説明

電気泳動ディスプレイユニット

電気泳動ディスプレイユニット(1,100)は、データ電極(31,32,33,34)を介してデータパルス(DP1,DP2)を画素(11)に供給するのに必要なエネルギーを低減するために、スイッチング回路(50)を備えている。このエネルギーは、実現すべき差動電圧に比例するとともに、チャージ又はディスチャージされる容量(13)に比例し、この容量(13)は、画素(11)の容量とアクティブマトリックスの容量との組合せによって形成される。アクティブマトリックスの容量が非常に大きいので、比較的大きなエネルギー量が必要である。スイッチング回路(50)は、同じデータ電極(31,32,33,34)に結合される対応する2つの画素(11)に順に供給されるべき2つの選択パルス(SP1,SP2)の間に、データ電極(31,32,33,34)を、グランドなどの電圧基準源(REF)に結合する。これによって、データドライバ(3)によって実現すべきディスチャージ量が低減される。結果として、必要な最大エネルギーが低減される。電気泳動ディスプレイユニット(1,100)全体の消費電力を削減するために、これは、好ましくは、逆の極性の振幅を有するデータパルス(DP1,DP2)のみに対して行われるべきである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動ディスプレイユニット、電気泳動ディスプレイユニット用のデータ駆動回路、電気泳動ディスプレイユニットを有する表示装置、電気泳動ディスプレイユニットを駆動する方法、および電気泳動ディスプレイユニットを駆動するコンピュータ・プログラム・プロダクトに関する。
【0002】
このタイプの表示装置の例は、モニタ、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、電子ブック、電子新聞、および電子マガジンである。
【背景技術】
【0003】
従来技術の電気泳動ディスプレイユニットは、国際特許出願WO99/53373号から既知である。この特許出願は、2つの基板を有する電子インクディスプレイを開示しており、この2つの基板のうちの一方の基板は透明であって共通電極(対向電極としても知られる)を有し、他方の基板は行および列に配される画素電極が備えられている。行電極と列電極との間の交差部は画素に関係している。画素は共通電極の一部と画素電極との間に形成される。画素電極はトランジスタのドレインに結合され、そのトランジスタのソースは列電極即ちデータ電極に結合され、そのトランジスタのゲートは行電極即ち選択電極に結合されている。画素、トランジスタ、並びに行電極および列電極の構成は、協働して、アクティブマトリックスを形成する。行ドライバ(選択ドライバ)は、行駆動信号、即ち、或る行の画素を選択する選択信号を供給し、列ドライバ(データドライバ)は、列駆動信号即ちデータ信号を、列電極およびトランジスタを介して、選択された行の画素に供給する。データ信号は表示されるべきデータに対応しており、選択信号と協働して、1つ以上の画素を駆動する駆動信号(の一部)を形成する。
【0004】
更に、画素電極と透明基板に備えられる共通電極との間に、電子インクが備えられる。電子インクは、直径がおよそ10ミクロンから50ミクロンの複数のマイクロカプセルを有する。各マイクロカプセルは、液体中に懸濁する、正に帯電した白の粒子と負に帯電した黒の粒子とを有する。正の電圧が画素電極に印加されると、白の粒子は、マイクロカプセルの、透明基板に向けられた側へと移動し、画素が観測者に見えるようになる。同時に、黒の粒子は、マイクロカプセルの反対側の画素電極に移動し、そこでは黒の粒子は観測者から見えないようになる。負の電圧を画素電極に印加することによって、黒の粒子は、マイクロカプセルの、透明基板に向けられた側の共通電極に移動し、画素は観測者に暗く見える。同時に、白の粒子は、マイクロカプセルの反対側の画素電極に移動し、そこでは白の粒子は観測者から見えないようになる。電圧が取り除かれると、ディスプレイユニットは粒子の移動により得られた状態をそのまま保ち、双安定性を示す。
【0005】
電気泳動ディスプレイユニットの光学応答の画素履歴依存性を低減するために、データ依存信号が供給される前にプリセットデータ信号が供給される。プリセットデータ信号はデータパルスを有し、このデータパルスは、電気泳動粒子を2つの電極のうちの一方の電極に静止した状態から解放するのに十分なエネルギーではあるが、この電気泳動粒子を他方の電極に到達させるには小さすぎるエネルギーを表す。画素履歴依存性が低減したので、画素の履歴に関わらず、同一データに対する光学応答は実質的に等しい。基本的なメカニズムは、表示装置が所定の状態、例えば黒の状態に切り換えられた後、電気泳動粒子が静止状態になるという事実によって、説明できる。次に白の状態への切換えが生じたとき、粒子の始動速度はゼロに近いので粒子の運動量は小さい。これによって、履歴依存性が大きくなり、この大きい依存性に打ち勝つために長い切換時間になる。プリセットデータ信号の印加によって、電気泳動粒子の運動量が増加し、したがってこの依存性が低減し、より短い切換時間になる。
【0006】
(各行を次々に駆動し、行ごとに全ての列を同時に一回駆動することによって)全ての行の全ての画素を一回駆動するのに必要な時間間隔は、フレームと呼ばれる。各フレームにおいて、画素を駆動する各データパルスに対し、行ごとに、当該行を選択(駆動)するためにその行に行駆動信号(選択信号)を供給する行駆動動作、データパルス(例えば、プリセットデータ信号のデータパルス、又はデータ依存信号のデータパルスなど)を画素に供給する列駆動動作が必要である。通常、後者の動作は、一つの行の全画素に対して同時に行われる。
【0007】
画像を更新するとき、先ず、プリセットデータ信号の複数のデータパルスが供給され、これはプリセットデータパルスと呼ばれる。各プリセットデータパルスは1フレーム期間の持続期間を有する。1番目のプリセットデータパルスは、例えば正の振幅を有し、2番目のプリセットデータパルスは負の振幅を有し、3番目のプリセットデータパルスは正の振幅を有する、などである。交番する振幅を有する斯かるプリセットデータパルスは、画素の表示するグレー値を変えない。
【0008】
連続する1つ以上のフレームの間にデータ依存信号が供給され、データ依存信号は、ゼロフレーム期間、1フレーム期間、2フレーム期間から、例えば15フレーム期間の持続時間を有する。これによって、ゼロフレーム期間の持続時間を有するデータ依存信号は、例えば、画素が完全な黒を既に表示していたとすると、完全な黒を表示する画素に対応する。画素が特定のグレー値を表示していた場合は、この画素をゼロフレーム期間の持続時間を有するデータ依存信号で駆動したとき、言い換えると、振幅ゼロの駆動データパルスで駆動したとき、このグレー値は変化しない。例えば15フレーム期間の持続時間を有するデータ依存信号は、15個のパルスを有し、画素に完全な白を表示させ、1フレーム期間から14フレーム期間の持続時間を有するデータ依存信号は、例えば、1個から14個の駆動データパルスを有し、完全な黒と完全な白との間の限られた数のグレー値のうちの1つのグレー値を表示する画素にする。
【0009】
データ電極ごとに、第1の振幅を有する第1のデータパルスが、データ電極に結合され且つ第1の行に存在する第1の画素に供給される。この第1のデータパルスの後に、第2の振幅を有する第2のデータパルスが続き、この第2のデータパルスは、同じデータ電極に結合され且つ第2の行に存在する第2の画素に供給される。第1および第2の振幅が反対の極性を有する場合、データドライバは、第2のデータパルスを供給するために、2CUに等しいエネルギーを発生しなければならない。Cは全容量、+Uは第1の振幅、−Uは第2の振幅、−2Uは実現すべき差動電圧、Q=−2CUは与えるべきディスチャージ量である。単一データパルスが利用できるのは+U又は−Uであるので、エネルギーE=|QU|=2CUである。第1および第2の振幅が逆の場合、実現すべき差動電圧は2Uに等しく、Q=2CUが与えるべきチャージ量であり、エネルギーはやはり2CUに等しい。これにより、Cは、データ電極とデータドライバとが互いに結合される位置において、データ電極を介してデータドライバが「見た」全容量である。この全容量Cは、アクティブな行とデータ電極に対応する列との位置における画素の容量と、この画素に並列に存在し得る容量と、アクティブマトリックスの容量との組合せによって、形成される。このアクティブマトリックスの容量は、画素の容量と比べて比較的大きいので、全容量はアクティブマトリックスの容量に実質的に等しい。アクティブマトリックスの容量をディスチャージするには、分離した1個の画素をディスチャージするのに必要なエネルギーと比べて、比較的大きい量のエネルギーが必要である。
【0010】
既知の電気泳動ディスプレイユニットは、特に、これらの容量のチャージおよびディスチャージに必要なエネルギーが比較的大きいので、不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、特に、電気泳動ディスプレイユニットのデータ電極に結合される容量のチャージおよびディスチャージに必要なエネルギーが比較的小さい電気泳動ディスプレイユニットを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、特に、チャージおよびディスチャージに必要なエネルギーが比較的小さい電気泳動ディスプレイユニット用のデータ駆動回路を提供し、チャージおよびディスチャージに必要なエネルギーが比較的小さい電気泳動ディスプレイユニットを有する表示装置を提供し、チャージおよびディスチャージに必要なエネルギーが比較的小さい電気泳動ディスプレイユニットにおいて(電気泳動ディスプレイユニットと組み合わせて)使用される、電気泳動ディスプレイユニットを駆動する方法および電気泳動ディスプレイユニットを駆動するコンピュータ・プログラム・プロダクトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による電気泳動ディスプレイユニットは、
− 選択電極とデータ電極とを有する電気泳動表示パネルであって、上記選択電極と上記データ電極との交差部が画素に関連する電気泳動表示パネル、
− 第1のデータパルスおよび第2のデータパルスを上記データ電極に供給するデータ駆動回路、
− 第1の選択パルスおよび第2の選択パルスを対応する選択電極に供給する選択駆動回路、および
− 上記第1の選択パルスの終わりの後、次の第2の選択パルスの終わりの前に、上記第1のデータパルスの極電圧値と上記第2のデータパルスの極電圧値との間の基準電圧を有する電圧基準源に上記データ電極を結合するためのスイッチング回路を制御するコントローラ、
を有する。
【0014】
スイッチ又はトランジスタなどの形のスイッチング回路を導入することによって、第1の行への第1の選択パルスの供給の間、および第2の行への第2の選択パルスの供給の終わりの前に、このデータ電極を基準電圧源に結合できる。結果として、基準電圧源の基準電圧がデータパルスの極電圧値と極電圧値との間の値を有するので、極第1の選択パルスと第2の選択パルスとの間に、少なくともアクティブマトリックスの容量がチャージ又はディスチャージされ、次いで、データ電極における電圧が基準電圧に実質的に等しくなる。画素の容量も(ディス)チャージされるかどうかは、この画素に結合されるスイッチング素子がこの瞬間に導通状態であかどうかに依存する。結果として、第2のパルスを供給するときに、アクティブマトリックスの容量を考慮してデータドライバを介して実現すべき差動電圧の絶対値は、+2Uよりも少なく、データドライバは、第2のデータパルスを供給するのに2CUよりも少ないエネルギーを発生し、これは、従来技術の状況で必要な全エネルギーよりも少ない。したがって、チャージ又はディスチャージに必要な最大エネルギーが低減される。
【0015】
基本の考え方は、適切に機能するには、第1に、画素が誤った電圧で駆動されることを防止するために、画素に供給されるべきデータパルス電圧は第1の(第2の)選択パルスの終わりまでには正しい値を有していなければならないこと、第2に、画素が正しいデータパルス電圧で駆動されるように、スイッチング回路のチャージ又はディスチャージは、第2の選択パルスの終わりの前の十分な時間量で完了されなければならないことである。
【0016】
電圧基準端子がグランドに対応する場合、第1の選択パルスと第2の選択パルスとの間で、少なくともアクティブマトリックスの容量がチャージ又はディスチャージされ、その後に、データ電極における電圧が約ゼロボルトになる。画素の容量も(ディス)チャージされるかどうかは、この画素に結合されるスイッチング素子がこの瞬間に導通状態であるかどうかに依存する。結果として、第2のパルスを供給するときに、アクティブマトリックスの容量を考慮して実現すべき差動電圧は、約+U又は−Uであり、データドライバは、第2のデータパルスを供給するのにCUに実質的に等しいエネルギーを発生し、これは、従来技術の状況で必要な全エネルギーの約半分である。したがって、チャージ又はディスチャージに必要な最大エネルギーが実質的に50%低減する。
【0017】
電圧基準源は、基準電圧を記憶するコンデンサを有することができる。
【0018】
一実施例では、振動データパルスは、例えば、上記のプリセットデータパルスに対応する。リセットデータパルスは駆動データパルスに先行して駆動データパルスの固定開始点(固定された黒、又は固定された白)を規定することによって、電気泳動ディスプレイユニットの光学応答を更に向上させる。あるいは、リセットデータパルスは駆動データパルスに先行して駆動データパルスのフレキシブルな開始点(このフレキシブルな開始点は、黒又は白であり、後続する駆動データパルスによって規定されるべきグレー値に依存して選択され、このグレー値に最も近いものである)を規定することによって、電気泳動ディスプレイユニットの光学応答を更に向上させる。
【0019】
第1の選択パルスの終わりの後第2の選択パルスの始まりの前にデータ電極を電圧基準端子に結合するためのスイッチング回路を、コントローラが制御することによって、画素にデータパルスを正確に供給するため、多くの時間を使用することができる。
【0020】
先の実施例は、第2のデータパルスを対応する第2の画素に供給するのに必要な最大エネルギーを低減する。しかし、同じデータ電極に結合される第1の画素および次の第2の画素の全てが、必ずしも逆の極性の振幅を有する第1および第2のデータパルスを受け取るとは限らないので、電気泳動ディスプレイユニット全体の平均消費電力は、必ずしも削減されるというわけではない。第1の画素が振幅ゼロではない第1のデータパルスを受け取り、次の第2の画素がゼロ振幅の第2のデータパルスを受け取る場合、又はその逆の場合には、途中でチャージ又はディスチャージを行っても、第2のデータパルスを次の第2の画素に供給するのに必要なエネルギーは削減されない。両方の画素とも同じ振幅のデータパルスを受け取る場合、途中でチャージ又はディスチャージを行うと、第2のデータパルスを次の第2画素に供給するのに必要なエネルギーはゼロから約CUに増加する。上記コントローラが、反対の極性の振幅を有する第1および第2のデータパルスのみに対して、上記データ電極を上記電圧基準源に結合するための上記スイッチング回路を制御することによって、第2のデータパルスを次の第2の画素に供給するのに必要なエネルギーは、反対の極性を有するデータパルスの状況では低減され、他の状況では変わらない。結果として、電気泳動ディスプレイユニット全体の消費電力が削減される。
【0021】
第1および第2のデータパルスの振幅に関する情報を、コントローラに結合されるメモリに記憶することによって、スイッチング回路を自動的に制御できる。
【0022】
上記スイッチング回路を上記データ駆動回路および上記スイッチング素子に結合することによって、データ駆動回路を適合させる必要がない。
【0023】
データ駆動回路は列ドライバとすることができる。スイッチング回路にデータ駆動回路の一部を形成させることによって、スイッチング回路はデータ駆動回路に一体化され、電気泳動ディスプレイパネルとデータ駆動回路とに別々に結合される必要がない。
【0024】
表示装置は電子ブックとすることができ、情報を記憶する記憶媒体は、メモリスティック、集積回路、メモリ、又は例えばディスプレイユニットに表示されるべき本の内容を記憶する他の記憶媒体、とすることができる。
【0025】
本発明による方法の実施例、本発明によるコンピュータプログラムプロダクトの実施例は、本発明による電気泳動ディスプレイユニットの実施例に対応する。
【0026】
本発明は、特に、データ電極を介してデータドライバが「見た」全容量が、
− アクティブな行とデータ電極に対応する列との位置における画素の容量、
− この画素に並列に存在し得る容量、および
− アクティブマトリックスの容量、
の組合せを有するという洞察に基づいている。
【0027】
このアクティブマトリックスの容量は画素の容量より大きく、1つ以上の容量を差動電圧でチャージ又はディスチャージするのに必要なエネルギーは、これら1つ以上の容量に比例するとともに、この差動電圧に比例し、本発明は、特に、アクティブマトリックスの容量を考慮してデータドライバを介して実現すべき差動電圧は、データ電極を電圧基準源に結合して途中にチャージ又はディスチャージを導入することによって、小さくできるという基本的な考えに基づいている。
【0028】
本発明は、特に、チャージおよびディスチャージをするのに必要なエネルギーが比較的少ない電気泳動ディスプレイを提供するという問題を解決し、特に、最適には従来の状況で必要な全ネルギーの約半分だけ供給すればよいという点で有利である。逆の極性の振幅を有する第1および第2のデータパルスに対してだけデータ電極を電圧基準源に結合する場合に、電気泳動ディスプレイユニットの消費電力が削減される。
【0029】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施例を基準にして明らかであり、これらの実施例を基準にして説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1に(断面で)示される電気泳動ディスプレイユニットの画素11は、ベース基板2と、例えばポリエチレンの2つの基板3、4との間に存在する電子インクを持つ電気泳動フィルム(ベース基板2に積層されている)と、を有する。これら基板のうちの一方の基板3には透明画素電極5が備えられ、他方の基板4には透明共通電極6が備えられる。電子インクは、直径が約10ミクロンから50ミクロンの複数のマイクロカプセル7を有する。各マイクロカプセル7は、液体10に懸濁した、正に帯電した白の粒子8と負に帯電した黒の粒子9とを有する。正の電圧が画素電極5に印加されると、白の粒子8は、マイクロカプセル7の、共通電極6を向いている側に移動し、画素は観測者に見えるようになる。同時に、黒の粒子9は、マイクロカプセル7の反対側に移動し、そこでは黒の粒子9は観測者から見えないようにされる。画素電極5に負の電圧を印加することによって、黒の粒子9は、マイクロカプセル7の、共通電極6を向いている側に移動し、画素は観測者に暗く見える(図示せず)。電圧が取り除かれると、粒子8、9はその移動により得られた状態をそのまま保ち、ディスプレイは双安定性を示し、電力を実質的に消費しない。
【0031】
図2に示される電気泳動ディスプレイユニット1は表示パネル60を有し、この表示パネル60は、行電極即ち選択電極41、42、43と列電極即ちデータ電極31、32、33との交差部の領域に、画素11のマトリックスを有する。これらの画素11は全て共通電極6に結合され、各画素11はそれ自身の画素電極5に結合されている。電気泳動ディスプレイユニット1は、更に、行電極41、42、43に結合された選択駆動回路40(行ドライバ40)と列電極31、32、33に結合されたデータ駆動回路30(列ドライバ30)とを有し、画素11ごとにアクティブスイッチング素子12を有する。電気泳動ディスプレイユニット1はこれらのアクティブスイッチング素子12(この例では(薄膜)トランジスタ)によって駆動される。選択駆動回路40は行電極41、42、43を連続的に選択し、一方、データ駆動回路30はデータ信号を列電極31、32、33に供給する。好ましくは、コントローラ20は入力部21を介して到達する入力データを先ず処理し、次いでデータ信号を発生する。データ駆動回路30と選択駆動回路40との間の相互同期は、駆動ライン23および24を介して行われる。選択駆動回路40からの選択信号はトランジスタ12を介して画素電極5を選択する。トランジスタ12のドレイン電極は画素電極5に電気的に結合され、トランジスタ12のゲート電極は行電極41、42、43に電気的に結合され、トランジスタ12のソース電極は列電極31、32、33に電気的に結合されている。同時に、列電極31、32、33に存在するデータ信号が、トランジスタ12のドレイン電極に結合される画素11の画素電極5に送られる。トランジスタの代わりに、ダイオード、MIMなどの他のスイッチング素子を使用することができる。データ信号および選択信号は協働して駆動信号(の一部)を形成する。
【0032】
入力部21を介して受け取ることができる画像情報などの入力データは、コントローラ20によって処理される。さらに、コントローラ20は新たな画像に関する新たな画像情報の到達を検出し、それに応答して、受け取った画像情報の処理を開始する。画像情報の処理には、この新たな画像情報の読込み、コントローラ20のメモリに記憶された以前の画像とこの新たな画像との比較、温度センサとの相互連絡、駆動波形のルックアップテーブルを含むメモリのアクセス、などが含まれる。最後に、コントローラ20は、画像情報の処理がいつ完了するのかを検出する。
【0033】
次いで、コントローラ20は、駆動ライン23を介してデータ駆動回路30に供給されるべきデータ信号を発生し、駆動ライン24を介して行ドライバ40に供給されるべき選択信号を発生する。データ信号は、全ての画素11に対して同じであるデータ非依存信号と、画像11ごとに違うかもしれないし違わないかもしれないデータ依存信号と、を有する。データ非依存信号はプリセットデータパルスを形成する振動データパルスを有し、データ依存信号は、1つ以上のリセットデータパルスと1つ以上の駆動データパルスとを有する。振動パルスはエネルギーを表すパルスを有しており、このパルスが表すエネルギーは、電気泳動粒子8、9を2つの電極5、6のうちの一方の電極での静止状態から解放するのに十分なエネルギーであるが、粒子8、9を電極5、6のうちの他方の電極に到達させるには小さすぎるエネルギーである。履歴依存性が低くなったので、画素11の履歴に関わらず、同一データに対する光学応答は実質的に等しい。したがって、振動データパルスによって、電気泳動ディスプレイユニットの光学応答の画素11の履歴依存性が低減する。リセットデータパルスは駆動データパルスに先行して駆動データパルスのフレキシブルな開始点を規定することによって、さらに光学応答を向上させる。この開始点は黒レベル又は白レベルとすることができ、この開始点は、後続する駆動データパルスによって規定されるグレー値に依存して選択され、このグレー値に最も近い。あるいは、リセットデータパルスは、データ非依存信号の一部を形成することができ、駆動データパルスに先行して駆動パルスの固定開始点を規定することによって、電気泳動ディスプレイユニットの光学応答を更に向上させることができる。この開始点は固定された黒レベル又は固定された白レベルとすることができる。
【0034】
図3には、電気泳動ディスプレイユニット1を駆動するための、画素11に印加される電圧を時間tの関数として表す波形が示されている。この波形は、データ駆動回路30を介して供給されるデータ信号を使用して生成される。この波形は、第1の振動データパルスSh1と、その後に続く1つ以上のリセットデータパルスRと、第2の振動データパルスSh2と、1つ以上の駆動データパルスDrと、を有する。例えば、4つのグレーレベルを有するシステムに対しては、16個の異なる波形が、コントローラ20の一部を形成するおよび/又はコントローラ20に結合されるメモリ(ルックアップテーブルとすることができる)に記憶される。入力部21を介して受け取られるデータに応答して、コントローラ20は画素11の波形を選択し、対応するドライバ30、40および対応するトランジスタ12を介して、対応する画素11に、対応する選択信号およびデータ信号を供給する。
【0035】
フレーム期間は、各行を次々に駆動して行ごとに全ての列を同時に一回駆動することによって電気泳動ディスプレイユニット1の全ての画素11を一回駆動するために使用される時間間隔に対応する。フレームの間に、データ依存信号又はデータ非依存信号を画素11に供給するために、データ駆動回路30は、1つの行の全ての画素11がこれらのデータ依存信号又はデータ非依存信号を同時に受け取るように、コントローラ20によって制御される。これは行ごとに行われ、コントローラ20は、行が次々に選択されるように行ドライバ40を制御する(選択された行の全てのトランジスタ12は導通状態になる)。データ非依存信号の場合、2つ以上の行を同時に選択できる。
【0036】
最初のフレームの組の間、第1の振動データパルスSh1が画素11に供給され、各振動データパルスは1フレーム期間の持続時間を有する。開始振動データパルスは例えば正の振幅を有し、次の振動データパルスは負の振幅を有し、その次の振動データパルスは正の振幅を有する、などである。したがって、これらの交番する振幅データパルスは、フレーム期間が比較的短い限りは、画素11によって表示されるグレー値を変更しない。
【0037】
1つ以上のフレーム期間を有する2番目のフレームの組の間、リセットデータパルスRの組合せは、更に以下に記載されるように供給される。3番目のフレームの組の間、第2の振動データパルスSh2が画素11に供給され、各振動データパルスは、1フレーム期間の持続時間を有する。1つ以上のフレーム期間を有する4番目のフレームの組の間、駆動データパルスDrの組合せが供給され、駆動データパルスDrの組合せは、ゼロフレーム期間の持続時間を有し実際にゼロの振幅を有するパルスであるか、又は1フレーム期間、2フレーム期間から、例えば15フレーム期間の持続時間を有する。これによって、ゼロフレーム期間の持続時間を有する駆動データパルスDrは、例えば、画素11が既に完全な黒を表示していたとすると、完全な黒を表示する画素に対応する。画素11が特定のグレー値を表示していた場合は、ゼロフレーム期間の持続時間を有する駆動データパルスで駆動したとき、言い換えると、振幅がゼロのパルスで駆動したとき、このグレー値は変化しない。15フレーム期間の持続時間を有する駆動データパルスDrの組合せは、連続する15個のパルスを有し、例えば、完全な白を表示する画素11に対応する。1フレーム期間から14フレーム期間の持続時間を有する駆動データパルスDrの組合せは、1個のパルスから連続する14個のパルスを有し、例えば、完全な黒と完全な白との間の限られた数のグレー値のうちの1つのグレー値を表示する画素11に対応する。
【0038】
リセットデータパルスRは駆動データパルスDrに先行して駆動データパルスDrの固定開始点(例えば、固定された黒又は固定された白)を規定することによって、電気泳動ディスプレイユニット1の光学応答をさらに向上させる。あるいは、リセットデータパルスRは、駆動データパルスDrに先行して駆動データパルスDrのフレキシブルな開始点を規定することによって、電気泳動ディスプレイユニットの光学応答を更に向上させる。このフレキシブルな開始点は黒又は白とすることができ、後続する駆動データパルスによって規定されるべきグレー値に依存して選択され、このグレー値に最も近い。
【0039】
データ電極31,32,33ごとに、第1の振幅を有する第1のデータパルスが、データ電極31,32,33に結合され且つ第1の行に位置している第1の画素11に供給される。第1のデータパルスの後に第2の振幅を有する第2のデータパルスが続き、この第2のデータパルスは同じデータ電極31,32,33に結合され且つ第2の行に位置している第2の画素11に供給される。この第2の行は、ディスプレイの次の行とすることができるが、第1の行の後にアドレスされる他の任意の行とすることもできる。反対の極性の振幅を有する第1および第2の振幅の場合、駆動回路30は、第2のデータパルスを供給するために2CUに等しいエネルギーを発生しなければならない。Cは全容量、+Uは第1の振幅、−Uは第2の振幅、−2Uは実現すべき差動電圧、Q=−2CUは与えるべきディスチャージ量である。単一データパルスが利用できるのは+U又は−Uであるので、エネルギーE=|QU|=2CUである。第1および第2の振幅が逆の場合、実現すべき差動電圧は2Uに等しく、Q=2CUは与えるべきチャージ量であり、エネルギーはやはり2CUに等しい。これにより、Cは、データ電極31、32、33とデータ駆動回路30とが互いに結合される位置において、データ電極31、32、33を介してデータドライバ回路30が「見た」全容量である。この全容量Cは、アクティブな行とデータ電極31、32、33に対応する列との位置における画素11の容量と、この画素11に並列に存在し得る容量と、アクティブマトリックスの容量との組合せによって、形成される。このアクティブマトリックスの容量は、画素11の容量と比べて比較的大きいので、ディスチャージするには、分離した1個の画素に必要なエネルギーと比べて、比較的大きい量のエネルギーが必要である。チャージおよびディスチャージをするためのエネルギーを削減するために、図4に示すようなスイッチング回路が導入される。
【0040】
図4は本発明による電気泳動ディスプレイユニット100を示し、これは、以下のことは別にして、電気泳動ディスプレイユニット1と同様である。データ駆動回路30と表示パネル60との間に、回路50を導入しており、これは駆動ライン25を通じてコントローラ20で制御される。スイッチング回路50は、例えば、データ電極31、32、33を直に又は抵抗を介してグランドに結合するスイッチ即ちトランジスタなどを、データ電極31、32、33ごとに有する。本発明による電気泳動ディスプレイユニット100の機能は、図5および図6を参照して説明される。
【0041】
図5は、従来の駆動状況のデータパルスおよび選択パルスと、本発明による駆動状況のデータパルスおよび選択パルスと、を示す。上のグラフS1には、第1の選択パルスSP1が示されている。この第1の選択パルスSP1は、第1の行の画素11をアクティブにするために、選択駆動回路40から例えば選択電極41を通じてこの選択電極41に結合された全ての第1のトランジスタ12に供給される。第2のグラフS2には、第2の選択パルスSP2が示されている。この第2の選択パルスSP2は、第2の行の画素11をアクティブにするために、選択駆動回路40から例えば選択電極42を通じてこの選択電極42に結合された全ての第2のトランジスタ12に供給される。第3のグラフには、従来技術の駆動状況のデータパルスD1が示されている。第1の選択パルスSP1の少し前、その間、および少し後に、データ駆動回路30から、データ電極31を通じて、第1の行と第1の列とにおける第1の画素11に結合された第1のトランジスタ12に、正の電圧が供給される。この正の電圧は、例えば、+Uボルトの振幅を有する。第1の選択パルスSP1の間、この第1のトランジスタ12は導通状態になり、結果として、第1のデータパルスDP1の一部が、図5に白の領域で示される正の電圧として、第1の画素11に供給される。第2の選択パルスSP2の少し前、その間、および少し後に、データ駆動回路30から、データ電極31を通じて、第2の行と第1の列とにおける第2の画素11に結合された第2のトランジスタ12に、負の電圧が供給される。この負の電圧は、例えば、−Uボルトの振幅を有する。第2の選択パルスSP2の間、この第2のトランジスタ12は導通状態になり、結果として、第2のデータパルスDP2の一部が負の電圧(再度、白の領域で示されている)として第2の画素11に供給される。下のグラフには、本発明による駆動方式のデータパルスD2が示されている。第1の選択パルスSP1の少し前、その間、および少し後に、データ駆動回路30から、データ電極31を通じて、第1の行と第1の列とにおける第1の画素11に結合された第1のトランジスタ12に、正の電圧のデータパルスDP1が供給される。このパルスは、例えば、+Uボルトの振幅を有する。第1の選択パルスSP1の間、この第1のトランジスタ12は導通状態になり、結果として、このデータパルスDP1の一部がこの第1の画素11に供給される。第2の選択パルスSP2の少し前、その間、および少し後に、データ駆動回路30によってデータ電極31を通じて第2の行と第1の列とにおける第2の画素11に結合された第2のトランジスタ12に負のデータパルスDP2が供給される。この負のパルスPD2は、例えば、−Uボルトの振幅を有する。第2の選択パルスSP2の間、この第2のトランジスタ12は導通状態になり、結果として、このデータパルスDP2の一部がこの第2の画素11に供給される。しかし、本発明によれば、この負の電圧は、正の電圧に直接的には続いていない。データパルスDP1とDP2との間にデータ電極31をグランドに少しの間結合することによって、中間電圧ステップが導入されている。この中間ステップは、第1の選択パルスSP1の終わりT1と第2の選択パルスSP2の終わりT2との間であればどこに位置させてもよい。
【0042】
図6は電気スキームを示しており、この電気スキームは、例えば少なくともアクティブマトリックスの容量に対応し且つインピーダンス14(例えば配線などの抵抗を表す)に直列に結合される容量13と、例えばデータ電極31、32又は33に対応するデータ電極34と、データ駆動回路30と、別個のスイッチング回路50とを有する。データ駆動回路30はスイッチ39を有しており、このスイッチ39は、データ電極34に結合される主接点と、4つのサブ接点とを有している。位置Iでは、主接点は、フローティングの第1のサブ接点に結合される。位置IIでは、主接点は第2のサブ接点に結合され、この第2のサブ接点は、正のデータパルスを発生するために、第2のサブ接点において+Uボルトを供給する第1の電圧源35の正の端子に結合されている。位置IIIでは、主接点は第3のサブ接点に結合され、この第3のサブ接点は、ゼロ振幅のデータパルスを発生するために、第3のサブ接点において0ボルトを供給する第1の電圧源35の負の端子に結合されている。第1の電圧源35の負の端子は、第2の電圧源36の正の端子にも結合されている。位置IVでは、主接点は第4のサブ接点に結合され、この第4のサブ接点は、負のデータパルスを発生するために、第4のサブ接点において−Uボルトを供給する第2の電圧源36の負の端子に結合されている。スイッチング回路50はスイッチ59を有しており、このスイッチ59は、データ電極34に結合された主接点と、2つのサブ接点とを有している。位置Vでは、主接点は、フローティングの第5のサブ接点に結合される。位置VIでは、主接点は第6のサブ接点に結合され、この第6のサブ接点は例えばグランドなどの基準電圧源REFに結合されている。
【0043】
図5の3番目のグラフに示される従来技術の駆動状況でのデータパルスD1を実現するためには、図6に示される電気スキームの従来技術の部分が使用される。この従来技術の部分は、データ駆動回路30と、データ電極34と、容量13と、インピーダンス14と、を有しており、スイッチング回路50は除かれている。第1のトランジスタ12に正の電圧+Uボルトを供給するために、スイッチ39は位置Iから位置IIに移動する。第2のトランジスタ12に負の電圧−Uボルトを供給するために、スイッチ39は位置IIから位置IVに移動する。前述のように、第2のデータパルスDP2を供給するのに必要なエネルギーは2CUに等しく、Cは容量13である。このエネルギーは、第2の電圧源36によって供給される。
【0044】
図5の下のグラフに示される本発明による駆動状況でのデータパルスD2を実現するために、スイッチング回路50を含む図6に示される電気スキームが使用される。第1のトランジスタ12に正の電圧+Uボルトを供給するために、スイッチ39は位置Iから位置IIに移動する。中間電圧ステップを導入するために、先ず、スイッチ39が位置IIから位置Iに移動し、次に、スイッチ59が位置Vから位置VIに移動する。第2のトランジスタ12に負の電圧−Uボルトを供給するために、先ず、スイッチ59が位置VIから位置Vに移動し、次に、スイッチ39が位置Iから位置IVに移動する。結果として、基準電圧源REFがグランドに対応する場合、第1のデータパルスDP1と次の第2のデータパルスDP2との間に容量13がディスチャージされるので、第2のデータパルスDP2を供給するのに必要なエネルギーはCUに等しく、データ電極の電圧はそのとき約ゼロボルトになる。次の第2のパルスDP2を供給するときに実現すべき差動電圧は約−Uであり、第2の電圧源36は第2のデータパルスDP2を供給するために実質的にCUに等しいエネルギーを発生するが、これは従来の解決策で必要な全エネルギーの約半分である。
【0045】
図7は電気スキームを示しており、この電気スキームは、インピーダンス14(例えば、配線などの抵抗を表す)に直列に結合された容量13と、例えばデータ電極31、32、又は33に対応するデータ電極34と、一体化されたデータ駆動回路70と、を有する。図7の一体化されたデータ駆動回路70は、以下のように、図6に示されるスイッチング回路50を有する。一体化されたデータ駆動回路70はスイッチ79を有しており、このスイッチ79は、データ電極34に結合される主接点と5個のサブ接点とを有している。第1の4つのサブ接点即ち位置I、II、III、およびIVは、図6に示される4つのサブ接点および4つの位置に対応する。第5の位置VIIでは、主接点は第7のサブ接点に結合され、この第7のサブ接点は、例えばグランドなどの基準電圧源REFに結合されている。したがって、本発明によれば、図7の電気スキームは、図6の電気スキームの従来技術の部分とは異なり、違うように制御される。
【0046】
図5の下のグラフに示される本発明による駆動状況のデータパルスD2を実現するために、図7に示される電気スキームを、以下のように使用することができる。第1のトランジスタ12に正の電圧+Uボルトを供給するために、スイッチ79は位置Iから位置IIに移動する。中間電圧ステップを導入するために、スイッチ79は位置IIから位置VIIに移動する。第2のトランジスタ12に負の電圧−Uボルトを供給するために、スイッチ39は位置VIIから位置IVに移動する。結果として、基準電圧源REFがグランドに対応する場合、第1のデータパルスDP1と次の第2のデータパルスDP2との間に容量13がディスチャージされるので、第2のデータパルスDP2を供給するのに必要なエネルギーはやはりCUに等しく、データ電極の電圧はそのとき約ゼロボルトになる。
【0047】
従来技術のデータ駆動回路は、+Uボルト、0ボルト、又は−Uボルトをトランジスタ12に供給するために存在していることに注意すべきである。しかし、今までのところ、従来技術のデータ駆動回路は+Uボルト、0ボルト、又は−Uボルトの振幅を有するデータパルスを供給するだけに使用され、出力部をグランド又は別の電圧基準源REFに直に結合するスイッチを含んでいない。本発明によれば、少なくともアクティブマトリックスの容量を有する容量13をチャージ又はディスチャージするために、2つのデータパルスDP1とDP2との間に、データ電極34がグランドに結合される。画素11の容量も(ディス)チャージされるかどうかは、この画素11に結合するトランジスタ12がその瞬間に導通しているかどうかに依存する。もっと正確には、データ電極34は、第1の選択パルスSP1の終わりの後、第2の選択パルスSP2の終わりの前までの、或る時間量だけ、グランドに結合される。基本の考え方は、適切に機能するには、第1に、画素11が誤った電圧で駆動されることを防止するために、画素11に供給されるべき電圧は第1の(第2の)選択パルスSP1(SP2)の終わりまでには正しい値を有していなければならないこと、第2に、画素11が第2のデータパルスDP2によって正しい電圧で駆動されるように、容量13のチャージ又はディスチャージは、第2の選択パルスSP2の終わりの前の或る時間量で完了されなければならないことである。このチャージ又はディスチャージは、第2の選択パルスSP2の始まる前に完了することが好ましい。その理由は、これが、確実に第2のデータパルスDP2を画素に正確に送る最適な方法を提供するからである。チャージ又はディスチャージが完了しないと、可能な省電力化の一部しか実現できない。
【0048】
上記のことによって、第2のデータパルスDP2を対応する第2の画素11に供給するのに必要な最大エネルギーが削減される。しかし、同じデータ電極31,32,33,34に結合される第1の画素11および次の第2の画素11の全てが、必ずしも反対の極性の振幅を有する第1および第2のデータパルスを受け取るとは限らないので、電気泳動ディスプレイユニット100全体の平均消費電力は必ずしも削減されるというわけではない。第1の画素11が振幅ゼロではない第1のデータパルスを受け取り、次の第2の画素11がゼロ振幅の第2のデータパルスを受け取る場合、又はその逆の場合には、第2のデータパルスを次の第2の画素11に供給するのに必要なエネルギーは削減されない。両方の画素11が同じ振幅のデータパルスを受け取る場合には、第2のデータパルスを次の第2の画素11に供給するのに必要なエネルギーは、ゼロからCUに増加する。
【0049】
電気泳動ディスプレイユニット100全体の消費電力を削減するために、データ電極31,32,33,34は、反対の極性を有する第1および第2のデータパルスDP1、DP2のみに対して、電圧基準源REFに結合される。第2のデータパルスを次の第2の画素11に供給するのに必要なエネルギーは、反対の極性の振幅を有するデータパルスの状況では削減され、他の状況では変わらない。
【0050】
コントローラ20は、スイッチング回路50を自動的に制御するために、第1および第2のデータパルスの振幅に関する情報を記憶する例えばルックアップテーブルなどのメモリ(図示せず)を有する、および/又はメモリに結合されている。
【0051】
図5の下のグラフに示される中間電圧ステップの持続時間は、容量13が例えば−0.1Uと0.1Uとの間の電圧にディスチャージされる又はチャージされるような時間であることが好ましい。しかし、他の値を排除するものではない。本発明は、図3に示された振動データパルスSh1,Sh2、リセットデータパルスR、および駆動データパルスDrの全てに対して使用できる。
【0052】
上記の実施例は本発明を制限するものではなく、当業者は添付された特許請求の範囲から逸脱することなく多くの他の実施例を設計できることに注意すべきである。動詞「有する」およびその活用形の使用は、請求項に記載されている以外の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。構成要素が単数であることは、斯かる構成要素の複数の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの個別の素子を有するハードウェアによって、および適切にプログラムされたコンピュータによって、実現できる。幾つかの手段を列挙している装置の請求項において、これらの手段の一部を、同じ一つのハードウェアで実現することができる。特定の手段が相互に異なる従属項に挙げられているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用できないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】画素を(断面で)示す。
【図2】電気泳動ディスプレイユニットを概略的に示す。
【図3】電気泳動ディスプレイユニットを駆動するための波形を示す。
【図4】本発明による電気泳動ディスプレイユニットを概略的に示す。
【図5】従来の駆動状況でのデータパルスおよび選択パルスと、本発明による駆動状況でのデータパルス及び選択パルスを示す。
【図6】全容量と、データ電極と、データ駆動回路と、別個のスイッチング回路と、を有する電気スキームを示す。
【図7】全容量と、データ電極と、スイッチング回路が一体化したデータ駆動回路と、を有する電気スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 選択電極とデータ電極とを有する電気泳動表示パネルであって、前記選択電極と前記データ電極との交差部が画素に関連する電気泳動表示パネル、
− 第1のデータパルスおよび第2のデータパルスを前記データ電極に供給するデータ駆動回路、
− 第1の選択パルスおよび第2の選択パルスを対応する選択電極に供給する選択駆動回路、および
− 前記第1の選択パルスの終わりの後、次の第2の選択パルスの終わりの前に、前記第1のデータパルスの極電圧値と前記第2のデータパルスの極電圧値との間の基準電圧を有する電圧基準源に前記データ電極を結合するためのスイッチング回路を制御するコントローラ、
を有する、電気泳動ディスプレイユニット。
【請求項2】
前記基準電圧はグランドレベルに対応する、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイユニット。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1の選択パルスの終わりの後前記第2の選択パルスの始まりの前に前記データ電極を前記電圧基準源に結合するための前記スイッチング回路を制御する、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイユニット。
【請求項4】
前記コントローラが前記データ駆動回路を制御し、
− 振動データパルス、
− 一つ以上のリセットデータパルス、および
− 一つ以上の駆動データパルス
を、前記データ電極を介して前記画素に供給する、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイユニット。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1および第2のデータパルスが反対の極性の振幅を有する場合、前記データ電極を前記電圧基準源に結合するための前記スイッチング回路を制御し、前記第1および第2のデータパルスのタイミングは、それぞれ前記第1および第2の選択パルスのタイミングに対応する、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイユニット。
【請求項6】
前記コントローラに結合されるメモリであって、前記第1および第2のデータパルスの振幅に関する情報を記憶するメモリ、を更に有する、請求項5に記載の電気泳動ディスプレイユニット。
【請求項7】
前記スイッチング回路は、前記データ駆動回路および前記スイッチング素子に結合されている、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイユニット。
【請求項8】
請求項1に記載された電気泳動ディスプレイユニット用のデータ駆動回路であって、前記スイッチング回路は、前記データ駆動回路の一部を形成する、データ駆動回路。
【請求項9】
請求項1に記載の電気泳動ディスプレイユニットと、表示されるべき情報を記憶する記憶媒体と、を有する表示装置。
【請求項10】
選択電極とデータ電極とを有する電気泳動表示パネルを有する電気泳動ディスプレイユニットを駆動する方法であって、前記選択電極と前記データ電極との交差部が画素に対応しており、前記方法が、
− データパルスを前記データ電極を介して前記画素に供給するステップ、
− 第1の選択パルスおよび第2の選択パルスを対応する選択電極に供給するステップ、および
− 前記第1の選択パルスの終わりの後、次の第2の選択パルスの終わりの前に、データパルスの極電圧値とデータパルスの極電圧値との間の値の基準電圧を有する電圧基準源にデータ電極を結合するためのスイッチング回路を制御するステップ、
を有する方法。
【請求項11】
選択電極とデータ電極とを有する電気泳動表示パネルを有する電気泳動ディスプレイユニットを駆動するコンピュータプログラムであって、前記選択電極と前記データ電極との交差部が画素に対応しており、前記コンピュータプログラムが、
− データパルスを前記データ電極を介して画素前記に供給する機能、
− 第1の選択パルスおよび第2の選択パルスを対応する選択電極に供給する機能、および
− 前記第1の選択パルスの終わりの後、次の第2の選択パルスの終わりの前に、データパルスの極電圧値とデータパルスの極電圧値との間の値の基準電圧を有する電圧基準源にデータ電極を結合するためのスイッチング回路を制御する機能、
を有する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−519022(P2007−519022A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520058(P2006−520058)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051144
【国際公開番号】WO2005/006293
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】