説明

電気機器

【課題】低温対策に外気が有効に活用されていないこと。
【解決手段】電気機器100は、機器本体101と、制御手段102と、排熱用のファン103と、温度センサ104、105と、それらを収容する筐体106とを有する。制御手段102は、低温起動時、機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、ファン103を回転させる低温時制御を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器に関し、特に低温環境下での起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電気機器には、動作保証温度があり、動作保証温度を外れた環境では正常に動作しないことがある。例えば、動作保証温度が摂氏−5度〜40度の電気機器の場合、40度を超える高温帯で長時間使用を続けると、故障や誤動作を起こす可能性がある。また、−5度を下回る低温帯で起動すると、起動直後の急激な温度変化に起因して部品の破損や劣化などの問題が発生し易い。
【0003】
このため、電気機器には、高温対策として、排熱ファンなどの冷却機構が備えられている。また、低温対策として、起動直後の急激な温度上昇を防止する機構を装備する電気機器が存在する。
【0004】
例えば特許文献1に記載の電気機器は、高温対策として、排熱ファンと、温度センサ付きファン制御装置とを有する。温度センサ付きファン制御装置は、機器内部の温度変化に応じて排熱ファンの停止、起動を制御することにより、機器内部の温度調整を行っている。また、低温対策として、電気機器の本体(サーバ装置など)を構成するCPUは、予め定められた起動温度以下の低温で起動された場合には、OSを実行せずにBIOS動作状態を維持し、暖機運転を実施する。この暖機運転中、排熱ファンは停止している。暖機運転中に機器本体が発する熱によって機器内部の温度が上昇し、起動温度に達すると、CPUはOSを実行し、続いてアプリケーションプログラムを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−185439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電気機器は、電気機器本体が発する熱を利用して暖機を行うため、低温対策にヒータなどの熱源を必要としない。しかし、高温対策のための排熱ファンは暖機運転中に停止させている。これは、暖機運転中に排熱ファンを回転させると、せっかく暖まった機器内の空気(内気と称す)が機器外の空気(外気と称す)と入れ替わってしまって機器内部の温度上昇を阻害すると考えられるためである。しかしながら、この現象は、外気が内気よりも低温である場合に起こり、外気が内気より高温であれば発生しない。逆に、外気が内気より高温であれば、外気を導入することで電気機器内部の温度上昇を促進することが可能になる。
【0007】
本発明の目的は、上述したような課題、すなわち、低温環境下での起動時に外気が有効に活用されていない、という課題を解決する電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態にかかる電気機器は、
起動時、機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、排熱ファンを回転させる低温時制御を実施する、といった構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述したような構成を有するため、低温環境下での起動時に、内気より暖かい外気を有効に利用して電気機器内部の温度上昇を促進することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態のブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施形態のブロック図である。
【図5】本発明の第4の実施形態における制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態にかかる電気機器100は、機器本体101と、制御手段102と、ファン103と、温度センサ104、105と、これらを収納する筐体106とから構成される。
【0012】
筐体106は、主に高温対策のために、外気を筐体内に導入する吸気口107と、内気を筐体外に排出する排気口108とが、互いに対向する位置に設けられている。
【0013】
機器本体101は、電気機器100の主たる機能を司る部分である。例えば、電気機器100が、IT機器であれば、IT機器を構成するコンピュータが機器本体101に相当する。機器本体101は、コンピュータに限定されず、リチウムイオン電池などのバッテリ機器でもよく、コンピュータやバッテリ機器以外の機器で構成されていてもよい。
【0014】
ファン103は、主に高温対策のために設けられる排熱用の電動ファンである。ただし、本実施形態では、ファン103を低温対策にも活用する。ファン103は、制御手段103からの起動時、吸気口107から筐体内を通って排気口108に向かう空気の流れを引き起こす方向に回転する。
【0015】
温度センサ104は、筐体106の内部の温度、つまり内気の温度を検出するセンサである。温度センサ105は、筐体106の外部の温度、つまり外気の温度を検出するセンサである。図1では、外気の温度を検出する温度センサ105を筐体106の吸気口107付近の外面に設けているが、筐体106内部の吸気口107や排気口108の付近に設けるようにしてもよい。その理由は吸気口や排気口の付近は外気の影響を受けているためである。
【0016】
制御手段102は、ファン103、温度センサ104、105、および機器本体101と信号線により電気的に接続されている。制御手段102は、温度センサ104、105による温度計測、ファン103の起動と停止、機器本体101の起動と停止などを制御する機能を有する。
【0017】
次に本実施形態の動作を説明する。
【0018】
図示しない起動ボタンがプッシュされる等により、電気機器100が起動されると、制御手段102は、温度センサ104で検出される機器の内気の温度が予め設定された第1の閾値より下回っているか否かを判定する。制御手段102は、内気の温度が第1の閾値を下回っていなければ、低温時制御は不要と判断し、速やかに機器本体101を起動する。例えば機器本体101がCPUを含むコンピュータである場合、制御手段102はCPUにOSを実行させることで機器本体101を起動する。
【0019】
他方、内気の温度が第1の閾値を下回っていれば、制御手段102は、低温時制御を実施する。まず、制御手段102は、温度センサ105で検出される外気の温度が温度センサ104で検出される内気の温度よりも高いか否かを判定する。そして、外気の温度が内気の温度よりも高ければ、制御手段102は、ファン103を回転させる。これにより、内気より暖かい外気が吸気口107から筐体106内に導入されて、機器本体101の温度が徐々に上昇することになる。その後、制御手段102は、温度センサ104の温度が上記第1の閾値以上となるか、或いは一定時間が経過するなどの所定の条件が成立すると、機器本体101の起動を行う。また、制御手段102は、電気機器100の通常運転中、機器内部の温度変化に応じてファン103の停止、起動を制御することにより、機器内部の温度調整を行う。例えば制御手段102は、温度センサ104で検出される温度が上記第1の閾値と同じか或いはそれ以上に高温の第2の閾値より上回っていれば、ファン103を回転させる。
【0020】
低温時制御の開始時点で、外気の温度が内気の温度よりも高くない場合の制御手段102の動作は任意である。例えば、機器本体101の温度を高める何らかの他の手段が存在していれば、その手段によって機器本体101の温度が第1の閾値以上に上昇するのを待って機器本体101を起動するようにしてもよい。あるいは制御手段102は、そのような他の手段がなければ、機器本体101の起動を行わないようにしてもよいし、機器本体101をあえて低温で起動するようにしてもよい。
【0021】
このように本実施形態によれば、低温起動時、内気より高温な外気を利用して電気機器内部の温度上昇を促進することが可能になる。
【0022】
また本実施形態によれば、排熱に使用するファン103をそのまま低温対策に活用することが可能である。
【0023】
[第2の実施形態]
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態にかかる電気機器200は、図1に示した第1の実施形態にかかる電気機器100と比較して、制御手段102、ファン103、および温度センサ105に代えて、制御手段202、ファン203、および温度センサ205を有する点で相違する。
【0024】
温度センサ205は、筐体106の排気口108付近の外気の温度を検出するセンサである。図2では、温度センサ205を筐体106の外面に設けているが、筐体106内部の排気口108の付近に設けるようにしてもよい。その理由は排気口108の付近は外気の影響を受けているためである。
【0025】
ファン203は、主に高温対策のために設けられる排熱用の電動ファンである。ただし、本実施形態では、ファン203を低温対策にも活用する。ファン203は、吸気口107から筐体内を通って排気口108に向かう空気の流れを引き起こす方向に回転することができると共に、その逆方向にも回転することができる。以下、前者を正回転、後者を逆回転と呼ぶ。
【0026】
制御手段202は、ファン203、温度センサ104、205、および機器本体101と信号線により電気的に接続されている。制御手段202は、温度センサ104、205による温度計測、ファン203の起動と停止ならびに回転方向の制御、機器本体101の起動と停止などを制御する機能を有する。
【0027】
次に本実施形態の動作を、主に第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0028】
図示しない起動ボタンがプッシュされる等により、電気機器200が起動されると、制御手段202は、温度センサ104で検出される機器の内気の温度が予め設定された第1の閾値より下回っているか否かを判定する。制御手段202は、内気の温度が第1の閾値を下回っていなければ、低温時制御は不要と判断し、速やかに機器本体101を起動する。
【0029】
他方、内気の温度が第1の閾値を下回っていれば、制御手段202は、低温時制御を実施する。まず、制御手段202は、温度センサ205で検出される外気の温度が温度センサ104で検出される内気の温度よりも高いか否かを判定する。そして、外気の温度が内気の温度よりも高ければ、制御手段202は、ファン103を逆回転させる。これにより、内気より暖かい外気が排気口108から筐体106内に導入されて、機器本体101の温度が徐々に上昇することになる。その後、制御手段202は、温度センサ104の温度が上記第1の閾値以上となるか、或いは一定時間が経過するなどの所定の条件が成立すると、機器本体101の起動を行う。また、制御手段202は、電気機器200の通常運転中、機器内部の温度変化に応じてファン203の正回転の起動、停止を制御することにより、機器内部の温度調整を行う。例えば制御手段202は、温度センサ104で検出される温度が上記第1の閾値と同じか或いはそれ以上に高温の第2の閾値より上回っていれば、ファン203を正回転させる。
【0030】
低温時制御の開始時点で、外気の温度が内気の温度よりも高くない場合の制御手段202の動作は、第1の実施形態における制御手段102と同様に任意である。
【0031】
このように本実施形態によれば、低温起動時、内気より高温な外気を利用して電気機器内部の温度上昇を促進することが可能になる。特に本実施形態は、複数台の電気機器100を同じ場所で使用する際に特に効果を発揮する。その理由は以下の通りである。
【0032】
一般に電気機器200を他の同様な電気機器と一緒に設置する場合、それらの排気口は同じ方向を向いている。例えば、複数台の電気機器を部屋の壁面に沿って一列に並べる場合、それらの排気口を壁側に向けることが多い。そのため、一部の電気機器が稼働していると、その稼働中の電気機器の排熱が排気口側に吐き出されているため、吸気口側に比べて排気口側の方が温度が高くなる傾向がある。本実施形態では、ファン203を逆回転させているため、吸気口側に比べて温度の高い排気口側の外気を利用して機器本体101を暖めることができる。
【0033】
[第3の実施形態]
図3を参照すると、本発明の第3の実施形態にかかる電気機器300は、図2に示した第2の実施形態にかかる電気機器200と比較して、温度センサ305が追加されており、また制御手段202に代えて制御手段302を有する点で相違する。
【0034】
温度センサ305は、図1の第1の実施形態における温度センサ105と同様に、筐体106の吸気口107付近の外気の温度を検出するセンサである。図3では、温度センサ305を筐体106の外面に設けているが、筐体106内部の吸気口107付近に設けるようにしてもよい。
【0035】
制御手段302は、ファン203、温度センサ104、205、305、および機器本体101と信号線により電気的に接続されている。制御手段302は、温度センサ104、205、305による温度計測、ファン203の起動と停止ならびに回転方向の制御、機器本体101の起動と停止などを制御する機能を有する。
【0036】
次に本実施形態の動作を、主に第1および第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0037】
図示しない起動ボタンがプッシュされる等により、電気機器300が起動されると、制御手段302は、温度センサ104で検出される機器の内気の温度が予め設定された第1の閾値より下回っているか否かを判定する。制御手段302は、内気の温度が第1の閾値を下回っていなければ、低温時制御は不要と判断し、速やかに機器本体101を起動する。
【0038】
他方、内気の温度が第1の閾値を下回っていれば、制御手段302は、低温時制御を実施する。まず、制御手段302は、温度センサ205で検出される吸気口側の外気の温度と、温度センサ305で検出される排気口側の外気の温度とを比較して、より高い方を選択する。次に、制御手段302は、温度センサ104で検出される機器の内気の温度より、上記選択した外気の温度の方が高いか否かを判定する。そして、上記選択した外気の温度が内気の温度よりも高ければ、制御手段302は、ファン203を回転させて外気を筐体106内に導入し、内気よりも暖かい外気によって機器本体101を暖める。その際、制御手段302は、排気口側の外気を選択したのであれば、ファン203を逆回転させて外気を排気口108から筐体106内に導入する。他方、吸気口側の外気を選択したのであれば、ファン203を正回転させて外気を吸気口107から筐体106内に導入する。その後、制御手段302は、温度センサ104の温度が上記第1の閾値以上となるか、或いは一定時間が経過するなどの所定の条件が成立すると、機器本体101の起動を行う。また、制御手段302は、電気機器300の通常運転中、機器内部の温度変化に応じてファン203の正回転の起動、停止を制御することにより、機器内部の温度調整を行う。
【0039】
低温時制御の開始時点で、上記選択した外気の温度が内気の温度よりも高くない場合の制御手段302の動作は、第1および第2の実施形態における制御手段102、202と同様に任意である。
【0040】
このように本実施形態によれば、低温起動時、内気より高温な外気を利用して電気機器内部の温度上昇を促進することが可能になる。特に本実施形態は、吸気口側および排気口側のうち、より温度の高い方の外気を選択的に導入することができる。
【0041】
[第4の実施形態]
[概要]
本実施形態は、コンピュータの起動時に、コンピュータ内部の温度が動作保証温度よりも低温だった場合に、コンピュータ内の温度を徐々に上昇させ、コンピュータ動作温度として安全な状態となるよう制御した後に、OSを起動させることを特徴の一つとする。また本実施形態は、一般的なコンピュータ構造を殆ど変更することなく実現可能であるため、より汎用性が高いことも特徴の一つである。
【0042】
[構成の説明]
図4を参照すると、本実施形態にかかるコンピュータ400は、HDD(Hard Disk Drive)402、HDD近傍に取り付けられた温度センサ402−a、正回転および逆回転可能なファン403、CPU404、CPU近傍に取り付けられた温度センサ404−a、メモリ405、IO(Input Output unit)406、IO近傍に取り付けられた温度センサ406−a、マネジメント機構407、電源408、これらを収容する筐体401で構成される。筐体401には、前面側に吸気口(図示せず)が設けれており、背面側に排気口(図示せず)が設けられている。図4では、CPUは2台、ファンは5台、HDDは4台、メモリとIOと電源はそれぞれ1台であるが、これらに台数は任意である。また、筐体401内での各コンポーネントの配置も図示したものに限定されるものではない。
【0043】
マネジメント機構7は、第1乃至第3の実施形態における制御手段102、202、302に相当する。マネジメント機構7は、図示しない信号線により、温度センサ402−a、404−a、406−a、ファン403、CPU404などの他のコンポーネントと電気的に接続されている。マネジメント機構7は、マイクロプロセッサ(図示せず)を有し、図5に示される制御フローを実行するようにプログラムされている。
【0044】
[動作の説明]
マネジメント機構7は、ユーザなどからコンピュータ400に対して起動の指示が出されると(ステップS1)、コンピュータ内部に搭載されている各温度センサ402−a、404−a、406−aで検出される温度を確認する(ステップS2)。そして、マネジメント機構7は、何れか一つの温度センサで検出される温度が、予めマネジメント機構7のメモリに記憶されている動作保証温度を下回っているか否かを判定する(ステップS3)。
【0045】
マネジメント機構7は、何れか一つの温度センサで検出される温度が動作保証温度を下回っている場合(ステップS3でYes)、低温時の制御を開始する(ステップS4)。低温時の制御では、まず、マネジメント機構7は、CPU(プロセッサ)を通常時より低い周波数のクロックで動作させて、セルフテスト動作(コンピュータ起動時に一般的に実装されている起動診断)を起動する(ステップS5)。
【0046】
加えて、マネジメント機構7は、コンピュータの排気側の温度(温度センサ406−aで検出される温度)が、コンピュータの中央もしくは吸気側の温度(温度センサ404−aもしくは温度センサ402−aで検出される温度)より高いか否かを判定する(ステップS7)。そして、マネジメント機構7は、排気側の温度が中央もしくは吸気側の温度より高い場合には(ステップS7でYes)、外気を取り入れるためファン403を逆回転させる(ステップS8)。これにより、排気側の空気がコンピュータ内部に取り込まれる。一般的に、コンピュータは前面吸気、背面排気であるため、起動しようとするコンピュータが搭載されているラック(キャビネット)に稼動状態の他の装置が搭載されている場合、その廃熱が背面側(排気側)に吐き出されている。本実施形態は、このように、排気側の温度が高い可能性があることを利用するものである。
【0047】
マネジメント機構7は、コンピュータのセルフテストが完了すると(ステップS6)、再び、各温度センサで検出される温度を確認し(ステップS2)、起動保証温度との比較を行う(ステップS3)。比較の結果、依然として起動保証温度より低温であれば、更にセルフテストを繰り返す(ステップS5)。これにより、コンピュータに搭載されている部品が発する熱により、コンピュータ全体の温度が徐々に上昇する。
【0048】
マネジメント機構7は、各温度センサで検出される温度が、起動保証温度を上回った場合には(ステップS3でNo)、通常のOS起動プロセスへ移る。その際、マネジメント機構7は、ファン403が低温時の制御プロセスで逆回転に設定されていれば、正回転へ設定を戻す(ステップS9)。また、CPUのクロック周波数が低い状態であれば、より高い通常のクロック周波数へ変更する(ステップS10)。そして、マネジメント機構7は、OSをCPU上で起動し、引き続きアプリケーションプログラムを起動する(ステップS11)。
【0049】
[効果の説明]
本実施形態によれば、コンピュータ構造を変更することなく、低温時には、より安全に機器の温度の上昇を促進し、OS起動までを該当のコンピュータだけで実施することが可能となる。ヒーターなどの特殊な機材を備える必要がないため、余計な機器コストが発生しない。
【0050】
従来は、コンピュータを連続動作せることが一般的であったが、昨今のエコロジー活動、CO2削減などの動向により、夜間はコンピュータを停止させたり、年間を通して外気を導入し、空調設備を保持しない場合など、コンピュータの運用や設置環境などに大きな変化が起きている。今後、その傾向はさらに強まり、低温時からコンピュータを稼動させるニーズが益々増大すると考えられる。本実施形態によれば、そのようなニーズに対して、低温環境から安全にコンピュータを動作させ、かつより安価な実現方法を提供することができる。
【0051】
以上、本発明を幾つかの実施形態を挙げて説明したが、本発明は以上の実施形態にのみ限定されず、その他各種の付加変更が可能である。また、本発明は、必要な機能をハードウェア的に実現することは勿論、コンピュータとプログラムとで実現することができる。プログラムは、磁気ディスクや半導体メモリ等のコンピュータ可読記録媒体に記録されて提供され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み取られ、そのコンピュータの動作を制御することにより、そのコンピュータを前述した各実施の形態における制御手段102、202、302として機能させる。
【0052】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
起動時、機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、排熱ファンを回転させる低温時制御を実施する
ことを特徴とする電気機器。
(付記2)
温度センサと、
該温度センサの出力に基づいて機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、前記排熱ファンを回転させる制御手段と
を有することを特徴とする付記1に記載の電気機器。
(付記3)
前記制御手段は、前記低温時制御時には前記排熱ファンを排熱時の回転方向と逆方向に回転させる
ことを特徴とする付記2に記載の電気機器。
(付記4)
前記温度センサは、外気を機器内に導入する吸気口と機器の内気を排出する排気口とを有する筐体の前記排気口付近の内気の温度を検出する第1の温度センサと、前記排気口付近以外の内気の温度を検出する第2の温度センサとから構成され、
前記制御手段は、前記第1の温度センサで検出される温度が前記第2の温度センサで検出される温度よりも高いとき、機器の内気より外気の方が温度が高いと判定する
ことを特徴とする付記3に記載の電気機器。
(付記5)
前記制御手段は、前記第1および第2の何れかの温度センサで検出される温度が第1の閾値を超えているか否かに基づいて、前記低温時制御によって前記排熱ファンを回転させるか否かを判定する
ことを特徴とする付記4に記載の電気機器。
(付記6)
機器本体にCPUを有し、
前記制御手段は、前記第1および第2の何れかの温度センサで検出される温度が前記第1の閾値を超えるまで、前記CPUを通常時よりも低い周波数のクロックで動作させる
ことを特徴とする付記5に記載の電気機器。
(付記7)
前記制御手段は、前記低い周波数のクロックで動作させた前記CPUにセルフテストを行わせる
ことを特徴とする付記6に記載の電気機器。
(付記8)
前記制御手段は、前記第1および第2の温度センサで検出される温度が前記第1の閾値を超えると、前記CPUを通常時の周波数のクロックで動作させる
ことを特徴とする付記6または7に記載の電気機器。
(付記9)
前記制御手段は、前記通常時の周波数のクロックで動作させた前記CPUにOSの実行を開始させる
ことを特徴とする付記8に記載の電気機器。
(付記10)
前記制御手段は、前記第1および第2の温度センサで検出される温度が前記第1の閾値と同じか或いはそれ以上に高温の閾値を超えると、前記排熱ファンを排熱時の回転方向で回転させる
ことを特徴とする付記6乃至9の何れかに記載の電気機器。
(付記11)
起動時、機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、排熱ファンを回転させる低温時制御を実施する
ことを特徴とする電気機器の起動方法。
(付記12)
機器を構成するコンピュータを、
起動時、機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、排熱ファンを回転させる低温時制御を実施する制御手段
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0053】
100…電気機器
101…機器本体
102…制御手段
103…ファン
104、105…温度センサ
106…筐体
107…吸気口
108…排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動時、機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、排熱ファンを回転させる低温時制御を実施する
ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
温度センサと、
該温度センサの出力に基づいて機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、前記排熱ファンを回転させる制御手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記低温時制御時には前記排熱ファンを排熱時の回転方向と逆方向に回転させる
ことを特徴とする請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記温度センサは、外気を機器内に導入する吸気口と機器の内気を排出する排気口とを有する筐体の前記排気口付近の内気の温度を検出する第1の温度センサと、前記排気口付近以外の内気の温度を検出する第2の温度センサとから構成され、
前記制御手段は、前記第1の温度センサで検出される温度が前記第2の温度センサで検出される温度よりも高いとき、機器の内気より外気の方が温度が高いと判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1および第2の何れかの温度センサで検出される温度が第1の閾値を超えているか否かに基づいて、前記低温時制御によって前記排熱ファンを回転させるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
機器本体にCPUを有し、
前記制御手段は、前記第1および第2の何れかの温度センサで検出される温度が前記第1の閾値を超えるまで、前記CPUを通常時よりも低い周波数のクロックで動作させる
ことを特徴とする請求項5に記載の電気機器。
【請求項7】
前記制御手段は、前記低い周波数のクロックで動作させた前記CPUにセルフテストを行わせる
ことを特徴とする請求項6に記載の電気機器。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1および第2の温度センサで検出される温度が前記第1の閾値と同じか或いはそれ以上に高温の閾値を超えると、前記排熱ファンを排熱時の回転方向で回転させる
ことを特徴とする請求項6または7に記載の電気機器。
【請求項9】
起動時、機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、排熱ファンを回転させる低温時制御を実施する
ことを特徴とする電気機器の起動方法。
【請求項10】
機器を構成するコンピュータを、
起動時、機器の内気より外気の方が温度が高いことを検出し、排熱ファンを回転させる低温時制御を実施する制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−177968(P2012−177968A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39246(P2011−39246)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】