説明

電気機械フィルタ

【課題】振動モードにおいて結合部が非対称に歪むのを防止し、良好なフィルタ特性を得ることのできるMEMS技術を用いた電気機械フィルタを提供する。
【解決手段】電気機械フィルタを構成する結合部に対し、対称な外部力を加えることで結合部の振動モードに影響をもたらすことがなく結合部のばね定数が変化し、共振モード間の結合係数を調整し、周波数帯域を変化させる。また当該結合部に静電力を印加する制御部を具備することにより、構造に応力をもたせてばね定数を変化させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機機械フィルタにかかり、特にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems) 技術を用いて作製する電気機械フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話の市場が世界で高まる状況の中で、主に使用されている無線通信システムのフィルタが表面弾性波を利用するSurface Acoustic Wave(SAW)フィルタである。このようなフィルタは圧電材料の表面に電極を配置して表面弾性波をもたらすが、圧電材料は集積回路とのモノシリック化が困難であるため、小型化が課題となる。又、今後の次世代携帯電話が高性能化、小型化するにあたってボトルネックとなる電子素子が、集積回路から外付けとなる高周波フィルタ部である。
【0003】
そこで近年では、超微細化を実現する電気機械素子を用いたMEMS技術が発展しており、特に製造方法としてシリコン・プロセスを利用した電気機械共振器、及び複数の共振器を構成する振動子を結合部を介して接続した電気機械フィルタのモノシリック化の実現が期待されている。
【0004】
図8に従来の梁型共振器を用いた電気機械フィルタ(非特許文献1)の例を示す。フィルタは梁型振動子101、103と結合梁109で構成され、入力電極105に駆動電圧を印加すると電極105と振動子101の間に駆動力が発生し、振動子103が励振される。このフィルタの機械振動モードは、振動子101、103及び結合梁109が共に垂直のたわみ振動モードを有する。図8(a)と図8(b)はフィルタシステムの2つの機械振動モードを表し、図8(a)は共振器101、103が同じ位相で共振した振動モード、図8(b)は共振器101、103が位相反転した振動モードを示す斜視図である。ここで図8(a)の結合梁109はたわみ振動モードの基本モードで共振器を結合し、図8(b)はたわみ振動の2次モードによって構成される。フィルタの電気信号は出力電極107から負荷抵抗Rを介して図8(c)に示すように、出力電圧として検出される。
【0005】
図8の電気機械フィルタのように、2つの共振器が結合されたフィルタシステムでは、2つの機械振動モードで構成され、各振動モードはいずれも近い共振周波数で振動する。フィルタの周波数帯域BWは後述する式4で示され、振動子101、103の共振周波数fo,、結合部のばね定数Kcouple、共振器のばね定数Krc、フィルタ定数C12の関係で決定されることがわかっている。
【0006】
特許文献1では、上記構成を基本とした電気機械フィルタの周波数特性を調整する方法が開示されている。図9に上面図で示すように、振動子122、123に入力電極120と出力電極121を付加した共振器127、128を結合部124で振動結合させてフィルタを構成する。入力電極120に電気信号を流すと弾性波振動モードで振動子122が共振し、結合部124の振動結合により振動子123も励起される。又、結合部124には制御電極125を設けて可変電圧供給部126によって印加する電圧を変化させることで結合部124の振動が変化し、フィルタの結合係数を調整することが可能となる。同様に振動子122、123にも制御電極を設置し、共振器127、128の振動モードを変化させることでフィルタの中心周波数を調整することも可能となる。このように共振器及び結合部124の振動領域に制御電極125を配置して電気―機械変換した外部の駆動力を用いることで電気機械フィルタの特性を調整する。
【0007】
図10は、図9の結合部124の断面図A-A’を表す。図10(a)は、振動子122、123、及び結合部124が基板平行に振動する弾性波モードで共振した場合を示す。又、図10(b)では制御電極125に電圧を印加した状態を表し、この時に生じる結合部の振動歪みは、制御電極側に一定の静電力が発生するためであり、結合部の振動を非対称に制御することになる。
【0008】
【非特許文献1】Frank D Bannon, John R. Clark, Clark T.-C.Nguyen, 「High-Q HF Microelectromechanical Filters」IEEE Journal of Solid-State Circuits, Vol.35, No.4, April 2000.
【特許文献1】特開2004−112378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、特許文献1による電気機械フィルタの周波数特性変更方法では、制御電極を結合部の片側のみに設置するため、機械振動に非対称の駆動力が印加されることになり、フィルタ特性に歪みをもたらすという問題があった。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、振動モードにおいて結合部が非対称に歪むのを防止し、歪みなしに、周波数帯域あるいは中心周波数を調整することができ、良好なフィルタ特性をもつ電気機械フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明では、電気機械フィルタを構成する結合部に対し、対称な外部力を加えることで前記結合部の振動モードに影響をもたらすことがなく結合部のばね定数が変化し、共振モード間の結合係数を調整する。本発明では、当該結合部の振動方向に対して対称な静電力を印加する制御部を具備したことを特徴とする。たとえば、制御電極の配置において、結合部の振動モードを非対称に歪ませないよう結合部の両側に、振動方向に対して対称に制御電極を設置して、この制御電極に外部力を与えることにより、結合係数に依存する前記結合部のばね定数を調整し、周波数帯域を調整するなどフィルタ特性を調整可能な電気機械フィルタを実現することが可能となる。
【0011】
又、本発明では、電気機械フィルタを構成する振動子に対称な外部力を加えることで前記振動子の振動モードに影響をもたらすことなく振動子のばね定数が変化し、フィルタの中心周波数を調整することが可能となる。本発明では、振動子の振動方向に対して対称な静電力を印加する制御部を具備したことを特徴とする。主に制御電極の配置においては、振動子の振動モードに応じて振動子が非対称に歪まないよう共振器を構成する振動子の両側に、振動方向に対して対称に制御電極を設置してこの制御電極に外部力を与えることにより、フィルタ特性を調整可能な電気機械フィルタを実現することが可能となる。特に、振動子の一方または両方の振動を独立して制御することで、フィルタの中心周波数を調整する電気機械フィルタを実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電気機械フィルタによれば、結合部を介して結合された各素子の振動を非対称に歪ませることなく、ばね定数を変化させることが可能となり、精度が高い周波数特性の調整が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の電気機械フィルタの概念を示す概略断面図である。
図1(b)は、結合部の振動方向に対して垂直な面内で対称となるような静電力を前記結合部に印加する制御部を具備したことを特徴とするものであるが、ここでは結合部12を両持ち梁として示している。この結合部12は、2つの振動子と同一面上に形成され、振動子および前記結合部の形成面に対して対称に配置された一対の制御電極10,11で前記結合部をはさむように形成されている。制御部Cは、一対の制御電極10,11と、これらの制御電極10、11への印加電圧を調整する可変電圧供給素子13とで構成されており、結合部12に対して振動方向に対称な静電力を印加するように構成されている。ここで、図1(a)は、制御部を持たない場合に、電気機械フィルタが素子基板に対して平行に共振する振動モードの初期値を示す。これらの振動には例えば特許文献1に記載の弾性波モードや梁型構造の縦振動モードがある。
【0014】
すなわち、図1(a)は電気機械フィルタが共振する初期の振動方向を断面図で示し、図1(b)は制御電極10、11を付加した後の振動を断面図で表す。ここで斜線は静電力による構造の歪みを示し、振動により歪みを生じた結合部12の位置変化を点線で表す。この電気機械フィルタは、その結合部が、2つの振動子と同一面上に形成され、振動子および前記結合部の形成面に対して対称に配置された一対の制御電極10,11で前記結合部12をはさむように形成されている。そして制御電極10、11にそれぞれ同様の可変電圧供給素子13から直流電圧を印加することで振動方向に対して対称でかつ垂直な方向に梁が応力を受け、初期値の梁に対して歪みが生じる。この歪みにより、振動方向へのばね定数kcoupleが増大し、フィルタの周波数帯域を変調することが可能となる。結合部のばね定数が増大すると、反対に振動振幅xは小さくなる。ここでフィルタを構成する振動子14,15のうち振動子14は、入力電極18から入力される信号に対して共振可能であり、この振動子14に結合部12を介して接続された前記振動子15と所定の間隔を隔てて配設された検出電極としての出力電極19とを備え、振動子15と出力電極19との間の静電容量の変化を検出することにより、電気信号として出力するように構成される。
そしてこの制御部は、制御電極10、11に直流電圧を印加することで結合部12のばね定数を増大するように可変電圧供給素子13で制御する。
【0015】
図2に上面図を示すように、この電気機械フィルタは、振動子14,15に入力電極18と出力電極19を付加した共振器A1、A2を結合部12で振動結合させて電気機械フィルタを構成する。入力電極18に電気信号を流すと弾性波振動モードで振動子14が共振し、結合部12の振動結合により振動子15も励起される。又、結合部12には制御電極10,11を設けて可変電圧供給部13によって印加する電圧を変化させることで結合部12の振動が変化し、フィルタの結合係数を調整することが可能となる。同様に振動子14、15にも制御電極を設置し、共振器A1、A2の振動モードを変化させることでフィルタの中心周波数を調整することも可能となる。このように共振器及び結合部12の振動領域に制御電極を備えた制御部を配置して電気―機械変換した外部の駆動力を用いることで電気機械フィルタの特性を調整することができる。16は振動子を支持するポストである。
【0016】
次にこの電気機械フィルタの周波数帯域の調整原理について説明する。
まず、2つの共振器が結合されたフィルタシステムでは、2つの機械振動モードで構成され、各振動モードはいずれも近い共振周波数で振動する。フィルタの中心周波数は、振動子14、15の共振周波数で決定され、フィルタの帯域は以下に示すように決定される。
まず、材料のヤング率は次式(1)で表される。
【0017】
【数1】

【0018】
また、フック法則による静電力をばね定数で表すと次式(2)で表される。
【0019】
【数2】

【0020】
さらに式(1)、(2)より、ばね定数kは次式(3)で表される。ここで振幅xは結合部の長さの伸び量ΔLに相当する。
【0021】
【数3】

【0022】
上記式(2)、(3)から、静電力を与えるということは、実際には材料のヤング率を変えて構造のばね定数を変化させるということになる。
【0023】
本発明のように結合部に静電力を印加して、静電力により一定に結合部を歪ませた状態で結合部を振動させるため、もともと存在する材料のヤング率に可変ヤング率を足した値すなわちヤング率の和から周波数を特定するばね定数が決定されるということになる。
【0024】
次式(4)で表されるフィルタの周波数帯域は、結合部と共振器のばね定数で決定するため、可変したばね定数がフィルタ特性を変化させることになる。
【0025】
【数4】

【0026】
本実施の形態では、共振器が弾性波モードで共振することで、縦振動モードで振動する結合部に対し、結合部の振動方向に垂直な静電力を与えるため、ばね定数が増大するため振動の振幅は小さくなり、周波数帯域を広げることになる。
【0027】
なお、実際には電気機械フィルタは、基板上に絶縁層(図示せず)を介して形成された入力電極および検出電極に、ギャップを有して形成された2つの共振器を配置するとともに、これら共振器の結合部に、前記結合部の軸に対して対称となるようにギャップを有して制御電極を配置し、前記制御電極に直流電圧を印加することで前記結合部のばね定数を均一に変化させるように構成される。この直流電圧の大きさを変化させることで、ばね定数は所望の値に変化する。
【0028】
なお、振動子の一方は、入力信号に対して共振可能であり、振動子の一方に結合部を介して接続された振動子の他方と所定の間隔を隔てて配設された検出電極を備え、前記振動子の他方と前記検出電極との間の静電容量の変化を検出することにより、電気信号として出力するように構成されて、電気機械フィルタを構成する。
【0029】
(実施の形態2)
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2は実施の形態1とは共振器の振動モードは同様に弾性波振動であるが結合部の振動モードが異なるもので、図3(a)は電気機械フィルタがたわみ振動モードで共振する結合部22の断面図を表す。図3(b)はフィルタに制御電極21、22を付加した場合の断面図を示し、たわみ振動の振幅を対称に増幅することになる。図4は本実施の形態の電気機械フィルタを示す図である。ここで図3(a)は、結合部の振動方向を示し、共振器が弾性波振動モードで共振し、結合部がたわみ振動モードで振動する場合において、図3(b)に示すように、結合部の振動方向に対して平行で、結合部の軸に対して対称となるような静電力を前記結合部に印加する制御部を具備したことを特徴とするものであるが、ここでは結合部を22として示している。この結合部は、2つの振動子14,15と同一面上に形成され、振動子14,15および前記結合部22の形成面に対して対称に配置された一対の制御電極20,21で前記結合部22をはさむように形成されている。図3(a)は、制御部を持たない場合に、共振器が弾性波振動モードで振動し、結合部22がたわみ振動モードで共振する状態を示す。
ここでは、当該振動子の振動面に対して対称な静電力を印加する一対の制御電極20,21と可変電圧供給素子24を備えた制御部を具備したことを特徴とする。
【0030】
すなわち、このフィルタは、その結合部22が、2つの振動子14,15と同一面上に形成され、振動子14,15および前記結合部22の形成面に対して対称に配置された一対の制御電極20,21で前記結合部22をはさむように形成されている。そして制御電極20、21にそれぞれ同様の可変電圧供給素子24から直流電圧を印加することで振動方向に対して平行に結合部に応力が掛かり、構造に歪みが生じる。この歪みを点線で示す。これにより結合部のヤング率は、初期値のヤング率に対して外部応力により増大したヤング率の合計でばね定数が決定し、上記式(3)からばね定数が大きくなる結果となる。ばね定数が大きくなることは上記式(4)からフィルタの周波数帯域を広くすることになる。
【0031】
なお前記実施の形態1,2では、結合部の振動軸に対して対称に一対の電極を配し、両電極に等しい電圧を印加したが、電極の位置が若干ずれた場合に印加電圧を調整することで、結合部の振動軸に対して対称な静電力を印加することができる。
すなわち、これら1対の制御電極は、結合部の静止位置における軸に対して対称となるように形成するのが望ましいが、スペース上の制約などの理由により、制御電極と結合部の軸との距離すなわち、静止位置における制御電極と結合部とのギャップが等しくない場合は、各制御電極に印加する電圧に差をつけ、結合部の振動方向に垂直な静電力が等しくなるように調整することで、対称位置に配されたのと同様の効果を奏功し得るようにすることが可能となる。
【0032】
(実施の形態3)
次に実施の形態3について説明する。
前記実施の形態1,2では結合部に静電力を印加する例について説明したが、本実施の形態では、振動子14、15に対して振動軸に対して対称な静電力を印加するようにしたことを特徴とする。図5(a)は電気機械フィルタの振動子14、15が弾性波振動モードで共振する状態の上面図を表す。図5(b)は振動子14に振動子制御電極30、31を付加した場合の上面図を示し、弾性波振動モードの振動方向に垂直方向に静電力を印加し、振幅を対称に抑制することになる。図6は本実施の形態の電気機械フィルタを示す図である。ここで図5(a)は、振動子の初期の振動方向を示し、共振器が弾性波振動モードで共振し、結合部が縦振動モードで振動する場合において、図5(b)に示すように、振動子に印加する制御部を具備したことにより振動方向に対して垂直に応力が発生し、構造に歪み(斜線)がもたらせることを特徴とするものである。図5(a)は、制御部を持たない場合に、共振器が弾性波振動モードで振動し、振動子14,15が弾性振動モードで共振する状態を示す。
【0033】
ここでは、当該振動子14の振動面に対して対称な静電力を印加する一対の制御電極30,31と可変電圧供給素子13を備えた制御部を具備したことを特徴とする。一方振動子14に結合部12を介して連結された振動子15についても振動子14と同様に、振動子15の振動面に対して対称な静電力を印加する一対の制御電極32,33と可変電圧供給素子13を備えた制御部を具備している。
【0034】
すなわち、このフィルタは、その結合部12が、2つの振動子14,15と同一面上に形成され、振動子14および15に対して対称に配置された一対の制御電極30,31および制御電極32,33でそれぞれ振動子14および15をはさむように形成されている。そして制御電極30、31および制御電極32、33にそれぞれ同一の可変電圧供給素子13から直流電圧を印加することで振動方向に対して垂直な静電力が印加され振動振幅が小さくなることになる。
これにより振動子の振動方向に垂直な力を与えるため、ばね定数が大きくなるため振動の振幅は小さくなり、上記式(1)乃至(4)から周波数帯域を大きくすることになる。
【0035】
なお、前記実施の形態3では、2つの振動子14,15に対してそれぞれ対称な制御電極を1対ずつ設け、互いに等しい静電力を印加するようにしたが、一方の振動子に対してのみ静電力を印加してもよいし、互いに異なる静電力を印加してもよい。これにより、中心周波数を変化させることができる。
【0036】
また、振動子14,15だけでなく結合部にも振動方向に対して対称となるような静電力を付与するようにしてもよい。またこれらの静電力は振動子と結合部とで一括して付与するようにしてもよいし、独立して制御するようにしてもよい。
【0037】
(実施の形態4)
図7は本発明の実施の形態4を示す電気機械フィルタを示す概略の斜視図である。
図7は2つの電気機械共振器を結合部54で連結した電気機械フィルタを表し、振動子50、52、入力電極60、出力電極61と制御電極62、63、64、65で構成される。制御電極62と63に電圧を印加すると振動子50,52の振動に歪みが生じる。その結果、振動子のばね定数が可変してフィルタシステムの中心周波数、foを調整することが可能となる。又、制御電極64、65に電圧を印加すると結合部54のばね定数、kcoupleが変化してフィルタシステムの周波数帯域、BWを調整することが可能となる(式(1)から(4)参照)。
このとき、制御電極62と63に電圧を印加すると、振動子50,52の振動に歪みが生じる一方、制御電極64、65に電圧を印加すると結合部54のばね定数kcoupleが変化するが、これらの制御電圧を調整し、振動子および結合部が対称な振動をするように制御する。
【0038】
なお、この電気機械フィルタは、振動子50は、入力信号に対して共振可能であり、振動子50に結合部54を介して接続された振動子52と所定の間隔を隔てて配設された検出電極としての出力電極61を備えており、前記振動子52と出力電極61との間の静電容量の変化を検出することにより、電気信号として出力するように構成されている。
なお、ここで示す電気機械フィルタの振動モードは例として振動子が弾性波振動モード、結合部が縦振動モードの構成を有する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかる電気機械フィルタは、振動子の機械振動に影響なく周波数特性の制御を可能とし、小型化、高性能な電気機械共振器、及びフィルタに応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1における電気機械フィルタの結合部を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1における電気機械フィルタを示す全体概要図
【図3】本発明の実施の形態2における電気機械フィルタの結合部を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態2における電気機械フィルタを示す全体概要図
【図5】本発明の実施の形態3における電気機械フィルタの結合部を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態3における電気機械フィルタを示す全体概要図
【図7】本発明の実施の形態4における電気機械フィルタを示す全体概要斜視図
【図8】非特許文献1の電気機械フィルタを示す斜視図
【図9】特許文献1の電気機械フィルタを示す上面図
【図10】特許文献1の電気機械フィルタの振動方向を示す断面図
【符号の説明】
【0041】
12、22、32 結合部
14,15、50、52 振動子
51,53 支持部
54 結合部
60 入力電極
61 出力電極
62,63、64、65 制御電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの共振器を構成する振動子を、結合部を介して接続した電気機械フィルタであって、
当該結合部の振動方向に対して対称な静電力を印加する制御部を具備した電気機械フィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械フィルタであって、
前記制御部は、前記振動方向に対して垂直な静電力を前記結合部に印加する電気機械フィルタ。
【請求項3】
請求項1に記載の電気機械フィルタであって、
前記制御部は、前記振動方向に対して平行な静電力を前記結合部に印加する電気機械フィルタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電気機械フィルタであって、
前記結合部は、前記2つの振動子と同一面上に形成され、
前記制御部は、前記結合部をはさむように、前記結合部に対して対称に配置された一対の制御電極と、前記制御電極に電圧を印加する可変電圧供給素子とで形成された電気機械フィルタ。
【請求項5】
請求項4に記載の電気機械フィルタであって、
前記振動子の一方は、入力信号に対して共振可能であり、前記振動子の一方に結合部を介して接続された前記振動子の他方と所定の間隔を隔てて配設された検出電極とを備え、前記振動子の他方と前記検出電極との間の静電容量の変化を検出することにより、電気信号として出力するように構成され、
前記制御部は、前記制御電極に直流電圧を印加することで前記結合部のばね定数を均一に変化させるように可変電圧供給素子で制御するように構成された電気機械フィルタ。
【請求項6】
少なくとも2つの共振器を構成する振動子を、結合部を介して接続した電機機械フィルタであって、
当該振動子の振動方向に対して対称な静電力を印加する制御部を具備した電気機械フィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載の電気機械フィルタであって、
前記振動方向に対して垂直な力を前記振動子に印加する制御部を具備した電気機械フィルタ。
【請求項8】
請求項6または7に記載の電気機械フィルタであって、
前記結合部は、前記2つの振動子と同一面上に形成され、
前記振動子および前記結合部の形成面に対して対称に配置された一対の制御電極で前記振動子をはさむように形成された電気機械フィルタ。
【請求項9】
請求項6または7に記載の電気機械フィルタであって、
前記結合部は、互いに平行となるように配置された前記2つの振動子の端部で前記振動子に対してほぼ直交するように配置され、前記振動子をその両端に配設された一対の制御電極ではさむように形成された電気機械フィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載の電気機械フィルタであって、
前記振動子の一方は、入力信号に対して共振可能であり、前記振動子の一方に結合部を介して接続された前記振動子の他方と所定の間隔を隔てて配設された検出電極とを備え、前記振動子の他方と前記検出電極との間の静電容量の変化を検出することにより、電気信号として出力するように構成され、
前記制御部は、前記制御電極に直流電圧を印加することで前記振動子の少なくとも一方のばね定数を均一に変化させるように可変電圧供給素子で制御するように構成された電気機械フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−118331(P2009−118331A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291010(P2007−291010)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】