、前記第2の流れ抵抗要素(30)、
を備えている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気暖房装置。
【請求項12】
前記枠状の流れ抵抗要素(10)が一体に形成されている、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気暖房装置。
【請求項13】
空調ハウジングを有する自動車用空調装置であって、前記空調ハウジングが、層状加熱ブロックを有する自動車用補助暖房装置のための挿入開口の反対側に位置する境界壁を有する流路を画成しており、前記層状加熱ブロックが、少なくとも1個のPTC加熱素子(2)と、前記少なくとも1個のPTC加熱素子(2)に当接している放熱器要素(3)とを備えており、前記層状加熱ブロックが、空気通過開口(9)が形成される対向する空気通過領域(8)を有するように形成されているハウジング(1)内に保持されており、
前記流路が、前記自動車用補助暖房装置の高さにおいて前記ハウジング(1)よりも大きく、
前記ハウジング(1)と前記空調ハウジングの前記壁との間、前記自動車用補助暖房装置の高さに配置されている枠状の流れ抵抗要素(10)であって、前記ハウジング(1)とは独立したコンポーネントとして製造されている、前記枠状の流れ抵抗要素(10)、
をさらに備えている、
自動車用空調装置。
【請求項14】
請求項2〜11のいずれか1項による少なくとも1個の流れ抵抗要素(10)を備えている、
請求項13に記載の自動車用空調装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−25385(P2012−25385A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−156654(P2011−156654)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(501324823)エーベルスパッヒャー・カテム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディットゲゼルシャフト (23)
【Fターム(参考)】