説明

電気泳動粒子

【課題】電気泳動媒体を提供すること。
【解決手段】電気泳動媒体において、1〜15重量%の重合体を顔料粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させた顔料粒子を使用することが有利である。該重合体は、望ましくは、分枝鎖構造を有し、これは、該主鎖から伸長している側鎖を有する。荷電基または荷電可能基は、該重合体に組み込むことができるか、または該重合体から離れて粒子に結合できる。該重合体被覆粒子は、まず、該粒子に重合可能基または重合開始基を結合し、次いで、該粒子を1個またはそれ以上の重合可能単量体またはオリゴマーと反応させることにより、調製できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動粒子(すなわち、電気泳動媒体で使用する粒子)およびこのような電気泳動粒子を製造する方法に関する。本発明はまた、電気泳動媒体およびこのような粒子を組み込んだ表示装置に関する。さらに具体的に言えば、本発明は、その表面を重合体で変性した電気泳動粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動表示装置は、多年にわたって、多くの研究および開発の対象となっている。このような表示装置は、液晶表示装置と比較すると、良好な明度およびコントラスト、広い視野角、状態双安定性および低い電力消費という特性を有し得る。(「双安定な」および「双安定性」との用語は、本明細書中にて、当該分野におけるそれらの通常の意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第一および第二表示状態を有する表示素子を含む表示装置を意味し、有限持続時間のアドレスパルスによって、任意の所定の素子が駆動された後、その第一または第二表示状態のいずれかを呈し、このアドレスパルスが停止した後、その状態は、この表示素子の状態を変えるのに必要な、このアドレスパルスの最低持続時間の少なくとも数倍(例えば、少なくとも4倍)持続する)。それにもかかわらず、これらの表示装置の長期間にわたる画像品質の問題により、それらを広範囲で使用することが妨げられている。例えば、電気泳動表示装置を構成する粒子は、沈降する傾向にあり、その結果、それらの表示装置の耐用年数が不十分となる。
【0003】
Massachusetts Institute of TechnologyおよびE Ink Corporationに譲渡されたかそれらの名義の特許および特許出願であって、カプセル化電気泳動媒体を記述している多数の特許および特許出願が、最近公開されている。このようなカプセル化媒体は、多数の小カプセルを含み、その各々は、それ自体、内相(これは、液状懸濁媒体に懸濁された電気泳動移動粒子を含有する)およびカプセル壁(これは、内相を取り囲んでいる)を含む。典型的には、これらのカプセルは、それ自体、高分子結合剤内に保持されて、2個の電極間に配置された干渉相を形成する。この種のカプセル化媒体は、例えば、米国特許第5,930,026号;第5,961,804号;第6,017,584号;第6,067,185号;第6,118,426号;第6,120,588号;第6,120,839号;第6,124,851号;第6,130,773号;第6,130,774号;第6,172,798号;第6,177,921号;第6,232,950号;第6,241,921号;第6,249,271号;第6,252,564号;第6,262,706号;第6,262,833号;第6,300,932号;第6,312,304号;第6,312,971号;第6,323,989号;第6,327,072号;第6,376,828号;および第6,377,387号;米国特許出願公開第2001−0045934号;第2002−0018042号;第2002−0019081号;および第2002−0021270号;ならびに国際出願公開第WO97/04398号;第WO98/03896号;第WO98/19208号;第WO98/41898号;第WO98/41899号;第WO99/10767号;第WO99/10768号;第WO99/10769号;第WO99/47970号;第WO99/53371号;第WO99/53373号;第WO99/56171号;第WO99/59101号;第WO99/67678号;第WO00/03349号;第WO00/03291号;第WO00/05704号;第WO00/20921号;第WO00/20922号;第WO00/20923号;第WO00/26761号;第WO00/36465号;第WO00/36560号;第WO00/36666号;第WO00/38000号;第WO00/38001号;第WO00/59625号;第WO00/60410号;第WO00/67110号;第WO00/67327号;第WO01/02899号;第WO01/07691号;第WO01/08241号;第WO01/08242号;第WO01/17029号;第WO01/17040号;第WO01/17041号;第WO01/80287号および第WO02/07216号で記述されている。これら全ての特許および出願公開の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0004】
公知の電気泳動媒体(カプセル化形態および非カプセル化形態の両方)は、主に、2種に分割でき、これらは、以下、便宜上、それぞれ、「単一粒子」および「二重粒子」と呼ばれている。単一粒子媒体は、単一種の電気泳動粒子だけが着色懸濁媒体(その少なくとも1つの光学特性は、これらの粒子のものとは異なる)に懸濁されている。(単一種の粒子と呼ぶ際、本発明者らは、この種の全ての粒子が完全に同一であることを意味していない。例えば、この種の全ての粒子が実質的に同じ光学特性および同じ極性の電荷を有するという条件で、粒径および電気泳動移動度のようなパラメータの相当な変動は、その媒体の有用性に影響を与えることなく、許容できる)。この光学特性とは、典型的には、人間の目に見える色であるが、あるいはまたはそれに加えて、反射率、逆反射率、発光、蛍光、燐光、または広義の色(すなわち、目に見えない波長での吸収率または反射率の差)のいずれか1つまたはそれ以上であり得る。このような媒体を一対の電極(その少なくとも1個は、透明である)間に配置するとき、これらの2個の電極の相対的な電位に依存して、この媒体は、(これらの粒子が観察者に近い電極(以下、「前部電極」と呼ぶ)に隣接しているとき)、それらの粒子の光学特性を表示でき、または、(これらの粒子が観察者から遠い電極(以下、「後部電極」と呼ぶ)に隣接しており、その結果、粒子は、着色した懸濁媒体により、隠される)、その懸濁媒体の光学特性を表示できる。
【0005】
二重粒子媒体は、2種の異なる粒子および懸濁流体を有し、これらの粒子は、少なくとも1つの光学特性が異なり、そして懸濁流体は、着色または未着色であり得る(典型的には、未着色である)。これらの2種の粒子は、電気泳動移動度が異なる;この移動度の差は、極性の差(この種のものは、以下、「反対電荷二重粒子」媒体と呼ぶ)および/または移動規模の差であり得る。このような二重粒子媒体を前記対の電極間に配置するとき、これらの2個の電極の相対的な電位に依存して、この媒体は、いずれかのセットの粒子の光学特性を表示できるが、これを達成する正確な様式は、この移動度の差が極性の差か移動規模だけの差かに依存して、異なる。説明を簡単にするために、1種類の粒子が黒色で他の種類の粒子が白色である電気泳動媒体を考えてみる。もし、図2Aおよび2Bを参照して以下でさらに詳細に述べるように、これらの2種の粒子が、極性が異なるなら(例えば、もし、黒色粒子が、正に荷電しており、そして白色粒子が、負に荷電しているなら)、これらの粒子は、2個の異なる電極に引き付けられ、その結果、もし、例えば、前部電極が後部電極に対して負であるなら、黒色粒子は、前部電極に引き付けられ、そして白色粒子は、後部電極に引き付けられ、その結果、この媒体は、観察者には、黒色に見える。逆に、もし、前部電極が後部電極に対して正であるなら、白色粒子は、前部電極に引き付けられ、そして黒色粒子は、後部電極に引き付けられ、その結果、この媒体は、観察者には、白色に見える。
【0006】
もし、図3Aおよび3Bを参照して以下で述べるように、これらの2種の粒子が、同じ極性の電荷を有するが、電気泳動移動度が異なるなら(この種の媒体は、以下、「同極性二重粒子」媒体と呼ぶ)、両方の種類の粒子は、同じ電極に引き付けられるが、一方は、他方より前に、その電極に達し、その結果、観察者が面する種類は、これらの粒子が引き付けられる電極に依存して、異なる。例えば、黒色粒子および白色粒子の両方が正に荷電されるが、黒色粒子の方が高い電気泳動移動度を有するように先の説明を変えたと仮定する。もし、いまここで、前部電極が後部電極に対して負であるなら、黒色粒子および白色粒子の両方は、前部電極に引き付けられるが、黒色粒子は、その移動度が高いために、この電極に先に到達し、その結果、黒色粒子の層が前部電極を覆って、この媒体は、観察者には、黒色に見える。逆に、もし、前部電極が後部電極に対して正であるなら、黒色粒子および白色粒子の両方は、後部電極に引き付けられるが、黒色粒子は、その移動度が高いために、この電極に先に到達し、その結果、黒色粒子の層が後部電極を覆って、後部電極から遠い白色粒子の層が残り、これは、観察者に面し、その結果、この媒体は、観察者には、白色に見える:この種の二重粒子媒体には、その懸濁流体が、後部電極から遠い白色粒子の層を観察者が容易に見えるのを可能にする程度に十分に透明である必要があることに注意のこと。典型的には、このような表示装置中の懸濁流体は、全く着色されていないが、そこを通して見える白色粒子の何らかの望ましくない色合いを矯正する目的のために、ある種の色が組み込まれ得る。
【0007】
単一粒子電気泳動表示装置および二重粒子電気泳動表示装置の両方は、既に述べた2つの極端な光学状態の中間の光学特性を有する中間灰色状態にでき得る。
【0008】
前記特許および公開出願の一部は、各カプセル中に、3種またはそれ以上の異なる粒子を有するカプセル化電気泳動媒体を開示する。本願の目的のために、このような複数粒子の媒体は、二重粒子媒体の亜種と見なされる。
【0009】
また、前記特許および出願の多くから、カプセル化した電気泳動媒体内の個別マイクロカプセルを取り囲む壁が連続相で置き換えられ得、それにより、いわゆる「重合体分散型電気泳動表示装置」を製造し、ここで、その電気泳動媒体は、電気泳動流体の複数の個別小滴および高分子材料の連続相を含有すること;およびこのような重合体分散型電気泳動表示装置内の電気泳動流体の個別小滴が、個々の各小滴と会合している個別カプセル膜がなくても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることが分かる;例えば、WO01/02899、10ページ、6〜19行目を参照。また、2002年2月28日に出願された同時係属中の出願第09/683,903号(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)および対応する国際出願PCT/US02/06393を参照。
【0010】
カプセル化した電気泳動表示装置は、典型的には、伝統的な電気泳動装置のクラスター形成および沈降という故障モードの欠点がなく、そしてさらなる利点(例えば、この表示装置を広範囲の可撓性基板および剛性基板に印刷または被覆する性能)を生じる。(「印刷」との用語の使用は、全ての形態の印刷および被覆を含むと解釈され、これには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:予め計量した被覆(例えば、パッチダイ被覆、スロットまたは押出被覆、スライドまたはカスケード被覆、カーテン被覆;ロール被覆(例えば、ナイフオーバーロール被覆、前方および逆ロール被覆);グラビア被覆;浸漬被覆;スプレー被覆;メニスカス被覆;スピン被覆;ブラシ被覆;エアナイフ被覆;シルクスクリーン印刷プロセス;静電印刷プロセス;熱印刷プロセス;インクジェット印刷プロセス;および他の類似の技術)。それゆえ、得られる表示装置は、可撓性であり得る。さらに、この表示媒体が、種々の方法を使用して印刷できるので、この表示装置それ自体は、安価に作製できる。しかしながら、単一粒子型および二重粒子型の両方のカプセル化電気泳動表示装置の耐用年数は、依然として、全く望ましい年数よりも短い。この耐用年数は、その粒子のカプセル壁への固着および粒子がクラスターに凝集する傾向(それにより、これらの粒子がその光学状態間で表示装置を切り替えるのに必要な運動を完了することを妨げる)のような要因により限定されると思われる(本発明は、このような問題に関するいずれの理論にも決して限定されないものの)。このことに関して、反対電荷二重粒子電気泳動表示装置は、互いに極めて接近した固有の反対電荷粒子が互いに静電気的に引き付けられて安定な凝集体を形成する傾向が強いので、特に難しい問題を引き起こす。実験的に、もし、未処理の市販のチタニア顔料およびカーボンブラック顔料を使用してこの種の黒色/白色カプセル化表示装置を製造しようとするなら、その表示装置は、全く切り替わらないか、市販の目的には望ましくない程に耐用年数が短すぎるかいずれかであることが発見されている。
【0011】
電気泳動粒子の物理的性質および表面特性は、その粒子の表面に種々の物質を吸着させることにより、またはこれらの表面に種々の物質を化学的に結合することにより、変性できることは、長く知られている。例えば、米国特許第4,285,801号(Chiang)は、粒子を高フッ化重合体で被覆した電気泳動表示装置組成物を記述しており、この重合体は、分散剤として作用し、粒子が凝集するのを防止してそれらの電気泳動感受性を高めると述べられている。米国特許第4,298,448号(Muellerら)は、粒子を有機材料(例えば、ワックス)で被覆した電気泳動媒体を記述しており、この有機材料は、その媒体の操作温度では固体であるが、高温で融解する。この被覆は、これらの電気泳動粒子の密度を低くするのに役立ち、また、その上の電荷の均一性を高めると言われている。米国特許第4,891,245号は、電気泳動表示装置で使用する粒子を製造する方法を記述しており、ここで、重い固体顔料(これは、その高いコントラスト特性または屈折率特性により好ましい)は、高分子材料で被覆されている。この方法は、得られる粒子の比重を著しく低下させ、滑らかな重合体表面を備えた粒子を作り出すと述べられており、これらの粒子は、所定の電気泳動担体流体中で安定なように選択でき、許容できる電気泳動特性を持っている。米国特許第4,680,103号(Beilin Solomon Iら)は、四級アンモニウム基を含有するオルガノシラン誘導体で被覆した無機顔料粒子を使用する、単一粒子電気泳動表示装置を記述する;この被覆により、これらの粒子は、観察者に隣接した電極から迅速に放出され、集塊に対する耐性が得られると述べられている。
【0012】
後に、これらの電気泳動粒子を変性材料で単に被覆しただけでは、操作条件の変化によって変性材料の一部または全部が粒子の表面から離れ得、それにより、これらの粒子の電気泳動特性の望ましくない変化を引き起こすので、全く満足がいくというわけではないことが発見された;この変性材料は、この電気泳動表示装置内の他の表面に堆積するおそれがあり得、これは、さらに問題を起こし得る。従って、これらの粒子の表面に変性材料を固定する技術が開発されている。
【0013】
例えば、米国特許第5,783,614号(Chenら)は、ペンタフルオロスチレンの重合体で変性したジアリーリドの黄色顔料粒子を使用する電気泳動表示装置を記述している。変性した粒子は、未変性粒子、ペンタフルオロスチレン単量体および遊離ラジカル開始剤の混合物を形成することにより、そしてこの単量体がその場で粒子の表面に重合するように、この混合物を加熱し攪拌することにより、製造される。
【0014】
米国特許第5,914,806号(Gordon IIら)は、予め形成した重合体が顔料粒子の表面に共有結合するように、この重合体を顔料粒子と反応させることにより、形成される、電気泳動粒子を記述する。この方法は、もちろん、その共有結合を形成するのに必要な反応が可能な化学特性を有する顔料および重合体に制限される。さらに、この粒子材料と反応できる部位が少数しかない重合体は、その粒子表面にある固体界面と反応するのが困難である;これは、溶液中での重合体鎖の立体配座、その粒子表面での立体的な過密、または重合体と表面との間の遅い反応が原因であり得る。しはじば、これらの問題により、このような反応は、短い重合体鎖に制限されており、このような短い鎖は、典型的には、電気泳動媒体中での粒子安定性に対する効果が少ない。
【0015】
また、電気泳動表示装置において、重合体から本質的に成る粒子を使用することも知られている;もし、暗色の粒子が必要なら、それらの重合体粒子は、重金属酸化物で染色される。例えば、米国特許第5,360,689号;第5,498,674号;および第6,117,368号を参照。これらの電気泳動粒子を重合体から形成すると、粒子の化学的組成が厳しく管理できるものの、このような重合体粒子は、通常、無機顔料から形成した粒子よりも、ずっと不透明度が低い。
【0016】
電気泳動粒子に変性材料を付着することに関して、相当な研究が行われているように思われるものの、従来技術では、変性材料の量を変えることがその粒子の挙動に対して与える効果について、殆ど論述されていない(電気泳動粒子を変性材料で完全に被覆することが理想的であることを明らかに想定している)。現在、少なくとも、多くの重合体変性材料には、このことは、実際、当てはまらず、堆積すべき最適な量の重合体があることが発見されている;変性粒子中の重合体の割合が多すぎると、その粒子の電気泳動移動度の望ましくない低下を引き起こす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
この粒子上で被覆を形成するのに使用される重合体の構造が重要であることもまた発見されており、本発明は、この目的に好ましい特定の形状の重合体に関する。
【0018】
本発明はまた、電気泳動粒子上に重合体被覆を形成するのに好ましい技術に関する。これらの技術により製造される変性粒子の少なくとも一部は、電気泳動表示装置以外の応用に有用であり得る。
【0019】
本発明はまた、粒子の上に重合体被覆を形成する前の、粒子の前処理に好ましい技術に関する。
【0020】
1局面では、本発明は、複数種の顔料粒子を懸濁流体に懸濁した電気泳動媒体を提供し、該顔料粒子は、該顔料粒子に化学的に結合されるかその周りに架橋された、顔料の約1〜約15重量%の重合体を有する。本発明のこの局面は、以下、本発明の「制御重合体電気泳動媒体」と呼ぶ場合がある。
【0021】
別の局面では、本発明は、複数のカーボンブラック粒子を懸濁流体に懸濁した電気泳動媒体を提供し、該粒子は、該カーボンブラック粒子に化学的に結合されるかその周りに架橋された、カーボンブラックの約1〜約25重量%の重合体を有する。本発明のこの局面は、以下、本発明の「制御重合体カーボンブラック電気泳動媒体」と呼ぶ場合がある。
【0022】
他の局面では、本発明は、複数種の顔料粒子を懸濁流体に懸濁した電気泳動媒体を提供し、該顔料粒子は、重合体を該顔料粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させており、該重合体は、主鎖および複数の側鎖を含有し、該側鎖は、該主鎖から伸長しており、該側鎖の各々は、少なくとも約4個の炭素原子を含有する。本発明のこの局面は、以下、本発明の「分枝鎖重合体電気泳動媒体」と呼ぶ場合がある。
【0023】
他の局面では、本発明は、連続相および不連続相を含む二相電気泳動媒体を提供し、該不連続相は、複数の小滴を含有し、その各々は、懸濁流体および少なくとも1つの顔料粒子を含有し、該顔料粒子は、該懸濁流体内に配置され、そして該電気泳動媒体に電場を加えると、該流体を通って移動でき、該連続相は、該不連続相を取り囲んでカプセル化し、ここで、該顔料粒子は、重合体を該顔料粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させている。本発明のこの局面は、以下、本発明の「重合体分散型電気泳動媒体」と呼ぶ場合がある。
【0024】
一般に、本発明の電気泳動媒体では、前記重合体は、前記粒子の周りで架橋するよりもむしろ、該粒子に化学的に結合(特に、共有結合)するのが好ましい。
【0025】
他の局面では、本発明は、電気泳動媒体において使用するための顔料粒子を提供し、該顔料粒子は、重合体を該顔料粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させており、該顔料粒子はまた、該重合体とは別に該顔料粒子に結合された荷電基または荷電可能基を有する。本発明のこの局面は、以下、本発明の「分離荷電基粒子」と呼ぶ場合がある。
【0026】
他の局面では、本発明は、重合体被覆顔料粒子を製造する方法を提供し、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)該粒子を試薬と反応させる工程であって、該試薬は、該粒子と反応して結合できる官能基を有し、また、重合可能基または重合開始基を有し、それにより、該官能基を該粒子表面と反応させ、そこに該重合可能基を結合させる工程;および
(b)該粒子上の該重合可能基または重合開始基と少なくとも1種の単量体またはオリゴマーとの間で反応を引き起こすのに効果的な条件下にて、工程(a)の生成物を該少なくとも1種の単量体またはオリゴマーと反応させて、それにより、該粒子に結合した重合体の形成を引き起こす工程。
【0027】
本発明のこの局面は、以下、本発明の「重合体被覆方法」と呼ぶ場合がある。
【0028】
他の局面では、本発明は、顔料粒子をシリカで被覆する方法を提供し、該方法は、以下の工程を包含する:
該顔料粒子を、約8より高いpHおよび約60℃より高い温度て、可溶性ケイ酸塩の溶液に分散する工程;
該顔料粒子の分散体に、該分散体の温度を約60℃より高く維持しつつ、酸の溶液および可溶性ケイ酸塩の溶液の両方を加えて、それにより、該粒子上でのシリカの堆積を引き起こす工程;および
該分散体のpHを約4より低くし、その後、該液体から該シリカ被覆粒子を分離する工程。
【0029】
本発明のこの局面は、以下、本発明の「シリカ被覆方法」と呼ぶ場合がある。
【0030】
本発明のさらに他の局面では、使用する電気泳動媒体は、前記米国特許第5,930,026号の請求項1で記載の種類であり得る。それゆえ、本発明は、以下の部分を含む電気泳動表示装置を提供する:
a)顕微容器の配列であって、ここで、各容器は、誘電流体および粒子懸濁液を含有し、該粒子は、少なくとも1個の有機基に結合し、ここで、該有機基は、少なくとも1個のイオン性基、イオン化可能基、または両方を含み、ここで、該流体および該粒子は、視覚的にコントラストをなす、顕微容器の配列;
b)顕微容器の配列であって、ここで、該配列は、該電極間に位置しており、ここで、該電極の少なくとも1個は、実質的に視覚的に透明である、顕微容器の配列;および
c)該2個の電極間で電位差を作り出す手段であって、ここで、該電位差は、該粒子を該電極の1個の方へと移動させる、手段。
【0031】
最後に、使用される電気泳動媒体は、前記米国特許第5,930,026号の請求項21で記載の種類であり得る。それゆえ、本発明は、以下の部分を含む非放射性表示装置システムを提供する:
a)少なくとも1個の表示素子であって、該表示素子は、2個の電極間に位置しており、ここで、該表示素子は、該電極間の電位差に視覚的に応答性である、表示素子;および
b)表示圧電素子であって、該表示圧電素子は、該電極に連結され、ここで、該圧電素子の変形は、該電位差を生じる、表示圧電素子;
ここで、該表示素子は、顕微容器の配列を含み、ここで、各容器は、誘電流体および粒子懸濁液を含有し、該粒子は、少なくとも1個の有機基に結合し、ここで、該有機基は、少なくとも1個のイオン性基、イオン化可能基、または両方を含み、ここで、該流体および該粒子は、視覚的にコントラストをなす。
【0032】
したがって、本発明は、以下を提供する。
(1)複数の顔料粒子を懸濁流体に懸濁した電気泳動媒体であって、該顔料粒子は、重合体を該顔料粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させており、該重合体は、該顔料の1〜15重量%の量で存在している、
電気泳動媒体。
(2)前記重合体が、前記顔料粒子に化学的に結合されている、項目1に記載の電気泳動媒体。
(3)前記粒子が、該顔料粒子に化学的に結合した前記重合体の該顔料を4〜15重量%で有する、項目2に記載の電気泳動媒体。
(4)前記粒子が、該顔料粒子に化学的に結合した前記重合体の該顔料を8〜12重量%で有する、項目3に記載の電気泳動媒体。
(5)前記粒子が、チタニアまたはカーボンブラックを含有する、項目1〜4のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(6)前記重合体が、荷電基または荷電可能基を含有する、項目1〜5のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(7)前記荷電基または荷電可能基が、前記重合体から別々に前記顔料粒子に結合される、項目1〜6のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(8)前記重合体が、主鎖および複数の側鎖を含有し、該側鎖が、該主鎖から伸長しており、該側鎖の各々が、少なくとも4個の炭素原子を含有する、項目1〜7のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(9)少なくとも1つの光学特性に差があり電気泳動移動度に差がある2種の粒子を含有する、項目1〜8のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(10)前記顔料粒子および前記流体が、複数のカプセル内にカプセル化されている、項目1〜9のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(11)前記2種の粒子が、それぞれ、チタニアおよびカーボンブラックを含有し、そして反対の極性の電荷を有する、項目10に記載の電気泳動媒体。
(12)前記カプセルが、重合体結合剤内に保持されている、項目10または11に記載の電気泳動媒体。
(13)前記カプセルが、非球形である、項目10〜12のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(14)電気泳動媒体および少なくとも1個の電極を含む電気泳動表示装置であって、該電極は、該媒体に隣接して配置され、そして該媒体に電場を加えることができ、ここで、該電気泳動媒体は、項目1〜13のいずれか1項に記載の媒体である、
電気泳動表示装置。
(15)複数種のカーボンブラック粒子を懸濁流体に懸濁した電気泳動媒体であって、該粒子は、重合体を該カーボンブラック粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させており、ここで、該重合体は、該カーボンブラック粒子の1〜25重量%の量で存在している、
電気泳動媒体。
(16)前記重合体が、前記カーボンブラック粒子に化学的に結合されている、項目15に記載の電気泳動媒体。
(17)前記カーボンブラック粒子が、該カーボンブラック粒子に化学的に結合した前記重合体の該カーボンブラックを6〜14重量%で有する、項目16に記載の電気泳動媒体。
(18)電気泳動媒体および少なくとも1個の電極を含む電気泳動表示装置であって、該電極は、該媒体に隣接して配置され、そして該媒体に電場を加えることができ、ここで、該電気泳動媒体は、項目15〜17のいずれか1項に記載に記載の媒体である、
電気泳動表示装置。
(19)複数種の顔料粒子を懸濁流体に懸濁した電気泳動媒体であって、該顔料粒子は、
重合体を該顔料粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させており、ここで、該重合体は、主鎖および複数の側鎖を含有し、該側鎖が、該主鎖から伸長しており、該側鎖の各々が、少なくとも4個の炭素原子を含有する、
電気泳動媒体。
(20)前記側鎖の各々が、少なくとも6個の炭素原子を含有する、項目19に記載の電気泳動媒体。
(21)前記重合体が、前記顔料粒子に化学的に結合される、項目19または20に記載の電気泳動媒体。
(22)前記粒子が、該顔料粒子に化学的に結合した前記重合体の該顔料を4〜15重量%で有する、項目21に記載の電気泳動媒体。
(23)前記粒子が、該顔料粒子に化学的に結合した前記重合体の該顔料を6〜15重量%で有する、項目22に記載の電気泳動媒体。
(24)前記粒子が、該顔料粒子に化学的に結合した前記重合体の該顔料を8〜12重量%で有する、項目23に記載の電気泳動媒体。
(25)前記重合体が、荷電基または荷電可能基を含有する、項目19〜24のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(26)前記荷電基または荷電可能基が、前記重合体から別々に前記顔料粒子に結合される、項目19〜25のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(27)前記顔料粒子および前記流体が、複数のカプセル内にカプセル化されている、項目19〜26のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(28)電気泳動媒体および少なくとも1個の電極を含む電気泳動表示装置であって、該電極は、該媒体に隣接して配置され、そして該媒体に電場を加えることができ、ここで、該媒体は、項目19〜27のいずれか1項に記載の媒体である、
電気泳動表示装置。
(29)連続相および不連続相を含む二相電気泳動媒体であって、該不連続相は、複数の小滴を含有し、その各々は、懸濁流体および少なくとも1種の顔料粒子を含有し、該顔料粒子は、該懸濁流体内に配置され、そして該電気泳動媒体に電場を加えると、該流体を通って移動でき、該連続相は、該不連続相を取り囲んでカプセル化し、ここで、該顔料粒子は、重合体を該顔料粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させている、
二相電気泳動媒体。
(30)前記不連続相が、前記電気泳動媒体の少なくとも40容量%を占める、項目29に記載の電気泳動媒体。
(31)前記重合体が、前記顔料粒子に化学的に結合されている、項目29または30に記載の電気泳動媒体。
(32)前記重合体が、荷電基または荷電可能基を含有する、項目29〜31のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(33)前記荷電基または荷電可能基が、前記重合体から別々に前記顔料粒子に結合される、項目29〜32のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(34)前記小滴が、非球形である、項目29〜33のいずれか1項に記載の電気泳動媒体。
(35)電気泳動媒体および少なくとも1個の電極を含む電気泳動表示装置であって、該電極は、該媒体に隣接して配置され、そして該媒体に電場を加えることができ、ここで、該電気泳動媒体は、項目29〜34のいずれか1項に記載の媒体である、
電気泳動表示装置。
(36)電気泳動媒体で使用する顔料粒子であって、該顔料粒子は、重合体を該顔料粒子に化学的に結合させるかその周りに架橋させており、ここで、荷電基または荷電可能基が、該重合体から別々に該顔料粒子に結合される、
顔料粒子。
(37)前記重合体が、事実上、荷電基または荷電可能基を含まない、項目36に記載の顔料粒子。
(38)前記重合体が、前記顔料粒子に化学的に結合されている、項目36または37に記載の顔料粒子。
(39)少なくとも1種の粒子を懸濁流体に懸濁した電気泳動媒体であって、ここで、該粒子は、項目36〜38のいずれか1項に記載の粒子である、
電気泳動媒体。
(40)前記少なくとも1種の粒子および前記懸濁流体が、カプセル内にカプセル化されている、項目39に記載の電気泳動媒体。
(41)電気泳動媒体および少なくとも1個の電極を含む電気泳動表示装置であって、該電極は、該電極は、該媒体に隣接して配置され、そして該媒体に電場を加えることができ、ここで、該媒体は、項目39または40に記載の媒体である、
電気泳動表示装置。
(42)重合体被覆顔料粒子を製造する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)該粒子を試薬と反応させる工程であって、該試薬は、該粒子と反応して結合できる官能基を有し、また、該試薬は、重合可能基または重合開始基を有し、それにより、該官能基を該粒子表面と反応させ、そこに該重合可能基を結合させる、工程;および
(b)該粒子上の該重合可能基または重合開始基と少なくとも1種の単量体またはオリゴマーとの間で反応を引き起こすのに効果的な条件下にて、工程(a)の生成物を該少なくとも1種の単量体またはオリゴマーと反応させて、それにより、該粒子に結合した重合体の形成を引き起こす、工程。
(43)工程(a)にて、前記重合可能基が、イオン結合を介して、前記粒子表面に結合される、項目42に記載の方法。
(44)工程(a)が、以下の工程を包含する、項目42または43に記載の方法:
(a1)前記粒子を試薬と反応させる工程であって、該試薬は、第一官能基および第二官能基を有し、該第一官能基は、該粒子と反応して結合でき、そして該第二官能基は、反応してイオン結合を形成でき、それにより、該第一官能基を該粒子表面と反応させ、そこに該第二官能基を結合させる、工程;および
(a2)工程(a1)の生成物を第二試薬と反応させる工程であって、該第二試薬は、重合可能基および第三官能基を有し、該第三官能基は、該第二官能基と反応して、該イオン結合を形成でき、それにより、該第二および第三官能基を共に反応させて、該イオン結合を形成し、それにより、該重合可能基を、イオン結合を介して、前記粒子表面に結合する工程。
(45)工程(a)にて、前記重合可能基が、共有結合を介して、前記粒子表面に結合される、項目42に記載の方法。
(46)工程(a)にて、前記顔料粒子に、原子移動ラジカル重合用の開始部位を与える基が結合され、そして工程(b)にて、工程(a)の生成物が、原子移動ラジカル重合単量体で処理されて、前記重合体を形成する、項目42〜45のいずれか1項に記載の方法。
(47)工程(b)が、前記粒子上への第一原子移動可能単量体の重合を引き起こすのに効果的な条件下にて、工程(a)の生成物を該第一単量体で処理し、該第一重合を停止し、その後、該粒子上への第二原子移動ラジカル重合可能単量体の重合を引き起こすのに効果的な条件下にて、該粒子を該第二単量体で処理して、それにより、該粒子上で該2種の単量体のブロック共重合体を形成することにより、実行される、項目46に記載の方法。(48)工程(a)にて、重合可能基が、前記粒子に結合され、そして工程(b)にて、工程(a)の生成物が、少なくとも1種の単量体またはオリゴマーと該重合体上の該重合可能基との重合を引き起こすのに効果的な条件下にて、該単量体またはオリゴマーと接触され、それにより、該粒子上で、該重合体の形成を引き起こす、項目42〜47のいずれか1項に記載の方法。
(49)顔料粒子をシリカで被覆する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
該顔料粒子を、8より高いpHおよび60℃より高い温度て、溶解性ケイ酸塩の溶液に分散する工程;
該顔料粒子の分散体に、該分散体の温度を60℃より高く維持しつつ、酸の溶液およびケイ酸塩の溶液を加えて、それにより、該粒子上でのシリカの堆積を引き起こす工程;および
その後、該液体から該シリカ被覆粒子を分離する工程;
ここで、該方法は、該粒子上に該シリカを堆積した後であるが該液体から該粒子を分離する前に、該分散体のpHを4より低くする、
方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1Aは、本発明の第一電気泳動表示装置を通る概略断面図であり、ここで、その電気泳動媒体は、着色懸濁流体中にて、単一種の粒子を含有する。図1Bは、本発明の第一電気泳動表示装置を通る概略断面図であり、ここで、その電気泳動媒体は、着色懸濁流体中にて、単一種の粒子を含有する。
【図2】図2Aは、一般に、本発明の第二電気泳動表示装置を通る図1Aと類似の概略断面図であり、ここで、その電気泳動媒体は、非着色懸濁流体中にて、2種の異なる粒子を含有し、これらは、反対極性の電荷を有する。図2Bは、一般に、本発明の第二電気泳動表示装置を通る図1Bと類似の概略断面図であり、ここで、その電気泳動媒体は、非着色懸濁流体中にて、2種の異なる粒子を含有し、これらは、反対極性の電荷を有する。
【図3】図3Aは、一般に、本発明の第三電気泳動表示装置を通る図2Aと類似の概略断面図であり、ここで、その電気泳動媒体は、非着色懸濁流体中にて、2種の異なる粒子を含有し、これらは、同じ極性の電荷を有するが、電気泳動移動度が異なる。図3Bは、一般に、本発明の第三電気泳動表示装置を通る図2Bと類似の概略断面図であり、ここで、その電気泳動媒体は、非着色懸濁流体中にて、2種の異なる粒子を含有し、これらは、同じ極性の電荷を有するが、電気泳動移動度が異なる。
【図4】図4Aは、本発明の重合体分散電気泳動媒体およびその媒体を生成するために使用される方法を図示している。図4Bは、本発明の重合体分散電気泳動媒体およびその媒体を生成するために使用される方法を図示している。
【図5A】図5Aは、重合体被覆を顔料粒子に塗布するために本発明で使用される方法の一部を要約している反応スキームである。
【図5B】図5Bは、重合体被覆を顔料粒子に塗布するために本発明で使用される方法の一部を要約している反応スキームである。
【図5C】図5Cは、重合体被覆を顔料粒子に塗布するために本発明で使用される方法の一部を要約している反応スキームである。
【図6】図6は、本発明の方法の1つで生成されると考えられる重合体被覆の種類の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の電気泳動媒体および方法を詳細に説明する前に、これらの媒体を使用しようとする電気泳動表示装置の種類の一部を簡単に記述するのが望ましいと考えられる。
【0035】
本発明の電気泳動媒体は、前記E InkおよびMITの特許および特許出願で記述された種類のいずれかであり得、このような媒体の好ましい実施形態は、今ここで、添付の図面の図1〜4を参照して、記述されている。
【0036】
本発明の第一電気泳動表示装置(これは、一般に、100と命名されている)は、図1Aおよび1Bで示されているが、カプセル化電気泳動媒体(これは、一般に、102で示されている)を含み、これは、複数のカプセル104(その1個だけが図1Aおよび1Bで示されている)を含有し、その各々は、懸濁流体106を含有し、その中で、複数の単一型粒子108が分散され、これらは、例示の目的のために、黒色を帯びている。粒子108は、電気泳動的に移動性であり、カーボンブラックから形成され得る。上記の説明において、粒子108は、正に荷電されている(もちろん、もし望ましいなら、負に荷電した粒子もまた、使用できる)と想定される。(粒子108の三角形、および以下で述べる他の粒子の正方形および円形は、添付の図面において、種々の型の粒子が容易に区別できるように、純粋に例示するために使用されており、決して、実際の粒子の物理的形状(これらは、実質的に球形である)には対応していない。しかしながら、本発明者は、本発明の表示装置において、非球形粒子を使用を除外しない)。表示装置100は、さらに、共通透明前部電極110(これは、そこを通って観察者が表示装置100を見る視界面を形成する)および複数の個別後部電極112(その各々は、表示装置100の1個の画素を規定するが、図1Aおよび1Bでは、1個の後部電極112だけが示されている)を含む。説明および理解をし易くするために、図1Aおよび1Bは、後部電極112で規定される画素を形成する単一マイクロカプセルだけを示しているが、実際には、各画素に対して、通常、多数の(20個またはそれ以上)のマイクロカプセルが使用される。後部電極112は、基板114上に取り付けられる。
【0037】
図1Aで示した位置で後部電極112に隣接して横たわっている粒子108が前部電極110を経由して表示装置100を見ている観察者には見えないように、懸濁流体106は、着色されている。懸濁流体106で必要な色は、この懸濁流体に染料を溶解させることにより、提供され得る。着色した懸濁流体106および粒子108は、電気泳動媒体102を不透明にするので、後部電極112および基板114は、透明であり得るか、不透明電気泳動媒体102を介して見えないので、不透明であり得る。
【0038】
カプセル104および粒子108は、広範囲の大きさで作製できる。しかしながら、一般に、これらのカプセルの厚さ(これは、これらの電極に垂直に測定される)は、約10〜500μmの範囲であるのが好ましいものの、粒子108は、典型的には、約0.25〜約2μmの範囲の直径を有する。
【0039】
図1Aは、後部電極112(これは、負に荷電されている)および前部電極110(これは、正に荷電されている)を備えた表示装置100を示している。この条件下では、正に荷電された粒子108は、負に荷電された電極112に引き付けられ、それゆえ、後部電極112に隣接して横たわり、この場合、それらは、着色液体106により、観察者が前部電極110を介して表示装置100を見るのを隠される。従って、図1Aで示した画素は、観察者に対して、液体106の色(これは、例示の目的のために、白色を呈する)を表示する。(表示装置100は、図1Aおよび1Bでは、底部に後部電極112を備えて図示されているものの、実際には、前部電極および後部電極の両方は、典型的には、表示装置100の最大視界に対して垂直に配置される。本明細書中で記述した本発明の特定の実施形態のいずれも、決して、それらの粒子の移動を制御するのに、重力に頼っていない;重力下でのこのような移動は、実際、遅すぎて、実用的な移動を制御するのに有用ではない)。
【0040】
図1Bは、前部電極110(これは、後部電極112に対して負に荷電されている)を備えた表示装置100を示す。粒子108は、正に荷電されているので、負に荷電された前部電極110に引き付けられ、それにより、粒子108は、前部電極110に隣接して移動し、その画素は、粒子108の黒色を示す。
【0041】
図1Aおよび1Bでは、カプセル104は、実質的にプリズム形状で図示されており、これは、その高さ(それらの平面に垂直)よりも著しく大きい幅(これは、これらの電極の平面に平行である)を有する。このプリズム形状のカプセル104は、意図的になされている。もし、カプセル104が、事実上、球形であるなら、図1Bで示した黒色状態では、粒子108は、そのカプセルの中心のすぐ上にある中央の限られた領域で、このカプセルの最も高い部分に集まる傾向にある。観察者が見える色は、次いで、事実上、この中心黒色領域と白色環帯(これは、この中心領域を取り囲む)との平均であり、この場合、白色液体106が見える。それゆえ、この黒色と推定される領域でも、観察者は、純粋な黒色ではなく灰色がかった色に見え、その画素の2つの極端な光学状態間のコントラストは、それに対応して、限定される。対照的に、図1Aおよび1Bで示したプリズム形状のマイクロカプセルを備えていると、粒子108は、事実上、そのカプセルの全断面を覆い、その結果、白色液体は、全く見えないか、少なくとも非常に僅かしか見えず、このカプセルの極端な光学状態の間のコントラストが高められる。この点に関して、また、その電気泳動層内のカプセルの密集を得ることが望ましいことに関して、さらに論述するために、読者は、前記米国特許第6,067,185号およびそれに対応している公開された国際出願WO99/10767を参照せよ。また、前記E InkおよびMIT特許および特許出願で記述されているように、その電気泳動媒体に機械的な完全性を与えるために、これらのマイクロカプセルは、通常、固形結合剤内に包埋されるが、この結合剤は、説明を簡単にするために、図1〜3では、省略されている。
【0042】
図2Aおよび2Bで示した本発明の第二の電気泳動表示装置(これは、一般に、200で示されている)は、カプセル化した電気泳動媒体(これは、一般に、202で示されている)を含み、これは、複数のカプセル204を含み、それらの各々は、懸濁流体206を含有し、その中に、複数の正に荷電した黒色粒子108(これは、上で述べた第一表示装置100のものと同じである)が分散されている。表示装置200は、さらに、前部電極110、後部電極112および基板114を含み、これらの全ては、第一表示装置100の対応する整数と同じである。しかしながら、黒色粒子108に加えて、液体206中には、複数の負に荷電された粒子218(これらは、本発明の目的のために、白色を呈する)が懸濁されている。
【0043】
典型的には、液体206は、着色されていない(すなわち、本質的に、透明である)ものの、そこには、この表示装置の種々の状態の光学特性を調整するために、一部の色が存在し得る。図2Aは、図示した画素の後部電極112に対して、正に荷電した前部電極110を備えた表示装置200を示している。正に荷電した粒子108は、後部電極112と静電的に隣接して保持されているのに対して、負に荷電した粒子218は、前部電極110に接して静電的に保持されている。従って、前部電極110を介して表示装置200を見ている観察者は、白色粒子218が見えて黒色粒子108が隠れるので、白色画素を見る。
【0044】
図2Bは、図示した画素の後部電極112に対して負に荷電した前部電極110を備えた表示装置200を示す。図1Bで示した対応している光学状態では、正に荷電した粒子108は、今ここでは、負に荷電した電極110に引き付けられるのに対して、負に荷電した粒子218は、正の後部電極112に静電的に引き付けられる。従って、粒子108は、前部電極110に隣接して移動し、その画素は、粒子108の黒色を表示し、これは、白色粒子218を隠す。
【0045】
図3Aおよび3Bで示した本発明の第三の電気泳動表示装置(これは、一般に、300で示されている)は、カプセル化した電気泳動媒体(これは、一般に、302で示されている)を含み、これは、複数のカプセル304を含む。表示装置300は、さらに、前部電極110、後部電極112および基板114を含み、これらの全ては、先に記述した表示装置100および200の対応する整数と同じである。表示装置300は、液体306が着色されていない点、およびその中に白色の負に荷電した粒子218が懸濁されている点で、表示装置200と似ている。しかしながら、表示装置300は、正に荷電した赤色粒子320(これらは、白色粒子218よりも電気泳動移動度が相当に低い)が存在していることにより、表示装置200とは異なる。
【0046】
図3Aは、図示した画素の後部電極112に対して、正に荷電した前部電極110を備えた表示装置300を示している。負に荷電した白色粒子218および負に荷電した赤色粒子320の両方は、前部電極110に引き付けられるが、白色粒子218は、実質的に電気泳動移動度が高いので、それらは、最初に、前部電極110に到達する(図3Aで示した光学状態は、通常、図3Bで示した光学状態にある電極の極性を急激に逆にすることにより発生し、それにより、白色粒子218および赤色粒子320の両方にカプセル304の厚さを強制的に横断させ、それにより、白色粒子218の高い移動度により、それらの位置が、赤色粒子320の前の前部電極110に隣接した位置に到達できるようになることに注目せよ)。それゆえ、白色粒子218は、前部電極110にすぐ隣接して連続層を形成し、それにより、赤色粒子320を隠す。従って、前部電極110を介して表示装置300を見ている観察者は、白色粒子218が見えて赤色粒子320を隠すので、白色画素を見る。
【0047】
図3Bは、図示した画素の後部電極112に対して、負に荷電した前部電極110を備えた表示装置300を示している。負に荷電した白色粒子218および負に荷電した赤色粒子320の両方は、後部電極112に引き付けられるが、白色粒子は、電気泳動移動度が高いので、図3Aで示した光学状態で電極の極性を逆にすることにより、図3Bで示した光学状態が生じるとき、白色粒子218は、赤色粒子320よりも迅速に後部電極112に到達し、この結果、粒子218は、電極112に隣接した連続層を形成し、前部電極110に面した赤色粒子320の連続層が残る。従って、前部電極110を介して表示装置300を見ている観察者は、赤色粒子320が見えて白色粒子218を隠すので、赤色画素を見る。
【0048】
図4Aおよび4Bは、本発明の重合体分散型電気泳動媒体およびこの媒体を製造するのに使用される方法を図示している。この重合体分散型電気泳動媒体は、非球形の小滴を含有し、フィルム形成材料(これは、その形成後に実質的に収縮できるフィルムを生じる)を使用することにより、調製される。この目的に好ましい非連続相は、ゼラチンであるものの、その代わりに、他のタンパク質様材料および多分、架橋可能重合体は、使用され得る。この液状材料(これは、最終的に、この連続相を形成する)および小滴の混合物が形成され、基板上に被覆されて、図4Aで図示したような構造体を形成する。図4Aは、液状媒体414中に分散した小滴412を含む層410を示し、これは、フィルム形成過程になり、この層410は、透明導電性材料(例えば、インジウム−酸化スズ)の層418を予め形成した基板416(好ましくは、可撓性高分子フィルム(例えば、ポリエステルフィルム))に被覆されている。この液状材料は、図4Aで示すように、比較的に厚い層410を形成し、これは、本質的に球形の小滴412を含有する。層410が連続固相を形成した後、この層は、次いで、好ましくは、ほぼ室温(この層は、望ましいなら、加熱され得るものの)で、そのゼラチンを脱水するのに十分な期間にわたって乾燥され、それにより、その層の厚さを実質的に低下させ、図4Bで図示した種類の構造を製造するが、乾燥し収縮した層は、図4Bでは、410’と指定されている。この層が「垂直」収縮(すなわち、基板416の表面と垂直の収縮)すると、事実上、最初の球形小滴は、偏球の楕円体に圧縮され、その表面に垂直な厚さは、この表面に平行な側方寸法よりも実質的に小さい。実際には、これらの小滴は、通常、隣接している小滴の側縁が互いに接触するように、十分に密に詰められており、その結果、これらの小滴の最終形状は、偏球の楕円体よりも不規則なプリズムによく似ている。また、図4Bで示すように、その最終媒体中には、1層より多い小滴層が存在し得る。この媒体が図4Bで示した種類である(ここで、それらの小滴は、多分散性(すなわち、広い範囲の小滴の大きさが存在している)である)とき、このような複数の層が存在していると、その基板の小領域がどの小滴でも覆われない機会を減らすという点で、有利である;それゆえ、これらの複数層は、その電気泳動媒体が完全に不透明となり、基板のどの部分も媒体から形成した表示装置では見えないことを保証するのを助ける。しかしながら、本質的に単分散性の小滴(すなわち、全部が本質的に同じ大きさの小滴)を使用する媒体では、一般に、その媒体を、収縮後に密に詰めた単層の小滴を生じる層で被覆することが得策である。係属中の特許出願第09/413,444号(これは、1999年10月6日に出願された)、およびそれに対応する国際出願第PCT/US99/23313号、公報第WO00/20922号を参照。それらは、マイクロカプセル化電気泳動媒体で見られる比較的に剛性のマイクロカプセル壁がないので、本発明の重合体分散媒体にある小滴は、マイクロカプセルよりもしっかりと固まって、密に詰めた単層になる傾向があり得る。
【0049】
予想に反して、実験的には、これらの小滴は、その媒体の乾燥中にて、合体しないことが発見されている。しかしながら、本発明者は、本発明のある実施形態において、隣接カプセル間で壁の破裂が起こり得、それにより、小滴間で部分的な連結を生じる可能性を無視する訳ではない。
【0050】
この乾燥工程中に起こる小滴の変形の程度(それゆえ、小滴の最終形状)は、そのゼラチン溶液中の水の割合およびこの溶液と小滴との比を制御することにより、変えられ得る。例えば、2〜15重量%のゼラチン溶液を使用し、200グラムの各ゼラチン溶液および50グラムの「内部」非水相(これは、これらの小滴を形成する)を使用して、実験を行った。厚さ30μmの電気泳動媒体の最終層を作製するには、2%ゼラチン溶液/内相混合物の層を139μmの厚さで被覆する必要があった;乾燥すると、この層は、厚さ30μmの電気泳動媒体を生じ、これは、92.6容量%の小滴を含有していた。他方、同じ最終厚さの電気泳動媒体を作製するために、15%ゼラチン溶液/内相混合物は、93μmの厚さで被覆し、乾燥すると、62.5容量%の小滴を含有する電気泳動媒体を生じた。2%ゼラチン溶液から作製した媒体は、手荒な取り扱いに耐えられる程には強くなかった;5〜15重量%のゼラチンを含有するゼラチン溶液から作製した媒体は、良好な機械的性質を有していた。
【0051】
その最終電気泳動媒体中の小滴の変形の程度もまた、小滴の初期サイズ、およびこの初期サイズと電気泳動媒体の最終層の厚さとの関係により、影響される。実験により、これらの小滴の平均初期サイズが大きい程、および/またはこの平均初期サイズと最終層の厚さとの比が大きい程、最終層での小滴の球形からの変形が大きくなることが明らかとなっている。一般に、これらの小滴の平均初期サイズは、その最終層の厚さの約25%〜約400%であるのが好ましい。例えば、先に記述した実験(ここで、その最終層の厚さは、30μmである)では、10〜100μmの平均初期小滴サイズで、良好な結果が得られた。
【0052】
ゼラチンは、ゾル/ゲル変換によりフィルムを形成するが、本発明は、このようなゾル/ゲル変換によりフィルムを形成するフィルム形成材料には制限されない。例えば、このフィルムの形成は、単量体またはオリゴマーの重合により、重合体またはオリゴマーの架橋により、重合体の放射線硬化により、または任意の他のフィルム形成方法により、達成され得る。同様に、本発明の好ましい異形(ここで、まず、そのフィルムが形成され、次いで、厚さが縮小される)では、この収縮は、ゼラチンフィルムが収縮する同じ種類の脱水機構により達成される必要はなく、このフィルムからの溶媒(水性または非水性)の除去、重合体フィルムの架橋または任意の他の通常の手順により、達成され得る。
【0053】
本発明の重合体分散型電気泳動媒体では、その小滴は、望ましくは、この電気泳動媒体の少なくとも40容量%、好ましくは、約50〜約80容量%を占める;前記係属中の特許出願第09/683,903号を参照。本発明の重合体分散型媒体で使用される小滴は、図1〜3で図示されている粒子および懸濁流体の任意の組合せを有し得ることを強調しておくべきである。
【0054】
本発明は、図1〜4で示した形状のカプセル化電気泳動媒体のいずれかに適用され得る。しかしながら、本発明は、カプセル化電気泳動媒体および重合体分散型電気泳動媒体には限定されず、非カプセル化媒体にも適用され得る。
【0055】
さて、本発明の種々の局面を、さらに詳細に説明する。
【0056】
(粒子の型およびその前処理)
本発明は、電気泳動媒体で使用できる任意の種類の粒子に適用され得、このような粒子の選択には、融通がきく。本発明の目的のために、粒子は、荷電されているか電荷を獲得できる(すなわち、電気泳動移動度を有するかそれを獲得できる)任意の成分であり、ある場合には、この移動度は、ゼロまたはゼロに近くなり得る(すなわち、これらの粒子は、移動しない)。これらの粒子は、例えば、ニート顔料または染色した(レーキした)顔料、または任意の他の成分(これは、荷電されているか電荷を獲得できる)であり得る。この電気泳動粒子の典型的な要件には、その光学特性、電気特性および界面化学がある。これらの粒子は、有機化合物または無機化合物であり得、光を吸収するか光を散乱するかいずれかであり得る。本発明で使用する粒子は、さらに、散乱顔料、吸収顔料および発光粒子を含有し得る。これらの粒子は、逆反射性(例えば、コーナーキューブ)であり得るか、電子発光性(例えば、硫化亜鉛粒子;これは、AC電場で励起したとき、光を放射する)であり得るか、または燐光性であり得る。硫化亜鉛電子発光粒子は、導電性を低下させるために、絶縁被覆でカプセル化され得る。
【0057】
この電気泳動粒子は、通常、顔料、レーキ顔料、または上記のいずれかの組合せである。ニート顔料は、任意の顔料であり得、これは、通常、淡色粒子用であり、ルチル(チタニア)、アナターゼ(チタニア)、硫酸バリウム、カオリンまたは酸化亜鉛が有用である。一部の典型的な粒子は、高い屈折率、高い散乱係数、および低い吸収係数を有する。他の粒子は、吸収性である(例えば、塗料またはインクで使用されるカーボンブラックまたは着色顔料)。この顔料はまた、この懸濁流体に不溶であるべきである。ジアリーリドイエロー、Hansaイエローおよびベンジジンイエローのような黄色顔料もまた、類似の表示装置で用途が見出されている。淡色粒子には、任意の他の反射材料が使用でき、これには、非顔料材料(例えば、金属粒子)が挙げられる。
【0058】
有用なニート顔料には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:PbCrO、Cyan blue GT 55−3295(American Cyanamid Company,Wayne,NJ)、Cibacron Black BG(Ciba Company,Inc.,Newport,DE)、Cibacron Turquoise Blue G(Ciba)、Cibalon Black BGL(Ciba)、Orasol Black BRG(Ciba)、Orasol Black RBL(Ciba)、Acetamine Black,CBS(E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.,Wilmington,DE;以下、「du Pont」と略す)、Crocein Scarlet N Ex(du Pont)(27290)、Fiber Black VF(du Pont)(30235)、Luxol Fast Black L(du Pont)(Solv.Black 17)、Nirosine Base No.424(du Pont)(50415 B)、Oil Black BG(du Pont)(Solv.Black
16)、Rotalin Black RM(du Pont)、Sevron Brilliant Red 3 B(du Pont);Basic Black DSC(Dye Specialties,Inc.)、Hectolene Black(Dye Specialties,Inc.)、Azosol Brilliant Blue B(GAF,Dyestuff and Chemical Division,Wayne,NJ)(Solv.Blue 9)、Azosol Brilliant Green BA(GAF)(Solv.Green 2)、Azosol Fast Brilliant Red B(GAF)、Azosol Fast Orange RA Conc.(GAF)(Solv.Orange 20)、Azosol Fast Yellow GRA Conc.(GAF)(13900 A)、Basic Black KMPA(GAF)、Benzofix Black CW−CF(GAF)(35435)、Cellitazol BNFV Ex Soluble CF(GAF)(Disp.Black 9)、Celliton Fast Blue AF Ex Conc(GAF)(Disp.Blue 9)、Cyper Black IA(GAF)(Basic Black 3)、Diamine Black CAP Ex
Conc(GAF)(30235)、Diamond Black EAN Hi Con.CF(GAF)(15710)、Diamond Black PBBA Ex(GAF)(16505);Direct Deep Black EA Ex CF(GAF)(30235)、Hansa Yellow G(GAF)(11680);Indanthrene Black BBK Powd.(GAF)(59850)、Indocarbon CLGS Conc.CF(GAF)(53295)、Katigen Deep Black NND Hi Conc.CF(GAF)(15711)、Rapidogen Black 3 G(GAF)(Azoic Black 4);Sulphone Cyanine Black BA−CF(GAF)(26370)、Zambezi Black VD Ex Conc.(GAF)(30015);Rubanox Red CP−1495(The Sherwin−Williams Company,Cleveland,OH)(15630);Raven 11(Columbian Carbon Company,Atlanta,GA)、(約25μmの粒径を有するカーボンブラック凝集体)、Statex B−12(Columbian Carbon Co.)(約33μmの平均粒径を有するファーネスブラック)、Greens 223および425(The Shepherd Color Company,Cincinnati,OH 45246);Blacks 1、1Gおよび430(Shepherd);Yellow 14(Shepherd);Krolor Yellow KO−788−D(Dominion Colour Corporation,North York,Ontario;「KROLOR」は、登録商標である);Red Synthetic 930および944(Alabama Pigments Co.,Green Pond,Alabama 35074)、Krolor Oranges KO−786−DおよびKO−906−D(Dominion Colour Corporation);Green GX(Bayer);Green 56(Bayer);Light Blue ZR(Bayer);Fast Black
100(Bayer);Bayferrox 130M(Bayer−「BAYFERROX」は、登録商標である);Black 444(Shepherd);Light
Blue 100(Bayer);Light Blue 46(Bayer);Yellow 6000(First Color Co.,Ltd.,1236−1,Jwungwang−dong,Shihung,Kyounggi−do,Korea)、Blues 214および385(Shepherd);Violet 92(Shepherd);ならびにクロムグリーン。
【0059】
粒子はまた、レーキ顔料、すなわち、染色した顔料を含有し得る。レーキした顔料は、そこに染料を沈殿させたか染色した粒子である。レーキは、易溶性アニオン染料の金属塩である。これらは、アゾ構造、トリフェニルメタン構造またはアントラキノン構造の染料であり、1個またはそれ以上のスルホン酸基またはカルボン酸基を含有する。それらは、通常、基板上に、カルシウム塩、バリウム塩またはアルミニウム塩により、沈殿される。典型的な例には、ピーコックブルーレーキ(CI Pigment Blue 24)およびPersian orange(CI Acid Orange 7のレーキ)、Black M Toner(GAF)(カーボンブラックおよび黒色染料をケーキ上に沈殿した混合物)がある。
【0060】
染料型の黒色粒子は、任意の光吸収性材料(例えば、カーボンブラック)または無機黒色材料から構成され得る。この黒色材料はまた、選択的に吸収性であり得る。例えば、暗緑色顔料が使用され得る。
【0061】
この粒子の光学的な目的は、光を散乱すること、光を吸収すること、またはそれらの両者であり得る。有用なサイズは、1nm〜約100μmの範囲であり得る。この電気泳動粒子の密度は、実質的に、この懸濁(すなわち、電気泳動)流体のものと一致し得る。本明細書中で定義するように、懸濁流体は、もし、それらの各密度の差が約0グラム/ミリリットル(「g/ml」)と約2グラム/ミリリットルの間であるなら、「実質的に一致した」密度を有する。この差は、好ましくは、約0g/mlと0.5g/mlの間である。
【0062】
依然として、新規で有用な電気泳動粒子が発見され得るが、電気泳動表示装置および液状トナーの分野の当業者に既に公知の多数の粒子もまた、有用であることが証明できる。
【0063】
淡色電気泳動粒子を形成するのに現在好ましい材料は、金属酸化物(および/または水酸化物)、特に、チタニアである。チタニア粒子は、例えば、酸化物(例えば、アルミナまたはシリカ)で被覆され得る;このような被覆が存在していると、おそらく、光化学反応(これは、裸のチタニア表面と懸濁流体との間の界面で起こり得る)のような反応を抑制することにより、電気泳動媒体中でのチタニアの安定性が向上すると思われる。これらのチタニア粒子は、1層、2層またはそれ以上の層の金属酸化物被覆を有し得る。例えば、本発明の電気泳動表示装置で使用するチタニア粒子は、1層のアルミナ被覆および1層のシリカ被覆を有し得る。これらの被覆は、任意の順序で、この粒子に付けられ得る。現在、本発明者は、シリカ/アルミナ被覆を有するチタニア(これは、シリカおよびアルミナの分離した領域を含有すると思われる)を使用することを好む。このような被覆したチタニアは、R960の商品名で、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware)から市販されている。このような被覆粒子では、その被覆は、チタニアを完全に覆うので、その粒子の表面に開始剤または重合可能基を結合するのに使用される任意の試薬は、この被覆と反応しなければならず、チタニアと反応する必要はないことが理解される。さらに、下記の好ましいシランカップリング剤は、シリカと反応するが、アルミナとは容易に反応しないか全く反応しないので、もし、好ましい試薬を使用べきなら、その粒子表面は、少なくともいくらかシリカが露出している領域を有するべきである。実際、顔料にシリカ被覆を形成する技術が文献に記述されているので(例えば、米国特許第3,639,133号を参照)、また、以下で説明するように、このような技術は、広範囲の材料にシリカ被覆を作製するのに容易に適合され得るので、本発明の方法は、まず、その上にシリカ被覆を設けることにより、それらの材料のいずれかを利用するように適合できることは、本発明の重要な利点の1つである。一旦、このシリカ被覆が塗布されると、使用される試薬がシリカ被覆だけを「見る」ので、このポリマー被覆粒子を形成する残りの工程は、本質的に同じであり、その結果、その化学処理工程は、本質的に、そのシリカ被覆の下にある顔料の化学的性質とは無関係である。
【0064】
既に指摘したように、本発明は、被覆がない粒子にシリカ被覆を形成する好ましい技術(これは、本発明のシリカ被覆工程と命名されている)を提供する。典型的には、従来技術の方法(例えば、前記米国特許第3,639,133号で記述されたもの)では、そのシリカ被覆顔料は、生成される反応混合物から分離され(この反応混合物は、約9.5〜10のpHを有する)、次いで、例えば、80℃で、洗浄され乾燥される。これにより、それらのシリカ被覆と共に融合された顔料粒子が得られる傾向にある。この融合または凝集により、苛酷な処理(例えば、摩擦、ボール粉砕または均質化)を使用することなく、この顔料をその一次微粒子形状に再分散するのが極めて困難となり、このような苛酷な処理は、このシリカ被覆を破砕し得、それにより、その顔料粒子上の反応性部位(ここで、ポリマー鎖が形成できる)の数を少なくする。
【0065】
現在、もし、このシリカ被覆の堆積が完成した後、そのシリカ被覆粒子を反応混合物から分離する前に、この反応混合物のpHが、約4より低くされ、好ましくは、約3にされるなら、これらの粒子が共に融合する傾向は、本質的に、なくなることが発見されている。必要なpH低下は、硫酸を使用して行なわれるのが好都合であるが、他の酸(例えば、硝酸、塩酸および過塩素酸)が、使用され得る。これらの粒子は、遠心分離により、この反応混合物から分離されるのが好都合である。この分離に続いて、これらの粒子を乾燥する必要はない。その代わりに、これらのシリカ被覆粒子は、これらの粒子にポリマーを形成する方法の次の工程で使用する媒体(典型的には、水性アルコール媒体)で容易に再分散できる。これにより、これらのシリカ被覆顔料粒子は、重合可能基または重合開始基を結合する工程を受けるにつれて、非凝集非融合形状で維持することが可能となり、それにより、その顔料粒子をこのような基で完全に被覆でき、また、そのシリカ被覆顔料から典型的には最終的に形成されるマイクロカプセル中で、顔料粒子の大きな凝集体が形成されるのを防止する。このシリカ被覆顔料を小さいマイクロカプセル(直径約100μm未満)中で使用するとき、このような凝集体の形成を防止することは、特に重要であり、このような小さいマイクロカプセルは、その電気泳動媒体の操作電圧および/または切替時間を減少させるので、望ましい。また、シリカ被覆顔料を形成する際に以前に使用されていた乾燥手順をなくすと、必要な処理時間が実質的に短くなる。
【0066】
暗色の電気泳動粒子を形成する現在好ましい材料には、カーボンブラック(例えば、Printex Aの商品名でDegussa AG,Dusseldorf,Germa
nyから市販されている材料)がある。
【0067】
(本発明の方法)
本発明の方法の種々の工程を詳細に説明する前に、このような方法の非常に多くの可能なバリエーションの要約を示す。
【0068】
本発明の第一方法(以下、本発明の「ランダムグラフト重合」法または「RGP」法と呼ぶ)では、図5Aで図示しているように、粒子500は、試薬502と反応され、これは、この粒子と反応して結合できる官能基504を有し、また、重合可能基(例えば、ペンダントビニル基または他のエチレン性不飽和基506)を備えている。(官能基504および以下で述べる他の官能基を示すために使用される形状は、関与する反応を説明し易くするように使用されているにすぎず、当然、これらの官能基の実際の物理的形状とは無関係である)。官能基504は、その粒子表面と反応し、粒子に結合した残基(これは、504’で示す)を残し、また、この粒子表面に共有結合した重合可能基506を残し、これは、次の重合反応に自由に関与する;事実上、完全に処理した粒子508は、重合可能「モノマー」となる。この重合可能基を備えている粒子508は、次いで、これらの粒子上の重合可能基506とモノマーまたはオリゴマーとの間で反応を起こすのに有効な条件下にて、1種またはそれ以上の重合可能モノマーまたはオリゴマーで処理される;このような条件には、もちろん、典型的には、重合開始剤の存在が挙げられるが、ある場合には、その重合は、開始剤なしで、熱的に開始され得る。図5Aで510で示すように、生じる重合反応は、ポリマー鎖を生成し、これは、その粒子に先に結合した重合可能基に由来の少なくとも1個の残基を含む;もし、通常の場合、この方法の第一工程にて、この粒子に、複数の重合可能基が結合するなら、これらの重合可能基の2個またはそれ以上の残基は、同じポリマー鎖に取り込まれ得、これは、それにより、2個またはそれ以上の点で、その粒子表面に結合される。
【0069】
これは、図6で図示されており、この図は、非常に概略的な様式で(実際、そのチタニア粒子は、そのポリマー鎖と比べて、ずっと大きく、また、図示したよりもずっと多くのポリマー鎖が、通常、単一粒子に結合される)、本発明により生成されるポリマー被覆粒子に典型的であると考えられている構造を示す。図6は、複数のポリマー鎖を備えた顔料粒子600を示し、これらのポリマー鎖には、鎖602(これらは、その末端の1つだけで、粒子600に結合されている)、鎖604(これらは、その末端の両方で、粒子600に結合されている)および鎖606(これは、両方の末端で遊離しているが、その末端から中間の複数の点で、粒子600に結合している)が挙げられる。ポリマーの合成では、他の種類のポリマー鎖が存在できることは、当業者に明らかである;例えば、ある鎖は、両端および1個またはそれ以上の中間点で粒子600に結合でき、または、ある鎖は、一端および1個またはそれ以上の中間点で粒子600に結合できるが、その反対の末端は、粒子600から離れている。複数の部位で結合したポリマー鎖が存在していると、電気泳動媒体で使用される粒子を安定化するのに特に有利であると考えられている(本発明は、この考え方には、決して限定されないものの)。また、図6で図示しているように、また、そのポリマー被覆顔料粒子での気体の吸収を測定することにより実験的に確認されるように、このポリマーは、粒子600の表面を完全には覆わないことに注目のこと。このポリマーによる顔料粒子の不完全な被覆は、良好な電気泳動特性を備えた粒子を提供する際に、重要であると考えられている(本発明は、この考え方には、決して限定されないものの)。
【0070】
このRGP法の第一段階では、この重合可能基は、共有結合により、この粒子に結合され得るものの、RGP法の別の異形(これは、以下、「イオンランダムグラフト重合」または「イオン−RGP」と呼ばれ得る)では、その重合可能基は、イオン結合を介して、この粒子に結合される。その粒子の化学的性質に依存して、ある場合には、この粒子に単にモノマーを反応して、必要なイオン結合を形成することが可能であり得る。しかしながら、殆どの場合、この粒子を二官能性試薬(図5Bでは、512)で前処理する必要があるが、この試薬は、1個の官能基504(これは、粒子500と反応して、そこに結合できる)および第二官能基514(これは、必要なイオン結合を形成できる)を有する。その後、得られる粒子516は、モノマー518(これは、重合可能基506および第三官能基520(これは、第二官能基514と反応できる)を有する)と反応されて、図5Bで522で示すように、所望のイオン結合を形成する。RGP法(図示した特定の反応に必要なエチレンは、説明を簡単にするために、図5Bでは省略している)の最終重合工程は、次いで、先に記述したように実行され、図5Bで524で示した生成物が生じる。このイオン結合形成反応は、典型的には、酸−塩基反応である;例えば、第二官能基514は、アンモニウム基(例えば、アルキル置換アンモニウム基)であり得、そして第三官能基520は、スルホン酸であり得、または、逆の場合も同じである。
【0071】
このイオン性RGP法は、最終粒子524中のイオン結合したポリマー鎖の一部が引き離されて電気泳動媒体の懸濁流体に分散できるという有利な点があり、それにより、荷電した電気泳動粒子に対する安定化した対イオンが得られる。事実上、このイオン結合ポリマーは、これらの電気泳動粒子用の安定化ポリマーおよび荷電制御剤の両方として、機能する。もし、反対電荷の二重粒子表示では、両方の種類の粒子は、イオン−RGP法で形成されたポリマー被覆、反対電荷のポリマー鎖を備えており、2種類の粒子の表面から離れる反対電荷のポリマー鎖は、その懸濁流体中で、互いに会合し、電気的に中和するはずであり、それにより、この電気泳動媒体に存在しているイオン種の数およびその背景導電性の望ましい低下が得られる。
【0072】
あるいは、重合を開始できる基は、まず、その顔料粒子に結合され得、この開始基から、ポリマーが形成される。この開始基は、先に記述した様式のいずれでも、共有結合またはイオン結合により、そのポリマー表面に結合され得る。例えば、本発明のさらに別の方法(これは、以下、「原子移動ラジカル重合」または「ATRP」法と呼び得る)は、原子移動ラジカル重合を使用する。この方法の第一段階では、図5Cで図示しているように、粒子500の表面は、二官能性試薬530で処理され、この試薬は、1個の官能基504(これは、その粒子表面と反応できる)および第二の基(これは、原子移動ラジカル重合(ATRP)用の開始部位を提供する)を有する。このATRP開始剤部位は、例えば、ベンジル塩素(図5Cで示している)または他のハロゲン原子であり得る。得られた粒子は、次いで、原子移動ラジカル可能モノマー532(図5Cでは、メタクリル酸メチルが示されている)で処理されて、534で示すように、その粒子表面で、ポリマーを形成する。ATRPは、第一モノマーとの重合反応が反応混合物を冷却することにより停止できるという有利な点があり、第一モノマーは、第二モノマーで置き換えられ、その後、この反応は、その反応混合物の温度を上げて第一モノマーの先に形成したポリマーの末端上に第二モノマーを重合させることにより、再び開始される。これらの工程は、もちろん、第三モノマーを導入して、繰り返され得る。この方法により、その粒子上にて、2種(またはそれ以上)のモノマーのブロックコポリマーが形成される。
【0073】
本発明の方法は、その粒子上でのATRP開始部位の使用には限定されず、他の種類の開始部位(例えば、イオンまたはフリーラジカル開始部位)の使用を含む。また、上記二官能性試薬は、単一のモノマー試薬である必要はなく、それ自体、ポリマー状であり得る。例えば、本発明の1方法では、シリカ/アルミナ被覆チタニア粒子は、そのチタニア粒子を、スチレン、クロロメチルスチレンおよびメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルターポリマーのテトラヒドロフラン(THF)溶液に懸濁することにより、そしてポリマーの溶解度を下げるためにヘキサンを加えることにより、このターポリマーで被覆される。このターポリマーを沈殿した後、これらの粒子は、そのポリマー上のトリヒドロキシシリル基(この形状に予め加水分解したトリメチルシリル基)とシラノール基(これらは、常に、シリカ被覆チタニア粒子上に存在している)との間で縮合を引き起こすのに有効な条件に曝され、それにより、このポリマーを粒子表面に共有結合する。以下の実施例で図示しているように、この縮合は、室温で約24時間乾燥する程度に穏やかな条件下または1〜2時間にわたって60℃まで加熱する条件下にて、行うことができる。結合したポリマー中のクロロメチルスチレン残基は、次いで、これらの粒子上に追加ポリマーを形成するATRP開始部位として、働くことができる。
【0074】
本発明の方法は、1段階より多い段階および/または1種類より多い重合を含み得る。例えば、本発明の方法の1つの異型(これは、以下、「RGP−ATRP」法と呼び得る)では、この粒子は、まず、上記RGP法にかけられるが、但し、少なくとも1種のモノマー(例えば、クロロメチルスチレン)を含むモノマーの混合物が使用され、これは、ATRP用の開始部位を提供する基を含有する。それゆえ、この粒子では、ATRP開始部位を含有するポリマー鎖が形成される。このRGP重合が完結した後、この粒子は、次いで、ATRPにかけられ、その結果、そのATRP開始部位からポリマー側鎖が形成され、それにより、主鎖(これは、RGP法から形成される)および側鎖(これは、ATRPにより形成される)を有する「ハイパー分枝」ポリマーが生成する。この種のポリマー構造は、非イオン性媒体(これは、典型的には、電気泳動表示装置にて、懸濁流体として使用される)中の電気泳動粒子の懸濁液を安定化する際に、非常に有利である。類似の種類のハイパー分枝ポリマーは、RGP工程で使用されたモノマーの混合物に、安定フリーラジカル重合(SFRP)用の開始基を含有するモノマーを含めることにより生成でき、SFRP開始基は、RGP工程で使用される条件下にて、本質的に、重合を開始しないように、選択される。RGP工程が完結した後、これらの粒子は、次いで、SFRPにかけられ、このハイパー分枝ポリマーを生成する。
【0075】
(重合可能基および開始剤の結合)
本発明の方法では、重合可能基および開始剤は、任意の二官能性試薬を使用して、これらの粒子の表面に結合され得、この試薬は、1個の基(これは、この表面に共有結合またはイオン結合できる)および第二の基(これは、必要な重合可能官能性または開始官能性を与える)を有する。これらの2個の基が独立して機能することは、本発明を任意の種類の粒子に適用する際に、融通性が高くなるという有利な点がある。何故なら、これらの方法を異なる種類の粒子に適用するために、同じ重合可能官能性または開始官能性を保ちつつ、その粒子表面に結合する基をいかにして変えるかは、通常、化学当業者に容易に明らかとなり、その結果、これらの方法の後期は、被覆する粒子の種類を変える結果として、殆ど(もしあれば)変化を必要としないからである。
【0076】
所望の重合可能性を与えるのに使用される試薬を記述する際に、または「二官能性」として官能性を開始する際に、本発明者は、これらの試薬が各種類の基を1個より多く含有し得る可能性を排除するが、実際、ある場合には、1種類または両方の種類の基を1個より多く提供することが望まれ得る。例えば、1個より多いイオン性部位を有する重合開始剤(例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸))が知られており、このような開始剤は、本発明の方法で使用され得る。また、先に述べたように、この二官能性試薬は、繰り返し単位(これは、その粒子表面に結合する性能を有する)および他の繰り返し単位(これは、所望の重合可能官能性または開始官能性を有する)を含有するポリマーの形状を有し得、このようなポリマー二官能性試薬は、通常、両方の種類の複数の繰り返し単位を含有する。
【0077】
チタニアおよび類似のシリカ被覆顔料を結合するのに好ましい種類の官能基には、シランカップリング基(特に、トリアルコキシシランカップリング基)がある。チタニアおよび類似の顔料に重合可能基を結合するのに特に好ましい1試薬には、前記メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルがあり、これは、Z6030の商品名で、Dow Chemical Company,Wilmington,Delawareから市販されている。対応するアクリレートもまた、使用され得る。
【0078】
チタニア(または類似のシリカ被覆)粒子がイオン性RGP法で使用されるとき、この粒子は、まず、塩基性基(好ましくは、置換アンモニウム基)を含有するシランカップリング剤で処理され、それにより、粒子表面にアミノ基を提供することが好ましい。得られたアミノ官能性粒子は、次いで、好ましくは、所望の重合可能基を含有する酸で処理され、これは、それにより、この粒子表面にイオン的に結合される。例えば、前記シリカ/アルミナ被覆チタニアR960は、このシランカップリング剤であるN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドと反応されて、その表面に四級アンモニウム基を共有結合した顔料が得られる。このアミノ官能化顔料は、次いで、4−スチレンスルホン酸クロライド二水和物で、水に分散され、そして沈殿されて、これらの四級アンモニウム基とイオン的に会合したスチレン官能性を有する顔料が得られる。
【0079】
同様に、被覆チタニア表面に開始基を結合するのが望ましいとき、その表面は、まず、既に述べた様式で、アミノ官能性を備え付けられ得、次いで、試薬(例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(これは、酸性基および開始基の両方を含有する))は、この開始基をその粒子表面にイオン的に結合するのに使用され得る。
【0080】
カーボンブラックを結合するのに好ましい基は、ジアゾニウム基である;有機化学者に周知であるように、このような基は、通常、芳香族アミンをニトリルと反応させることにより、インサイチュで形成される。Cabot Corporation,Boston,Massachusettsの一連の特許および公開出願は、広範囲の官能基をカーボンブラックに結合するために、ジアゾニウムの化学的性質を使用することを記述している;例えば、米国特許第5,554,739号;第5,672,198号;第5,698,016号;第5,707,432号;第5,713,988号;第5,851,280号;第5,885,335号;第5,895,522号;第5,968,243号;第6,068,688号;および第6,103,380号、および国際出願第WO96/18695号;第WO99/51690号;第WO00/05312号;および第WO00/22051号を参照。この化学的性質はまた、他の顔料にも拡大されている;例えば、米国特許第5,837,045号;第5,922,118号;および第5,958,999号、および国際出願第WO00/52102号および第WO00/53681号を参照。本発明の方法でカーボンブラックを使用するのに好ましいアミンには、アニリン誘導体(特に、アニリンのパラ誘導体)がある。例えば、カーボンブラックにビニル基を結合するのに好ましい試薬には、4−ビニルアニリンがある。
【0081】
この現象の理由は、完全には理解されていないものの、その二官能性試薬が粒子表面に結合する条件は、最終電気泳動粒子の特性に影響を与え得ることが観察されている。例えば、被覆したチタニア粒子は、酸性条件および塩基性条件の両方の条件下にて、シランカップリング剤と反応できる。しかしながら、その初期シランカップリング反応にこのような条件を使うと、これらの最終ポリマー被覆チタニア粒子は、一貫して、多くの電荷制御剤で、負に荷電することが発見されているので、酸性条件が好ましい。しかしながら、もし、この初期シランカップリング反応に、塩基性条件を使用するなら、その最終ポリマー被覆チタニア粒子は、両方の粒子で荷電し得、これは、これらの粒子が電気泳動表示装置で使用されるとき、非常に望ましい。
【0082】
本発明の方法で使用される重合可能基および開始基は、当該技術分野で公知のいずれかであり得るが、但し、もちろん、その関連基は、その粒子表面に結合するのに使用される反応と適合性である。本発明は、例えば、その粒子表面に結合した後に保護基を除去することにより、この重合可能基または開始基が化学変性にかけられる方法に拡大する。もし、例えば、特定の重合に対して、その粒子表面にカルボン酸基が存在していることが必要なら、使用される二官能性基は、この基をエステル形状で含有し得、その基は、この粒子表面に結合した後、脱エステル化される。(本発明のイオン性RGP法において、重合可能基にイオン結合する表面を調製するとき、類似の手順が使用され得る。例えば、シリカ/アルミナ被覆チタニア粒子は、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルおよびアクリル酸t−ブチルのコポリマーで処理され得、それにより、それらのシリル基は、この粒子表面に結合され、エステル化されたアクリレート基が露出したまま残る。この粒子は、次いで、酢酸で処理されて、これらのエステル化アクリレート基を遊離アクリル酸基に変換する。この粒子をメタクリル酸ジメチルアミノエチルで引き続いて反応すると、酸/塩基反応が起こり、これらのメタクリレート基を粒子にイオン的に結合し、この場合、それらは、RGP法で使用する重合可能基として、働く。同様に、ATRP用の開始剤として働くように、その粒子表面にクロロアルキル基を結合するのが望ましいとき、使用される二官能性試薬は、対応するヒドロキシアルキル基を含有し得、これは、塩素化試薬(例えば、塩化チオニル)との反応により、所望のクロロアルキル基に変換できる。
【0083】
本発明の方法で好ましい重合可能基は、エチレン性不飽和基(特に、ビニル基、アクリレート基およびメタクリレート基)である。ATRPに好ましい開始基は、ハロアルキル基、望ましくは、クロロアルキル基、最も望ましくは、クロロメチル基である。使用され得るフリーラジカル重合開始基には、[10−(t−ブチルジオキシ)デシル]トリメチル−アンモニウムブロマイド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリルおよび4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)から誘導したものが挙げられる。
【0084】
その粒子に重合可能官能性または開始官能性を与えるように二官能性試薬を選択するとき、この試薬内の2個の基の相対的な位置に留意するべきである。ポリマー製造の当業者に明らかなように、粒子に結合される重合可能基または開始基の反応速度は、その基が粒子表面の近くに強固に保持されているかどうか、またはこの基がその表面から(原子スケールで)間隔を置いて配置されていて、それにより、この粒子を取り囲む反応媒体に伸長できるかどうかに依存して、変わり得、これは、この基の化学反応には、ずっと好ましい環境である。一般に、2個の官能基間の直接鎖には、少なくとも3個の原子が存在しているのが好ましい;例えば、前記メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルは、そのシリル基とエチレン性不飽和基との間で、4個の炭素原子および1個の酸素原子を有する鎖を提供するのに対して、前記4−ビニルアニリンは、ベンゼン環の全幅(これは、3炭素鎖の長さにほぼ等しい)だけ、そのビニル基からアミノ基(または実際の反応形状では、ジアゾニウム基)を分離する。
【0085】
(ポリマー構造およびポリマー形成方法)
これらの電気泳動粒子でポリマーを形成する本発明の好ましい方法を詳細に述べる前に、まず、このような粒子が何故有利であるかの基本的な理由を繰り返して言っておくのが適切である。電気泳動粒子でポリマーを提供する基本的な理由は、その懸濁流体中の粒子懸濁液の安定性を高めること、および粒子の電気泳動特性を安定化させることにある。これらの目的のために、このポリマーは、この懸濁媒体と高度に適合性であること、および周囲の状態が変わるにつれて粒子上の電荷を安定化するのを助けることが望ましい。
【0086】
実際、電気泳動媒体中の懸濁流体は、通常、炭化水素ベースであるが、この流体は、一定割合の含ハロゲン炭素化合物を含有でき、これは、その流体の密度を高めて、それにより、この流体の密度と粒子の密度との間の差を小さくするのに使用される。従って、本発明の方法で形成された重合体がその炭化水素懸濁流体に非常に適合性であること、それゆえ、この重合体自体が主要割合の炭化水素鎖を含有することは、重要である;荷電目的で提供された基を除いて、以下で述べるように、多数の強力なイオン性基は、その重合体を炭化水素懸濁流体に溶解しにくくして粒子分散体の安定性に悪影響を与えるので、望ましくない。また、既に述べたように、少なくとも、これらの粒子を使用する媒体が脂肪族炭化水素懸濁流体(この場合が一般的である)であるとき、この重合体は、分枝または「ブラシ」構造を有するのが有利であり、これは、主鎖および複数の側鎖(これらは、この主鎖から離れて伸長している)を備えている。これらの側鎖の各々は、少なくとも約4個、好ましくは、少なくとも約6個の炭素原子を有するべきである。相当に長い側鎖は、有利であり得る;例えば、以下の実施例で説明する好ましい重合体の一部は、ラウリル(C12)側鎖を有する。これらの側鎖は、それ自体、分枝され得る;例えば、各側鎖は、分枝アルキル基(例えば、2−エチルヘキシル基)であり得る。この炭化水素ベースの懸濁流体に対して炭化水素鎖の親和性が高いために、この重合体の分枝は、多量の液体によって、ブラシまたは樹木状の構造で互いから展開され、それにより、この懸濁流体に対する粒子の親和性および粒子分散体の安定性を高めると考えられている(本発明は、この考え方には、決して限定されないものの)。
【0087】
このようなブラシ重合体を形成するには、2つの基本的な方法がある。第一の方法は、必要な側鎖を固有に与える単量体を使用する。典型的には、このような単量体は、長鎖(少なくとも4個の炭素原子、好ましくは、少なくとも6個の炭素原子)の一端で、単一の重合可能基を有する。本発明の方法で良好な結果を生じることが分かったこの種の単量体には、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびメタクリル酸ラウリルが挙げられる。メタクリル酸イソブチルおよびアクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルもまた、うまく使用されている。ある場合には、このような方法で形成される側鎖の数を限定することが望まれ得、これは、その繰り返し単位の一部だけが長い側鎖を有するランダム共重合体を形成するために、単量体の混合物(例えば、メタクリル酸ラウリルおよびメタクリル酸メチルの混合物)を使用することにより、達成できる。第二の方法(これは、既に記述した本発明のRGP−ATRP法により、代表される)では、第一重合反応は、単量体の混合物を使用して実行され、これらの単量体の少なくとも1個は、開始基を有し、それにより、このような開始基を含有する第一重合体を生じる。この第一重合反応の生成物は、次いで、重合体内のその開始基によって、最初の重合体上に追加単量体を重合させるために、典型的には、第一重合とは異なる条件下にて、第二重合にかけられ、それにより、所望の側鎖が形成される。上述の二官能性試薬と同様に、本発明者は、2つの重合間で開始基の何らかの化学変性が起こり得る可能性を排除しない。このような方法では、これらの側鎖自体は、大きく分枝される必要はなく、小さい単量体(例えば、メタクリル酸メチル)から形成できる。
【0088】
本発明の方法(ここで、1つの試薬は、(典型的には、1μm程度またはそれ以上の直径の)「巨視的(macroscopic)」粒子であり、これは、単一分子よりもむしろ、複数の重合可能基または開始基を有する)で使用される重合の独特の性質にもかかわらず、これらの重合方法は、通常の技術を使用して、実行できる。例えば、Wang,J.S.ら、Macromolecules 1995,23,7901、およびJ.Am.Chem.Soc.1995,117,5614、およびBeers,K.ら、Macromolecules 1999,32,5772〜5776で記述されているように、粒子に結合したエチレン性基または類似のラジカル重合可能基のフリーラジカル重合は、通常のフリーラジカル開始剤(例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN))を使用して行われ得るのに対して、ATRP重合は、通常の金属錯体を使用して、行うことができる。また、米国特許第5,763,548号;第5,789,487号;第5,807,937号;第5,945,491号;第4,986,015号;第6,069,205号;第6,071,980号;第6,111,022号;第6,121,371号;第6,124,411号;第6,137,012号;第6,153,705号;第6,162,882号;第6,191,225号;および第6,197,883号を参照。これらの論文および特許の全内容は、本明細書中で参考として援用されている。ATRPを実行するのに現在好ましい触媒は、ビピリジル(Bpy)の存在下での塩化第一銅である。
【0089】
重合可能基を有する粒子が開始剤の存在下にて単量体と反応される本発明のRGP法は、必然的に、その反応混合物中の単量体が重合されるにつれて、一部、粒子に結合していない「遊離」重合体の形成を引き起こす。未結合重合体は、これらの粒子をその未結合重合体が溶解性の溶媒(典型的には、炭化水素)で繰り返し洗浄することにより、または(少なくとも、金属酸化物または他の緻密な粒子の場合)、(溶媒または希釈剤を予め加えるか加えずに)、この反応混合物から処理済粒子を遠心分離で除くことにより、これらの粒子を新しい溶媒で再分散することにより、そして未結合重合体の割合が許容できるレベルに低下するまでこれらの工程を繰り返すことにより、除去され得る。(未結合重合体の割合の減少に続いて、その重合体の試料が熱重量分析できる)。実験的に、未結合重合体が1重量%程度の僅かな割合で存在していても、処理済粒子の電気泳動特性に対して、重大な悪影響を及ぼすとは思われない;実際、ある場合には、その未結合重合体および懸濁流体の化学的性質に依存して、重合体被覆粒子を電気泳動表示装置で使用する前に、これらの粒子を未結合重合体から分離する必要がなくても良い。
【0090】
既に述べたように、電気泳動粒子で形成する重合体の量の最適な範囲が存在していること、およびこれらの粒子で過剰な量の重合体を形成すると、それらの電気泳動特性を低下し得ることが発見されている。この最適な範囲は、多数の要因と共に変わり、これには、被覆される粒子の密度および大きさ、これらの粒子をその中で使用するつもりの懸濁媒体の性質、および粒子で形成される重合体の性質が挙げられ、任意の特定の粒子、重合体および懸濁媒体については、その最適な範囲は、実験的に決定するのが最良である。しかしながら、一般的な指針によって、この粒子が密になるほど、その粒子の重合体の最適な割合(重量基準)が低くなるほど、また、その粒子が細かく分割されるほど、重合体の最適な割合が高くなることが注目されるべきである。一般に、これらの粒子は、少なくとも約2重量%、望ましくは、少なくとも約4重量%の重合体で被覆するべきである。大ていの場合、重合体の最適な割合は、この粒子の約4重量%〜約15重量%、典型的には、約6重量%〜約15重量%、最も望ましくは、約8重量%〜約12重量%の範囲である。さらに具体的には、チタニア粒子の場合、重合体の現在の好ましい範囲は、このチタニアの約8重量%〜約12重量%である。
【0091】
重合体の最適な割合に関して、カーボンブラックは、特殊な場合である傾向がある。カーボンブラックは、密度が低く、(少なくとも、その市販形状では)その材料の分割状況を平均粒径ではなくそれが標準化条件下にて種々の気体または液体を吸収する性能により特徴付けるのが一般的であるので、非常に細かく分割されている。それゆえ、カーボンブラック上の重合体の最適な量は、殆どの他の顔料上のものよりも実質的に高くされ得る。本発明者は、一般に、カーボンブラック上で、約6重量%〜約14重量%、望ましくは、約8重量%〜約12重量%の重合体を提供するのが好ましいものの、ある状況では、カーボンブラックは、約20重量%まで、または約25重量%の重合体と共に、提供され得る。
【0092】
本発明の方法により粒子上で形成される重合体は、荷電基または荷電可能基が電気泳動粒子上の電荷を制御する際に有用であるので、このような基を含有するのが好ましい。従来、これらの電気泳動粒子上の電荷は、通常、その電気泳動媒体に電荷制御剤(これは、典型的には、これらの粒子上に吸収してその上の電荷を変える界面活性剤である)を加えることにより、制御されていた。電荷制御剤は、しばしば、あまり理解されておらず管理されていない方法により、これらの粒子を充電し、この電気泳動媒体の導電性を望ましくない程に高くし得る。また、この電荷制御剤は、これらの粒子に物理的に吸着されるにすぎず、そこに結合されていないので、状態の変化により、この電荷制御剤は、これらの粒子から部分的または完全に脱離し得、結果的に、これらの粒子の電気泳動特性が変化して、望ましくない。脱離した電荷制御剤は、この電気泳動媒体中の他の表面に再吸収し得、このような再吸収は、別の問題を引き起こすおそれがある。電荷制御剤の使用は、二重粒子電気泳動媒体で特に困難であり、この場合、電荷制御剤は、1種類または両方の種類の電気泳動粒子の表面に吸着され得る。実際、本発明者は、二重粒子電気泳動媒体(これは、2種の粒子が反対極性の電荷を有する種類のものであると意図される)に電荷制御剤を加えると、正に荷電される種類の粒子および負に荷電する同じ種類の他の粒子が得られ、それにより、この媒体は、その使用目的に実質的に無用となる場合を認めている。カプセル化した二重粒子電気泳動媒体の場合、また、この電荷制御剤は、そのカプセル壁に吸着することが可能である。結合した重合体内に荷電基を設けると、これらの荷電基は、その粒子上に固定されたままとなり、(その重合体鎖自体が、既に述べたように、脱離できないのでなければ)、本質的に、脱離する傾向はないことを保証する。
【0093】
その顔料粒子に結合した重合体内の荷電基または荷電可能基を取り込む代わりに、またはそれに加えて、荷電基または荷電可能基は、重合体に取り込まれることなく、この顔料粒子に直接的に設けられ得るものの、殆どの場合には、これらの荷電基または荷電可能基に加えて、その粒子表面に重合体を設けるのが望ましい。
【0094】
荷電基または荷電可能基は、その顔料に重合可能官能性または開始官能性を与えるのに使用される二官能性試薬により、または重合体鎖を形成するのに使用される1種またはそれ以上の単量体により、いずれかによって、この重合体に取り込まれ得る。例えば、もし、チタニアに塩基性基(これは、その粒子上に正電荷基を提供するために、プロトン化できる)を提供することが望ましいなら、前記メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル二官能性試薬は、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミンで置き換えられ得、これは、シリカ/アルミナ被覆チタニア粒子および重合可能ウチレン基を反応できるシリル基を提供するだけでなく、正電荷粒子を生じるようにプロトン化できる2個の第二級アミノ基を提供する。他方、もし、荷電基または荷電可能基が単量体によって提供されるなら、酸性基および塩基性基を含有する種々のアクリレートおよびメタクリレートは、重合可能基および塩基性基または酸性基を含有する種々の他の単量体(例えば、4−ビニルピリジン)と同様に、利用できる。他の状況で先に述べたように、使用する単量体中で、「ブロック」形態で、この酸性基または塩基性基を提供すること、およびその重合体を形成した後にこの基を脱ブロックすることが望まれ得る。例えば、ATRPは、酸の存在下では開始できないので、もし、この重合体内に酸性基を設けるのが望ましいなら、アクリル酸t−ブチルまたはメタクリル酸イソボルニルのようなエステルが使用され得、その最終重合体中でのこれらの単量体の残基は、加水分解されて、アクリル酸残基またはメタクリル酸残基を提供する。
【0095】
これらの顔料粒子およびその粒子に別々に結合した重合体上で荷電基または荷電可能基を生じることが望ましいとき、これらの粒子を、(何らかの前処理(例えば、シリカ被覆)をした後)、2種の試薬の混合物で処理することが好都合であり得、これらの試薬の一方は、この荷電基または荷電可能基(または最終的に処理されて所望の荷電基または荷電可能基を生じる基)を備え、また、その他方は、重合可能基または重合開始基を備える。望ましくは、これらの2種の試薬は、同じまたは実質的に同じ官能基を有し、これは、粒子の表面と反応し、もし、反応条件の僅かな変化が起こったなら、これらの試薬が粒子と反応する相対速度が類似の様式で変わるように、その粒子表面と反応し、また、荷電基および荷電可能基の数と、重合可能基または重合開始基の数との間の比は、実質的に一定のままとなる。この比は、この混合物中で使用される2種(またはそれ以上の)試薬の相対モル量を変えることにより、変えられ制御できることが分かる。荷電可能部位を与えるが重合可能基または重合開始基を提供しない試薬の例には、3−(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンおよび1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素が挙げられる;これらの全てのシラン試薬は、United Chemical Technologies,Inc.,Bristol,PA,19007から購入できる。既に述べたように、重合可能基を与えるが荷電基または荷電可能基を提供しない試薬の一例には、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルがある。
【0096】
本発明のATRP方法の好ましい1実施形態では、第一ATRP工程は、最終重合体中で最終的に酸性基、塩基性基または他のイオン性基を与える単量体を使用して、行われる;この単量体は、単独で、またはその重合体内で中性残基を与える単量体と混合して、使用され得る。例えば、この第一ATRP工程は、4−ビニルピリジン、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルまたはメタクリル酸t−ブチルを使って、実行され得る。その後、疎水性で中性の重合体ブロック(これは、炭化水素懸濁流体に対して高い親和性を有し、それにより、その内部荷電粒子/重合体ブロックを立体的に安定化する)を生成するために、中性単量体を使用して、第二ATRP工程が行われる。明らかに、ATRP以外の重合技術を使用して、類似の二重被覆粒子が生成できる。
【0097】
本発明により提供される重合体被覆粒子は、以前に記述された種類の電気泳動表示装置(すなわち、単一粒子、反対電荷二重粒子、同極性二重粒子および重合体分散)の全ての利点を伴って、使用され得る。しかしながら、本発明の粒子は、反対電荷二重粒子電気泳動表示装置で特に有用である。これらの電気泳動表示装置は、既に述べたように、生来的に、反対極性の2種類の粒子が互いに向かって引き付けられ、それにより、凝集体(これらは、この表示装置の電気泳動操作を妨害し得る)を形成する傾向が高いので、安定化するのが特に困難である。
【0098】
本発明により提供される重合体被覆顔料はまた、電気泳動表示装置以外の用途で使用され得る。例えば、本発明の顔料上の重合体被覆により得られる炭化水素材料の高い親和性により、これらの顔料は、高分子マトリックスおよびゴムマトリックス(ここでは、これらの顔料は、類似の未被覆顔料よりも容易に分散性であるはずである)で使用するのが有利となるはずである。本発明の方法により提供される重合体被覆の化学的性質に融通がきくことから、その被覆は、任意の特定のマトリックス中にて、最大の分散性が得られるように「調整」できるようになる。それゆえ、本発明の顔料は、簡単に分散できる顔料または反応性押出化合物として、使用され得る。さらに、本発明の粒子上の重合体被覆は、このような顔料/重合体またはゴムブレンドが粒子とマトリックス材料との間の界面で剪断または破砕する傾向を少なくすることにより、このようなブレンドの機械的性質を向上させるはずである。もし、これらの重合体被覆粒子が、(上述のように)、それらの粒子に結合していない「遊離」重合体と混合して重合体被覆粒子を生成する方法により、生成されるなら、多くの場合、その遊離重合体が重合体マトリックスまたはゴムマトリックス内で害を及ぼすことなく分散するので、そのマトリックスに粒子を分散する前に、これらの被覆粒子をこれらの遊離重合体から分離する必要はない。
【0099】
これらの顔料粒子に重合体を設けることとは別に、本発明の電気泳動媒体は、前記Massachusetts Institute of Technology and E Ink Corporationの特許および出願(読者は、そこから、さらに多くの情報を参照できる)と同じ成分および製造技術を使用し得る。
【0100】
さて、本発明の電気泳動媒体および表示装置で使用される特に好ましい試薬、条件および技術の詳細を示すために、以下の実施例を示すが、これらは、例としてのみ、示されている。言及した全ての遠心分離は、Beckman GS−6またはAllegra 6遠心分離機(これは、Beckman Coulter,Inc.,Fullerton,CA 92834から入手できる)で、実行した。
【実施例】
【0101】
(実施例1)
本実施例は、種々の型の顔料粒子上でシリカ被覆を設けることを説明する。使用する手順は、米国特許第3,639,133号から適合される。
【0102】
酸化第二鉄(Fe、50g)をケイ酸ナトリウム溶液(1.9%水酸化ナトリウムとの0.073M溶液430ml)に入れ、得られた混合物を急速に攪拌し、次いで、30〜35℃で、超音波処理した。次いで、その懸濁液を、1時間にわたって、90〜95℃まで加熱し、攪拌しながら、2.5〜3時間にわたって、硫酸(0.22M溶液150ml)および追加ケイ酸ナトリウム(0.2%水酸化ナトリウムとの0.83M溶液75ml)を同時に加えた。これらの添加が完了した後、その反応混合物をさらに15分間攪拌し、次いで、室温まで冷却し、プラスチックボトルに加え、そして3500rpmで、15分間遠心分離した。その上澄み液をデカントし、そのシリカ被覆顔料を脱イオン水に再分散して、3500rpmで、15分間遠心分離した。その洗浄をさらに2回繰り返し、この顔料を、最後に、オーブン中にて、85℃で、2時間乾燥した。
【0103】
(実施例2)
本実施例は、本発明のRGP法の第一段階にて二官能性試薬を使って実施例1で調製したシリカ被覆顔料の反応を説明する。
【0104】
エタノール(500ml)および水(50ml)の混合物に、そのpHが9.0〜9.5に達するまで、濃水酸化アンモニウムを加え、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン塩酸塩(40重量%メタノール溶液40g)を加え、得られた溶液を、4分間にわたって、急速に攪拌した。次いで、実施例1で調製したシリカ被覆酸化第二鉄(25g)を加え、その混合物を、7分間にわたって、急速に攪拌した。得られた懸濁液をプラスチックボトルに注ぎ、そして3500rpmで、30分間遠心分離した。その上澄み液をデカントし、そのシラン処理顔料をエタノールに再分散して、3500rpmで、30分間遠心分離し、液体をデカントした。その洗浄をさらに繰り返し、この顔料を、最後に、空気中にて、18時間乾燥し、次いで、減圧下にて、70℃で、2時間乾燥した。
【0105】
酸化第二クロム(Cr)、アルミン酸コバルト(CoAl)、クロム酸コバルト(CoCr)、クロム酸銅(CuCr)、鉄酸亜鉛(ZnFe)、アルミン酸ニッケル(NiAl)、アルミン酸亜鉛(ZnAl)、クロム酸鉛(PbCr)、チタン酸コバルト(CoTiO)、二酸化アンチモン(SbO)、二酸化ニッケル(NiO)および酸化モリブデン(II)(MoO)を使って、実施例1および2で記述した手順をうまく繰り返した。
【0106】
(実施例3)
本実施例は、実施例2で生成したシラン処理顔料を電気泳動表示装置で有用な重合体被覆顔料に変換することを説明する。
【0107】
実施例2で生成したシラン処理顔料(50g)を、トルエン(50g)およびメタクリル酸2−エチルヘキシル(50g)と共に、丸底フラスコに入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下(代わりに、アルゴンを使用してもよい)にて、20分間にわたって、急速に攪拌し、次いで、50℃までゆっくりと加熱し、AIBN(トルエン10ml中で0.5g)を素早く加えた。次いで、その懸濁液を65℃まで加熱し、この温度で、窒素下にて、さらに18時間攪拌した。得られた粘稠な懸濁液をプラスチックボトルに注ぎ、そのフラスコを酢酸エチルで洗浄して、残留生成物を除去し、その酢酸エチル溶液をこのボトルに加えた。これらのボトルを、3500rpmで、30分間遠心分離した。その上澄み液をデカントし、その重合体被覆顔料を酢酸エチルに再分散して、3500rpmで、30分間遠心分離し、液体をデカントした。その洗浄を繰り返し、この顔料を、空気中にて、加工可能粉末が得られるまで乾燥し、次いで、減圧下にて、65℃で、6〜18時間乾燥した。
【0108】
(実施例4)
本実施例は、重合体二官能性試薬を使用してATRP開始基を顔料に結合する本発明のATRP法を説明する。
【0109】
丸底フラスコに、スチレン(80g)、p−クロロメチルスチレン(15g)、メタクリル酸トリメトキシシリル(23g)、AIBN(6.3g)およびトルエン(94g)を加えることにより、三元共重合体を調製した。これを次いで、約45分間窒素でパージした。このフラスコを60℃まで加熱し、この温度で、約18時間維持した。熱重量分析により、得られた溶液は、約40重量%の重合体を含有していることが明らかとなった。
【0110】
アリコート(12g;これは、約4.8gの三元共重合体に等しい)をTHF(100ml)に加え、次いで、その溶液に、シリカ被覆チタニア(20gのdu Pont R960)を加え、その混合物を、5分間超音波処理し、次いで、激しく攪拌した。ヘキサン(500ml)を加え、その攪拌を停止し、そうするとすぐ、そのチタニアが直ちに沈降した。次いで、この混合物を、5000rpmで、5分間遠心分離し、その液体をデカントし、処理した顔料を、室温で、一晩放置して乾燥し、そして硬化した(すなわち、この重合体のシリル基と、完成する顔料のシリカ表面との間の反応)。熱重量分析により、この顔料には、約3重量%の重合体が結合したことが明らかとなった。
【0111】
そのように生成した重合体処理顔料を、以下のようにして、ATRPにかけた。この顔料のアリコート(5.0g;これは、クロロメチルスチレン(ATRP開始剤)0.09mmoleに等しい)、塩化第一銅(11mg、11mmole)、ビピリジル(45mg、0.29mmole)およびメタクリル酸メチル(10ml、94mmole)をフラスコに入れ、そして30分間にわたって、窒素でパージした。次いで、このフラスコを、120〜130℃で、約4時間にわたって、浴に入れた。追加メタクリル酸メチル(5ml)を加え、そのフラスコを、15分間にわたって、窒素でパージし、このフラスコを、120〜130℃で、さらに2時間にわたって、浴に戻し、最後に、冷却させた。メタノール(400ml)を加えると、この重合体被覆顔料が沈殿し、液体をデカントし、その顔料を、メタノール(200ml)で1回、そしてジクロロメタン(各200ml)で2回洗浄し、そして室温で、一晩乾燥した。熱重量分析により、その最終重合体は、約13.1重量%の重合体を含有していることが明らかとなり、その結果、このATRPは、その三元共重合体処理顔料に、約10.1重量%の重合体を加えた。
【0112】
(実施例5)
本実施例は、カーボンブラックから開始する本発明のRPG法を説明する。
【0113】
(A部:ラジカルグラフト基を粒子表面に結合した黒色顔料の調製)
カーボンブラック(Printex A、140g)を、電磁攪拌しつつ、水(3L)に分散し、次いで、塩酸(37重量%を6mL)および4−ビニルアニリン(3.0g、25mmole)を加え、得られた混合物を40℃まで加熱した。別に、亜硝酸ナトリウム(1.74g、25mmole)を、水(10ml)に溶解した。次いで、この亜硝酸塩溶液を、10分間にわたって、このカーボンブラック含有反応混合物にゆっくりと加え、その反応混合物を、さらに16時間攪拌した。得られた生成物を遠心分離し、生成した固形物をアセトン(200ml)でリンスした。このリンスを繰り返し、その固形物を、減圧下にて、12時間乾燥して、所望生成物141gを生成した。この生成物の熱重量分析により、1.4重量%の重量損失が明らかとなった。
【0114】
(B部:重合体被覆黒色顔料の調製)
窒素パージ装置、電磁攪拌棒および還流カラムを取り付けた反応フラスコに、上記A部の生成物(20g)、トルエン(40ml)、アクリル酸2−エチルヘキシル(40ml)およびAIBN(0.26g)を加えた。このフラスコを、攪拌しながら、20分間にわたって、窒素でパージし、次いで、室温油浴に浸け、連続攪拌しつつ、70℃まで徐々に加熱し、この温度で、20時間維持した。次いで、その反応混合物を冷却させ、等容量のアセトンで希釈し、そして遠心分離した。その上澄み液をデカントし、その固形物をTHF(酢酸エチルを交互に使用し得る)に再分散して、リンスした;熱重量分析により一貫して8.9重量%の熱損失が明らかとなるまで、この工程を繰り返した。約20gの最終生成物を単離した。
【0115】
(実施例6)
本実施例は、チタニアから開始する本発明のRGP法を説明する。
【0116】
(A部:ラジカルグラフト基を粒子表面に結合した白色顔料の調製)
95:5の容量/容量のエタノール−水混合物(2L)に、メタクリル酸3−(トリメトキシ−シリル)プロピル(Dow Z6030、20ml)を加え、その溶液のpHを、酢酸の添加により、直ちに4.5に調整した。得られた溶液を5分間攪拌し、次いで、シリカ被覆チタニア(100gのdu Pont R960)を加え、その混合物を、さらに10〜20分間攪拌し、固形物を沈降させ、その上澄み液をデカントした。得られた固形物をアセトン(2×200mlのアリコート)で2回洗浄し、そして室温で、一晩乾燥した。
【0117】
(B部:重合体被覆白色顔料の調製)
窒素パージ装置、電磁攪拌棒および還流カラムを取り付けた反応フラスコに、上記A部の生成物(40g)、トルエン(50ml)、アクリル酸2−エチルヘキシル(45ml)およびAIBN(0.3g)を加えた。このフラスコを、攪拌しながら、20分間にわたって、窒素でパージし、次いで、室温油浴に浸け、連続攪拌しつつ、70℃まで徐々に加熱し、この温度で、20時間維持した。次いで、その反応混合物を冷却させ、等容量のアセトンで希釈し、そして遠心分離した。その上澄み液をデカントし、その固形物をアセトンまたはTHFに再分散して、リンスした;熱重量分析により4.5〜10重量%の範囲の一貫した質量損失が示されるまで、この工程を繰り返した。約40gの最終生成物を単離した。
【0118】
等モル量のメタクリル酸2−エチルヘキシルを対応するアクリレートモノマーで置き換えて、類似の重合体被覆チタニアを調製した。
【0119】
(実施例7)
本実施例は、上記実施例5および6で調製した重合体被覆顔料を使用するカプセル化二重粒子電気泳動表示装置の構成を説明する。使用した懸濁流体は、炭化水素(Isopar−G;これは、Exxon Corporation,Houston,Texasから市販されている;「Isopar」は、登録商標である)およびハロゲン化炭化水素油(ハロゲン化炭化水素油1.8;これは、Halogenated Hydrocarbon Products Corporation,River Edge,New Jerseyから市販されている−以下、簡単のために、「Halocarbon」と呼ぶ)の1:1w/w混合の混合物である;この混合物は、以下、「1:1 Isopar/Halocarbon混合物」と呼ぶ、この懸濁流体はまた、電荷制御剤として、Emphos(登録商標)D−70−30C(Witco Chemical Company,Greenwich,Connecticutから販売されているリン酸化モノ/ジグリセリド界面活性剤)を含有する。
【0120】
(A部:内相の調製)
125mlポリプロピレンボトルに、上記実施例6で調製したメタクリル酸2−エチルヘキシル被覆チタニア4.0g、Emphos D−70−30Cの10重量%溶液0.24g、および1:1のIsopar/Halocarbon混合物47.80gを入れた。得られた混合物を30分間超音波処理して、均一分散体を得た。
【0121】
他の125mlポリプロピレンボトルに、上記実施例5で調製した重合体被覆カーボンブラック0.16g、Isopar中のEmphos D−70−30Cの10重量%溶液0.16g、および1:1のIsopar/Halocarbon混合物47.80gを入れた。得られた混合物を30分間超音波処理して、均一分散体を得た。
【0122】
これらの2種の分散体を別々に超音波処理したのに続いて、それらを混合し、そして以下のB部で記述のようにカプセル化する前に、穏やかに攪拌しつつ、24時間放置した。
【0123】
(B部:カプセル化)
ウォータージャケット、オーバーヘッド攪拌機、1L滴下漏斗およびpHメーターを取り付けた4L反応器を40℃まで加熱し、そして冷脱イオン水(2622.4g)を充填した。約30秒間にわたって、攪拌することなく、この冷水に、ゼラチン(33.3g)を加え、得られた混合物を、攪拌することなく、1時間放置して、このゼラチンを膨張させた。この期間の後、その混合物を、(50rpmで)、30分間まで穏やかにかき混ぜて、発泡なしで、そのゼラチンを溶解し、それにより、40℃で、ゼラチン溶液を生成した。別に、アカシア(33.3g;Sigma−Aldrich,Inc.,P.O.Box 2060,Milwaukee WI 53201から入手)を、急速に攪拌しつつ、冷脱イオン水(655.6g)に溶解し、得られた溶液を、1時間にわたって、40℃まで加熱した。上記A部で調製した内相(約1L)を40℃まで加熱し、そして10分間超音波処理した。
【0124】
この温ゼラチン溶液を130rpmで攪拌し、その内相を、約15分間にわたって、滴下漏斗を経由して加えた;その添加は、このゼラチン溶液の表面の下に滴下漏斗の出口を配置することにより、行った。この内相の添加が完了した後、この内相を約300μmの平均直径の小滴に乳化するために、その攪拌速度を175rpmまで高め、この攪拌を、40℃で、30分間継続した。
【0125】
次いで、このアカシア溶液を約1分間にわたって加え、発泡を避けるために、注意を払った。この混合物のpHを、10%酢酸水溶液(約3〜4g)を使用して、約4.7まで低下させ、同じ温度で、さらに40分間にわたって、激しい攪拌を継続した。この混合物の温度を、激しい攪拌を継続しつつ、少なくとも2時間にわたって、10℃まで下げ、そしてグルタルアルデヒド(16.7g)を加えた。この添加後、その混合物を、30分間にわたって、25℃まで暖め、さらに12時間にわたって、激しく攪拌した。最後に、攪拌を停止し、その混合物を反応器から排出し、形成されたカプセルを単離し、そして洗浄水のpHが5.0になるまで、脱イオン水中で沈降し再分散することにより、3回洗浄した。
【0126】
(C部:電気泳動表示装置の製造)
B部で調製したカプセルを、1重量部の結合剤:9重量部のカプセルの比で、水性ウレタン結合剤(NeoRez R−9320;これは、NeoResins,730 Main Street,Wilmington MA 01887から入手できる)と混合し、スロット被覆添加剤として、0.3重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを加えた。得られた混合物を、そのスロット被覆ヘッドに対して1m/secで移動しつつ、125μmのインジウム−酸化スズ被覆ポリエステルフィルムにスロット被覆した。被覆したフィルムを、10分間にわたって、空気乾燥し、次いで、50℃で、15分間オーブン乾燥して、ほぼ単一層のカプセルを含む約50μm厚の電気泳動媒体を製造した(前記国際特許出願WO00/20922を参照)。
【0127】
次いで、この被覆フィルムのカプセル被覆面を、13ミル(330μm)の間隙設定のドクターブレードを使用して、前記NeoRez R−9320結合剤(この結合剤は、このカプセル被覆面を平面化するため、および積層接着剤としての両方に役立つ)で上塗りし、上塗りしたフィルムを、50℃で、20分間乾燥した。次いで、乾燥したフィルムを、バックプレイン(これは、15psigの圧力で、厚膜銀および誘電インクで印刷したポリエステルスクリーンの3mm厚シートを含む)に熱積層した。このバックプレインの導電性領域は、得られる表示装置のアドレス可能領域をなす。
【0128】
(実施例8〜12)
これらの実施例は、上記実施例7で製造したものと類似のカプセル化二重粒子電気泳動表示装置の作製におけるバリエーションを説明する。これらの全ての実施例では、使用した積層接着剤は、前記NeoRez R−9320の80μm層であった。使用した結合剤は、同じ材料であるか、Airflex(登録商標)430(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,Pennsylvaniaから販売された塩化ビニル/酢酸ビニル/エチレン三元共重合体接着剤)か、いずれかであった。使用した電荷制御剤は、前記Emphos D−70−30C、Solsperse 17000(Avecia Ltd.から入手できる)またはSpan 85(これは、ICI Americas,Inc.,Wilmington,Delawareから販売されている;「Span」は、登録商標である)であった。実施例8、10、11および12では、これらのカプセルは、大きさにより、200〜400μmに分割した;実施例9では、このような分割を行わなかった。
【0129】
これらの電気泳動表示装置で使用した材料のそれ以上の詳細は、以下の表1で示す;この表では、「EHA」は、アクリル酸2−エチルであり、そして「EHMA」は、メタクリル酸2−エチルヘキシルである;全ての黒色顔料は、そのモノマーとして、アクリル酸2−エチルヘキシルを使用した。「導電性」と表示した行は、その結合剤と共に調製した電気泳動媒体の導電性を示すのに対して、「CCA」とは、使用した電荷制御剤を示す。「白色(黒色)顔料の重量%」とは、その内相の重量に対する重量%であるのに対して、「白色(黒色)顔料上の重合体の重量%」とは、関連した顔料の出発重量に対する重量%を示す。
【0130】
【表1】

(実施例13)
本実施例は、本発明のイオン性RGP法を説明し、ここで、チタニアは、まず、シリル化剤で処理されており、これは、このチタニアの表面に置換アンモニウム基を配置して、重合可能単量体での所望のイオン結合の形成が可能となる。
【0131】
まず、このシリル化合物の50重量%メタノール溶液を調製することにより、次いで、この溶液(22.3g)を95:5容量/容量のエタノール/水混合物(547g)に加えることにより、N−トリメトキシシリル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドの2重量%エタノール/水/メタノール溶液を調製した。得られた溶液のpHを、10%酢酸水溶液を加えることにより、8から5.5に低下させ、次いで、激しく攪拌しつつ、チタニア(25.0gのdu Pont R960)を加えた。得られた混合物を遠心分離し、その上澄み液をデカントし、その固形物をエタノール(約500ml)に再分散して、室温で24時間放置して、その反応を完結させた。熱重量分析により、このシリル化合物0.56gがチタニア各100gに結合したことが明らかとなった。
【0132】
この生成物上の置換アンモニウム基と重合可能基含有酸との間で塩形成を行うために、この生成物(21.5g)を水(265ml)に分散し、そして4−スチレンスルホン酸クロライド二水和物(0.2g、0.9mmol)を加え、得られた混合物を1時間攪拌し、次いで、アセトン1Lを加え、この混合物を遠心分離し、その上澄み液をデカントし、その固形物を、空気中にて、乾燥した。乾燥した固形物を水(50ml)に分散し、そして4−スチレンスルホン酸(0.2g、0.9mmol)を加えた。イソプロパノール(250ml)を加え、その混合物を2つの部分に分割し、各部分をイソプロパノール250mlに希釈し、そして遠心分離し、得られた固形物を水(250ml)に再分散し、そして穏やかにかき混ぜつつ、一晩放置した。最後に、各部分を遠心分離し、得られた固形物をアセトン(250ml)に再分散し、再度、遠心分離し、母液をデカントし、その固形物を一晩乾燥し、次いで、減圧下にて、70℃で、2時間オーブン乾燥した。
【0133】
この生成物にそのように導入したビニル基での重合体の形成を行うために、この生成物(15g)、トルエン(15ml)、アクリル酸2−エチルヘキシル(15ml)およびAIBN(トルエン10ml中で150mg)を100ml丸底フラスコに入れ、これを、30分間にわたって、窒素でパージし、そして約20時間にわたって、66℃まで加熱した。次いで、この反応混合物を冷却させ、遠心分離し、そして分離した固形物をTHFで2回洗浄し、空気乾燥し、次いで、減圧下にて、70℃で、2時間乾燥して、生成物を得、これは、熱重量分析すると、約4%の重量損失を示した。
【0134】
(実施例14)
本実施例は、カーボンブラックを適用した本発明のRGP−ATRP法を説明する。
【0135】
カーボンブラック(19.4g;これは、スチレン基を有し、上記実施例5、A部のように調製した)、トルエン(150ml)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(150ml)、p−クロロメチルスチレン(2.2mL)およびAIBN(0.6g)を丸底フラスコに入れ、これを、30分間にわたって、窒素でパージし、次いで、16時間にわたって、70℃まで加熱した。次いで、その反応混合物を冷却させ、そして遠心分離した。その上澄み液をデカントし、その固形物をTHFに再分散して、室温で24時間放置して、再度、遠心分離した;この方法を2回繰り返した。生成物の収量は、13.4gであり、熱重量分析により、10.0重量%の重合体含量が明らかとなった。
【0136】
この方法のATRP工程を実行するために、この生成物(10g)を、フラスコ中にて、メタクリル酸2−エチルヘキシル(220ml)、塩化第一銅(80mg)およびヘキサメチルトリエチレンテトラミン(156mg)と混合した。このフラスコを、30分間にわたって、窒素でパージし、次いで、1.5時間にわたって、120℃まで加熱した。次いで、その反応混合物を冷却させ、そして遠心分離した。その上澄み液をデカントし、その固形物をTHFに再分散して、再度、遠心分離した;この方法をもう1回繰り返した。熱重量分析により、24重量%の重合体含量が明らかとなった。
【0137】
(実施例15)
本実施例は、本発明のRGP法の第一工程におけるチタニア顔料とシリル化剤との反応を説明する。
【0138】
電磁攪拌棒を備え付けた4L Erlenmeyerフラスコに、エタノール(2.5L)および水(200ml)を加え、その溶液のpHを、33%酢酸水溶液を加えることにより、4.5に調整した。メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(Dow
Z6030、124ml、130g、0.52mol)を加え、得られた混合物を4分間攪拌して、そのシリル化合物を加水分解し濃縮させた。この攪拌後、シリカ被覆チタニア(300gのdu Pont R960)を加え、得られた混合物を、さらに7分間攪拌して、そのシリル化合物をチタニアに水素結合させた。次いで、その反応混合物を4本の1L遠心ボトルに注ぎ、そして3500rpmで、15分間遠心分離した。その上澄み液をデカントし、その固形顔料を、空気中にて、8時間乾燥した。次いで、4本のボトルから乾燥した顔料を1本のボトルに注ぎ、これを、オーブン中で、減圧下にて、2時間にわたって、70℃まで加熱して、そのシリル化合物をチタニアに反応させ結合した。次いで、このボトルをオーブンから除去し、その顔料をエタノールで洗浄して、そのボトルをエタノールで満たすことにより、任意の未結合シリル化合物を除去し、3000rpmで15分間遠心分離し、その液体をデカントし、最後に、この顔料を、空気中にて、8時間乾燥し、次いで、減圧下にて、70℃で、2時間乾燥した。そのように生成したシラン処理顔料は、熱重量分析により、1.88%の重量損失を示した。
【0139】
(実施例16)
本実施例は、本発明のRGP法の第二工程における実施例15で生成したシラン処理チタニア顔料とアクリル酸2−エチルヘキシルとの反応を説明する。
【0140】
冷却器、窒素ブランケット、攪拌棒および攪拌ビーズを備え付けた250mlフラスコに、実施例15で調製したシラン処理顔料(50g)を加えた。使い捨て容器中にて、このフラスコに、アクリル酸2−エチルヘキシル(50g、0.27mol)のトルエン(53ml、50g、0.49mol)溶液を加え、得られた混合物を、そこを通って窒素を泡立たせつつ、20分間攪拌した。次いで、この窒素を導入するのに使用した針を除去し、その混合物を、60〜65℃までゆっくりと加熱し、その温度が50℃に達すると、トルエン(10ml)に溶解したAIBN(0.5g、3mmol;これは、この反応混合物中の単量体の1モル%に等しい)を加えた。得られた反応混合物を、窒素下にて、15時間にわたって、60〜65℃で維持し、次いで、室温まで冷却した。この反応混合物の粘度を低くするために、アセトン(50ml)を加え、これを、2本の250ml遠心ボトルに注ぎ、追加アセトンを加えて、このボトルを満たした。次いで、これらのボトルを、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。これらのボトルにTHFを満たし、そしてボトルの底に顔料が残らなくなるまで、激しく攪拌し、次いで、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。そのように生成した重合体被覆顔料を、その顔料が容易に崩壊できるまで、これらのボトル中にて、4時間にわたって、空気乾燥させた。これらのボトルからの顔料の2ロットを合わせ、そして減圧下にて、65℃で、18時間乾燥した。そのように生成した重合体被覆顔料は、熱重量分析により、5.7%の重量損失を示した。
【0141】
(実施例17)
本実施例は、本発明のRGP法の第二工程における実施例15で生成したシラン処理チタニア顔料とメタクリル酸2−エチルヘキシルとの反応を説明する。
【0142】
冷却器、窒素ブランケット、攪拌棒および攪拌ビーズを備え付けた250mlフラスコに、実施例15で調製したシラン処理顔料(50g)を加えた。使い捨て容器中にて、このフラスコに、メタクリル酸2−エチルヘキシル(50g、0.25mol)のトルエン(53ml、50g、0.49mol)溶液を加え、得られた混合物を、そこを通って窒素を泡立たせつつ、20分間攪拌した。次いで、この窒素を導入するのに使用した針を除去し、その混合物を、60〜65℃までゆっくりと加熱し、その温度が50℃に達すると、トルエン(10ml)に溶解したAIBN(0.5g、3mmol;これは、この反応混合物中の単量体の1モル%に等しい)を加えた。得られた反応混合物を、窒素下にて、18時間にわたって、60〜65℃で維持し、次いで、室温まで冷却した。この反応混合物の粘度を低くするために、アセトン(50ml)を加え、これを、2本の250ml遠心ボトルに注ぎ、追加アセトンを加えて、このボトルを満たした。次いで、これらのボトルを、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。これらのボトルにTHFを満たし、そしてボトルの底に顔料が残らなくなるまで、激しく攪拌し、次いで、3000rpmで、20分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。そのように生成した重合体被覆顔料を、その顔料が容易に崩壊できるまで、これらのボトル中にて、4時間にわたって、空気乾燥させた。これらのボトルからの顔料の2ロットを合わせ、そして減圧下にて、65℃で、18時間乾燥した。そのように生成した重合体被覆顔料は、熱重量分析により、6.4%の重量損失を示した。
【0143】
(実施例18)
本実施例は、重合体被覆チタニア顔料粒子を生成する本発明のRGP法を説明し、ここで、この重合体被覆は、カチオン性基を含有する。この方法、この第一工程にて、アミノ含有シリル化剤を使用する。
【0144】
電磁攪拌棒を備え付けた1L Erlenmeyerフラスコに、エタノール(500mL)および水(50ml)を加え、その溶液のpHを、33%水酸化アンモニウムを滴下することにより、9.9に上げた。N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン塩酸塩(40重量%メタノール溶液40g;これは、その純粋化合物16.125g、43mmolに等しい)を加え、得られた混合物を4分間攪拌して、そのシリル化合物を加水分解し濃縮させた。この攪拌後、シリカ被覆チタニア(25gのdu pont R960)を加え、得られた混合物を、さらに7分間攪拌して、そのシリル化合物をチタニアに水素結合させた。次いで、その反応混合物を遠心ボトルに注ぎ、そして3000rpmで、15分間遠心分離した。その上澄み液をデカントし、その固形顔料を、空気中にて、8時間乾燥した。次いで、この顔料を、オーブン中で、2時間にわたって、70℃まで加熱して、このシリル化合物をチタニアに結合させた。そのように生成したシラン処理顔料は、熱重量分析により、2.47%の重量損失を示した。
【0145】
次いで、そのように生成したシラン処理顔料を、規模が小さいこと以外は上記実施例17と正確に同じ様式で、アクリル酸2−エチルヘキシルと重合した;その反応混合物は、このシラン処理顔料15g、この単量体15g、トルエン15gおよびAIBN(0.15g)から構成されていた。その最終重合体被覆チタニアは、熱重量分析により、6.7重量%の重合体含量を示した。
【0146】
(実施例19)
本実施例は、アクリル酸t−ブチルを使用する本発明のRGP法を説明する。
【0147】
冷却器、窒素ブランケット、攪拌棒および攪拌ビーズを備え付けた丸底フラスコに、実施例15で調製したシラン処理顔料(25g)を加えた。使い捨て容器中にて、このフラスコに、アクリル酸t−ブチル(20g)のトルエン(25g)溶液を加え、得られた混合物を、そこを通って窒素を泡立たせつつ、20分間攪拌した。次いで、この窒素を導入するのに使用した針を除去し、その混合物を、58℃までゆっくりと加熱し、その温度が50℃に達すると、トルエン(5ml)に溶解したAIBN(0.25g)を加えた。得られた反応混合物を、窒素下にて、2時間にわたって、58℃で維持し、次いで、室温まで冷却するとすぐ、この反応混合物は、固化した。この反応混合物を液化するために、アセトンを加え、これを、次いで、遠心ボトルに注ぎ、追加アセトンを加えて、このボトルを満たした。次いで、これらのボトルを、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。これらのボトルにTHFを満たし、そしてボトルの底に顔料が残らなくなるまで、激しく攪拌し、次いで、3000rpmで、20分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。そのように生成した重合体被覆顔料を、その顔料が容易に崩壊できるまで、これらのボトル中にて、空気乾燥させ、次いで、減圧下にて、60℃で、18時間乾燥した。そのように生成した重合体被覆顔料は、熱重量分析により、6%の重量損失を示した。
【0148】
(実施例20)
本実施例は、フッ化アクリレート、すなわち、アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルを使用する本発明のRGP法を説明する。
【0149】
冷却器、窒素ブランケット、攪拌棒および攪拌ビーズを備え付けた丸底フラスコに、実施例15で調製したシラン処理顔料(15g)を加えた。使い捨て容器中にて、このフラスコに、アクリル酸2−エチルヘキシル(13.5g)およびアクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(1.92g)のトルエン(15g)溶液を加え、得られた混合物を、そこを通って窒素を泡立たせつつ、20分間攪拌した。次いで、この窒素を導入するのに使用した針を除去し、その混合物を、60〜65℃までゆっくりと加熱し、その温度が50℃に達すると、トルエン(約5ml)に溶解したAIBN(0.15g)を加えた。得られた反応混合物を、窒素下にて、18時間にわたって、60〜65℃で維持し、次いで、室温まで冷却した。この反応混合物を液化するために、アセトンを加え、その反応混合物を、遠心ボトルに注ぎ、追加アセトンを加えて、このボトルを満たした。次いで、これらのボトルを、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。これらのボトルにTHFを満たし、そしてボトルの底に顔料が残らなくなるまで、激しく攪拌し、次いで、3000rpmで、20分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。そのように生成した重合体被覆顔料を、その顔料が容易に崩壊できるまで、これらのボトル中にて、空気乾燥させ、次いで、減圧下にて、50℃で、18時間乾燥した。
【0150】
(実施例21)
本実施例は、使用する単量体がメタクリル酸イソブチルである本発明のRGP法を説明する。
【0151】
濃縮器、窒素ブランケット、攪拌棒および攪拌ビーズを備え付けた丸底フラスコに、実施例15で生成したシラン処理顔料(15g)を加えた。使い捨て容器中にて、このフラスコに、メタクリル酸イソブチル(15g)のイソプロパノール(15g)溶液を加え、得られた混合物を、そこを通って窒素を泡立たせつつ、15分間攪拌した。次いで、この窒素を導入するのに使用した針を除去し、その混合物を、60〜65℃までゆっくりと加熱し、その温度が50℃に達すると、トルエン(約5ml)に溶解したAIBN(0.15g)を加えた。得られた反応混合物を、窒素下にて、18時間にわたって、60〜65℃で維持し、次いで、室温まで冷却した。アセトンを加え、その反応混合物を、遠心ボトルに注ぎ、追加アセトンを加えて、このボトルを満たした。次いで、これらのボトルを、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。これらのボトルにアセトンを再び満たし、そしてボトルの底に顔料が残らなくなるまで、激しく攪拌し、次いで、3000rpmで、20分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。そのように生成した重合体被覆顔料を、その顔料が容易に崩壊するまで、これらのボトル中にて、空気乾燥させ、次いで、減圧下にて、50℃で、18時間乾燥させた。そのように生成した重合体被覆顔料は、熱重量分析により、4.5%の重量損失を示した。
【0152】
(実施例22)
本実施例は、使用する単量体がメタクリル酸ラウリルである本発明のRGP法を説明する。
【0153】
濃縮器、窒素ブランケット、攪拌棒および攪拌ビーズを備え付けた丸底フラスコに、実施例15で生成したシラン処理顔料(50g)を加えた。使い捨て容器中にて、このフラスコに、メタクリル酸ラウリル(70g、0.272mole)のトルエン(60g)溶液を加え、得られた混合物を、そこを通って窒素を泡立たせつつ、20分間攪拌した。次いで、この窒素を導入するのに使用した針を除去し、その混合物を、60〜65℃までゆっくりと加熱し、その温度が50℃に達すると、トルエン(10ml)に溶解したAIBN(0.5g、3mmole;これは、この反応混合物中の単量体の1モル%に等しい)を加えた。得られた反応混合物を、窒素下にて、16時間にわたって、60〜65℃で維持し、次いで、室温まで冷却した。この反応混合物の粘度を低くするために、アセトン(50ml)を加え、これを、2本の250ml遠心ボトルに注ぎ、追加アセトンを加えて、このボトルを満たした。次いで、これらのボトルを、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。これらのボトルにトルエンを満たし(THFでの洗浄は、この重合体被覆顔料には不十分である)、そしてボトルの底に顔料が残らなくなるまで、激しく攪拌し、次いで、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。このトルエン分散および遠心分離を繰り返し、次いで、生成した重合体被覆顔料を、その顔料が容易に崩壊するまで、これらのボトル中にて、4時間にわたって、空気乾燥させた。これらのボトルからの顔料の2ロットを合わせ、そして減圧下にて、70℃で、一晩乾燥させた。そのように生成した重合体被覆顔料は、熱重量分析により、10.3%の重量損失を示した。
【0154】
(実施例23)
本実施例は、使用する単量体がメタクリル酸イソボルニルである本発明のRGP法を説明する。
【0155】
この方法は、以下のこと以外は、実施例15のように調製したシラン処理チタニアおよび上記実施例16で記述した重合法を使用して行った:その反応混合物を、60〜65℃で、16時間だけ維持し、実施例16で使用したアセトン/THF洗浄手順を、2回のTHFで置き換え、そして減圧下での乾燥を、70℃で行った。使用した反応混合物は、シラン処理顔料(50g)、メタクリル酸イソボルニル(60g、0.27mole)、トルエン(60g)およびAIBN(トルエン10mlに溶解した0.5g)を含有していた。そのように生成した重合体被覆顔料は、熱重量分析により、6.4%の重量損失を示した。
【0156】
(実施例24)
本実施例は、使用する単量体がメタクリル酸t−ブチルである本発明のRGP法を説明する。
【0157】
この方法は、以下のこと以外は、実施例15のように調製したシラン処理チタニアおよび上記実施例16で記述した重合法を使用して行った:その反応混合物を、60〜65℃で、16時間だけ維持し、そして減圧下での乾燥を、70℃で行った。使用した反応混合物は、シラン処理顔料(50g)、メタクリル酸t−ブチル(40g、0.27mole)、トルエン(60g)およびAIBN(トルエン10mlに溶解した0.5g)を含有していた。そのように生成した重合体被覆顔料は、熱重量分析により、5.8%の重量損失を示した。
【0158】
(実施例25)
本実施例は、モリブデン赤(molybdate orange)、すなわち、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛および硫酸鉛の共沈殿物から出発して、本発明のRGP法を説明する。使用した市販の出発物質は、業者により、シリカでカプセル化されている。
【0159】
エタノール(1000ml)および水(150ml)の混合物に、そのpHが9.95に達するまで、濃水酸化アンモニウムを加えた。N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン塩酸塩(121g)を加え、得られた溶液を、4分間にわたって、急速に攪拌した。次いで、モリブデン赤(75g;KROLOR KO−906−D;Dominion Colour Corporationにより販売された)を加え、その混合物を、7分間にわたって、急速に攪拌した。得られた懸濁液をプラスチックボトルに注ぎ、そして3000rpmで、30分間遠心分離した。その上澄み液をデカントし、そのシラン処理顔料をエタノールに再分散して、3500rpmで、30分間遠心分離し、液体をデカントした。この顔料を、空気中にて18時間乾燥させ、次いで減圧下にて、70℃で1時間乾燥させた。
【0160】
次いで、そのように生成したシラン処理顔料を、以下のこと以外は、上記実施例17で記述した重合法を使用して、メタクリル酸2−エチルヘキシルで重合した:その反応混合物を、68℃で18時間維持し、そして減圧下での乾燥を、70℃で12時間行った。使用した反応混合物は、シラン処理顔料(50g)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(50g)、トルエン(60g)およびAIBN(トルエン10mlに溶解した0.5g)を含有していた。
【0161】
(実施例26)
本実施例は、クロムイエローから出発して、本発明のRGP法を説明する。使用した市販の出発物質は、クロム酸鉛であり、これは、業者により、シリカでカプセル化されている。
【0162】
エタノール(1000ml)および水(150ml)の混合物に、そのpHが9.95に達するまで、酢酸を加えた。メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(35ml)を加え、得られた溶液を、4分間にわたって、急速に攪拌した。次いで、クロムイエロー(75g;KROLOR KY−788−D;Dominion Colour Corporationにより販売された)を加え、その混合物を、7分間にわたって急速に攪拌した。得られた懸濁液をプラスチックボトルに注ぎ、そして3000rpmで、30分間遠心分離した。その上澄み液をデカントし、得られた顔料を、空気中にて乾燥させ、次いで減圧下にて、70℃で2時間乾燥した。次いでこの顔料をエタノールに再分散して、前と同じ様式で遠心分離し、そして空気中にて乾燥させ、次いで減圧下にて、70℃で1時間乾燥させた。
【0163】
そのように生成したシラン処理顔料上に重合体を形成するために、濃縮器、窒素ブランケット、攪拌棒および攪拌ビーズを備え付けた丸底フラスコに、このシラン処理顔料(50g)を加えた。使い捨て容器中にて、このフラスコに、メタクリル酸2−エチルヘキシル(56ml)のトルエン(58ml)溶液を加え、得られた混合物を、そこを通って窒素を泡立たせつつ、25分間攪拌した。次いで、この窒素を導入するのに使用した針を除去し、その混合物を、60℃までゆっくりと加熱し、その温度が50℃に達すると、AIBN(トルエン10ml中で0.5g)を加えた。得られた反応混合物を、窒素下にて、17時間にわたって、60℃で維持し、次いで、室温まで冷却した。この反応混合物を、2本の250ml遠心ボトルに注ぎ、追加アセトンを加えて、このボトルを満たした。次いで、これらのボトルを、3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。これらのボトルにトルエンを満たし、そしてボトルの底に顔料が残らなくなるまで、激しく攪拌し、次いで3000rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントし、次いで生成した重合体被覆顔料を、減圧下にて、一晩乾燥させた。そのように生成した重合体被覆顔料は、熱重量分析により、10.83%の重量損失を示した。
【0164】
(実施例27)
本実施例は、メタクリル酸2−エチルヘキシルの重合体を備えたカーボンブラックを生成する本発明のRGP法を説明する。
【0165】
カーボンブラック(115g)を、電磁攪拌しつつ、水(3L)に分散し、次いで、塩酸(37重量%を3mL)および4−ビニルアニリン(2.5g)を加えた。別に、亜硝酸ナトリウム(1.43g)を、水(10ml)に溶解した。次いで、この亜硝酸塩溶液を、このカーボンブラック含有反応混合物にゆっくりと加え、得られた反応混合物を、65℃まで加熱し、そして3時間攪拌した。次いで、この反応混合物を冷却し、そして室温で、一晩攪拌した。得られた生成物を遠心分離し、生成した固形物を水でリンスし、そして一晩乾燥させた。
【0166】
窒素パージ装置、電磁攪拌棒および還流カラムを取り付けた反応フラスコに、この生成物(50g)、トルエン(100ml)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(100ml)およびAIBN(0.65g)を加えた。このフラスコを、攪拌しながら、20分間にわたって、窒素でパージし、次いで、油浴に浸け、連続攪拌しつつ、70℃まで徐々に加熱し、この温度で、7時間維持した。次いで、この反応混合物を冷却し、THFで500mlの容量まで希釈し、そしてメタノール(3L)に注いだ。沈殿した固形物を集め、THF(1.5〜2L)に再分散し、10℃まで冷却し、そして3500rpmで、1時間遠心分離した。その液体をデカントし、このTHF洗浄工程を繰り返し、その生成物を、減圧下にて、70℃で乾燥させると、53gの重合体被覆カーボンブラックが得られ、これは、熱重量分析すると、12.3%の重量損失を示した。
【0167】
実施例26および27で生成した顔料を、実質的に、上記実施例7で記述したように、共にカプセル化して、黄色/黒色カプセル化二重粒子電気泳動表示装置を製造した。
【0168】
(実施例28)
本実施例は、メタクリル酸ラウリル重合で被覆したチタニア顔料を生成する本発明のRGP法を説明する。
【0169】
(A部:シラン処理チタニアの調製)
攪拌機およびpHメーターを備え付けた4Lガラス製反応器に、エタノール(930.7g)および脱イオン水(69.3g)を加え、得られた溶液を、150rpmで攪拌した。この反応器に、このpHメーターのプローブを挿入し、その混合物のpHを、ピペットから氷酢酸を加えることにより、4.5に低下させた。次いで、このpHプローブを取り除き、この反応器に、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(160.0g)を加え、その反応混合物を、さらに5分間攪拌した。次いで、その混合速度を250rpmまで上げ、この反応器に、チタニア(1000gのdu Pont R960)を加え、その反応混合物を、さらに10分間攪拌した。次いで、その混合速度を、200rpmに下げ、この反応器に、エタノール(1826.6g)を加え、攪拌を1分間継続した。次いで、その反応混合物を6本の750ml遠心ボトルに排出し、そして3000rpmで、20分間遠心分離した。その上澄み液を捨て、その固形物を、空気中にて、一晩乾燥させ、次いで減圧下にて、70℃で4時間乾燥させた。
【0170】
(B部:重合体被覆顔料の調製)
水浴、窒素源、濃縮器、攪拌機および隔壁を備え付けた4Lガラス製反応器に、メタクリル酸ラウリル(960g)およびトルエン(1386g)を加えた。その混合物を、200rpmで攪拌し、その水浴を、50℃に設定して、この反応器を予備加熱した。シラン処理チタニア(750g;これは、上記A部で調製した)を秤量し、いずれの大きい塊も、手で粉砕した。次いで、その混合速度を300rpmまで上げ、このシラン処理チタニアを反応器に加え、これを、次いで窒素でパージした。別に、AIBN(5.64g)をトルエン(150g)に溶解し、得られた溶液を注射器ポンプに装填し、その出力針を、この隔壁を通って、この反応器に押し付けた。一旦、その反応器の温度が50℃で安定化すると、このAIBN溶液を、一定速度で、1時間にわたって、この反応混合物にポンプ上げした。次いで、この反応混合物を、一晩攪拌しながら70℃で保持し、次いで、6本の750ml遠心ボトルに排出し、これらにトルエンを満たし、実質的に均一な分散体が得られるまで、振盪した。次いで、これらのボトルを、3000rpmで30分間遠心分離し、その上澄み液を捨て、そのトルエン分散工程、遠心工程およびデカンテーション工程を繰り返した。最後に、これらのボトルを、空気中にて一晩乾燥させ、次いで、減圧下にて70℃で4時間乾燥させた。
【0171】
(実施例29)
本実施例は、実施例27および28で調製した重合体被覆顔料を使用するカプセル化二重粒子表示装置の作製を説明する。
【0172】
(A部:内相の調製)
カプセル化の準備ができた内相1000gを作製するために、チタニア120gおよびカーボンブラック9gを、別々に、それぞれ、実質的に、実施例28および27で記述したようにして、重合体被覆した。(さらに正確にするために、これらの2種の重合体被覆顔料のバッチを調製し、この重合体被覆顔料に存在している純粋な顔料の割合は、熱重量分析により、決定した。必要な120gまたは9gの純粋顔料を含有する重合体被覆顔料の重量を決定し、これらの重量を、以下の手順で使用した)。この重合体被覆チタニアを、それ自体の重量の3.0%のSolsperse 17000分散剤(これは、Isopar Gの10重量%溶液の形状で、加えた)と混合し、そして1:1(w/w)のIsopar/Halocarbon混合物の30重量%ストック溶液に構成した。この重合体被覆カーボンブラックは、同様に、微小流動化装置を使用して、約5重量%のストック溶液に構成した。これらの得られた2種のストック溶液を、十分な追加1:1(w/w)Isopar/Halocarbon混合物と混ぜ合わせて、1000gの混合物を製造し、これをよく振盪し、そしてカプセル化プロセスで使用する前に、少なくとも24時間にわたって、ロールミルで保存した。(もし、その最終電気泳動媒体がポリイソブチレンを含有するべきなら、この重合体は、この混合段階で加えられる。現在、ポリイソブチレンAldrichカタログ番号18145−5(重量平均分子量約500,000、数平均分子量約200,000、T−76℃、T1.5℃)のIsopar/Halocarbon混合物1.4〜1.5重量%を加えるのが好ましく、これは、500ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールで安定化される)。
【0173】
(B部:カプセル化)
次いで、そのように調製した内相を、ウォータージャケット、オーバーヘッド攪拌機、1L滴下漏斗およびpHメーターを備え付けた4L反応器を使用して、カプセル化した。40℃で、攪拌しつつ、ゼラチン(22.5g)を脱イオン水(1311.2g)に溶解し、その溶液の表面で泡が発生しないように、注意を払った。別に、アカシア(16.7g)を脱イオン水(327.8g)に溶解し、得られた溶液を40℃まで加熱した。また、別に、上記内相(580g)を40℃まで加熱し、次いで、約15分間にわたって、このゼラチン溶液に加えた;この添加中、このゼラチン溶液を攪拌し、これは、この添加漏斗(その出口は、このゼラチン溶液の表面より下に配置した)を通って内相を導入することにより、行った。この内相の添加が完了した後、攪拌速度を上げ、その内相が約80μmの平均直径を有する小滴に乳化するように、この攪拌を、40℃で、30分間継続した。
【0174】
次いで、このアカシア溶液を約1分間にわたって加え、発泡を避けるために、注意を払った。この混合物のpHを、10%酢酸水溶液を使用して、約4.9まで低下させ、同じ温度で、さらに40分間にわたって、激しい攪拌を継続した。この混合物の温度を、激しい攪拌を継続しつつ、2時間にわたって、10℃まで下げ、そしてグルタルアルデヒド(8.35g)を加えた。この添加後、その混合物を、25℃まで徐々に暖め、さらに12時間にわたって、激しく攪拌した。最後に、攪拌を停止し、その混合物を、10〜15分間にわたって、沈降(settle)させ、その間、その液体の上部で、約25〜50mmの泡状混合物を分離した。
【0175】
次いで、その液相を除去すると、この反応器には、泡状混合物が残り、この液相内のカプセルを、沈降および脱イオン水での再分散により、3回洗浄した。これらのカプセルを大きさで分離すると、直径50μmと120μmの間の分布が得られ、その平均直径は、70〜80μmであった;このような分布は、63μmの篩いで90秒間、次いで、38μmの篩いで30秒間、これらのカプセルを篩い分けすることにより達成でき、最終カプセルスラリーが得られる。
【0176】
(C部:電気泳動表示装置の製造)
得られたカプセルスラリーを遠心分離し、次いで、1重量部の結合剤:9重量部のカプセルの比で、水性ウレタン結合剤(NeoRez R−9320)と混合し、スロット被覆添加剤として、0.3重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを加えた。得られた混合物を、そのスロット被覆ヘッドに対して1m/secで移動しつつ、125μm厚のインジウム−酸化スズ被覆ポリエステルフィルムにスロット被覆した。被覆したフィルムを、10分間にわたって、空気乾燥させ、次いで、50℃で、15分間オーブン乾燥させ、基本的に単一層のカプセルを含む約50μm厚の電気泳動媒体を製造した(前記国際特許出願WO00/20922を参照)。
【0177】
そのように調製した電気泳動媒体の特性を調べるのに使用できる電気泳動表示装置を提供するために、次いで、この被覆フィルムのカプセル化面を、13ミル(330μm)の間隙設定のドクターブレードを使用して、前記NeoRez R−9320結合剤(この結合剤は、このカプセル被覆面を平面化するため、および積層接着剤としての両方に役立つ)で上塗りし、上塗りしたフィルムを、50℃で、20分間乾燥させた。次いで、乾燥したフィルムを、バックプレイン(これは、15psigの圧力で、厚膜銀および誘電インクで印刷したポリエステルスクリーンの3mm厚シートを含む)に熱積層した。(このバックプレーンは、そのポリエステルシートに、第一層の銀インク(これは、外部制御回路に接続するリード線を規定する)を印刷することにより調製した。次いで、銀インクの第一層に、誘電インクの層を印刷したが、この誘電インクの層は、最終的にバイアスを形成する小さいアパーチャ以外、連続していた。次いで、この誘電インクの上に、第二層の銀インクを印刷した;この第二層の銀インクは、電極をなし、また、この誘電インク層のアパーチャに流入し、それにより、バイアスを形成し、これは、これらの電極をリード線に接続した。2001年5月15日に登録された米国特許第6,232,950号(その全開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)および前記公開国際出願WO99/10768およびWO00/20922を参照)。
【0178】
そのように調製した電気泳動表示装置は、優れた特性を示した。特に、それらのチタニア粒子および黒色顔料粒子は、長時間放置した後でも、強固な凝集体を形成せず、この表示装置の操作寿命は、チタニア顔料を使用する単一粒子表示装置よりも著しく優れている。
【0179】
(実施例30)
本実施例は、同じ重合体被覆顔料を使用するが純粋な炭化水素懸濁流体を使用して、上記実施例29で製造したものと一般に類似したカプセル化二重粒子表示装置の作製を説明する。
【0180】
(A部:内相の調製)
カプセル化の準備ができた内相1064gを作製するために、実質的に上記実施例28で記述したように調製した重合体被覆チタニア406.8gをIsopar溶媒271.2gと混ぜ合わせることにより、第一前駆体678gを調製した。この分散体を一晩混合し、次いで、約1〜2時間、超音波処理した。別のジャーにて、実質的に上記実施例27で記述したように調製した重合体被覆カーボンブラック16.7gを、Isopar溶媒67.0gと混ぜ合わせた;次いで、この分散体を、高剪断分散した。次いで、このチタニアおよびカーボンブラック分散体を混ぜ合わせ、そしてIsopar溶媒194.9g、Isopar溶媒中、電荷剤(Solsperse 17000)の10重量%溶液48.8g、界面活性剤(Span 85)5.2g、およびIsopar溶媒に必要な量の重合体で希釈した。得られた内相を、カプセル化前に、一晩、混合した。
【0181】
(B部:内相のカプセル化および表示装置の調製)
そのように調製した内相をカプセル化するために、4L反応器にて、40℃で、攪拌しつつ、ゼラチン(66.7g)を脱イオン水(2622.2g)に溶解し、その溶液の表面で泡が発生しないように、注意を払った。別に、アカシア(66.7g−Sigma−Aldrichから入手できる)を脱イオン水(655.6g)に溶解し、得られた溶液を40℃まで加熱した。また、別に、上記内相(1060g)を40℃まで加熱し、次いで、約15分間にわたって、このゼラチン溶液に加えた;この添加中、このゼラチン溶液を攪拌し、これは、この添加漏斗(その出口は、このゼラチン溶液の表面より下に配置した)を通って内相を導入することにより行った。この内相の添加が完了した後、攪拌速度を上げ、その内相が約40μmの平均直径を有する小滴に乳化するように、この攪拌を、40℃で、60分間継続した。
【0182】
次いで、このアカシア溶液を約1分間にわたって加え、発泡を避けるために、注意を払った。この混合物のpHを、10%酢酸水溶液を使用して、約4.9まで低下させ、同じ温度で、さらに40分間にわたって、激しい攪拌を継続した。この混合物の温度を、激しい攪拌を継続しつつ、2時間にわたって、10℃まで下げ、そしてグルタルアルデヒドの50重量%溶液16.7gを加えた。この添加後、その混合物を、25℃まで徐々に暖め、さらに12時間にわたって、激しく攪拌した。
【0183】
次いで、その液相を除去し、この液相内のカプセルを、沈降および脱イオン水での再分散により、1回洗浄した。これらのカプセルを大きさで分離すると、直径20μmと60μmの間の分布が得られ、その平均直径は、40μmであった;このような分布は、38μmの篩いで90秒間、次いで、25μmの篩いで90秒間、これらのカプセルを篩い分けすることにより達成でき、最終カプセルスラリーが得られる。
【0184】
得られたカプセルスラリーを、1重量%水酸化アンモニウム溶液で、pH8に調整する。遠心分離によりカプセルを濃縮し、次いで、1重量部の結合剤:8重量部のカプセルの比で、水性ウレタン結合剤と混合した。得られた混合物を、125μm厚インジウム−酸化スズ被覆ポリエステルフィルム上にバー被覆して、被覆したフィルムを1時間空気乾燥させた後、基本的に単一層のカプセルを含有する約20μm厚の電気泳動媒体が製造されるようにした。
【0185】
ポリエチレンテレフタレート剥離シートに、スロット−ダイコーターを使用して、ポリウレタン接着剤を被覆した。被覆した剥離シートを、65℃で、オーブンに移し、そして10分間乾燥させた。被覆中にて、そのスロットを通る流速、および被覆ヘッド速度は、乾燥したときに測定すると15μm厚となる接着剤のフィルムが得られるように調整した。次いで、被覆した剥離シートを、Western Magnumロールラミネーターを使用して、このマイクロカプセル被覆ポリエステルフィルムに積層した;乾燥した剥離シートを、このマイクロカプセル層の上部に置き、そして50PSI(0.46mPa)で、上部ロールを300°F(149℃)にし、下部ロールを275°(135℃)にして、0.7ft/分(3.5mm/秒)の線速度で、このラミネーターのニップで積層した。次いで、得られた積層体を冷却し、そして冷却した積層体から適切な大きさの断片を切断することにより、この剥離シートを除去することより、そして接着剤側を下にしてフィルムを後部電極上に置くことにより、そして前と同じ条件を使用してラミネーターに通すことにより、単一画素表示装置を製造した。
【0186】
(実施例31)
本実施例は、顔料粒子をシリカ被覆する好ましい技術を説明する。
【0187】
クロム酸銅(Shepherd Black 1G、50g)を、その反応混合物を室温まで冷却する点まで、上記実施例1で記述した同じ様式で、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸溶液で処理した。次いで、そのpHを約9.5〜10から約3に低下させるために、その反応混合物に、追加硫酸(1Mの酸18mL)を加えた。次いで、この反応混合物をプラスチックボトルに置き、そして3700rpmで、15分間遠心分離し、その上澄み液をデカントした。このデカンテーションの直後に、各ボトルに、脱イオン水(5mL)およびエタノール(50mL)を加え、次いで、激しく振盪した。次いで、これらのボトルを、1時間超音波処理した。得られた分散体を顕微検査したところ、よく分散した一次顔料粒子が明らかとなった。
【0188】
そのように生成したシリカ被覆顔料の分散体を、図2の方法と類似のシラン化方法で、さらに処理することなく使用した。この目的のために、エタノール300ml、水30mlおよびN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン塩酸塩の40重量%メタノール溶液40gの混合物を、7分間にわたって、急速に攪拌し、そこに、この顔料分散体を加え、得られた混合物を、さらに5分間攪拌した。その生成物の単離およびその重合体被覆顔料への変換は、上記実施例2および3で記述した同じ様式で行い、非常に良好な結果が得られた。
【0189】
Shepherd 444顔料(クロム酸銅/マンガン)を同じ様式で重合体被覆したところ、これもまた、良好な結果が得られることが分かった。
【0190】
既に記述した本発明の好ましい実施態様において、本発明の精神および技術から逸脱することなく、多数の変更および改良を行うことができる。例えば、本発明の電気泳動媒体および表示装置は、2002年5月7日に出願された出願第10/063,655号および同日に出願された対応する国際出願で記述されているように、磁性粒子を含有し得る。従って、前述の記述は、限定する意味ではなく、例示として解釈される。
【0191】
本発明の好ましい実施形態は、今ここで、添付の図面を参照して、例としてのみ、記述する。
【0192】
添付の図面は、厳密な縮尺ではなく、一般に、本発明の原理を説明するように配置されていることを強調しておく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−137786(P2012−137786A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−81667(P2012−81667)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2008−154735(P2008−154735)の分割
【原出願日】平成14年5月15日(2002.5.15)
【出願人】(500080214)イー インク コーポレイション (148)
【Fターム(参考)】