説明

電気泳動表示装置及び電気泳動表示装置の製造方法

【課題】電気泳動粒子の表示性能が低下するのを低減した電気泳動表示装置を提供する。
【解決手段】電気泳動表示装置は、画素電極116を備えた画素基板102と、画素基板102と対向配置された、共通電極118を備えた対向基板104と、画素電極116と共通電極118との間に形成されたバインダー層106と、電気泳動粒子110と分散液114とを含む分散液114と、を含み、バインダー層106は、断面視で、画素電極116側から共通電極118側に向かうに従って、幅が広くなるように形成された収容部108を有し、分散液114は、収容部108に充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置及び電気泳動表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセル方式の電気泳動表示装置は、電気泳動粒子と分散媒とを含む分散液をポリマー膜に包んだマイクロカプセルと、そのマイクロカプセルへ電圧を印加する電極と、マイクロカプセル同士若しくはマイクロカプセルと電極とを接着させるバインダー層とを含んで構成される場合がある。そして、その従来技術としては、例えば特許文献1又は特許文献2に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−102051号公報
【特許文献2】特開2003−140201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のマイクロカプセル方式の電気泳動表示装置には、電気泳動粒子が球状のマイクロカプセルに内包されているため、電極基板と接しない部分、即ちマイクロカプセルの周辺部においては、均一な電位勾配が形成されにくく、上記電気泳動粒子の表示性能が低下する可能性があるといった課題があった。
そこで、本発明のいくつかの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電気泳動粒子の表示性能が低下するのをより防止した電気泳動表示装置及び電気泳動表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、第1の電極を備えた第1の基板と、前記第1の基板と対向配置された、第2の電極を備えた第2の基板と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されたバインダー層と、電気泳動粒子と分散媒とを含む分散液と、を含み、前記バインダー層は、断面視で、前記第1の電極側から前記第2の電極側に向かうに従って、幅が広くなるように形成された収容部を有し、前記分散液は、前記収容部に充填されていることを特徴とする電気泳動表示装置である。
【0006】
上記態様によれば、収容部は断面視で第1の電極側から第2の電極側に向かうに従って、幅が広くなるように形成されているので、第2の電極側に均一な電位勾配を形成することができる。このため、例えば電気泳動粒子が白色粒子と黒色粒子の2種類の粒子を含んでいる場合には、第1の電極に印加する電圧の極性によっては、白色粒子或いは黒色粒子のうち何れか一方を第2の電極側に一様に配置することができる。よって、マイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置と比較して、電気泳動粒子の表示性能が低下するのをより防止することができる。
【0007】
また、本発明の他の態様は、前記収容部の形状は、半球状であることとしてもよい。
上記態様によれば、収容部の形状は半球状であるので、第1の電極に印加する電圧の極性によっては、白色或いは黒色の電気泳動粒子のうち一方を半球状の収容部の壁面、即ち断面視で円弧状に湾曲した壁面に沿わせて第2の電極側に一様に配置することができる。このため、マイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置と比較して、電気泳動粒子の表示性能が低下するのをより防止することができるとともに、例えば収容部が隔壁構造である電気泳動表示装置と比較して、表示速度を高めることができる。
【0008】
本発明の他の態様は、第1の電極を備えた第1の基板を覆うように、バインダーと、微粒子と、を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後、前記バインダーより前記微粒子に対するエッチングレートが高いエッチャントを用いてエッチングして前記微粒子を除去することで、前記バインダーに収容部を形成する収容部形成工程と、前記収容部形成工程後、前記収容部に電気泳動粒子と分散媒とを含む分散液を充填する充填工程と、前記充填工程後、前記バインダーを覆うように第2の電極を備えた第2の基板を配置し、前記分散液を封止する封止工程と、を有することを特徴とする電気泳動表示装置の製造方法である。
【0009】
上記態様によれば、第1の電極と第2の電極との間に形成された収容部内に電気泳動粒子と分散媒とを含む分散液を充填した電気泳動表示装置を製造することができる。そして、この電気泳動表示装置に含まれる収容部は、断面視で第1の電極側から第2の電極側に向かうに従って、幅が広くなるように形成されているので、第2の電極側に均一な電位勾配を形成することができる。このため、電気泳動粒子が白色粒子と黒色粒子の2種類の粒子を含んでいる場合には、第1の電極に印加する電圧の極性によっては、白色粒子或いは黒色粒子のうち何れか一方を第2の電極側に一様に配置することができる。よって、マイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置と比較して、電気泳動粒子の表示性能が低下するのをより防止した電気泳動表示装置を製造することができる。
【0010】
また、本発明の他の態様は、前記収容部形成工程では、前記微粒子に球状の微粒子を用いることで、前記バインダーに半球状の収容部を形成することとしてもよい。
上記態様によれば、バインダー層に半球状の収容部が形成されるので、第1の電極に印加する電圧の極性によっては、白色或いは黒色の電気泳動粒子のうち一方を半球状の収容部の壁面、即ち断面視で円弧状に湾曲した壁面に沿わせて第2の電極側に一様に配置することができる。このため、マイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置と比較して、電気泳動粒子の表示性能が低下するのをより防止するとともに、例えば収容部が隔壁構造である電気泳動表示装置と比較して、表示速度を高めた電気泳動表示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る電気泳動表示装置を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る電気泳動表示装置の製造方法を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る電気泳動表示装置の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する場合もある。
【0013】
≪電気泳動表示装置について≫
図1(a)は、本発明の実施形態に係る電気泳動表示装置の断面図を示す。また、図1(b)は、本発明の実施形態に係る電気泳動表示装置において、黒く表示されている場合の電気泳動粒子の位置を示す断面図である。
図1(a)に示すように、電気泳動表示装置は、画素基板102と、画素基板102と対向配置された対向基板104と、画素基板102と対向基板104との間に形成されたバインダー層106と、バインダー層106に形成された収容部108と、収容部108内に充填された、電気泳動粒子110と分散媒112とを含む分散液114と、画素基板102と収容部108との間に形成された画素電極116と、対向基板104と収容部108との間に形成され、画素基板102と対向して形成された共通電極118と、を含んでいる。
【0014】
なお、画素電極116には一定の電圧を印加することができ、共通電極118は接地されている。また、共通電極118は、例えばITO電極である。また、対向基板104は、例えば透明基板である。
そして、収容部108の形状は、例えば半球状である。
さらに、電気泳動粒子110は、白色粒子110aと黒色粒子110bとを含んでいる。なお、白色粒子110aは、黒色粒子110bが有する電荷と異なる電荷を備えている。
また、収容部108の一部は画素電極116と接触している。また、収容部108の一部は共通電極118とも接触している。
【0015】
以上のように、本実施形態に係る電気泳動表示装置によれば、収容部108の形状は半球状であるので、対向基板104側に均一な電位勾配を形成することができる。このため、画素電極116に印加した電圧の極性によっては、例えば黒色粒子110bを半球状の収容部108の壁面、即ち断面視で円弧状に湾曲した壁面に沿わせて共通電極118側に一様に集めることができる(図1(b)を参照。)。よって、マイクロカプセル方式の電気泳動表示装置と比較して、電気泳動粒子110の表示性能が低下するのをより防止することができる。
【0016】
また、例えば収容部108が隔壁構造である電気泳動表示装置と比較して、表示速度を高めることができる。
また、収容部108の形状は半球状であるので、表示面(即ち、対向基板104)側と反対側(即ち、画素電極102側)に偏在する粒子(例えば、白色粒子110a)は中央部に集まる(図1(b)を参照。)。よって、遮蔽率が高くなり、表示する際のコントラストを向上させることができる。
なお、本実施形態では、収容部108が画素電極116に接触している場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、収容部108と画素電極116との間にバインダー層106が介在していても良い。
【0017】
また、本実施形態では、収容部108が共通電極118に接触している場合について説明したが、これに限定されるものではない。後述する変形例(図3を参照)で示すように、例えば、収容部108と共通電極118との間に接着層120が介在していても良い。
また、本実施形態では、収容部108の形状が半球状である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、収容部108の形状は、断面視で画素基板102側から対向基板104側に向かうに従って、幅が広くなるような形状をしていれば良い。
ここで、本実施形態における「画素基板102」は、本願請求項の「第1の基板」に相当し、「対向基板104」は、本願請求項の「第2の基板」に相当し、「画素電極116」は、本願請求項の「第1の電極」に相当し、「共通電極118」は、本願請求項の「第2の電極」に相当する。
【0018】
≪電気泳動表示装置の製造方法について≫
上記実施形態に係る電気泳動表示装置の製造方法について、図2(a)〜(e)を参照しながら説明する。
まず、図2(a)に示すように、画素電極116を備えた画素基板102を覆うように、バインダー106′と、バインダー106′よりエッチングレートの高い球状の微粒子220と、を塗布する。この際、例えばダイコートあるいはスリットコートといった塗布方法を用いることができる。なお、微粒子220とバインダー106′とを塗布する際、微粒子220の表面全てがバインダー106′で覆われるようにしても良いし、微粒子220の表面の一部が露出するようにしても良い。
【0019】
次に、図2(b)に示すように、バインダー106′に含まれる溶媒成分を蒸発させることでバインダー106′を乾燥させ、硬化させる。こうして、バインダー層106を形成する。バインダー層106を形成する際、バインダー層106の膜厚を球状の微粒子220の半径と概ね同じ厚みにする。こうして、球状の微粒子220の表面の一部を露出させる。
【0020】
次に、図2(c)に示すように、エッチングして微粒子220を除去することで、バインダー層106に収容部108を形成する。このエッチングの条件については、後で説明する。
次に、図2(d)に示すように、収容部108に電気泳動粒子110と分散媒112とを含む分散液114を充填する。分散液114を充填する際、例えばインクジェット方式を用いることができる。
【0021】
最後に、図2(e)に示すように、バインダー層106を覆うように共通電極118を備えた対向基板104を配置し、分散液114を封止する。なお、バインダー層106は接着性を備えているため、バインダー層106に共通電極118を備えた対向基板104を貼り合わせて配置することができる。
本実施形態では、上記したように、微粒子220をエッチングで除去することで、バインダー層106に収容部108を形成している。そこで、このエッチング工程における微粒子220の材料と、バインダー層106の材料と、エッチャントとの組み合わせの具体例を以下に示す。
【0022】
<具体例1:微粒子220の材料にシロキサンを用いた場合>
バインダー層106の材料には、ウレタン、エポキシ、アクリル、スチレン―ブタジエンゴム、ニトリル―ブタジエンゴム、ポリビニルアセタール、クロロプレンゴム、セルロース、エチレン―酢酸ビニルの何れかを用いる。
そして、エッチャントには、フッ酸を用いる。
<具体例2:微粒子220の材料にポリスチレンを用いた場合>
バインダー層106の材料には、ウレタン、エポキシ、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴムの何れかを用いる。
そして、エッチャントには、ケトン系溶媒を用いる。
【0023】
<具体例3:微粒子220の材料にポリビニルアルコールを用いた場合>
バインダー層106の材料には、ウレタン、エポキシ、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、セルロース、エチレン‐酢酸ビニルの何れかを用いる。
そして、エッチャントには、水、アルコール系溶媒又はケトン系溶媒を用いる。
<具体例4:微粒子220の材料にポリメタクリレートを用いた場合>
バインダー層106の材料には、ウレタン、エポキシ、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴムの何れかを用いる。
そして、エッチャントには、ケトン系溶媒を用いる。
【0024】
<具体例5:微粒子220の材料にポリカーボネートを用いた場合>
バインダー層106の材料には、ウレタン、エポキシ、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴムの何れかを用いる。
そして、エッチャントには、ケトン系溶媒を用いる。
上記の組み合わせにより、画素基板102上に配置された球状の微粒子220を選択的に除去することができるので、バインダー層106に半球状の収容部108を形成することができる。
【0025】
以上の製造方法によれば、画素基板102と対向基板104との間に形成された収容部108内に電気泳動粒子110と分散媒112とを含む分散液114を充填した電気泳動表示装置製造することができる。そして、この収容部108は、断面視で画素基板102側から対向基板104側に向かうに従って、幅が広がるように形成されているので、共通電極118側に均一な電位勾配を形成することができる。このため、電気泳動粒子110が白色粒子110aと黒色粒子110bの2種類の粒子を含んでいる場合には、画素電極116に印加する電圧の極性によっては、白色粒子110a或いは黒色粒子110bのうち何れか一方を共通電極118側に一様に集めることができる。よって、マイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置と比較して、電気泳動粒子110の表示性能が低下するのをより防止した電気泳動表示装置を製造することができる。
【0026】
また、画素電極116に電圧を印加した場合には、収容部108の形状は半球状であるので、電気泳動粒子110に含まれる白色粒子110aあるいは黒色粒子110bのいずれか一方を半球状の収容部108の壁面、即ち断面視で円弧状に湾曲した壁面に沿わせて共通電極118側に一様に集めることができる。よって、マイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置と比較して、電気泳動粒子110の表示性能の低下をより防止することができるとともに、例えば収容部108が隔壁構造である電気泳動表示装置と比較して、表示速度を高めることができる。
なお、上記実施形態では、バインダー層106の膜厚を球状の微粒子220の半径と概ね同じ厚みにする場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、バインダー層106の膜厚を球状の微粒子220の半径の1/4以上3/4以下の厚みとしても良い。
【0027】
また、上記実施形態によれば、微粒子220の形状として球状のものを用いて、バインダー層106に収容部108を形成する収容部形成工程について説明したが、球状の微粒子220に限定されるものではない。微粒子220の形状は、断面視で画素基板102側から対向基板104側に向かうに従って、幅が広がっているような形状であれば良い。このため、例えば断面が楕円形の微粒子を用いても良い。
ここで、本実施形態における「画素基板102」は、本願請求項の「第1の基板」に相当し、「対向基板104」は、本願請求項の「第2の基板」に相当し、「画素電極116」は、本願請求項の「第1の電極」に相当し、「共通電極118」は、本願請求項の「第2の電極」に相当する。
【0028】
≪変形例について≫
本発明は、上記電気泳動表示装置に限定されるものではない。例えば、上記電気泳動表示装置の変形例として、図3に示す電気泳動表示装置(以下、「変形例」ともいう。)であっても良い。
この変形例の構造は、上記実施形態に係る電気泳動表示装置の構造と概ね同じであるが、接着層120を有する点で上記実施形態に係る電気泳動表示装置と異なる。
図3に示すように、この接着層120は、共通電極118とバインダー層106との間に形成されている。なお、接着層120は接着性を備えていればバインダー層106と同じ材質であっても良いし、異なる材質であっても良い。これにより、変形例では、接着層120を用いなかった場合と比較して、より強固にバインダー層106と共通電極118とを貼り合わせることができる。
【0029】
上記変形例に係る電気泳動表示装置であっても、上記実施形態に係る電気泳動表示装置の場合と同様に、収容部108の形状は半球状であるので、対向基板104側に均一な電位勾配を形成することができる。このため、画素電極116に印加した電圧の極性によっては、電気泳動粒子110に含まれる白色粒子110aあるいは黒色粒子110bのいずれか一方を半球状の収容部108の壁面、即ち断面視で円弧状に湾曲した壁面に沿わせて共通電極118側に一様に集めることができる。よって、マイクロカプセル方式の電気泳動表示装置と比較して、電気泳動粒子110の表示性能が低下するのをより防止することができる。また、例えば収容部108が隔壁構造である電気泳動表示装置と比較して、表示速度を高めることができる。
【0030】
また、上記実施形態について説明した作用・効果以外の他の作用・効果については、以下で簡単に説明する。
<その他の作用・効果について>
上記実施形態によれば、隔壁構造方式と比較して低コストで電気泳動表示装置を製造することができる。
また、上記実施形態によれば、マイクロカプセル方式と比較して、マイクロカプセル化の工程が無いため、低コストで電気泳動表示装置を製造でき、かつ微粒子220の動作に悪影響を与える可能性のある不純物が分散媒中に混入しにくい利点もある。
また、上記実施形態によれば、隔壁構造方式と比較して壁材に接着性のある材料を使用できるため、共通電極118若しくは対向基板104の貼り合わせが容易である。
【0031】
また、上記実施形態によれば、隔壁構造方式と比較して壁材に使用する材料の制限が少ないため、高強度、高弾性な壁材を形成することが可能である。
また、上記実施形態によれば、高弾性な壁材を使用することで共通電極118若しくは対向基板104を貼り合わせ後に収容部108の形状を変形させることが可能となる。これにより、収容部108の形状を球形に変形させることでセルギャップを小さくし、低電圧で駆動し、高速で応答し、コントラストを向上させた電気泳動表示装置を製造することができる。
【0032】
また、上記実施形態によれば、マイクロカプセル方式では、カプセル粒径を一様に揃える事は困難であり、粒径一様なカプセルを揃えると低収率になる可能性があるといった課題を抱えていたが、本実施形態では均一な微粒子が安価に利用可能である。
また、上記実施形態によれば、マイクロカプセル方式と比較してバインダー層106がカプセルと電極板間に入り込む影響が少ないため、本実施形態では効率的に電気泳動粒子110に電圧印加をすることができるので、低電圧での動作が可能である。
【0033】
また、上記実施形態によれば、マイクロカプセル方式ではその粒子径がマイクロカプセルの合成に依存していたため、マイクロカプセル合成が難しい粒径のサブミクロンオーダーの微粒子を使用してのセルギャップの小さい電気泳動セルが製造可能であり、高速応答、低電圧駆動化を図ることができる。
また、上記実施形態によれば、使用する収容部108形成用の微粒子220の粒径を揃える事で電気泳動粒子110の表示特性を向上させるとともに、シートでの表示性能のコントロール(逆オパール構造からの光反射の見積もり)を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0034】
102 画素基板、104 対向基板、106 バインダー層、106′ バインダー、108 収容部、110 電気泳動粒子、110a 白色粒子、110b 黒色粒子、112 分散媒、114 分散液、116 画素電極、118 共通電極、120 接着層、220 微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極を備えた第1の基板と、
前記第1の基板と対向配置された、第2の電極を備えた第2の基板と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されたバインダー層と、
電気泳動粒子と分散媒とを含む分散液と、を含み、
前記バインダー層は、断面視で、前記第1の電極側から前記第2の電極側に向かうに従って、幅が広くなるように形成された収容部を有し、
前記分散液は、前記収容部に充填されていることを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
前記収容部の形状は、半球状であることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置。
【請求項3】
第1の電極を備えた第1の基板を覆うように、バインダーと、微粒子と、を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、前記バインダーより前記微粒子に対するエッチングレートが高いエッチャントを用いてエッチングして前記微粒子を除去することで、前記バインダーに収容部を形成する収容部形成工程と、
前記収容部形成工程後、前記収容部に電気泳動粒子と分散媒とを含む分散液を充填する充填工程と、
前記充填工程後、前記バインダーを覆うように第2の電極を備えた第2の基板を配置し、前記分散液を封止する封止工程と、を有することを特徴とする電気泳動表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記収容部形成工程では、前記微粒子に球状の微粒子を用いることで、前記バインダーに半球状の収容部を形成することを特徴とする請求項3に記載の電気泳動表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−220737(P2012−220737A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86580(P2011−86580)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】