説明

電気機器

【課題】地震等の振動による衝撃を吸収することができる電気機器を提供する。
【解決手段】照明装置は、照明装置本体90、第1吊下げ部としての天井面に固定される取付金具10及びパイプ固定金具40、第2吊下げ部としてのパイプ50、連結部の軸部材としてのボルト60、ボルト60の移動を規制するとともに、パイプ固定金具40、ボルト60及びパイプ50等を覆う覆部材としての上側カバー20、下側カバー30などを備える。パイプ固定金具40は、略U字状をなし、対向する弾性板を有する。弾性板及びパイプ50の端部には、ボルト60を挿通させるための軸孔を形成してある。これにより、ボルト60の軸回りにパイプ固定金具40に対してパイプ50を回動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器本体を備え、取付面から吊り下げて電気機器本体を取り付ける電気機器に関し、特に、天井等から吊り下げられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫、体育館、工場、駅など様々な施設において、比較的天井が高い場所に照明器具等の電気機器を取り付ける場合、天井に吊り下げ用のパイプを取り付け、照明器具等を天井からパイプで吊り下げている。
【0003】
このようなパイプで吊下げるタイプの照明器具等では、照明器具がパイプを軸として回転することで締め付けナットの緩みが発生するおそれがある。そこで、吊下げパイプの下端部に形成した雄ねじ部と座板との間に回転阻止材を設け、座板と器具取付部との間にも回転阻止材を設けることにより、器具本体の回転を阻止してナットの緩みを防止することができる吊下げ形照明器具が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−64023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の照明器具にあっては、1本の吊下げパイプに照明器具を強固に締結することができるものの、照明器具を強固に固定しているため、例えば地震により建物が揺れた場合、地震による衝撃を吸収することができず、照明器具が破損してしまう危険性がある。特に、1本の吊下げパイプで吊下げられた照明器具の重量が比較的重い場合には、パイプの長さ及び照明器具の重量に応じた衝撃が加わり、破損した照明器具の落下の危険性が一層高まる。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、地震等の振動による衝撃を吸収することができる電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気機器は、電気機器本体を備え、取付面から吊り下げて該電気機器本体を取り付ける電気機器において、前記取付面に固定される第1吊下げ部と、前記電気機器本体に固定される第2吊下げ部と、前記第1吊下げ部と第2吊下げ部とを軸回りに相対的に回動可能に連結する連結部とを備え、前記第1又は第2吊下げ部は、前記軸方向に対して弾性を有することを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、取付面に固定される第1吊下げ部と、電気機器本体に固定される第2吊下げ部と、第1吊下げ部と第2吊下げ部とを軸回りに相対的に回動可能に連結する連結部とを備える。取付面は、例えば、天井面、壁面などである。電気機器は、例えば、照明装置であるが、これに限定されるものではない。天井等の取付面に第1吊下げ部が固定され、取付面から吊り下げられた第1吊下げ部の下端側には連結部を設け、当該連結部には第2吊下げ部の上端側が連結されており、第2吊下げ部の下端側には電気機器本体が固定されている。そして、第1吊下げ部又は第2吊下げ部は、当該軸方向に対して弾性を有する。
【0009】
上述の構成により、例えば、地震が発生した場合、当該軸に直交する横向き(例えば、X軸方向)に作用する衝撃に対しては、第1吊下げ部に対して第2吊下げ部が連結部の軸回りに回動することにより衝撃を吸収することができる。また、当該軸方向に沿って横向き(例えば、Y軸方向)に作用する衝撃に対しては、第1吊下げ部又は第2吊下げ部が有する弾性により第1吊下げ部又は第2吊下げ部が当該軸方向に湾曲(弾性変形)することにより衝撃を吸収することができる。すなわち、地震等の振動により揺れが発生した場合でも、X軸方向及びY軸方向のいずれの方向の衝撃も吸収することができ、地震等の振動による衝撃を吸収することができる。
【0010】
本発明に係る電気機器は、前記第1吊下げ部は、前記取付面に固定される固定部と、該固定部に当接する当接部と、該当接部に連設され、前記第2吊下げ部と前記連結部にて連結される支持部とを備え、前記固定部は、前記支持部が挿通される挿通部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、第1吊下げ部は、取付面に固定される固定部と、当該固定部に当接する当接部と、当該当接部に連設され、第2吊下げ部と連結部にて連結される支持部とを備える。固定部の挿通部に支持部を挿通させることで、固定部に当接部を当接させることにより、取付面に電気機器を固定することができる。
【0012】
本発明に係る電気機器は、前記第1及び第2吊下げ部の一方の吊下げ部は、他方の吊下げ部の一部を間にして対向した対向部を備え、前記一方の吊下げ部の前記対向部及び他方の吊下げ部の前記一部それぞれに軸孔を形成してあり、前記連結部は、前記軸孔に挿通する軸部材を備え、前記一方の吊下げ部の前記対向部と前記他方の吊下げ部の前記一部との間に前記軸方向に沿って隙間を設けてあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、第1及び第2吊下げ部の一方の吊下げ部は、他方の吊下げ部の一部(例えば、端部)を間にして対向した対向部を備え、一方の吊下げ部の対向部及び他方の吊下げ部の一部(例えば、端部)それぞれに軸孔を形成してある。そして、連結部は、軸孔に挿通する軸部材を備える。すなわち、一方の吊下げ部の対向部及び他方の吊下げ部の一部に形成された軸孔に軸部材を挿通してある。これにより、軸回りに第1及び第2吊下げ部を回動させることができる。さらに、一方の吊下げ部の対向部と他方の吊下げ部の一部との間に軸方向に沿って隙間を設けることにより、他方の吊下げ部の一部は、対向部に当接して移動が規制されるまで軸方向に沿って移動することができるので、軸方向に作用する衝撃をさらに吸収することが可能となる。
【0014】
本発明に係る電気機器は、前記固定部は、前記対向させた前記支持部を挿通させる挿通部を離隔して形成してあり、前記第1吊下げ部の前記当接部は、前記支持部を繋ぎ前記固定部に当接するようにしてあり、前記固定部を取付面に固定した状態で、該固定部の上側から前記支持部を前記挿通部に挿通させて該支持部を前記固定部から垂下させ、前記当接部を前記固定部の上側に当接させて固定してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、固定部は、対向させた支持部を挿通させる挿通部を離隔して形成してある。第1吊下げ部の当接部は、支持部を繋ぎ固定部に当接するようにしてある。固定部を取付面に固定した状態で、固定部の上側から支持部を挿通部に挿通させて支持部を固定部から垂下させ、当接部を固定部の上側に当接させて固定してある。すなわち、対向する2つの支持部と、支持部を繋ぐ当接部とは、U字状をなす。第1吊下げ部の2つの支持部を固定部の2つの挿通部に挿通させ、当接部を固定部の上側から固定部に当接させるとともに、支持部を固定部から垂下させる。これにより、第1吊下げ部の当接部は、固定部の上側で固定されるので、固定部から落下することはなく、地震等の振動による縦方向の衝撃に対して強度を持たせることができる。
【0016】
本発明に係る電気機器は、前記当接部を前記固定部に固定する固定部材を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、当接部を固定部に固定する固定部材を備える。固定部材は、例えば、ボルト、ねじ、リベット等である。これにより、当接部を固定部にさらに強固に固定することができるので、地震等の振動による縦方向の衝撃に対してさらに剛性を高めることができる。
【0018】
本発明に係る電気機器は、前記軸部材の軸方向の移動を規制し、前記連結部を覆う覆部材を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、軸部材の軸方向の移動を規制し、連結部を覆う覆部材を備える。覆部材を備えることにより、軸部材の軸方向の移動を規制して、軸部材が一方の吊下げ部の対向部及び他方の吊下げ部の端部から外れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、地震等の振動による衝撃を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1の照明装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
【図2】実施の形態1の照明装置の取付部の要部外観斜視図である。
【図3】取付金具の一例を示す平面図である。
【図4】パイプ固定金具を取付金具に取り付けた状態を示す外観斜視図である。
【図5】実施の形態1の照明装置のボルトの軸に直交する面での要部断面図である。
【図6】実施の形態1の照明装置のボルトの軸方向の面での要部断面図である。
【図7】実施の形態2の照明装置の取付部の一例を示す模式図である。
【図8】実施の形態3の照明装置の取付部の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る電気機器をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。なお、以下では、電気機器の一例として照明装置について説明するが、電気機器は照明装置に限定されるものではなく、天井又は壁などから吊り下げて使用するものであれば、空調設備、その他の設備などの他の電気機器であってもよい。
【0023】
図1は実施の形態1の照明装置100の構成の一例を示す外観斜視図であり、図2は実施の形態1の照明装置100の取付部の要部外観斜視図である。図1及び図2に示すように、照明装置100は、電気機器本体としての照明装置本体90、第1吊下げ部としての取付面としての天井面に固定される固定部としての取付金具10及びパイプ固定金具40、第2吊下げ部としてのパイプ50、連結部の軸部材としてのボルト60、ボルト60の移動を規制するとともに、パイプ固定金具40、ボルト60及びパイプ50等を覆う覆部材としての上側カバー20、下側カバー30などを備える。
【0024】
照明装置本体90は、例えば、高さ寸法が90cm程度あり、内部に光源としてのLEDモジュール、LEDモジュールを駆動する電源部(いずれも不図示)などを備える。照明装置本体90は、比較的重量が重い。なお、光源はLEDモジュールに限定されるものではなく、ハロゲンランプ等の他の光源でもよい。
【0025】
図3は取付金具10の一例を示す平面図であり、図4はパイプ固定金具40を取付金具10に取り付けた状態を示す外観斜視図である。図3に示すように、取付金具10は、鉄製であって、平面視が円状をなし、中央に取付孔12を形成してあり、取付孔12を囲むように周方向に沿って4つの取付孔13を形成してある。取付孔12、あるいは取付孔13にボルト(不図示)を挿通させ、天井に設けられた固定具(不図示)に締結することにより、取付金具10を天井面に固定することができる。
【0026】
取付金具10には、取付孔12を間にして対向させた挿通部としての挿通孔11を形成してある。一方の挿通孔11は、後述の支持部としての弾性板42を挿通することができる程度の長さ及び幅を有する矩形状をなす。他方の挿通孔11は、弾性板42及び弾性板42に設けられたナット部45を挿通することができる程度の長さ及び幅を有し、凸状の形状をなす。なお、挿通部としては、挿通孔に代えて、切欠等であってもよい。
【0027】
また、取付金具10には、照明装置本体90への配線を挿通させるための配線孔14を形成してある。また、取付金具10には、上側カバー20を固定するためのネジ部15を設けてある。
【0028】
図4に示すように、パイプ固定金具40は、鉄製であって、正面から見て略U字状(コの字状)をなす。パイプ固定金具40は、取付状態において、取付金具10の上側表面に当接する当接部としての矩形状の当接板41、当接板41の両端部から略90度屈曲して延設されお互いに対向する対向部及び支持部としての弾性板42、42等で構成される。なお、当接板41、弾性板42の板厚は、例えば、1.2mmであるが、これに限定されるものではない。また、当接部は、板状の当接板に限定されるものではなく、取付金具10の上側表面に当接することができる形状であれば、他の構造でもよい。
【0029】
各弾性板42は、板厚の方向に作用する力に対して弾性を有し、板厚方向に湾曲(弾性変形)することができる。各弾性板42には、軸部材としてのボルト60が挿通される軸孔43を形成してあり、一方の弾性板42には、ボルト60を締結するため内側に雌ねじが螺刻されたナット部45を設けてある。
【0030】
上述のように、取付金具10は、対向させた弾性板42を挿通させる挿通孔11を離隔して形成してある。そして、パイプ固定金具40は、対向する弾性板42、弾性板42を繋ぎ取付金具10に当接する当接板41を備える。取付金具10を天井面に固定した状態で、取付金具10の上側から弾性板42を挿通孔11に挿通させて弾性板42を取付金具10から垂下させ、当接板41を取付金具10の上側に当接させて固定してある。
【0031】
また、当接板41を取付金具10に固定する固定部材としてのねじ44を備える。なお、当接板41を取付金具10に固定する固定部材としては、ねじ44に代えて、例えば、ボルト、リベット等であってもよい。
【0032】
図2及び図4に示すように、パイプ固定金具40の対向する弾性板42に形成された軸孔43、及びパイプ50の上側端部に形成された後述の軸孔51にボルト60を挿通させるとともに、ボルト60をナット部45で締結することにより、パイプ50は、パイプ固定金具40に対して、ボルト60の軸回りに回動可能に連結される。すなわち、ボルト60、ナット部45は、パイプ固定金具40及びパイプ50同士を軸回りに相対的に回動可能に連結する連結部として機能する。また、パイプ50の下端側は照明装置本体90に固定されている。
【0033】
また、図2に示すように、上側カバー20は、略円筒状をなし、上側より下側に向かって縮径してある。上側カバー20の上端部には、取付孔21を形成してあり、取付金具10のネジ部15を取付孔21に挿通させて締め付けることにより、上側カバー20を取付金具10に固定することができる。
【0034】
下側カバー30の上部は、上側カバー20の下部内側に配置され、下側カバー30の下部は上側カバー20から露出する。下側カバー30の下端は、照明装置本体90に当接することにより、下方への移動を規制される。また、下側カバー30の上部外面は、上側カバー20の下部内面と同様の湾曲面をなし、下側カバー30の上部外面は、上側カバー20の下部内面との間で摺動可能にしてある。
【0035】
次に、本実施の形態の照明装置100が地震等による衝撃をどのように吸収するかについて説明する。図5は実施の形態1の照明装置100のボルト60の軸に直交する面での要部断面図であり、図6は実施の形態1の照明装置100のボルト60の軸方向の面での要部断面図である。
【0036】
図5及び図6に示すように、本実施の形態の照明装置100は、天井面等の取付面に固定される取付金具10及びパイプ固定金具40(第1吊下げ部)、照明装置本体90に固定されるパイプ50(第2吊下げ部)、パイプ固定金具40とパイプ50とを軸回りに相対的に回動可能に連結するボルト60(連結部)などを備える。そして、パイプ固定金具40の弾性板42は、ボルト60の軸方向、すなわち、弾性板42の板厚方向に作用する力(衝撃)に対して弾性を有する。
【0037】
上述の構成により、例えば、地震が発生した場合、ボルト60の軸に直交する横向き(例えば、X軸方向)に作用する衝撃に対しては、図5に示すように、パイプ固定金具40(弾性板42)に対してパイプ50が連結部としてのボルト60の軸回り(図5の符号Aで示す方向)に回動することにより衝撃を吸収することができる。
【0038】
また、取付金具10に固定された上側カバー20の下側内周面と、上側カバー20の内側と照明装置本体90との間に遊嵌された下側カバー30の上側該周面とは、摺動面70を介して自由に摺動することができる。これにより、上側カバー20と下側カバー30とが、符号Aで示す方向の回動動作を規制することはない。
【0039】
また、ボルト60の軸方向に沿って横向き(例えば、Y軸方向)に作用する衝撃に対しては、図6に示すように、パイプ固定金具40の弾性板42が有する弾性により弾性板42がボルト60の軸方向(図6の符号Bで示す方向)に湾曲(弾性変形)することにより衝撃を吸収することができる。すなわち、地震により揺れが発生した場合でも、X軸方向及びY軸方向のいずれの方向の衝撃も吸収することができ、地震等の振動による衝撃を吸収することができる。また、上側カバー20と下側カバー30とが、符号Bで示す方向の湾曲動作を規制することはない。
【0040】
また、図4及び図6に示すように、パイプ固定金具40は、第2吊下げ部としてのパイプ50の一端としての端部を間にして対向した対向部としての弾性板42、42を備える。そして、弾性板42、42及びパイプ50の端部には、ボルト60を挿通させるための軸孔43、軸孔51を形成してある。これにより、ボルト60の軸回りにパイプ固定金具40に対してパイプ50を回動させることができる。
【0041】
また、図6に示すように、弾性板42の内側面とパイプ50の外周面との間にボルト60の軸方向に沿って隙間dを設けてある。ボルト60の軸方向に沿った隙間dを設けることにより、パイプ50の端部は、弾性板42に当接して移動が規制されるまで軸方向に沿って移動することができるので、軸方向に作用する衝撃をさらに吸収することが可能となる。
【0042】
また、図3、図4及び図6に示すように、取付金具10は、対向させた弾性板42を挿通させる挿通孔11を離隔して形成してある。そして、パイプ固定金具40は、対向する弾性板42、弾性板42を繋ぎ取付金具10に当接する当接板41を備える。取付金具10を天井面に固定した状態で、取付金具10の上側から弾性板42を挿通孔11に挿通させて弾性板42を取付金具10から垂下させ、当接板41を取付金具10の上側に当接させて固定してある。これにより、パイプ固定金具40の当接板41は、取付金具10の上側で固定されるので、取付金具10から下方に落下することはなく、地震等の振動による縦方向の衝撃に対して強度を持たせることができる。
【0043】
また、図4に示すように、パイプ固定金具40の当接板41は、ねじ44により取付金具10に固定されているので、当接板41を取付金具10にさらに強固に固定することができ、地震等の振動による縦方向の衝撃に対してさらに剛性を高めることができる。
【0044】
また、図6に示すように、取付金具10に固定された上側カバー20は、ボルト60を収容した態様をなし、仮にボルト60が緩み軸方向に移動した場合でも、ボルト60の頭部が上側カバー20の内周面に当接してボルト60の軸方向の移動を規制するので、ボルト60が軸孔43、51(パイプ固定金具40、パイプ50)から抜け落ちることを防止する。これにより、照明装置本体90が落下することを防止することができる。
【0045】
次に、本実施の形態の照明装置100の耐震性についての実験結果について説明する。長さ10m、幅5m、高さ3mの鉄骨架台フレームを作成し、振動テーブル上に鉄骨架台フレームを載置して固定する。鉄骨フレームの天面に本実施の形態の照明装置100を取り付ける。幅方向をX軸、長さ方向をY軸、高さ方向をZ軸として、入力波形として、(1)X方向が300gal、Z方向が150galのエルセントロ波、(2)X方向が600gal、Z方向が150galのエルセントロ波、(3)X方向が1300gal、Y方向が1900galのHAGA波、それぞれを与えた。この結果、上述のいずれの入力波形に対しても、照明装置100の落下、破損等の異常は発生せず、地震等の振動による衝撃を吸収して十分な耐震性を有することが確認された。
【0046】
上述のとおり、本実施の形態の照明装置100にあっては、地震等の振動による衝撃を吸収して免震性を有するとともに、天井面等の取付面に対して十分な取付強度を有するので、落下防止を実現することができる。
【0047】
上述の実施の形態において、パイプ固定金具40は、U字状をなし、対向する弾性板42を挿通孔11に挿通させて当接板41を取付金具10に当接させて固定する構成であったが、パイプ固定金具40の構成は、これに限定されるものではない。
【0048】
例えば、取付金具10に挿通孔11を形成せずに、U字状のパイプ固定金具40の当接板41を取付金具10の下側に当接させ、ねじ等で固定することにより、取付金具10を天井面に取り付けた状態でパイプ固定金具40の弾性体42を取付金具10から垂下させるようにしてもよい。
【0049】
また、パイプ固定金具40をU字状ではなく、当接板と該当接板の端部から略90度屈曲した弾性板を延設したL字状のパイプ固定金具を2つ用意し、それぞれのパイプ固定金具の弾性板を取付金具10の挿通孔に挿通させて、取付金具10を天井面に取り付けた状態でパイプ固定金具40の弾性体42を取付金具10から垂下させるようにしてもよい。
【0050】
また、取付金具10とパイプ固定金具40とを一体成形した構成とすることもできる。
【0051】
(実施の形態2)
図7は実施の形態2の照明装置の取付部の一例を示す模式図である。実施の形態1では、第1吊下げ部の一部のパイプ固定金具40の対向する弾性板42が、第2吊下げ部としてのパイプ50の端部を挟むようにして構成されていたが、かかる構成に限定されるものではない。実施の形態2では、図7に示すように、照明装置本体90に固定されたパイプ150の上側端部が、略U字をなし、パイプ150が、パイプ固定金具40の弾性板42を挟むようにした対向部を有する。
【0052】
そして、パイプ固定金具40の端部(一端)に軸孔を形成し、第2吊下げ部としてのパイプ150の対向部に軸孔を形成してある。ボルト60を軸孔に挿通して、ボルト60でパイプ固定金具40とパイプ150とが連結されている。上述の構成により、ボルト60の軸回りにパイプ固定金具40及びパイプ150を回動させることができる。
【0053】
図7の構成では、パイプ固定金具40は、対向する2つの弾性板42を有する構成であるが、弾性板42を1つだけ備える構成でもよい。この場合も、パイプ150が、パイプ固定金具40の弾性板42を挟むようにした対向部を有することになる。
【0054】
(実施の形態3)
図8は実施の形態3の照明装置の取付部の一例を示す模式図である。実施の形態1、2では、第1吊下げ部の一部として弾性を有するパイプ固定金具40を用い、第2吊下げ部としてパイプ50、150を用いる構成であったが、これに限定されるものではなく、第2吊下げ部に弾性を有するパイプ固定金具を用いることもできる。
【0055】
図8に示すように、実施の形態3では、天井などの取付面に固定される第1吊下げ部は、固定部としての取付金具110、支持部としてのパイプ160などを備え、パイプ160の上端側は、取付金具110に当接する当接部を構成している。これにより、第1吊下げ部の一部であるパイプ160を天井面に固定することができる。照明装置本体に固定される第2吊下げ部は、パイプ固定金具140、連結部としてのボルト60などを備える。パイプ固定金具140の対向する弾性板142に形成された軸孔、及びパイプ160の下側端部に形成された軸孔にボルト60を挿通させるとともに、ボルト60をナット部で締結することにより、パイプ固定金具140は、パイプ160に対して、ボルト60の軸回りに回動可能に連結される。
【0056】
上述の構成により、例えば、地震が発生した場合、ボルト60の軸に直交する横向き(例えば、X軸方向)に作用する衝撃に対しては、パイプ160に対してパイプ固定金具140がボルト60の軸回りに回動することにより衝撃を吸収することができる。また、ボルト60の軸方向に沿って横向き(例えば、Y軸方向)に作用する衝撃に対しては、第2吊下げ部としてのパイプ固定金具140(弾性板142)が有する弾性によりパイプ固定金具140が当該軸方向に湾曲(弾性変形)することにより衝撃を吸収することができる。すなわち、地震により揺れが発生した場合でも、X軸方向及びY軸方向のいずれの方向の衝撃も吸収することができ、地震等の振動による衝撃を吸収することができる。
【符号の説明】
【0057】
10、110 取付金具(固定部)
11 挿通孔(挿通部)
20 上側カバー(覆部材)
30 下側カバー
40 パイプ固定金具(第1吊下げ部)
41 当接板(当接部)
42 弾性板(対向部、支持部)
43 軸孔
44 ねじ(固定部材)
50、150 パイプ(第2吊下げ部)
51 軸孔
60 ボルト(連結部、軸部材)
90 照明装置本体(電気機器本体)
160 パイプ(第1吊下げ部、支持部)
140 パイプ固定金具(第2吊下げ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器本体を備え、取付面から吊り下げて該電気機器本体を取り付ける電気機器において、
前記取付面に固定される第1吊下げ部と、
前記電気機器本体に固定される第2吊下げ部と、
前記第1吊下げ部と第2吊下げ部とを軸回りに相対的に回動可能に連結する連結部と
を備え、
前記第1又は第2吊下げ部は、
前記軸方向に対して弾性を有することを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記第1吊下げ部は、
前記取付面に固定される固定部と、
該固定部に当接する当接部と、
該当接部に連設され、前記第2吊下げ部と前記連結部にて連結される支持部と
を備え、
前記固定部は、
前記支持部が挿通される挿通部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記第1及び第2吊下げ部の一方の吊下げ部は、
他方の吊下げ部の一部を間にして対向した対向部を備え、
前記一方の吊下げ部の前記対向部及び他方の吊下げ部の前記一部それぞれに軸孔を形成してあり、
前記連結部は、
前記軸孔に挿通する軸部材を備え、
前記一方の吊下げ部の前記対向部と前記他方の吊下げ部の前記一部との間に前記軸方向に沿って隙間を設けてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記固定部は、
前記対向させた前記支持部を挿通させる挿通部を離隔して形成してあり、
前記第1吊下げ部の前記当接部は、
前記支持部を繋ぎ前記固定部に当接するようにしてあり、
前記固定部を取付面に固定した状態で、該固定部の上側から前記支持部を前記挿通部に挿通させて該支持部を前記固定部から垂下させ、
前記当接部を前記固定部の上側に当接させて固定してあることを特徴とする請求項2に記載の電気機器。
【請求項5】
前記当接部を前記固定部に固定する固定部材を備えることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記軸部材の軸方向の移動を規制し、前記連結部を覆う覆部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114928(P2013−114928A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260621(P2011−260621)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)