説明

電気検層用貫入ロッド

【課題】電気検層用貫入ロッドの省配線化及び検出精度の向上を実現する。
【解決手段】外周面に複数の電極11,12,13,14を設けて成るロッド本体10と、このロッド本体10の電極11,12,13,14から延びる信号線11a,12a,13a,14aが集中配線される中継基板50とを備える電気検層用貫入ロッド1による。このように、信号線11a,12a,13a,14aを中継基板50に集中配線することで、省配線化を実現することができる。加えて、電極11,12,13,14と電子基板50とを繋ぐ信号線11a,12a,13a,14aの長さが一定となるので、配線抵抗が安定し、検出精度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
地中の比抵抗を測定するための電気検層用貫入ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地中の比抵抗を測定する試験として電気検層が知られている。そこで、この電気検層に用いる試験器具としては、特許文献1,2に示す電気検層用貫入ロッドが考案されている。この電気検層用貫入ロッドは、周面に複数の電極を備えており、ボーリング孔内に挿入して使用する。そして、この電極から延びる信号線を外部の比抵抗測定装置に接続し、この比抵抗測定装置が前記電極による検出値(電流値、電圧値)に基づいて地中の比抵抗を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−51502号公報
【特許文献2】特開2010−25771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電気検層用貫入ロッドでは、ケーブルの本数は、電極の数に応じて必要であり、かつ当該ケーブルの長さは、電極から外部の比抵抗測定装置まで必要であるから、配線コストに課題があった。また、貫入深度に応じてケーブル長さが異なるため配線抵抗に誤差が生じ、検出精度にも課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電気検層用貫入ロッドは、上記課題に鑑みて創成されたものであり、外周面に複数の電極を設けて成るロッド本体と、前記ロッド本体の電極から延びる信号線を集中配する中継基板とを備える。
【0006】
前記中継基板が、前記ロッド本体内部に配置されている。
【0007】
前記ロッド本体の中継基板に接続した同軸コネクタに、両端に同軸コネクタを備えて成る中空の延長用ロッドをコネクタ接続する構成である。
【0008】
前記ロッド本体あるいは延長用ロッドの同軸コネクタにロータリ電気コネクタを接続する構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気検層用貫入ロッドによれば、電極から延びる信号線を中継基板に集中配線することで、省配線化を実現することができる。また、電極と電子基板とを繋ぐ信号線の長さが一定となるので配線抵抗が安定し、検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電気検層用貫入ロッドの構成図である。
【図2】電気検層装置ロッドの要部拡大断面図である。
【図3】電気検層用貫入ロッドの延長用ロッドの構成図である。
【図4】電気検層用貫入ロッドの中継基板のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、1は電気検層用貫入ロッドである。この電気検層用貫入ロッド1は、中空のロッド本体10と、必要に応じてこのロッド本体10に順次継ぎ足して連結される中空の延長用ロッド30とから構成されている。また、このロッド本体10の先端にはスクリューポイント2が接続してあり、地中に回転貫入できるように構成されている。
【0012】
前記ロッド本体10には、図2に示すように、外周面にリング状の電極11,12,13,14が所定の間隔を空けて設けてある。そして、このロッド本体10は、最上部の電極11に電流を印加して最下部の電極14に流れる電流を検出し、残りの電極12,13の電位差を検出することにより、地中の比抵抗を測定するように構成されている。
【0013】
前記電極11,12,13,14から延びる各信号線11a,12a,13a,14aは、中空のロッド本体10内を通され、当該ロッド本体10の内部に設置された中継基板50に集中配線されている。これにより、電極11,12,13,14による検出信号が中継基板11へ送信される。
【0014】
また、前記中継基板50には、ロッド本体10内に挿入された同軸ケーブル16が接続されており、外部の記憶装置90と中継基板50との間で通信及び電力供給するように構成されている。
【0015】
前記中継基板50には、図3に示すように、分離回路51、定電圧電源回路52、マイクロプロセッサ53(MPU)、電流駆動回路54、電流検出回路55、差動増幅回路56、電圧検出回路57が集積されている。
【0016】
前記分離回路51は、電源(図示せず)を内蔵する外部の記憶装置90から同軸ケーブル16を通じて送信される電力と電気信号とを分離するものであり、電力を定電圧電源回路52へ入力する一方、指令信号をマイクロプロセッサ53(MPU)へ送信するように構成されている。
【0017】
前記電流駆動回路54は、前記定電圧駆動回路52からの出力に応じて電極11へ電流供給するように構成されている。そして、電流検出回路55が、電極11から地中抵抗を介して電極14へ流れた電流を検出する。
【0018】
前記差動増幅回路56は、電極12,13の入力信号の差分を一定係数で増幅するように構成されている。そして、この差動増幅回路56による増幅信号に基づいて、電圧検出回路57が電極12,13の電位差を検出する。
【0019】
前記マイクロプロセッサ53(MPU)は、A/D変換器(図示せず)を内蔵しており、電流検出回路55及び電圧検出回路57から出力されるアナログ信号をディジタル信号に変換し、これら電圧、電流検出信号に基づいて地中の比抵抗を演算するように構成されている。この比抵抗値は、前記分離回路51を介して記憶装置90へ送信される。
【0020】
また、本発明の電気検層用貫入ロッド1は、必要に応じて前記ロッド本体10に延長用ロッド30を継ぎ足すように構成されている。この延長用ロッド30は、図4に示すように、中空を成しており、同軸ケーブル31が挿入されている。この同軸ケーブル31は、両端に雄型の同軸コネクタ32及び雌型の同軸コネクタ33を備えている。一方、前記ロッド本体10内の同軸ケーブル16は、一端に雄型の同軸コネクタ15を備えている。これら同軸コネクタ15と同軸コネクタ33を接続することで、ロッド本体10と延長用ロッド30とが導通して電力供給及び通信するように構成されている。
【0021】
一方、延長用ロッドの同軸コネクタ32には、ロータリ電気コネクタ70が接続されている。このロータリ電気コネクタ70は、回転側と固定側との間で電気信号の送受信を行う電気部品である。このロータリ電気コネクタ70と記憶装置90とは、同軸ケーブル71で接続されており、電力供給と電気信号の送受信が可能である。この構成により、電子基板50で演算された地中の比抵抗は、ロッド本体10内の同軸ケーブル16、延長用ロッド30内の同軸ケーブル33、同軸ケーブル71を通じて記憶装置90へ送信される。なお、ロッド本体10に延長用ロッド30を継ぎ足さない場合には、ロッド本体10の同軸コネクタ15にロータリ電気コネクタ70が接続される。
【0022】
また、前記延長用ロッド30には、両端に雌ねじ部34、雄ねじ部35が形成されている。一方、ロッド本体10の端部には雄ねじ部17が形成されている。そして、ロッド本体10と延長用ロッド30とは、ロッド本体10の雄ねじ部17と延長用ロッド30の雌ねじ部34とを螺合して接続するように構成されている。さらに、延長用ロッド30を順次継ぎ足す場合には、延長用ロッド30の雄ねじ部35に、次の延長用ロッド30の雌ねじ部34を螺合して接続する。
【0023】
なお、本発明の電気検層用貫入ロッド1は、スェーデン式サウンディング試験(JIS A1221)に利用できるよう、ロッド本体10及び延長用ロッド30の寸法がJIS A1221に準ずる設定となっている。また、前記延長用ロッド30の外管31外周には長手方向に延びる長溝36が形成されており、例えば特許4287704号公報に示すスェーデン式サウンディング試験用貫入試験機のロッドチャックに取付けることができる。
【0024】
本発明の電気検層用貫入ロッドは、中継基板50に電極11,12,13,14の信号線11a,12a,13a,14aを中継基板50に集中接続して記憶装置90とを通信するように構成されている。これにより、4本の信号線11a,12a,13a,14aを記憶装置90まで延ばして直接接続する必要がなくなるので、省配線化を実現することができる。また、電極11,12,13,14と電子基板50とを繋ぐ信号線11a,12a,13a,14aの長さは、如何なる貫入深度でも一定となるので、配線抵抗が安定し、検出精度が向上する。
【0025】
また、中空のロッド本体10の内部に中継基板50を配置し、当該ロッド本体10内に信号線11a,12a,13a,14aを通すことにより、当該信号線11a,12a,13a,14aが外部に剥き出しにならず、土との摩擦による損傷を防止することができる。
【0026】
さらに、前記ロッド本体10と延長用ロッド30とを同軸コネクタ15,33で接続するように構成されているので、分解して簡単に持ち運ぶことができ、かつ延長のための接続作業も容易になる。
【0027】
その上、ロッド本体10あるいは延長ロッド30の同軸コネクタ15,32には、ロータリ電気コネクタ70が接続されているので、信号線11a,12a,13a,14a及びケーブル16,35,71が捻れることなく、電気検層用ロッド1を回転貫入することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 電気検層用貫入ロッド
2 スクリューポイント

10 ロッド本体
11,12,13,14 電極
11a,12a,13a,14a 信号線
15 同軸コネクタ
16 同軸ケーブル
17 雄ねじ部

30 延長用ロッド
31 同軸ケーブル
32,33 同軸コネクタ
34 雌ねじ部
35 雄ねじ部
36 長溝

50 中継基板
51 分離回路
52 定電圧電源回路
53 マイクロプロセッサ(MPU)
54 電流駆動回路
55 差動増幅回路
56 電圧検出回路
57 電流検出回路

70 ロータリ電気コネクタ
71 同軸ケーブル

90 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数の電極を設けて成るロッド本体と、
前記ロッド本体の電極から延びる信号線を集中配線する中継基板と、
を備えることを特徴とする電気検層用貫入ロッド。
【請求項2】
前記中継基板が、前記ロッド本体内部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気検層用貫入ロッド。
【請求項3】
前記ロッド本体の中継基板に接続した同軸コネクタに、両端に同軸コネクタを備えて成る中空の延長用ロッドをコネクタ接続する構成であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気検層用貫入ロッド。
【請求項4】
前記ロッド本体あるいは延長用ロッドの同軸コネクタにロータリ電気コネクタを接続する構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電気検層用貫入ロッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−76590(P2013−76590A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215765(P2011−215765)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】