説明

電気機械式駆動装置とともに使用される脈管及び管腔拡張器アタッチメント

【課題】改良された外科用アタッチメントを提供する。
【解決手段】電気機械式駆動装置とともに使用される、選択的に接続可能でかつリモート式に作動可能な外科用アタッチメントは、閉塞した脈管及び管腔の拡張に使用される。アタッチメントは、電気機械式駆動装置に接続可能であって電気機械式駆動装置の作動に従って選択的に回転可能な軸状ロッド200を有する。ロッド200はまた、その双方の端部に、互いに反対方向のねじ206、208を有する。一対のナット210、212は、ロッド200、特に互いに反対方向のねじ206、208にそれぞれ取付けられる。ロッド200及びナット210、212は、ロッド200は回転させるがナット210、212の回転挙動は抑制する軸方向のトラック内に配置され、それによりナット210、212は、ロッド200が回転したときにロッド200のねじ206、208に沿って軸方向に移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、一般的には電気機械式駆動装置とともに使用されるアタッチメントに関し、特に、リモート式電気機械式駆動装置によって、血管、管腔又は類似の脈管の内部に挿入可能であり、そこで拡張及び折畳みが可能でかつ、そこから取外し可能な血管拡張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明
人体の動脈、消化管、腸管又は他の脈管(他の重要例としては、胆管)における狭窄症の識別においては、いくつかの治療措置が選択可能である。外科的治療には、補助的な脈管を人体の他の領域から移植するための、又はより低頻度の条件においては人工の補助的組織を植設するためのバイパスのような、完全な侵襲性処置が含まれる。この完全な侵襲性処置は、しばしば重要な入院及び途方もないリハビリテーションを必要とする。これらの理由により、例数を最小化してそこにおけるこれらの処置の実行を最小限にすることが産業目的となっている。より強く望まれているより侵襲性の低い外科治療は、狭窄した脈管のセグメント内に装置を挿入し、脈管の中の経路がより望ましい直径に拡張されるまでセグメント内の装置を膨張させるものである。この処置は、広範囲に適用可能であるが、装置が挿入できないような重度の狭窄症が生じた状況では適用が難しい。そのような処置の目標となる組織には、上述のように、硬化した心血管動脈、硬化した末梢脈管動脈、瘢痕化又は他の狭窄要因によって適当な消化の流れが妨げられる範囲まで狭窄した腸管組織、及び拡張に十分な弾性を有する通常使用される他の全ての軟組織の脈管が含まれる。
【0003】
狭窄した脈管内の構造物を拡張して、そこにおける流れをより望ましいレベルに高めるような方法論的技術革新が、最近の数十年の医学において大きく進歩する一方で、これらの処置の実施に使用される装置は、その進歩の度合よりも実質的に遅れている。そのような処置のための、例えば血管治療用の膨張性バルーンカテーテルのような伝統的な装置は、装置の先端に配置された選択的に拡張可能な体積部を有する長い可撓性のチューブである。拡張可能な体積部を先端に有するこのチューブは、大腿動脈及び大動脈を通って、心臓そのものの中へ進められる。チューブは、心臓から、部分的に閉塞した脈管内に進められる。装置の先端が狭窄した経路に配置されたら、液体(通常は生理食塩水)が可撓性の拡張性体積部を膨張させるためにその中に送られる。膨張するバルーンは、脈管の壁を押圧して脈管を外部に拡張させる。この処置は、そこを通る流れが症状及びダメージの可能性を軽減するために十分であると治療者が感じられる状態に脈管が拡大されるまで続けられる。
【0004】
バルーンカテーテル構造の最も重要な欠点の1つは、体積膨張手段及びその体積膨張の方法により、処置中に脈管を通る液体の流れが完全に遮断されることである。この欠点は、壁に圧力を加えるためにバルーンが脈管を塞ぐという事実から、その構造に内在するものである。従来技術において提唱されているいくつかの選択的構造は、バルーンが完全に膨張したときに少量の液体が流れるようにするいくつかのカニューレ、又はバルーン自身に形成される狭い剛性の貫通孔を提供することにより、その問題に対する最小限の解決策を提供している。
【0005】
この試行解決策は、バルーン式装置の他の重大な欠点をさらに顕在化(かつ悪化)させる。この欠点は、脈管壁の拡張に関する情報の収集に関するものである。特に、全ての脈管の拡張に関する重要な測定の1つは、所定のバルーン内圧にて得られる直径の変化である。圧力と直径の関係は、拡張又は既に生じている脈管狭窄の程度だけでなく、脈管組織の弾性が潜在的患者のスペクトラム全体で変化するときは、本質的に不正確である(例えば、2回目又は3回目の血管治療は、1回目の処置における圧力と直径の関係とは全く異なる関係にて行われる。)。拡張した体積部を通る狭窄経路を有することは、特にカニューレ構造を具備するバルーンの場合は、内部圧力と直径との関係において非常に信頼性のない結果に至る。
【0006】
残念ながら、外科治療中に一度拡張した脈管は、常に効果を長時間維持できるわけではない。脈管の狭窄が頻繁に続くと、治療領域を通る流れが再び追加治療が必要なレベルに下がる場合がある。脈管の拡張が組織に繰返して力を加え、動脈瘤の形成につながると、脈管内に永久的な構造要素を設けることが必要となる。これらの構造要素は、一般的にはステントとして参照されるが、通常は円筒形状であり、堅固な円筒、メッシュ、織物等を含む種々の異なる形状に形成される。患者体内へのステントの導入は、ステントを挿入するために脈管が必要な直径まで拡張している間は、通常は伝統的血管形成処置に従う。ステントをリモート式に設置することは困難であるが、ステントが、折畳まれた形態で与えられて、次に挿入チューブ内に組み込まれた場所で不可逆的に拡張するといういくつかの構造が提唱されている。従って特定のステントの直径は予め定められるので、選択されたステントの直径は正確に選定されねばならない。
【0007】
しかしながらステントは、人体によって、時間の経過とともに脈絡壁の組織内に取り込まれる。ステントの周り及び内部の少なくとも一方において脈管の狭窄が続くと、治療の継続において直ちに理解可能な問題が生じる。すなわち、ステントは、血管形成治療における脈管の拡張を妨げる剛性金属の構造物であるということである(バルーンはステントに対して拡張するが、ステントは変形しない状態を維持する)。
【0008】
人体に既に取り込まれたステントの取外しは、無視できない問題である。ステントの上や内部の周りに形成された組織を分離させる技術は、従来技術において提唱されているが、一般的にこれらの技術は、脈管内で刃を回転させることを含む。粒状物質が脈管内で除去できなくなり、その結果としてかなりのダメージを惹起する危険性は、脈管壁の構造的完全性を弱めて断裂に至る可能性と同様に、この技術の適用可能性を限定する。最近の解析においては、ステントが短時間だけ狭窄状態を緩和するだけでステントの有用性は損なわれるが、脈管が再び狭窄し始めた(このような場合には非常に多く発生する)ときに、ステントに対して十分なバイパス処置を予め定めかつ施すことができる。
【0009】
多くの従来技術の装置と同様に、これら全ての装置は完全な使い捨てと見なされ、実際に、一度使用されたら廃棄されていることもまた、現在の装置の欠点である。それらは、複数の可動部分を有し、実質的に完全な構造を要する複雑な装置であり、故に製造コストが高い。それらの装置は一度使用されたら一部分も再使用されないという事実は、高価かつ財源を浪費するような装置の使用を意味する。
【0010】
この欠点に加えて、従来技術の装置は、上述の説明から直ちに明らかなことであるが、克服すべき他の多くの制限を受けている。これらの制限には、バルーンカテーテルの全ての機構及び機能を外科医が手動で作動させることが必要であることと、血管形成バルーンが別々の大きさに膨張してしまい、アンダーサイズのバルーンは次のサイズのバルーンと置換しなければならないという事実とが含まれる。この処置は、適当な直径が得られるまで何度も繰返される場合がある。全てのアンダーサイズのバルーンは、この処置の間に無駄になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の主目的は、外科的処置に関連しかつ従って、狭窄した脈管又は管腔に対して径方向外側に向かう圧力を与えてその脈管又は管腔を拡張させるために、リモート式に作動する装置を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、胃腸の手術、心血管治療、末梢脈管治療及び他の処置が行われている間に組織を拡張する装置を提供することである。その装置は、電気機械式駆動装置のアタッチメントとして使用可能であることにより、財源の浪費を低減し、ある範囲の拡張を容易にする(例えば、上述のような脈管のサイジングの必要性を排除する)。
【0013】
本発明のさらなる目的は、外科医、胃腸専門医又は心臓専門医が異なる構成要素及び機構を手動で作動させる必要性を低減する装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、脈管を閉塞させずに脈管内で拡張し、それにより、脈管又は管腔の壁に対して拡張しているときに重要な液体流れを維持できる装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、脈管又は管腔が永久的な構造支持体を要することが予め定められているときは、拡張する部分の少なくとも一部が、脈管又は管腔の内部に対して植設かつ分離可能な装置を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、装置特にその一部が、脈管又は管腔に選択的に植設可能であり、拡張可能であって、異なる直径範囲内の直径まで永久的(かつ厳密)に拡張できることである。
【0017】
本発明の他の目的は、以下の「発明の概要」及び図面に関連する「好適な実施形態の詳細な説明」に記載された説明によって理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の概要
本発明の前述の目的は、本発明に係るアタッチメントにより達成される。そのアタッチメントは、US特許09/324,452号の「吻合、ステープル吻合及び切除器具用の電気機械式駆動装置」においてより詳細に説明されている電気機械式駆動装置に接続され、かつその駆動装置に作動させられる。特に、そのアタッチメントは、異なる構造の様々な形態で具体化可能であり、その好適例が以下にさらに詳細に説明される。アタッチメントの実施形態の各々は、電気機械式駆動装置の可撓性シャフトの末端部に接続可能である。電気機械式駆動装置は、他の付加的機能として、電気機械式駆動装置に従う適当なリモート式動作によって、アタッチメントを拡張及び収縮させる。
【0019】
より詳細には、電気機械式駆動装置は、ハンドル及び可撓性の駆動シャフトを有する。ハンドルは、ピストルグリップ状の構造を有し、可撓性の駆動シャフトを回転させるモーターに独立して接続されるフィンガートリガーを有する(以下により十分に説明)。モーターは、2方向モーターであり、ハンドル上部に取付けられる手動の駆動スイッチに接続され、それにより外科医(ユーザー)は、モーターの回転方向を選択的に切替えることができる。この2方向機能は、電流の方向に対応して方向が切り替わるモーターを選定し、それに応じて手動の駆動スイッチの作動が電流の方向を切り替えることによって、最も簡単に達成される。
この実施例においては、モーター用電源は、バッテリーパック(最も望ましくは充電式バッテリーパック)のような直流電源でなくてはならない。装置を交流電流にて使用する場合は、変圧器又はより精巧な中間歯車組立品を使用することができる。この説明に関連して、これより説明される本発明の実施形態は、直流電流を供給する充電式バッテリーパックを使用する。
【0020】
モーター構成要素に加えて、ハンドルはさらに他のいくつかの機能、すなわち(1)リモート式の状態表示器、(2)シャフト操縦手段及び(3)少なくとも1つの付加的な電源を有する。第1に、リモート式の状態表示器は、LCD(又は類似の読出し装置)を有することができ、それによりユーザーは構成要素の位置の情報(例えばスポークが閉鎖位置又は一定の拡張直径のいずれにあるか)を得ることができる。第2に、ハンドルはまた、手動で動作可能な操縦手段(例えばジョイスティック又はトラックボール)を有し、その手段は、以下に十分に説明される可撓性シャフトに取付けられる操縦ワイヤーによって、可撓性シャフトの移動方向を規定する。最後に、ハンドルは、付加的な電源と、電力をアタッチメントへ選択的に供給するためのオン/オフスイッチとを有することができる。
【0021】
特に、可撓性シャフトに関して、シャフトは、好ましくは組織互換性がありかつ殺菌可能(すなわちオートクレーブに十分耐え得る)である単純なエラストマー材料から形成される管状の鞘を有する。様々な長さの可撓性シャフトが、本発明に関連して提供可能である。この場合、可撓性シャフト及びハンドルは分離可能であるべきである。分離可能であるときは、可撓性シャフトの基端部とハンドルの末端部との間の境界面は、駆動要素のための接続手段を有する。
【0022】
特に可撓性シャフトの駆動要素に関して、エラストマーの管状の鞘内に、より小さいチューブが固定される。その固定されたチューブは、固定されたチューブ内を回転可能な可撓性駆動シャフトを包含する。可撓性駆動シャフト自体は、外科医が患者の脈管を通って閉塞部位まで「蛇」のように移動することを必要としているときは、屈曲や彎曲等に十分な可撓性を維持しながら、ハンドル内のモーターからのトルクを可撓性駆動シャフトの末端部に単純に伝えることができねばならない。例えば、可撓性駆動シャフトは、金属メッシュを備えたファイバーケーブルを有することができる。他の可撓性駆動シャフトも、この目的に適していることが理解されるべきである。
【0023】
本発明の主題である脈管及び管腔を拡張するアタッチメント(後に十分に説明)のようなアタッチメントを確実に係合させるためには、可撓性シャフトの末端部が安定グリップ構造を有することが好ましい。そのグリップ構造は、アタッチメントの接続端部にある一対の凹所に係合する1組の単純な尖端部であることが好ましい(後に十分に説明)。さらに、可撓性駆動シャフトの末端部は、トルクを連続して伝えられる構造を具備しなければならない。例えば、可撓性駆動シャフトの末端部は、六角形状であってもよく、それによりアタッチメントの接続境界面にある六角形状の凹所内に係合する。可撓性駆動シャフトの末端部は、使用可能なアタッチメントへの可撓性駆動シャフトの係合を強める付加的な位相幾何学構造をさらに有することができる。しかしその位相幾何学構造は固定されるため、アタッチメントの一部のみを回転させるための安定した参照位置が提供される。(従って、トルクがアタッチメントの一部に加えられたときは、アタッチメント全体は回転しない。)
上述のように、ハンドルに取付けられた手動で作動する操縦手段に関して、可撓性シャフトはさらに、少なくとも2つの操縦ワイヤーを有する。それらのワイヤーは、可撓性であるが、可撓性シャフトの末端部の近くにある可撓性シャフトの内表面に接続される。複数の操縦ワイヤーは、手動で作動する操縦手段の作動によって互いに対して軸方向に移動可能であり、その挙動に従って可撓性シャフトが屈曲及び彎曲する。
【0024】
また上述のように、ハンドルが有するリモート式状態表示器に関して、可撓性シャフトは、アタッチメントに接続するための電気リード線をさらに有する。この電気リード線は、アタッチメントの状態(例えば、脈管又は管腔を開くためにアタッチメント装置が拡張する直径範囲)を表示するために、アタッチメントからハンドルへ信号を伝える。
【0025】
特に、本発明に係る脈管及び管腔拡張器アタッチメントに関して、アタッチメントは、いくつかの異なる可能な実施形態を有し、好適な実施形態の1つが本願明細書に例示されている。アタッチメントは、最も単純には回転ロッドとして説明される少なくとも1つのリニアドライブのエクステンションに適合する。双方の実施形態において、この回転ロッドは、第1及び第2の細長い端部を有する円筒状の細長いロッドを構成する。ロッドの外表面は、第1端部から短い距離にある位置から、第2端部から短い距離にある位置まで伸びる不連続なねじを有する。このねじは、ロッドの上半分のねじが1つの方向に向かい、ロッドの下半分のねじがそれと反対方向に向かう限りにおいて、不連続である。一対のナットがロッドに取付けられるが、第1ナットは上半分のねじに取付けられ、第2ナットは下半分のねじに取付けられる。従って、ナットの回転を防止しながらロッドをその伸びる方向の軸線の回りで回転させることにより、相対的回転方向及びねじ方向に従って、2つのナットが互いに近づくか又は離れる方向に移動する。
【0026】
ロッドが有するねじのない細長い端部の各々には、円周状の凹所が設けられ、そこにワッシャーが取付けられる。ワッシャーは、ロッドに平行に伸びる複数の細長いピンによって互いに接続される。ワッシャーは、ワッシャーが相対的に静止しているときにロッドが回転できるように、ロッドに取付けられる。実際には、下方のワッシャーは、電気機械式駆動装置の可撓性シャフトが有する対応する安定グリップ構造に接続される位相幾何学構造を有する。それにより、ワッシャーは駆動装置に対して動かないが、ワッシャーに対するロッド200の自由な回転は防止されない。
【0027】
ロッドに取付けられるナットは、ワッシャーを互いに連結する複数のピンに係合する少なくとも1つのトラッキング孔を有する。それによりナットは、ロッドが伸びる方向に沿って直線的に移動可能となるが、ロッドとともに回転することは防止される。
【0028】
ロッドの第1端部において、円筒の半径面は、電気機械式駆動装置の可撓性駆動シャフトに接続するための接続手段(例えば、六角形状の接続用凹所)を有する。アタッチメントが電気機械式駆動装置に関連付けられているときは、ロッドは可撓性駆動シャフトと機械的な関係を有する。このことにより、電気機械式駆動装置が有するモーターの起動によりロッドが作動し、それにより複数のナットは、ねじの特定方向に従って、互いに近づくか又は離れる方向に、ロッドに沿って移動する。
【0029】
好適な実施形態においては、2つのナットの各々は、複数の円周状部位において、一連の可撓性継手によって互いに連結される。特に、各々の継手は、一対のスポークにより形成される。一対のスポークの1つは、第1ナットの円周状部位に取付けられ、もう1つは、第2ナットの円周状部位に同様に取付けられる。各々のスポークの一方の端部は、スポークを径方向外側に回転可能にする継手によって、それぞれのナットに接続される。各々のスポークのもう一方の端部は、同様の継手によって、対応する反対側のスポークの末端部に接続される。それにより、接続されたスポークは、複数のナットが互いに近づいたときは傘のような形態で径方向外側に広がり、また複数のナットが離れたときは径方向内側に揺動する。複数のスポークは、互いに直接接続される必要はなく、その代わりにスポークの末端部に接続される第3のピンより互いに連結可能である。また第3のピンは、ナットの挙動に関連してロッドに対して径方向に移動するが、ロッドと平行な状態に維持される。このことは理解すべきである。
【0030】
スポークの末端部はまた、ナットが互いに近づいたときに連続する拡張表面を形成する可撓性の管状材料に接続される。特に、可撓性のチューブ又はシュラウドは、軸方向に十分な剛性を有する(例えば軸方向リブによって)が、径方向には十分な伸長性を有する。それにより、拡張するスポークは、一定の直径と、可撓性シュラウドの内表面からロッドの中央軸まで伸びるとともに間隔を空けて径方向に配置される一連のスポークとを有する円筒状構造物を形成する。複数のスポークが円筒状構造物の内表面に別々に接続されるこの実施形態の変形例においては、可撓性シュラウドの内表面からロッドの中央軸まで伸びるとともに間隔を空けて径方向に配置されるスポークは、軸方向に、少なくとも2つのグループに分けられる。可撓性シュラウドは、双方の軸端部において径方向に向き合う面を具備しない限り、ロッド及びスポークのみが、拡張が行われているときに、脈管を通る液体の自由な流れを抑制する。
【0031】
本発明においては、アタッチメントが、一度適当な大きさまで拡張したら(類似の方法で)、分離されて脈管又は管腔の中で永久的なステントとして残存できるような方法で、可撓性駆動シャフトに接続され構築されることがさらに理解されるべきである。ステントは、将来は折畳み及び除去が可能であるか、又は少なくとも従来技術の他のステント、特に折畳みできないステントよりも有害とならないようにすることができる。
【0032】
実際には、このアタッチメントは以下のように使用することができる。外科医(ユーザー)は、先ず電気機械式駆動装置の可撓性シャフトの末端部にアタッチメントを接続し、可撓性シュラウドが径方向に最も小さい形態となるために、複数のナットが可能な限り離れて配置されていることを確認する。次に可撓性シャフト及びアタッチメントは、脈管又は管腔の中の望ましい場所(例えば心臓付近の心血管閉塞の場合は大腿動脈の中)に導入される。次に可撓性シャフト及びアタッチメントは、脈管又は管腔の部分的に閉塞した部位に達しさらにそこを通るように進められる。先に十分説明したように、また上述のUS特許09/324,452号においても十分に説明されているように、脈管又は管腔を通る可撓性シャフトの誘導は、電気機械式駆動装置のハンドルにあるリモート式操縦ワイヤーの作動により行われる。上述のように、このアタッチメント、及び実際にはこの処置の全体は、アタッチメントを閉塞部位内に進める必要がある限り、患者の脈管が完全には閉塞していない状況において最も良く適用できる。
【0033】
アタッチメントが一度適切に配置されると、外科医は、先ず電気機械式駆動装置のハンドルにあるフィンガートリガーを作動させ、それにより可撓性シャフト内の可撓性駆動シャフトが回転する。可撓性駆動シャフトの末端部へのアタッチメントの接続により、不連続ねじを有する細長いロッドのみが回転する。次にナットが互いに向かって移動して、スポークが外側に回転して可撓性チューブを径方向に開き、それにより、閉塞された脈管壁が押圧されて脈管が径方向に拡張され、多くの液体が流れることができる。
【0034】
電気機械式駆動装置の可撓性シャフトの末端部からアタッチメントがリモート式に分離可能であるこの実施形態の変形例に関連して、起こり得る脈管の再狭窄を少なくとも遅らせるためには、拡張されたステント状構造物を外科医が適所に置いておくことが適当であることがわかるであろう。
【0035】
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1) トルクを伝達する先端部を備える細長い可撓性駆動シャフトを具備する電気機械式駆動装置とともに使用される脈管及び管腔拡張器アタッチメントであって、
第1及び第2の軸状部分を有し、上記電気機械式駆動装置の上記トルクを伝達する先端部と係合可能であり、上記第1軸状部分に配置される第1ねじ及び上記第2軸状部分に配置される第2ねじを有し、上記第1及び第2ねじが互いに反対方向であるような回転ロッドと、
上記ロッドの上記第1及び第2の軸状部分が有する上記第1及び第2ねじの回りにそれぞれ取付けられる第1及び第2ナットと、
上記ロッドの回転により、上記第1及び第2ナットが、上記ロッドが1つの方向に回転しているときは互いに向かって移動し、上記ロッドが上記1つの方向と反対の方向に回転しているときは互いに離れるように移動するように、上記ロッドに対する上記第1及び第2ナット並びに上記ロッドの回転を防止する手段と、
上記第1及び第2ナットに接続されて、上記第1及び第2ナットの相対的な軸方向挙動に従って径方向に拡張し収縮する、複数の接続された径方向拡張及び収縮スポークと、
上記ロッド、上記第1及び第2ナット並びに上記スポークの回りに取付けられる径方向可撓性の管状シュラウドであって、上記ロッドの回転に従って径方向に拡張可能かつ択一的に収縮可能なように、上記径方向可撓性の管状シュラウドの内表面が上記スポークに接続される、径方向可撓性の管状シュラウドと、を有する脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
(項目2) 上記ロッドが上記電気機械式駆動装置により回転させられたときに上記ロッドに対する上記第1及び第2ナットの回転を防止する上記手段は、上記ロッドが有する互いに反対側の軸状の端部に、ゆるく取付けられる一対のワッシャーを有し、上記ワッシャーは、上記ロッドの回転により回転させられないように取付けられ、上記ワッシャーは、上記ロッドに平行に伸びる少なくとも1つのピンにより互いに接続され、上記ピンは、上記第1及び第2ナットを通って伸び、それによりトラックが形成され、上記第1及び第2ナットは、上記トラックに沿って軸方向に移動可能であるが、上記トラックにより回転動作は防止される項目1に記載の脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
(項目3) 上記ロッド、上記第1及び第2ナット並びに上記スポークの回りに取付けられる上記径方向可撓性の管状シュラウドが、軸方向に一定の直径の配置となるように上記シュラウドを支持する軸方向の剛性リブをさらに有する項目1に記載の脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
(項目4) 上記第1及び第2ナットに接続された上記複数の接続された径方向拡張及び収縮スポークは、
末端部及び基端部を有する一対の細長い部材であって、上記基端部の各々は、上記第1及び第2ナットの1つの側方の外表面の場所に枢動式にそれぞれ接続されて、その接続部により、対応する上記細長い部材は、上記接続部の回りを枢動し、上記ロッドに平行になる位置を含む範囲にわたって、上記ロッドに垂直な位置まで径方向外側に揺動可能である一対の細長い部材と、
上記第1及び第2ナットが上記電気機械式駆動装置の作動に従って互いに向かって移動したときに、上記一対の細長い部材がともに上記ロッドに平行な方向及び上記ロッドに垂直な方向から揺動するように、上記細長い部材の上記末端部の接続部により形成される枢動接続部であって、それにより上記接続された細長い部材の上記末端部により形成される上記枢動接続部は、上記ロッドから径方向外側に移動する、枢動接続部と、を有する項目1に記載の脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
(項目5) 上記細長い部材の長さは、上記接続された細長い部材の上記末端部により形成される上記枢動接続部が上記ロッドに対して軸方向に移動しないように定められる項目4に記載の脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
(項目6) 上記接続された細長い部材の上記末端部により形成される上記枢動接続部が、上記径方向可撓性の管状シュラウドの内表面に接続される項目4に記載の脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
【0036】
(項目7) 上記第1及び第2ナットに接続された上記複数の接続された径方向拡張及び収縮スポークは、
各々が末端部及び基端部を有する第1及び第2の細長い部材であって、上記基端部の各々は、上記第1及び第2ナットの1つの側方の外表面の場所に枢動式にそれぞれ接続されて、その接続部により、対応する上記細長い部材は、上記接続部の回りを枢動し、上記ロッドに平行になる位置を含む範囲にわたって、上記ロッドに垂直な位置まで径方向外側に揺動可能である第1及び第2の細長い部材と、
上記ロッドに平行な方向である第3の細長い部材と、上記第1及び第2ナットが上記電気機械式駆動装置の作動に従って互いに向かって移動したときに、上記第1及び第2の細長い部材が上記ロッドに平行な方向及び上記ロッドに垂直な方向から揺動するように、上記第3の細長い部材の互いに反対側の端部に、上記第1及び第2の細長い部材の上記末端部の接続部により形成される一対の枢動接続部であって、上記第3の細長い部材を有する上記第1及び第2の細長い部材の上記末端部により形成される上記枢動接続部は、上記第3の細長い部材を上記ロッドから径方向外側に移動させる、枢動接続部と、を有する項目1に記載の脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
(項目8) 上記第1、第2及び第3の細長い部材の長さが、上記第3の細長い部材が上記ロッドに対して軸方向に動かないように定められる項目7に記載の脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
(項目9) 上記第3の細長い部材が、上記径方向可撓性の管状シュラウドの内表面に接続される項目7に記載の脈管及び管腔拡張器アタッチメント。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るハンドル及び可撓性シャフトについて、内部の特徴を模型的に表した側面図である。
【図2】本発明の実施形態の1つである、不連続なねじを有する細長いロッド、ナット及びワッシャーの部分組立品の側面図である。
【図3】図3aは、本発明の1つの変形例において、アタッチメントの完全な組立品の閉鎖配置を示す側断面図である。図3bは、本発明の1つの変形例において、アタッチメントの完全な組立品の拡張配置を示す側断面図である。
【図4】図4aは、本発明の他の変形例において、アタッチメントの組立品のやや拡張した配置を示す側断面図である。図4bは、本発明の他の変形例において、アタッチメントの組立品の完全に拡張した配置を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
好適な実施形態の詳細な説明
本発明が、特定の実施形態を示す図面を参照しながら使用方法に関連してさらに詳細に説明される間に、当業者は、本発明の機能及び成果を達成する一方で、本発明を修正できることが最初に理解されるであろう。従って、以下の説明は、本発明の幅広い範囲内にありかつその範囲を限定しないような、例示的かつ典型的な特定の構造、形態及び機能として理解されるべきである。全体を通じて、類似の機能を有する同様の構成要素に対しては、同じ参照符号が付される。
【0039】
特に、本発明は、電気機械式駆動装置とともに使用される脈管及び管腔拡張器アタッチメントを有する。アタッチメントの使用方法及び機能を十分に理解するためには、電気機械式駆動装置について論ずることが有効である。従って、図1を参照して、以下に電気機械式駆動装置を説明する。電気機械式駆動装置は、ハンドル部102及び可撓性駆動シャフト部104を有する。ハンドル102は、外科医(作業者)が容易に把持できるような形状の部分を有する。例えば、本願明細書に記載の実施形態においては、ハンドル102はピストルグリップ状部分106を有する。グリップ部分106は、少なくとも1つ(本発明の実施形態においては1つ)のフィンガー作動式トリガー108を有する。フィンガートリガー108は、ハンドル102の内部に収容されて可撓性駆動シャフト(以下により十分に説明)を回転させるモーター112に接続される。
【0040】
特に、モーター112に関し、それは手動式駆動スイッチ116に接続されて電源114から送電される2方向モーターである。手動式駆動スイッチ116は、外科医(ユーザー)がモーター112の回転方向を選択的に切替えられるように(それにより可撓性シャフト122の回転方向を切替える)、ハンドル100の上部に備えられる。デュアル直流電源又はシングルリモート式交流電源(例えば米国標準である120ボルト、60ヘルツのコンセントから得られる交流電流)を含む択一的電源は、選択的実施形態に関して使用可能であることが理解されるべきである。電気機械式駆動装置を交流電流にて使用する場合は、モーター112及び電源114の間に変圧器を具備することができ、又はより精巧な中間歯車組立品を、モーター112及び可撓性駆動シャフト136の間に具備することができる。
【0041】
電源及び駆動スイッチ要素に関して、ハンドル100は、モーター110に加えてリモート状態表示器118をさらに有する。表示器118は、LCD(又は類似の読出し装置)を有することができ、それによりユーザーは構成要素の位置の情報(例えばスポークが閉鎖位置又は一定の拡張直径のいずれにあるか)を得ることができる。ハンドル100はさらに、可撓性シャフト122の末端部121をリモート式に移動させる手動操作可能な操縦手段124(本発明の実施形態においては複数の操縦ワイヤー126に接続されたトラックボール124)を有する。操縦ワイヤー126は、可撓性シャフト122に沿って伸び(以下により十分に説明)、可撓性シャフト122の末端部121に接続される。トラックボール124が回転すると、操縦ワイヤー126が引っ張られ、それに従って可撓性シャフト122の末端部121が向きを変える。
【0042】
特に、可撓性シャフト122に関して、シャフトは、組織互換性があるエラストマー材料から形成される管状の鞘128を有する。この装置を再使用するときは、その材料が殺菌可能(すなわちオートクレーブに十分耐え得る)であることが重要である。図示された実施形態は、可撓性シャフト122及びそれに連続するハンドル102を有するが、当業者は、可撓性シャフト122及び分離可能なハンドル102を有し、それにより種々の目的に適する様々な長さのシャフトを具備できる選択的実施形態を用意できることが理解されるべきである。この場合、可撓性シャフト122及びハンドル100は、可撓性シャフト122の基端部とハンドル100の末端部との間に、駆動要素のための接続手段を備える境界面を有する。
【0043】
特に可撓性シャフト122の駆動要素130に関して、エラストマーの管状の鞘128内に、より小さいチューブ134が固定される。固定されたチューブ134は、固定されたチューブ134内を回転可能な可撓性駆動シャフト136を包含する。可撓性駆動シャフト136自体は、外科医が患者の脈管を通って閉塞部位まで「蛇」のように移動することを必要としているときは、屈曲や彎曲等に十分な可撓性を維持しながら、ハンドル102内のモーター112からのトルクを可撓性駆動シャフト136の末端部138に単純に伝えることができねばならない。例えば、可撓性駆動シャフト136は、金属メッシュを備えたファイバーケーブル、高い引張強度のポリマー材料、又は十分な可撓性を有する単一金属のシャフトを有することができる。
【0044】
電気機械式駆動装置とともに使用されるアタッチメントを確実に係合させるためには、可撓性シャフト122の末端部121が安定グリップ構造139を有することが好ましい。そのグリップ構造は、アタッチメントの接続端部にある一対の凹所に係合する1組の単純な尖端部であることが好ましい(図2〜図4参照)。
【0045】
可撓性駆動シャフト136の末端部138をアタッチメントに接続するためには、可撓性駆動シャフト136の末端部138は、トルクを連続して伝えられる構造を具備しなければならない。本発明の実施形態においては、この接続は幾何学的係合により達成される。より正確には、可撓性駆動シャフト136の末端部138は、六角形状であり、それによりアタッチメントの接続境界面にある六角形状の凹所内に係合する(図2参照)。可撓性駆動シャフト136と分離された末端部138の不動の残部は、可撓性駆動シャフト136の回転に従って回転すべきでないアタッチメントの一部を回転させないように、選定されたアタッチメントと接続する安定した接続構造139を有する。
【0046】
ハンドル102に取付けられた手動で作動する操縦手段124に関して、可撓性シャフト122はさらに、少なくとも2つの操縦ワイヤー126を有する。操縦ワイヤー126は、可撓性であるが、可撓性シャフト122の末端部の近くにある可撓性シャフト122の内表面に接続される。複数の操縦ワイヤー126は、手動で作動する操縦手段124の作動によって互いに対して軸方向に移動可能であり、その挙動に従って可撓性シャフト122が屈曲及び彎曲する。
【0047】
ハンドル102が有するリモート式状態表示器118に関して、可撓性シャフト122は、アタッチメントに接続するための電気リード線120をさらに有する。この電気リード線120は、アタッチメントの状態(例えば、脈管又は管腔を開くためにアタッチメント装置が拡張する直径範囲)を表示するために、アタッチメントからハンドル102へ信号を伝える。
【0048】
図2を参照すると、脈管及び管腔拡張器アタッチメントは、リニアドライブのエクステンションすなわち回転ロッド200に適合する。本願明細書に記載の双方の実施形態において、この回転ロッド200は、第1及び第2の細長い端部202及び204を有する円筒状の細長いロッド200を構成する。ロッド200の外表面は、第1端部202から短い距離にある位置から、第2端部204から短い距離にある位置まで伸びる不連続なねじ206及び208を有する。このねじは、ロッドの上半分のねじ206が1つの方向に向かい、ロッドの下半分のねじ208がそれと反対方向に向かう限りにおいて、不連続である。一対のナット210、212がロッド200に取付けられるが、第1ナット210は上半分のねじ206に取付けられ、第2ナット212は下半分のねじ208に取付けられる。従って、ナット210、212の回転を防止しながらロッド200をその伸びる方向の軸線の回りで回転させることにより、相対的回転方向及びねじ方向に従って、ナット210及び212が互いに近づくか又は離れる方向に移動する。
【0049】
ロッド200が有するねじのない細長い端部202、204の各々には、円周状の凹所214、216がそれぞれ設けられ、そこにワッシャー218、220が取付けられる。ワッシャー218、220は、円筒状の細長いロッド200に平行に伸びる細長いピン222a、222bによって互いに接続される。ワッシャー218、220は、ワッシャー218、220が相対的に静止しているときにロッド200が回転できるように、ロッド200に取付けられる。実際には、下方のワッシャー220は、電気機械式駆動装置の可撓性シャフトが有する対応する安定グリップ構造(図1にアイテム139として最もよく図示されている)に接続される一対の凹所223を有する。それにより、ワッシャー218、220は駆動装置に対して動かないが、ワッシャー218、220に対するロッド200の自由な回転は防止されない。
【0050】
ロッド200に取付けられるナット210、212は、ワッシャー218、200を互いに連結する細長いピン222a、222bが通る一対のトラッキング孔224を有する。それにより、ナット210、212はロッド200が伸びる方向に沿って直線的に移動可能となるが、ロッド200とともに回転することは防止される。
【0051】
ロッド200の第1端部202において、円筒の半径面は、電気機械式駆動装置の可撓性駆動シャフトに接続するための接続手段225(例えば六角形状のソケット)を有する。アタッチメントが電気機械式駆動装置に関連付けられているときは、ロッド200は少なくとも1つの可撓性駆動シャフトと機械的な関係を有する。このことにより、電気機械式駆動装置が有するモーターの起動によりロッドが作動し、それによりナット210、212は、ねじの特定方向に従って、互いに近づくか又は離れる方向に、ロッド200に沿って移動する。
【0052】
図3a及び図3bを参照すると、本発明の第1の実施形態が一対の断面図にて示されている。図3aはアタッチメントがやや拡張した図であり、図3bはアタッチメントが完全に拡張した図である。この実施形態においては、ナット210、212の各々は、複数の円周状部位において、一連の可撓性継手又はピボット230によって互いに連結される。特に、ピボット230の各々は、一対のスポーク232a、232bにより形成される。スポーク232aは、第1ナット210の円周状部位に取付けられ、スポーク232bは、第2ナット212の円周状部位に同様に取付けられる。各々のスポーク232a、232bの一方の端部は、スポークを径方向外側に回転可能にする継手によって、それぞれのナット210、212に接続される。各々のスポーク232a、232bのもう一方の端部は、同様の継手234によって、対応する反対側のスポークの末端部に接続される。それにより、接続されたスポークは、ナット210、212が互いに近づいたときは傘のような形態で径方向外側に広がり、またナット210、212が離れたときは径方向内側に揺動する。
【0053】
図4a及び図4bを参照すると、第2の実施形態が示されている。スポーク232a、232bは、互いに直接接続される必要はなく、その代わりにスポーク232a、232bの末端部に接続される第3のピン236より互いに連結可能である。また第3のピン236は、ナット210、212の挙動に関連して、ロッド200に対して径方向に移動するが、ロッド200と平行な状態に維持される。このことは理解すべきである。
【0054】
双方の実施形態において、スポーク232a、232bの末端部はまた、ナット210、212が互いに近づいたときに連続する拡張表面を形成する可撓性の管状材料240に接続される。特に、可撓性のチューブ240は、軸方向に十分な剛性を有する(例えば図示されていない軸方向リブによって)が、径方向には十分な伸長性を有する。それにより、拡張するスポーク232a、232bは、一定の直径と、可撓性チューブ240の内表面からロッド200の中央軸まで伸びるとともに間隔を空けて径方向に配置される一連のスポークとを有する円筒状構造物を形成する。スポーク232a、232bが円筒状構造物の内表面に別々に接続されるこの実施形態の変形例においては、可撓性チューブ240の内表面からロッド200の中央軸まで伸びるとともに間隔を空けて径方向に配置されるスポークは、軸方向に、少なくとも2つのグループに分けられる。可撓性チューブ240は、双方の軸端部において径方向に向き合う面を具備しない(円筒の上部又は底部を閉鎖しない)ので、ロッド200及びスポークのみが、拡張が行われているときに、脈管を通る液体の自由な流れを抑制する。
【0055】
本発明においては、アタッチメントが、一度適当な大きさまで拡張したら(類似の方法で)、分離されて脈管の中で永久的なステントとして残存できるような方法で、電気機械式駆動装置の可撓性シャフトに接続され構築されることが理解されるべきである。ステントは、将来は折畳み及び除去が可能であるか、又は少なくとも従来技術の他のステント、特に折畳みできないステントよりも有害とならないようにすることができる。
【0056】
実際には、このアタッチメントは以下のように使用することができる。外科医(ユーザー)は、先ず電気機械式駆動装置の可撓性シャフトの末端部にアタッチメントを接続し、可撓性チューブ240が径方向に最も小さい形態となるために、ナット210、212が可能な限り離れて配置されていることを確認する。次に可撓性シャフト及びアタッチメントは、脈管又は管腔の中の望ましい場所(例えば心臓付近の心血管閉塞の場合は大腿動脈の中)に導入される。次に可撓性シャフト及びアタッチメントは、脈管又は管腔の部分的に閉塞した部位に達しさらにそこを通るように進められる。先に十分説明したように、また上述のUS特許09/324,452号においても十分に説明されているように、脈管を通る可撓性シャフトの誘導は、電気機械式駆動装置のハンドルにあるリモート式操縦ワイヤーの作動により行われる。上述のように、このアタッチメント、及び実際にはこの処置の全体は、アタッチメントを閉塞部位内に進める必要がある限り、患者の脈管が完全には閉塞していない状況において最も良く適用できる。
【0057】
アタッチメントが一度適切に配置されると、外科医は、先ず電気機械式駆動装置のハンドルにあるフィンガートリガーを作動させ、それにより電気機械式駆動装置の可撓性シャフト内の可撓性駆動シャフトが回転する。可撓性シャフトの末端部へのアタッチメントの接続により、不連続ねじを有する細長いロッド200のみが回転する。次にナット210、212が互いに向かって移動して、スポーク232a、232bが外側に回転して可撓性チューブ240を径方向に開き、それにより、閉塞された脈管又は管腔の壁が押圧されて脈管又は管腔が径方向に拡張され、多くの液体が流れることができる。
【0058】
電気機械式駆動装置の可撓性シャフトの末端部からアタッチメントがリモート式に分離可能であるこの実施形態の変形例に関連して、起こり得る脈管又は管腔の再狭窄を少なくとも遅らせるためには、拡張されたステント状構造物を外科医が適所に置いておくことが適当であることがわかるであろう。
【0059】
外科用電気機械式駆動装置とともに使用される新規性のあるアタッチメントが説明され図示されているが、当業者には、本願明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の幅広い思想や原理から逸脱することなく、変形及び修正が可能であることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−63298(P2013−63298A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−264998(P2012−264998)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2011−71139(P2011−71139)の分割
【原出願日】平成13年2月21日(2001.2.21)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】