説明

電気機器収納用箱

【課題】電気機器の十分な取付スペースを確保しつつ筐体内の空気の攪拌を防止できるとともに、屋外に設置しても雨水や異物が侵入することのない電気機器収納用箱を提供する
【解決手段】内部に電気機器9を収納した筐体本体1の天面から突出する排気ダクト2を取り付けた電気機器収納用箱であって、該排気ダクト2は、一端が筐体本体1に形成された開口部4に連設された筒状ダクト部5と、該筒状ダクト部の他端を折り曲げ形成した折返部6と、該折返部6の端部に形成した排気口7とからなり、該筒状ダクト部5内には、筐体内部の排気を行う排気ファン3を備え、該排気口7を、該排気ダクト2の筒状ダクト部5方向もしくは電気機器収納用箱より離れる方向に向けて開口形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内で発生する熱を効果的に外部に排出する排気ダクトを備えた電気機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、筺体の天井に排気ダクトを設けて筐体内の熱を外部に排出させる電気機器収納用箱が知られている。この場合、筐体内の熱は、排気ファンにより天井に位置する排気ダクト内に誘導されて排気口から排出されることになるが、例えば図5のように、排気ファン3を筐体の内側に突出形成した場合には、排気ファン3の側壁周辺の暖気が排気ダクト方向に十分誘導されずに筐体内で攪拌されるため、電気機器9の排熱が十分にされないという問題があった。そこで、図6のように、電気機器9の上部に仕切板10を形成して空気の攪拌を防止することも考えられるが、電気機器9の取付スペースが制限されてしまうという問題が生じる。
【0003】
この問題を回避可能な構造として、排気ファンを排気ダクト内に設けた電気機器収納用箱も提案されている(特許文献1)。電気機器収納用箱は屋外に設置されることも多いが、特許文献1に記載の電気機器収納用箱は排気口が下向きに形成されているため、屋外に設置すると大雨時に雨水が排気口から浸入したり、暴風により塵などの異物が侵入して、電気機器に支障をきたす恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−87629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は前記問題を解決し、電気機器の十分な取付スペースを確保しつつ筐体内の暖気の攪拌を防止できるとともに、屋外に設置しても雨水や異物が侵入することのない電気機器収納用箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明は、内部に電気機器を収納した筐体本体の天面から突出する排気ダクトを取り付けた電気機器収納用箱であって、該排気ダクトは、一端が筐体本体に形成された開口部に連設された筒状ダクト部と、該筒状ダクト部の他端に形成した折返部と、該折返部の端部に形成した排気口とからなり、該筒状ダクト部内には、筐体内部の排気を行う排気ファンを備え、該排気口を、排気ダクトの筒状ダクト部方向もしくは電気機器収納用箱より離れる方向に向けて開口形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電気機器収納用箱は、一端が筐体本体の天面に形成された開口部に連設された筒状ダクト部と、該筒状ダクト部の他端に形成した折返部と、該折返部の端部に形成した排気口とからなる排気ダクトを備え、この排気口を排気ダクトの筒状ダクト部方向に向けて開口形成している。これにより、大雨や暴風時であっても雨水や塵等の異物が排気口から筐体内に侵入することを防止ができ、しかも排気口は外側から見えないので外観も良くなる。また、筒状ダクト部内に排気ファンを備えるので、筐体内の収納スペースを広げることができるとともに、筐体内の暖気の攪拌を防止して効果的に排熱を行うことができる。
【0008】
特に、排気口を排気ダクトの筒状ダクト部方向に向けて形成すれば、結露が発生した場合や万が一排気口から雨水が侵入した場合であっても折返部内に水が溜まることなく排出されるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態を示す電気機器収納用箱の断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】第2の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図4】第1の実施形態の排気ダクトの分解斜視図である。
【図5】従来例を示す電気機器収納用箱の断面図である。
【図6】図5の筐体内上部に仕切板を形成したことを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1において、1は筐体本体、2は排気ダクト、3は排気ファンである。本発明に係る電気機器収納用箱は、筐体本体1と、筐体本体1の天井面から垂直方向に突出形成させた排気ダクト2と、排気ダクト2内に設けられた排気ファン3とから構成され、筐体本体1内の暖気を排気ファン3の運転により排気ダクト2を通って外部に排出させる構造のものである。
【0011】
筐体本体1内にはキュービクル等で使用する高圧機器やパワーコンディショナー、トランス、開閉器、配電盤等の電気機器が収納される。筐体本体1の天井面には排気ダクト2を接続する開口部4が形成されている。
【0012】
排気ダクト2は断面略T字状をなし、一端を開口部4に連設した筒状ダクト部5と、筒状ダクト部5の他端に形成した折返部6と、折返部6の端部に形成した排気口7とからなり、この排気口7を図2に示すように筒状ダクト部5方向又は図3に示すように折返部6方向に向けて開口形成している。これにより、排気口7は外側から見えないので外観がよくなるとともに、雨水や塵等の異物が排気口7から筐体本体1内に侵入することを防止できる。
【0013】
図1及び図2に示す第1実施形態では、折返部6は断面L字状をなすので、排気口7は筒状ダクト部5の方向に向いているが、図3の第2実施形態のように、折返部6の先端をさらに垂直上向きに折り曲げて排気口7を電気機器収納用箱の筐体本体1から離れる方向となる上向きに、すなわち、折返部6方向に向けて形成することもできる。但し、この向きでは結露が発生した場合や万が一雨水が浸入した場合に折返部6内に水が溜まってしまう恐れがあるので、排気口7の開口方向を図1及び図2のように、筒状ダクト部5の方向に向けることが望ましい。
【0014】
さらに筒状ダクト部5の内壁には、排気ファン3を支持するブラケット8が取り付けられており、排気ファン3全体を筒状ダクト部5内に収めている。これにより、筐体内の暖気は排気ダクト2に誘導され、筐体内で滞留・攪拌することを防止できる。その結果、従来のように電気機器9の上部に仕切板10を設ける必要もないので、筐体内の収納スペースを広げることができる。なお、本実施形態では排気ファン3をブラケット8で支持する構造としたが、これに限定されるものではなく、例えば筒状ダクト部5に直付けしてもよい。
【0015】
上記においては排気ダクト2、排気ファン3、排気口7の位置関係について示したものであるが、以下に排気ダクト2の構造の詳細について説明する。図2及び図4に示すように、第1の実施形態の排気ダクト2は筒状ダクト部5、排気枠11、フード12からなる。筒状ダクト部5の一端は筐体本体1に取付形成し、筒状ダクト部5の他端は筒状ダクト部5から離れる方向に折り曲げ形成された折曲辺5a、折曲辺5aより電気機器収納用箱の方向に垂下げて形成された垂下辺5bを形成している。排気枠11は筒状ダクト部5より大きい枠体で面全体をパンチングメタルで形成した排気口7を有する排気面11a、排気面より折曲げ形成した折曲辺11bを形成している。フード12は天面12a及び天面12aの端部から垂下げ形成された側面12b、側面12bよりフード12の内側に折曲げ形成された折返面12cから形成され、筒状ダクト部5及び排気枠11を覆うように形成される。
【0016】
筒状ダクト部5の左右面もしくは前後面の何れかにクランク状のブラケット13を形成しており、ブラケット13は筒状ダクト部5に取り付けられる取付面13c、取付面13cより離れる方向に折り曲げた折曲辺13b、折曲辺13bの端部から立上げた立上辺13aからなる。排気枠11は筒状ダクト部5を覆うように取り付け、排気枠11をブラケット13にて仮保持させた状態で、排気面11aと筒状ダクト部5の垂下辺5bをねじで固定させる(図記載なし)。なお、この際、排気枠11の高さは筒状ダクト部5の折曲辺5aより突出しないようになっており、排気枠11により通風路を阻害しないように形成している。また、フード12の側面12bの左右面もしくは前後面の何れかに取付孔12dを形成しており、排気枠11を筒状ダクト部5に取り付けた後、フード12を被せ、側面12bの取付孔12d、ブラケット13の立上辺13aの取付孔13dを対応させてねじ止め固定するものである。
【0017】
なお、以上に説明した第1の実施形態の折返部6は、フード12の天面12aの端部及び側面12b、折返面12c及び筒状ダクト部5の折曲辺5a及び垂下辺5bにより形成され、折返部6の端部に排気口7が形成される構造になるものである。また、第2の実施形態に示すように排気口7が折返部6方向を向くように形成する場合は、排気枠11の上端を折曲形成し、折曲げ形成した上端を排気口7で形成し、その他の部分は板面で形成すれば良いものである。
【0018】
以上に説明したように、本発明に係る電気機器収容用箱は、排気口を筒状ダクト部方向、すなわち内側に向けて形成したので雨水や塵等の異物の侵入を阻止できる。さらに、排気ファンを筒状ダクト部5内に備えたので、電気機器の取付スペースを確保しつつ筐体内の暖気の攪拌を防止できる、等の利点を有する。
【符号の説明】
【0019】
1 筐体本体
2 排気ダクト
3 排気ファン
4 開口部
5 筒状ダクト部
6 折返部
7 排気口
8 ブラケット
9 電気機器
10 仕切板
11 排気枠
12 フード
13 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電気機器を収納した筐体本体の天面から突出する排気ダクトを取り付けた電気機器収納用箱であって、
該排気ダクトは、一端が筐体本体に形成された開口部に連設された筒状ダクト部と、該筒状ダクト部の他端に形成した折返部と、該折返部の端部に形成した排気口とからなり、
該筒状ダクト部内には、筐体内部の排気を行う排気ファンを備え、
該排気口を、排気ダクトの筒状ダクト部方向もしくは電気機器収納用箱より離れる方向に向けて開口形成したことを特徴とする電気機器収納用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−66285(P2013−66285A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203015(P2011−203015)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】