説明

電気機器及びこれを備えた画像形成装置

【課題】 電力を供給する負荷の切替により、負荷の駆動が不安定になることを安価、簡易に防ぎ、安定した負荷の駆動を保ち、機器の正常な動作を保証する。
【解決手段】 複数の負荷と、負荷に電力を供給する電源部と、負荷と電源部との接続、遮断を切り替え、電力を供給する負荷を切り替える第1スイッチと、電力を蓄え、接続された負荷に対して電力を供給するキャパシターと、複数の負荷のうち、キャパシターと接続する負荷を切り替え、電源部と接続する負荷の第1スイッチによる切り替えに伴い、駆動が不安定となる負荷とキャパシターを接続する第2スイッチと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を供給する負荷の切り替えを行う電気機器や画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複合機、プリンターのような画像形成装置は、用紙搬送を行う装置、給紙を行う装置、原稿読取を行う装置、印刷を行う装置や、制御や画像処理を行う基板、回路等、様々な電気的な負荷が組み合わせて構成される。これらの負荷に対して電力が供給されることで、画像形成装置が機能する。そして、画像形成装置で瞬間的に大きな電力を扱えるようにする等の目的で、画像形成装置に各種負荷に電力を供給する補助電源(例えば、蓄電池や燃料電池)を搭載することがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、商用電源から供給される電力を複数の負荷に供給する主電源手段と、電力を複数の負荷に供給する複数の補助電源手段と、主電源手段又は複数の補助電源手段から複数の負荷への電力の供給を選択的に切り替える電源切替手段と、複数の負荷の動作モードに応じて電源切替手段を制御する制御手段と、を備える画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、画像形成装置は、上述のように、さまざまな装置、基板、回路、素子等、複数の負荷が組み合わせて構成される。そして、省電力や電源の能力等の観点から、複数の負荷のうち、電力を供給する負荷を順次切り替えて、複数の負荷のうち、一部の負荷を選択して電力を供給することがある。
【0006】
ここで、電力を供給する負荷の切替が、負荷の駆動を不安定にしてしまうことがある。例えば、電力の供給中の負荷が、電圧変動に対し敏感であり、電力を供給する負荷の切替のタイミングにばらつき等があれば、これから電力供給が停止される負荷(切替前の負荷)の駆動を不安定なものとしてしまうことがある。そして、駆動が不安定になると、動作、処理の停止、遅延が生じたり、必要の無い信号が出力されるなど、画像形成装置などの装置の正確、適切な動作の妨げになることがある。従って、電力を供給する負荷の切替により、負荷の駆動が不安定になることを防ぎ、処理、駆動に問題が生じないようにする必要がある。
【0007】
尚、特許文献1記載の発明は、上述のように、主電源手段と、複数の補助電源手段を含む。しかし、電力を供給する負荷の切替による問題についての言及、示唆は記載されていない。従って、電力を供給する負荷の切替が、負荷の駆動を不安定にしてしまうことがあるという問題に対応することができない。
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑み、高コストな電圧安定用の専用回路を備えた基板、回路を設けることなく、電力を供給する負荷の切替により、負荷の駆動が不安定になることを安価、簡易に防ぎ、安定した負荷の駆動を保ち、機器の正常な動作を保証することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に係る電気機器は、複数の負荷と、前記負荷に電力を供給する電源部と、前記負荷と前記電源部との接続、遮断を切り替え、複数の前記負荷のうち、電力を供給する前記負荷を切り替える第1スイッチと、電力を蓄え、接続された前記負荷に対して電力を供給するキャパシターと、複数の前記負荷のうち、前記キャパシターと接続する前記負荷を切り替え、前記電源部と接続する前記負荷の前記第1スイッチによる切り替えに伴い、駆動が不安定となる前記負荷と前記キャパシターを接続する第2スイッチと、を含むこととした。
【0010】
この構成によれば、第2スイッチは、複数の負荷のうち、キャパシターと接続する負荷を切り替え、電源部と接続する負荷の第1スイッチによる切り替えに伴い、駆動が不安定となる負荷とキャパシターを接続する。これにより、電源部からの電力を供給する負荷の切替を行っても、各負荷の駆動が不安定にならない。このように、負荷の駆動を安定に保つので(安定化するので)、機器の正常な動作が保証される。又、使用されない負荷に対しては電力の供給がなされないので、高い省電力効果を得ることができる。
【0011】
又、キャパシターを設け、キャパシターの接続先を切り替えるだけなので、消費電力の変動に対応した高コストな負荷に対する電圧安定用の専用回路を備えた基板、回路を設けずに済む。従って、電力を供給する負荷の切替に伴う負荷の駆動の不安定化を、安価に防ぐことができる。又、電圧安定用の専用回路などを設ける場合に比べ、簡易に負荷の駆動の不安定化を防ぐことができ、電気機器の開発期間の短縮化を図ることができる。
【0012】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記第2スイッチは、前記第1スイッチが前記電源部と接続する前記負荷を切り替えるとき、電力供給が停止される前記負荷と前記キャパシターを接続することとした。
【0013】
電力供給が開始される負荷(切替後の負荷)が駆動を開始すべきタイミングにあわせて、電力を供給する負荷の切替を行うことがある。言い換えると、電力供給が停止される負荷(切替前の負荷)の動作完了を待たずに電力供給先を切り替えつつ、切替前の負荷を、負荷に蓄えられたエネルギーを用いて期間完了まで駆動させることがある。このような場合、第1スイッチによる電力を供給する負荷の切替に伴い、電力供給が停止される負荷は、駆動完了までの間に動作不安定となることがある。そこで、この構成によれば、第2スイッチは、第1スイッチが電源部と接続する負荷を切り替えるとき、電力供給が停止される負荷とキャパシターを接続する。これにより、切替後の負荷を優先するように、電力を供給する負荷の切替がなされても、電力供給が停止される負荷(切替前の負荷)を動作完了の時点まで安定して駆動させることができる。
【0014】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記第2スイッチは、前記第1スイッチが前記電源部と接続する前記負荷を切り替えるとき、これから電力供給が開始される前記負荷と前記キャパシターを接続することとした。
【0015】
電源の電力や電流の供給能力や、電力の供給開始時に負荷に流れ込む電流の大きさなどとの兼ね合いで、負荷への電力供給を開始したとき、負荷に印加される電圧が低下することがある。そこで、この構成によれば、第2スイッチは、第1スイッチが電源部と接続する負荷を切り替えるとき、これから電力供給が開始される負荷とキャパシターを接続する。これにより、負荷に印加する電圧の一時的な低下を防止し、負荷を正確、確実に駆動させることができる。
【0016】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、前記第2スイッチは、電力が供給され駆動中の前記負荷と前記キャパシターを接続し、前記キャパシターは、電力が供給され駆動中の前記負荷を介して充電することとした。
【0017】
この構成によれば、第2スイッチは、電力が供給され駆動中の負荷とキャパシターを接続し、キャパシターは、電力が供給され駆動中の負荷を介して充電する。これにより、電力を供給する負荷の切替を行う前の段階でキャパシターを充電することができる。又、十分に充電されたキャパシターにより、電力を供給する負荷の切替に伴って、駆動が不安定化しないように負荷に電力を供給することができる。
【0018】
又、請求項5に係る画像形成装置は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の電気機器を含むこととした。
【0019】
この構成によれば、駆動が不安定にならないように、画像形成装置に含まれる各種負荷への電力の供給を切り替えることができる。又、使用されない負荷に対しては電力の供給がなされないので、高い省電力効果を得ることができる。従って、高い省電力効果を有しつつ、正常な動作が保証された画像形成装置を提供することができる。又、電力を供給する負荷の切替に伴う負荷の駆動の不安定化を、安価、簡易に防ぐことができるので、画像形成装置の製造コストの削減や開発期間の短縮を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電力を供給する負荷の切替により、負荷の駆動が不安定になることを防ぐことができ、機器の正常な動作が保証される。又、負荷の駆動が不安定になることを防ぐうえで、高コストな電圧安定用の専用回路を含む基板等を設けずにすみ、安価、簡易に、済ますことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図2】複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】負荷への電力供給の切替とキャパシターの接続先を切り替えの一例を示すブロック図である。
【図4】電力供給が停止される負荷へのキャパシターの接続を説明する説明図である。
【図5】電力供給が開始される負荷へのキャパシターの接続を説明するための説明図である。
【図6】電力を供給する負荷の切替の一例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図1〜図6を用いて説明する。尚、以下は、本実施形態に係る電気機器100を含む複合機101(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0023】
(複合機101の概略構成)
まず、図1に基づき、実施形態に係る複合機101の概略を説明する。図1は、複合機101の一例を示す模型的正面断面図である。
【0024】
本実施形態の複合機101は、上部に、原稿搬送部1aと画像読取部1bを含む読取部1を有する。原稿搬送部1aは、原稿トレイ11に積載された原稿を1枚ずつ画像読取部1bの読取位置(送り読取用コンタクトガラス12)に搬送する。原稿トレイ11には、コピーやスキャンを行う原稿が複数載置される。又、原稿搬送部1aは、紙面奥側に設けられた支点(不図示)により、上方に持ち上げて開けることができる。そして、原稿搬送部1aを持ち上げることにより、例えば書籍等の原稿を画像読取部1bの上面の載置読取用コンタクトガラス13に載せることができる。
【0025】
そして、図1に破線で示すように、正面上方にコピー等の印刷の設定入力を受け付け、各種情報を表示する操作パネル2が設けられる。図1に破線で示すように、操作パネル2は複合機101の正面上方に設けられる。そして、操作パネル2は、タッチパネル式の液晶表示部21を含む。液晶表示部21は、複合機101でのエラー等の状態表示を行う他、用紙サイズや、拡大縮小、濃度設定等の複合機101で実行するジョブの機能設定用のキー、ボタンを含む各種設定用の画面を表示する。タッチパネル等により押されたキーやボタンが、操作パネル2で認識される。又、操作パネル2には数字等の入力用のテンキー部22や、ジョブの実行開始を指示するスタートキー23等のハードキーが設けられる。これら液晶表示部21や各種ハードキーにより、使用者は、複合機101の設定を行う。
【0026】
そして、複合機101の筐体内に、画像読取部1b、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b等が設けられる。
【0027】
画像読取部1bは、原稿を読み取り画像データを生成する。そして、画像読取部1bの上面にコンタクトガラス(送り読取用コンタクトガラス12と載置読取用コンタクトガラス13の2種)が設けられ、その内部には、水平方向(図1で言えば、左右方向)で移動する移動枠(露光ランプ、ミラー等を具備)、レンズ、イメージセンサー(例えば、CCD)等の光学系部材(いずれも不図示)が設けられる。例えば、原稿搬送部1aで連続的に搬送される原稿を読み取る場合、送り読取用コンタクトガラス12の下方に移動枠を固定し、原稿の反射光をレンズ、イメージセンサーに導く。又、載置読取用コンタクトガラス13に載置された原稿を読み取る場合には、移動枠を水平方向に移動させて、原稿の反射光をレンズ、イメージセンサーに導く。
【0028】
そして、画像読取部1bは、これら光学系部材を用い、原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換し画像データを生成する。そして、複合機101は読取られた画像データに基づく印刷(コピー機能)や、得られた画像データの送信等(スキャン機能、FAX機能)を行う。
【0029】
画像形成用の用紙を収容、供給する給紙部3aとして、2つの給紙カセット31a、31bが、計2つ垂直方向に積まれる。給紙部3aは、各種(例えば、普通紙、コピー用紙、再生紙等)、各サイズ(例えば、A4、A3、B4、B5、レターサイズ等)の用紙を複数(例えば、500〜1000枚程度)積載して収容する。
【0030】
各給紙カセット31a、31bには、回転駆動し、用紙を1枚ずつ搬送路3bに送り出す給紙ローラー32a、32bが、それぞれ設けられる。次に、搬送路3bは、装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送路3bには、用紙搬送時に回転駆動する複数の搬送ローラー対33(図1では、上流側から33a〜33fの計6つを図示)や、搬送される用紙を画像形成部4aの手前で待機させ、トナー像形成に合わせて用紙を送り出すレジストローラー対34等が設けられる。
【0031】
画像形成部4aは、画像データに基づき給紙部3aから給紙された用紙に画像(トナー像)を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。尚、画像データには、画像読取部1bで取得された原稿の画像データや、複合機101に接続されるコンピューター200(図2参照)等から送信された画像データが利用される。
【0032】
そして、画像形成部4aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム41や、その周囲に配設された帯電装置42、露光装置43、現像装置44、転写ローラー45、クリーニング装置46等を備える。トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、感光体ドラム41は、画像形成部4aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する。帯電装置42は、感光体ドラム41を所定電位に帯電させる。露光装置43は、画像データに基づき、レーザ光Lを出力し、感光体ドラム41表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0033】
又、現像装置44は、感光体ドラム41に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。転写ローラー45は感光体ドラム41に圧接し、ニップを形成する。そして、レジストローラー対34がタイミングを図り用紙をニップに進入させる。用紙とトナー像のニップ進入時、転写ローラー45には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム41上のトナー像が転写される。クリーニング装置46は、転写後に感光体ドラム41に残留するトナー等を除去する。
【0034】
定着部4bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部4bは、主として発熱体を内蔵する加熱ローラー47と加圧ローラー48で構成される。加熱ローラー47と加圧ローラー48は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は排出トレイ35に排出される。
【0035】
(複合機101のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機101のハードウェア構成を説明する。図2は、複合機101のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
まず、主制御部5は、各種素子、回路等を組み合わせ基板として構成される。主制御部5は、複合機101の動作制御を司る部分である。例えば、主制御部5は、演算や処理を行う部分としてメインCPU51や記憶部52や画像処理部53などを含む。メインCPU51は、主制御部5の演算処理装置であり、記憶部52に記憶されるデータ、プログラムに基づき、各種処理、演算、制御を行う。記憶部52は、例えば、不揮発性の記憶装置(フラッシュROMやHDD)と、揮発性の記憶装置(例えば、RAM)とを組み合わせて構成される。記憶部52は、ジョブ実行等、各種制御に要するデータ、プログラムや、画像データなどを記憶する。尚、記憶部52は、主制御部5外に設けられてもよい。
【0037】
画像処理部53は、画像読取部1bで生成された画像データや、外部から入力された画像データに対し画像処理を施す。例えば、画像処理部53は、画像処理専用のASICや画像処理メモリーを含む。画像処理後の画像データを、印刷のため露光装置43に送ることもできるし(コピー機能、プリンタ機能)、記憶部52に記憶することもできるし(スキャナ機能)、後述の通信部54から外部(コンピューター200、FAX装置300等)に送信することもできる(スキャナ機能、FAX機能)。尚、画像処理部53は、メインCPU51や記憶部52により機能的に実現されてもよい。又、画像処理部53が行える画像処理は、拡大・縮小処理や、濃度変更等、多岐にわたるので、公知の画像処理を実行できるとして詳細は割愛する。
【0038】
読取部1は、画像読取部1bと原稿搬送部1aを含む。そして、画像読取部1bには、画像読取部1bに含まれる部品、回路を制御する読取制御部10bが設けられる。読取制御部10bは、例えば、CPUや画像読取部1bの制御に要するプログラムやデータを含むメモリーを含む基板や回路として設けられる。そして、読取制御部10bは、主制御部5の原稿の読取実行指示を受けると、イメージセンサーやランプ等の制御や生成した画像データの主制御部5等への送信等、画像読取部1bを実際に制御する。
【0039】
又、原稿搬送部1aでも同様に、原稿搬送部1aに含まれる部品、回路を制御する原稿搬送制御部10aが設けられる。原稿搬送制御部10aも、例えば、CPUや画像読取部1bの制御に要するプログラムやデータを含むメモリーを含む基板や回路として設けられる。そして、原稿搬送制御部10aは、主制御部5の原稿搬送の実行指示を受けると、各種回転体を制御し、原稿を1枚ずつ読み取り位置に向けて搬送する。
【0040】
又、複合機101での印刷に関し、印刷エンジン部4が設けられる。印刷エンジン部4には、上述の給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b等が含まれる。そして、印刷エンジン部4内には、主制御部5の指示を受け、実際に印刷エンジン部4の動作を制御するエンジン制御部40が設けられる。エンジン制御部40は、例えば、CPUや印刷の際に用いるプログラムやデータを記憶するメモリーなどを含む。そして、エンジン制御部40は、給紙、搬送、トナー像形成、定着部4bの温度制御など、印刷エンジン部4に含まれる部材の制御を行う。
【0041】
次に、複合機101での設定入力の受け付けや表示に関し、操作パネル2が設けられる。この操作パネル2内には、主制御部5の指示を受け、実際に操作パネル2を制御するパネル制御部20が設けられる。パネル制御部20は、例えば、CPUや各種プログラムや表示用の画像データや入力受付用データを記憶するメモリーなどを含む。そして、パネル制御部20は、液晶表示部21での表示制御や、タッチパネルの出力から押された座標を求めて液晶表示部21で押されたキーの認識処理や、各種ハードキーの押下の認識等、操作パネル2に含まれる部材の制御を行う。
【0042】
又、複合機101には、通信部54が設けられる。通信部54は、外部のコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)やFAX装置300等との通信線を接続するためのコネクタやソケットや通信用の回路、チップを含むI/F部55や通信制御を行う通信制御部56を含む。通信制御部56は、I/F部55及びネットワーク、回線、ケーブル等を介して、外部のコンピューター200やFAX装置300と通信を行う。例えば、通信部54が受信したデータは、主制御部5に引き渡される。この通信部54を介した通信により、コンピューター200やFAX装置300から印刷用のデータを受信することができる(プリンター機能、スキャン機能)。コンピューター200やFAX装置300に画像データを送信することができる。
【0043】
(電力を供給する負荷の切替)
次に、図3〜図5を用いて、実施形態に係る複合機101に含まれる電気機器100での電力を供給する負荷の切替の概要を説明する。図3は、負荷への電力供給の切替とキャパシター9の接続先を切り替えの一例を示すブロック図である。図4は、電力供給が停止される負荷へのキャパシター9の接続を説明するための説明図である。図5は、電力供給が開始される負荷へのキャパシター9の接続を説明するための説明図である。
【0044】
まず、複合機101には、主制御部5、読取部1、印刷エンジン部4、操作パネル2、通信部54等の負荷(電力の供給を受けて駆動し、動作、処理を行う部分)が設けられる。又、主制御部5、読取部1、印刷エンジン部4、操作パネル2、通信部54等の各部分の内部にも各種制御部(メインCPU51、読取制御部10b、原稿搬送制御部10a、エンジン制御部40、パネル制御部20)等の基板、回路等の負荷が設けられる。言い換えると、複合機101は、複数の大小の負荷が組み合わされて構成される。
【0045】
これら各種負荷に対し電力の供給を行うため、複合機101の内部に電源部6が設けられる。電源部6には、各種負荷に適切な電圧で電力供給を行うために、1又は複数の電力変換回路61が設けられる。例えば、電力変換回路61は、整流回路やトランスや昇圧回路や降圧回路などを有し、複合機101内のモーター用の電圧(例えば、DC24V)や各種制御部や回路駆動用の電圧(例えば、DC5V、3.3V、1.8V等)を生成する。そして、電源部6は、各負荷に応じた電圧で電力の供給を行う。
【0046】
そして、本実施形態の複合機101では、例えば、択一的に用いられる複数の負荷について、用いる負荷に対してのみ電力の供給を行い、用いない負荷への電力の供給を停止する。言い換えると、複数の負荷のうち、予め定められた順序で、電力を供給する負荷を切り替える。これにより、用いない負荷への電力の供給を停止し、無駄な電力の消費を無くすことができる。
【0047】
図3を用いて、電力を供給する負荷の切替の概要を説明する。図3では、択一的に用いられる負荷として、画像処理部53に設けられた2種のブロック(第1基板部71、第2基板部72)を例に挙げて説明する。尚、第1基板部71と第2基板部72は別基板とされても良いし、同一基板上に別のブロックとして設けられても良い。又、本説明では、2つのブロックへの電力の供給先を切り替える例を説明するが、3つ以上のブロックが設けられてもよく、使用するブロックに電力が供給されるように、電力供給先の切替がなされる点で同様に説明できる。
【0048】
例えば、第1基板部71は、予め定められた一連の画像処理の流れのうち、前半のステップを担当する回路をまとめた部分とし、第2基板部72は、後半のステップを担当する回路をまとめた部分としてもよい。例えば、読取部1での読み取りや受信した画像データに対し、各種補正等の基本的な画像処理を行う回路をまとめた部分を第1基板部71とすることができる。又、第1基板部71が処理し、第1基板部71が記憶部52に記憶させた画像データに基づき、ズーム(拡大・縮小)、濃度変換等、画像データを最終的に形成するための回路をまとめた部分を第2基板部72とすることができる。
【0049】
又、第1基板部71は、画像データの圧縮を行う回路とし、第2基板部72は画像データの伸張を行う回路とし、同時に用いられない関係に基づき、第1基板部71と第2基板部72を区別するようにしても良い。又、画像処理部53に含める回路の全てを、第1基板部71と第2基板部72のいずれかに振り分けるのではなく、一部の回路を第1基板部71と第2基板部72から外し、電力を供給する負荷の切替に関係なく電力の供給が継続される部分(回路)を設けるようにしてもよい。このように、電力供給が切替られる負荷の内容、態様は、適宜定めることができる。
【0050】
そして、電力を供給する負荷(第1基板部71、第2基板部72)の切替を行うため、第1スイッチ81が設けられる。例えば、第1スイッチ81には、半導体や機械的なスイッチが用いられる。そして、第1スイッチ81は、電源部6に接続される1つの端子を含む。又、第1スイッチ81は、第1基板部71に接続される端子と、第2基板部72に接続される端子を含む。例えば、第1スイッチ81は制御信号に基づき、電源部6に接続される端子と繋ぐ負荷を切り替える。
【0051】
例えば、メインCPU51は、画像処理部53からの通知や記憶部52の状態に基づき、画像処理部53による画像処理の進行状況や、第1スイッチ81の切替タイミングを把握する。そして、例えば、メインCPU51が、第1スイッチ81に対して制御信号を与え、電力を供給する負荷の切替を行う。尚、第1スイッチ81に対して制御信号を与え、適切なタイミングで電力を供給する負荷の切替を行う制御回路を別途設けるようにして、メインCPU51ではなく別途設けた制御回路により、電力を供給する負荷の切替が行われるようにしても良い。
【0052】
そして、第1基板部71と第2基板部72に対して、補助的に電力の供給を行うためのキャパシター9が設けられる。キャパシター9は、例えば、数μF以上の静電容量を有する(負荷の駆動に要する電力等による)。
【0053】
そして、キャパシター9と第1基板部71又は第2基板部72とを接続するための第2スイッチ82が設けられる。例えば、第2スイッチ82には、半導体や機械的なスイッチが用いられる。そして、第1スイッチ81が電力を供給する負荷の切替を行うとき、第2スイッチ82は切替に伴って駆動が不安定となる負荷とキャパシター9を接続する。例えば、メインCPU51が、第2スイッチ82を制御して、負荷とキャパシター9の接続を制御する。言い換えると、第2スイッチ82は制御信号に基づき、キャパシター9と接続する負荷を切り替える。
【0054】
このように、本実施形態に係る電気機器100には、例えば、第1基板部71や第2基板部72等の負荷や、電源部6や、第1スイッチ81や、第2スイッチ82やキャパシター9やその他、メインCPU51等のスイッチ制御素子が電気機器100に含まれると考えることもできる。
【0055】
次に、図4を用いて、電力供給が停止される負荷(切替前の負荷)にキャパシター9を接続する態様を説明する。まず、図4での最上段のタイミングチャートと上から2番目のタイミングチャートは、負荷(第1基板部71と第2基板部72)の駆動の切替(使用する期間の切替)を示す。図4に示すように、第1基板部71と第2基板部72は、択一的に使用される。尚、第1基板部71と第2基板部72を使用する期間の一部がかぶっていてもよい。
【0056】
そして、図4の上から3段目のタイミングチャートは、第1スイッチ81による電力の供給の切替タイミングを示す。
【0057】
図4に示すように、負荷を使用する区間の最初から確実に利用できるようにしたい場合がある。この場合、電力供給を停止する負荷(切替前の負荷)の駆動期間が完了する少し前に、切替後の負荷への電力の供給を開始し、切替前の負荷は、それまでに負荷で蓄えられたエネルギーにより、期間完了まで駆動させることになる。
【0058】
図4の例では、時点T2までが第1基板部71を駆動させる期間であり、時点T2で駆動させる負荷が第2基板部72に移行する。又、使用する負荷の切り替わりにより、図4の例では、時点T4までが第2基板部72を駆動させる期間であり、時点T4で駆動させる負荷が第1基板部71に移行する(切り替わる)。
【0059】
そして、時点T2から確実に負荷(第2基板部72)を駆動させるため、負荷(第2基板部72)への電力の供給を実際に開始してから確実に負荷が駆動するために要する予め定められた時間Δ1だけ時点T2からさかのぼったT1の時点で、第1スイッチ81は、電力の供給先を第2基板部72に切り替える。又、確実に負荷が駆動するために要する予め定められた時間Δ1だけ時点T4からさかのぼったT3の時点で、第1スイッチ81は電力の供給先を第1基板部71に切り替える。
【0060】
尚、図4では、電力を供給する負荷の切替時間が無視できる形態で電力の供給が切り替えられているが、例えば、機械的スイッチの場合、いずれの負荷にも電力の供給がなされない状態となることがある。従って、電力を供給する負荷の切替に要する時間を考慮して予め定められた時間Δ1を定めることができる。
【0061】
例えば、メインCPU51は、使用する(駆動させる)基板部の切替時点(第1基板部71や第2基板部72での処理状況を把握したり、先の電力供給先の切替時点からの予め定められた時間の経過に基づき定める)に対し、予め定められた時間Δ1だけ早い時点(例えば、図4の時点T1や時点T3)で第1スイッチ81による電力の供給先を切り替える制御信号を第1スイッチ81に発する。例えば、予め定められた時間Δ1を示すデータは、記憶部52に記憶され、メインCPU51がデータを用いる。そして、第1スイッチ81は、制御信号を受け電力を供給する負荷を切り替える。
【0062】
このように、電力供給が停止された負荷(切替前の負荷)の駆動が完了する前に、電力の供給先を切り替えるので、切替前の負荷の駆動が不安定となることがある。例えば、電圧低下により、完全に動作が完了する前に停止したり、不要な信号が外部に向けて出力されたりすることがある。
【0063】
そこで、図4に示すように、第2スイッチ82は、電力を供給する負荷の切替前から、電力供給が停止される負荷(切替前の負荷)とキャパシター9を接続しておく。そして、第2スイッチ82は、電力を供給する負荷の切替があってから、少なくとも切替前の負荷の駆動が完了するまで、キャパシター9と切替前の負荷を接続する。このように、キャパシター9は、補助電源として用いられる。そのため、キャパシター9の容量は、電力を供給する負荷の切替があってから、切替前の負荷の駆動が完了するまで、必要な電荷を供給できる容量であればよい。
【0064】
一方、キャパシター9を電力供給が停止された負荷に接続したままでは充電できない。そこで、電力供給が停止された負荷(切替前の負荷)の駆動が完了すると、第2スイッチ82は、キャパシター9を電力供給が開始された負荷(切替後の負荷)と接続する。そして、キャパシター9は、電力の供給中の負荷を介して充電される。
【0065】
図4で、このようなキャパシター9の接続を行うときのキャパシター9の蓄電状態の一例を図示している。例えば、時点T1の時点で、第1基板部71から第2基板部72に電力の供給先が切り替えられる場合、時点T1の時点よりも前の時点で、メインCPU51は、第2スイッチ82にキャパシター9と第1基板部71とを接続させる。そして、メインCPU51は、時点T1から時点T2までの間、キャパシター9から第1基板部71への電力を供給させる。これにより、第1基板部71は駆動期間完了まで、安定して駆動する。
【0066】
この場合、図4に示すように、キャパシター9は、時点T1を境として放電を開始する。そして、キャパシター9の電位Vc0は、低下してゆく。そこで、第2スイッチ82に指示を与え、電力供給が開始された負荷(切替後の負荷)とキャパシター9を接続させる(例えば、図4での時点T5)。このキャパシター9の接続先の切替によって、キャパシター9の充電が開始される。そのため、切替後の負荷から更に次の負荷に電力の供給先が切り替えられるとき、キャパシター9の充電が完了するように、メインCPU51は、キャパシター9と接続する負荷を第2スイッチ82に切替させる。
【0067】
キャパシター9の接続を切り替えるタイミングは予め定められる。例えば、記憶部52にキャパシター9の切替時点(切替タイミング)を示すデータが記憶される。メインCPU51は、このデータを用い、第2スイッチ82に対し、キャパシター9の接続の切替を指示する。
【0068】
次に、図5を用いて、キャパシター9の接続の他の態様を説明する。まず、電力を供給する負荷を切り替えたとき、負荷への電流の流れ込み等により、電力供給を開始した負荷に印加される電圧の降下が生ずることがある。例えば、電源部6の能力を超えて負荷に電流を流そうとしたとき、電圧の降下が生じ得る。
【0069】
このような電力降下が生ずると、負荷を問題なく駆動をさせるのに要する電圧を下回ることがある。そのため、電力供給が開始された負荷(切替後の負荷)の動作の動作が、ある程度の間、不安定となる虞がある。
【0070】
そこで、電力を供給する負荷の切替に応じて、電力供給を開始した負荷(切替後の負荷)にキャパシター9を接続すれば、電圧降下により、切替後の負荷の動作の動作が不安定になることに対応することができる。そこで、図5を用いて、電力供給を開始した負荷にキャパシター9の接続する場合を説明する。
【0071】
まず、図5での最上段から上から3段目までのタイミングチャートは、図4の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0072】
そして、第2スイッチ82は、電力を供給する負荷の切替前から、これから電力供給を停止する負荷とキャパシター9を接続しておく。これにより、キャパシター9の充電を図る。そして、第2スイッチ82は、電力供給先の切替にあわせ、電力供給を開始する負荷(切替後の負荷)にキャパシター9を接続する。このようにキャパシター9は、切替後の負荷に十分な電力を供給するための補助電源として用いられる。これにより、切替後の負荷の動作を安定させることができる。そして、キャパシター9の容量は、電力を供給する負荷の切替があってから、切替後の負荷の駆動安定する程度の電荷を供給できる容量であればよい。
【0073】
具体的に、図5の例では、時点T1で第1基板部71から第2基板部72へ、時点T3で第2基板部72から第1基板部71へ、電力供給先が切り替えられる。この切替に応じて、第2スイッチ82は、時点T1でキャパシター9を第2基板部72に接続し、時点T3でキャパシター9を第1基板部71に接続する。言い換えると、第2スイッチ82は、電力供給先の切替と同様に、負荷(第1基板部71や第2基板部72)とキャパシター9を接続する。そして、時点T1や時点T3での電力供給が開始された負荷の駆動の安定を図る。尚、第2スイッチ82は、電力供給先の切替時点よりも、はやめにキャパシター9に負荷への電力供給を開始させてもよい。
【0074】
そして、図5に示すように、電力供給先の切替に伴いキャパシター9を接続した負荷(切替後の負荷、例えば、第2基板部72)の駆動が安定すると、キャパシター9は、切替後の負荷を介して充電され、キャパシター9の電位Vc0が上昇する。そして、次の負荷(例えば、第1基板部71)への電力供給先の切替にあわせ、第2スイッチ82は、キャパシター9を第1基板部71に接続する。
【0075】
このようなキャパシター9の接続を行うときのタイミングを記すデータは、例えば、記憶部52に記憶される。メインCPU51は、このデータを用い、第2スイッチ82に対し、キャパシター9の接続の切替を指示する。
【0076】
尚、図4と図5に示すように、キャパシター9を用いることによって、電力供給が停止される負荷の駆動を安定させることもできるし、電力供給を開始する負荷の駆動を安定させることもできる。そのため、キャパシター9を負荷に接続するタイミングや手順を予め定めたデータ(どの負荷にどのようにキャパシター9を接続させるかを示すデータ)を記憶部52に記憶させておき、メインCPU51は、予め定められたキャパシター9を負荷に接続するタイミングや手順を定めたデータに基づき、第2スイッチ82を制御する。
【0077】
例えば、図4や図5に示す第1基板部71と第2基板部72の場合、「第1基板部71から第2基板部72に電力供給先が切り替えられるとき、第2スイッチ82がキャパシター9を第1基板部71に接続して第1基板部71を駆動完了させる→第2基板部72にキャパシター9に接続してキャパシター9を充電→第2基板部72から第1基板部71に電力の供給先が切り替えられるとき、併せて第1基板部71にキャパシター9を接続」というように、第1基板部71での駆動の安定化を重視して、キャパシター9を負荷に接続するタイミングや手順を予め定めておくこともできる。
【0078】
(電力を供給する負荷の切替)
次に、図6を用いて、本実施形態の電力を供給する負荷の切替の他例を説明する。図6は、電力を供給する負荷の切替の一例を説明するためのブロック図である。
【0079】
上記では、図3〜図5を用いて画像処理部53に設けられた基板のブロックを単位として電力の供給先を切り替える例を説明した。しかし、本発明では、負荷を回路や基板や素子だけではなく、読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4等の複数の負荷が組み合わされた1まとまりの負荷を本実施形態での1つの負荷の単位として扱うことができる。
【0080】
そこで、読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4を1つの負荷と捉え、電力を供給する負荷の切替と、キャパシター9の接続を説明する。
【0081】
まず、上述のように電源部6は、これら各種負荷に電力の供給を適切な電圧で行うために、複数種の電圧を電力変換回路61で生成する。そして、第1スイッチ81を介して、電源部6が生成した電圧が各負荷(読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4)に与えられる。尚、図6では、電源部6から各負荷への接続線は一本であるが、複数種の電圧の供給が必要な場合、電源部6から各負荷へは複数本分の電力の供給ラインが設けられる(例えば、モーター駆動用や制御部駆動用等)
【0082】
そして、本実施形態の複合機101では、画像データの流れに沿って、読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4が択一的に用いられる。例えば、原稿の読み取りにより画像データを生成するとき読取部1に対し、電力の供給がなされる。これにより、読取部1で、読取制御部10b等に電力が供給され、起動し、原稿の読み取りと画像データの生成がなされる。そして、読取部1の読み取りにより得られた画像データが記憶部52に記憶されると、読取部1への電力の供給が停止され、電力の供給先が画像処理部53に切り替えられる。これにより画像処理部53が起動する。そして、画像処理部53での画像処理がなされ、印刷に用いる画像処理済みの画像データが記憶部52に記憶されると、画像処理部53への電力の供給が停止される。続いて、電力の供給先が印刷エンジン部4に切り替えられる。そして、印刷エンジン部4は、エンジン制御部40等に電力供給がなされることにより起動し、印刷が行われる。
【0083】
このように、原稿に基づきコピーを行うとき、第1スイッチ81は、用いる負荷に対してのみ電力の供給を行い、用いない負荷への電力の供給を停止する。具体的には、1ページのコピーの場合、読取部1→画像処理部53→印刷エンジン部4の順に電力の供給先が切り替えられる。用いない負荷への電力の供給を停止し、無駄な電力の消費を無くすことができる。
【0084】
尚、複合機101の構成は複雑で、様々な部分がある。例えば、印刷エンジン部4では、定着部4bの温度維持など、印刷エンジン部4の全てに対して電力の供給を停止すべきではない場合もある。そこで、読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4のそれぞれの負荷の全体の電力の供給のON/OFFを行うのではなく、第1スイッチ81は、読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4のそれぞれの負荷の一部分に対してのみ、順次、電力の供給の切り替えを行うようにしてもよい。言い換えると、各負荷の一部への電力供給は継続してもよい。
【0085】
例えば、主制御部5(メインCPU51)は、読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4からの通知や記憶部52の状態に基づき、処理の進行状況や、第1スイッチ81の切替タイミングを把握する。そして、例えば、メインCPU51が、第1スイッチ81に対して制御信号を与え、電力を供給する負荷の切替を行う。尚、第1スイッチ81に対して制御信号を与え、適切なタイミングで電力を供給する負荷の切替を行う制御回路を主制御部5などに別途設けるようにして、メインCPU51ではなく別途設けた制御回路により、電力を供給する負荷の切替が行われるようにしても良い。
【0086】
そして、各負荷(読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4)に対して、補助的に電力の供給を行うためのキャパシター9が設けられる。尚、キャパシター9の容量は、負荷が上述の第1基板部71や第2基板部72である場合に比べ、大きくする必要がある。
【0087】
そして、キャパシター9と各負荷(読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4)とを接続するための第2スイッチ82が設けられる。例えば、第2スイッチ82には、半導体や機械的なスイッチが用いられる。そして、第2スイッチ82は、第1スイッチ81が電力を供給する負荷の切替を行うとき、切替に伴って駆動が不安定となる負荷とキャパシター9を接続する。例えば、主制御部5のメインCPU51が、第2スイッチ82を制御して、各負荷とキャパシター9との接続を制御する。
【0088】
このように、負荷を読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4と捉え、電源部6や、第1スイッチ81や、第2スイッチ82やキャパシター9により、本実施形態に係る電気機器100が構成される。尚、メインCPU51等のスイッチ制御素子が電気機器100に含まれると考えることもできる。
【0089】
尚、電力を供給する負荷の切替に対するキャパシター9の接続の手順、手法、利点等は、図4、図5を用いて説明した場合と同様である。例えば、各負荷(読取部1、画像処理部53、印刷エンジン部4)の電力供給の切替タイミングを予め定めたデータや、キャパシター9を負荷に接続するタイミングや手順を予め定めたデータ(どの負荷にどのようにキャパシター9を接続させるかを示すデータ)を記憶部52に記憶させておく。そして、主制御部5(メインCPU51)は、記憶部52に記憶された予め定められたデータに基づき、電力を供給する負荷を切替、キャパシター9を負荷に接続するタイミングや手順を定めたデータに基づき、第2スイッチ82を制御し、各負荷の動作の安定化を図る。
【0090】
このようにして、本実施形態の電気機器100は、複数の負荷(例えば、第1基板部71、第2基板部72、画像読取部1b、画像処理部53、印刷エンジン部4等)と、負荷に電力を供給する電源部6と、負荷と電源部6との接続、遮断を切り替え、複数の負荷のうち、電力を供給する負荷を切り替える第1スイッチ81と、電力を蓄え、接続された負荷に対して電力を供給するキャパシター9と、複数の負荷のうち、キャパシター9と接続する負荷を切り替え、電源部6と接続する負荷の第1スイッチ81による切り替えに伴い、駆動が不安定となる負荷とキャパシター9を接続する第2スイッチ82と、を含む。
【0091】
これにより、電源部6からの電力を供給する負荷(例えば、第1基板部71、第2基板部72、画像読取部1b、画像処理部53、印刷エンジン部4等)の切替を行っても、各負荷の駆動が不安定にならない。このように、負荷の駆動を安定に保つので(安定化するので)、機器の正常な動作が保証される。又、使用されない負荷に対しては電力の供給がなされないので、高い省電力効果を得ることができる。又、キャパシター9を設け、キャパシター9の接続先を切り替えるだけなので、消費電力の変動に対応した高コストな負荷に対する電圧安定用の専用回路を備えた基板、回路を設けずに済む。従って、電力を供給する負荷の切替に伴う負荷の駆動の不安定化を、安価に防ぐことができる。又、電圧安定用の専用回路などを設ける場合に比べ、簡易に負荷の駆動の不安定化を防ぐことができ、電気機器100の開発期間の短縮化を図ることができる。
【0092】
又、電力供給が開始される負荷(切替後の負荷)が駆動を開始すべきタイミングにあわせて、電力を供給する負荷の切替を行うことがある。言い換えると、電力供給が停止される負荷(切替前の負荷)の動作完了を待たずに電力供給先を切り替えつつ、切替前の負荷を、負荷に蓄えられたエネルギーを用いて期間完了まで駆動させることがある。このような場合、第1スイッチ81による電力を供給する負荷の切替に伴い、電力供給が停止される負荷は、駆動完了までの間に動作不安定となることがある。そこで、第2スイッチ82は、第1スイッチ81が電源部6と接続する負荷(例えば、第1基板部71、第2基板部72、画像読取部1b、画像処理部53、印刷エンジン部4等)を切り替えるとき、電力供給が停止される負荷とキャパシター9を接続する。これにより、切替後の負荷を優先するように、電力を供給する負荷の切替がなされても、電力供給が停止される負荷(切替前の負荷)を動作完了の時点まで安定して駆動させることができる。
【0093】
又、負電源の電力や電流の供給能力や、電力の供給開始時に負荷に流れ込む電流の大きさなどとの兼ね合いで、負荷への電力供給を開始したとき、負荷に印加される電圧が低下することがある。そこで、第2スイッチ82は、第1スイッチ81が電源部6と接続する負荷(例えば、第1基板部71、第2基板部72、画像読取部1b、画像処理部53、印刷エンジン部4等)を切り替えるとき、これから電力供給が開始される負荷とキャパシター9を接続する。これにより、負荷に印加する電圧の一時的な低下を防止し、負荷を正確、確実に駆動させることができる。
【0094】
又、第2スイッチ82は、電力が供給され駆動中の負荷(例えば、第1基板部71、第2基板部72、画像読取部1b、画像処理部53、印刷エンジン部4等)とキャパシター9を接続し、キャパシター9は、電力が供給され駆動中の負荷を介して充電する。これにより、電力を供給する負荷の切替を行う前の段階でキャパシター9を充電することができる。又、十分に充電されたキャパシター9により、電力を供給する負荷の切替に伴って、駆動が不安定化しないように負荷に電力を供給することができる。
【0095】
又、画像形成装置(例えば、複合機101)は、上記の電気機器100を含ませる。これにより、駆動が不安定にならないように、画像形成装置に含まれる各種負荷(例えば、第1基板部71、第2基板部72、画像読取部1b、画像処理部53、印刷エンジン部4等)への電力を供給を切り替えることができる。又、使用されない負荷に対しては電力の供給がなされないので、高い省電力効果を得ることができる。従って、高い省電力効果を有しつつ、正常な動作が保証された画像形成装置を提供することができる。又、電力を供給する負荷の切替に伴う負荷の駆動の不安定化を、安価、簡易に防ぐことができるので、画像形成装置の製造コストの削減や開発期間の短縮を実現することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0097】
例えば、上記の説明では、負荷として、画像処理部53内のブロックや、読取部1、印刷エンジン部4を例に挙げたが、負荷はこれらに限られない。例えば、複合機101本体、後処理装置等のオプション装置というように、1つの装置を負荷の単位と扱わってもよい。又、負荷は、1つのチップ、回路であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、電力の供給が個別に制御される複数の負荷を含む電気機器、画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
100 電気機器 101 複合機(画像形成装置)
1 読取部(負荷の一例) 4 印刷エンジン部(負荷の一例)
53 画像処理部(負荷の一例) 6 電源部
71 第1基板部(負荷の一例) 72 第2基板部(負荷の一例)
81 第1スイッチ 82 第2スイッチ
9 キャパシター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の負荷と、
前記負荷に電力を供給する電源部と、
前記負荷と前記電源部との接続、遮断を切り替え、複数の前記負荷のうち、電力を供給する前記負荷を切り替える第1スイッチと、
電力を蓄え、接続された前記負荷に対して電力を供給するキャパシターと、
複数の前記負荷のうち、前記キャパシターと接続する前記負荷を切り替え、前記電源部と接続する前記負荷の前記第1スイッチによる切り替えに伴い、駆動が不安定となる前記負荷と前記キャパシターを接続する第2スイッチと、を含むことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記第2スイッチは、前記第1スイッチが前記電源部と接続する前記負荷を切り替えるとき、電力供給が停止される前記負荷と前記キャパシターを接続することを特徴とする請求項1記載の電気機器。
【請求項3】
前記第2スイッチは、前記第1スイッチが前記電源部と接続する前記負荷を切り替えるとき、これから電力供給が開始される前記負荷と前記キャパシターを接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第2スイッチは、電力が供給され駆動中の前記負荷と前記キャパシターを接続し、
前記キャパシターは、電力が供給され駆動中の前記負荷を介して充電することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の電気機器を含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97035(P2013−97035A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237133(P2011−237133)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】