説明

電気機器

【課題】長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を防止する電気機器を提供する。
【解決手段】外部電源7から供給される電力で動作する本体機能部2を有する電気機器1Aに、電源ケーブル3と、電源ケーブル3を介して外部電源7から本体機能部2に至る電力供給路を通電可能状態及び遮断状態のいずれかに設定する通電遮断部10と、内蔵電池23により駆動する経過期間計測部20とを設ける。経過期間計測部20は、電気機器1Aが製造されたときからの経過時間を計測するタイマ21及び通電遮断部10を制御する制御部22を有する。タイマ21は、計測した経過時間が電気機器1Aの設計限界期間になると制御部22にアラート信号を送信し、制御部22は、アラート信号を受信するまでは通電遮断部10を通電可能状態に設定し、アラート信号を受信すると通電遮断部10を遮断状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関し、例えば、長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を防止する機能を備えた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から扇風機、エアコン、洗濯機等の電気機器は、長期間の使用に伴い
生ずる劣化(経年劣化)により安全性が低下することが指摘されている。
そして、経年劣化した電気機器を運転(駆動)させている最中に、その電気機器から出火して火災に至った事例も報告されている。
【0003】
そのため、我が国では、「長期使用製品安全点検制度」及び「長期使用製品安全表示制度」が設けられ、経年劣化した電気機器により発生する事故を防止する取り組みが始まっている。
【0004】
上記の「長期使用製品安全点検制度」とは、電気機器等の製品(ビルトイン式電気食器洗浄機、浴室用電気乾燥機等の特定された製品)を購入したユーザに対し、メーカ(又は小売業者)が点検時期を通知し、点検を促すことで事故の発生を防止しようとする制度である。
また、上記の「長期使用製品安全表示制度」とは、電気機器(扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機などの特定された製品)の本体に、「標準使用期間」及び「経年劣化についての注意喚起」を記載した表示ラベルを添付することを義務付けた制度である。
なお、特許文献1には、電源をオンにして(運転開始)から所定の時間が経過すると自動的に運転を停止する生ゴミ乾燥処理機の構成が開示されている。また、特許文献2には、自動車のフロントガラスに貼着可能な面状ヒータを有する自動車用融雪ヒータにおいて、起動後、予め設定された時間が経過すると、面状ヒータへの給電を停止する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−261674号公報
【特許文献2】特開2006−335115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した「長期使用製品安全点検制度」や「長期使用製品安全表示制度」は、以下に示す技術的課題を有している。
具体的には、「長期使用製品安全点検制度」は、ユーザに対してメーカー(又は小売業者)が点検時期を通知する必要があり、メーカー(又は小売業者)側の業務負担(顧客データの期限管理、通知業務等の業務負担)が大きいという技術的課題を有している。
また、点検時期の通知を受けたユーザが、諸事情により、早期に点検を実施しないことも考えられ、「長期使用製品安全点検制度」では、上述した事故の発生を確実に防止できないことも想定される。
また、上記の製品は、譲渡されて所有者(ユーザ)が変わることがあり、メーカ側が当該製品の所在を把握できないこともある。
【0007】
また、「長期使用製品安全表示制度」は、ユーザが表示ラベルの内容を気にせず(或いは気付かず)に電気機器を使用した場合に、上述した事故の発生を防止することができないという技術的課題を有している。
また、長期使用の間に前記表示ラベルが剥がされたり、或いは前記表示ラベルの文字が薄くなり(或いは消えてしまい)読めなくなることもある。
なお、上述した特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、いずれも、駆動開始からの経過時間を計測し、所定の時間が過ぎれば駆動を停止する構成が採用されているが、製品の標準使用期間を考慮した駆動制御をしているものではなく、経年劣化による事故を防止することはできない。
【0008】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を効果的に防止する電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明は、外部電源から供給される電力により動作する本体部を有する電気機器であって、前記外部電源に接続される電源ケーブルと、前記電源ケーブルと前記本体部とを接続し且つ該電源ケーブルを介して前記外部電源から前記本体部に至る電力供給路を通電可能状態及び遮断状態のいずれかに設定する通電遮断部、内蔵電池により駆動する経過期間計測部と有し、前記経過期間計測部は、前記電気機器が製造されたときからの経過時間を計測するタイマ及び前記通電遮断部の設定動作を制御する制御部を備え、前記タイマは、計測した前記経過時間が前記電気機器の設計限界期間になると前記制御部にアラート信号を送信し、前記制御部は、前記アラート信号を受信するまでは前記電力供給路を通電可能状態に設定し、該アラート信号を受信すると前記電力供給路を遮断状態に設定することを特徴としている。
また、前記通電遮断部は、前記電力供給路を遮断状態に設定すると、その後、前記遮断状態でロックされるようになっていることが望ましい。
【0010】
このように本発明の電気機器は、経過期間計測部及び通電遮断部の構成により、電気機器が製造されたときからの経過時間が設計限界期間になると、本体部への電力の供給が遮断されるようになっている。
すなわち、本発明の電気機器は、製造されたときからの経過時間が設計限界期間を超えると利用できなくなるため、長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を効果的に防止することができる。
なお、上記の設計限界期間とは、標準的な使用条件(例えば、日本工業規格に規定されている条件)の下で電気機器を使用した場合に安全上支障なく使用できる標準的な期間(設計標準使用期間)のことをいう。
また、本発明の電気機器の経過期間計測部及び通電遮断部は、内蔵電池(例えば、10年以上使える長寿命電池)により動作するようになっている。したがって、外部電源に常時接続されないで利用される電気機器(例えば、冬場には押し入れや倉庫に収納される扇風機)であっても、上記経過時間の計測ができるようになっている。
【0011】
また、前記本体部は、画像情報を表示する表示パネルを備えた表示部を有し、前記タイマは、計測した前記経過時間が前記設計限界期間より短い所定期間になると前記制御部にプレアラート信号を送信し、前記制御部は、前記プレアラート信号を受信すると、前記本体部の表示部に警告情報を表示させ、前記警告情報とは、前記経過時間が前記設計限界期間に近づいており且つ該設計限界期間になると該電気機器が動作不能になることを示す情報であることが望ましい。
また、前記本体部は、音声出力部を有し、前記タイマは、計測した前記経過時間が前記設計限界期間より短い所定期間になると前記制御部にプレアラート信号を送信し、前記制御部は、前記プレアラート信号を受信すると、前記本体部の音声出力部に警告音声或いはビープ音を出力させ、前記警告音声とは、前記経過時間が前記設計限界期間に近づいており且つ該設計限界期間になると該電気機器が動作不能になることを示す音声情報であることが望ましい。
【0012】
上記構成により、電気機器が利用できなくなる前(動作不能になる前)に、ユーザにその旨(経過時間が設計限界期間に近づいており、もうじき電気機器が動作不能になること)を告知することができる。
したがって、本発明によれば、ユーザは、電気機器が利用できなくなる前(動作不能になる前)に、メンテナンスを受けて電気機器の使用期間を延長させたり、製品の買い換え等の準備を進めたりすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を効果的に防止する電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の電気機器のブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態の電気機器の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態の電気機器のブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態の電気機器の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の電気機器について図面に基づいて説明する。
先ず、本発明の第1実施形態の電気機器を図1及び図2に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の電気機器のブロック図である。また、図2は、本発明の第1実施形態の電気機器の動作を説明するためのフローチャートである。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態の電気機器1Aは、外部電源7から供給される電力により動作する本体機能部(本体部)2と、外部電源7に接続される電源ケーブル3と、電源ケーブル3を介して外部電源7から本体部3に供給される電力の通電及び遮断を行う通電遮断部10と、内蔵電池23により駆動する経過期間計測部20とを備えている。
なお、第1実施形態では、建物の壁Wに外部電源7が設けられているが、あくまでもこれは一例である。
【0017】
そして、電気機器1Aは、通電遮断部10及び経過期間計測部20により、電気機器1Aが製造されたとき(或いは工場出荷されたとき)からの経過時間TBが設計限界期間TA(電気機器1Aの設計限界期間TA)を超えると本体機能部2が動作不能になるように構成されている。
ここで、上記の設計限界期間TAとは、標準的な使用条件(例えば、日本工業規格に規定されている条件)の下で電気機器1Aを使用した場合に安全上支障なく使用できる標準的な期間(設計標準使用期間)のことをいう。
なお、第1実施形態の電気機器1Aは、外部電源7から供給される電力により動作する本体機能部2を備える装置に、通電遮断部10及び経過期間計測部20を設けた点に特徴があり、通電遮断部10及び経過期間計測部20以外の構成は、周知技術により実現される。
また、第1実施形態の電気機器1Aは、例えば、扇風機、エアコン、洗濯機、換気扇、電気食器洗浄機、電気暖房機、石油ファンヒータ、FF式石油暖房機、冷蔵庫、テレビ、炊飯器、パソコンやゲーム等の各種情報機器、電話機やファクシミリなどの通信機器等に幅広く適用される。
【0018】
以下、第1実施形態の電気機器1Aの各構成を説明する。
本体機能部2は、外部電源7から供給される電力により動作する。
なお、本体機能部2は、外部電源7から供給される電力により動作する装置であればよく、具体的な構成について特に限定されるものではない。
例えば、電気機器1Aが扇風機であれば、本体機能部2は、通電遮断部10を介して外部電源7から供給される電力を制御する電源部と、前記扇風機の動作を制御する制御回路と、ユーザからの操作を受け付ける操作パネルと、前記電源部からの電力で駆動するモータと、当該モータに取り付けられたフィンとを備えて構成される。
【0019】
また、電源ケーブル3は、その一端部に外部電源7に着脱自在に挿嵌されるコンセントプラグ4が設けられている。また、電源ケーブル3は、その他端部が通電遮断部10に電気的に接続されている。
そして、壁Wに設けられた外部電源7に、電源ケーブル3のコンセントプラグ4を挿嵌すると、通電遮断部10に外部電源7からの電力が供給されるようになっている。
【0020】
また、通電遮断部10は、本体機能部2と外部電源7との間を通電可能状態或いは遮断状態にする電磁リレー11を備えている。
この電磁リレー11は、電源線6を介して本体機能部2に接続されている。また、電磁リレー11には、電源ケーブル3の他端部が接続されている。
そして、電磁リレー11は、電源ケーブル3と本体機能部2とを接続し且つ電源ケーブル3を介して外部電源7から本体機能部2に至る電力供給路を通電可能状態及び遮断状態のいずれかに択一的に設定するようになっている。
なお、本実施形態では、通電遮断部10が電磁リレー11を備えた構成を採用しているが、特にこれに限定されるものではない。通電遮断部10は、前記電力供給路を通電可能状態及び遮断状態のいずれかに設定できればよく、電磁リレー11以外のデバイス(機器)で構成されていてもよい。
【0021】
また、電磁リレー11は、電力線24を介して経過期間計測部20に接続され、経過期間計測部20に制御されて前記電力供給路を通電可能状態及び遮断状態のいずれかに設定するようになっている。
具体的には、電磁リレー11は、電力線24を介して、経過期間計測部20から電力(微小な電力)の供給を受けると(経過期間計測部20と通電状態になると)回路を閉じ、本体機能部2と電源ケーブル3とを電気的に接続する。これにより、電源ケーブル3を介して外部電源7から本体機能部2に至る電力供給路が通電可能状態になる。
また、電磁リレー11は、経過期間計測部20からの電力(微小な電力)の供給が止まると、回路を開いて、本体機能部2と電源ケーブル3とを電気的に遮断する。これにより、電源ケーブル3を介して外部電源7から本体機能部2に至る電力供給路が遮断状態になる。
【0022】
上記の構成により、電磁リレー11が通電可能状態において、外部電源7に電源ケーブル3のコンセントプラグ4を挿嵌すると、外部電源7から本体機能部2までの電力供給路を介して本体機能部2に電力が供給される。
なお、電磁リレー11は、電気機器1Aが製造(或いは工場出荷)される際に、通電可能状態に設定されている(デフォルト設定が通電可能状態になっている)。
【0023】
また、経過期間計測部20は、時間を計測するタイマ21と、電磁リレー11の設定動作(前記電力供給路を通電可能状態及び遮断状態のいずれかに設定する動作)を制御する制御部22と、内蔵電池23とを備え、タイマ21及び制御部22が内蔵電池23により駆動するようになっている。
なお、内蔵電池23は、例えば、10年以上使える様な長寿命電池により構成されている。
上記構成により、本実施形態によれば、電気機器1Aが外部電源7に常時接続されないで利用される装置(例えば、冬場には押し入れや倉庫に収納される扇風機等)であっても、電気機器1Aが製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBの計測ができる。
【0024】
また、タイマ21は、電気機器1Aが製造(或いは工場出荷)される際に、メーカの担当者により計測開始の設定操作がなされ、電気機器1Aが製造(或いは工場出荷)されたときからの時間(経過時間TB)を計測するようになっている。
また、タイマ21は、電気機器1Aが製造(或いは工場出荷)されたときからの時間(経過時間TB)が「設計限界期間TA(電気機器1Aの設計限界期間TA)」になると(「TB≧TA」になると)、制御部22に「アラート信号」を送信するようになっている。
なお、タイマ21の計測開始の設定操作がなされる「電気機器1Aが製造される際」とは、例えば、電気機器1Aの組み立て工程や及び検査工程が終了した後(電気機器1Aが完成した後)の、梱包前のタイミングをいう。
また、上記のタイマ21の計測開始の設定操作は、電気機器1Aのユーザには行えないようになっている(例えば、タイマ21は、ユーザが知らないパスワードの入力により計測を開始する)。また、タイマ21は、例えば、周知のデジタル時計により構成されている。
【0025】
また、制御部22は、タイマ21との間で信号の授受を行えるようになっている。
そして、制御部22は、初期設定状態からアラート信号を受信するまでの間、電磁リレー11に電力(内蔵電池23からの電力)を供給して電磁リレー11を通電可能状態に設定するように構成されている。また、制御部22は、タイマ21からのアラート信号を受信すると、電磁リレー11への電力供給を停止し、通電可能状態の電磁リレー11を遮断状態に設定するように構成されている。
なお、制御部22は、例えば、上記機能(「アラート信号を受信する機能」及び「電磁リレー11を制御する機能」)を有する専用回路により構成される。
【0026】
そして、上記構成により、本実施形態の電気機器1Aは、製造(或いは工場出荷)されてから設計限界期間TAを過ぎると、通電遮断部10の電磁リレー11が遮断状態になり、外部電源7から本体機能部2への電力供給路が遮断される。
すなわち、本実施形態の電気機器1Aは、製造(或いは工場出荷)されてから設計限界期間TAを過ぎると動作しなくなるため、長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を効果的に防止することができる。
【0027】
次に、第1実施形態の電気機器1Aの通電遮断部10及び経過期間計測部20の動作を図2に基づいて説明する。
なお、図2に示す処理が行われる前段階において、通電遮断部10の電磁リレー11は、通電可能状態(デフォルト設定)になっているものとする。
【0028】
先ず、電気機器1Aの製造(或いは工場出荷)する際に、メーカの担当者が経過期間計測部20のタイマ21を操作し、タイマ21に計測を開始させる。
上記操作により、タイマ21は、電気機器1Aが製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBの計測を開始する(S1)。
【0029】
そして、経過期間計測部20は、タイマ21が計測する「経過時間TB」が「設計限界期間TA」以上(TB≧TA)になるまで、通電遮断部10の電磁リレー11を通電可能状態で維持し(S2)、「経過時間TB」が「設計限界期間TA」以上(TB≧TA)になるとS3の処理に進む。
なお、経過期間計測部20は、内蔵電池23により駆動するようになっているため、外部電源7に接続されているか否かに関係なく、「経過時間TBの計測」及び「電磁リレー11の設定動作(前記電力供給路を通電可能状態及び遮断状態のいずれかに設定する動作)の制御」を行うことができる。
【0030】
具体的には、S2では、制御部22は、タイマ21からの「アラート信号」を受信すると、「経過時間TB」が「設計限界期間TA」以上(TB≧TA)になっていると判定してS3に進み、アラート信号を受信しなければ、電磁リレー11を通電可能状態に維持する。
したがって、本ステップ(S2)の最中において、外部電源7に電源ケーブル3のコンセントプラグ4が挿嵌されると、外部電源7から本体機能部2に電力が供給される。
【0031】
S3では、制御部22は、通電可能状態の電磁リレー11を遮断状態にし(電磁リレー11への電力供給を停止し)、本体機能部2と電源ケーブル3とを電気的に切断した状態にする。
これにより、外部電源7から本体機能部2への電力供給路が遮断される。すなわち、S3以降においては、外部電源7に電源ケーブル3のコンセントプラグ4が挿嵌されていても、外部電源7から本体機能部2への電力が供給されることがない。
【0032】
また、第1実施形態の電気機器1Aでは、S3において、前記電力供給路を遮断されると、その後、電磁リレー11が遮断状態でロックされるようになっている。また、前記ロックは、ユーザには解除できないようになっている。例えば、通電遮断部10及び経過期間計測部20が開閉不能な筐体に収納され、ユーザに操作できないようになっている。
したがって、第1実施形態の電気機器1Aは、製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TAを超えると、たとえユーザが修理しようと試みても、動作させることができない。
【0033】
このように、第1実施形態の電気機器1Aは、電気機器1Aが製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TA以上になるまでは、外部電源7から本体機能部2に電力が供給され、本体機能部2を動作させることができる。
また、第1実施形態の電気機器1Aは、経過時間TBが設計限界期間TA以上になると、外部電源7から本体機能部2への電源の供給経路が遮断されるため電気機器1Aを自動的に動作不能にさせることができる。
【0034】
以上、説明したように、第1実施形態の電気機器1Aは、製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間Aを超えると利用できなくなるため、長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を確実に防止することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態の電気機器を図3及び図4に基づいて説明する。
図3は、本発明の第2実施形態の電気機器のブロック図である。また、図4は、本発明の第2実施形態の電気機器の動作を説明するためのフローチャートである。
なお、第2実施形態では、説明の便宜上、第1実施形態と同様の構成(或いは相当する構成)については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
図3に示すように、第2実施形態の電気機器1Bは、外部電源7から供給される電力により動作する本体機能部(本体部)5と、外部電源7に接続される電源ケーブル3と、電源ケーブル3を介して外部電源7から本体機能部5に供給される電力の通電及び遮断を行う通電遮断部10と、内蔵電池23により駆動する経過期間計測部30とを備えている。
【0037】
そして、第2実施形態の電気機器1Bは、製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが所定期間TC(所定期間TC<設計限界期間TA)になると、本体機能部5に設けられた表示部50が「警告情報」を表示するように構成されている。
なお、上記の警告情報とは、「製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TAに近づいていること」及び「設計限界期間TAになると電気機器1Bが使用できなくなる(動作不能になる)こと」を示す情報をいう。
また、第2実施形態の電気機器1Bは、第1実施形態と同様、製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TA(電気機器1Bの設計限界期間)を超えると本体機能部5が動作不能になるように構成されている。
【0038】
上記の構成により、第2実施形態の電気機器1Bは、上述した第1実施形態と同様、製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TAを超えると利用できなくなり、その結果、長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を確実に防止することができる。
さらに、第2実施形態によれば、電気機器1Bが動作を停止する前(動作不能になる前)に、ユーザにその旨(製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TAに近づいており、もうじき電気機器1Bが動作不能になること)を告知することができる。
【0039】
以下、電気機器1Bの各構成を説明する。
本体機能部5は、上述した第1実施形態の本体機能部2の構成に、画像情報を表示する表示パネルを備えた液晶ディスプレイ(LCD)等の装置で構成された表示部50を付加したものである。
なお、本体機能部5は、表示部50が設けられている以外、第1実施形態の本体機能部2と同じである。
【0040】
また、第2実施形態の本体機能部5は、経過期間計測部30と信号線26により接続されており、信号線26を介して、経過期間計測部30の制御部25との間で信号の授受が行えるようになっている。
具体的には、本体機能部5の表示部50は、前記制御部25からの「警告指示信号(後段で説明する)」を受信すると、「警告情報」を示す画像情報を生成し、前記表示パネルに当該生成した画像情報を表示するように構成されている。
ここで、「警告情報」を示す画像情報とは、「製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TAに近づいていること」及び「設計限界期間TAになると電気機器1Bが使用できなくなる(動作不能になる)こと」を文字や記号、アイコン等で示した画像情報のことをいう。
【0041】
また、経過期間計測部20は、タイマ21と、制御部25と、内蔵電池23とを備え、タイマ21及び制御部25が内蔵電池23からの電力で駆動するようになっている。なお、内蔵電池23は、上述した第1実施形態のものと同じである。
【0042】
また、タイマ21は、第1実施形態と同様、電気機器1Bが製造(或いは工場出荷)されたときからの時間(経過時間TB)を計測するようになっている。
また、タイマ21は、電気機器1Bが製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが所定期間TC(所定期間TC<設計限界期間TA)になると、制御部25に「プレアラート信号」を送信する。
また、タイマ21は、計測した経過時間TBが「設計限界期間TA(電気機器1Bの設計限界期間)」になると(「TB≧TA」になると)、制御部25に「アラート信号」を送信する。
なお、「所定期間TC」は、「所定期間TC<設計限界期間TA」の要件を満たせばよく、特に限定されるものではない。
この所定期間TCは、電気機器1Aの種類により定めるようにしてもよい。
例えば、電気機器1Aがテレビであれば、「所定期間TC」は、「設計限界期間TA」よりも「30日」短い期間に設定される。また、電気機器1Aが扇風機等の季節商品であれば、「所定期間TC」は、「設計限界期間TA」よりも「1年」短い期間に設定される。
【0043】
また、制御部25は、上述した第1実施形態の制御部22と同様、初期設定状態において、電磁リレー11に電力(内蔵電池23からの電力)を供給して電磁リレー11を通電可能状態に設定するように構成されている。
また、制御部25は、タイマ21からの「プレアラート信号」を受信すると、本体機能部の表示部50に、「警告指示信号」を送信する。
また、制御部25は、タイマ21からの「アラート信号」を受信すると、上述した第1実施形態の制御部22と同様、電磁リレー11への電力供給を停止し、通電可能状態の電磁リレー11を遮断状態に設定するように構成されている。
【0044】
次に、第2実施形態の電気機器1Bの動作を図4に基づいて説明する。
なお、図4に示す処理が行われる前の電気機器1Bは、通電遮断部10の電磁リレー11が通電可能状態(初期設定)になっているものとする。
【0045】
図示するように、電気機器1Bのタイマ21は、上述した図2のS1と同様、電気機器1Bが製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBの計測を開始する(S10)。
具体的には、電気機器1Bのタイマ21は、製造(或いは工場出荷)されたときに、メーカの担当者に操作されて経過時間TBの計測を開始する。
なお、本フローにおいては、説明の便宜上、S10とS11との間において、外部電源7に電源ケーブル3が接続され、本体機能部5に外部電源7からの電力が供給されているものとする。
【0046】
そして、経過期間計測部30は、タイマ21が計測する「経過時間TB」が「所定期間TC(TC<TA)」以上(TB≧TC)になるまで、通電遮断部10の電磁リレー11を通電可能状態で維持し(S11)、「経過時間TB」が「所定期間TC」以上(TB≧TC)になるとS12の処理に進む。
【0047】
具体的には、S11では、制御部25は、電磁リレー11への電力供給を続け、電磁リレー11を通電可能状態に維持する。
なお、タイマ21は、「経過時間TB」が「所定期間TC」になると、制御部25に「プレアラート信号」を送信する。
そして、制御部25は、S11において、タイマ21からの「プレアラート信号」を受信すると、「経過時間TB」が「所定期間TC」以上(TB≧TC)になっていると判定し、S12に進む。
【0048】
S12では、本体部5の表示部50が「警告情報」を表示する。
具体的には、S12では、制御部25が表示部50に「警告指示信号」を送信する。また、制御部50からの「警告指示信号」を受信した表示部50は、「警告指示信号」の受信で起動し、「警告情報」を示す画像情報を生成し、表示パネルに当該生成した画像情報を表示する。
【0049】
これにより、本体機能部5の表示部50の表示パネルには、「電気機器1Bの製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TAに近づいていること」及び「設計限界期間TAになると電気機器1Bが使用できないようになること」を示す情報が表示される。
また、「警告情報」は、文章やアイコン等を示した画像情報として形成されていてもよいし、予め定められた記号(「E10」などの記号)を示した画像情報として形成されていてもよい。
なお、表示部50は、S12により、警告情報を表示すると、その後は、外部電源7に電源ケーブル3が接続されている状態においては、電磁リレー11が遮断状態になるまで、警告情報の表示を続けるように構成されている。
【0050】
次に、S13及びS14では、上述した図2のS2及びS3と同様の処理を行う。
具体的には、制御部25は、タイマ21が計測する「経過時間TB」が「設計限界期間TA」以上(TB≧TA)になるまで、通電遮断部10の電磁リレー11を通電可能状態に維持し(S13)、「経過時間TB」が「設計限界期間TA」以上(TB≧TA)になると、通電可能状態の電磁リレー11を遮断状態にし、本体機能部5と電源ケーブル3とを電気的に切断する(S14)。
なお、第2実施形態においても、S14において、前記電力供給路が遮断されると、その後、電磁リレー11が遮断状態でロックされるようになっている。また、前記ロックは、ユーザには解除できないようになっている。
【0051】
このように、第2実施形態の電気機器1Bは、第1実施形態と同様、電気機器1Bが製造(或いは工場出荷)されたときからの経過時間TBが設計限界期間TA以上になると、外部電源7から本体機能部5への電力供給路が遮断されるため電気機器1Bを強制的に動作不能にさせることができる。
これにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、長期間の使用に伴い生ずる劣化により発生する事故を確実に防止することができる。
【0052】
また、第2実施形態の電気機器1Bは、電気機器1Bが動作を停止する前(動作不能になる前)に、ユーザにその旨を告知するように構成されている。
そのため、ユーザは、電気機器1Bが動作不能になる前に、予め、電気機器1Bの買い換え、出張修理の手配、持ち込み修理などを行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、タイマ21により、製造されたときからの経過時間TBを計測しているが、特にこれに限定されるものではない。
例えば、制御部22のメモリに、製造されたときの製造時刻(「2010年9月20日 10時30分0秒」などの時刻)及び設計限界期間TAを記憶させておく。また、経過期間計測部20に、時刻情報を定期的に受信する受信機(GPS受信機等)を設けておく。
なお、時刻情報とは、測位衛星(例えば、GPS衛星)より送信される時刻情報や、標準電波送信所から送信される標準電波にのせられた時刻情報のことをいう。
【0054】
そして、制御部22は、定期的に受信機から前記時刻情報を取得し、前記製造時刻と、受信した時刻情報とを用いて電気機器1Aの製造されたときからの経過期間TBを算出し、該算出した経過期間及び設計限界期間TAとを用いて、電気機器1Aが製造されたときからの経過時間TBが設計限界期間TAを超えているか否かを定期的に判定するようにしてもよい(この場合、タイマ21は不要になる)。
また、この場合、制御部22は、前記判定により、電気機器1Aが製造されたときかの経過時間TBが設計限界期間TAを超えていれば、通電遮断部10を遮断状態にし、外部電源7から本体機能部2への電力供給路を遮断する。また、制御部22は、前記経過時間TBが設計限界期間Aを超えていなければ、通電遮断部10を通電可能状態にする。
この構成においても、上述した第1施形態と同様の効果を奏することができる。
【0055】
また、上述した第2実施形態では、本体機能部5に設けられた表示部50は、画像情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD)等の装置で構成されていたが特にこれに限定されるものではない。
表示部50は、ユーザに「電気機器1Bが動作不能になること」を告知することができるものであれば、どのようなものでもよい。
例えば、表示部50は、液晶ディスプレイ(LCD)等の装置ではなく、LEDランプにより構成されていてもかまわない。この場合、制御部25は、タイマ21からの「プレアラート信号」を受信すると、前記LEDランプを点滅させる。
【0056】
また、第2実施形態において、本体機能部5に、スピーカを備えた音声出力部を設け、その音声出力部に「電気機器1Bが動作不能になること」を示す警告音声(或いは、ビープ音)を出力させるようにしてもよい。
具体的には、制御部25は、タイマ21からの「プレアラート信号」を受信すると、表示部50に画像情報を表示させると共に、前記音声出力部に前記警告音声(或いは、ビープ音)を出力させる。
なお、前記警告音声とは、前記経過時間が設計限界期間TAに近づいており且つ設計限界期間TAになると電気機器1Bが動作不能になることを示す音声情報のことをいう。
この場合においても、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記のように、本体機能部5に音声出力部を設ける場合、本体機能部5に表示部50が設けられていなくてもよい(この場合、警告音声(或いはビープ音)だけでユーザに警告がなされる)。
【符号の説明】
【0057】
W 壁
1A、1B 電気機器
2 本体機能部(本体部)
3 電源ケーブル
4 コンセントプラグ
5 本体機能部(本体部)
6 電源線
7 外部電源
10 通電遮断部
11 電磁リレー
20 経過期間計測部
21 タイマ
22、25 制御部
23 電池(内蔵電池)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から供給される電力により動作する本体部を有する電気機器であって、
前記外部電源に接続される電源ケーブルと、前記電源ケーブルと前記本体部とを接続し且つ該電源ケーブルを介して前記外部電源から前記本体部に至る電力供給路を通電可能状態及び遮断状態のいずれかに設定する通電遮断部と、内蔵電池により駆動する経過期間計測部と有し、前記経過期間計測部は、前記電気機器が製造されたときからの経過時間を計測するタイマ及び前記通電遮断部の設定動作を制御する制御部を備え、前記タイマは、計測した前記経過時間が前記電気機器の設計限界期間になると前記制御部にアラート信号を送信し、前記制御部は、前記アラート信号を受信するまでは前記電力供給路を通電可能状態に設定し、該アラート信号を受信すると前記電力供給路を遮断状態に設定することを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記通電遮断部は、前記電力供給路を遮断状態に設定すると、その後、前記遮断状態でロックされるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記本体部は、画像情報を表示する表示パネルを備えた表示部を有し、 前記タイマは、計測した前記経過時間が前記設計限界期間より短い所定期間になると前記制御部にプレアラート信号を送信し、前記制御部は、前記プレアラート信号を受信すると、前記本体部の表示部に警告情報を表示させ、前記警告情報とは、前記経過時間が前記設計限界期間に近づいており且つ該設計限界期間になると該電気機器が動作不能になることを示す画像情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記本体部は、音声出力部を有し、前記タイマは、計測した前記経過時間が前記設計限界期間より短い所定期間になると前記制御部にプレアラート信号を送信し、前記制御部は、前記プレアラート信号を受信すると、前記本体部の音声出力部に警告音声或いはビープ音を出力させ、前記警告音声とは、前記経過時間が前記設計限界期間に近づいており且つ該設計限界期間になると該電気機器が動作不能になることを示す音声情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−115010(P2012−115010A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260932(P2010−260932)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(509102890)