説明

電気機器用保護カバー

【課題】電気機器に配置された操作部品の列を覆うことができ、かつ必要に応じて覆われた操作部品のみを露出させることができるカバーを提供する。
【解決手段】本発明の電気機器用保護カバー1は、絶縁性の被覆シート2,3と、該被覆シート2,3に取り付けられておりかつ電気機器の操作部品の列の前面の位置に配置されている絶縁性のスライドファスナーを含んでおり、スライドファスナーは、上記操作部品の列の方向に並んだ務歯列20,21と、該務歯列20,21上をその両端から中央に向かって変位することにより務歯を噛み合わせる2個のスライダー60,61とを有しており、2個のスライダー60,61の少なくとも一方を務歯20,21上を変位させることにより互いに接近させたときに、2個のスライダー60,61間の噛み合っていない務歯によって少なくとも1個の操作部品を操作することのできる大きさの開口O1が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電気(電子)機器の筐体上または内部に配置されている該機器の使用過程において作業員による操作が施される操作部品の列を少なくとも覆うことができる電気機器用保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
各種電気機器における防塵性や絶縁性を確保するために、電気機器の全体または一部を覆う被覆シートで構成されたカバーが使用されている。例えば、特開平7−143621号公報(特許文献1)は、図18に示す、配電盤90に内蔵された器具89の前面側に配置される保護カバー91を提案している。このカバー91は柔軟な絶縁性薄板状部材により構成されており、カバー91の上端部が押さえ板96により取付枠94に固定され、下端部が面ファスナー93A,93Bにより取付枠95に着脱可能に係止されるようになっている。カバー91を構成する薄板状部材は、その上端部を除いて垂直方向の切れ目によって複数部分に分割されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−143621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気機器の動作や保守点検等の使用過程において、機器に備えられているスイッチや調節つまみを操作したり、端子台の接続端子に配線を施したり、端子間の電流や電圧を測定したりするなどの作業が必要になる。そして、高機能を有する電気機器であればあるほど、備えられているスイッチ、調節つまみ、端子等の操作部品(本発明において、電気機器の動作や保守点検等の電気機器の使用過程において、作業員による操作、例えば、スイッチのオン/オフ操作、調節つまみのボリューム調整、配線作業、電流や電圧の測定、部品の動作確認等が施される、スイッチ、調節つまみ、端子台上の接続端子、各種電気(電子)部品に付属している電極、パワーターミナル、試験ターミナル、コネクター等をまとめて「操作部品」という。)の点数が多くなり、これらの操作部品が列をなして電気機器の筐体上または内部に配置されている。そして、このような操作部品の列の前面に特許文献1に開示されているカバーを配置した場合には、保護カバー91の対応する分割部分の下端部を取付枠95から外して捲り上げた後に必要な作業を行うことになるが、捲り上げられた分割部分に覆われていた操作部品(器具89)の列の全体が同時に露出することになるため、例えば目的のスイッチ以外のスイッチを誤ってオンにしてしまい、または目的の端子以外の端子に誤って触れてしまい、電気機器の故障を招いたり感電事故を招いたりする危険がある。
【0005】
このような危険性は、絶縁性のシートで構成された保護カバーの一部を切断して開口を形成し、作業のために必要な操作部品のみが開口から露出するようにすることによって回避されうる。しかしながら、保護カバーに形成された開口部分はその後常時開放状態となってしまうため、使用後の保護カバーはもはや電気機器の覆うべき領域の全体を覆うためのカバーとしては使用することができず、廃棄せざるを得なくなり、経済的に極めて不利である。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、各種電気機器に配置された操作部品の列を少なくとも覆うことができ、かつ必要に応じて覆われた一部分に当たる操作部品のみを露出させることができるように構成され、かつ繰り返し使用することができる電気機器用保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題は、電気機器の筐体上または内部に配置されている該機器の使用過程において作業員による操作が施される操作部品の列を少なくとも覆う電気機器用保護カバーであって、絶縁性の被覆シートと、該被覆シートに取り付けられておりかつ上記操作部品の列の前面の位置に配置される絶縁性のスライドファスナーとを含んでおり、上記スライドファスナーは、上記操作部品の列に沿って伸びる務歯列と、該務歯列上をその両端から中央に向かって変位することにより務歯を噛み合わせる2個のスライダーとを有しており、上記2個のスライダーの少なくとも一方を務歯列上を変位させることにより2個のスライダーを互いに接近させたときに、2個のスライダー間の噛み合っていない務歯によって少なくとも1個の上記操作部品を操作することのできる大きさの開口が形成されるようになっている電気機器用保護カバーによって達成される。
【0008】
本発明において、「絶縁性」の被覆シートおよびスライドファスナーには、全体が絶縁材料で構成された物の他、表面のみが絶縁材料で被覆された物も含まれる。また、本発明の保護カバーによって保護される操作部品の列に含まれる操作部品の数は複数であれば限定がなく、一列に複数種類の操作部品が含まれていてもよい。さらに、操作部品の列の方向には限定がなく、操作部品が直線的に並んで列を形成していてもよく、曲線的に並んで列を形成していてもよい。また、本発明の保護カバーは、電気機器の筐体表面を覆っていてもよく、例えば図18に示されているように内部に配置された操作部品の列を覆うために本発明の保護カバーを使用することもできる。また、操作部品の列の近傍のみを覆うために本発明の保護カバーを使用することもできる。
【0009】
本発明によると、電気機器の使用過程において作業員による操作が施される操作部品の列の前面に配置された絶縁性のスライドファスナーの2個のスライダーの位置を変更することにより、噛み合っていない務歯によって形成される開口の位置および大きさを任意に変更することができ、上記操作部品の列の中の実際に操作を施す対象の操作部品の位置に開口を形成すると共に、対象の操作部品以外の操作部品を噛み合った務歯によって確実に被覆することができるため、他の操作部品に対して間違った操作が施されるのを防止することができる。また、必要に応じて開口位置を変更した際には、変更前の開口部分がスライドファスナーの噛み合った務歯により被覆されるため、保護カバーを廃棄することなく繰り返し使用することができる。
【0010】
本発明では、1枚の被覆シートを使用し、この被覆シートの上記操作部品の列の前面に配置される位置に、上記操作部品の列に沿って伸びるスリット部を形成し、このスリット部に上述のようなスライドファスナーを取り付けることもできるが、上記操作部品の列に沿って伸びる縁部を互いに対向させて配置される少なくとも2枚の被覆シートを使用してもよい。この形態では、上記スライドファスナーの務歯列が隣接して配置される被覆シートの対向する縁部にそれぞれ設けられており、上記スライドファスナーの2個のスライダーが一方の被覆シートの務歯列上に2個または両方の被覆シートの務歯列上に1個ずつ設けられており、各スライダーを務歯列の端部に位置させ、この端部位置において、一方の務歯列に設けられている各スライダーを対向する他方の務歯列の端部の務歯に嵌合させた後、上記2個のスライダーの少なくとも一方を務歯列上を変位させることにより2個のスライダーを互いに接近させたときに、隣接して配置される被覆シートが接続されるとともに、2個のスライダー間の噛み合っていない務歯によって少なくとも1個の上記操作部品を操作することのできる大きさの開口が形成されるようになっている。
【0011】
この少なくとも2枚の被覆シートを使用する形態によると、縁部に務歯列およびスライダーが設けられた種々の大きさの被覆シートを予め準備しておき、準備した被覆シートを適当に組み合わせることにより、使用する電気機器の操作部品の列に適合させた保護カバーを迅速かつ容易に形成することができる。この場合に、上記対向する縁部に設けられた務歯列の長さが同じであると、両方の務歯列に跨った開口が形成されることになり、上記対向する縁部に設けられた務歯列の長さが異なっていると、長い方の務歯列の方に偏った開口が形成されることになる。
【0012】
本発明の電気機器用保護カバーは、上記被覆シートおよび上記スライドファスナーを、例えばポリプロピレンのような透明材料により構成するのが好ましい。透明材料により構成すると、務歯列上のスライダーの固定位置、従ってまた、噛み合っていない務歯により形成される開口の位置および大きさを変更する際に、操作対象とすべき操作部品が見えるので、変更後の開口の位置および大きさを容易に決定することができるため好ましい。また、スライダーの形状は、務歯列上をその端部から中央に向かって変位することにより務歯を噛み合わせることが可能であれば特に限定がないが、務歯列が噛み合った状態から噛み合っていない状態に移行するときの、または噛み合っていない状態から噛み合った状態に移行するときの、務歯列の伸びる方向を略直角に変更させるための案内部材、例えば案内ローラ、がスライダーに設けられていると、務歯列の伸びる方向の変更がスムーズに進み、従って開口位置の変更作業を行い易くなるため好ましい。
【0013】
本発明の電気機器用保護カバーにおいて、互いに接近した2個のスライダーの間に配置される、噛み合っていない務歯によって形成される開口の形状を規定する保形部材をさらに備えることができる。この保形部材により開口の形状が所定形状に維持されるため、作業員による開口内の操作部品に対する操作が実行しやすくなる。また、開口の形状を保ったまま開口位置を変更することができる。このとき、上記スライダーに、上記保形部材を接続するための係止部が設けられているのが好ましい。2個のスライダーのそれぞれの係止部に保形部材を接続することにより、作業員が一方のスライダーに対して務歯列上を移動させる作業を行うだけで、保形部材および他方のスライダーが追随して務歯列上を移動するため、開口の位置の変更を容易に行うことができる。
【0014】
上記保形部材は、例えば硬質ゴムのような弾性材料により構成するのが好ましい。弾性部材により構成すると、噛み合っていない務歯によって形成される開口に保形部材を設置する際の設置操作を容易に行うことができるため好ましい。
【0015】
保形部材の形状は、開口の形状を所定形状に維持できるものであれば特に制限はないが、例えば、噛み合っていない務歯列を嵌入させるための溝部を備えた環状部材、例えば全円状または略矩形状の環状部材、または、噛み合っていない務歯列を嵌入させるための溝部を備えた半環状部材、例えば半円状または略コ字状の半環状部材を保形部材として用いることができる。この形態では、噛み合っていない務歯列を保形部材の溝部内に嵌入させることにより開口の形状が規定され、また開口位置の変更時には、保形部材が噛み合わない務歯列を溝部の内面に接触させながらスライダーに追随して移動するため、開口形状を保ったままで開口位置の移動を容易に行うことができる。
【0016】
また、噛み合っていない務歯列によって形成される開口内に挿入される脚部を備えた環状部材、例えば全円状または略矩形状の環状部材、または、噛み合っていない務歯列によって形成される開口内を貫通する脚部を備えた半環状部材、例えば半円状または略コ字状の半環状部材を保形部材として用いることもできる。この形態では、噛み合っていない務歯列によって形成される開口内に脚部を挿入することにより開口の形状が規定され、また開口位置の変更時には、保形部材が噛み合わない務歯列を脚部に接触させながらスライダーに追随して移動するため、開口形状を保ったままで開口位置の移動を容易に行うことができる。そして、この形態では、上記脚部における務歯列との接触部に回転自在なローラが取り付けられていると、噛み合わない務歯列がローラ上を滑りながら通過するため、開口位置の移動がさらに容易になる。
【0017】
また、上記環状または半環状の保形部材が複数の棒状部材を接続することにより形成されており、隣接する棒状部材どうしが一方の棒状部材に備えられた他方の棒状部材の周面に摺動自在に係合する接続部を介して接続されており、噛み合っていない務歯によって形成される開口の大きさが調節できるようになっていると、操作対象の操作部品の大きさに合わせてその部品を操作するのに適した開口の大きさに調節することができるため好ましい。
【0018】
本発明の電気機器用保護カバーでは、上記操作部品の列の前面以外の領域を覆う被覆シートをさらに含んでもよく、この場合には、隣接する被覆シートを上述のようなスライドファスナー機構により互いに接続することができる。この形態により、例えば電気機器の筐体全体を覆う保護カバーを形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スライドファスナーにおける2個のスライダーの少なくとも一方を務歯列上を変位させて2個のスライダーを互いに接近させることにより、噛み合っていない務歯により形成された開口から、作業員による操作が必要な操作部品のみ、例えばオンオフ操作が必要なスイッチのみ、配線作業を施す必要のある端子のみを露出させることができ、間違った操作を回避することができる。また、その開口の形状を維持する保形部材を利用することにより、操作部品に対する操作を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る電気機器用保護カバーについて、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態は、電気機器の筐体上に配置された操作部品の列を覆うために使用される、複数枚の被覆シートを組み合わせて形成された保護カバーに相当する。
【0022】
図1は、操作部品としてのスイッチの列を筐体の前面に有する電気機器に対して使用される本実施の形態の保護カバーを示している。図1(A)は本実施の形態の保護カバーを装着した電気機器の概略的な斜視図であり、図1(B)は本実施の形態の保護カバーのみを概略的に示している。
【0023】
電気機器80は、筐体の前面に、計器81や操作部品としてのスイッチの列82,83,84,85を備えており、本実施の形態の保護カバー1の上辺部と下辺部が、電気機器80に付属の押さえ板80a,80bにより、電気機器80の筐体の前面の上辺部と下辺部に取り付けられている。
【0024】
本実施の形態の保護カバー1は、スイッチの列82,83,84,85に沿って伸びる縁部を互いに対向させて配置された、5枚の絶縁性で透明な樹脂で形成された矩形状の被覆シート2,3,4,5,6を含んでいる。そして、これらの被覆シート2,3,4,5,6の互いに隣接する縁部には、絶縁性で透明な樹脂製のオープンファスナーのテープ半体がそれぞれ取り付けられている。
【0025】
図2には、上から1枚目の被覆シート2と上から2枚目の被覆シート3の隣接領域を拡大して示す。図2(A)には、分離している状態の被覆シート2,3を示しており、図2(B)には、スライドファスナー機構により接続された状態の被覆シート2,3を示している。図2(A)に示すように、被覆シート2と被覆シート3の互いに対向する縁部には、等しい長さの務歯列20,21を有するテープ半体10,11がそれぞれ取り付けられている。そして、各務歯列20,21の一方の端部には箱40,41が、他方の端部には蝶棒50,51がそれぞれ設けられており、また、各務歯列20,21上にはそれぞれ1個のスライダー60,61が係合している。スライダー60,61には、被覆シート2、3の外面側に、スライダー60,61を移動させるための引き手60a,61aが設けられており、被覆シート2,3の内面側(電気機器に対向する面側)に、後述する保形部材70を接続するための係止部60b,61b(図4参照)が設けられている。
【0026】
各スライダー60,61を箱40,41に隣接させて務歯列20,21の端部に位置させ、この端部位置において、被覆シート2側のスライダー60に被覆シート3側の蝶棒50を係合させ、蝶棒50の先端を箱40内に嵌入させた後、スライダー60の引き手60aを把持してスライダー60を務歯列20,21上をスライダー61の方向に移動させることにより、または、被覆シート3側のスライダー61に被覆シート2側の蝶棒51を係合させ、蝶棒51の先端を箱41内に嵌入させた後、スライダー61の引き手61aを把持してスライダー61を務歯列20,21上をスライダー60の方向に移動させることにより、対向する務歯列20,21の務歯20a、21aが噛み合い、2枚の被覆シート2,3が接続される。そして、図2(B)に示すように、2個のスライダー60,61の少なくとも一方を務歯列20,21上を移動させ、2個のスライダー60,61を適当な離間距離まで接近させると、2個のスライダー60,61間の噛み合っていない務歯20a,21aによって、開口O1が形成される。
【0027】
図3には、上から2枚目の被覆シート3と上から3枚目の被覆シート4の隣接領域を拡大して示す。図3(A)には、分離している状態の被覆シート3,4を示しており、図3(B)には、スライドファスナー機構により接続された状態の被覆シート3,4を示している。図3(A)に示すように、被覆シート3と被覆シート4の互いに対向する縁部には、長さの異なる務歯列22,23を有するテープ半体12,13がそれぞれ取り付けられている。そして、短い方の務歯列22の両端部には箱42,43が、長い方の務歯列23の両端部には蝶棒52,53がそれぞれ設けられており、さらに、短い方の務歯列22上には、2個のスライダー62,63が係合している。スライダー62,63には、被覆シート3,4の外面側に、スライダー62,63を移動させるための引き手62a,63aが設けられており、被覆シート3,4の内面側(電気機器に対向する面側)に、後述する保形部材71を接続するための係止部62b,63b(図6参照)が設けられている。
【0028】
被覆シート3側の各スライダー62,63を箱42,43に隣接させて務歯列22の両端部に位置させ、この端部位置において、スライダー62に被覆シート4側の蝶棒52を係合させた後、蝶棒52の先端を箱42に嵌入させ、スライダー62を引き手62aを用いて務歯列22,23上をスライダー63の方向に変位させることにより、または、スライダー63に被覆シート4側の蝶棒53を係合させた後、蝶棒53の先端を箱43に嵌入させ、スライダー63を引き手63aを用いて務歯列22,23上をスライダー62の方向に変位させることにより、対向する務歯列22,23の務歯22a,23aが噛み合い、2枚の被覆シート3,4が接続される。そして、図3(B)に示すように、2個のスライダー62,63の両方に蝶棒52,53を係合させ、2個のスライダー62,63の少なくとも一方を務歯列22,23上を移動させ、2個のスライダー62,63を適当な離間距離まで互いに接近させると、2個のスライダー62,63間の噛み合っていない務歯22a,23aによって開口O2が形成される。開口O2は、長い方の務歯列23を有する被覆シート4の方に偏って広がっている。
【0029】
上から3枚目の被覆シート4と上から4枚目の被覆シート5との間の隣接領域における務歯列24,25とスライダー64,65を含むスライドファスナー機構の構成は、上述の被覆シート2と被覆シート3の間の隣接領域における構成と同様であり、上から4枚目の被覆シート5と上から5枚目の被覆シート6との間の隣接領域における務歯列26,27とスライダー66,67を含むスライドファスナー機構の構成は、上述の被覆シート3と被覆シート4の間の隣接領域にける構成と同様であり、説明を省略する。
【0030】
本実施の形態の保護カバー1が装着された電気機器80における操作部品としてのスイッチのオン/オフ操作に先立って、隣接して配置された被覆シートの間の2個のスライダーの間に保形部材が取付けられる。
【0031】
図4には、上から1枚目の被覆シート2と上から2枚目の被覆シート3の間のスライダー60,61間の開口O1に配置される保形部材70とその設置方法を示す。スライダー60,61の間には、開口O1の形状を維持するための絶縁性の樹脂で形成された保形部材70が設置される。保形部材70は、スライダー60,61の移動方向と平行に配置されるべき一対の横辺部70aと、スライダー60,61の移動方向と垂直に配置されるべき一対の縦辺部70bとからなる略矩形状の環状部材であり、横辺部70aと縦辺部70bで囲まれた保形部材開口域S1の大きさは、スイッチの列82を構成するスイッチ82aを露出させてオン/オフ操作するのに十分な大きさを有している。一対の横辺部70aの両端部近傍には、開口O1に挿入されるべき脚部70cがそれぞれ2個設けられており、脚部70cは、横辺部70aおよび縦辺部70bを含む平面に対して垂直に伸びるスライダー60,61間の噛み合っていない務歯20a,21aを接触させるための務歯接触部70dと、務歯接触部70dの先端から直角に屈曲して外方に向かって伸びる被覆シート2,3の縁部および後述するローラ70fが脚部70cから脱落するのを防止するための脱落防止部70eとを有している。そして、それぞれの脚部70cの務歯接触部70dには、ローラ70fが回転自在に取り付けられている。円筒状のローラ70fは、両端に移行するに連れて太くなっており、中央の凹部に噛み合っていない務歯20a,21aが接触してローラ70fから脱落しにくいようになっている。
【0032】
保形部材70をスライダー60,61に取り付ける際には、保形部材70を被覆シート2,3の内面側(電気機器に対向する面側)に持って行き、脚部70cを開口O1内に挿入した後、縦辺部70bの中央部をスライダー60,61の係止部60b,61bにそれぞれ係合させ、噛み合っていない務歯20a,21aをローラ70fの中央の凹部に当接させる。
【0033】
図5は、上述のようにして保形部材70をスライダー60,61間の開口O1に取付けた保護カバー1の使用方法を示す。作業者は、電気機器80のスイッチの列82のいずれかのスイッチ82aのオン/オフ操作をしたい場合に、一方のスライダー60または61の引き手60aまたは61aを把持して務歯列20,21上を操作対象のスイッチ82aの方に移動させると、保形部材70および他方のスライダー60または61が追随して移動する。そして、保形部材70は、噛み合っていない務歯20a,21aを保形部材70のローラ70fに接触させながら移動する。従って、スライダー60,61の務歯列20,21上での移動によっても開口O1の形状が維持され、操作対象のスイッチ82aが開口O1から露出するようにすることができ、作業員は他のスイッチを誤って操作することなく、開口O1から露出したスイッチ82aのオン/オフ操作を確実に行うことができる。
【0034】
図6には、上から2枚目の被覆シート3と上から3枚目の被覆シート4の間のスライダー62,63間の開口O2に配置される保形部材71とその設置方法を示す。スライダー62,63の間には、開口O2の形状を維持するための絶縁性の樹脂で形成された保形部材71が設置される。保形部材71は、スライダー62,63の移動方向と平行に配置されるべき横辺部71aと、スライダー62,63の移動方向と垂直に配置されるべき一対の縦辺部71bとからなる略コ字状の半環状部材であり、横辺部71aと一対の縦辺部71bおよび縦辺部71bの端部を結ぶ直線で囲まれた保形部材開口域S2の大きさは、スイッチの列83を構成するスイッチ83aを露出させてオン/オフ操作するのに十分な大きさを有している。横辺部71aの両端部近傍には、開口O2に挿入されるべき脚部71cが2個設けられている。脚部71cは、横辺部71aおよび縦辺部71bを含む平面に対して垂直に伸びるスライダー62,63間の噛み合っていない務歯23aを接触させるための務歯接触部71dと、務歯接触部71dの先端から直角に屈曲して外方に向かって伸びる被覆シート4の縁部および後述するローラ71fが脚部71cから脱落するのを防止するための脱落防止部71eとを有している。そして、それぞれの脚部71cの務歯接触部71dには、ローラ71fが回転自在に取り付けられている。円筒状のローラ71fは両端に移行するに連れて太くなっており、中央の凹部に噛み合っていない務歯23aが接触してローラ71fから脱落しにくいようになっている。
【0035】
保形部材71をスライダー62,63に取り付ける際には、保形部材71を被覆シート3,4の内面側(電気機器に対向する面側)に持って行き、横辺部71aが被覆シート4側に来るように配置し、脚部71cを開口O2内に挿入した後、一対の縦辺部71bの端部をスライダー62,63の係止部62b,63bにそれぞれ係合させ、噛み合っていない務歯23aをローラ71fの中央の凹部に当接させる。
【0036】
図7は、上述のようにして保形部材71をスライダー62,63間の開口O2に取付けた保護カバー1の使用方法を示す。作業者は、電気機器80のスイッチの列83のいずれかのスイッチ83aのオン/オフ操作をしたい場合に、一方のスライダー62または63の引き手62aまたは63aを把持して務歯列22,23上を操作対象のスイッチ83aの方に移動させると、保形部材71および他方のスライダー62または63が追随して移動する。そして、保形部材71は、噛み合っていない務歯23aを保形部材71のローラ71fに接触させながら移動する。従って、スライダー62,63の務歯列22,23上での移動によっても開口O2の形状が維持され、操作対象のスイッチ83aが開口O2から露出するようにすることができ、作業員は他のスイッチを誤って操作することなく、開口O2から露出したスイッチ83aのオン/オフ操作を確実に行うことができる。
【0037】
上から3枚目の被覆シート4と上から4枚目の被覆シート5との間における保形部材およびその取り付け方法、使用方法は、上述の被覆シート2と被覆シート3の間における保形部材およびその取り付け方法、使用方法と同様であり、上から4枚目の被覆シート5と上から5枚目の被覆シート6との間における保形部材およびその取り付け方法、使用方法は、上述の被覆シート3と被覆シート4の間における保形部材およびその取り付け方法、使用方法と同様であり、説明を省略する。
【0038】
本実施の形態の保護カバー1によると、作業員は、操作対象のスイッチのみを開口から露出させることにより、他のスイッチを誤ってオン/オフ操作することなく、操作対象のスイッチを確実に操作することができる。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態は、電気機器の筐体上に配置された端子台における接続端子の列を覆うために使用される保護カバーに相当する。
【0040】
図8は、本実施の形態の保護カバーおよび該カバーを装着する操作部品としての接続端子の列を有する端子台を筐体の背面に有する電気機器の概略的な斜視図である。図8(A)は保護カバーを装着される電気機器の概略的な斜視図であり、図8(B)は保護カバーを装着した状態の概略図である。電気機器80は、筐体の背面に、操作部品としての接続端子の列86を有する端子台87を備えており、本実施の形態の絶縁性材料で構成された保護カバー1は、電気機器80の6面を覆っている。
【0041】
図9は、本実施の形態の保護カバー1の展開図を示している。保護カバー1における被覆シート7Aは電気機器80の天面並びに底面を覆い、被覆シート7Bは電気機器80の背面を覆い、被覆シート7Cは電気機器80の正面を覆い、被覆シート7Dは電気機器80の側面を覆っている。また、各被覆シート7A〜7Dの各縁部には、スライドファスナー機構を構成する、務歯列30と、この務歯列30上を変位するスライダー31と、務歯列30の一端に設けられた箱32、務歯列30の他端に設けられた蝶棒33、スライダー31の脱落を防止する止め具34とが備えられており、隣接する被覆シート7A〜7Dの対向する縁部に設けられた蝶棒33を対向する箱32に係合し、スライダー31を変位操作することによって、対向する務歯列30が互いに噛み合い、隣接する被覆シート7A〜7Dが互いに接続されるようになっている。
【0042】
被覆シート7Bの電気機器80の端子台87の位置に配置される部分には、端子台87の接続端子の列86に沿って伸びるスリット8が形成されており、スリット8の端部近傍の位置には、被覆シート7Bを端子台87に取付けるための孔9が設けられている。
【0043】
スリット8には、絶縁性で透明な材料で構成されたいわゆる頭合わせのスライドファスナー14、すなわち、スリット8の長さと略等しい長さを有する互いに噛み合うことができる務歯列28,29と、務歯列28,29上をその両端から中央に向かって変位することにより務歯列28,29の務歯28a,29aを噛み合わせる2個のスライダー68,69とを含むスライドファスナー14が取付けられている。スライダー68,69には、被覆シート7Bの外面側に、スライダー68,69を移動させるための引き手68a,69aが設けられており、被覆シート7Bの内面側(電気機器に対向する面側)に、後述する保形部材72を接続するための係止部68b,69b(図10参照)が設けられている。スライダー68,69の少なくとも一方を務歯列28、29上を変位させて務歯28a,29aを噛み合わせ、2個のスライダー68,69を適当な離間距離まで接近させると、2個のスライダー68,69間の噛み合っていない務歯28a,29aによって開口O3が形成される。
【0044】
開口O3には、開口O3の形状を維持するための絶縁性の硬質ゴムで形成された保形部材72が取付けられている。図10には、保形部材72とその設置方法を示す。保形部材72は全円状の部材であり、円に囲まれた保形部材開口域S3は、端子台87の1個の接続端子86aの全体が開口域S3から視認できるような大きさに設定されている。環の外周に、噛み合っていない務歯28a,29aを嵌入させるための溝部72aを備えており、さらに、環には、スライダー68,69の係止部68b,69bに接続させるための一対の腕部72bが設けられている。
【0045】
保形部材72をスライダー68,69に取り付ける際には、保形部材72を被覆シート7Bの内面側(電気機器に対向する面側)に持って行き、開口O3内に挿入した後、一対の腕部72bをスライダー68,69の係止部68b,69bにそれぞれ係合させ、噛み合っていない務歯28a,29aを保形部材72の溝部72aに挿入する。その後、被覆シート7Bに設けられた孔9に通した螺子により電気機器80の端子台87の両端に被覆シート7Bを固定する。
【0046】
図11は、上述のようにして保形部材72をスライダー68,69間の開口O3に取付けた保護カバー1の使用方法を示す。作業者は、電気機器80の端子台87の接続端子の列86のいずれかの接続端子86aに配線操作を施したい場合に、一方のスライダー68または69の引き手68aまたは69aを把持して務歯列28,29上を操作対象の接続端子86aの方に移動させると、保形部材72および他方のスライダー68または69が追随して移動する。そして、保形部材72は、噛み合っていない務歯28a,29aを保形部材72の溝部72aの内面に接触させながら移動する。従って、スライダー68,69の務歯列28,29上での移動によっても開口O3の形状が維持され、操作対象の接続端子86aの真上に開口O3を配置することができ、作業員は他の接続端子に誤って配線操作を施すことなく、開口O3から視認できる接続端子86aに対して確実に配線操作を施すことができる。
【0047】
以上、2つの実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能である。
【0048】
例えば、図12(A)に示す細長い略長方形状や、図12(B)に示す長さの異なる平行な2つの縁部を有する略台形状、あるいは、図12(C)に示す楕円形状といった被覆シート2Aを組み合わせて、この被覆シート2Aの縁部に務歯列20Aを配置し、無歯列20A上にスライダー60Aを配置し、電気機器の大きさ、形状、覆うべき部位(面)に合わせてこれらの被覆シート2Aを組み合わせて保護カバーを形成することができる。また、操作部品の列を覆うスライドファスナーの務歯列の長さや務歯列の伸びる方向も、操作部品の数や操作部品の列の伸びる方向等の条件によって変更することができる。
【0049】
また、保形部材の形状も上述の実施形態における形状に限定されず、複数の棒状部材を接続することにより構成することもできる。例えば、図13に示した保形部材73のように、一対の略コ字形状の部材73a,73bと、この部材73a,73bにそれぞれ設けられた被覆シート2Aの表裏に跨る脚部(図示せず)を介してローラ73cとを備え、部材73a,73bの両端どうしがインロー方式で密接に係合するように構成してもよい。このインローの係合度合(入り込み深さ)によって、開口O4の大きさを調整することができる。
【0050】
また、図14に示した保形部材74は、絶縁性材料からなる略L形状に形成された部材74aと、部材74aの端部の接続部74bに密接かつ摺動自在に挿入されるスライダーの移動方向に平行に配置されるべき一対の棒状部材74cおよびスライダーの移動方向に垂直に配置されるべき一対の棒状部材74dと、部材74aに設けられた被覆シート2Aの表裏に跨る脚部(図示せず)を介して設けられたローラ75eとを備えており、棒状部材74c,74dの部材74aへの係合度合(入り込み深さ)によって開口O5の大きさを縦横方向に調整することができる。
【0051】
さらに、図15に示した保形部材75は、絶縁性の弾性材料からなる円弧形状に形成された連結部材75aと、この連結部材75aの端部の接続部75bに密接かつ摺動自在に挿入される絶縁性の弾性材料からなる円弧状部材75cと、連結部材75aの両端に設けられた被覆シート2Aの表裏に跨る脚部(図示せず)を介して設けられたローラ75dとを備えており、円弧状部材75cの連結部材75aへの係合度合(入り込み深さ)によって、開口O6の大きさを周方向で調整することができる。
【0052】
さらに、本発明では、保形部材を必ずしも使用する必要がない。図16には、保護カバー1の被覆シート2A,3Aにそれぞれ配置された務歯列20A,21A上を移動するスライダー60A,61Aの間に保形部材を設置しない形態を示す。図16(A)は2個のスライダー60A,61A間に形成された開口部近傍の概略的な正面図を示しており、図16(B)は図16(A)のA−Aに沿った断面図を示している。図16に示すように、電子機器80Aに取り付けられた操作部品としてのスイッチ82Aを操作時のみスライダー60A,61A間に形成された開口部から外方に突出させるようにすれば、スイッチ82Aの操作を支障なく行うことができる。
【0053】
また、本発明では、務歯列が噛み合った状態から噛み合っていない状態に移行するときの、または噛み合っていない状態から噛み合った状態に移行するときの、務歯列の伸びる方向を略直角に変更させるための案内ローラを案内部材としてスライダーに設けることもできる。図17には、保護カバーの被覆シート2A、3Aの務歯列20A,21A上を移動するスライダー60Aとして、案内ローラが2個設けられたスライダー60Aを使用した形態を示す。図17(A)はスライダー60Aの近傍の概略的な正面図を示しており、図17(B)は図17(A)のB−Bに沿った断面図を示している。スライダー60Aの外面側基部60cの頭部(スライダー間に形成される開口部に接近した側)には、内面側基部60dの方向に向かって伸びる軸60eが設けられており、この軸60eには案内ローラ60fがそれぞれ回転可能に軸支されている。被覆シート2A,3Aの縁部に配置された互いに噛み合っている務歯列20A,21Aがスライダー60Aから開口部O7側に出て噛み合わせが解かれる際に、務歯列20A,21Aを構成する務歯20Aa,21Aaのシート側端部20aa,21aaが案内ローラ60fに当接した状態で、噛み合わせが解かれた務歯列が噛み合っている務歯列の伸びる方向に対して略垂直な方向に案内される。従って、引き手(図示せず)を用いてスライダー60Aの位置を変更する際に、案内ローラ60fがスライダー60A内から開口部O7への務歯列20A,21Aの案内、または、開口部O7からスライダー60A内への務歯列20A,21Aの案内を円滑に進めるため、開口位置の変更作業を行い易くなる。
【0054】
スライダー60Aによって噛み合わせられる務歯列20A,21Aの長さが略等しい場合には、図17に示すように、それぞれの務歯列を案内するために各1個の案内ローラ60fをスライダー60Aに設けるが、スライダー60Aによって噛み合わせられる務歯列20A,21Aの長さが異なる場合には、スライダー60Aには長い方の務歯列を案内するための案内ローラ60fを1個だけ設けておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】電気機器に対して使用される保護カバーの一実施形態を示している。(A)は保護カバーを装着した電気機器の概略的な斜視図であり、(B)は保護カバーのみの概略図である。
【図2】図1における上から1枚目の被覆シートと上から2枚目の被覆シートの隣接領域の概略図である。(A)は、分離している状態の被覆シートを示しており、(B)は、接続された状態の被覆シートを示している。
【図3】図1における上から2枚目の被覆シートと上から3枚目の被覆シートの隣接領域の概略図である。(A)は、分離している状態の被覆シートを示しており、(B)は、接続された状態の被覆シートを示している。
【図4】図1における上から1枚目の被覆シートと上から2枚目の被覆シートの間のスライダー間に配置される保形部材の概略図および保形部材の取り付け方法の説明図である。
【図5】図4に示す保形部材が適用された保護カバーの使用方法の説明図である。
【図6】図1における上から2枚目の被覆シートと上から3枚目の被覆シートの間のスライダー間に配置される保形部材の概略図および保形部材の取り付け方法の説明図である。
【図7】図6に示す保形部材が適用された保護カバーの使用方法の説明図である。
【図8】別の実施の形態の保護カバーを示している。(A)は保護カバーを装着される電気機器の概略的な斜視図であり、(B)は保護カバーを装着した状態の概略図である。
【図9】図8に示す保護カバーの展開図である。
【図10】図8に示す保護カバーのスライダー間に配置される保形部材の概略図および保形部材の取り付け方法の説明図である。
【図11】図10に示す保形部材が適用された保護カバーの使用方法の説明図である。
【図12】本発明の保護カバーに用いられる被覆シートの組み合わせ例を示す平面図である。
【図13】保形部材の変形例を示す概略図である。
【図14】他の保形部材の変形例を示す概略図である。
【図15】他の保形部材の変形例を示す概略図である。
【図16】保護カバーのスライダー間に保形部材を設置しない形態を示している。(A)は2個のスライダー間に形成された開口部近傍の概略的な正面図であり、(B)は(A)のA−Aに沿った断面図を示している。
【図17】案内ローラを設けたスライダーを使用した形態を示している。(A)はスライダー近傍の概略的な正面図であり、(B)は(A)のB−Bに沿った断面図を示している。
【図18】従来技術の保護カバーを装着した電気機器の概略図である。
【符号の説明】
【0056】
1…保護カバー
2〜7,2A,3A、7A〜7D…被覆シート
8…スリット
9…孔
10〜13…テープ半体
14…スライドファスナー
20〜29,20A,21A…務歯列
20a,21a,22a,23a,28a,29a,20Aa,21Aa…務歯
30…務歯列
31…スライダー
32…箱
33…蝶棒
34…止め具
40〜43…箱
50〜53…蝶棒
60〜69,60A,61A…スライダー
60b,61b,62b,63b,68b,69b…係止部
60f…案内ローラ(案内部材)
70〜75…保形部材
70c,71c…脚部
72a…溝部
74b,75b…接続部
O1〜O7…開口
S1〜S3…保形部材開口域
80,80A…電気機器
82〜85…スイッチの列(操作部品の列)
82a,83a,82A…スイッチ(操作部品)
86…接続端子の列(操作部品の列)
86a…接続端子(操作部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の筐体上または内部に配置されている該機器の使用過程において作業員による操作が施される操作部品の列を少なくとも覆う電気機器用保護カバーであって、
絶縁性の被覆シートと、該被覆シートに取り付けられておりかつ前記操作部品の列の前面の位置に配置される絶縁性のスライドファスナーとを含んでおり、
前記スライドファスナーは、前記操作部品の列に沿って伸びる務歯列と、該務歯列上をその両端から中央に向かって変位することにより務歯を噛み合わせる2個のスライダーとを有しており、
前記2個のスライダーの少なくとも一方を務歯列上を変位させることにより2個のスライダーを互いに接近させたときに、2個のスライダー間の噛み合っていない務歯によって少なくとも1個の前記操作部品を操作することのできる大きさの開口が形成されるようになっている電気機器用保護カバー。
【請求項2】
前記電気機器用保護カバーが、前記操作部品の列に沿って伸びる縁部を互いに対向させて配置される少なくとも2枚の被覆シートを含んでおり、
前記スライドファスナーの務歯列が、前記対向する縁部にそれぞれ設けられており、
前記スライドファスナーの2個のスライダーが、一方の被覆シートの務歯列上に2個、または、両方の被覆シートの務歯列上に1個ずつ設けられており、
各スライダーを務歯列の端部に位置させ、この端部位置において、一方の務歯列に設けられている各スライダーを対向する他方の務歯列の端部の務歯に嵌合させた後、前記2個のスライダーの少なくとも一方を務歯列上を変位させることにより2個のスライダーを互いに接近させたときに、隣接して配置される被覆シートが接続されるとともに、2個のスライダー間の噛み合っていない務歯によって少なくとも1個の前記操作部品を操作することのできる大きさの開口が形成されるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の電気機器用保護カバー。
【請求項3】
互いに接近した2個のスライダーの間に配置される、噛み合っていない務歯によって形成される開口の形状を規定する保形部材を備えていることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の電気機器用保護カバー。
【請求項4】
前記スライダーに、前記保形部材を接続するための係止部が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の電気機器用保護カバー。
【請求項5】
前記保形部材が、噛み合っていない務歯列を嵌入させるための溝部を備えた環状部材または半環状部材であることを特徴とする、請求項3または4に記載の電気機器用保護カバー。
【請求項6】
前記保形部材が、噛み合っていない務歯列によって形成される開口内に挿入される脚部を備えた環状部材または半環状部材であることを特徴とする、請求項3または4に記載の電気機器用保護カバー。
【請求項7】
前記環状または半環状の保形部材が複数の棒状部材を接続することにより形成されており、隣接する棒状部材どうしが一方の棒状部材に備えられた他方の棒状部材の周面に摺動自在に係合する接続部を介して接続されており、噛み合っていない務歯によって形成される開口の大きさが調節できるようになっていることを特徴とする、請求項5または6に記載の電気機器用保護カバー。
【請求項8】
前記操作部品の列以外の部分を覆う被覆シートをさらに含んでおり、隣接する被覆シートがスライドファスナー機構により互いに接続されるようになっていることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1項に記載の電気機器用保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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