説明

電気活性材料

式Iまたは式II:
【化1】


で表される化合物を提供する。式中:Ar1は単結合またはアリーレンであり;Ar2はアリール基であり;Ar3は単結合またはアリーレンであり;R1は、H、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基から選択されるか、あるいは2つのR1基が一緒に結合して5〜10個の炭素を有する脂肪族環を形成することができるかであり;R2は、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、またはフルオロアルコキシ基から選択され;Mは共役部分であり;aは0〜2の整数であり;bは0〜3の整数であり;nは1以上の整数であり;xおよびyはモル分率であり、x+y=1.0である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、その記載内容全体が参照により本明細書に援用される2008年12月1日に出願された米国仮特許出願第61/118,717号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、新規な電気活性化合物に関する。本発明はさらに、そのような電気活性化合物を含む少なくとも1つの活性層を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
OLEDディスプレイを構成する有機発光ダイオード(「OLED」)などの有機光活性電子デバイスにおいて、OLEDディスプレイ中では2つの電気接触層の間に有機活性層が挟まれている。OLEDにおいて、これらの電気接触層の間に電圧を印加すると、有機光活性層は、光透過性電気接触層を透過する光を発する。
【0004】
発光ダイオード中の活性成分として有機エレクトロルミネッセンス化合物が使用されることは周知である。単純な有機分子、共役ポリマー、および有機金属錯体が使用されている。光活性材料を使用するデバイスは、多くの場合、光活性(たとえば、発光)層と接触層(正孔注入接触層)との間に配置される1つ以上の電荷輸送層を含む。1つのデバイスは2つ以上の接触層を含むことができる。光活性層と正孔注入接触層との間には正孔輸送層を配置することができる。正孔注入接触層はアノードと呼ばれる場合もある。光活性層と電子注入接触層との間には電子輸送層を配置することができる。電子注入接触層はカソードと呼ばれる場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子デバイス中に使用される電荷輸送材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
式Iまたは式II:
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
(式中::
Ar1は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、単結合およびアリーレンからなる群から選択され;
Ar2は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、アリール基であり;
Ar3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、単結合およびアリーレンからなる群から選択され;
1は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、H、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択されるか、あるいは2つのR1基が一緒に結合して5〜10個の炭素を有する脂肪族環を形成することができるかであり;
2は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択され;
Mは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、共役部分であり;
aは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜5の整数であり;
nは2以上の整数であり;
xおよびyはモル分率であってx+y=1.0であり、但しxおよびyは0ではない)
で表される化合物を提供する。
【0010】
式Iまたは式IIで表される上記化合物を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスも提供する。
【0011】
以上の一般的説明および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲において規定される本発明を限定するものではない。
【0012】
本明細書において提示される概念をより理解しやすくするために、添付の図面において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】有機電子デバイスの一例の図である
【0014】
当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
式Iまたは式II:
【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

【0018】
(式中:
Ar1は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、単結合およびアリーレンからなる群から選択され;
Ar2は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、アリール基であり;
Ar3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、単結合およびアリーレンからなる群から選択され;
1は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、H、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択されるか、あるいは2つのR1基が一緒に結合して5〜10個の炭素を有する脂肪族環を形成することができるかであり;
2は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択され;
Mは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、共役部分であり;
aは、出現ごとに同じまたは異なる0〜5の整数であり;
nは2以上の整数であり;
xおよびyはモル分率であってx+y=1.0であり、但しxおよびyは0ではない)
で表される化合物を提供する。
【0019】
式Iまたは式IIで表される化合物を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスも提供する。
【0020】
多数の態様および実施形態を以上に説明してきているが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、本発明の範囲から逸脱しない他の態様および実施形態が実現可能であることが、当業者には分かるであろう。
【0021】
いずれか1つ以上の実施形態のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明では、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、電気活性化合物、電子デバイス、ならびに最後に実施例を扱う。
【0022】
1.用語の定義および説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義または説明を行う。
【0023】
本発明において使用される場合、用語「アルキル」は、分岐鎖および直鎖の飽和脂肪族炭化水素を含む。特に明記しない限り、この用語は、環状基を含むことも意図している。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、secブチル、tertブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソヘキシルなどが挙げられる。用語「アルキル」は、置換および非置換の両方の炭化水素基をさらに含んでいる。ある実施形態においては、アルキル基は一置換、二置換、および三置換であってよい。置換アルキル基の一例はトリフルオロメチルである。他の置換アルキル基は、本明細書に記載の1つ以上の置換基から形成される。ある実施形態においては、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。別の実施形態においては、この基は1〜6個の炭素原子を有する。この用語は、ヘテロアルキル基を含むことを意図している。ヘテロアルキル基は1〜20個の炭素原子を有することができる。
【0024】
用語「アリール」は、1つの環(単環式)、あるいは互いに縮合または共有結合した複数の環(二環以上)であってよい芳香族炭素環部分を意味する。アリール部分のあらゆる好適な環位置が、画定された化学構造に共有結合することができる。アリール部分の例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ビフェニル.アントリル、フェナントリル、フルオレニル、インダニル、ビフェニレニル、アセナフテニル、アセナフチレニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある実施形態においてはアリール基は6〜60個の炭素原子を有し;ある実施形態においては6〜48個の炭素原子を有する。この用語は、ヘテロアリール基を含むことを意図している。ヘテロアリール基は4〜50個の炭素原子を有することができる。
【0025】
用語「アルコキシ」は、基−OR(式中、Rはアルキルである)を意味することを意図している。
【0026】
用語「アリールオキシ」は、基−OR(式中、Rはアリールである)を意味することを意図している。
【0027】
特に明記しない限り、すべての基は、置換されていてもよいし、非置換であってもよい。限定するものではないがアルキルまたはアリールなどの場合により置換された基は、同じ場合も異なる場合もある1つ以上の置換基で置換されていてよい。好適な置換基としては、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、−N(R7)(R8)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキサン、チオアルコキシ、−S(O)2−N(R’)(R”)、−C(=O)−N(R’)(R”)、(R’)(R”)N−アルキル、(R’)(R”)N−アルコキシアルキル、(R’)(R”)N−アルキルアリールオキシアルキル、−S(O)s−アリール(式中、s=0〜2である)、または−S(O)s−ヘテロアリール(式中、s=0〜2である)が挙げられる。それぞれのR’およびR”は独立して、場合により置換されたアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。特定の実施形態においては、R’およびR”は、それらの結合する窒素原子と一緒になって環系を形成することができる。置換基は架橋基であってもよい。
【0028】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合、用語「電荷輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通過するそのような電荷の移動を促進することを意味することを意図している。正孔輸送材料は正電荷を促進し;電子輸送材料は負電荷を促進する。発光材料も、ある程度の電荷輸送特性を有する場合があるが、用語「電荷輸送層、材料、部材、または構造」は、主要な機能が発光である層、材料、部材、または構造を含むことを意図していない。
【0029】
用語「化合物」は、分子から構成される非帯電物質であって、これらの分子は原子をさらに含み、これらの原子は、化学結合を破壊することなしには物理的手段によって、それらの対応する分子から分離することができない物質を意味することを意図している。この用語は、オリゴマーおよびポリマーを含むことを意図している。
【0030】
用語「架橋性基」または「架橋基」は、熱処理または放射線への曝露によって架橋を引き起こすことが可能な基を意味することを意図している。ある実施形態においては、放射線はUVまたは可視光である。
【0031】
層または材料に言及する場合の用語「電気活性」は、デバイスの動作を電子的に促進する層または材料を意味することを意図している。活性材料の例としては、電子または正孔のいずれであってもよい電荷を伝導、注入、輸送、または遮断する材料、あるいは、放射線を受けた場合に、放射線を放出したり電子−正孔対の濃度変化を示したりする材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。不活性材料の例としては、平坦化材料、絶縁材料、および環境障壁材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
接頭語「フルオロ」は、基の中の1つ以上の水素がフッ素で置換されていることを示すことを意図している。
【0033】
接頭語「ヘテロ」は、1つ以上の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示している。ある実施形態においては、ヘテロ原子はO、N、S、またはそれらの組み合わせである。
【0034】
用語「オキシアルキル」は、1つ以上の炭素が酸素で置換されたヘテロアルキル基を意味することを意図している。この用語は、酸素を介して結合する基を含んでいる。
【0035】
用語「光活性」は、エレクトロルミネッセンスまたは感光性を示すあらゆる材料を意味することを意図している。
【0036】
用語「シリル」は、基R3Si−(式中、Rは、H、D、C1〜20アルキル、フルオロアルキル、またはアリールである)を意味する。ある実施形態においては、Rアルキル基中の1つ以上の炭素がSiで置換されている。ある実施形態においては、シリル基は、(ヘキシル)2Si(Me)CH2CH2Si(Me)2−および[CF3(CF26CH2CH22SiMe−である。
【0037】
用語「シロキサン」は、基(RO)3Si−(式中、Rは、H、D、C1〜20アルキル、またはフルオロアルキルである)を意味する。
【0038】
デバイス中の層に言及するために使用される場合、語句「隣接する」は、ある層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味するものではない。他方で、語句「隣接するR基」は、化学式中で互いに隣同士であるR基(すなわち、1つの結合によって連結した複数の原子上に存在する複数のR基)を意味するために使用される。
【0039】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的なまたはを意味するのであって、排他的なまたはを意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0040】
また、本発明に記載の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形をも含んでいる。
【0041】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition(2000−2001)に見ることができる「新表記法」(New Notation)の規則を使用している。
【0042】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料について以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、特定の節が引用される場合を除けば、それらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0043】
本明細書に記載されていない程度の、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0044】
2.電気活性化合物
本明細書に記載の化合物は式Iまたは式II:
【0045】
【化5】

【0046】
【化6】

【0047】
(式中
Ar1は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、単結合およびアリーレンからなる群から選択され;
Ar2は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、アリール基であり;
Ar3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、単結合およびアリーレンからなる群から選択され;
1は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、H、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択されるか、あるいは2つのR1基が一緒に結合して5〜10個の炭素を有する脂肪族環を形成することができるかであり;
2は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択され;
Mは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、共役部分であり;
aは、出現ごとに同じまたは異なる0〜5の整数であり;
nは2以上の整数であり;
xおよびyはモル分率であってx+y=1.0であり、但しxおよびyは0ではない)
で表される。
【0048】
式中、縮合環系の中央を通って描かれた結合は、置換基が、縮合環中の利用可能なあらゆる炭素に結合できることを示している。
【0049】
式Iおよび式IIの化合物は、1,1’−ビナフチルコアを有し、このコアは、メタ結合を介してさらに結合したアリールアミノ基を有する。これらの化合物は良好な正孔輸送特性を有する。これらの材料がOLEDの正孔輸送層中に使用されると、得られるデバイスは良好な効率および寿命を有することができる。ある実施形態においては、これらの化合物は、デバイスの発光層中の発光材料のホストとして使用することができる。
【0050】
ある実施形態においては、本発明の化合物は、3,3’−ビナフチル結合を有する式Iaで表される。
【0051】
【化7】

【0052】
ある実施形態においては、本発明の化合物は、4,4’−ビナフチル結合を有する式Ibで表される。
【0053】
【化8】

【0054】
ある実施形態においては、本発明の化合物は、5,5’−ビナフチル結合を有する式Icで表される。
【0055】
【化9】

【0056】
ある実施形態においては、本発明の化合物は、6,6’−ビナフチル結合を有する式Idで表される。
【0057】
【化10】

【0058】
ある実施形態においては、本発明の化合物は、7,7’−ビナフチル結合を有する式Ieで表される。
【0059】
【化11】

【0060】
式Ia〜e中:
Ar1、Ar2、Ar3、R1、R2、およびnは前述の定義の通りであり;
bは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
cは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜1の整数であり;
dは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜2の整数であり;
eは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜3の整数である。
【0061】
ある実施形態においては、本発明の化合物は、3,3’−ビナフチル結合を有する式IIa;4,4’−ビナフチル結合を有する式IIb;5,5’−ビナフチル結合を有する式IIc;6,6’−ビナフチル結合を有する式IId;および7,7’−ビナフチル結合を有する式IIeからなる群から選択される。
【0062】
【化12】

【0063】
【化13】

【0064】
【化14】

【0065】
式IIa〜e中:
Ar1、Ar2、Ar3、R1、R2、およびMは前述の定義の通りであり;
bは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
cは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜1の整数であり;
dは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜2の整数であり;
eは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜3の整数である。
【0066】
ある実施形態においては、Ar1は式III
【0067】
【化15】

【0068】
(式中:
3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、D、アルキル、アルコキシ、シロキサン、およびシリルからなる群から選択され;
bは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
mは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、1〜6の整数である)
で表される。
【0069】
ある実施形態においては、1つのbの少なくとも1つは0ではない。ある実施形態においては、m=1〜3である。
【0070】
ある実施形態においては、Ar1は、単結合、フェニレン、p−ビフェニレン、p−ターフェニレン、ナフチレン、フェニレンナフチレン、およびナフチレンフェニレンからなる群から選択される。ある実施形態においては、Ar1は、フェニレンおよびビフェニレンからなる群から選択される。
【0071】
ある実施形態においては、Ar2は式IV
【0072】
【化16】

【0073】
(式中:
3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、アルキル、アルコキシ、シロキサン、およびシリルからなる群から選択され;
aは、0〜5の整数であり;
bは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
mは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、1〜6の整数である)
で表される。
【0074】
式IVのある実施形態においては、1つのaおよびbの少なくとも1つが0ではない。ある実施形態においては、m=1〜3である。ある実施形態においては、Ar2は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、およびナフチルからなる群から選択される。
【0075】
ある実施形態においては、Ar3は、前述の定義の通りの式IIIで表される。式IIIのある実施形態においては、少なくとも1つのbが0ではない。ある実施形態においては、m=1〜3である。ある実施形態においては、Ar3は、単結合、フェニレン、ビフェニレン、およびナフチレンからなる群から選択される。ある実施形態においては、Ar3は、フェニレンおよびビフェニレンからなる群から選択される。
【0076】
単結合ではない場合のAr1、Ar2、およびAr3はいずれも、任意の位置で置換されていてもよい。置換基は、溶解性などの化合物の1つ以上の物理的性質を改善するために存在することができる。ある実施形態においては、置換基は、D、アルキル基、シリル基、シロキサン基、およびアルコキシ基からなる群から選択される。ある実施形態においては、これらの基は1〜12個の炭素原子を有する。ある実施形態においては、隣接するアルキル基が一緒に結合して非芳香族環を形成する。ある実施形態においては、架橋性基を含む少なくとも1つの置換基が存在する。ある実施形態においては、少なくとも1つのAr2上に架橋置換基が存在する。架橋性基の例としては、ビニル、アクリレート、パーフルオロビニルエーテル、1−ベンゾ−3,4−シクロブタン、シロキサン、シアネート基、環状エーテル類(エポキシド類)、シクロアルケン類、およびアセチレン系基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、架橋性基はビニルである。
【0077】
ある実施形態においては、R1は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される。
【0078】
ある実施形態においては、R2は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される。
【0079】
ある実施形態においては、aおよびbは0および1から選択される。ある実施形態においては、a=b=0である。
【0080】
ある実施形態においては、n=1であり、化合物はポリマーではない。ある実施形態においては、nは2以上であり、化合物はオリゴマーまたはポリマーである。ある実施形態においては、nは20を超える。
【0081】
式IIは、少なくとも1つの別の共役部分が存在するコポリマーを示している。ある実施形態においては、xは少なくとも0.4である。ある実施形態においては、xは0.4〜0.6の範囲内である。これらのコポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマー、またはブロックコポリマーであってよい。ある実施形態においては、Mは、トリアリールアミン単位を有する芳香族単位である。ある実施形態においては、Mは芳香族基である。ある実施形態においては、Mは、架橋性置換基を有する芳香族単位である。架橋性置換基を有するMの量は、一般に4〜20モルパーセントの間である。
【0082】
1がHおよびDではない場合、置換ビナフチル基によって、式Iまたは式IIで表される化合物の主鎖中に非平面性が導入される。第1のナフチル基は、それが結合する第2のナフチル基とは異なる面内に配向する。この非平面性のために、化合物はキラルになる。一般に、これらはラセミ混合物として形成される。式Iで表される化合物の一部の非限定的な例としては以下の化合物A〜Dが挙げられる。
【0083】
【化17】

【0084】
【化18】

【0085】
【化19】

【0086】
【化20】

【0087】
本発明の新規化合物は、C−C結合またはC−N結合を形成するあらゆる技術を使用して製造することができる。Suzuki、Yamamoto、Stille、およびその他の遷移金属触媒カップリング反応などの種々のそのような技術が周知である。これらの化合物は、溶液処理技術を使用して層を形成することができる。用語「層」は、用語「膜」と同義的に使用され、所望の領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されることはない。この領域は、デバイス全体の大きさであってもよいし、実際の視覚的表示などの特殊機能領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであってもよい。層および膜は、気相堆積、液相堆積(連続的技術および不連続な技術)、および熱転写などの従来のあらゆる堆積技術によって形成することができる。連続堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋基が存在する場合、膜を加熱する、および/またはUV光で処理して、架橋した膜を形成することができる。架橋した膜は、さらなる処理ステップに対してより堅牢になり、一般に処理用溶媒に対して可溶性でなくなる。
【0088】
本明細書に記載の新規化合物は、正孔輸送材料として、光活性材料として、および光活性材料のホストとして使用することができた。本発明の新規化合物は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、およびN,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB)などの有効な小分子正孔輸送化合物と同様の正孔移動性およびHOMO/LUMOエネルギーを有する。TPDおよびNPDなどの化合物は一般に、気相堆積技術を使用して塗布する必要がある。
【0089】
ある実施形態においては、本発明の新規化合物は、光活性材料のホストとして有用である。
【0090】
3.電子デバイス
本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物を含む1つ以上の層を有することが有益となりうる有機電子デバイスとしては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)電子的過程を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、光電管、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、および(4)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含むデバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明による組成物の他の使用としては、コーティング材料が挙げられ、このコーティング材料は、記憶デバイス、帯電防止フィルム、バイオセンサー、エレクトロクロミックデバイス、固体電解コンデンサ、充電式電池などのエネルギー蓄積デバイス、および電磁遮蔽用途に使用される。
【0091】
有機電子デバイス構造の一例を図1に示す。デバイス100は、アノード層110およびカソード層150、ならびにそれらの間の光活性層130を有する。アノードに隣接して、電荷輸送材料、たとえば正孔輸送材料を含む層120が存在する。カソードに隣接して、電子輸送材料を含む電荷輸送層140が存在することができる。選択肢の1つとして、デバイスは、アノード110の隣に1つ以上の追加の正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)、および/またはカソード150の隣に1つ以上の追加の電子注入層または電子輸送層(図示せず)を使用することができる。
【0092】
本発明において使用される場合、用語「光活性」は、印加された電圧によって活性化されると発光する材料(発光ダイオード中または発光電気化学セル中など)、あるいは、放射エネルギーに応答し、バイアス電圧の印加を使用して、または使用せずに信号を発生する材料(光検出器中など)を意味する。一実施形態においては、光活性層は発光体層である。
【0093】
デバイス100の用途に依存するが、光活性層130は、印加電圧によって励起する発光層(発光ダイオード中または発光電気化学セル中など)、放射エネルギーに応答し、バイアス電圧の印加を使用してまたは使用せずに信号を発生する材料層(光検出器中など)であってよい。光検出器の例としては、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、および光電管、ならびに光起電力セルが挙げられ、これらの用語は、Kirk−Othmer Concise Encyclopedia of Chemical Technology,4th edition,p.1537,(1999)に記載されている。
【0094】
ある実施形態においては、正孔輸送層120は、本発明に記載の少なくとも1種類の新規な電気活性化合物を含む。
【0095】
ある実施形態においては、光活性層130は、本発明に記載の少なくとも1種類の新規な電気活性化合物を含み、この電気活性化合物は光活性である。
【0096】
ある実施形態においては、光活性層130は、本発明に記載の少なくとも1種類の新規な電気活性化合物を含み、この電気活性化合物はホストとして機能し、その中に光活性材料が分散される。
【0097】
デバイス中の他の層は、そのような層に有用であることが知られているあらゆる材料でできていてよい。アノード110は、正電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。アノードは、たとえば金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合金属酸化物を含有する材料でできていてもよいし、伝導性ポリマー、およびそれらの混合物であってもよい。好適な金属としては、11族金属、4族、5族、および6族の金属、ならびに8 10族の遷移金属が挙げられる。アノードが光透過性となるべき場合には、インジウムスズ酸化物などの12族、13族、および14族の金属の混合金属酸化物が一般に使用される。アノード110は、”Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer,” Nature vol. 357,pp 477 479(11 June 1992)に記載されるようなポリアニリンなどの有機材料を含むこともできる。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、発生した光を観察できるように、少なくとも部分的に透明となるべきである。
【0098】
ある実施形態においては、デバイスは、アノードと本発明の新規ポリマーを含む層との間に緩衝層をさらに含む。用語「緩衝層」は、導電性材料または半導体材料を含む層を意味することを意図しており、この層は、限定するものではないが、下にある層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、ならびに有機電子デバイスの性能を促進または改善する他の特徴などの、1つ以上の機能を有機電子デバイス中で有することができる。緩衝材料は、ポリマー、オリゴマー、または小分子であってよく、溶液、分散体、懸濁液、エマルジョン、コロイド混合物、またはその他の組成物の形態であってよい。緩衝層は、プロトン酸がドープされることが多いポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリマー材料で形成され得る。プロトン酸は、たとえば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであってよい。緩衝層は、銅フタロシアニンやテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷輸送化合物などを含むことができる。一実施形態においては、緩衝層は、導電性ポリマーとコロイド形成性ポリマー酸との分散体から作製される。このような材料は、たとえば、米国特許出願公開第2004−0102577号明細書、米国特許出願公開第2004−0127637号明細書、および米国特許出願公開第2005/205860号明細書に記載されている。
【0099】
ある実施形態においては、正孔輸送層120は、本明細書に記載の新規な電気活性化合物を含む。ある実施形態においては、層120は別の正孔輸送材料を含む。層120の別の正孔輸送材料の例は、たとえば、Y.WangによりKirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837 860,1996にまとめられている。正孔輸送分子および正孔輸送ポリマーの両方を使用することができる。一般に使用される正孔輸送分子としては:N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB)、および銅フタロシアニンなどのポルフィリン系化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一般に使用される正孔輸送ポリマーとしては、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、およびポリアニリンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマー中に、上述のものなどの正孔輸送分子をドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることもできる。緩衝層および/または正孔輸送層は、米国特許出願公開第2004/102577号明細書、米国特許出願公開第2004/127637号明細書、および米国特許出願公開第2005/205860号明細書に記載されるようなチオフェン、アニリン、またはピロールのポリマーとポリマーフッ素化スルホン酸とを含むこともできる。
【0100】
限定するものではないが小分子有機蛍光化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物などの、あらゆる有機エレクトロルミネッセンス(「EL」)材料を層130中の光活性材料として使用することができる。蛍光化合物の例としては、クリセン類、ピレン類、ペリレン類、ルブレン類、クマリン類、アントラセン類、チアジアゾール類、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属錯体の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;Petrovらの米国特許第6,670,645号明細書ならびに国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに記載されるような、フェニルピリジン配位子、フェニルキノリン配位子、またはフェニルピリミジン配位子を有するイリジウム錯体などの、シクロメタレート化されたイリジウムおよび白金のエレクトロルミネッセンス化合物、ならびに、たとえば、国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載される有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。場合により、加工特性および/または電子特性を改善するために小分子蛍光材料または有機金属材料がドーパントとしてホスト材料とともに堆積される。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)類、ポリフルオレン類、ポリ(スピロビフルオレン)類、ポリチオフェン類、ポリ(p−フェニレン)類、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの材料は、ホスト材料と混合されて存在することもできる。ある実施形態においては、ホスト材料は、正孔輸送材料または電子輸送材料である。ある実施形態においては、ホストは、本明細書に記載の新規な電気活性化合物である。ある実施形態においては、ホスト材料対光活性材料の比は5:1〜20:1の範囲内であり;ある実施形態においては10:1〜15:1の範囲内である。
【0101】
電子輸送層140中、および/または層140とカソードとの間の任意選択の層中に使用可能な電子輸送材料の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、テトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ハフニウム(HfQ)、およびテトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ならびに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンゾイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン類;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0102】
カソード150は、電子または負電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有するあらゆる金属または非金属であってよい。カソードの材料は、1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、12族金属、たとえば希土類元素およびランタニド、ならびにアクチニドから選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム、およびマグネシウム、ならびに組み合わせた材料を使用することができる。動作電圧を低下させるために、Li含有有機金属化合物、LiF、およびLi2Oを有機層とカソード層との間に堆積することもできる。
【0103】
各構成層の材料の選択は、好ましくは、デバイスの可動寿命で高いデバイス効率を有するデバイスを得ることの目標の釣り合いを取ることによって決定される。デバイス中に他の層が存在することもできる。緩衝層と有機活性層との間に1つ以上の正孔注入層および/または正孔輸送層が存在することができる。有機活性層とカソードとの間に1つ以上の電子輸送層および/または電子注入層が存在することができる。
【0104】
本発明のデバイスは、好適な基体上に個別の層を順次堆積するなどの種々の技術によって作製することができる。ガラスおよびポリマーフィルムなどの基体を使用することができる。熱蒸着、化学蒸着などの従来の気相堆積技術を使用することができる。あるいは、有機層は、好適な溶媒を使用した液相堆積によって堆積することができる。この液相は、溶液、分散液、またはエマルジョンの形態であってよい。典型的な液相堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングなどの連続堆積技術;ならびにインクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、およびスクリーン印刷.あらゆる従来のコーティング技術または印刷技術、たとえば、限定するものではないがスピンコーティング、浸漬コーティング、ロール・トゥ・ロール技術、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
本明細書に記載の新規な電気活性化合物は、液体組成物からの液相堆積によって塗布することができる。用語「液体組成物」は、材料が溶解して溶液を形成する液体媒体、材料が分散して分散液を形成する液体媒体、あるいは材料が懸濁して懸濁液またはエマルジョンを形成する液体媒体を意味することを意図している。化合物を溶解または分散させて、それより膜を形成するあらゆる液体媒体を使用することができる。一実施形態においては、液体媒体は、1種類以上の有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、有機溶媒は芳香族溶媒である。一実施形態においては、有機液体は、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、アニソール、およびそれらの混合物から選択される。本発明の新規化合物は、液体媒体中に0.2〜2重量パーセントの濃度で存在することができる。液体媒体に依存して、他の重量パーセント値の本発明の新規化合物を使用することができる
【0106】
一実施形態においては、種々の層は以下の範囲の厚さを有する:アノード110、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;正孔輸送層120、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;光活性層130、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;層140、50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;カソード150、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。デバイス中の電子−正孔再結合領域の位置、したがってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さによって影響されうる。したがって、電子−正孔再結合領域が発光層中に存在するように、電子輸送層の厚さを選択すべきである。層の厚さの望ましい比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0107】
一実施形態においては、本発明のデバイスは:アノード、緩衝層、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、電子注入層、カソードの構造をこの順序で有する。一実施形態においては、アノードは、インジウムスズ酸化物またはインジウム亜鉛酸化物からできている。一実施形態においては、緩衝層は、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリピロール類、それらのコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される導電性ポリマーを含む。一実施形態においては、緩衝層は、導電性ポリマーとコロイド形成性ポリマー酸との複合体を含む。
【0108】
一実施形態においては、正孔輸送層は、本明細書に記載の新規化合物を含む。一実施形態においては、正孔輸送層は、本明細書に記載の新規な電気活性化合物から実質的になる。
【0109】
一実施形態においては、光活性層は、本明細書に記載の新規な電気活性化合物、および光活性化合物を含む。一実施形態においては、光活性層は、第2のホスト材料をさらに含む。ある実施形態においては、光活性層は、本明細書に記載の新規な電気活性化合物および光活性化合物から実質的になる。ある実施形態においては、光活性材料は、少なくとも1重量%の量で存在する。ある実施形態においては、光活性材料は2〜20重量%である。
【0110】
一実施形態においては、電子輸送層は、ヒドロキシアリール−N−複素環の金属錯体を含む。一実施形態においては、ヒドロキシアリール−N−複素環は、非置換または置換8−ヒドロキシキノリンである。
【0111】
一実施形態においては、電子注入層はLiFまたはLi2Oである。一実施形態においては、カソードはAlまたはBa/Alである。
【0112】
一実施形態においては、本発明のデバイスは、緩衝層、正孔輸送層、および光活性層の液相堆積、ならびに電子輸送層、電子注入層、およびカソードの気相堆積によって製造される。
【0113】
本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料について以下に説明する。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、それらの記載内容全体が援用される。
【実施例】
【0114】
本明細書に記載される概念を以下の実施例でさらに説明するが、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0115】
実施例1
この実施例では、電気活性化合物の化合物Cの形成に使用できるモノマーの調製を示す。
【0116】
(a)出発物質のジトリフレート1を以下に示すスキームから合成した。
【0117】
【化21】

【0118】
(b)モノマー3を以下のスキームにより合成した:
【0119】
【化22】

【0120】
窒素パージしたグローブボックス中、100mLの丸底フラスコ中でジトリフレート1(2g、2.73mmol)および4−オクチルアニリン(1.18g、5.73mmol、2.1当量)をトルエン(40mL)中に溶解させ、続いて、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(25mg、0.027当量)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(30mg、0.053当量)のトルエン(10mL)溶液を上記混合物に加えた。混合物を5分間撹拌した後、ナトリウムt−ブトキシド(0.657g、6.82mmol、2.5当量)を、得られた溶液に加えた。この反応混合物を、グローブボックスの外、窒素下90℃において3日間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルパッドに通し、トルエンで洗浄した。1つにまとめた溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%塩化メチレン)を行って、0.98gの白色固体を生成物として得た。NMR分析により、中間化合物1の構造を確認した。
【0121】
窒素パージしたグローブボックス中、100mLの丸底フラスコ中でジアミン2(0.98g、1.16mmol)および3−ブロモ−1−ヨードベンゼン(0.99g、3.50mmol)をトルエン(30mL)中に溶解させ、続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(29mg、0.027当量)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(34mg、0.053当量)のトルエン(8mL)溶液を上記混合物に加えた。混合物を5分間撹拌した後、ナトリウムt−ブトキシド(280mg、2.91mmol、2.5当量)を、得られた溶液に加えた。この反応混合物を、グローブボックスの外、窒素下90℃において4日間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルパッドに通し、トルエンで洗浄した。1つにまとめた溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を行って、1.2gの白色固体を得た。NMR分析により、化合物3の構造を確認した(ポリマーH−1661)。
【0122】
実施例2
実施例1で得たモノマーを重合させて化合物Cを形成することができる。これは、以下のスキームによりYamamotoカップリングを使用して行うことができる:
【0123】
【化23】

【0124】
特に明記しない限り、全ての作業は窒素パージしたグローブボックス中で行った。モノマー3(1.036g、0.90mmol)をシンチレーションバイアルに加え、22mLのトルエン中に溶解させた。乾燥させたきれいな50mLのシュレンク管にビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(0.500g、1.818mmol)を投入した。2,2’−ジピリジル(0.284g、1.818mmol)および1,5−シクロオクタジエン(0.197g、1.818mmol)をシンチレーションバイアル中に量り取り、5.5mLのN,N’−ジメチルホルムアミド中に溶解させた。この溶液を上記シュレンク管に加えた。このシュレンク管をアルミニウムブロック中に挿入し、60℃の初期温度が得られる設定のホットプレート/スターラー上でブロックを加熱し撹拌した。この触媒系を60℃で30分間維持し、次に70℃まで上昇させた。トルエン中のモノマー溶液をシュレンク管に加え、管を封止した。この重合混合物を70℃で18時間撹拌した。18時間後、シュレンク管をブロックから取り外し、室温まで冷却した。管をグローブボックスから取り出し、内容物を濃HCl/MeOH(1.5%v/vの濃HCl)の溶液中に注いだ。2時間撹拌した後、ポリマーを減圧濾過により回収し、高真空下で乾燥させた。得られたポリマーは、トルエンから、HCl/MeOH(1%v/vの濃HCl)、MeOH、トルエン(CMOSグレード)、および3−ペンタノンの中で連続して沈殿させることによって精製した。白色繊維状ポリマー(0.200g)が得られた。ポリマーの分子量をGPCによって測定した(THF移動相、ポリスチレン標準物質):Mw=20,486;Mn=5.049;Mw/Mn=4.06。NMR分析により、化合物Cの構造を確認した。
【0125】
実施例3
この実施例では、電気活性化合物の化合物Dの形成に使用できるモノマーの調製を示す。モノマー12を以下のスキームにより合成した:
【0126】
【化24】

【0127】
窒素パージしたグローブボックス中、100mLの丸底フラスコ中でジトリフレート10(2.72g、4.70mmol)および4−オクチルアニリン(2.03g、9.87mmol、2.1当量)をトルエン(30mL)中に溶解させ、続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(43mg、0.01当量)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(52mg、0.02当量)のトルエン(10mL)溶液を上記混合物に加えた。混合物を5分間撹拌した後、ナトリウムt−ブトキシド(1.13g、11.75mmol、2.5当量)を、得られた溶液に加えた。この反応混合物を、グローブボックスの外、窒素下85℃において終夜撹拌した。得られた混合物をシリカゲルパッドに通し、トルエンで洗浄した。1つにまとめた溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中2%〜10のエチルアセテート、グラジエント)を行って、2.37gの白色固体を生成物として得た。NMR分析により、中間化合物11の構造を確認した。
【0128】
窒素パージしたグローブボックス中、100mLの丸底フラスコ中でジアミン11(1.45g、2.10mmol)および3−ブロモ−1−ヨードベンゼン(1.78g、6.3mmol、3当量)をトルエン(30mL)中に溶解させ、続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(52mg、0.027当量)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(62mg、0.053当量)のトルエン(8mL)溶液を上記混合物に加えた。混合物を5分間撹拌した後、ナトリウムt−ブトキシド(504mg、5.25mmol、2.5当量)を、得られた溶液に加えた。反応混合物を、グローブボックスの外、窒素下90℃において3日間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルパッドに通し、トルエンで洗浄した。1つにまとめた溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中3%トルエン)を行って、1.5gの白色固体を得た。NMR分析により、化合物12の構造を確認した。
【0129】
実施例4
実施例3で得たモノマーを重合させて化合物Dを形成することができる。これは、以下のスキームによりYamamotoカップリングを使用して行うことができる:
【0130】
【化25】

【0131】
化合物Cに関して説明したように、化合物12の重合を行った。このポリマーは白色固体として84.6%の収率で得られた。ポリマーの分子量をGPCによって測定した(THF移動相、ポリスチレン標準物質):Mw=1,846;Mn=1,291;Mw/Mn=1.43。NMR分析により、化合物Dの構造を確認した。
【0132】
実施例5
この実施例では電気活性化合物の化合物Aの形成に使用できるモノマーの調製を示す。モノマー15を以下のスキームにより合成した:
【0133】
【化26】

【0134】
窒素パージしたグローブボックス中、100mLの丸底フラスコ中でジトリフレート13(1.7g、2.33mmol)および3−オクチルアニリン(1g、4.89mmol)をトルエン(20mL)中に溶解させ、続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(58mg、0.027当量)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(68mg、0.053当量)のトルエン(10mL)溶液を上記混合物に加えた。混合物を5分間撹拌した後、ナトリウムt−ブトキシド(0.56g、5.82mmol、2.5当量)を、得られた溶液に加えた。この反応混合物を、グローブボックスの外、窒素下85℃において16時間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルパッドに通し、トルエンで洗浄した。1つにまとめた溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%〜40%の塩化メチレンのグラジエント)を行って、1.6gの生成物を得た。NMR分析により、中間化合物14の構造を確認した。
【0135】
窒素パージしたグローブボックス中、100mLの丸底フラスコ中でジアミン14(1.5g、1.78mmol)および3−ブロモ−1−ヨードベンゼン(1.51g、5.35mmol)をトルエン(40mL)中に溶解させ、続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(47mg、0.027当量)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(53mg、0.053当量)のトルエン(7mL)溶液を上記混合物に加えた。混合物を5分間撹拌した後、ナトリウムt−ブトキシド(0.428g、4.45mmol、2.5当量)を、得られた溶液に加えた。この反応混合物を、グローブボックスの外、窒素下90℃において4日間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルパッドに通し、トルエンで洗浄した。1つにまとめた溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%トルエン)を行って、1.6gの白色固体を得た。NMR分析により、化合物15の構造を確認した。
【0136】
実施例6
実施例5で得たモノマーを重合させて化合物Aを形成することができる。これは、以下のスキームによりYamamotoカップリングを使用して行うことができる:
【0137】
化合物Cに関して説明したように、化合物15の重合を行った。ポリマーは白色固体として38%の収率で得られた。ポリマーの分子量をGPCによって測定した(THF移動相、ポリスチレン標準物質):Mw=210,638;Mn=33,194;Mw/Mn=6.35。NMR分析により、化合物Aの構造を確認した。
【0138】
【化27】

【0139】
実施例7
この実施例では電気活性化合物の化合物Bの形成に使用できるモノマーの調製を示す。モノマー18を以下のスキームにより合成した:
【0140】
【化28】

【0141】
窒素パージしたグローブボックス中、50mLの丸底フラスコ中でジトリフレート16(1.67g、2.28mmol)および4−オクチルアニリン(0.984g、4.79mmol)をトルエン(20mL)中に溶解させ、続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(21mg、0.027当量)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(25mg、0.053当量)のトルエン(2mL)溶液を上記混合物に加えた。混合物を5分間撹拌した後、ナトリウムt−ブトキシド(0.548g、5.71mmol、2.5当量)を、得られた溶液に加えた。この反応混合物を、グローブボックスの外、窒素下85℃において20時間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルパッドに通し、トルエンで洗浄した。1つにまとめた溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中25%メチレンクロライド)を行って、1.04gの白色固体を得た。NMR分析により、中間化合物17の構造を確認した。
【0142】
窒素パージしたグローブボックス中、50mLの丸底フラスコ中でジアミン17(1.02g、1.212mmol)および3−ブロモ−1−ヨードベンゼン(1.029g、3.636mmol)をトルエン(20mL)中に溶解させ、続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(30mg、0.027当量)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(36mg、0.053当量)のトルエン(2mL)溶液を上記混合物に加えた。混合物を5分間撹拌した後、ナトリウムt−ブトキシド(291mg、3.03mmol、2.5当量)を、得られた溶液に加えた。この反応混合物を、グローブボックスの外、窒素下85℃において24時間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルパッドに通し、トルエンで洗浄した。1つにまとめた溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%トルエン)を行って、1.2gの白色固体を得た。NMR分析により、化合物18の構造を確認した。
【0143】
実施例8
実施例7で得たモノマーを重合させて化合物Bを形成することができる。これは、以下のスキームによりYamamotoカップリングを使用して行うことができる:
【0144】
【化29】

【0145】
化合物Bに関して説明したように、化合物18の重合を行った。ポリマーは白色固体として50%の収率で得られた。ポリマーの分子量をGPCによって測定した(THF移動相、ポリスチレン標準物質):Mw=213,649;Mn=102,594;Mw/Mn=2.08。NMR分析により、化合物Bの構造を確認した。
【0146】
一般的説明または実施例において前述した全ての行為が必要であるとは限らず、特定の行為の一部は不要である場合があり、記載の行為に加えて1つ以上のさらなる行為を行うことができることを留意されたい。さらに、行為が記載される順序は、必ずしもそれらが行われる順序ではない。
【0147】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0148】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0149】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。さらに、ある範囲において記載される値への言及は、その範囲内にある個別のすべての値を含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iまたは式II:
【化1】

【化2】

(式中:
Ar1は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、単結合およびアリーレンからなる群から選択され;
Ar2は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、アリール基であり;
Ar3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、単結合およびアリーレンからなる群から選択され;
1は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、H、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択されるか、あるいは2つのR1基が一緒に結合して5〜10個の炭素を有する脂肪族環を形成することができるかであり;
2は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、D、アリール基、アルキル基、シリル基、シロキサン基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択され;
Mは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、共役部分であり;
aは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜5の整数であり;
nは2以上の整数であり;
xおよびyはモル分率であってx+y=1.0であり、但しxおよびyは0ではない)
で表される化合物。
【請求項2】
式IaからIe
【化3】

【化4】

【化5】

(式中;
bは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
cは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜1の整数であり;
dは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜2の整数であり;
eは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜3の整数である)
からなる群から選択される式で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式IIaからIIe
【化6】

【化7】

(式中:
bは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
cは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜1の整数であり;
dは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜2の整数であり;
eは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜3の整数である)
からなる群から選択される式で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Ar1が式III
【化8】

(式中:
3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、D、アルキル、アルコキシ、シロキサン、およびシリルからなる群から選択され;
cは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
mは1〜6の整数である)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Ar1が、単結合、フェニレン、p−ビフェニレン、p−ターフェニレン、ナフチレン、フェニレンナフチレン、およびナフチレンフェニレンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Ar2が、ナフチル、および式IV
【化9】

(式中:
3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、アルキル、アルコキシ、シロキサン、およびシリルからなる群から選択され;
cは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
dは0〜5の整数であり;
mは1〜6の整数である)
で表される基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Ar3が、単結合、ナフチレン、および式III
【化10】

(式中:
3は、出現ごとに同じまたは異なるものであって、アルキル、アルコキシ、シロキサンおよびシリルからなる群から選択され;
cは、出現ごとに同じまたは異なるものであって、0〜4の整数であり;
mは1〜6の整数である)
で表される基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
少なくとも1つのAr2上に架橋置換基が存在する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
1が、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
2が、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、および1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式IIで表され、xが少なくとも0.4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式IIで表され、Mがトリアリールアミン単位を有する芳香族基、および架橋性置換基を有する芳香族単位からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
第1の電気接触層、第2の電気接触層、およびそれらの間の活性層を含み、前記活性層が、先行する請求項のいずれか1項に記載の化合物を含む、有機電子デバイス。
【請求項14】
前記活性層が光活性層である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記活性層が光活性材料をさらに含み、前記化合物が、式Iの化合物および式IIの化合物からなる群から選択される、請求項14に記載のデバイス。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−510474(P2012−510474A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538724(P2011−538724)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/066188
【国際公開番号】WO2010/065497
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】