説明

電気泳動表示装置及びその駆動方法

【課題】残像、焼付き等の解決を図る。
【解決手段】アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の画面を構成する電気泳動素子100-mnの駆動をするフレームを複数の白フレームと複数の黒フレームとに分ける。画面を形成するフレームを複数の白フレームと複数の黒フレームとに分け、画面内でも画面間でも白フレームで走査ドライバ12及びデータドライバ14による電気泳動素子100-mnの書込みを行うフレーム数と黒フレームで書込みを行うフレーム数とを一致させると共に、粒子の移動を遅緩させる要因の大きい粒子についての書込みフレームを画面内の最後のフレームにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気泳動表示装置及びその駆動方法に関し、詳しくは表示に残像、焼付きを生じさせず、良好な表示を行うことのできる電気泳動表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子的表示装置において、電子書籍、電子新聞等の目による読取りに際して、目にストレスを生じさせることなくその読取りを可能にするディスプレイとして、電子ペーパーディスプレイがあり、その開発も鋭意行われている。この電子ペーパーディスプレイに対する要求としては、薄型、軽量、割れに難いこと、印刷レベルとしての見易さ等がある。
これらの要求を満たす表示装置としては、バックライトを用いず、消費電力の少ない反射型ディスプレイがある。
【0003】
偏向板を用いない反射型ディスプレイとしては、電気泳動表示装置(以下、EPD(Electrophoretic Display)ともいう)等がある。EPDにも、幾つかの形式のものがあるが、以下においては、マイクロカプセル型電気泳動素子(電気泳動素子ともいう)を用いたEPDについて説明する。
図14は、モノクロのマイクロカプセル型電気泳動素子のm行n列のマトリクス状配列のm列の断面図を示す。マイクロカプセル型電気泳動素子の各々は、図14に示すように、TFTガラス基板102と、電気泳動フィルム110と、PET(Poly Ethylene Terephthalete)対向基板120とをこの順序で積層した積層構造の中に形成され、例えば、m行のマイクロカプセル型電気泳動素子100-m1、100-m2、100-m3が形成されている。これらの電気泳動素子は、電気泳動表示パネルを構成している。
【0004】
TFTガラス基板102には、電気泳動素子100-m1、100-m2、100-m3対応に、1個のTFT104-m1、104-m2、104-m3と、このTFT104-m1、104-m2、104-m3に接続される画素電極106-m1、106-m2、106-m3とが設けられている。また、ストレージ電極108-m1、108-m2、108-m3も電気泳動素子毎に設けられる。
電気泳動フィルム110は、ポリマーのバインダ112の中に約40μmのマイクロカプセル114が敷き詰められている。このマイクロカプセル114の各々は、従来、アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の画素電極の寸法より或る値だけ小さい。マイクロカプセル114の内部には、溶媒116が注入されており、その溶媒116中にナノレベルの大きさの、マイナスに帯電された白色顔料(白色粒子、TiO)117と、プラスに帯電された黒色顔料(黒色粒子、炭素)118とが無数浮遊せしめられている。
PET対向基板120は、TFTガラス基板102の各画素電極106-m1、106-m2、106-m3と対向する一枚の対向電極122が透明なプラスチック基板124に貼り付けられて形成されている。
したがって、マイクロカプセル型電気泳動素子100-m1、100-m2、100-m3の各々は、各画素対応のTFT104-m1、100-m2、100-m3、画素電極106-m1、106-m2、106-m3、マイクロカプセル114及び対向電極122の対応部によって形成されている。
【0005】
アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置(電気泳動表示装置ともいう)のマイクロカプセル型電気泳動素子のマトリクス状配列を平面上で模式的に示したのが図15である。図15の構成要素のうち、図14と同一の構成要素には同一の参照番号を付してある。
図15において、データ線Dnは、図15に示すアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置のマトリクス状配列の電気泳動素子100-mn(m=1、2、…、M、n=1、2、…、N)のうちの水平方向の各電気泳動素子100-mi(i=1、2、…、N)に表示データ信号を供給する線を代表して示す線である。また、図15において、走査線Gmは、図15に示すアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置のマトリクス状配列の電気泳動素子100-mnのうちの水平方向の電気泳動素子群100-m1、100-m2、…、100-mNに1走査線期間走査電圧を供給する線を代表して示す線である。
【0006】
図16は、アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の駆動回路140を示し、この駆動回路140は、マトリクス状配列の電気泳動素子のうちの水平方向の電気泳動素子群(100-m1、100-m2、…、100-mN)毎に1走査線期間走査電圧を順次に供給する走査ドライバ142と、マトリクス状配列の電気泳動素子のうちの水平方向の各電気泳動素子100-miに各データ線Dnを介して表示データ信号を順次に供給するデータドライバ144とを示す図である。
図17は、データドライバ144を構成するデータ線Dn毎のデータ信号発生回路145を示す図で、画面データに応答して選択信号を発生する選択信号発生回路146と、選択信号発生回路146から出力される選択信号対応の電圧をデータ線Dnに出力する電圧選択回路147とからなる。
【0007】
上述のように構成されるアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置は、次のようにしてマイクロカプセル型電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに電圧が印加されてアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の画面に入力される画面データ対応の画像が表示される。
【0008】
すなわち、アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の画面内の或る画素対応の電気泳動素子を白の表示状態(以下、Wともいう)で表示したいときには、その電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに負の電圧、例えば、−15ボルトの電圧をデータドライバ144の当該画素電極106-mnに接続されているデータ線、例えば、データ線Dnにデータドライバ144から所要フレーム数の間出力する。これを図17を用いて説明すると、画面データを受け取る選択信号発生回路146は、上記画素に対応する選択線、例えば、選択線152-n上に当該画素期間負の電圧を出力する。これにより、電圧選択回路147のpMOS、例えば、pMOS154-nはオンしてデータ線Dnに−15ボルトの電圧を出力する。
【0009】
また、アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の画面内の或る画素対応の電気泳動素子を黒の表示状態(以下、Bともいう)で表示したいときには、その電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに正の電圧、例えば、+15ボルトの電圧をデータドライバ144の当該画素電極106-mnに接続されているデータ線、例えば、データ線Dnにデータドライバ144から所要フレーム数の間出力する。これを図17を用いて説明すると、画面データを受け取る選択信号発生回路146は、上記画素に対応する選択線、例えば、選択線156-n上に当該画素期間負の電圧を出力する。これにより、電圧選択回路147のpMOS、例えば、pMOS158-nはオンしてデータ線Dnに+15ボルトの電圧を出力する。
【0010】
このようにしてモノクロの表示を行うアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置は、メモリ特性を有しているため、画素の表示をW→B又はB→Wに切り換える場合には、上述したと同様の電圧を切り換えたい画素対応の電気泳動素子の画素電極に印加する必要があるが、画素をW→W又はB→Bで表示する場合には、電気泳動素子がメモリ特性を有していることから基本的にはその画素に電圧を印加する必要はない。
【0011】
このようなアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置について、本発明者が解析した例を説明すると、次の通りである。
上述したと同様、電気泳動フィルムは、W→Bへの遷移の場合に画素電極に正の電圧を、又B→Wへの遷移の場合に画素電極に負の電圧を、W→W、B→Bでは0ボルトの電圧を印加する必要がある。
【0012】
また、アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の駆動において、液晶等のアクティブマトリクス型表示装置のように、1/60Hz=16.6msを1フレームとして1フレームで画面を書き換えることはできない。
これは、マイクロカプセル型電気泳動素子は、粒子が溶媒の入ったマイクロカプセル中に閉じ込まれており、粒子の応答性が悪く、複数フレームの期間電圧を印加し続けないと画面の書き換えが完了しないからである。
このため、アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置では、一般に、図18に示すように、複数フレームの期間、B(黒色)からW(白色)への書き換えの場合一定の負の電圧を、また、W(白色)からB(黒色)への書き換えの場合一定の正の電圧を印加し続けるPWM駆動(PWMはPulse Width Modulationの略である)を行う。
【0013】
図18に示す駆動を実現するために、従来例では、SRAMで構成されたフレームバッファーに前の画面を記憶し、次の画面との差分を取ることにより、B→W、W→Bのときに複数フレームの期間の間対応する電圧を印加していると考えられる。電圧の印加の仕方は、H−Driver(走査ドライバ)に3値(+V、0ボルト、−V)ドライバを用い、Vcom電圧は0ボルトとしている。各フレーム内の画素のB→W、W→Bへの書き換えを行う画素については、当該フレームの対応時刻に行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した従来のアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置について本発明者によりさらに解析をしたところ、次のような技術的課題があることが判明した。
マイクロカプセル型電気泳動素子は、メモリ性を有しているが、マイクロカプセル型電気泳動素子を図19に示す駆動態様で駆動した場合、画素電極に電圧を印加しないマイクロカプセル型電気泳動素子の駆動時の白輝度の低下や黒輝度の上昇があることが認められた。これは、マイクロカプセル型電気泳動素子のゲート線やデータ線の影響や対向電極の共通電位のDC成分のためと考えられる。
そのため、W→Wの場合や、B→Wの場合には、白輝度に差が生じ(図20、図21参照)、次の画面の表示時に、前の画面が残るという第1の残像の問題がある。
また、B→Bの場合や、W→Bの場合にも同様の問題がある。
【0015】
さらに、高精細の電子書籍表示端末装置を作ったり、2階調でディザパターンを表示したり、カラー化したりするためには、画素ピッチを150μm以下にする必要がある。このように、画素ピッチを挟ピッチにすると、或るマイクロカプセル型電気泳動素子が隣のマイクロカプセル型電気泳動素子に印加される画素電圧の影響を受けることが認められた。
これを具体的に言うと、2階調表示でディザパターンを表示するために、例えば、前の画面(Current Image)がそのパターンを黒で表示し、後の画面(Next Image)が市松模様で表示すると、黒が浮く、すなわち、画素本来の表示領域が縮小されることが認められた。
例えば、前の画面に何か領域的な黒の文字を表示し、次の画面でディザ表示をした場合に、前の文字が残るという第2の残像の問題がある。
【0016】
この問題は、従来の駆動法においては、前の画面で表示される図22の左に示すNTLなる文字領域(黒)の画素とディザパターンの黒画素では画素電圧が書き込まれないから、画素電極が100乃至150μm程度の微細なパターンになると、隣の画素の白表示の電圧を拾ってしまい、その隣の画素の画素電極上に位置するマイクロカプセルの中の白粒子が表面に出て来てしまう(図23)ために起こることが判った。
【0017】
上述したように、黒色(B)→白色(W)→黒色(B)→白色(W)と画面を切り替えている場合には、+15V、−15V、+15V、−15Vなる正負の電圧が順次画素の画素電極に交互に印加されて行くから、電気泳動素子に直流電圧は掛からない。
しかしながら、黒色(B)→黒色(B)→黒色(B)と黒状態を表示しようとして多数のフレーム数の間+15Vの電圧を画素電極に印加したり、また白色(W)→白色(W)→白色(W)と白状態を表示しようとして多数のフレーム数の間−15Vの電圧を画素電極に印加し続けると、それらの電圧が印加される電気泳動素子に恒常的にプラス又はマイナスの直流電位が印加され続けることになる。
そのため、電気泳動フィルムがチャージアップし、0Vにして画像の表示を止めても、チャージアップ部のみ表示させていた画像の反転の表示状態が表示される焼付きの問題が起こることが判った。
【0018】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、残像、焼付けの発生を防止し得る電気泳動表示装置及びその駆動方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、第1の方向に沿って互いに平行して延びる複数の信号線と、上記第1の方向と直交する第2の方向に沿って平行して延びる複数の走査線と、上記信号線と上記走査線との交点と1対1に対応して設けられた複数の画素電極を配置している画素基板と、上記画素電極と対向する透明な対向電極を有する対向基板と、上記画素電極と上記対向電極との間に移動可能に収蔵される互いに異なる色及び極性を持つ第1の帯電着色粒子及び第2の帯電着色粒子とを有してマトリクス状に画素を形成している電気泳動表示パネルの表示面に上記2つの色のうちの一方の色のパターン及び上記2つの色のうちの他方の色のパターンからなる画面を表示させる際に、上記パターンの上記画素に対応する上記画素電極と上記対向電極との間に上記色に対応する電位差を所定数のフレームの間印加する印加手段を有する電気泳動表示装置に係り、上記印加手段は、上記一方の色に対応する第1のフレーム群と上記他方の色に対応する第2のフレーム群とを所定の順序で上記画面毎に生成する第1の手段と、上記画面の表示において、上記第1の手段によって順次生成される上記フレーム群が上記第1のフレーム群又は上記第2のフレーム群となるとき、当該フレーム群の色対応の電位差を上記パターンに対応する上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加する第2の手段とを有して構成されることを特徴としている。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気泳動表示装置に係り、上記第2の手段は、上記表示面に表示される上記色を継続して表示しようとするとき、当該色に対応する上記フレーム群の前又は後の、上記当該色以外の色に対応する上記フレーム群で上記当該色に対応する上記電位差とは逆極性の電位差を上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加する第3の手段を備えることを特徴としている。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電気泳動表示装置に係り、上記第2の手段は、任意の上記画面で上記電気泳動素子を上記一方の色で表示させるのに必要なフレーム数と、上記画面に続く上記画面であって上記一方の色で表示させていた上記電気泳動素子を上記他方の色で表示させるときのフレーム数とを略同一にする第4の手段を備えることを特徴としている。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の電気泳動表示装置に係り、上記第4の手段は、第1の画面で上記電気泳動素子を上記一方の色で表示させるのに必要なフレーム数T1と、上記第1の画面に続く第2の画面で上記一方の色で表示させていた上記電気泳動素子を上記他方の色で表示させるときのフレーム数T2と、上記第2の画面に続く第3の画面で上記他方の色で表示させていた上記電気泳動素子を上記第2色で表示させるときのフレーム数T3と、上記第3の画面に続く第4の画面で上記他方の色で表示させていた上記電気泳動素子を上記一方の色で表示させるときのフレーム数T4との間に、次式
T2+T3=T1+T4
を成立させるように構成されることを特徴としている。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の電気泳動表示装置に係り、上記第2の手段は、上記電気泳動素子の電界応動能力が低い帯電粒子を上記対向電極へ移動させるフレーム群を画面形成の最後のフレーム群に設定する第5の手段を備えることを特徴としている。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一に記載の電気泳動表示装置に係り、上記第2の手段は、上記画面を切り換える際に上記電位差が異なるとき、上記切り換え前に印加されている上記電位差と上記切り換え後に印加しようとする上記電位差との中間の電位差を上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加する第6の手段を備えることを特徴としている。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の電気泳動表示装置に係り、上記第6の手段は、上記画面の切り換えにおいて、上記電気泳動素子を上記一方の色から上記他方の色へ変更する際に上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加される上記中間の電位差をV1とするときの該中間の電位差V1を印加するフレーム数をT1とし、上記電気泳動素子を上記他方の色から上記一方の色へ変更する際に上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加される上記中間の電位差をV2とするときの該中間の電位差V2を印加するフレーム数をT2とするとき、
V1×T1=V2×T2
を成立させるように構成されることを特徴としている。
【0026】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一に記載の電気泳動表示装置に係り、上記電気泳動表示パネルは、上記画素基板の上記画素電極が、上記走査線の信号によって制御されるゲート素子を介して上記信号線に接続され、上記対向基板が上記画素基板全域と対向する一枚の透明な対向電極を有し、上記一方の色の上記帯電着色粒子及び上記他方の色の上記帯電着色粒子はカプセル内に充填される溶媒中に浮遊せしめられ、上記カプセルは上記画素基板と上記対向基板との間のバインダ中に敷き詰められていることを特徴としている。
【0027】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか一に記載の電気泳動表示装置に係り、上記一方の色は、黒色であり、上記他方の色は白色であることを特徴としている。
【0028】
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか一に記載の電気泳動表示装置に係り、上記第2の手段の上記電位差を供給する手段は、上記対向電極の電位を基準電位に固定し、上記画素電極の電位を上記基準電位から上記電位差分だけ変更させる3値ドライバであることを特徴としている。
【0029】
請求項11記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか一に記載の電気泳動表示装置に係り、上記第2の手段の上記電位差を供給する手段は、上記対向電極の電位を上記色に応じて基準電位から上記電位差分だけ変更し、かつ、上記対向電極の電位の変更に従って上記対向電極と上記画素電極との間に上記色に対応する上記電位差を生じさせるように上記画素電極の電位を変更する2値ドライバであることを特徴としている。
【0030】
請求項12記載の発明は、第1の方向に沿って互いに平行して延びる複数の信号線と、上記第1の方向と直交する第2の方向に沿って平行して延びる複数の走査線と、上記信号線と上記走査線との交点と1対1に対応して設けられた複数の画素電極を配置している画素基板と、上記画素電極と対向する透明な対向電極を有する対向基板と、上記画素電極と上記対向電極との間に移動可能に収蔵される互いに異なる色及び極性を持つ第1の帯電着色粒子及び第2の帯電着色粒子とを有してマトリクス状に画素を形成している電気泳動表示パネルの表示面に上記2つの色のうちの一方の色のパターン及び上記2つの色のうちの他方の色のパターンからなる画面を表示させる際に、上記パターンの上記画素に対応する上記画素電極と上記対向電極との間に上記色に対応する電位差を所定数のフレームの期間印加して上記画面を表示させる電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記一方の色に対応するフレーム群と上記他方の色に対応するフレーム群とを所定の順序で上記画面毎に生成し、上記画面の表示において、順次生成される上記フレーム群が上記一方の色又は上記他方の色のフレーム群となるとき、当該フレーム群の色に対応する電位差を上記パターンに対応する電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加することを特徴としている。
【0031】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記表示面に表示されている上記色を継続して表示しようとするとき、当該色に対応する上記フレーム群の前又は後の、上記当該色以外の色に対応する上記フレーム群で上記当該色に対応する上記電位差とは逆極性の電位差を上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加することを特徴としている。
【0032】
請求項14記載の発明は、請求項12又は13記載の電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記表示面に上記一方の色の上記画面と上記他方の色の上記画面とが所定の順序で表示されるとき、上記一方の色の上記画面のフレーム数と上記他方の色の上記画面のフレーム数とを略同一にすることを特徴としている。
【0033】
請求項15記載の発明は、請求項14記載の電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記表示面に上記一方の色の第1の画面、上記他方の色の第2の画面、上記他方の色の第3の画面及び上記一方の色の第4の画面の順で形成して行く際の、上記一方の色の上記画面のフレーム数T1と、上記他方の色の上記画面のフレーム数T2と、上記他方の色の上記画面のフレーム数T3と、上記一方の色の上記画面のフレーム数T4との間に、次式
T2+T3=T1+T4
を成立させることを特徴としている。
【0034】
請求項16記載の発明は、請求項12、13、14又は15記載の電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記電気泳動素子の電界応動能力が低い帯電粒子を上記対向電極へ移動させる上記フレーム群を画面形成の最後のフレーム群とすることを特徴としている。
【0035】
請求項17記載の発明は、請求項12乃至16のいずれか一に記載の電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記画面を切り換える際に上記電位差が異なるとき、上記切り換え前に印加されている上記電位差と上記切り換え後に印加しようとする上記電位差との中間の電位差を上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加することを特徴としている。
【0036】
請求項18記載の発明は、請求項17記載の電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記画面の切り換えにおいて、上記電気泳動素子を上記一方の色から上記他方の色へ変更する際に上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加される上記中間の電位差をV1とするときの該中間の電位差V1を印加するフレーム数をT1とし、上記電気泳動素子を上記他方の色から上記一方の色へ変更する際に上記電気泳動素子の上記画素電極と上記対向電極との間に印加される上記中間の電位差をV2とするときの該中間の電位差V2を印加するフレーム数をT2とするとき、
V1×T1=V2×T2
を成立させることを特徴としている。
【0037】
請求項19記載の発明は、請求項12乃至18のいずれか一に記載の電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記電気泳動表示パネルは、上記画素基板の上記画素電極が、上記走査線の信号によって制御されるゲート素子を介して上記信号線に接続され、上記対向基板が上記画素基板全域と対向する一枚の透明な対向電極を有し、上記一方の色の上記帯電着色粒子及び上記他方の色の上記帯電着色粒子はカプセル内に充填される溶媒中に浮遊せしめられ、上記カプセルは上記画素電極基板と上記透明対向電極基板との間のバインダ中に敷き詰められていることを特徴としている。
【0038】
請求項20記載の発明は、請求項12乃至19のいずれか一に記載の電気泳動表示装置の駆動方法に係り、上記一方の色は、黒色であり、上記他方の色は白色であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0039】
この発明によれば、複数の画素(電気泳動素子)がマトリクス状に配列される電気泳動表示装置の表示面の画素に表示し得る2つの色のうちの一方の色のパターン及びその他方の色のパターンからなる画面を表示させるのに、一方の色に対応するフレーム群と他方の色に対応するフレーム群とを所定の順序で画面毎に生成し、画面の表示において、順次生成されるフレーム群が上記2つの色のいずれかの色のフレーム群となるとき、当該フレーム群の色に対応する電位差を、上記パターンの画素に対応する画素電極と対向電極との間に印加するようにしているから、画面内又は画面間での電気泳動素子の画素電極と対向電極との間に印加させる電位差を画面表示の目的に適合させて自在に印加することが可能になる。
したがって、残像や焼付きの防止を図る手段となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
この発明は、複数の画素(電気泳動素子)がマトリクス状に配列される電気泳動表示装置の表示面の画素に表示し得る2つの色のうちの一方の色のパターン及びその他方の色のパターンからなる画面を表示させる際に、画面を形成するフレームを所定の順序の一方の色に対応するフレーム群と他方の色に対応するフレーム群とから構成し、画面の表示において、順次生成されるフレーム群が上記2つの色のいずれかの色のフレーム群となるとき、当該フレーム群の色に対応する電位差を、上記パターンの画素に対応する電気泳動素子の画素電極と対向電極との間に印加させることを含んで構成される。
【実施例1】
【0041】
図1は、この発明の実施例1であるアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の駆動回路を示す図、図2は、同アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置のデータドライバを示す図、図3は、同アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置のデータドライバの駆動波形図、図4は、同アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の駆動において白状態から白状態への遷移間に黒状態を入れた場合の効果を説明する図、図5は、同アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の駆動における状態遷移図、図6は、同アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の第2の残像が発生する状態を示す図、また、図7は、同アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置の第2の残像が無くなる状態を示す図である。
【0042】
この実施例のアクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置(以下、電気泳動表示装置ともいう)10は、画面を形成するフレームを複数の白フレームと複数の黒フレームとに分け、画面内でも画面間でも白フレームで書込みを行うフレーム数と黒フレームで書込みを行うフレーム数とを一致させると共に、粒子の移動を遅緩させる要因の大きい粒子についての書込みフレームを画面内の最後のフレームにする装置に係り、図1に示すように、m行n列のマトリクス状配列のマイクロカプセル型電気泳動素子100-mn(m=1、2、…、M、n=1、2、…、N)を走査ドライバ12とデータドライバ14とにより駆動するようにして概略構成されている。マイクロカプセル型電気泳動素子100-mn自体の構成は、従来と同様、図14に示すものと同じである。マイクロカプセル型電気泳動素子100-mnは、その全体で電気泳動表示パネルを構成している。
【0043】
マイクロカプセル型電気泳動素子100-mnは、TFTゲート104-mnを介して走査線Gmとデータ線Dnとに接続されている。
走査ドライバ12は、TFTゲート104-mnがpMOSで構成されているとすると、走査線Gmに負のゲート電圧を出力するドライバである。
データドライバ14は、マイクロカプセル型電気泳動素子100-mnの画素の書き換えにおいてその書き換えの総フレームについて見た場合に、そのマイクロカプセル型電気泳動素子100-mnにDCを掛けてしまわない時系列の電圧をデータ線Dnに送出するドライバである。
【0044】
データドライバ14は、図2に示すように、選択信号発生回路26と電圧選択回路28とから構成される。選択信号発生回路26は、電圧選択回路28から+15ボルト(黒(B)の書込みを行うときの電圧)と、0ボルトと、−15ボルトの電圧(白(W)の書込みを行うときの電圧)から成る時系列の電圧を出力させる該時系列対応の選択信号を出力する回路であり、電圧選択回路28は、上記選択信号に応じて決まる電圧の時系列をデータ線Dnに送出する。
選択信号は、画像の各画面の画素データによって決まるもので、各画面の画素データに従って切り換えられる信号である。すなわち、各画面は、所定数の黒フレームと所定数の白フレームとで構成される。各画面内でのW→W、B→Bの遷移、並びに順次の画面間におけるB→W、W→Bの遷移を生じさせる選択信号は、次の条件を満たすようにして生成する(図3)。
【0045】
電気泳動素子100-mnを或る画面内で白(W)が継続する場合(W→W→W…が継続する場合)に、その画面の所定数の白フレームでWの書込みを行うが、それらの白フレームの前又は後の黒フレームで黒(B)の遷移を入れる、すなわち、或る画面の白フレームでのWの書込みの前の黒フレームでBの書込み又は白フレームでのWの書込みの後の黒フレームでBの書込みを入れる(図3の(1))。
この場合に、Bの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をV+=+15Vとする一方、Wの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をV−=−15Vとし、Wの書込みを行う白フレームのフレーム数をTww-とする一方、Bの書込みを行う黒フレームのフレーム数をTww+とする。
そのとき、下式、すなわち、
Tww+=Tww- ……(1)
を満たすようにする。
【0046】
また、電気泳動素子100-mnを或る画面内で黒が継続する場合(B→B→B…が継続する場合)に、その画面の所定数の黒フレームでBの書込みを行うが、それらの黒フレームの前又は後の白フレームで白(W)の遷移を入れる、すなわち、或る画面の黒フレームでのBの書込みの前の白フレームでWの書込み又は黒フレームでのBの書込みの後の白フレームでWの書込みを入れる(図3の(4))。
この場合に、Wの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をV−=−15Vとる一方、Bの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をV+=+15Vとし、Wの書込みを行う白フレームのフレーム数をTbb-とする一方、Bの書込みを行う黒フレームのフレーム数をTbb+とする。
そのとき、下式、すなわち、
Tbb+=Tbb- ……(2)
を満たすようにする。
【0047】
また、順次の画面でW→Bの書込みを行い、続く画面でB→Wの書込みを行う場合において、W→BのWの書込みにおいて電気泳動素子100-mnに印加する電圧をV−=−15Vとし、Bの書込みにおいて電気泳動素子100-mnに印加する電圧をV+=+15Vとし、Wの書込みを行う白フレームのフレーム数をTwb(−)とし、Bの書込みを行う黒フレームのフレーム数をTwb(+)とし、B→WのBの書込みにおいて電気泳動素子100-mnに印加する電圧をV+=+15Vとし、Wの書込みにおいて電気泳動素子100-mnに印加する電圧をV−=−15Vとし、Bの書込みを行う黒フレームのフレーム数をTbw(+)とし、Wの書込みを行う白フレームのフレーム数をTbw(−)としたとき、
Twb(+)+Tbw(+)=Tbw(−)+Twb(−) ……(3)
とする。
【0048】
次に、図1乃至図7を参照して、この実施例の動作を説明する。
この実施例においては、電気泳動表示装置の各電気泳動素子100-mnの駆動において、電気泳動素子100-mnを白の表示状態(以下、単にWともいう)から黒の表示状態(以下、単にBともいう)へ遷移させる場合と、電気泳動素子100-mnをBからWへ遷移させる場合の駆動は、次の点を除いて、従来と同様である。
すなわち、画像を表示するいずれの画面も、複数の黒フレームと複数の白フレームとを時系列的な所定順序で配置して構成される。各画面において順次に表示される黒フレーム群の数も白フレーム群の数も、異なる数又は同一数のフレームから成る。
【0049】
或る画面の表示状態を切り換える場合について説明する。
或る画面の黒フレームにおいて、走査ドライバ12からゲート線GmにTFTゲート104-mnをオンさせる信号を送出し、データドライバ14のデータ線Dnから電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに+15ボルトの電圧を印加して電気泳動素子100-mnにBを書き込み、電気泳動素子100-mnを黒で表示させている状態において、次の画面の白フレームでその電気泳動素子-mnを白に遷移させるには、走査ドライバ12からゲート線GmにTFTゲート104-mnをオンさせる信号を送出し、その画面の白フレームでデータドライバ14のデータ線Dnから電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに−15ボルトの電圧を印加する。
【0050】
この電気泳動素子100-mnの画素電極への−15ボルトの電圧の印加について図2を用いて説明すると、画面データを受け取る選択信号発生回路26は、電気泳動素子100-mnに白を生じさせる場合においては、上記画素に対応する選択線、例えば、選択線30-n上に当該画素期間負の電圧を出力する。これにより、電圧選択回路28のpMOS、例えば、pMOS36-nはオンしてデータ線Dnに−15ボルトの電圧を出力する。
【0051】
このようにして、電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに−15ボルトの電圧を印加すると、画素電極106-mnに正に帯電している黒色の炭素粒子を引き付ける一方、負に帯電している白色の酸化チタン粒子を対向電極122へ追い遣る。かくして、電気泳動素子100-mnは、黒状態から白状態に遷移する(図3の(2))。
【0052】
そして、遷移された白の表示状態(W)にある画面(上述の次の画面)の次の画面でその電気泳動素子100-mnをBに遷移させるには、走査ドライバ12からゲート線GmにTFTゲート104-mnをオンさせる信号を送出し、かつ、データドライバ14のデータ線Dnから電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに+15ボルトの電圧を印加させる。
この電気泳動素子100-mnの画素電極への+15ボルトの電圧の印加について図2を用いて説明すると、画面データを受け取る選択信号発生回路26は、電気泳動素子100-mnに生じさせているWから次の画面の黒フレームでBへ遷移させるには、上記画素に対応する選択線、例えば、選択線32-n上に当該画素期間負の電圧を出力する。これにより、電圧選択回路28のpMOS、例えば、pMOS38-nはオンしてデータ線Dnに+15ボルトの電圧を出力する。
【0053】
このようにして、電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに+15ボルトの電圧を印加すると、画素電極106-mnに負に帯電している白色の酸化チタン粒子を引き付ける一方、正に帯電している黒色の炭素粒子を対向電極122へ追い遣る。かくして、電気泳動素子100-mnは、白状態から黒状態に遷移する(図3の(3))。
【0054】
上述した具体的な駆動例を示す図3において、W→Bのとき、一旦白電圧を書き込んでいる理由は、黒フレームT=40フレームであるとき、B→Wのとき白フレームT=20フレームで非対称となるため、一旦白電圧を20フレームを挿入している。
上述のように、電気泳動素子100-mnは、BとWとが画面毎に繰り返される、又はWとBとが画面毎に繰り返される場合に、Bを生じさせる黒フレームのフレーム数とWを生じさせる白フレームのフレーム数とは、上述した式(3)を満たすように設定される。
これにより、電気泳動素子100-mnに直流電圧は印加されず、焼付きの問題は生じない。
【0055】
この実施例における電気泳動素子100-mnをWからWへ遷移させる場合及び電気泳動素子100-mnをBからBへ遷移させる場合の駆動は、次の通りである。
電気泳動素子100-mnを任意の画面内でWからWへ遷移させる場合の駆動は、図3の(1)に示すように、任意の画面内でWを表示する場合に、その画面の白フレームの前又は白フレームと白フレームとの間に黒フレームを入れる。
このようにして入れられる黒フレームのフレーム数Tww+と当該黒フレームに続いて入る白フレームのフレーム数Tww-とは、同一とする。この場合の黒フレームでBを書き込み、白フレームでWを書き込むために電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnへの電圧の印加は、図2に示すデータドライバ12によって行われるが、それらの電圧の印加の仕方は、画面間の遷移を生じさせる際に説明したところと同様であるので、その逐一の説明は省略する。
【0056】
また、電気泳動素子100-mnをBからBへ遷移させる場合の駆動は、図3の(4)に示すように、任意の画面でBを表示する場合に、その画面の黒フレームの前又は後の白フレームを入れる。
このようにして入れられる黒フレームのフレーム数Tbb+と当該黒フレームに続いて入る白フレームのフレーム数Tbb-とは、同一とする。この場合の黒フレームでBを書き込み、白フレームでWを書き込むために電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnへの電圧の印加も、任意の画面内でWからWへ遷移させる場合と同じである。
【0057】
この駆動法によれば、図4に示すように、電気泳動素子100-mnをWからWへ遷移させる際に、WとWとの間にBを入れてやると、電気泳動素子にチャージアップが生ずることなく、焼付きは生じない上、負の電圧(白電圧)が印加されて表示されるので、メモリ特性で白状態を維持しようとする場合に比して白輝度の低下(上述した第1の残像)を防止し得ることが実験的に確かめられた。
また、BからBへ遷移させる場合に、その間にWを入れると、メモリ特性で黒状態を維持しようとする場合に比して黒輝度の上昇(上述した第1の残像)を防止し得ることが実験的に確かめられた。
【0058】
そして、この実施例における駆動の状態遷移を図で示すと、図5のようになる。
図5において、W→Wにおける15V/−15Vの15Vは、WとWとの間にBを入れるための電圧であり、−15Vは、WからBになったそのBからWへ遷移させるための電圧である。また、B→Bにおける−15V/15Vの−15Vは、BとBとの間にWを入れるための電圧であり、15Vは、BからWになったそのWからBへ遷移させるための電圧である。
このとき、或る画面内でW→B(そのフレーム数T1)→W(そのフレーム数T2)の遷移を生じさせるとき、T1=T2とし、或る画面内でB→W(そのフレーム数T3)→B(そのフレーム数T4)の遷移を生じさせるとき、上述したように、T3=T4とすることは、上述した通りである。
【0059】
上述した第2の残像の問題は、画素電極が100〜150μm程度の微細なパターンの場合、当該電気泳動素子のマイクロカプセル内の粒子が、隣の電気泳動素子の画素電圧で発生する漏れ電界の影響を受けることで起きる。
この問題は、電気泳動素子の画素電極に電圧を印加しないときでも、また、電圧を印加した場合でも、当該電気泳動素子の隣の電気泳動素子からの漏れ電界があれば生ずる問題である。
【0060】
そして、第2の残像の問題は、マイクロカプセル内の異なる粒子の帯電量の差違にも依存する。マイクロカプセル内の白粒子の帯電量と黒粒子の帯電量とを同一にすることは難しい。本発明者により評価したEDP素子では、白粒子であるTiOの帯電量の方が、黒粒子である炭素粒子の帯電量よりも多いために、白粒子が早く移動する。
そのために、マイクロカプセルが画素電極の間に位置される場合は、当該マイクロカプセルの表面は白となり、白粒子が隣の画素にまで侵入することになる(図6)。このため、黒が浮くことになる。
【0061】
この問題を解決するために、白フレームと黒フレームとを分け、粒子の帯電量、移動度等の少ない方のフレーム、例えば、評価したEDP素子の例では黒フレームを最後にし、黒フレーム数を所要の数にするという手段を採用した。
この手段を用いると、一旦白粒子は、隣の画素にまで侵入するが、次に黒が書き込まれるので、画素の境界でマイクロカプセル中で黒粒子と白粒子とを領域的に分けることができ(図7)、上記第2の残像の問題は解決できる。
黒粒子が隣の画素電極にまで侵入しなかったのは、黒粒子の帯電量、移動度等が白粒子に比べて小さいことと、書込みフレームの数が最適化されたことによると考えられる。
【0062】
以上説明したところにより、[背景技術]の項で説明した第1の残像、第2の残像及び焼付きの問題の解決に役立つことを実証し得た。
上述した駆動法を要約して言えば、電気泳動素子に書き込もうとするフレームを白フレームと黒フレームとに分け、帯電量の少ない粒子の書込みフレームを最後にする。
そして、W→Wの遷移を生ぜしめようとするとき、その画面内の白フレームで書き込まれるWの前又は後の黒フレームでBの書込みを行い、そのとき、上述の式(1)を満たすようにする。
また、B→Bの遷移を生ぜしめようとするとき、その画面内の白フレームで書き込まれるBの前又は後の白フレームでWの書込みを行い、そのとき、上述の式(2)を満たすようにする。
また、順次の画面でW→Bの書込みを行い、次いでB→Wの書込みを行う場合には、上述の式(3)を満たすようにする。
【0063】
このように、この実施例によれば、画面を所定数の白フレームと黒フレームとを分け、画面内でW→Wの遷移を生ぜしめるときには、Wの書込みの前又は後Bの書込みを入れ、これらのW及びBの書込みフレーム数を式(1)を満たすようにしているから、W→Wの遷移で生ずる第1の残像及び焼付きを解消に役立つ。
また、画面内でB→Bの遷移を生ぜしめるときには、Bの書込みの前又は後Wの書込みを入れ、これらのB及びWの書込みフレーム数を式(2)を満たすようにしているから、B→Bの遷移で生ずる第1の残像及び焼付きを解消に役立つ。
また、黒フレームの書込みを画面の最後にすれば、第2の残像の解消に役立つ。
【実施例2】
【0064】
図8は、実施例1である電気泳動表示装置の駆動における対向電極の電圧と画素電極の電圧との関係を示す図、図9は、この発明の実施例2である電気泳動表示装置の駆動において対向電極に印加する電圧波形図である。
【0065】
この実施例の構成が、実施例1のそれと大きく異なる点は、2値ドライバで電気泳動表示装置の電気泳動素子を駆動するように構成した点である。
上述の駆動は、具体的には、COM電圧を振らないドット反転駆動、すなわち、Vcom=0Vとするもので、HDriver(データドライバ)は、+15V/0V/−15Vの3値ドライバーを用いている(図8)。つまり、この3値ドライバは、対向電極の電圧(COM電圧)を常に0Vに維持して画素電極の電圧を白フレームのときは−15Vにし、また、黒フレームのときは+15Vにするという駆動ドライバである。このようなデータドライバを次のようにして2値ドライバで同等の電気泳動素子の駆動を行うことも可能であり、これがこの実施例の特徴である。
【0066】
この特徴の基本的な構成は、画素電極に印加する電圧を、白フレームでも、また、黒フレームでも+15V又は0Vとする一方、上述した白フレームでの遷移時には、COM電圧を15Vとする一方、黒フレームでの遷移時には、COM電圧を0VとするようにCOM電圧を+15Vと0Vとの間で振る仕組みとするものである。
この構成により、白フレームの場合には、対向電極に+15ボルトを印加し(図9の実線の+15ボルトの区間)、かつ、画素電極に+15Vを印加すると、画素電極(pix)と対向電極の電位差は0ボルトとなり、対向電極に+15ボルトを印加し(図9の実線の+15ボルトの区間)、かつ、画素電極に0Vを印加すると、画素電極(pix)と対向電極の電位差は−15ボルトとなる。
【0067】
また、黒フレームの場合には、対向電極に0ボルトを印加し(図9の実線の0ボルトの区間)、かつ、画素電極に+15Vを印加すると、画素電極(pix)と対向電極の電位差は+15ボルトとなり、対向電極に0ボルトを印加し(図9の実線の0ボルトの区間)、かつ、画素電極に0Vを印加すると、画素電極(pix)と対向電極の電位差は0ボルトとなる。
したがって、2値ドライバでも、上述した駆動方法によれば、3値ドライバと同等の駆動が可能になる。
【0068】
このように、この実施例の構成によれば、2値ドライバで実施例1と同等の効果を享受することが可能になり、コストの低減を図るのに役立つ。
【実施例3】
【0069】
図10は、この発明の実施例3である電気泳動表示装置で行われる駆動の遷移図、図11は、同電気泳動表示装置の駆動波形図、図12は、実施例1又は実施例2の欠点を説明するタイムチャート、また、図13は、実施例3の長所を説明するタイムチャートである。
この実施例の構成が、実施例1又は実施例2のそれと大きく異なる点は、実施例1又は実施例2では生ずる画面の切替り時にチカチカとした表示状態が入るのを防止するように構成した点である。
【0070】
すなわち、この実施例の電気泳動表示装置は、W→B→Wの遷移を生じさせるとき、W→Bの遷移時の黒フレームでの電圧を+V(Vwb)、例えば、+15ボルトにするのではなく、図10及び図11に示すように、電気泳動素子をライトグレイ(LG)の表示状態にする中間電位(Vwb2)、例えば、+7.5ボルトにした後の白フレームで−15ボルトに戻し、B→W→Bの遷移を生じさせるとき、B→Wの遷移時の白フレームでの電圧を−V(Vwb)、例えば、−15ボルトにするのではなく、電気泳動素子をダークグレイ(DG)の表示状態にする中間電位(Vbw2)、例えば、+12ボルトにした後の黒フレームで+15ボルトに戻す。
【0071】
これに加えて、Vwb2の中間電位が印加されるフレーム数をT1とし、Vbw2の中間電位が印加されるフレーム数をT2としたとき、次式
Vwb2×T1=Vbw2×T2 ……(4)
とする。
これにより、電気泳動フィルムに直流電位の発生(チャージアップ)を抑制することができる。
上式(4)を成立させることにより、チャージアップを抑制することはできるが、マイクロカプセル中の黒粒子の移動という意味では、上式(4)を成立させても、黒粒子の移動量は同じではない。それは、電圧が低いと、黒粒子の移動量も少ないからである。
【0072】
このようにすることにより、実施例1又は実施例2では、図12に示すように、W→B→Wの駆動をするとき、白に続いて黒、そして白という明滅、すなわち、チカチカとした眩しさ(違和感)が生じる(フラッシングが生ずる)という不都合があるが、上述した実施例3の駆動を行うことにより、白に続いてライトグレイ、そして白という表示状態になるので、表示内に生ずる違和感を大幅に緩和することができる。
実施例1又は実施例2での駆動法によれば、B→W→Bの駆動においては、黒に続いて白、そして黒という明滅、すなわち、チカチカとした眩しさ(違和感)が生じるという不都合があるが、上述した実施例3の駆動によれば、黒に続いてダークグレイ、そして黒という表示状態になるので、表示内に生ずる違和感を大幅に緩和することができる。
【0073】
このように、この実施例によれば、実施例1又は実施例2の効果を享受しつつ、フラッシングの緩和に役立つ。
【0074】
以上、この発明の実施例を、図面を参照して詳述してきたが、この発明の具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもそれらはこの発明に含まれる。
例えば、実施例では、画面内でW→W→W…と継続する場合に式(1)を成立させること、同様にB→B→B…と継続する場合に式(2)を成立させることについて説明したが、必ずしもその必要はなく、若干の違いがあっても許容される。
同様に、画面間でW→B→B→Wとなる駆動の場合に式(3)を成立させることについて説明したが、必ずしもその必要はなく、若干の違いがあってもよい。
また、同様に、実施例3の場合に式(4)を成立させることについて説明したが、必ずしもその必要はなく、若干の違いがあってもよい。
上述のことを継受しながら、白色の帯電粒子と黒色の帯電粒子とがカプセル内に収蔵されて構成されるマイクロカプセル型電気泳動素子をその他の2つの色の帯電粒子とされてもこの発明は実施し得る。
また、PET対向基板は、一枚の対向電極を貼り付けた透明なプラスチック基板について説明したが、例えば、走査線方向に延びてその方向における各対向電極で構成してこの発明を実施するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
ここに開示している電気泳動表示装置の駆動方法の駆動方法及びその装置は、各種の表示装置、例えば、情報処理装置、携帯端末装置、ビデオカメラの表示装置等やテレビ等として利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施例1である電気泳動表示装置の駆動回路を示す図である。
【図2】同電気泳動表示装置のデータドライバを示す図である。
【図3】同電気泳動表示装置のデータドライバの駆動波形図である。
【図4】同電気泳動表示装置の駆動においてWからWへの遷移間に黒状態を入れた場合の効果を説明する図である。
【図5】同電気泳動表示装置の駆動における状態遷移図である。
【図6】同電気泳動表示装置の第2の残像が発生する状態を示す図である。
【図7】同電気泳動表示装置の第2の残像が無くなる状態を示す図である。
【図8】実施例1である電気泳動表示装置の駆動における対向電極の電圧と画素電極の電圧との関係を示す図である。
【図9】この発明の実施例2である電気泳動表示装置の駆動において対向電極に印加する電圧波形図である。
【図10】この発明の実施例3である電気泳動表示装置で行われる駆動の遷移図である。
【図11】同電気泳動表示装置の駆動波形図である。
【図12】実施例1又は実施例2の欠点を説明するタイムチャートである。
【図13】実施例3の長所を説明するタイムチャートである。
【図14】従来のマイクロカプセル型電気泳動素子パネルの構造の断面図である。
【図15】同電気泳動表示装置のマトリクス状配列の電気泳動素子の模式図である。
【図16】同電気泳動表示装置の駆動回路を示す図である。
【図17】同電気泳動表示装置のデータドライバの一部構成を示す図である。
【図18】同電気泳動表示装置のデータドライバの駆動波形図である。
【図19】同電気泳動表示装置を駆動する遷移図である。
【図20】同電気泳動表示装置で生ずる第1の残像の問題を説明する図である。
【図21】同電気泳動表示装置で生ずる第1の残像の問題を説明するタイムチャートである。
【図22】同電気泳動表示装置で生ずる第2の残像の問題を説明する図である。
【図23】同電気泳動表示装置で生ずる第2の残像の問題を説明するためのパネル断面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 アクティブマトリクス型マイクロカプセル型電気泳動表示装置
12 走査ドライバ
14 データドライバ(第1の手段、第2の手段)
26 選択信号発生回路(第1の手段の一部、第2の手段の一部)
28 電圧選択回路(第1の手段の残部、第2の手段の残部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って互いに平行して延びる複数の信号線と、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って平行して延びる複数の走査線と、前記信号線と前記走査線との交点と1対1に対応して設けられた複数の画素電極を配置している画素基板と、前記画素電極と対向する透明な対向電極を有する対向基板と、前記画素電極と前記対向電極との間に移動可能に収蔵される互いに異なる色及び極性を持つ第1の帯電着色粒子及び第2の帯電着色粒子とを有してマトリクス状に画素を形成している電気泳動表示パネルの表示面に前記2つの色のうちの一方の色のパターン及び前記2つの色のうちの他方の色のパターンからなる画面を表示させる際に、前記パターンの前記画素に対応する前記画素電極と前記対向電極との間に前記色に対応する電位差を所定数のフレームの間印加する印加手段を有する電気泳動表示装置であって、
前記印加手段は、
前記一方の色に対応する第1のフレーム群と前記他方の色に対応する第2のフレーム群とを所定の順序で前記画面毎に生成する第1の手段と、
前記画面の表示において、前記第1の手段によって順次生成される前記フレーム群が前記第1のフレーム群又は前記第2のフレーム群となるとき、当該フレーム群の色対応の電位差を前記パターンに対応する前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加する第2の手段とを有して構成されることを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
前記第2の手段は、前記表示面に表示される前記色を継続して表示しようとするとき、当該色に対応する前記フレーム群の前又は後の、前記当該色以外の色に対応する前記フレーム群で前記当該色に対応する前記電位差とは逆極性の電位差を前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加する第3の手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電気泳動表示装置。
【請求項3】
前記第2の手段は、任意の前記画面で前記電気泳動素子を前記一方の色で表示させるのに必要なフレーム数と、前記画面に続く前記画面であって前記一方の色で表示させていた前記電気泳動素子を前記他方の色で表示させるときのフレーム数とを略同一にする第4の手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の電気泳動表示装置。
【請求項4】
前記第4の手段は、第1の画面で前記電気泳動素子を前記一方の色で表示させるのに必要なフレーム数T1と、前記第1の画面に続く第2の画面で前記一方の色で表示させていた前記電気泳動素子を前記他方の色で表示させるときのフレーム数T2と、前記第2の画面に続く第3の画面で前記他方の色で表示させていた前記電気泳動素子を前記第2色で表示させるときのフレーム数T3と、前記第3の画面に続く第4の画面で前記他方の色で表示させていた前記電気泳動素子を前記一方の色で表示させるときのフレーム数T4との間に、次式
T2+T3=T1+T4
を成立させるように構成されることを特徴とする請求項3記載の電気泳動表示装置。
【請求項5】
前記第2の手段は、前記電気泳動素子の電界応動能力が低い帯電粒子を前記対向電極へ移動させるフレーム群を画面形成の最後のフレーム群に設定する第5の手段を備えることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の電気泳動表示装置。
【請求項6】
前記第2の手段は、前記画面を切り換える際に前記電位差が異なるとき、前記切り換え前に印加されている前記電位差と前記切り換え後に印加しようとする前記電位差との中間の電位差を前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加する第6の手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の電気泳動表示装置。
【請求項7】
前記第6の手段は、前記画面の切り換えにおいて、前記電気泳動素子を前記一方の色から前記他方の色へ変更する際に前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加される前記中間の電位差をV1とするときの該中間の電位差V1を印加するフレーム数をT1とし、前記電気泳動素子を前記他方の色から前記一方の色へ変更する際に前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加される前記中間の電位差をV2とするときの該中間の電位差V2を印加するフレーム数をT2とするとき、
V1×T1=V2×T2
を成立させるように構成されることを特徴とする請求項6記載の電気泳動表示装置。
【請求項8】
前記電気泳動表示パネルは、前記画素基板の前記画素電極が、前記走査線の信号によって制御されるゲート素子を介して前記信号線に接続され、前記対向基板が前記画素基板全域と対向する一枚の透明な対向電極を有し、前記一方の色の前記帯電着色粒子及び前記他方の色の前記帯電着色粒子はカプセル内に充填される溶媒中に浮遊せしめられ、前記カプセルは前記画素基板と前記対向基板との間のバインダ中に敷き詰められていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の電気泳動表示装置。
【請求項9】
前記一方の色は、黒色であり、前記他方の色は白色であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の電気泳動表示装置。
【請求項10】
前記第2の手段の前記電位差を供給する手段は、前記対向電極の電位を基準電位に固定し、前記画素電極の電位を前記基準電位から前記電位差分だけ変更させる3値ドライバであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の電気泳動表示装置。
【請求項11】
前記第2の手段の前記電位差を供給する手段は、前記対向電極の電位を前記色に応じて基準電位から前記電位差分だけ変更し、かつ、前記対向電極の電位の変更に従って前記対向電極と前記画素電極との間に前記色に対応する前記電位差を生じさせるように前記画素電極の電位を変更する2値ドライバであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の電気泳動表示装置。
【請求項12】
第1の方向に沿って互いに平行して延びる複数の信号線と、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って平行して延びる複数の走査線と、前記信号線と前記走査線との交点と1対1に対応して設けられた複数の画素電極を配置している画素基板と、前記画素電極と対向する透明な対向電極を有する対向基板と、前記画素電極と前記対向電極との間に移動可能に収蔵される互いに異なる色及び極性を持つ第1の帯電着色粒子及び第2の帯電着色粒子とを有してマトリクス状に画素を形成している電気泳動表示パネルの表示面に前記2つの色のうちの一方の色のパターン及び前記2つの色のうちの他方の色のパターンからなる画面を表示させる際に、前記パターンの前記画素に対応する前記画素電極と前記対向電極との間に前記色に対応する電位差を所定数のフレームの期間印加して前記画面を表示させる電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記一方の色に対応するフレーム群と前記他方の色に対応するフレーム群とを所定の順序で前記画面毎に生成し、
前記画面の表示において、順次生成される前記フレーム群が前記一方の色又は前記他方の色のフレーム群となるとき、当該フレーム群の色に対応する電位差を前記パターンに対応する電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加することを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項13】
前記表示面に表示されている前記色を継続して表示しようとするとき、当該色に対応する前記フレーム群の前又は後の、前記当該色以外の色に対応する前記フレーム群で前記当該色に対応する前記電位差とは逆極性の電位差を前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加することを特徴とする請求項12記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項14】
前記表示面に前記一方の色の前記画面と前記他方の色の前記画面とが所定の順序で表示されるとき、前記一方の色の前記画面のフレーム数と前記他方の色の前記画面のフレーム数とを略同一にすることを特徴とする請求項12又は13記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項15】
前記表示面に前記一方の色の第1の画面、前記他方の色の第2の画面、前記他方の色の第3の画面及び前記一方の色の第4の画面の順で形成して行く際の、前記一方の色の前記画面のフレーム数T1と、前記他方の色の前記画面のフレーム数T2と、前記他方の色の前記画面のフレーム数T3と、前記一方の色の前記画面のフレーム数T4との間に、次式
T2+T3=T1+T4
を成立させることを特徴とする請求項14記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項16】
前記電気泳動素子の電界応動能力が低い帯電粒子を前記対向電極へ移動させる前記フレーム群を画面形成の最後のフレーム群とすることを特徴とする請求項12、13、14又は15記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項17】
前記画面を切り換える際に前記電位差が異なるとき、前記切り換え前に印加されている前記電位差と前記切り換え後に印加しようとする前記電位差との中間の電位差を前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加することを特徴とする請求項12乃至16のいずれか一に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項18】
前記画面の切り換えにおいて、前記電気泳動素子を前記一方の色から前記他方の色へ変更する際に前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加される前記中間の電位差をV1とするときの該中間の電位差V1を印加するフレーム数をT1とし、前記電気泳動素子を前記他方の色から前記一方の色へ変更する際に前記電気泳動素子の前記画素電極と前記対向電極との間に印加される前記中間の電位差をV2とするときの該中間の電位差V2を印加するフレーム数をT2とするとき、
V1×T1=V2×T2
を成立させることを特徴とする請求項17記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項19】
前記電気泳動表示パネルは、前記画素基板の前記画素電極が、前記走査線の信号によって制御されるゲート素子を介して前記信号線に接続され、前記対向基板が前記画素基板全域と対向する一枚の透明な対向電極を有し、前記一方の色の前記帯電着色粒子及び前記他方の色の前記帯電着色粒子はカプセル内に充填される溶媒中に浮遊せしめられ、前記カプセルは前記画素電極基板と前記透明対向電極基板との間のバインダ中に敷き詰められていることを特徴とする請求項12乃至18のいずれか一に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項20】
前記一方の色は、黒色であり、前記他方の色は白色であることを特徴とする請求項12乃至19のいずれか一に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−163987(P2007−163987A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362318(P2005−362318)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】