説明

電気機器装置

【課題】一列に配列された複数個の電気機器の何れかの交換作業や別の電気機器の増設作業を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】表示灯装置10に、本体1、表示灯2、取付金具3、取付ネジ4を設けた。所定個数の表示灯2を収納した本体1をパネル100の開口部101に前面側から貫通させ、パネル100の背面側で本体1の一端部から溝部5に取付金具3を挿入し、本体1の長手方向における任意の位置に配置する。取付金具3のネジ部に取付ネジ4を螺合させてパネル100の背面側から前面側に向けて締め込んでいくと、ネジ部41の先端がパネル100の背面に当接する。ネジ部41の先端と、本体1のフランジ14,15との間にパネル100を挟持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示灯等の少なくとも1個の電気機器を一列に配列して収納した電気機器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示灯等の電気機器は、複数個が一列に配列された状態で工場設備としての制御盤等のパネルに取り付けられる場合がある。複数個の電気機器をパネルに取り付ける構造として、複数個の電気機器を一列に配列して収納する中間枠体と、複数の中間枠体が嵌合する外側枠体とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところが、この構成では、一列に配列すべき電気機器の個数に応じて多数種の中間枠体を準備する必要がある。
【0004】
そこで、例えば金属板を素材とする長尺状の部材を押し出し成形等によって形成し、この部材を所定の長さに切断した2対(合計4本)の枠体で、一列に配列された複数個の電気機器の周囲を包囲するようにしたものがある。各枠体は、両端部で直交する他の枠体と結合される。
【特許文献1】実開平04−34809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、4本の枠体で一列に配列された複数個の電気機器の周囲を包囲する構成では、パネルに取り付けられた複数個の電気機器の何れかを、故障や使用状況の変化に応じて交換する作業が煩雑化する問題がある。即ち、1個の電気機器を交換する場合でも、枠体で包囲された複数個の電気機器の全てをパネルから取り外した後に枠体を分解しなければならない。
【0006】
また、パネルに取り付けられることなく使用される電気機器装置でも、所定個数の電気機器を一列に配列して組み立てた後に、別の電気機器を追加するためには、枠体を一旦分解して全ての部品を取り外す必要があり、作業が煩雑になる。
【0007】
この発明の目的は、電気機器を前面側から着脱できる一定の断面形状を呈する長尺状の部材を形成した後、収納すべき電気機器の個数に応じた長さにすることで、一列に配列された複数個の電気機器の何れかの交換作業や別の電気機器の増設作業を容易に行うことができる電気機器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のパネル用機器の取付構造は、本体を備えている。本体は、前面が開放するとともに収納すべき電気機器の断面形状に略一致する一定の断面形状に一体的に形成された長尺体を電気機器の収納個数に応じた長さにして構成されており、電気機器のそれぞれが個別に前面側から着脱自在に収納される。
【0009】
この構成では、電気機器を前面側から収納可能な断面形状の長尺体を電気機器の収納個数に応じた長さにした本体に、必要個数の電気機器が収納される。
【0010】
少なくとも1個の電気機器が前面側から着脱自在にして本体に収納されるため、本体に収納された複数個の電気機器の何れか1個は、他の電気機器を本体から取り外すことなく本体に着脱される。本体は、一定の断面形状を呈する長尺体を所定の長さにして構成されており、連結や切断によって電気機器の収納個数の増減が可能になる。
【0011】
この構成において、本体の背面に電気機器の収納個数に応じた数の少なくとも1種類の孔部を設け、この孔部に各電気機器を前面側から係合させて収納するようにしてもよい。単一又は複数個の電気機器のそれぞれを本体に対して前面側から着脱自在に収納することができる。
【0012】
また、本体の上面及び底面に全長にわたって一定の断面形状を呈する溝部を設けてもよい。溝部に嵌入する取付金具等の別部品を本体の長手方向における任意の位置に配置させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、電気機器を前面側から着脱できる一定の断面形状を呈する長尺状の部材を形成した後、収納すべき電気機器の個数に応じた長さに切断することで、一列に配列された複数個の電気機器の何れかの交換作業や別の電気機器の増設作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、この発明の実施形態に係る電気機器装置の一例である表示灯装置を示す分解斜視図である。図1に示す表示灯装置10は、制御盤等のパネルに電気機器としての表示灯2を取り付ける際に使用される。図1中のX軸、Y軸及びZ軸は互いに直交する方向である。X軸方向はパネルの厚さ方向であって表示灯装置10の前後方向であり、Y軸方向は表示灯装置10の左右方向であり、Z軸方向は表示灯装置10の上下方向である。
【0015】
表示灯装置10は、本体1、表示灯2、取付金具3、取付ネジ4、中間部材6、端部カバー7を備えている。
【0016】
本体1は、一例としてアルミニウムを素材として押出加工によって長尺状に形成された後、適宜必要な長さに切断される。図1に示す例では、3個の表示灯2を収納できる長さに切断されている。本体1には、3個の開口部11、12個の取付孔(孔部)12が打ち抜き加工等によって設けられる。本体1の上面及び底面の前端部には、上方及び下方に延出したフランジ部14,15が形成されている。また、上面及び底面には、本体1の全長にわたって一定断面形状の溝部5が形成されている。本体1は、充分な強度を備えることを条件として、樹脂を素材として形成することもできる。
【0017】
3個の表示灯2のそれぞれは、一例として内部に光源としての単一または複数のLEDを収納している。表示灯2の背面には、上端部及び下端部のそれぞれ2箇所の合計4箇所に、上下方向に弾性変形する爪21が形成されている。各表示灯3は、本体1の前面側から本体1内に収納され、各爪21が各取付孔12に弾性的に係合することで本体1に固定される。
【0018】
中間部材6は、3個の表示灯2のそれぞれの間に配置され、隣接する2個の表示灯2を連結する。2個の中間部材6は、3個の表示灯2とともに、本体1内に収納される。
【0019】
端部カバー7は、3個の表示灯2及び2個の中間部材6を収納した本体1の左右の端部に装着される。端部カバー7は、上下対称形状に成型されている。同一形状の2個の端部カバー7のそれぞれが、本体1の両端のそれぞれに装着される。端部カバー7を本体1の左右の端部に装着することで、両端部に位置する表示灯2の側面が被覆される。
【0020】
取付金具3は、一例としてSUS310等の金属板を素材とするプレス加工により、垂直面の支持部31を有する形状に成型されている。支持部31には、ネジ孔32が形成されている。取付金具3は、本体1の一方の端部から溝部5内に挿入され、本体1の長手方向の任意の位置に配置される。
【0021】
取付ネジ4は、ネジ部41と頭部42とからなる。ネジ部41は、表示灯装置10の背面側から、取付金具3のネジ孔32に螺合する。頭部42は、取付金具3の支持部31の背面に当接する。
【0022】
図2(A)及び(B)は、上記表示灯装置のパネルへの取付状態を示す断面図である。表示等装置10をパネル100に取り付ける際には、図2(A)に示すように、先ず、表示灯2を収納した本体1の背面側をパネル100の開口部101に、パネル100の前面側から貫通させる。次いで、パネル100の背面側で、上下の溝部5に本体1の一方の端部側から取付金具3を挿入し、本体1の長手方向(図1中のY軸方向)における任意の位置に配置する。この後、2本の取付ネジ4のそれぞれのネジ部41を、取付金具3のネジ孔32に螺合させる。
【0023】
図2(B)に示すように、ネジ孔32に螺合した2本の取付ネジ4をパネル100の背面側から前面側に向けて締め込んでいくと、ネジ部41の先端がパネル100に向かって移動し、パネル100の背面に当接する。
【0024】
ネジ孔32に対する取付ネジ4の締結力は、本体1をパネル100の背面側に向けて付勢するとともに、取付ネジ4をパネル100の前面側に向けて付勢する。この締結力によってネジ部32の先端は、本体1のフランジ14,15との間にパネル100における開口部101の周縁部を挟持し、本体1がパネル100に固定される。
【0025】
複数個の表示灯2は、本体1に対して前面側から着脱自在にされている。表示灯装置10をパネル100に取り付けた状態で、故障を生じた場合や使用形態の変化に対応すべく、本体1に収納されている複数個の表示灯2の何れかを本体1から取り外す場合に、表示灯装置10をパネルから取り外す必要がなく、交換作業を容易に行うことができる。
【0026】
取付金具3は、本体1の溝部5に嵌入し、本体1に対してX軸方向に移動することがない。このため、本体1のX軸方向の奥行きを取付金具3の移動量を考慮して設定する必要がなく、本体1を薄型に構成できる。
【0027】
また、取付金具3は本体1の長手方向(図1中のY軸方向)の任意の位置に配置できるため、上下に隣接する表示灯装置10のそれぞれの取付金具3を互いに干渉しない位置に配置させることで、複数の表示灯放置10を上下方向に近接させて配置できる。
【0028】
図3(A)及び(B)は、上記表示灯装置の使用例を示す斜視図である。図3(A)に示すように、本体1の一端部から溝部5に連結具71の一部を露出させて挿入し、連結具71の露出した部分を別の本体1の溝部5に挿入することで、2つの本体1を連結することができる。所定個数の表示灯2を収納した表示灯装置10に別の表示灯2等の電気機器を増設する場合に、2個の本体1を容易に連結することができる。
【0029】
また、本体1に収納された表示灯2の背面の端子部は、本体1の背面に形成されている開口部11からパネル100の背面側に露出する。そこで、図3(B)に示すように、本体1の上下の溝部5に上下から嵌入する突起81,82を備えたカバー8を装着することで、開口部11の初面側を被覆し、表示灯2の端子部を保護するようにしてもよい。
【0030】
なお、本体1の溝部5の形状は、例えば図4(A)〜(C)に示すように、取付金具3が本体1に対してX軸方向に移動することがなく、本体1の長手方向に一定の断面形状であることを条件として、種々の形状にすることができる。
【0031】
図5(A)〜(C)は、上記表示灯装置の別の使用例を示す断面図である。図5(A)に示すように、2個の表示灯装置10の本体1のそれぞれの溝部5に係合する連結部材81を用いて、複数個の表示灯装置10を上下に接続することができる。また、図5(B)に示すように、連結部材82を用いて、2個の表示灯装置10を互いに背面を接触させた状態で固定することができる。さらに、図5(C)に示すように、取付金具83を用いて表示灯装置10を壁面に取り付けることもできる。
【0032】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施形態に係るパネル用機器の取付構造の一例を示す分解斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は、同表示灯装置のパネルへの取付状態を示す断面図である。
【図3】(A)及び(B)は、同表示灯装置の使用例を示す斜視図である。
【図4】(A)〜(C)は、この発明の別の実施形態に係る電気機器装置の溝部及び取付金具の形状を示す断面図である。
【図5】(A)〜(C)は、この発明の実施形態に係る電気機器装置の別の使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 本体
2 表示灯
3 取付金具
4 取付ネジ
5 溝部
10 表示灯装置
31 ネジ孔
41 ネジ部
42 頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気機器を一列に配列して収納する電気機器装置であって、
前面が開放するとともに収納すべき電気機器の断面形状に略一致する一定の断面形状に一体的に形成された長尺体を電気機器の収納個数に応じた長さにして構成された本体であって、電気機器のそれぞれが個別に前面側から着脱自在に収納される本体と、
【請求項2】
前記本体は、背面に前記収納個数に応じた数の少なくとも1種類の孔部を備え、
電気機器のそれぞれは、前記孔部に前面側から係合して収納される請求項1に記載の電気機器装置。
【請求項3】
前記本体は、上面及び底面に全長にわたって一定の断面形状を呈する溝部を有する請求項1又は2に記載の電気機器装置。
【請求項4】
前記本体の両端部から前記溝部に挿入される取付金具であって、取付ネジが螺合するネジ孔を有する取付金具をさらに備えた請求項3に記載の電気機器装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate