説明

電気流体色素体(EFC)ディスプレイ装置

【課題】複数の電気流体色素体(EFC)画素セルを含むディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】複数の電気流体色素体(EFC)画素セルを含むディスプレイ装置が提供される。各画素セルは、表示特性の異なる極性流体および無極性流体を保持するための流体ホルダを備え、流体ホルダは、極性流体上に観察者の方向に突出する狭い可視領域を有するオリフィスをもつリザーバおよび極性流体上に観察者の方向に突出する広い可視領域を有する幾何形状をもつチャネルを備える。チャネルは、極性流体および無極性流体がチャネルとリザーバとの間を自由に移動することを可能にするように、前記オリフィスを介してリザーバに接続される。リザーバは、オリフィスフィルム層およびリザーバフィルム層を含む同質の樹脂フィルム層の積層樹脂構造に形成されており、リザーバは、オリフィスフィルム層によって、観察者の方向から隠され、前記オリフィスフィルム層は、リザーバフィルム層に形成された断面領域よりも小さい最小のオリフィス領域を画定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイの分野に関し、特に、電気流体セルを含むディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在まで、ディスプレイ技術の特定の領域において、特にフレキシブルディスプレイ用に、電気泳動方式の電気光学媒体がよく使用されている。しかしながら、電気泳動方式の電気光学媒体は、いくつかの制約を受けている。この媒体は画素の応答が比較的遅く、これが映像表示を困難にしており、また紙と比べて輝度が相対的に低い。
【0003】
電気湿潤方式の電気光学媒体に基づいたディスプレイは、上記の制約の少なくとも一部を取り除くことができる。この原理を用いる具体的な変形が、たとえば特許文献1(WO2004068208)および特許文献2(WO2009036272)の公報に記載されている。これらの変形は、液晶または電気泳動方式のディスプレイと比べて高さ寸法が比較的大きく、これがフレキシブルディスプレイでの使用の妨げとなる。
【0004】
従来技術の特許文献3(米国特許第4583824号)では、同じ高さの2つのチャネルを薄いシートの材料が隔てる、双安定のディスプレイデバイスが提案されている。このシートに穴を設けることによって、流体が2つのチャネルの間を流れることができる。2つのチャネルの高さは同じなので、ディスプレイは双安定であることができる。色のついた流体が下のチャネルに送り込まれたとき、この流体のうち観察者が見ることができるのは、シートの穴の中の流体だけであり、それによって大きなアパーチャを作り出している。
【0005】
この場合、画素を切り換えるために流体を上部および底部のチャネルの両方に流し込まなければならないという複雑な構造が提案されている。上部および底部のチャネルを同一の高さに形成するためには、シートは極めて正確に配置されなければならない。
【0006】
電気湿潤方式に基づくディスプレイの、最近開発された電気流体色素体(EFC:electrofluidic chromatophore)の変形体は、高さ寸法がより小さくなっており、したがってフレキシブルディスプレイでの使用により適し得る。EFC技術に基づいたディスプレイ内の画素は高い反射率を有するので、これらのディスプレイが使用できる状況は、周囲の照明が薄暗い場合から、太陽光を十分に受けている場合にまでわたる。
【0007】
以下、本発明者らは、表示特性の異なる極性流体および無極性流体を保持するための流体ホルダを有する画素セルとしてのEFCセルに言及し、流体ホルダは、観察者の方向に突出する狭い可視領域を有するオリフィスをもつリザーバ、および観察者の方向に突出する広い可視領域を有する幾何形状をもつチャネルを含み、このチャネルは、極性流体および無極性流体がチャネルとリザーバとの間を自由に移動することを可能にするように、前記オリフィスを介してリザーバに接続され、このチャネルの表面の少なくとも一部が、画素セル上の電源電圧に応答する濡れ性を有し、かつ(i)電源電圧がチャネル内の極性流体の量を安定させる安定領域、(ii)チャネル内への極性流体の流れを制御する充填領域、および(iii)リザーバ内への極性流体の流れを制御する回収領域を画定し、少なくとも2つの画素セル端子が、電源電圧によって制御される極性流体の移動のための濡れ性を有する、流体ホルダの表面の少なくとも一部に電源電圧を供給するように構成されている。
【0008】
EFC画素セルは、電源電圧に依存して応答し、具体的には、極性流体の充填レベルまたは回収レベルが制御される。これらの制御された電圧の結果としてEFCセルが示すことができる種々の状態は、以下では、セル表示特性またはセル状態、より具体的には、充填状態、回収状態もしくは安定状態、外見に対応する黒色状態、白色状態、またはより一般的には、安定であるかまたは電源電圧に依存して変化し得る色状態にも言及され得る。
【0009】
EFCセルの状態は、端子の電圧に直接的には関係しない。その代わり、これらの電圧およびそのタイミングが、状態の変化の速度および方向を制御する。したがって、ある駆動方式においては、セルの現在の状態が考慮され、一定の電圧がセル端子に一定時間印加されて、新たな所望の状態に到達する。実際の電圧レベルは、セルの幾何形状および材料特性に影響されることがある。
【0010】
ユーザから見ると、セルのアパーチャは、さまざまな色または灰色のレベルの間で切り換えることができる画素の実効面積を制御する。上記の配置において、セルアパーチャは、主として、広い可視領域を有する幾何形状をもつチャネルおよび観察者の方向に突出する狭い可視領域を有する幾何形状をもつリザーバによって決まる。
【0011】
リザーバは、画素の各切換え状態において、極性流体によって満たされる。また、リザーバは、1つの極端な切換え状態において、ユーザから見てチャネルおよびリザーバを極性流体で完全に満たすために十分な極性流体を保持する。典型的な画素配列について、従来のリザーバの配置は、画素領域の5〜20%をカバーすることができたが、これは使用する応用例および材料に応じてより広い範囲で変化し得る。たとえば、有効画素サイズが143×143マイクロメートル(たとえば、切り換えできない境界領域が7マイクロメートル)、チャネル高さが3マイクロメートル、かつリザーバの高さが54マイクロメートルの、側面寸法が150×150マイクロメートルの画素について、リザーバは、この画素領域の少なくとも5%の面積を有し得る。チャネルの高さが5マイクロメートルであり、リザーバの高さが23マイクロメートルである同じ画素については、リザーバは、この画素領域の少なくとも20%の面積を有し得る。
【0012】
極性液体が入ったリザーバは目に見えるので、このセル領域のごく一部分が、ディスプレイのアパーチャを小さくする。したがって、チャネルおよびリザーバの従来の配置において、EFD画素アパーチャは、EFCディスプレイのコントラストおよび色飽和度に影響を与える可視効果をいくらか有し得るリザーバのサイズによって制限される。特許文献4(米国特許出願公開第2010/0208328号)は、極性流体が電気流体デバイスの可視領域からさらに隠れる解決策を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2004068208号
【特許文献2】国際公開第2009036272号
【特許文献3】米国特許第4583824号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0208328号明細書
【特許文献5】米国特許第0132404号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、回路基板上に設けられた複数の電気流体色素体(EFC)画素セルにドライバを接続するための行および列の電極が配列されたこの回路基板を備えるディスプレイ装置が提供される。各画素セルは、表示特性の異なる極性流体および無極性流体を保持するための流体ホルダを含む。流体ホルダは、観察者の方向に突出する狭い可視領域を有するオリフィスをもつリザーバおよび観察者の方向に突出する広い可視領域を有する幾何形状をもつチャネルを含む。チャネルは、極性流体および無極性流体がチャネルとリザーバの間を自由に移動することを可能にするように、前記オリフィスを介してリザーバに接続される。チャネルの表面の少なくとも一部は濡れ性を有し、少なくとも2つの画素セル端子が、回路基板上の行および列の電極に接続可能であり、電源電圧によって制御される極性流体の移動のための濡れ性を有するチャネルの表面の少なくとも一部に電源電圧を供給するように構成されている。少なくとも2つの画素セル端子は、極性流体から絶縁分離されている。リザーバは、回路基板に配置された同質のフィルム層が積層構造に形成されており、この構造は、オリフィスフィルム層およびリザーバフィルム層を少なくとも含み、リザーバ層に配置されたリザーバは、オリフィスフィルム層によって、観察者の方向から隠され、前記オリフィスフィルム層は、リザーバフィルム層に形成された断面領域よりも小さい最小のオリフィス領域を画定する。
【0015】
このように、リザーバは、同質のフィルム材料がスタックされた同質のフィルム層のスタック構造に形成され、目に見えるオリフィス断面は、セルアパーチャを大きくするために低減されている。利点は、大きなアパーチャEFDが、標準的かつ共通の処理方法で実現されることである。解決策は、従来技術の提案に見られるような、複数の電気湿潤表面またはスタックされた中の低層における電気湿潤表面には依存しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ディスプレイ装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】図1の実施形態における電気流体画素セルの一実施形態の上面図である。
【図3】図2の電気流体画素セルの断面側面図である。
【図4】電気流体画素セルを行列電極構造に接続するための、種々の概略的な接続を示す図である。
【図5】画素チャネルにおける水前部の速度(v)の電源電圧(V)の関数としての概略チャートである。
【図6A】電気流体画素セルにおける、従来の最初の数段を製造するための概略的な製造プロセスを示す図である。
【図6B】リザーバを隠す構造を形成するための製造ステップを概略的に示す図である。
【図6C】部分的に隠れたリザーバを画素セルに設けるための仕上げステップを概略的に示す図である。
【図6D】完成品を示す図である。
【図7】完成品の上面図である。
【図8】完成品の代替配置を示す図である。
【図9】別の代替配置を示す図である。
【図10】図9の積層構造の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、ディスプレイ装置の一実施形態の概略的な構成を示す。ディスプレイ装置1は、複数の画素セル2の他に、当技術分野においてバックプレーンとも称されるフレキシブル回路基板3をさらに備え、この基板は、適切に配置されるハウジング構造において、ディスプレイを丸めたり、曲げたり、または巻いたりできるように、好ましくは、たとえば2cm未満の短い半径で湾曲可能である。回路基板3は、電荷を画素セル2に供給するための複数の行の電極および列の電極を含む。しかしながら、具体的な実施形態次第では、より多くの電極を画素セル2に接続することもまた可能である。ドライバ8は、行7および列の電極6を充電して、電源電圧を画素セル2に宛てるように構成されている。ドライバ8は、回路基板3または任意の他の都合のよい場所に組み込まれていてもよい。
【0018】
ディスプレイコントローラ10は、ディスプレイコントローラ10に入力された画素画像情報101の結果としてドライバ8を制御するように構成される。典型的には、ディスプレイ1は、毎秒何回かリフレッシュされる。フレーム時間は、ディスプレイのすべての画素が一度リフレッシュされる時間として定義される。フレーム時間は、行7に接続された画素セル2が駆動されるライン選択時間、その後に続く、残りの行が逐次的にアドレスされる保持時間を含む。別法として、他の更新方式として、たとえば、2行以上が一度に選択されかつリフレッシュされる、複数の行のアドレッシングが提供され得る。
【0019】
電源電圧は、典型的には、単一の行および列の電極6、7を介して画素セル2に供給することができるが、画素セル2は、以下に説明するように、バイアス電源電圧または基本電源電圧を画素セルに提供するためにドライバ8に直接接続されたまた別の電極5’に電気的に接続されたまた別の画素セル端子を典型的には有する別の行の電極5’にさらに接続することができる。また別のバイアス電極を、行の電極に平行なパターン化電極として設けることができる。そのような配置において、画素セルの中間状態が提供され得る。この状態は、セル表示特性の変化を誘引するのに要求されるスイッチ電圧を低減する目的で、基本電源電圧を少なくとも1つの別の画素セル端子に供給することによって、可能性のあるセル表示特性の変化が制限される画素セルの状態として定義することができる。切換回路は、典型的には、切換回路をドライバ8に接続する行および列の電極6、7をそれぞれ含んでいるが、より多い、または少ない電極が、切換回路の具体的な実施形態に依存して使用される可能性もある。
【0020】
電気流体画素セル2の切換え状態は、端子5、9の電圧に直接的には関係しない。その代わり、これらの電圧およびそのタイミングが、切換え状態の変化の速度および方向を制御する。したがって、セルをある切換え状態に駆動するためには、差動駆動、すなわち、セル2の現在の切換え状態を考慮し、一定の電圧をセル端子5、9に一定時間印加して新たな所望の切換え状態に到達させる駆動が必要である。1つの可能性は、現在の表示画像のコピーを保存し、新たな画像用の駆動信号の計算で使用することである。別の選択肢は、ディスプレイ全体を既知の切換え状態にリセットすること、たとえば、すべてのセル2が十分に後退し(電源電圧の不在)、かつドライバ8によってある駆動信号を印加して、新たな画像を表示する状態にリセットすることである。
【0021】
図2は、図3の断面図に示す電気流体画素セルの上面図である。流体リザーバ32の幾何形状は、観察者の方向に突出する狭い可視領域を与え、チャネル33の幾何形状は、観察者の方向に突出する広い可視領域を与えることが分かる。流体リザーバ32およびチャネル33は、チャネル33と流体リザーバ32の間を極性流体34が自由に移動することを可能にするように接続される。
【0022】
黒色状態を作り出すために、黒くした水34がチャネル33を満たし、透明な油が流体リザーバ32を満たす。白色状態では、透明な油がチャネル33を満たし、黒くした水がリザーバ32を満たす。チャネル33内の黒色の水および透明な油の量を変化させることによって、色状態ともいう種々のセル表示特性を作り出すことができる。
【0023】
極性流体とチャネルの表面に近い電極の間に十分な電気バイアスをかけることによって、水がチャネルに引き込まれ、油が数マイクロメートル幅のダクト39を流れ、リザーバに戻る。
【0024】
2種類の流体が十分に不混和性であれば、黒色の水の代わりに、任意の適切に色付けしたまたは透明な極性流体を使用してもよく、透明な油の代わりに、任意の適切に色付けしたまたは透明な無極性流体を使用してもよい。
【0025】
カラーディスプレイの変形は、異なる画素セルに対して、たとえば赤色、緑色および青色もしくはシアン、マゼンタおよび黄色といった異なる色の水を使用することによって、または黒色および白色ディスプレイの上にカラーフィルタを設けることによって、またはチャネル33の上部表面38上もしくはその近くのディスプレイ内にカラーフィルタを組み込むことによって実施することができる。
【0026】
チャネル33は、典型的には3から5μmの高さであり、下のチャネル壁37を画定するメサ(mesa)30の厚さは、典型的には40μmであり、リザーバ32を形成する。理論上の切換え速度は、両遷移に対しておよそ数ミリ秒である。
【0027】
図3は、画素セル2(図1)の流体ホルダ31を断面図に示す。チャネル33は、典型的には3〜5マイクロメートルの高さであり、リザーバの高さを決定するメサまたはリザーバ層30の厚さは、典型的には30〜50マイクロメートルである。理論上の切換え速度は、両遷移に対しておよそ数ミリ秒であり、したがって、フルモーション映像を表示することができるディスプレイが可能になる。流体ホルダは、観察者の方向に突出する狭い可視領域を有する流体リザーバ32および観察者の方向に突出する広い可視領域を有するチャネル33を含む。典型的には、流体ホルダ31は、極性流体34の他に、無極性流体(図示せず)も含む。セル表示特性を生成するために、極性流体34および無極性流体は、表示特性が異なる。表示特性は、たとえば、単色の変形も含む色であってもよく、または流体のある種の透過および/もしくは反射特徴であってもよい。一実施形態において、極性流体34の透過は、無極性流体のものとは異なる。極性流体34は水を含んでもよく、無極性流体は油を含む。顔料で水を黒くすることで、染料で油を黒くするよりも彩度の高い黒色を得ることができるので、水を黒くし、油は透明なままにしておくかまたは散漫散乱であるのが好ましい。黒色に着色した水は、わずか3マイクロメートルの厚さを有する水の層で十分に黒い画素色を得ることができる。これによって、典型的には、フレキシブルディスプレイの適切な厚さの範囲以内である100マイクロメートル未満の総厚を有するディスプレイが可能となる。典型的には、水は、導電性元素としてイオン含有物を含む。無極性流体は、極性流体34によって占められていないスペースを占めてもよい。無極性流体は、極性流体34と混合されないのが好ましい。一実施形態において、チャネル33および流体リザーバ32の幾何形状は、互いに異なる主曲率半径を与えるように慎重に構築される。そのような実施形態において、チャネル33および流体リザーバ32の表面が十分に疎水性であるとき、流体リザーバ32は、極性流体に大きな主曲率半径35を与え、チャネルは、極性流体34に小さな主曲率半径36を与える。この構成によって、極性流体をそのエネルギー的に最も好ましい形、すなわち液滴形にしようとし、極性流体34を流体リザーバ32に押し込むヤングラプラス力が得られる。
【0028】
しかしながら一方で、ヤングラプラス力より大きく、かつヤングラプラス力に対向する電気機械力を発生させることによって、極性流体34をチャネル33に押し込むこともできる。この力を制御するために、チャネル33の表面38および下のチャネル壁37の少なくとも一部は、流体ホルダ31の壁のうちの1つまたは複数に印加される電源電圧に応答する濡れ性を有する。極性流体34は、導電性元素または成分を含んでもよい。典型的には、疎水性フルオロポリマーが、チャネル33の表面38および下のチャネル壁37の少なくとも一部に提供されるが、電界に応答する濡れ性を有する他の材料を適用することもできる。
【0029】
電気機械力は、極性流体34を流体リザーバ32に押し込む反作用力に対向する方向にかかり、電源電圧を変化させることによって制御することができる。この反作用力は、ヤングラプラス力もしくは対向する方向にかかる別の電気機械力、またはその組み合わせとすることができる。
【0030】
反作用力と電気機械力の均衡をもたらす電源電圧、すなわち、極性流体34の動きがない電圧を、安定電圧と呼ぶ。安定電圧は、セル表示特性に応じて変化を示すことがあるが、原則としてセル表示特性とは無関係である。すなわち、安定電圧は、流体前部の位置に実質的にかかわらず、極性流体34の流体前部を安定させる。この特徴は、電気泳動方式のディスプレイまたは液晶ディスプレイのような他のタイプのディスプレイには見られないことに留意されたい。言い換えれば、安定した電源電圧を画素セルに提供することで、画素セル20内の極性流体34は安定する。
【0031】
チャネル33のチャネル表面37、38の少なくとも一部に電源電圧を印加することによって、誘導電界は、典型的には、フルオロポリマーの疎水性特性を低減し、電気機械力となる。この電気機械力は、極性流体34をリザーバ32からチャネル33に移動させるものであり、チャネル表面37、38の少なくとも一部にかかる電源電圧の2乗に比例する。電源電圧は、チャネル33の表面37、38の少なくとも一部の濡れ性を変化させる。
【0032】
電気機械力を変化させることは、画素セル20内の極性流体34の動きを制御するために使用することができる。したがって、画素セル20は、少なくとも2つの画素セル端子(図示せず)を含む。画素セル端子は、電極(図示せず)を介して、印加される電源電圧に応答する濡れ性を有するチャネル33の表面の少なくとも一部に電源電圧を印加するために配置される。電源電圧は、画素セルに取り付けられたいくつかの電極のうちの任意のものから、電圧差の組合せによって提供することができる。
【0033】
図4の(a)〜(d)は、電気流体画素セルを行列電極構造に接続するための、種々の概略的な接続を示す。チャネルの上部および底部には、誘電体層371、381に覆われた平らな電極380、370がある。単一の第3の電極390は、極性流体の液滴と電気的に接触し得る。別法として、上部電極はなくてもよい。この場合、チャネル33の上部壁(図2、3に示す)の濡れ性が最適化されることに注意されたい。読みやすくするため、参照符号は図4の(a)のみに付す。
【0034】
水−油前部上の電気機械力は、フルオロポリマー層を含む誘電体スタック全体にかかる電圧によって引き起こされる。受動マトリックス構成では、行および列の電極が存在し、各交差部に画素がある。
【0035】
より詳細には、図4(a)の構成は、ディスプレイ内の画素のグループまたはすべての画素用の共通する電極に接続された共通する端子を示す。この電極は、別法としてまたはこれに加えて、以下に説明するようにバイアス電圧をもたらすことができる。図4(b)の構成で図示したようないくつかの実施形態において、パターン化された上部電極380は必要なく、これによってはるかに簡単な製造が可能になるので、これは利点の1つである。水電極390用に、水へのガルバニック接続(galvanic connection)が行われる。駆動力を、(図3に示す)下の壁37の誘電体界面によって発生させなければならないので、電源電圧は比較的高い。図4(c)および(d)の構成は、パターン化された底部電極370に加えて、列のドライバまたは行のドライバに電気的に接続されたパターン化上部電極380を含む。電気機械力を発生させるために、水に対する両方の誘電体界面が使用されるので、電源電圧は低くすることができる。図4(d)において、列の電圧端子6が、観察者の方向から反対側にある底部チャネル電極370のみに結合するように、水電極390は省くことができる。図4(a)〜(c)の実施形態では、行の電極7は、導電性の極性流体に接触する接触電極に結合されている。図4(d)に示した実施形態では、行の電極7は、チャネル電極380に結合されている。
【0036】
図5は、画素チャネル内の水前部の速度(v)の電源電圧(V)の関数としての概略チャートを示す。示した電圧レベルおよびこの曲線の正確な形は、セル幾何形状および適用される材料の特性、たとえば油の粘性などに影響を受けることがある。
【0037】
水をチャネルに引き込む電気機械力は、印加される電圧の2乗に比例する。これは、0Vを中心に対称な応答になる(図2参照)。ここで、上部(t)電極および底部(b)電極に、水(w)電極に関して同じバイアスがかけられていると仮定する。実際のセルについては、チャネルに約4〜5Vの電圧がかかれば、ある切換え状態(「安定」電圧)が維持され、約2V未満の電圧では、水は負の速度でリザーバに回収され(「回収」電圧)、約7Vを上回る電圧では、水は正の速度でチャネルに進む(「充填」電圧)。電圧が大きくなると水の速度は増すが、ある最大値で限界になる。これにより、切換え速度と時間で求める積分値に従って応答が有効に得られ、ここで、切換え速度は電圧の2乗の和に比例する。電圧の2乗の和が同じである限り、電圧は、上部と水および底部と水の間で非対称に印加されてもよい。回収速度は、水が、上部および底部電極と同じバイアスを受けるときに最も高くなる。
【0038】
画素セルに使用される材料に固有の、またはチャネルの濡れ性を修正することによって安定な範囲を定義するために意図的に加えられる湿潤ヒステリシスまたは湿潤障壁の効果により、x軸上の安定領域の幅は0ではない。これらの障壁の効果は、安定領域の幅を低い電圧および高い電圧へそれぞれ局所的に増加させることであり、画素における油−水分散の好ましい状態が得られる。これらの好ましい状態は、個々の灰色レベルとして、または灰色レベルにより速くかつより正確に到達され得る中間の開始レベルとして使用することができる。
【0039】
これらの障壁は、濡れ性を有するチャネル表面に印加される電界に局所的に影響を及ぼす物理的構造、濡れ性に局所的に影響を及ぼす物理的構造、または曲率半径に、ひいてはチャネル内の極性液体のヤングラプラス圧力に局所的に影響を及ぼす物理的構造によって提供され得る。これらの障壁はまた、濡れ性に強い影響を及ぼす表面の化学組成の変化を含み得る。
【0040】
リザーバが画素セルの隅に位置するとき、毎秒28センチメートルの水全部の速度により、(0.28ミリメートルの対角サイズを有する)0.2ミリメートルの画素セルサイズに対して、約1ミリ秒の黒色状態と白色状態の間の切換え速度が生じ、これが映像コンテンツをディスプレイ装置に表示することと適合するので、水前部の速度は、典型的には毎秒およそ数センチメートルであり、好ましくは毎秒0センチメートルから50センチメートルの間である。この単純な計算においては、電気機械力および反作用力の影響のみを考慮しており、水前部のリザーバからの距離の増加に伴って水前部の速度を低下させる、抗力などの他の力は考慮していない。
【0041】
図6A〜Dは、電気流体画素セルにおける、従来の最初の数段を製造するための概略的な製造プロセスを示す。第1のステップ(i)において、典型的には、たとえば2cm未満の曲げ半径を有し、フレキシブルなポリマーでできた基板620が設けられ、次いで、基板620に配置および構成された薄膜トランジスタ(TFT)の底部ゲート61に金属層(すなわちゲート)をパターニングし(ii)、続いて、TFTのゲート61を絶縁するために絶縁体層62が設けられ(iii)、底部ゲート、底部接触TFTに、第2の金属層(すなわち、ソース−ドレイン63)が配置および構成される(iv)。続いて(ステップv)、底部ゲート、底部接触TFTおよび厚層630に配置および構成された半導体材料64が設けられ、既知のフォトパターニング技術によってパターン化される(vi)。厚い層630は、任意の適切な設置技術によって設けることができる。一実施形態において、リザーバフィルム層は、均一の厚さの積層体層630によって形成され、この層630は積層樹脂構造に積層されており、これは典型的にはドライフィルム接着またはドライフォトレジストフィルムの積層として知られている。典型的には、ドライフィルムフォトレジスト層は、積層後、また通常は光硬化前に取り除かれるマイラー(mylar)(登録商標)のカバーシートまたは適切なシート製品によって覆われ得る。適切なドライフィルム層材料は、高いアスペクト比および/または厚いフィルム構造を作り出すことが可能な場合がある。他の実施形態には、スピンコーティングが含まれ得る。フォトパターニング技術は、典型的には、リザーバ632を形成するために、パターンを感光性樹脂層に光硬化し、未硬化の材料を溶解によって除去することを伴う。適切な溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルまたはジアセトンアルコールである。
【0042】
図6Bにおいて、適切な均質樹脂フィルム層640を堆積することによって、スタックされた積層構造630、640が、回路基板620上に配置される。層640は、(viiにおいて)当技術分野で知られているドライフィルム熱延積層プロセスの中で、ホットローラ641によって堆積され得る。典型的な熱延条件は、65〜85℃のロール温度、約1m/分のロール速度およびたとえば45〜55psigの圧力を含み得る。このように(viiiにおいて)積層構造(630、640)は、リザーバ層630上の均質樹脂フィルム層640によって形成される。次いで、樹脂フィルム層は、後に続くパターニング処理、典型的にはフォトパターニングでパターン化することができる。したがって、オリフィス642は、リザーバ層630内に配置されたリザーバが、オリフィスフィルム層640によって観察者の方向から隠されるように作り出され得る。オリフィスフィルム層640は、リザーバフィルム層に形成された断面領域よりも小さい最小のオリフィス領域642を画定する。均質樹脂フィルム層は、リザーバフィルム層630上に配置されたオリフィスフィルム層640としてさらに機能する。オリフィスフィルム層は、任意の適切な手段によって堆積されるが、一実施形態において、積層樹脂構造として積層される均一の厚さの積層体層640によって形成され得る。オリフィス642は、オリフィス領域およびオリフィス層の厚さの両方を必要最小限の大きさにして作ることができる。フィルム層630、640は、互いに厚さが異なり、かつオリフィスフィルム層は、リザーバ層より薄いのが適切である。オリフィス642は、リザーバ632の2次リザーバ部分とみなすことができる。
【0043】
図6Cにおいて、第3の金属層(すなわち、リザーバ電極643および底部チャネル電極644)を堆積および構成することによって、画素セルがさらに構築される(x)。電極643または電気湿潤層は、底部リザーバ632内に配置される場合には任意選択的である。
【0044】
底部リザーバの側壁における電気接続は、流体がリザーバからチャネル内へ広がっているとき、導電性の極性流体との接触を保つために使用することができる(図6D参照)。
【0045】
続いて(xi)、チャネル電極の絶縁体層645が堆積および構成され、スペーサ646が堆積および構成され、またフルオロポリマー層647bが堆積される。
【0046】
リザーバ層が、45マイクロメートルの半径および15マイクロメートルの高さを有し、第2のオリフィス層が、8マイクロメートルの高さおよび16マイクロメートルの半径を有している場合、リザーバの可視領域は、4%まで低減され得るが、リザーバの全体的な高さは、単一のリザーバ層があり、オリフィス層の形体のさらなる遮蔽層がない従来の場合と同一のままである。そのような従来の場合では、150×150マイクロメートルの典型的な横寸法をもつ画素が、画素領域の少なくとも20%である面積を有するべきリザーバを備え得、多層の実施形態よりも有益さが著しく劣る。
【0047】
以下の例において、丸めることが可能なディスプレイ装置に使用できる薄片ディスプレイに、典型的な寸法を示している。同じ画素について、さらに薄い第2の層を、極めて小さなリザーバ半径で設けることができる。約15マイクロメートルのリザーバ高さを形成し、47マイクロメートルの半径を有する第1のリザーバ層およびわずか2マイクロメートルの厚さとわずか4マイクロメートルの半径を有する第2のリザーバ層を使用するとき、リザーバの可視領域は、0.2%まで減少するが、リザーバの全体的な高さは、単一層の場合と同じである。オリフィス部分の小さな半径は、極性流体が、リザーバを囲むチャネル33の小さな部分に接触しているときに機能するが、これはラプラス圧が、依然として、チャネル内の極性流体の半径と、オリフィス領域の開口部とは独立した大きなリザーバ部分内の半径との間の曲率半径の差によって生み出される場合と同様である。したがって、樹脂をスタックした構造内の、適切な寸法とした層には、典型的には15〜50マイクロメートルのリザーバ高さのリザーバを形成するリザーバ層630、および典型的には1〜15マイクロメートルの厚さのオリフィス層640が含まれる。合計して、積層構造は、50マイクロメートル未満に維持するのが好ましく、30マイクロメートルをも下回るのがより有利である。もちろん、広告掲示板などの他の例において、幾何形状は、本発明の範囲から逸脱することなく異なっていてもよく、たとえば、画素サイズは、数ミリメートルでもよい。
【0048】
図6Dにおいて、典型的には、透明な基板650、透明な電極649、透明な絶縁体層648および透明なフルオロポリマー層647tを含む上部基板スタック660が配置される(xii)。上部スタック660は、たとえば接着によってスペーサ646の上に取り付けられ得る。スペーサは、(図2、3に示す)チャネル33が、あらかじめ定められた厚さを有するように安定して寸法を決めることができるような形態および構造を有する。導電性の極性流体は、チャネル33内のフルオロポリマー層647tと接触し続けて、電極が通電または通電解除されるときに、電気湿潤方式の作動効果をもたらす。チャネル33が極性流体651で完全に満たされたときにリザーバ632に残っている極性流体651の量に依存して、リザーバ632とオリフィス642の共通の側壁643c上に電気接続643を存在させるだけで十分であり得る。最終的に、ディスプレイは、無極性流体(図示せず)および極性(導電性)流体651で満たされる(xiii)。正確な寸法および相対的なサイズは、図面に描かれているものとは異なり得ることに注意されたい。たとえば、図6Dにおいて、リザーバ内の極性流体の主曲率半径は、画素を切り換えることができるようにするために、チャネル631内の極性流体の主曲率半径より大きくすべきである。また、リザーバ内の極性液体によって占められ得る体積は、チャネル内の極性液体によって占められ得る体積と少なくとも同じ大きさであるべきである。極性液体がリザーバの部分を占め、すべての切換え状態において上部スタック660と接触を保っている場合、極性流体上のオリフィスによって与えられる半径であるオリフィス642のサイズは、画素の切換え特性に影響しないことに留意されたい。その場合、チャネルおよびリザーバ内の半径のみが、切換え特性を決定する。次いで、画素の切換え特性に影響を与えることなく画素のアパーチャを最適化するために、オリフィスの寸法はできるだけ小さく選択することができる。
【0049】
フォトパターニングによって、フィルム層は、傾き0のオリフィスおよび/またはリザーバ壁を形成するドライフィルム硬化型レジスト層(dry film curable resist layer)で形成するのが有利である。傾き0とは、ほぼ0の傾き角度が含まれ、これには、リザーバ壁の傾きを制御するのに具体的な配慮が必要ない従来のエッチング処理の結果としての傾き角度が含まれる。したがって、提案した解決策は、関連するパターニングを含む追加の被覆または積層ステップを伴うが、これは、リザーバ632がここで2つの別々の層630、640から作られるが、処理が容易であり、特許文献4(米国特許出願公開第2010/0208328号)に開示されたものなどのリザーバ壁の負の傾きまたはたとえば特許文献5(米国特許第0132404号)に開示されたものなどのスタックの底部に配置された電気湿潤層には依存しないからである。したがって、EFC画素セル600には、縮小したオリフィス断面642をもつオリフィス層640によって、拡大したアパーチャが備えられる。このように、大きなリザーバ632は、より小さいリザーバエリア642を含む第2の層640によって、観察者から隠される。これにより、アパーチャ、ひいてはディスプレイの光学特性(コントラスト、黒色レベルおよび/または白色レベル、色域)が改善される。
【0050】
図7は、ユーザの視点から見た本実施形態の画素700の平面図である。点線は、大きい方のリザーバ632を有するリザーバ層の輪郭を示す。このリザーバ632は、オリフィス642(黒丸)を有する第2のメサ層640によって隠され、それによって、第2のメサ層640内のオリフィス642のみがユーザに示される。スペーサ646は、スタック660(図6D)が、チャネル厚を定めるあらかじめ定められた間隙を安定して有するように寸法が決められている。典型的には、4つのスペーサ646が、セル700の隅の位置に配置されるが、スペーサが、安定した寸法をもつチャネルを形成することができる限り、配置する数は任意でよい。
【0051】
図8は、画素の第2の実施形態800の平面図である。本実施形態において、オリフィスおよび/またはリザーバ層は、オリフィス642を形成するための一致する壁642cを有する。特に、オリフィス642は、図6B(ix)の場合と同様に、共通の側壁642cをリザーバ632と共有する。このように、オリフィス642およびリザーバ632の側壁642cの位置合わせされた部分に位置する電極を介した、リザーバの底部またはその下に位置する層から導電性の極性流体への電気的接続を容易に行うことができる壁電極643cを形成することが可能である。EFCの実際の用途において、これにより、極性流体に電気的に接触し、正確かつ再現可能なやり方で、また低減した電圧で画素を駆動するために使用することができるリザーバ電極643(図6C参照)が形成される。また、電極643cは、リザーバ632の一点において、ディスプレイコントローラによって(間接的に)制御することができる電極に接続する必要があるだけなので、大きい第1のリザーバ部分632の底部を完全に満たす必要はない。したがって、底部における単一の接触点で十分である。これによって、小さい方の第2のリザーバ材料が適用され、かつパターン化された後に金属接触電極を適用する可能性が開ける。次いで、接触電極643c(図6D参照)は、典型的には、オリフィス642の側壁642c、すなわち大きい方の第1のリザーバ632の側壁の位置合わせされた部分に、かつオリフィス642の真下の底部にだけ存在することになるが、金属電極の処理方法次第で、このオリフィス開口部の外側の小さな領域に存在することもできる。
【0052】
2つのリザーバ部分、リザーバ632およびオリフィス642の形および並びは変えることができるが、液体651のいずれかが、角のある隅よりも円形の方に容易に適応するので、オリフィスは円形の形状が好ましい。好ましくは、リザーバ部分632、642は、少なくとも、チャネル33から大きい方の第1のリザーバ部分の底部632bに連続する電極643cを作成するのに十分な大きさの一側面の部分642cに位置合わせされる。これには、底部基板の上の電極と極性液体651をしっかりと接触させることができるという利点がある。
【0053】
図9は、実施形態900の断面図を示し、ここでは、リザーバ層630は、上層640内のオリフィス領域642と比較すると拡大されている、さらなるリザーバエリアを含む。したがって、第3の実施形態が示され、ここでは、小さい方の第2のリザーバ部分としてオリフィス642を形成するために使用されるメサ材料640を支持するために、また別の支持スペーサ636が、大きい方の第1のリザーバ部分630内に設けられる。このように、リザーバフィルム層は、オリフィス層640を支持する支持スペーサ636を備えたリザーバ構造632を有する。
【0054】
これらのスペーサ636は、第1のメサ層を構築するときに、その構造に容易に追加することができる。原理的には、この構造を3層以上の構造に拡張することは容易に可能であり、スペーサ配置636が任意の数のリザーバ層630、640を支持し、リザーバ632の上から直接見ることを実質的にできなくする上部リザーバ層640内の小さなオリフィス領域を形成する目的で設けられている。そのような実施形態において、積層プロセスを通して、均一の厚さの積層フィルム層によって、スタック構造内のフィルム層のうちのいずれかを形成することができる。図10は、ユーザ視点から見た本実施形態の画素900の概観を示す。点線は、大きい方のリザーバ632を有する第1のメサ層の輪郭を示す。点線の内側は、リザーバを形成するために第2のメサ層640を支持するスペーサ636を示す。第1のメサ層630およびリザーバスペーサ636は、オリフィス642を形成する第2のメサ層640によって隠され、それによって、第2のメサ層640内のオリフィス642のみが観察者に示される。チャネル構造では、極性流体651が電気湿潤方式によってチャネル33内に送られたとき、無極性流体を排出してリザーバ632に戻すために、ダクト670が設けられている。
【0055】
典型的には、セル表示特性は、あらかじめ定義された波長での、またはあらかじめ定義された波長の範囲における画素セルの透過および/または反射として表現される。セル表示特性の数は、一般に、可能性のある透過および/または反射値のすべての範囲内にあるいくつかの個々のレベルに限定される。あらかじめ定義された個々の透過および/または反射値は測定可能であり、(2進)数で表すことができる物理的な値であるため、コントローラによって処理できる。
【0056】
本発明を図面に示し、上記の説明で詳細に述べたが、それらの図示および説明は、例示的または典型的なものであり、限定的ではないとみなすべきである。本発明は、開示された実施形態には限定されない。特に、文脈から明らかでない限り、別個に検討した種々の実施形態の中で扱われる種々の実施形態の態様は、関連し、かつ物理的に可能な任意の組合せの変形形態で開示されているものとみなされ、かつ本発明の範囲は、そのような組み合わせにまで拡張される。これらの実施形態において、行の電極は、列の電極と構造がほぼ類似であり、列の電極と互換可能である。すなわち、画素への電源電圧は、列の選択電圧を有する「列の」電極で提供することができ、一方、次いで、行の電極は対応する行の電圧を提供されて、電源電圧を提供する。開示された実施形態に対するそのような、また他の変形形態は、特許請求の範囲に記載された発明を実施する当業者が、図面、本開示内容、および添付の特許請求の範囲を検討することで理解できるものである。特許請求の範囲において、「含む」という単語は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除しない。単一のユニットが、特許請求の範囲で列挙した複数の項目の機能を満たすことができる。ある方策が互いに異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの方策を組み合わせて有利になるように使用することができないと示しているのではない。特許請求の範囲におけるいずれかの参照符号は、その範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0057】
1 ディスプレイ装置
2 画素セル
3 回路基板
5 端子
5’ 電極
6 列の電極
7 行の電極
8 ドライバ
9 端子
10 ディスプレイコントローラ
20 画素セル
30 メサ
31 流体ホルダ
32 流体リザーバ
33 チャネル
34 極性流体
35 主曲率半径
36 主曲率半径
37 下のチャネル壁
38 上部表面
39 ダクト
61 底部ゲート
62 絶縁体層
63 ソース−ドレイン
101 画素画像情報
370 底部電極
371 誘電体層
380 上部電極
381 誘電体層
390 第3の電極
620 基板
630 リザーバ層
632 リザーバ
640 均質樹脂フィルム層
642 オリフィス
643 リザーバ電極
646 スペーサ
647b フルオロポリマー層
647t フルオロポリマー層
648 透明な絶縁体層
649 透明な電極
650 透明な基板
651 極性流体
660 上部基板スタック
670 ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に設けられた複数の電気流体色素体(EFC)画素セルにドライバを接続するために行および列の電極が配列された前記回路基板を備えるディスプレイ装置であって、各画素セルが、
表示特性の異なる極性流体および無極性流体を保持するための流体ホルダを備え、
前記流体ホルダが、観察者の方向に突出する狭い可視領域を有するオリフィスをもつリザーバを備え、前記流体ホルダが、観察者の方向に突出する広い可視領域を有する幾何形状をもつチャネルをさらに備え、前記チャネルが、前記極性流体および前記無極性流体が前記チャネルと前記リザーバとの間を自由に移動することを可能にするように、前記オリフィスを介して前記リザーバに接続されており、前記チャネルの表面の少なくとも一部が濡れ性を有し、少なくとも2つの画素セル端子が、前記回路基板上の前記行および列の電極に接続可能であり、電源電圧によって制御される極性流体の移動のための前記濡れ性を有する前記チャネルの前記表面の少なくとも一部に電源電圧を供給するように構成されており、前記少なくとも2つの画素セル端子は、前記極性流体から誘電的に分離されており、
前記リザーバが、前記回路基板に配置された同質のフィルム層積層構造に形成されており、前記構造は、オリフィスフィルム層およびリザーバフィルム層を少なくとも備え、前記リザーバ層に配置された前記リザーバが、前記オリフィスフィルム層によって観察者の方向から隠され、前記オリフィスフィルム層が、前記リザーバフィルム層に形成された断面領域よりも小さい最小のオリフィス領域を画定している、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記オリフィスフィルム層が、前記積層構造に積層された均一の厚さの積層樹脂層によって形成されている、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記リザーバフィルム層が、前記積層構造に積層される均一の厚さの積層樹脂層によって形成されている、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記積層構造内の前記フィルム層のうちのいずれかが、均一の厚さの積層樹脂フィルム層によって形成されている、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記フィルム層が互いに異なる厚さを有し、前記オリフィスフィルム層が前記リザーバ層よりも薄い厚さを有する、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記樹脂積層構造が、15乃至50マイクロメートルの範囲のリザーバ高さを有するリザーバを形成するリザーバ層と、1乃至15マイクロメートルの範囲の厚さを有するオリフィス層とを含む、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記フィルム層が、傾き0の前記オリフィスおよび/またはリザーバ壁を形成するドライフィルム硬化型レジスト層によって形成されている、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記オリフィスおよび/またはリザーバ層が、前記オリフィスを形成するための同一の壁を有する、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記リザーバフィルム層が、前記オリフィス層を支持する支持スペーサを備えるリザーバ構造を有する、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
回路基板上に設けられた複数の電気流体色素体(EFC)画素セルにドライバを接続するために行および列の電極が配列された前記回路基板を備えるディスプレイ装置を製造する方法であって、
表示特性の異なる極性流体および無極性流体を保持するための流体ホルダならびに前記回路基板上の前記行および列の電極に接続可能である少なくとも2つの画素セル端子を設けるステップを含み、
前記流体ホルダが、観察者の方向に突出する狭い可視領域を有するオリフィスをもつリザーバを備え、前記流体ホルダが、観察者の方向に突出する広い可視領域を有する幾何形状をもつチャネルを備え、前記チャネルが、前記極性流体および前記無極性流体が前記チャネルと前記リザーバとの間を自由に移動することを可能にするように、前記オリフィスを介して前記リザーバに接続され、前記チャネルの表面の少なくとも一部が濡れ性を有し、少なくとも2つの画素セル端子が、前記回路基板上の前記行および列の電極に接続可能であり、電源電圧によって制御される極性流体の移動のための前記濡れ性を有する前記チャネルの前記表面の少なくとも一部に電源電圧を供給するように構成され、前記少なくとも2つの画素セル端子が、前記極性流体から誘電的に分離され、
前記リザーバが、前記回路基板に配置された同質のフィルム層が積層構造に形成され、前記構造が、オリフィスフィルム層およびリザーバフィルム層を少なくとも備え、前記リザーバ層に配置された前記リザーバが、前記オリフィスフィルム層によって観察者の方向から隠され、前記オリフィスフィルム層が、前記リザーバフィルム層に形成された断面領域よりも小さい最小のオリフィス領域を画定する、方法。
【請求項11】
前記オリフィスフィルム層を、前記積層構造内のリザーバ層上に、均一の厚さのドライフィルム樹脂層として前記オリフィス層を積層することによって形成する、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−37363(P2013−37363A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−172665(P2012−172665)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【出願人】(512158169)
【Fターム(参考)】