説明

電気機器

【課題】メンテナンスや交換等のために脱着可能な構成要素を取り外す場合に、該構成要素に隣り合うように配置されていた回転部が構成要素を取り外した後の空間に露出しても作業を容易に行うことができる電気機器(イオン発生機)を提供する。
【解決手段】脱着可能な構成要素(イオン発生装置50)と、構成要素に隣り合うように配置された回転部(送風ファン31)と、構成要素の離脱に連動して回転部の回転を停止させる回転停止機構10とを備え、回転停止機構10は、回転部に接触して回転を阻止する位置と回転阻止位置から離間した位置との間を移動する回転阻止体14と、回転阻止体14を回転阻止位置へ付勢する付勢部(バネ12)と、構成要素の装着に伴い付勢部の付勢力に抗して回転阻止体を回転阻止位置から離間する側に押圧し、構成要素の離脱に伴い回転阻止体に対する押圧を解除する押圧部(ネジ69b)とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンスや交換などのために脱着可能に取り付けられた構成要素を備えた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器の一例として、イオン発生装置を備え、イオン発生装置が発生したイオンを外部に排出して居住空間内の空気の殺菌や脱臭等の機能を発揮する空気調和機が実用化されている(特許文献1参照)。このような空気調和機では、イオン発生装置を脱着可能な構成要素とし、劣化したイオン発生装置を交換することによって常に所定のイオン量を確保し、イオンによる殺菌や脱臭等の性能を保証するようにしているものがある(特許文献2参照)。
【0003】
イオン発生装置を交換可能に構成した空気調和機では、従来、サービス担当者がイオン発生装置の交換作業を行うものが一般的であったが、イオン発生装置を搭載した空気調和機の普及につれて、イオン発生装置の交換を一般ユーザーにさせている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29497号公報
【特許文献2】特許第4551953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般ユーザーがイオン発生装置の交換作業を行う際に、イオン発生装置の取り外し(離脱)によって、イオン発生装置に隣り合うように内部に配置された物がイオン発生装置を取り外した後の空間に露出する場合がある。特に回転部(例えばプロペラファンやシロッコファン等の送風ファンの羽根)が露出する場合、回転状態の羽根に作業者の手が触れて作業に支障をきたす恐れがあり、好ましくない。
【0006】
また、各種の電気機器に搭載された送風ファンのメンテナンスや清掃等のために、送風ファンを覆うファンカバー(蓋)を取り外す場合にも、回転状態の羽根に作業者の手が触れて作業に支障をきたす恐れがあり、好ましくない。
【0007】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、メンテナンスや交換等のために脱着可能な構成要素を取り外す場合に、該構成要素に隣り合うように配置されていた回転部が構成要素を取り外した後の空間に露出しても作業を容易に行うことができる電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気機器は、脱着可能に装着された構成要素と、該構成要素に隣り合うように内部に配置された回転部とを備えた電気機器において、前記構成要素の離脱に連動して前記回転部の回転を停止させる回転停止機構を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、脱着可能に装着された構成要素の離脱に連動して、該構成要素に隣り合うように内部に配置された回転部の回転が回転停止機構によって停止される。
【0010】
本発明に係る電気機器は、前記回転停止機構は、前記回転部の回転を阻止する位置と該回転を阻止する位置から離間した位置との間で移動自在な回転阻止体と、該回転阻止体を前記回転部の回転を阻止する位置へ付勢する付勢部と、前記構成要素の装着に伴い前記付勢部の付勢力に抗して前記回転阻止体を前記回転部の回転を阻止する位置から離間する側に押圧し、前記構成要素の離脱に伴い前記回転阻止体に対する押圧を解除する押圧部とを有していることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、付勢部によって前記回転部の回転を阻止する位置へ付勢されていた回転阻止体が前記構成要素の装着に伴い、押圧部によって押圧されて前記付勢部の付勢力に抗して前記回転部の回転を阻止する位置から離間する側に移動し、前記回転部が回転可能となる。一方、前記構成要素の離脱に伴い、前記回転阻止体に対する押圧部の押圧が解除され、回転阻止体は付勢部によって付勢されて前記回転部の回転を阻止する位置へ移動し、前記回転部の回転が阻止される。
【0012】
本発明に係る電気機器は、前記構成要素を挿入して装着可能な装着部を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、前記構成要素を装着部に挿入して装着することに伴い、前記回転阻止体が押圧部によって押圧されて前記回転部の回転を阻止する位置から離間する側に移動し、一方、前記装着部から前記構成要素を離脱させることに伴い、前記回転阻止体に対する押圧部の押圧が解除され、回転阻止体は付勢部によって付勢されて前記回転部の回転を阻止する位置へ移動する。
【0014】
本発明に係る電気機器は、前記構成要素はイオン発生装置であり、前記回転部は、外部から空気を吸い込んで前記イオン発生装置から発生したイオンが存在する空間を通過させ、イオンが付加された空気を外部へ送風する送風ファンの羽根であることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、脱着可能に装着されたイオン発生装置の離脱に連動して、イオン発生装置に隣り合うように内部に配置され、外部から空気を吸い込んで前記イオン発生装置から発生したイオンが存在する空間を通過させ、イオンが付加された空気を外部へ送風する送風ファンの羽根の回転が停止される。
【0016】
本発明に係る電気機器は、前記回転部は、送風ファンの羽根であり、前記構成要素は、外部から前記羽根を覆う蓋であることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、送風ファンの羽根を覆う脱着可能な蓋の離脱に連動して、蓋に隣り合うように内部に配置された送風ファンの羽根の回転が停止される。
【0018】
本発明に係る電気機器は、前記回転部の回転を阻止する位置は、前記回転阻止体が前記羽根に当接可能な位置であることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、前記回転阻止体が送風ファンの羽根に当接可能な位置に移動し、送風ファンの羽根に当接することにより送風ファンの回転が阻止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、メンテナンスや交換等のために脱着可能な構成要素を取り外す場合に、該構成要素に隣り合うように配置された回転部の回転が構成要素の離脱に連動して停止するので、該構成要素を取り外した後の空間に回転部が露出しても作業を容易に行うことができる電気機器が提供される。
【0021】
本発明によれば、脱着可能な構成要素がイオン発生装置であり、送風ファンの羽根をイオン発生装置に隣り合うように配置して省スペースと送風効率の向上とを実現しようとする場合に、イオン発生装置を取り外した後の空間に送風ファンの羽根が露出してもイオン発生装置のメンテナンスや交換等の作業を容易に行うことができる電気機器が提供される。
【0022】
本発明によれば、脱着可能な構成要素が送風ファンの羽根を覆う蓋であり、送風ファンの羽根を蓋に隣り合うように配置して省スペースを実現しようとする場合に、蓋を取り外した後の空間に送風ファンの羽根が露出しても送風ファンのメンテナンスや、羽根及び蓋の清掃等の作業を容易に行うことができる電気機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気機器としてのイオン発生機の外観を示す背面側からの一部分解斜視図である。
【図2】図1に示すイオン発生機の内部構造を示す背面側からの斜視図である。
【図3】イオン発生ユニットの斜視図である。
【図4】イオン発生素子の斜視図である。
【図5】図1に示すイオン発生機の背面一部透視図である。
【図6】図1に示すイオン発生機の一部を拡大した側面断面図である。
【図7】図1に示すイオン発生機の一部を拡大した平面断面図である。
【図8】回転阻止体の側面図である。
【図9】回転阻止体の平面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る電気機器の断面図である。
【図11】図10に示す電気機器の構成要素を示す平面図及び側面図である。
【図12】図10に示す電気機器の他の構成要素を示す平面図及び側面図である。
【図13】図10に示す電気機器の動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る電気機器の実施の形態について図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る電気機器としてのイオン発生機の外観を示す背面側からの一部分解斜視図、図2は図1に示すイオン発生機の内部構造を示す背面側からの斜視図、図3はイオン発生ユニットの斜視図、図4はイオン発生素子の斜視図、図5は図1に示すイオン発生機の背面一部透視図、図6は図1に示すイオン発生機の一部を拡大した側面断面図、図7は図1に示すイオン発生機の一部を拡大した平面断面図、図8は回転阻止体の側面図、図9は回転阻止体の平面図である。
【0025】
本発明のイオン発生機1は、ケーシング21と、ケーシング21を覆う外装カバー20とを有する。ケーシング21は、本体ケーシング22及びケーシングカバー23から構成されている。本体ケーシング22は、横向きの軸を有する円筒形状の下側部分22aと、上部が開口した略直方体箱状の上側部分22bとが上下方向に連結された構造を有し、背面側が開口している。ケーシングカバー23は、後述のシロッコファン31の空気取込部36及びイオン発生ユニット50の挿入部29を除いて本体ケーシング22の背面側の開口部を塞いでいる。
【0026】
外装カバー20は略直方体状の外形をなす。外装カバー20の背面側には、シロッコファン31の空気取込部36及びイオン発生ユニット50の挿入部29を含む範囲に対応してフィルタ部材24が取り外し自在に設けられ、フィルタ部材24は空気取込部36の位置に気通過孔24aを有する。
【0027】
本体ケーシング22の下側部分22aに、中心軸31aがイオン発生機1の背面側と前面側とを結ぶ方向に沿うように配置されたシロッコファン31が収容されている。シロッコファン31は、全体として略円筒形の外観を有し、その略円筒形の周面に複数枚のファンブレード32が配置されている。複数枚のファンブレード32は、中心軸31aを中心に互いに周方向に等間隔に設けられている。シロッコファン31の内周側(周方向に並ぶ複数枚のファンブレード32の内側)には、背面側から空気を取り込む空気取込部36が形成されている。シロッコファン31の外周側(周方向に並ぶ複数枚のファンブレード32の外側)には、本体ケーシング22によってスクロール部22cが形成されている。
【0028】
本体ケーシング22の前面側に、モータ支持部47を介してモータ46が取り付けてある。シロッコファン31は前面側に基板33を有し、基板33の中央にモータ46の出力軸が固定されるボス部34が設けてある。モータ46の出力軸は、シロッコファン31の中心軸31aに一致している。モータ46はシロッコファン31を回転駆動させ、シロッコファン31は、中心軸31aを中心に回転する。シロッコファン31は、回転に伴って、室内から空気取込部36に空気を取り込み、取り込んだ空気をスクロール部22cへ送出する。
【0029】
ケーシング21のスクロール部22cより上側部分に、イオン発生ユニット50を挿入するユニット挿入部29が形成されている。ユニット挿入部29は、ケーシング21の背面側に開口している。イオン発生ユニット50は背面側からシロッコファン31の中心軸31aと平行な方向にユニット挿入部29に挿入され、脱着可能に装着される。ユニット挿入部29は下部に雌ねじ部29aを備えている。
【0030】
ケーシング21の上端には、鉛直上方に開口した矩形の開口面を有する吹き出し口26が形成されている。吹き出し口26を構成するケーシング21の側壁は、互いに対向して配置されたガイド面25,27を有する。シロッコファン31は、吹き出し口26の略鉛直下側に配置されている。
【0031】
シロッコファン31により送出された空気は、吹き出し口26に向けてイオン発生ユニット50を通過し、吹き出し口26を通じて室内に放出される。即ち、ケーシング21の内部に、シロッコファン31のスクロール部22cから吹き出し口26に至る流路Rが形成されている。尚、送風ファンは、シロッコファン31に替えて、クロスフロー(貫流)ファンで構成してもよい。
【0032】
イオン発生ユニット50は、イオン発生機1の前面側に配置される前面側イオン発生部51と、イオン発生機1の背面側に配置される背面側イオン発生部56と、両イオン発生部51,56を連結して一体化する連結用カバー部61とを有する。前面側イオン発生部51と背面側イオン発生部56とは、互いに距離を隔てて対向配置され、前面側イオン発生部51と背面側イオン発生部56との間に形成された空間Kが流路Rの一部を占めている。吹き出し口26を上面から覗き込んだ場合に、シロッコファン31と、前面側イオン発生部51および背面側イオン発生部56とが部分的に重なり合っている。
【0033】
前面側イオン発生部51は、イオン発生素子52及びイオン発生素子52を収容するカバー部53から構成されている。カバー部53は、空間K(流路R)に面する対向面53aを有し、対向面53aには、2つのイオン放出孔54が形成されている。対向面53aは、2つのイオン放出孔54の並び方向に沿った長辺を有する矩形形状をなす。
【0034】
背面側イオン発生部56は、イオン発生素子57及びイオン発生素子57を収容するカバー部58から構成されている。カバー部58は、空間K(流路R)に面する対向面58aを有し、対向面58aは対向面53aと対向配置される。対向面58aには、2つのイオン放出孔59が形成されている。対向面58aは、2つのイオン放出孔59の並び方向に沿った長辺を有する矩形形状をなす。
【0035】
イオン発生素子52は、プラスイオン発生用の放電部55mと、マイナスイオン発生用の放電部55nとを有する(以下、総称して放電部55という)。放電部55は、尖鋭状をなす放電電極と、その放電電極を囲繞する対向電極(不図示)とから構成されている。放電部55は、イオン放出孔54に隣接して配置されている。放電部55に高電圧を印加することによって発生したプラスイオンおよびマイナスイオンは、イオン放出孔54を通って空間Kに放出される。
【0036】
同様に、イオン発生素子57は、プラスイオン発生用の放電部60mと、マイナスイオン発生用の放電部60nとを有する(以下、総称して放電部60という)。放電部60は、上述の放電部55と同じ構造を有する。放電部60に高電圧を印加することによって発生したプラスイオンおよびマイナスイオンは、イオン放出孔59を通って空間Kに放出される。
【0037】
放電部55m、60mは、プラスイオンH +(H 2O)n(nは0を含む任意の整数)を発生し、放電部55n、60nは、マイナスイオンO -(H 2O)m(mは0を含む任意の整数)を発生し、これらのプラスイオンおよびイオンにより空気中のウイルスを不活性化もしくは死滅させる機能を有する。
【0038】
本実施の形態では、放電部55mと放電部60nとが、対向面53aおよび対向面58aに直交する方向において互いに対峙するように配置され、放電部55nと放電部60mとが、対向面53aおよび対向面58aに直交する方向において互いに対峙するように配置されている。
【0039】
背面側イオン発生部56のカバー部58に、イオン発生ユニット50をユニット挿入部29に対して挿脱する際にイオン発生ユニット50を把持するための把持部69が形成されている。把持部69の下部側には、イオン発生ユニット50をイオン発生機1に装着するための取り付けネジ69bを保持する保持孔69aが設けてある。イオン発生ユニット50をユニット挿入部29に挿入した後、取り付けネジ69bを保持孔69aに通してユニット挿入部29の雌ねじ部29aにネジ止めすることにより、イオン発生ユニット50がユニット挿入部29に固定されて装着される。
【0040】
イオン発生ユニット50がユニット挿入部29に挿入され、ケーシング21に装着された状態で、イオン発生ユニット50の前面側に設けたコネクタ(不図示)がケーシング21に設けた本体側接続部(不図示)に接続されることにより、イオン発生機1の本体側とイオン発生ユニット50とが電気的に接続されるように構成してある。
【0041】
前面側イオン発生部51はイオン放出孔54の並び方向において一方端51pおよび他方端51qを有し、背面側イオン発生部56はイオン放出孔59の並び方向において一方端56pおよび他方端56qを有す。前面側イオン発生部51の一方端51pと、背面側イオン発生部56の一方端56pとは、流路R内に位置している。前面側イオン発生部51の他方端51qと、背面側イオン発生部56の他方端56qとは、連結用カバー部61により互いに連結されている。
【0042】
本発明の実施の形態では、前面側イオン発生部51と背面側イオン発生部56とを連結する連結用カバー部61を設けることによって、イオン発生ユニット50を着脱可能な交換ユニットとして扱うことができる。
【0043】
上記のように構成されたイオン発生機1の動作について説明する。シロッコファン31が中心軸31aを中心に回転すると、シロッコファン31の回転に伴って、室内の空気が空気取込部36に導入され、スクロール部22cに送出される。スクロール部22cに送られた空気は方向転換しながら徐々に加速し、スクロール部22cから吹き出し口26に向かう。この際、前面側イオン発生部51と背面側イオン発生部56との間の空間Kを通過する空気中に、イオン放出孔54,59を通じてイオン発生素子52,57から放出されたプラスイオンおよびマイナスイオンが吹き出され、イオンが付加される。イオンが付加された空気は、吹き出し口26を通じて室内に放出される。
【0044】
イオン発生ユニット50は使用時間と共にイオンの発生量が減衰するために、一定のレベルよりもイオン発生量が減少する時間を目安として交換することが望まれる。イオン発生ユニット50を交換するときには、背面側のフィルタ部材24を外し、ユニット挿入部29に装着されているイオン発生ユニット50を取り外すが、この際、イオン発生ユニット50が挿入されていたユニット挿入部29が開口部となるため、一般ユーザーが指や異物を入れたりすることが考えられる。また、イオン発生機1の運転停止後も、しばらくはシロッコファン31が慣性によって回り続けていることも考えられる。さらに、通常はあり得ないが、イオン発生機1が運転中にもかかわらずイオン発生ユニット50を取り外す場合もあり得る。
【0045】
そこで、本発明では、イオン発生ユニット50の取り外し(離脱)に連動する安全装置として、イオン発生ユニット50が取り外されるとシロッコファン31の回転を停止させる回転停止機構10を備えている。回転停止機構10は、シロッコファン31の前面側に位置する移動体11と、移動体11をシロッコファン31に向かって前面側から背面側へ付勢するバネ12とを有する。バネ12はイオン発生機1の前面側に設けた安全装置カバー13に支持されている。
【0046】
移動体11は、平面視で略コの字状をなし、シロッコファン31の回転軸31aと直交する方向に伸びた基部11aと、基部11aの両端部から背面側に伸びる2つのアーム11b,11cとを有している。一方のアーム11bの先端部に、シロッコファン31と接触可能なローラ14がピン142によって支持枝141に回転自在に取り付けられている。アーム11bの先端部に制動部材140が貼付されている。ローラ14はゴム製で表面に多数のリブを形成し、制動部材140もまたゴム製で表面に多数のリブを有する。ローラ14と制動部材140のリブが互いに接触してローラ14の回転を抑制している。バネ12は基部11aに当接して背面側へ押し付けている。
【0047】
以上の構成により、ローラ14がバネ12によって付勢されてシロッコファン31に接触する際にシロッコファン31に無理な力を掛けずにシロッコファン31の回転を停止するように構成されている。尚、ローラ14は前面側からシロッコファン31に接触するように配置されているが、接触する部分はどこでもよく、極力軽い力で抑制ができるように外周部に近いファンブレード32の前面側部分で接触するのが好ましい。また、接触する方向も背面側からでもよい。
【0048】
他方のアーム11cはユニット挿入部29の下方に位置し、先端部がイオン発生ユニット50の装着時に取り付けネジ69bに当接する位置まで伸びている。イオン発生ユニット50をユニット挿入部29に挿入して、取り付けネジ69bを雌ねじ部29aにネジ込むと、取り付けネジ69bの先端部がアーム11cを前面側に押圧し、シロッコファン31に接触していたローラ14がバネ12の付勢力に抗してシロッコファン31から離間する。これにより、通常のイオン発生機1の運転時には、イオン発生ユニット50が装着されているため、移動体11はイオン発生ユニット50の装着によってイオン発生機1の前面側に移動させられ、ローラ14がシロッコファン31から離間し、シロッコファン31の回転を妨げない状態になる。
【0049】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2に係る電気機器の断面図、図11は図10に示す電気機器の構成要素を示す平面図及び側面図、図12は図10に示す電気機器の他の構成要素を示す平面図及び側面図、図13は図10に示す電気機器の動作を示す断面図である。
【0050】
本実施形態2に係る電気機器は送風装置70である。送風装置70は、本体ケーシング71の下部にモータ72が内蔵され、図示しない電源に接続されて回転駆動されるように構成されている。モータ72は周囲を壁部75によって囲われている。本体ケーシング71は円筒状をなし、上端に雌ネジ状の勘合部71aが形成されている。
【0051】
本体ケーシング71の上部側に、複数のプロペラ74aを有するプロペラファン74が回転軸を上下方向にして配置されている。プロペラファン74の中心部に、下方から突出するモータ72の回転軸72aが嵌め込まれて固定されている。壁部75の天壁75aとプロペラファン74との間には仕切り板76が配置され、仕切り板76は下部を天壁75aに支持されたバネ77によって上方へ付勢されている。仕切り板76の上面にはプロペラファン74に対して軸方向に突出して接触し、プロペラファン74の回転を阻止するための突起76aが形成されている。
【0052】
本体ケーシング71の上部開口を塞ぐようにファンガード73が脱着自在に設けてある。ファンガード73は内周に雄ネジを形成したリング部73aとリング部73aに支持されたドーム状のネット73bとから成っている。リング部73aが勘合部71aにネジ止めされ、ファンガード73が本体ケーシング71に装着される。ファンガード73が装着されている状態では、仕切り板76の外周部はファンガード73の下端に当接し、仕切り板76が下方に押圧されているため、突起76aはプロペラ74aと接触していない。
【0053】
本体ケーシング71の内部にはモータ72の周囲の壁部75と本体ケーシング71の内周部との間に通風路78が形成されている。また、仕切り板76には、モータ72の回転軸72aを通す丸孔76cと周方向に沿った円弧状の2つの開口76bとが形成されている。プロペラファン74を回転することによって、本体ケーシング71の下部から吸入された空気が通風路78を経由し、仕切り板76の丸孔76c及び開口76bを通過してファンガード73のネット73bから外部に送出される。
【0054】
このような構成において、プロペラファン74の点検及び清掃等のためにファンガード73を本体ケーシング71から取り外すと、ファンガード73によって下方に押し下げられていた仕切り板76がバネ77によって押し上げられ、突起76aがプロペラファン74の隣り合うプロペラ74aの間に突出してプロペラ74aに接触する状態になるので、プロペラファン74が誤って回転しようとする場合に突起76aがプロペラ74aに当接して回転を妨げることができる。以上の構成により、ファンガード73の取り外し(離脱)に連動してプロペラファン74の回転を停止させる回転停止機構80が構成される。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本願発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、主に、イオン発生機や除湿機、加湿器、エアコンディショナ、空気清浄機など、回転部を備えた送風装置を有する電気機器に適用される。
【符号の説明】
【0057】
1 イオン発生機(電気機器)
10 回転停止機構
12 バネ(付勢部)
14 ローラ(回転阻止体)
29 ユニット挿入部(装着部)
31 シロッコファン(送風ファン)
32 ファンブレード(羽根、回転部)
50 イオン発生ユニット(イオン発生装置、構成要素)
69b 取り付けネジ(押圧部)
70 送風装置(電気機器)
73 ファンガード(蓋、構成要素)
73a リング部(押圧部)
74 プロペラファン(送風ファン)
74a プロペラ(羽根、回転部)
76a 突起(回転阻止体)
77 バネ(付勢部)
80 回転停止機構
K 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱着可能に装着された構成要素と、該構成要素に隣り合うように内部に配置された回転部とを備えた電気機器において、
前記構成要素の離脱に連動して前記回転部の回転を停止させる回転停止機構を備えていることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記回転停止機構は、前記回転部の回転を阻止する位置と該回転を阻止する位置から離間した位置との間で移動自在な回転阻止体と、該回転阻止体を前記回転部の回転を阻止する位置へ付勢する付勢部と、前記構成要素の装着に伴い前記付勢部の付勢力に抗して前記回転阻止体を前記回転部の回転を阻止する位置から離間する側に押圧し、前記構成要素の離脱に伴い前記回転阻止体に対する押圧を解除する押圧部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記構成要素を挿入して装着可能な装着部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記構成要素はイオン発生装置であり、
前記回転部は、外部から空気を吸い込んで前記イオン発生装置から発生したイオンが存在する空間を通過させ、イオンが付加された空気を外部へ送風する送風ファンの羽根であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記回転部は、送風ファンの羽根であり、
前記構成要素は、外部から前記羽根を覆う蓋であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記回転部の回転を阻止する位置は、前記回転阻止体が前記羽根に当接可能な位置であることを特徴とする請求項4又は5に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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